天災の問題児がヒロアカの世界で自由気侭にヒーローを目指す 作:びっくり葉加瀬
『おおっと!!サポート科の発目がサポートアイテムを使用し第2関門を軽々と進んで行くゥ!コイツはスゲェ!』
『葉加瀬のガイノイドに目を奪われがちだが、本来アイテムの使用、お披露目はサポート科の特権だからな。レースに不向きな"個性"よりサポートアイテムが活躍することもあるだろう。』
『……ところでその葉加瀬はどこ行った?』
『何?』
『いやぁ。葉加瀬はもうぶっちぎりだと思ってよぉ。轟と爆豪のバトルに熱中し過ぎてたらまだゴールしてないどころか、第2障関門も突破してないみたいでよ。』
『まぁまた何か悪巧みをしているんだろ。……全く合理的じゃない。』
そんな実況の声が聞こえ、レースに俺が居ないことがバレてしまったようだ。
俺はというと第1関門の横の林の影でリゼにに膝枕してもらいながら休憩し、生徒の大半が先に進むのを待っているところだ。 と言っても完全にコース外に行ってしまうのはルール的に失格になる可能性があるので、リゼの破壊した仮想ヴィランのパーツでカモフラージュしている。もっと早くバレると思っていたが、轟と爆発三太郎のバトルが上手いこと俺にも影響していたらしい。
「さて、何時まで待つかな。」
「マスター。そろそろ轟様が第2関門を突破致しますが。」
「ここらが限界か。じゃあ……
リゼの機能の1つである小型偵察機やプレゼント・マイクとイレイザーヘッドの実況により、レースの状況は容易に把握出来ている。1位になるにはそろそろ動かなくてはと、立ち上がり身体を伸ばす。
そして実況や観客の目がトップ争いに夢中になっている間に、この第1関門の障害物を利用させて貰うことにしたのだ。
「いやー、これ全部スクラップになるとか圧巻だな。流石雄英生。」
「状態がいいものも多いですね。有難く頂いていくことにしましょう。」
軽く周りを見るが、遅れてる生徒は居ない。
種目間の道のりが長いこともあるが、最初に轟にやられてギブアップした者も多いのだろう。
遅れて来た生徒も既に破壊尽くされた障害物に足止めされることなく突破出来たようだ。
監視の目であるカメラ類はリゼがハッキングして誰も居ないように見せてある。今この場でやることは誰にも見られない筈である。
という訳で、やる事をやり終え
この後お披露目する迄に話が広がることは無いだろう。
そう、これから起きる皆の驚愕の顔を想像してニヤリと笑うのであった。
第2関門は綱渡りである。所々にしっかりとした足場は存在していて、スタートと同じようにジャンプするだけでも力技で突破出来そうである。しかし……、
「力技だけじゃつまらんしな。普通に走るか。」
「承知致しました。」
バランス感覚などガイノイドのリゼにとっては朝飯前。他の生徒が慎重に綱を渡って行く中、体勢を崩す事無く綱の上を走る。
『おおっと!!ここでいつの間にか姿を消していたA組葉加瀬が再び登場!第2関門の障害もものともしない!何だ!?流石だなA組!』
『全く何していたのやら……。』
途中、綱を渡っている生徒もいたが、そこは華麗にジャンプで躱してゆく。
謀らずともジャンプの衝撃で妨害となってしまっているが、そこは運が悪かったとして諦めて貰うことにしよう。
『さて!最終関門は怒りのアフガン!地雷。失禁は必須だぜ!!』
『人に寄るだろ。』
轟と爆発三太郎が最終関門に突入したのか、マイク先生からの説明が聞こえてくる。
爆豪は飛べる個性から突破だけを目指せば1位になるのは簡単であろうが、あのみみっちい性格から轟に喧嘩を売るのは間違いない。
今いる第2関門から第3関門までは1km弱。首位争いが無いとしても余裕で間に合う計算だ。
「地雷だってさ。どうしようか。」
「また、跳びますか?芸はありませんが。」
「そうだな、ここは
第2関門を容易に突破し、数は少ないがチラホラと周りにA組B組の面子が見える中、俺はリゼから降りると再びレース中に立ち止まる。
『おっと!姿を現して悠々と第二関門を突破したA組葉加瀬が再びストォーップ!!次は何を魅せてくれんだ!?』
人の少ない後方エリアからこっそりと準備する筈が、プレゼント・マイクのせいでだだ目立ちだ。これではせっかく派手に喧嘩している轟と爆発三太郎が不憫である。
自分だけで精一杯だった周りの生徒も俺に気を取られ始めている。
「ったくプレ先……。やってくれるぜ。」
「目立つのであれば好都合なのではないでしょうか。」
「ニンゲンはビックリすればするほど心が揺れ動く生物なのさ。まぁ、予定に変更は無い。行こうか。」
「Yes、熱量65%。間もなく飛行可能です。」
俺は今度はリゼに背負われるような体勢となった。
しっかりと首に腕を回し、胴体に回した脚もリゼがしっかりと固定する
そしてリゼが「行きます。」と行った瞬間、ガチャン、とブースターが飛び出してエンジンに火が入る。
『オイオイオイ!ほんとに何してんだ!?ただのポジションチェンジか!?後方なのに余裕……ってと、飛んだァーッ!?』
『なんでも水陸空に対応しているらしいぞ。ったく、使えるもんは早く使え。』
先生の実況もそこそこに地面から2m程の高さを水平に飛んでいく。格好で言えば座る形になった方がいいが、空気抵抗もあるのでリゼには抱きついたままだ。
あっという間に第三関門まで到達するが、到達した瞬間に不審な行動をする男が目に入る。緑谷、お前……!
「リゼ!避けろ!」
「Yes、マスター。」
地雷原に差し掛かった瞬間。地雷を集めて爆発させたのはあの緑谷。トップ争いをしている轟と爆発三太郎に追いつくためなのだろうが無茶をする。
『A組、緑谷!爆発で猛追!』
リゼも危険を予測していたようで、直ぐに爆風を回避するように高度を上げる。若干爆煙にかすったが、飛行に問題は無いだろう。
俺とリゼの前を飛ぶようにしてトップの2人に差し掛かる緑谷。それを見て慌てた2人は足の引っ張り合いを辞めて進もうとするが、2人は緑谷の飛ぶ速さには叶わずそのままトップへ躍り出た。
『つーか抜いたァ!』
しかし緑谷はそこまで。空中で失速して後を追う2人と並んでしまう。後ろから見ていても、緑谷がトップになることは不可能だ。だが……、
「(抜かれちゃ駄目だ!)」
「悪いね緑谷、リゼを汚した責任取ってもらおうか。」
「「葉加瀬(君)!?」」「オタク野郎!?」
緑谷が振りおろした仮想
そして俺の手の中に収まった装甲は、仲良く並んで走る3任の前方へ放り投げておく。
「あっぶ!」
「あぶねぇ。」
「邪魔してんじゃねぇクソオタク野郎が!!」
『ここでA組葉加瀬が追いついて妨害!緑谷の猛進を止めて更にトップ勢に嫌がらせ!シヴィーぜ!』
それぞれに避けられてしまうが、少しでも妨害出来たのであれば僥倖。スタジアムの入口で着地したリゼは体勢を変えながらも俺を器用に前に抱きかかえ直すと、勢いを殺すことなくゴールへと進んでいく。
『イレイザーヘッド、すげぇなお前のクラス!どういう教育してんだ!?』
『俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火つけあってんだろ。』
『さぁさぁさぁ!入試1位の実力は伊達じゃない!』
『無視かよ。』
『第一種目1位は今一番にメイドにお姫様抱っこされて帰ってきたその男!葉加瀬唯我!』
リゼから降りながら歓声に手を挙げて返す。
その間にもすぐに緑谷、轟、爆発三太郎の3人がスタジアムへ帰って来ていた。
「わりぃな緑谷。あのままだったら1位だったな。」
「へっ!?葉加瀬君!いやいや大丈夫だよ!僕の実力が足りなかっただけだから!それに轟君とかっちゃんに勝てるだなんて今も思ってないから!やっぱその場しのぎの策だとイレギュラーがあった時にブツブツブツブツ……。」
「まぁまぁいいじゃないか。4位なら大したもんだぜ。」
「え、あ、うん、ありがとう……。」
「クソッ……。」
「あのオタク野郎、いつかぶっ殺す!」
後続3人の様子を見ながら、俺はリゼへと向き直る。すぐに第二種目は始まるだろうが、その前にお色直しだ。
「リゼ、少し綺麗にしようか。」
「はい、マスター。よろしくお願い致します。」
爆煙で付いた煤や、土埃などを見える範囲で落としておく。躯体の中のメンテナンスは専用道具や設備がないと無理だが、これくらいならリゼの中に収納してある道具で可能だ。そんな中、百がゴールしてくる。
「くっ、こんなはずでは……。」
「ヒョー。オイラ天才!一石二鳥よ!」
「サイッテーですわ!」
「おい峰田。」
「グエッ!?」
リゼの
「公衆の面前でセクハラとは、いい度胸だなぁテメェ!」
「ゆ、唯我さん!今も公衆の面前ですわよ!」
「というか百、お前も前閉めろ、いつまで空けてんだ。」
「「「(お父さんだ……。)」」」
ったく……峰田も遠慮なくなってきたな、とリゼに向き直る。
「化粧は……大丈夫そうだな。」
「はい、ありがとうございます。」
「葉加瀬、化粧もできるの!?」
「ん?芦戸か。あぁ、リゼを少しでも綺麗に魅せたいからな。まぁ、あの吸血鬼幼女に仕込まれたんだが……。」
「ん?なんか言った?」
「いや、何も。で、興味あんのか?つか女の子なら化粧のやり方なんて俺より上手いと思うが。」
「いやね!私肌こんな色じゃん!?いろいろ気ぃ使ってるわけ!だからガイノイドに化粧するのもなんかコツあんのかなーって……。」
「あぁ、成程ね。今度教えるよ。」
「グギギ……葉加瀬また女を虜に……!」
「アイツ何でもできるな……。」
「そこの喪男2人。化粧なんて勉強すればするほど身につくものだぞ。まぁ俺は教えんが。」
「「なんでだよ! 」」
煩いし嫉妬がウザイからだ。
と、そんな雑談をしていると、42人目がゴールインしたらしい。