天災の問題児がヒロアカの世界で自由気侭にヒーローを目指す 作:びっくり葉加瀬
雄英体育祭開始!
USJ襲撃事件の2日後。
俺たちはいつもの様に登校していた。
「おはよう。」
「相澤先生復帰はぇーーー!!」
包帯でぐるぐる巻きの相澤先生が登壇する。
いや両手まだ治ってないなら入院してましょうよ……。
「オレの安否確認はどうでもいい。それより戦いはまだ終わってねぇ。」
「戦い……?」
「まさか……!」
「まだ
「雄英体育祭が迫っている……!!」
「「「学校っぽいの来たーーー!!!」」」
たしかにオリンピックに代わるイベントで、俺達には最大3回しかないチャンス。中止するにはデメリットが大きいのだろう。
俺もサポート課ではないものの、
開催するなら都合がいい。
そんな日の数日後。
「何事だぁ!?」
「何しに来たんだよ出れねーじゃん!」
「敵情視察だろ。ザコ。意味ねーから退けモブ共。」
「知らない人のことを取り敢えずモブっていうのやめようか爆豪君!」
いつもの、爆豪節で峰田共々馬鹿にする爆発三太郎。
そんな彼に対し、人混みの中から紫髪のボサボサした男が出てくる。
どうでもいいけど、雰囲気相澤先生に似てるな。
どうやら彼は1-Aに宣戦布告しに来た普通科の生徒らしい。
「おうおうおう!B組の者だけどよぉ!
「あーもしかして君が鉄哲君?」
「なんだぁ!?俺の事知ってんのか!?」
「あぁ鎌切から聞いてね。随分と対抗意識燃やしてるって言う話じゃん。話聞きたいなら話してあげるけど?」
「「「(葉加瀬も上から目線!?)」」」
「そんな態度なら聞かなくても結構だ!その鼻っ柱ごとへし折ってやるぜ!」
どうやら彼も宣戦布告というか発破を掛けにきたらしい。
正直宣戦布告というなら、放課後にこうやって敵情視察するよりもっといいやり方があるだろ、と思う。
俺が
そんな状況であったが爆発三太郎は珍しく怒るどころか、冷静に人を押しのけて帰ろうとする。
「おい待て!結局このヘイト集まった状態どうすんだ!?」
「関係ねぇよ……。」
「はぁーーー!?」
「上に上がりゃ関係ねぇ。」
爆豪にしては的を得た回答に、ニヤリと口角を上げる。
「く……シンプルで男らしいじゃねーか!」
「上か……、一理ある。」
「騙されんな!敵増やしただけだぞ!」
「爆豪も丸くなったなぁ。」
「テメェ、コラ、何目線だ殺すぞ!!」
「あら、またそんな事言って駄目な子ねぇ。」
「だ、か、ら!何様だテメェ!?」
そんな日を経て、各自訓練を行う日を重ね、とうとう雄英体育祭当日を迎える──!
「皆!準備できているか!?もうすぐ入場だ!」
委員長である飯田がクラスに発破をかける。
その言葉を皮切りに轟が緑谷に声を掛けた。
どうやらオールマイトに目をかけられている緑谷に対抗意識を持ったようだ。
クラス上位の轟が緑谷に宣戦布告したことで、周囲も戸惑っている。
「葉加瀬。お前にも勝つからな。あの時のリベンジだ。」
「勝てるといいね。またリゼに完封されるんじゃないかな。」
「……。」
「次は
「あぁ。」
左手を握しめてそう答える轟。
そうして入場時間が来た──!
『レディース&ジェントルマン!ヒーローの卵達が凌ぎを削る年に一度の雄英体育祭!!どうせあれだろ、まずはこいつらだろォ!
プレゼント・マイクの紹介で生徒が競技場へと入場していく、A組以外にもB組、C組と入場していくが、A組以外の紹介は適当すぎる。MCしては上手いのかもしれないが、悪気のない悪意を感じてしまう。
「この紹介の仕方は他の組から批判受けそうだなぁ……。」
「その通りですわね……。」
近くにいた百も苦笑いでそう答える。性格が真面目なだけあって、思うところがあるようだった。案の定周りから入場してくる組の顔を見ると不満な顔している生徒が多い気がする。
そんな緊張と気まずい雰囲気の中、競技場の中央へ集まり、入場が終了する。
「選手宣誓!」
そのコールをするのは18禁ヒーロー・ミッドナイト。相変わらずの過激なコスチュームで興奮している観客や一部の生徒……主に峰田や上鳴だが、だらしのない顔でミッドナイトをガン見している。あまりに騒然としているせいで、注意を受ける始末だ。
「選手代表!1-A、葉加瀬唯我!」
「!!」
選手宣誓で呼ばれた俺の名前に1-Aの面子がざわめいている。選手宣誓は1年は入試1位、2年以降は成績トップの生徒がやるのが通例なようで、俺も例にもれず、その役目を任されている。チラリと爆豪と見ると、ギロリと睨んでいた。入学初日で入試1位の件で絡んで来ただけ、気に食わないのだろう。
この"個性"社会のおかげで、なんとなく"個性"関係だと理解はしているだろうが、恰好が恰好である。同じヒーロー科の1-Bや他科のクラスの生徒は何故かこの場に削ぐわない格好をしているリゼを気にしているようであった。
「宣誓。スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦う仲間達を打ち破り優勝することを誓います。」
『……なんじゃそりゃあ!!!』
最初はマトモな誓いと思わせておいて、挑発。案の定他生徒からはブーイングが飛び交う。
そんな中でもリゼは気にせず生徒に向かってお辞儀をしている。いい子だ。
「……せいぜい俺の最高傑作の競争相手くらいにはなってくれ。」
「なんで他の生徒を煽るようなことを言うんだ!?」
「逆に俺が潰したるわ!」
飯田からお叱りを受けるが、これくらいの挑発くらい慣れておかないとヒーローとしては論外だろう。
この"個性"社会では、普段気軽に"個性"とぶつかり合うことは無い。この英雄体育祭は千差万別な"個性"と戦い、リゼの性能を確かめる良いチャンスだ。B組は元から対立してはいたが、やる気があがってくれたようでなによりである。
「選手宣誓もそこそこに早速行くわよ!第一種目!いわゆる予選よ!毎年ここで多くの生徒が
第一種目の内容が発表され、ザワつく生徒。そりゃそうだ。普通の障害物競走なんて映えそうにない種目、自分の"個性"を魅せるには物足りないだろう。
だがそこは雄英体育祭。他じゃ考えられないような障害があるに違いない。
「えーと、たしか飛べる"個性"が何人か居たな。翼持ちはどうせ轟君がなんとかするだろうし、他は見かけたら落としとくか。」
「Yes、マスター。飛行持ちの"個性"を所有している生徒の顔は登録済みです。」
ボソリと小さな声で話すが、マイクで説明するミッドナイトの声でかき消され他の人には聞こえていないだろう。
「さぁさぁ!位置に付きまくりなさい!」
「ふーむ。」
「どう致しましたかマスター。」
目の前の人ゴミを見つめて思案する俺に声をかけるリゼ。
既に授業などで俺の"個性"やリゼの説明を受けている1-Aの生徒は気にしていないものの、
「いやぁ目立っているなぁ、って。」
「ヒーロー科であるご学友はともかく、その他有象無象の目線など気になりません。マスターも障害とも考えていらっしゃらないのでは?」
「まぁ、そうなんだけどね。」
他クラスの生徒を見下した言葉もこの場の喧騒にかき消され、誰の耳にも届いていない……と思ったが何やら耳郎がジト目でコチラを見ている辺り、彼女の耳には届いているようであった。
耳郎の視線にニッコリと手を振るが、彼女が俺に向ける目つきは解消しないどころか悪化してしまう。いたたまれなくなった俺は、彼女から目を逸らし再び目の前の人ゴミへと目を向ける。
「さて、どうするか。」
「邪魔、ですね。強行突破致しますか?」
「うーん。どうしようかなって。邪魔は有りらしいからそれも良いんだけどね。ヒーローの人達にリゼの有用性を見せないと意味ないし。」
「単純な戦闘力、という意味では問題ないかと思われますが。」
「それは後々に機会があるさ。これは障害物競走なんだからさ、コッチとかどうよ?」
「ふむ。」
俺が指を指した方向に顔を向けるリゼ。数秒の間見つめると再び俺の方へ向き直り、変わらない表情で一言発する。
「全くもって、問題などございません。」
その言葉に思わずニヤリと笑う。全てをそつなく来なす完璧で瀟洒なメイド。それが可能であるように俺が設計した躯体を効率よく使いこなすそのAIは、想定の通りでありもしもの事など存在しない。
「じゃあ、それで。」
「承知致しました。」
そうして俺はスタートの合図を待つのであった。