「はぁ……」
あーあ、今日はやっとノエルとふたりになれると思ってたのに……。
「なーにため息なんかついてんのルイ兄。せっかくウチがここに泊まろうって言うのに」
「だからだよ……」
まあ、いくら断ったところで絶対帰らないだろうし、仕方がない。
「今日だけだぞ」
「まじ?! やったー!」
俺は一人喜んでいる寿奈桜ちゃんを横目にノエルに小声で謝る。
「……ごめん、ノエル」
「いいえ、仕方ありません。ナオちゃんだって悪気があるんじゃないんですし」
(ほんと、優しいよなぁ、ノエル)
そんなことを考えていると、急かしてくる寿奈桜ちゃん。
「んー、じゃ、早く見よっ」
そして、寿奈桜ちゃんは軽くステップ気味に階段を駆け上がる。
「はぁ……じゃあ俺達も行くか」
ここ俺ん家なんだけどなぁ……。いや、今更悔やんでも仕方ない。存分に楽しむとするか。俺とノエルも寿奈桜ちゃんに続いて階段を上る。
「じゃあ、どうする? 何見る?」
「何見る、って言われてもなぁ……」
「嘉神川って、見たことあるのってWと00だけだよね? しかも流し見で」
「はい……」
「で、ルイ兄は鉄血とDestinyだっけ、んー、じゃあ……」
少しの間、頭を抱える寿奈桜ちゃん。その間、宇宙世紀がどうとかGレコがどうとか言っていたが、よく分からなかったので触れないようにした。そして、決まったのか棚の中の数ある作品の中から一本取り出した。
「これはどう?!」
パッケージを見ると、00と書いてあった。
「00……って、それノエルと一緒に見たんじゃないのか?」
「うん、でもっ、見たの結構前だし、第一、三人で見ることに意味があるから!」
「いいのか? ノエルはそれで」
「はいっ、累さんと見れるならなんでも」
満面の笑みでノエルはそう言った。
(……)
その笑顔で俺の頭の中は既に真っ白になっていた。
「もうっ、ウチもいるんだからね!!」
大声で存在感をアピールしてくる寿奈桜ちゃん。
「はいはい」
テキトーに返事して、俺はディスクを入れて見始めた。
「いや、ちょっと……俺もう見てられないんだけど」
物語は中盤、具体的に言うと18話の辺りで、俺は心にくる物があったので視聴を止めようとした。
「ルイ兄、もうすぐ反撃が始まるから、我慢我慢!」
確かにDestinyでも沢山の人は犠牲になったけど、でも一般人が無下に犠牲になるのは……。
「累さんは優しいんですね」
「……分かった。もう少し見てみるよ」
「あぁーもう、嘉神川の言うことなんでも聞くんだから、ウチは?!」
「そうなんですか……?」
ノエルは少し怪訝そうな目でこちらを見つめる。
「いやいや、違うって……ほら、19話始まったぞ」
咄嗟に話を切り替える。
────その後、特になんのトラブルもなく最終回まで見終わった俺たち。主人公が行方不明というのは心にモヤモヤが残る結果だったが、それに関しては二期で分かるらしい。だが、もう時間が無いので今日はもう寝ることにした。
翌日、俺はノエルと寿奈桜ちゃんの三人でガンダムベースへと行ってGBNを開始した。そしてログイン早々、俺たちはこの前の初心者狩りの男に出くわした。
「ああっ! アンタはあの時の!」
出会ってすぐに声を上げる寿奈桜ちゃん。
「……」
その場に嫌な沈黙が流れる。
「……すみませんでした!!」
突然その男が頭を下げる。
「い、いや別にそこまでしてもらうことでも……」
「いや、そこまでなんかじゃないっす! ホント……もうあんな狡いことはしないっす!」
どうやら彼なりに反省したようだ。
「あぁ、分かった。……じゃあ、俺たちはこれで」
そう言って去ろうとしたら、その男が引き止めてくる。
「ちょっと待って! これは秘密の情報なんだけど、このGBNでストーリーミッションがあるって、知ってる? どうやら路地裏の奥で、謎のドラゴンに誘われるらしいんだよ」
「はぁ……」
情報量が多すぎて理解に時間がかかる。
「それってつまり、ウチらにそのストーリーミッションってのをやって欲しいってこと?」
寿奈桜ちゃんは分かったようだ。
「おぉ、理解が早くて助かるよ! そうそう、その通り、君たちにやって欲しいんっすよ! で、場所なんすが、ここの辺にあるかと」
そう言って地図を見せてくる男。
「うんうん、よし、場所はだいたい分かった! かが……ノエルとる……カサネも行くよ!」
「う、うん!」
「はぁ……しょうがねぇなあ」
俺は寿奈桜ちゃんの後を追って行く。そしてこの選択が、俺たちのGBNを変える要因になるとは、この時は誰も思っていなかった……。
この話を読んだ皆さんはリアライジングガンダムについて不安死されているでしょうが、安心してください! 考えてあります!