「じゃあノエル、バイバイ。また明日」
「はい、累さん」
俺は、ノエルを駅まで送ってから家に帰宅する。
「ただいま、兄さん」
俺は今、志緒兄さんとりりす姉さんとで同居している。というより、俺がこの家に住まわせてもらってるって感じだが。
「おかえり、累。ん? なんかやけに楽しそうだな、何かあったのか?」
「ん、ちょっとね。それと、これ」
俺は鞄の中にしまっておいたインパルスを取り出して兄さんに見せる。
「お、ガンプラか。まさかGBNやってたのか?」
「うん。ノエルと一緒に」
「ノエルちゃんと一緒か、っふ、青春してるな、累」
「い、いいって……そういうの。恥ずかしいし」
「それで、どうだった?」
どう? と聞かれても……。
「どうだった、って?」
「そりゃあ、ガンプラ作りとか、GBNとかだよ。楽しかったか?」
「うんっ、ってか……ノエルと一緒だったらどんな時でも楽しいし」
うぅ……自分でもわかる。恥ずかしいことを言っているって。
「だってさ、ノエルちゃん」
(?)
「? 何言ってるんだ? 兄さん」
すると、扉が開いて、見覚えのある髪色の……俺の恋人が、入ってきた。
(?! !!?!? い、いやいやいや……って、えぇぇぇえええ?!)
「え、ちょっと待って。全っ然理解出来ないんだけど。誰か説明してくれないか?」
突然の出来事に頭の回転が追いつかない。
「いや、普通だろう。大学生だったら同棲ぐらい」
「はぁぁぁあああ?! ちょっと兄さん、じょ、冗談……だよね?」
同棲だと? ノエルと? いやいやいや、そんなのありえないっ。
「……これから、よろしくお願いします」
ノエルは少し照れながら言葉を放つ。
「の、ノエルまで……。ってか、ノエルさっき駅まで送り届けたはず……」
「色々ありまして……。すみません、累さん」
……いや、落ち着い楠瀬累、この家には兄さんと姉さんがいるんだ。ってことは二人暮しにはならないはず……。
「あ、そうだ。言い忘れてたけど今日でこの家りりすと一緒に引っ越すから、明日からは累とノエルちゃんで暮らしてもらうから」
……一欠片の望みすらも潰えた。
「ちょ、そんなの聞いてないって兄さん!」
俺は全力で抗議する。
「そりゃあ言ってなかったからな」
「そういう問題じゃないって! いきなり過ぎるって!」
「いや、もう既に荷物はまとめてあるから何時でも出発できるよ」
そんなこと聞いてるんじゃないんだよ……。
「じゃあ、俺とりりすはもう出るから、ふたりで頑張れよっ」
兄さんはまるで他人事といった様子で声を掛ける。
「じゃあ累、ノエルちゃんとよろしくやっといてね~!」
それに続けて姉さんも俺たちに声を掛ける。
「ちょっと姉さん! 余計なこと言わないでって!」
「「それじゃ、頑張れ~!」」
そう言ってふたりは颯爽とこの場から去っていった。
「……」
あまりの出来事にお互い無言になってしまう。
「……折角、だからさっ、飲み物でも用意するから、そっちの部屋で待っててよ」
「……は、はい」
俺は台所の冷蔵庫を開けてお茶をふたり分注いで、居間まで持っていくと……。
「あの……累さん、この箱、何でしょうか?」
居間には、十個近くのダンボール箱が積まれていた。
「……いや、俺も分からない。ちょっと開けてみるか……」
とりあえずテーブルにコップを置いて、一番上の箱を下ろすと、その箱の蓋の面に紙が貼ってあった。
『これ見てガンダムの勉強するんだぞ by志緒兄さん』
(いや、なんで知ってんだよ……)
そんなことを思いながら、俺は箱を開ける。幸い、既にテープは剥がされていたので開けるのは簡単だった。中に入っていたのは、ざっと見た限りでは数十本のDVDであった。まさか、この箱の全部にこれ入ってるのか……?
「ガンダム……でしょうか?」
ノエルは頭の上に疑問符を浮かべる。
「これ見てガンダムの勉強しろってさ。ホント、いい兄さんだよ……まったく」
一番上に入っていたのは、初代ガンダムと、ZガンダムとZZガンダムと、0083という作品であった。
「ふふっ」
「ん? どうかした?」
ノエルが突然笑ったので疑問に思う俺。
「累さん、お兄さんとても尊敬してるんだなって」
「あぁ、そりゃあな。俺を育ててくれた人だ」
「優しいですね」
そう言ってノエルは俺の顔を覗き込む。
「……」
「ってか、早くこれ片付けないとな!」
「は、はい……」
俺が突然声を上げたからか、ノエルは戸惑ってしまう。
「ふぅ……取り敢えず棚にはしまったが、いつ見たものか……」
何せ数十ものシリーズがあるのだ。一日では絶対見れない。取り敢えず、今日は短編のなにか……。
「これとか良さそうじゃないか? ノエル」
そう言ってノエルの方を見ると、既に眠りについていた。……仕方ない。俺も寝るとするか。俺は寝ているノエルにそっと毛布を掛け、俺もベッドに入る。
翌日、俺が目を覚ますと、一階から料理の音が聞こえてくる。そして、それが気になって行ってみると……。
「おはよう、ノエル」
ノエルがいた。なので、俺は朝の挨拶をする。
「あ、おはようございます。累さん」
そして、料理が終わったのか、テーブルに皿を置いていくノエル。
「あ、ありがとう……」
俺はノエルと一緒に食事を始める。すると、ノエルがこんなことを言い出した。
「なんだか、夫婦みたいですね」
この言葉に俺は食べていたものが喉に詰まってしまう。
「ッ……ッ……、きゅ、急にそんなこと言わないでくれ……」
危うく心臓が止まるところだった。
「……急じゃなかったら、いいんですか?」
そう言って俺の顔を見つめてくるノエル。
「……ごちそうさまでした」
そう言って俺が席を立とうとすると、ノエルも席を立って、俺に顔を近づけて……!
「ん……!?」
キスを、してきた。
────そして、それが終わったあと、俺たちは支度をして学校へと向かう。
「なあなあルイ、昨日のあの子、彼女か?」
俺はその日は四時間で終わる日だったので、帰ろうとしていると、同じ学科の友達、カラサキ・レントが思い出したかのように聞いてくる。まぁ、隠す必要も無いし、言うか。
「あぁ、そうだ」
「じゃあさ、昨日はあの後どこに行ったんだ? まさか……」
「お前が思ってるようなとこじゃねぇよ」
「じゃあどこだよー、教えろ~」
「はぁ……ガンダムベースだよ」
「ガンダムベース……って、ルイまさかGBNやってんのか?!」
「あぁ、昨日始めたばかりだけど。ついでにガンプラも」
「へぇ~、って、あの子と一緒にやったのか?!」
「あぁ、そうだが」
「あー、その当然ですが? みたいな態度ムカつく~!」
なんか、本当に寿奈桜ちゃんの男版みたいな感じで接しやすい。
「じゃあ俺はもう帰るから、あと一時間頑張れー」
俺は、レントにそれだけ言って早足で帰宅した。
今回あんまりガンダム要素ないですね……。あと家に帰宅するって重複表現なんでしょうか。