天災の問題児がヒロアカの世界で自由気侭にヒーローを目指す 作:びっくり葉加瀬
「好きなモノを作り出す"個性"?」
「うん。そういう"個性"があれば多額な初期投資が無くても作れるからね。……勿論報酬は支払うけど。」
「それはそうだけど、随分と強力な"個性"じゃないと難しいね……。」
翌日、俺は研究所で父親に対して昨日思いついたことを話していた。
「聞いてる感じ、設計書を理解してそこからそれをそのまま作り出さなきゃいけないんだよね?」
「そうなるね。」
「その人自身の"個性"の練度も高くないといけないし、永続的に作り出す必要もある。知り合いの中ではそういう"個性"聞いたことないなぁ……。」
「そうか……。」
流石に知り合いにそんな"個性"持ちいるよ!とはならなかった。父親の職業的にはそんな"個性"の知り合いがいてもおかしくは無いと思ったが、現時点でそんな便利な"個性"持ちには心当たりないようだ。
「言っちゃえば"個性"『創造』と言った感じかな。そんな強力な"個性"、すぐに見つかるとは思えないけど……。」
「平行して探すしかないかな……。取り敢えず昨日言った技術の特許の話は進めてよ。どの道お金は必要だし。」
「分かった。」
それからは研究所のみんなに技術の紹介を行い、取り敢えずは試作の作成を進めることが決まった。
異世界の未来の技術なので反応は凄まじく、俺も久しぶりに研究者としての満足感を得ることができた。尚、1番嬉しそうというかデレデレしていたのは父親である。オッサンのデレには需要ないぞ。
その後半年ほど書けて試作型を作成し、次いでにとばかり、マネキンのようなリゼの素体を完成させた。その日のことであった。
「視察?」
「うん、この前の生体部品の技術の事なんだけど……。」
「あぁ、それの特許の視察とか?」
「いや、特許自体はまだなんだけどその技術に興味あって出資したいという資産家が居てね。元からウチの研究所ではお世話になってるんだけど、今回はまた新しいことだったから興味があるみたい。」
「へー。」
リゼの素体の調整をしていた俺に父さんがなにやら話があると聞いていたが、どうやら頼みがあるらしい。
「それで俺に説明?父さんの名前で出してるけど大丈夫かな?」
「いや、それは唯から聞いてるから大丈夫なんだけどね。どうやら投資家の娘さんが来ていて案内とか紹介を頼みたいらしいんだ。」
「へー。わざわざ4歳の俺より同性の説目さんとかでいいんじゃないの?」
俺は同じ研究職で大学院生の説目さんを思い浮かべる。人当たりがよく、笑顔の素敵な女性で、投資家の娘さんというなら相性が良いのではと提案した。
「もうその台詞が4歳児らしくないんだけどね……。実はその娘さんってのが4歳でね。唯と同い年だからちょうどいいかと思って。」
「娘さん4歳!?そんな歳の子を案内って……。」
「いやぁ若い人なんだけどね。娘さんも聡明で色々教えてあげたいだって。父さんにもそんな才能か欲しいよ。」
「"個性"の使い方も上手いし父さんも十分才能あると思うけど……。」
「はは、唯に言われると嬉しいね。まぁ色々あるのさ。で、どうだい?引き受けてくれるかい?」
父さんに頼まれたことについて頭の中で考える。この世界の4歳児とはいえ子ども。お守りなどできる自信は正直ない。ただ、父さんが言うほど聡明ということは、仲の発展によって、もしかしたら今後の開発費の援助にも期待出来るかもしれない。
「いいよ。引き受けるよ。」
「そうか!助かるよ!じゃあ明日よろしく頼むよ。」
「……え、明日?」
当日、俺は完成させたばかりの素体にリゼの意識を移し、研究所へと赴いていた。
実際動いている素体を見るのが初めてな研究員達はこぞって興味津々な様子を隠しきれないようであった。様々な質問や調べさせてくれという頼みが減らなかったが、そこは乙女ということで遠慮させて頂いている。代わりに設計図を差し出したら飛びついていたので代わりにはなっただろう。
そんなことより今日の視察である。
リゼの素体の確認をしながら待っていると、ゾロゾロと何人もの人を引き連れた青年がやってきた。すぐ後ろには俺と同じくらいの年の子供がいて、彼女が例の娘てあろうことはすぐに理解した。
「やぁ葉加瀬君。今回もよろしく頼むよ。」
「八百万さん、いつもお世話になっております。」
「その子か例の?」
「はい。息子の唯我といいます。」
「よろしくお願いいたします。」
「しっかりした子だね。その子が今回の研究の開発者とは……。」
「えっ。」
八百万さんの言葉に思わず声を漏らす。父さんの話では彼にも今回の研究の発表者が俺だとは伝えられていない筈である。チラリを父さんを見ると苦笑いをしていた。
「やはりか。隠し事は下手だね。年相応だ。」
「いやはや、八百万さんにはお見通しでしたか。」
「まぁこれでも長い付き合いだからね。」
話をする父親達を見て、ぐぬぬと悔しさを覚える。昔、吸血鬼幼女にも、『お前は社交的にはまるで向いていないな。』と言われたことを思い出す。
「という訳だ。娘の前に私達の案内を頼むよ。もうちょっと待てるか百?」
「はい!もちろんですわ!」
「承知致しました。」
百と呼ばれた幼女が返事をする。舌足らずだがしっかりした子とは分かった。俺のような前世持ちと比べると些かズルいと思われるが、他の年代の子供と比べるとかなり落ち着いている。
「ではまず人工生体部品についてですが──、」
驚いた事に俺が説明している間、百という少女も理解を示そうと頑張っていたことである。流石に全てを理解することは出来なかったみたいだが、他の視察の人と同レベルには理解していたのではなかろうか。
そんな彼女は今俺に連れられて研究所内の案内をされているところだ。
「んでここが実験室。"個性"やら危険が伴う研究とかはここでやることが多いな。」
「ほわぁ、ここでいいろいろな事をおためしになるのですね!」
「そうそう。"個性"の実験ができるから例えば……。」
何処を紹介しても笑顔で新鮮な反応見せる百に、こっちも楽しくなってきている。そして最後に実験室を紹介したのは訳があった。実験室の扉に手を触れ、自身の"個性"を使う。
「普段はこの扉、手動なんだけど、俺の"個性"を使えば……。『閉まれ』」
そういうと実験の扉は勝手に締まる。次に『開け』と言うとその通りに扉は開いた。
「すごいですわ!」
「俺の"個性"は『AI』、その付与した対象の出来ることに限られるけど、こうやって自動的に反応させることができるんだ。」
「その方もゆいがさんの"個性"ですの?」
「あぁ、リゼは特殊だけどな。コイツも俺の"個性"だ。」
「よろしくお願い致します百様。」
今更だが、彼女からは百と呼べと仰せつかっている。どちらも父親が居る身、苗字では分かりづらいという理由からだ。
「そういえば百の"個性"はなんなんだ?」
「わたしの"個性"ですの?」
「ああ、俺の"個性"見せたついでにここならどんな"個性"でも使えるからな。」
あくまで自然な形で百の"個性"を聞き出す。
これからは"個性"で開発出来る可能性を少しでも探らなければいけない。その為ならば4歳という"個性"が発言したばかりの幼女の"個性"であろうと知っておく必要かあるのだ。
「わたしの"個性"はこれ、ですわ!」
何かを差し出すように両手を身体の前に掲げると、その掌からポコリポコリとマトリョーシカが産み出されていく。
「……マトリョーシカ?」
「はい!今はこれくらいしか作れませんが、わたしの"個性"は『創造』、ですのよ!」
「へー創造。………………『創造』?」
「はい!」
自慢するような満面の笑みで肯定する百に一瞬思考が停止する。
「それって何にでも作れたりするの……?」
「はい!かんたんなもの……例えばてつなどでしたらこんな風に……。」
そういうと、百は小さいキューブのような鉄の塊を生成してみせる。俺はそれを受け取ると手触りと重さから本物の鉄だと直ぐに分かった。
「こ、これ借りていいか!?」
「はい!もちろんですわ!」
俺は百から貰ったキューブを元素分析装置にかけると、それが純度100%の鉄であることがわかった。その事実に俺の体はワナワナと震え叫ばずにはいられなかった。
「すげぇ!鉄だ!しかも純度100%の!!金や水も簡単に純度100%で作れるのか!?革命だ!モノづくりの革命が起きるぞ!」
「きゃ!びっくりしましたわ……。」
俺は驚く百の肩に手を置くと迫る勢いで顔を近づけて興奮した勢いで囃し立てる。
「すごい!すごい"個性"じゃないか!」
「はい!おとうさまもほめてくださいましたわ!おとうさまはしんらいできる人以外には見せるなって、おっしゃってましたが……。ゆいがさんは大丈夫ですわよね!」
その言葉を聞いた普段の俺なら冷静になって考えてしまっていただろう。
確かに何にでも作れるということは、希少価値のものを大量に作り出すことが出来るということだ。
これを
それを踏まえると研究に『創造』を使おうとしている俺も
善と悪、考えの違いがあれど利用しようと思っているのはどちらも同じ。科学の進歩すると必ず悪用する者が現れるのと同じだと。
しかし、この時の俺は『創造』という都合の良い"個性"の発見で、そんなことを考えている余裕など無かった。アドレナリンドバドバでテンションブチアゲ状態だったのだ。
「百!一緒に研究者にならないか!?百の"個性"ならあらゆるものを開発できるぞ!そうだ!八百万さんにも言わないとな。百!来い!」
「きゃ!」
俺は百の保護者たる八百万さんにそのことを許可取ろうと百を引き付れ、研究の相談をしている俺の父と八百万さんのところへ突撃をかけるのであった。
『バタン』!と勢い良く開いた扉に目線を向けるのは父と八百万さん以外も居ただだろうか。そんなことすら目に入ってない俺は、八百万さんが驚いているのも横目にこんなことを言い放つのであった。
「八百万さん!百を俺に下さい!」
『『ブフォオオオオオ!!!』』
紅茶を吹き出す父親達は一生忘れないであろう言葉であることは確実であった。
科学知識はないのでなにか間違ってたらご了承下さい。