天災の問題児がヒロアカの世界で自由気侭にヒーローを目指す 作:びっくり葉加瀬
『じゃあ第1種目開始の合図の宣言をするわよ!』
方針が決まったところで、丁度良くミッドナイトから開始前の宣言が入る。リゼに目配せをし、ヒーローや観客に目立てる瞬間に跳べるように合図をするという意志を伝える。
『3……2……1……スタート!』
スタートと同時に待機していた競技場の出入り口へと殺到する生徒達。当然の如く渋滞し、押し合い、足を引っ張り合うその姿に呆れながら後方で待機する。さて、いつ頃出発するか、なんて考えていた時、後方から特徴のある鋭い音が鳴るのが微かに耳に届く。
「マスター。」
「リゼ!」
声はほぼ同時。視界のセンサーや強化された聴力によってリゼが先に気づき、俺もそれに応える。
俺の声を聞いたリゼはすぐさま俺の身体を抱え、宙に浮く。どうやらバク転をするように跳んだらしく、地面に目を向けると何が起こったのかは明白であった。
「チッ、逃がしたか。」
「危ないなぁ轟君。」
地面を凍結させるほどの妨害は轟の広範囲凍結である。第1回目の戦闘訓練でも披露したあの技だ。
俺を対象としたのか、俺を含めるようにしたのかは分からないが、俺より前にいた生徒達は為す術なく凍結に巻き込まれ、前に進めなくなっている。
空中からそんな生徒達の姿を見ていたが、妨害をした当の本人はというと、妨害を避けられたことが悔しかったのかギラりと俺を睨んでいた。そんな轟を鼻で笑い、そのまま背後へ降り立つ。
「残念だったね。俺を倒したいなら、ここはレースに専念してこの後の機会で集中した方がいいと思うけど。」
「余計なお世話だ!」
「うわぁ、葉加瀬君、観衆の前でもお姫様抱っこやん……。」
と、偉そうに轟に説教紛いのことをしてみるが、俺はというと凍結回避の際に抱えられたままであった。その姿はお姫様抱っこであり、高校男児がメイド服の女性に抱えられているのは客観的に見たら少々情けない気もする。
「これが1番マスターを抱えやすいので。」
「まぁ、そういう事で。リゼ。」
「Yes、マスター。」
今の俺を姿を見た麗日に茶化されながらも、淡々とそれに応えるリゼ。格好は別にいつものことである為、特に気にしていないが、このまま好奇の目線に晒されるのも微妙に居心地が悪いので注目が集まっていること瞬間を利用させてもらうことしよう。
「では、皆様、またゴールで相見えましょう。」
「え。」
俺を抱えている為、ロングスカートを持ち上げることは出来ないが、小さく会釈したその瞬間、リゼは地面を蹴り空中へと駆け出していた。その一瞬で小さく呟いたのは誰だったか。そんなものは置き去りに今俺達は空中にいた。
空中からはリゼのいた場所に亀裂が入っているのと、高速でジャンプした為に突風が起き、顔を隠している轟達が見える。その姿を見送り、競技場の観客席を越えると、リゼは華麗に外の道へと着地した。
『おぉおおお!!!なんだ今のはぁ!?』
『……五月蝿い。殆どの生徒を妨害したのが"個性"『半冷半燃』の轟焦凍による凍結の妨害。避けた奴らの大半はA組だな。そして、今跳んだのは"個性"『AI』の葉加瀬唯我が作製したメイドロ『ガイノイドで御座います、ティーチャー・イレイザー。』……だそうだ。ちなみに、そのガイノイドは葉加瀬が創ったものらしい。基本的にヒーロー科はアイテムの持ち込み禁止だが、"個性"の関係上、葉加瀬自身が作製したアイテムは許可してある。殺傷能力の高い武装は禁止にしてあるからそこは安心しろ。……ハッキングはこれっきりにしとけよ葉加瀬。』
『やだなぁ先生。自分達の全力見せろって言ったの先生じゃないっすか。まぁ、これで辞めときますけど。』
『おいおいおい、色々とスゲェな!!というかゲート通ってないけどいいのか!?』
『道が混んでいるなら回り道するのも当然!今回はコースの真上を跳んでってるからOKよ!』
『合理的判断だな。俺は評価する。』
あ、あぶね……。まぁ戻っても大したロスにはならないけど……。
予めハッキングして準備しておいた回線でアピールも忘れず、リゼに抱えられながらコースを進む。勿論トップではあるが、轟、爆豪は勿論、轟の凍結から抜け出した一部の生徒はすぐ後ろに着いてきている。
コースを進んだ先に見えてくるのは、何やら見覚えのある大きな物体。これは……!
『さて!いきなり第1関門!ロボ・インフェルノ!』
「入試の時の0P仮想
「デッッッカ!?ヒーロー科はこんなのと戦ったのかよ!?」
驚く他科の生徒を尻目に目の前の
「これは……、使えそうだな。」
「マスター?如何致しましたか?」
「いい事を思いついてね。取り敢えず一体潰すのは確定。それから……こうするのはどう?」
俺の言葉に僅かに驚くリゼ。しかし、その提案にも即座に了承する。そしてその悪巧みが上手くいくことを想像して俺はニヤリと笑いリゼから降りて腕を組む。
「じゃあ、まずは景気付けにノシちゃおうか。入試の時もぶっ壊したし巻きで。」
「Yes、マスター。」
『おぉっーと!!メイドがまた跳んだァ!次は何しでかしてくれんだぁ!?』
宙へ高く跳んだリゼは空中で体勢を整えると、脚のパーツを解放して小型のスラスターを起動した。小型ではあるが、勿論その性能は折り紙付き。
そしてそのまま身体を高速で回転させて遠心力を貯めてから、一気に出力を高め0P
「そんな巨体で密集しているのは愚策です。では、ご機嫌よう。」
リゼが0P
『ガイノイドの嬢ちゃんが決めたァー!一撃で数台巻き込んで撃破!こいつぁシヴィーーー!!!圧巻だぜ!配置については検討するぜ!』
『そうだな。巨体をあんなに並べたら当然だ。』
「じゃあな皆!俺は先に行ってるぜ!」
「皆様、失礼致します。」
皆がリゼに気を取られているうちに着地地点へ移動していた俺は、着地を決めたリゼに早々抱き抱えられると、0P
「クソッ!スタートで狙おうとして出遅れた!俺もみっともねぇ姿は見せらんねぇんだよ!」
「待てやオタク野郎!あと半分野郎も見せ場作ってんじゃねぇ!!」
『轟も1体撃破!そして爆豪も華麗に交わしていく!もうなんかあれだな!ズリィな!!』
轟君や爆発三太郎も順調に突破して、有難いことに2人争ってプレゼント・マイクの実況のターゲットになっいる。
是非そのまま争ってくれ。俺の目的のために。