俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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前回、主人公たちの再会を「よかった」と言ってくださる声が多くて嬉しい限りです。

出会いイベントやセリフがカットされたウマ娘も、トレセン学園にちゃんと在籍していることになっております。今後、登場するかは気分次第。


愛バたちは思春期

 大願成就!ついにクロシロと再会を果たした。

 

 心機一転頑張って行くぜ。

 

 

「で、あるからして!今後の――」

 

 トレセン学園敷地内の講堂では全校生徒を集めた集会が行われていた。

 壇上に立つチビッ子理事長"秋川やよい"がよく通る声で熱弁を披露している。

 「諸君ッ!」とか言っちゃて、有言実行で理事長の座を獲得したんだな。

 立派になった操者友達を見てホッコリした。

 

 今の俺は舞台袖に引っ込んで出番の時を待っています。

 

「緊張してきた。あ、足が生まれたての小鹿みたいに」ガクガクブルブル

「ちょ、震えすぎwここまで来たら覚悟してよ」

「まったくお前という奴は」

「初仕事で愛バにカッコ悪いところを見せちゃダメよ」

「そうならないように頑張るつもりだ」

「シッ!もう少し声量をさげて」

「す、すみません」

 

 顔見知りの同僚たちと姉さんが傍にいるので、少しずつ緊張は解れてきた。

 姉さんのことは公私混同を避けるため、学園内では"たづなさん"と呼ぶことに決めている。

 それを報告したら愕然として崩れ落ちたけど、何とか納得してもらった。

 

「それで、何であなたたちがいるんですかねぇ?」

 

 姉さんとヤンロンはわかる。

 わからないのはミオとテュッティ先輩が教官としてトレセン学園にいることだ。

 マジで何やってんの?

 ミオは姉さんに届け物したら帰るって言ってたじゃん。この俺を欺いたな。

 

「驚いた?なんとミオちゃんは、マサキよりも先に教官やってました」テヘッ

「ほう、人外の癖によく試験に受かったな」

「マサキに人外って言われてもな。これでも元天級、やよいちゃん(理事長)は快く雇ってくれたよ」

「たづなさん、それでいいんですか」

「・・・ああ、なんだ私か。他人行儀で気づくのが遅れた、お姉ちゃんハートブレイク」

「大げさですってば、それでミオのことは」

「天級だった経験と知識は生徒たちの役に立つはずよ、例え正体不明の人外でもね。というわけで見事採用!文句は理事長に言いなさい」

 

 採用基準結構ユルユルでした。

 理事長が許可したのなら、俺がうだうだ言っても仕方ない。

 ミオがやる授業ってどんなのだろう、ちょっと気になるなあ。

 

「テュッティ先輩は?」

「言ってなかったかしら、私は元々トレセン学園の教官よ。お師匠様を探すために休職していただけだから、復職も特に問題なかったわ」

「聞いてませんよ。でも、教官という職業は似合ってます。先輩みたいな美人教官がいたら、野郎どもが大騒ぎすること請け合い」

「ここウマ娘ばかりの女子校よ」

 

 青春時代の憧れ的存在が同僚だった。

 ぶっちゃけ少々やりづらいが、もう過去のことだ。切り替えて行こう。

 初恋の傷は既に乗り越えている、どうということもない。

 今の俺には可愛い愛バが四人もいるんだからね!

 

 職場に姉や友人がいるのは少々気恥ずかしいが、頼もしくもある。

 ここへ来る前に挨拶した他の教職員たちも皆いい人そう、職場環境は良好みたいで安心した。

 

「ビックリしたけどみんながいてくれて良かった。コンゴトモヨロシク」

「うんうん、このミオ様に任せなさい」

「どうやら僕とお前には縁があるようだ。こちらこそよろしく頼む」

「わからないことがあれば何でも聞いてちょうだい。今も昔もあなたは大事な後輩よ」

「これなら早く馴染めそうね。安心したわ」

 

 うんうん、持つべきものは愉快な仲間と姉です。

 

 (いつでも頼ってくれていいからね)

 (ヒューッ!姉さん最高!)

 (サイに言われた通りだ!このバカ姉弟、ちゃんと見張っておかないとな)

 ((誰がバカ姉弟か!!))

 

 ミオさんや、姉弟のアイコンタクト(念話)に介入しないでくれます?

 ちょっと美少女に進化したからって調子に乗ってんじゃないよ、そのツインテール可愛いんじゃボケ!

 

「清聴感謝っ!では、ここからはお待ちかねの新任教官の紹介だ」

 

 ざわ・・・ざわ・・・

 

 ざわざわするのやめて!期待値を変に上げられても困る。

 この空気の中で登場しろというのかね?あびゃー足が震えて来るよう。

 理事長が俺を見て手招きしてる。

 

 (何をやってるマサキ君。早くこちらへ来るんだ)

 (無理ッス、怖いッス)

 (たづな!ヘタレた弟を何とかしろ)

 

「大丈夫よマサキ、あなたを笑う奴は全て一刀両断にしてあげるから」

「実の姉が職場で人斬り宣言、全然大丈夫じゃないね」

「早く行かないか、理事量が困っている」

「もう、ヤンロンってば手厳しいのね」

「クネクネするな気色悪い」

「マサキ、愛バが見てるよ。あの子たちに恥をかかす気?」

「それはイカンぞ。そうか、俺がしっかりしないと愛バに迷惑がかかるんだ」

「あなたなら大丈夫よ、私が保証するわ」

「あ、やめ、押したららめぇ」

 

 へっぴり腰で登場するわけにはいかない、ここは全校生徒に第一印象を決められる重要局面。

 俺の教官人生はここから始まるんだ。

 

 背筋を伸ばし堂々と舞台の中央へ、やよいの隣に立ち目線を生徒の方へ向ける。

 おおお、当たり前だが生徒全員がウマ娘だ。

 

 この全員が騎神(もしくはその卵)戦闘力だけみれば下手な軍隊より、よっぽど恐ろしい。

 これだけいると覇気も壮観だわ。

 

 ざわ・・・ざわ・・・

 

 ぐおぉ視線のビームが刺さる!見られてる、俺ってば品定めされてる。

 (/ω\)イヤン恥ずかしい/////

 

「へぇ、男なんだ」

「結構いいじゃない」

「そう?私はヤンロン教官の方が好みかな」

「大した覇気じゃないわね。私スルーで」

「バカね、貴重な操者候補よ。見切りをつけるのはまだ早い」

「あれ?何かあの人・・・どこかで」

 

 小声で喋っているつもりだろうが丸聞こえですよ~。

 

 あいつらはどこだ・・いた・・・この人数でもすぐに見つけることができた。

 「頑張って」と応援してくれているのがわかる。

 そうだビビることはない、俺にはお前たちがいてくれる。

 愛バ四人に集中してその他はジャガイモだと思うことにしよう。

 ジャガイモ、ジャガイモ、サトイモ、ジャガイモ、よし!

 やれやれ、さっそく愛バの力を借りてしまった。

 

「注目ッ!こちらが新任教官のアンドウマサキ君だ!」

 

 理事長(ドヤ顔)が俺の名前を呼ぶと、会場の空気が変化した。

 「ざわ・・・」が「ザワッ・・・」て感じでね。はい、伝わりませんね。

 

 大丈夫かな俺の顔、引きつっていなければいいが。

 やあやあ、ジャガイモの生徒諸君!俺の顔を忘れる出な・・い・・・ぞ???

 あららージャガイモの自己暗示、全然効果ないんですけど。

 何だか見たことのある顔がたくさん・・き、気のせいだな、うん。

 気のせいだって!あいつらメッチャ見てくるけど多分気のせいだって!

 

 あ、ダメだ。防衛本能から意識が昇天しそう・・・だ、だめぇ!

 ここでヘブンリーしたら「初日の挨拶で失神したくそダサ教官」になってしまう。

 しっかり前を、前を見て・・・し、視線が痛いッス。

 

 やーめーろーよー、睨むなよ~怖いよ~。

 おい指を指すな指を!ちょww今ヘン顔は勘弁してくれwww

 やめて!手を振らなくていいから、ニッコリされても困るから。

 バカ!投げキッスするな、愛バに殺される!

 口パクで何か言ってる奴がいる、読唇術発動・・・「キレちまったよ屋上へ行こうぜ」行く訳ないだろ!

 

「皆さんはじめまして。ご紹介いただいた、アンドウマサキです。本日からどうぞ、よろしくお願いします」

 

 「はじめまして」の部分を強調してやった。

 ふぅ、これで大丈夫・・・だといいな。

 無理か、無理だろうな、ははは、ヤダーーー!なんか怖い怖い怖い。

 

「トレセン学園の教官として、今日ここに立てたこと大変嬉しく思っています」

 

「似合わねーww」だとコラ!いいこと言ってるんだから聞きなさいよ。

 

「一人の人間として、生徒の皆さんたちと高みを目指していきたいです、一緒に頑張りましょう」

 

 よし、用意したセリフを噛まずに言い切った!俺頑張った。

 ちょっと余裕が出て来たのでフレンドリーなところもアピっておこう。

 お堅いばかりだと近づき難い印象を与えてしまうからな。

 

「素敵なウマ娘さんたちが大勢いて胸が高鳴ってます。どうか、皆さん仲良くしてくださいね」キラッ

 

 ここだ!完璧にな笑顔でトドメじゃい。

 宝具「スマイル・オブ・ザ・マサキ」発動!

 子供の頃、母さんにおねだりする時によく使った技だ、久しぶりだがいけるか?

 よし!愛バに特攻ダメージが入った・・・舞台袖の姉さんにも入ったぁ!

 「キャー///」という黄色い歓声が上がったので、その他生徒たちの反応も概ね好感触だと思っていいよね。

 気持ち悪いの「キャー」悲鳴じゃないことを祈るぜ。

 

「歓迎ッ!堂々とした挨拶、素晴らしかったぞ。はい拍手~!」

 

 大きな拍手を送ってくれる皆に一礼、これは嬉しいですな。

 ここの教官になれたのだと、ようやく実感できた。

 

「なおマサキ君には、先月修行の旅に出た安心沢(アンシンザワ)教官に代わり、養護教官として勤めてもらう。今後、医務室に用がある者は彼を頼るがいい」

 

 ざわ・・・ざわ・・・

 

 だから、ざわざわやめてよ!

 何?俺が養護教官なのがそんなに不満か。

 俺本当に頑張ったんだぞ、治療師の免許だって取得したんだからね!

 試験官もビックリするぐらいのヒーリングマスターだぞ。

 

「さすがにマズくない」

「わけわかんないよ~」

「変態に医務室任せるとか正気か?」

「うかつにケガすることができなくなりました」

「まさか、それが狙いか?」

「あいつのヒーリング能力は確かだが・・」

「前の養護教官も大概だったがこれは」

 

 うわーん!何か見たことある連中が俺を否定するよ~。

 こうなったら早いところ手柄を立てて、皆に認めてもらわないと。

 ふむ、考えてみたら養護教官の手柄とはなんだろう、酷いケガを治すとかかな?

 あそこに見えるゴルシっぽいやつの首を一回折って元に戻すとか・・・無理だな。

 

 ざわつく生徒たちにもう一度礼をして舞台袖に引っ込む。

 何とかなったよね、姉さんたちも「よくやった」って褒めてくれたからよしとする。

 

 全校集会の後、教官室に戻りこれからについて説明に次ぐ説明を受ける。

 結構長いんだなこれが、でも大事なことだからしっかり聞いておかないと。

 慣れるまでの俺の指導係は姉さんを含む、顔見知りたちが担当してくれることに決まった。

 ありがてぇありがてぇ!

 愛バ達に会う前に道案内をしてくれた女性教官とも再会した。

 キリュウインアオイさんですね、今後は先輩教官としてご指導ご鞭撻をよろしくお願いします。

 

「むう、前任者は何をやっていたんだ。掃除が行き届いてない」

 

 俺の城となる医務室に案内されたが、そこは簡素なベッドと散らかり放題の机や棚、それと用途不明の物品の数々が待っていた。

 いらない物と足りないものが多すぎる。正露丸こんなにいらねぇだろう。

 

「あなたの使いやすいように模様替えしていいわ、必要な物資は申請してくれたら用意できると思う」

「了解、これは本格的にリフォーム工事する必要があるな」

 

 しばらくは荷解きと部屋のリフォームにかかりっきりになりそう。

 医務室は清潔感が大事。うーん、どんな感じにするのがベストかよく考えよう。

 

「私は理事長室にいるから何かあれば呼びなさい、何もなくても呼びなさい」

「ありがとうたづなさん。心強いッス」

 

 初日ということで午後からは医務室の掃除をメインですることになった。

 休憩は自由にとっていいと言われたので、まだ不慣れな学園内を散策するのもいいかもしれない。

 どうしよう先に食堂へ行ってみようかな、それとも愛バたちと合流して・・・

 ん?愛バたちからグループメッセ(メッセージの略)だ。

 

『今大丈夫ですか』

『OKだ。ちょうど休憩しようと思っていた』

『大樹のウロで待ち合わせをしましょう』

『ウロって何ですのん?』

『中庭を抜けた先にある、でかい切り株だよ』

『それならわかる』

『少々遅れるかもしれませんが』

『気にするな。先に着いたら三点倒立しながら待ってるよ』

『初日から奇行ww』

 

 メッセージアプリなんて必要ないと思っていた時期がありました。

 メールに比べてやり取りがかなりスムーズなんだよな。

 さすが現役学生の愛バたちは文字入力が早い!俺、未だにゆっくりポチポチなんだがな。

 

「それにしても思い切った改革をしたものだ」

 

 切り株を目指して歩きながら、姉さんたちに説明された事を思い出す。

 トレセン学園は現理事長"秋川やよい"の手腕により、大幅な改革が随所に施されていた。

 

 専攻である"競争バコース"と"騎神コース"の完全分校化に成功。

 とある大企業からの莫大な資金援助でレース選手用の新校舎を建設。

 好立地かつ最新設備を備えた育成環境を提示され、競争バたちとトレーナーは二つ返事でこれを了承。

 半年以上前にはトレーナーと全生徒の引っ越しは滞りなく完了していた。

 

 というわけで、現トレセン学園は完全に騎神養成専門校として機能している。

 ここにも金をつぎ込んだ形跡がチラホラしており、お金ってあるところにはあるんだなと思った。

 前回、俺が訪れた時にはなかった施設がたくさん増えているのだから驚きだ。

 すれ違う生徒が着ている制服にも改革による変化がみられる。

 

「前のセーラー服もよかったが、今のもカッコ良くていい」

 

 従来のセーラー服は競争バコースが引き継いだ。

 今ここの生徒が着ているのは、青いブレザータイプの上着にスカートの組み合わせだ。

 胸部にある二本ベルトらしき装飾が特徴的でスカート丈は結構短い、恐らくインナーありきの設計なのだろう。

 戦闘にも耐えれる丈夫な作りで、軍服の勇ましさと学生服の可愛らしさを損なわず両立させている。

 騎神が着る制服に相応しいデザイン、お見事でございます。

 ある程度なら自由にカスタマイズしていいらしく、生徒それぞれの個性が出ているので見ていて飽きない。

 キッチリお手本通りに着るもよし、あえてラフに着崩すのもよし、小物類やリボンをつけている子もいる。

 

 そんなわけで到着!迷わず辿り着けたぜ。

 ここに来るまでにすれ違ったウマ娘たちは皆礼儀正しく挨拶を返してくれるので嬉しい。

 何時ぞやのUC基地アウェイ感を味合わなくて済みそうだ。

 

 切り株広場へ到着。

 俺が一番乗りみたいだな、愛バたちが来るまでどうしようかな。

 この切り株随分と大きいが一体元は何の木だったんだ?

 切り株の中は空洞だ、ここに思いの丈を叫びストレス解消する生徒がいるとミオが言っていたな。

 郷に入っては郷に従え、俺もやってみますか。

 

「ルクスの股間にカマキリがしがみつきますように!」

「奴の股間に!凶悪なカマキリが!ガッチリしがみつきますように!」

 

 何だか願掛けみたいになってしまったが、実現したら俺のストレスは緩和されること請け合い。

 股間のカマキリに慌てふためくルクスを想像してスカッとした。

 最終的にカマキリの姿になった邪神様、俺の願いを叶えてくれ!

 

「あの、何やってるんですか」

 

 ヤバい背後に誰かいる!せっかく盛り上がって来たところなのに何よもう!

 切り株に頭突っ込んでいる俺、どう見ても不審者ですね。

 振り返るのが怖いなぁ・・・この覇気、愛バじゃないぞ・・・。

 

「どうも怪しい新人教官です。ちょっとストレスが溜まっていて、我慢できんかったんや」

「相変わらずのキチガイっぷりに安心した自分が悲しいです」

「その顔、面影がある・・・まさか!」

 

 前に見た時よち大きくなってる。シロクロほどの劇的変化ではないが、しっかり成長してる。

 北海道で会った野生児、旅の最初に出会ったドレイン第一号。

 

「ペス!」

「スぺですよ!」

「ああ、スぺだな。うぉ、これまた可愛くなりやがって、身長伸びたなあ」

「どうも、あなたも随分変わりましたね」

「そうかな」

「そうですよ。その前髪どうしたんですか?覇気も何だか」

「いろいろあったんだよ。ちょっと待ってくれるか、紹介したい子が」

 

 愛バが来ると言いかけたところで、スぺを追って誰かがやって来た。

 お?おおお?

 

「スぺちゃん、ここにいたの・・あ」

「もうスぺちゃん急に走るから」

「あなたもですわよ」

「ぜぇはぁ、スぺ先輩・・・やっと追いついた」

「だらしないわね。これぐらいで」

「おーい見つかったか・・・マズい!隣にロリコン大魔王がいやがる!」

 

 修練の賜物、修羅直伝の歩法を使って一気に接近。逃がすかボケ。

 失礼なハジケリストを発見したので、反射的にアームロックをかけてやった。

 

「がああああ、それ以上いけない!」

「ゴルシ、なぜお前がここにいる?本当に何歳だてめぇ」

「秘密だぞ♪」

「お前の骨がどれぐらいの負荷で折れるか試してみよう」

「らめぇぇぇぇ」

 

 講堂にいたのは幻覚だと思ったのに!本人だったクソッ。

 お前も学園生なのかよ、制服着てんじゃねーよ、似合ってるのがムカつくんだよ!

 

「ちょ、ゴールドシップさんを放してください」

「そうですマサキさん」

「マサキ・・・やっぱり本物のマサキだ!」

「まあ、ご本人でしたの」

「うぉ、マジかよ」

「聞き間違いじゃなかったのね」

 

 周りが止めるので仕方なく解放してやった。

 次は骨をもらうから覚えておけ。

 

「君らどういう組み合わせ?」

「私たちチームメイトなんです」

「チーム?」

「その話は後ほど、それよりマサキさんは私たちのことを」

「忘れてないよね?」

 

 何を言い出すのやら、当然覚えているともさ。

 一人づつ当ててみせよう。

 

「北海道の野生児スぺ」

「はい、おかあちゃんも会いたがってましたよ」

「先頭の景色狂い、スレンダーなスズカさん」

「余計なことは言わなくていいです」

「自称無敵のテイオー様」

「ふっふっふ、当然だよね。自称ってなにさ!」

「メジロ家の至宝、マックお嬢様」

「ええ、お久しぶりですわね」

「変な生き物ゴルシ」

「はぁい♪」

「終わりだ」

「「終わるな!!」

 

 ご、ごめんなさい!残り二人がわからない。

 

「変態の癖に私を忘れるとはいい度胸ね、厨二のアサキム」

「ホントだぜ、アサキムの兄さんよぉ」

「ブッ!お、おま、それを知ってるのは・・・スカーレット、それにウォッカか」

「フン、遅いわよ」

「まあ、俺らもだいぶ変わったしな」

「いや、変わったどころじゃないだろ。もしかして二人も結晶化を?」

「結晶?何のことかしら」

「なんだ、うちの子とは違うのか」

 

 この二人、結晶の繭にならずにここまで急成長をしたのか。

 本格化ってすげぇ、クロとシロに勝るとも劣らない進化具合だぞ。

 ウォッカ髪切った?ボーイッシュな爽やかイケメン風乙女じゃない、いいですね。

 スカーレットは髪伸びたな。

 それと体が・・・うん、エロい。ナイスバディ!ムチムチのバインバインですよ!

 危ない!耐性がついていてよかった。

 先にクロとシロの成長具合を確認していなければ危なかったぞ。

 

 まただ、また成長の喜びと痛みを感じてしまった。

 

「「なぜ泣く!?」」

「生命の神秘と残酷さを噛みしめていた所だ。あんなに小さかった二人が、すっかり大人のドスケベボディに・・・クロとシロのときにも感じた、嬉しいのに少し寂しいこの気持ち・・・なんか切ない」

「ロリコンだ」

「ロリコンね」

「センチメンタルロリコンww」

 

 ロリに別れを告げる苦しみ、名付けてロリロスト(語呂が悪い)を一日に二度も味わって正直しんどい。

 

「あ、カイチョー!みんな~こっち!こっちだよー!」

 

 テイオーは仲間を呼んだ。ウマ娘の群れが現れた。

 

 わー、ぞろぞろ来ちゃった。

 

「やあ、元気にしていたかいマサキ君」

「締まりのない顔をするな。たわけめが」

「その覇気、お前、また何かやらかしたな」

 

 ルル、アグル、リブ、生徒会メンバー登場。

 おお、また強くなったな。覇気と存在感がマシマシじゃないか。

 

 それから・・・うわあ、まいったなあ、こりゃあ。

 

「その様子だとずっと面白いままなんだね」

「実にいい筋肉ですよ。ナイスマッスル!」

「もう、なんでいるのよ」

 

 パー子、ライアン、ドーベル、メジロのお嬢様ズ。

 マックがいるなら当然だよな。

 

「ワオ!再会のハグをシマショウ」

「今日の運勢、待ち人「変なのが来る」当たってますね」

「あの時遊んでくれたお兄さん、また会えました」

 

 タイキ、フク、お前たちも来たのか。

 フラワー!?・・・え、飛び級?そういうのもあるのか。

 

「やば、マジで本物じゃん」

「デュフフフ、同志よ、お約束の愛バちゃんを紹介してもらいましょうかね」

「マヤね、すぐにマサキちゃんだって、わかっちゃった」

「あなたがここへ来ることは、私のスケジュール通りでした」

「再会記念のウマドルライブ開催しちゃおうかな」

 

 シチー、モデル続けながらトレセン入るとかマジすげぇな。

 

 デジタル、マヤ、学園潜入前後で助けてもらったな、感謝してるぞ。

 

 フラッシュ、ファル子、そうかサトノ家の仕事と両立なのね。

 

「ふーむ、なるほどなるほど。後でレポートを提出してくれたまえよカピバラ君」

「あの子も喜んでいますよ。・・・少し雰囲気が変わりましたね」

 

 タキオン、カフェ、何?研究は学園でもできるってか、ほどほどにな。

 

「その様子だと無事合流できたようですね。おめでとうございます」

「お兄さまも心配してたんだよ。本当によかったぁ」

 

 ボンさん、ライス、君たちの操者にはいつもお世話になってます、後で何かお返しでも。

 

「リュウちゃんたちがソワソワしていた原因がわかりました」

「世界最強の私を追いかけて来るなんて、照れちゃうデス」

 

 グラスにコンドーさんでしたっけ?

 ほう、超機人たちも連れて来ているのか、よく学園が許可したな。

 

「あちゃ~、こんなところでまた会うなんて」

「ターボ、ビックリしたぞ。でも嬉しいぞ」

「ウマ娘好きが高じて教官にまでなるとは、やりますね」

「えへへ、なんだか楽しくなりそうな予感~」

「ん?でちゅね遊びの達人か」

「お前もやってたやろ!」

「うふふ、また甘やかしてあげたいですね~」

 

 ネイチャ、ターボ、イクノ、タンホイザ、オグリ、タマ、クリーク。

 商店街のお祭りで会った連中、あの時は楽しかった。

 

「ボーノだねぇ。また会えて嬉しいよ」

「おーほっほっほ。覚悟なさい、このキングを簡単に指導できると思わない事ね」

「みんな嬉しいんだね、ウララ~」

「まったく、ここも騒がしくなりそうじゃないかい」

「なんでぇぇぇいるのぉぉぉ感動じだよぉぉぉんん!」

「フッ、君の行動パターンは本当に読めないな」

「事前に連絡ぐらしなさいよ、バカ」

「イメチェンしました?セイちゃん的にポイント高いですよ」

「はーはっはっは、こうしてまた共演できることが誇らしいよ」

「どうしましょう~こんな突然に、はわわ、おもてなしの準備ができていません」

「しっかりバクシンされたようですね。これからもバクシンですよ」

「もうびっくらこいちゃったわよ。本当にナウい男になってまあ」

「君はそうやって何度も奇跡を起こすわけだ。嫉妬しちゃうな」

「ちっ、ボスのテンションが高けぇわけだ」

 

 ボノ、キング、ウララ、姉御、チケ蔵、ヒデさん、タッちゃん。

 ウンス、オペ、ドト、委員長、マルさん、フジ、そうかUC基地からみんな移ってこれたんだな。

 

 シャカ、俺が来ることココから聞いてなかったの?

 

 ちょっと待って多い!多いよ!

 あまりにも多勢に無勢。これが数の暴力ですか。

 同時に喋られても聞き取れないんだなこれが。

 

 なんだかすごいことになっちゃったぞ。

 UC基地の時のように気付けば囲まれてる!それに遠くからチラホラと伺っている気配多数。

 これだけの豪華メンバーが集まれば、他の生徒たちも気になってしまうのも無理はないか。

 

 ウマ娘たちの圧に飲まれそう、しかし、俺はもうトレセン学園の教官。

 この子たち学園生を見守り導いていく立場なんだ。

 不安半分、ワクワク半分だな。

 

「みんな、また会えて光栄だ」

「講堂では全員スルーしようとしたくせにですか」

「ごめん、あの時は現実を受け止める勇気が足りなかったの!」

「目が激しく泳いでましたね」

「一瞬ヘブン状態になりかけたのは何で?新芸?」

「みんな~いじめたらかわいそうだよ」

 

 トレセン学園の生徒、ここにいる全員が修練を積み、その才を認められた者たちということだ。

 俺が右往左往している間にみんな頑張ったんだな。覇気を確認するまでもなくそれはわかる。

 子供が成長するのは嬉しいもんだ、と保護者面してみる。

 

「大きくなったなぁ」

「あー、子供扱いしたな」

「ぶーぶー、もっと言い方ってもんがあるでしょ」

 

 ウォッカやスカーレットみたいなのは例外として、背が伸びたり、髪形が変わったり、見た目変わってないようで覇気の性質が変化していたりと、みんな何かしらの成長をしている。

 どことは言わないが育っている子と、いない子の差が激しい部分もあるな。

 どいつもこいつも色気づきやがって!いいぞ、もっとやれ!

 

「今、ついでに失礼なことを考えましたね」

「気のせいだ」

 

 ナイチチ族は胸部装甲に向けられる悪意に鋭い、注意しないと。

 

 テイオーとマヤの頭にポンポンと軽く手を乗せる。

 リンクして戦ったこともある二人だ、触れても許してくれる程度の絆は残ってるよね~。

 うん、強くなった、立派になった、そして・・・

 

「みんな、ホントいい女になったな!愛しさとせつなさと心強さを感じて、ムラムラします!」

「「「「「ムラムラはやめろ!!」」」」」

 

 真面目な何人かに怒られた。

 なぜだムラムラは誉め言葉でしょ?ハアハアならいいのか?

 

「やった、いい女だって!」

「もっと褒めて褒めて~」

「あはは、マサキさんだなぁ」

「お世辞じゃないから余計に質が悪いのよ」

 

 そうそう、素直に喜んでくれたらいいんだ。

 

 ワイワイガヤガヤ・・・

 はいはい、押さない押さない、順番にお相手しますからちょっと待ってね。

 と・・・来たか。

 

「はい!そこまで」

「どいてどいて~愛バが通るよ~」

「すみません、道を開けてもらえますか」

「みんな適切な距離でお願いね。あまり近いとお金とるよ」

 

 人混みをかき分けて新たなウマ娘が登場。その数四人。

 

「お前たちタイミングを計っていたな」

「申し訳ありません。関係者を集めてからが効率的だと判断しました」

「ごめんね、本当は最初から見てたんだ」

「フフッ、人望のある操者で誇らしいです」

「そう?私は何かと心配なんだけど」

 

 四人の愛バたちが俺のもとに寄り添う。

 コラコラ///今スリスリするのやめなさい。もう、ちょっとだけよ。

 

「え?サトノさん」

「キタちゃんどうしちゃったの、なんか雰囲気が違う」

「愛バ?それに操者って言った!」

「アルダン姉さんがどうして」

「ファインまで」

「なるほど、そういうことか」

「これは興味深い」

「何々?どういうこと」

 

 あらら、知らなかった奴の方が多いのね。

 

「なんだ言ってなかったのか?」

「操者がいるとは言ってた。誰かは秘密にしていたけどね」

「察している方も何人かいたようですが」

「それも今日で終わりです」

「ずっと自慢したかったからね」

 

 まだ混乱中のウマ娘たちの前に五人で整列。

 

「改めまして、今日からここの教官になったアンドウマサキだ。その節は、愛バたちを救うために力を貸してくれてありがとう。今ここに愛バたちといるのもみんなのお陰だ、本当に心から感謝している」

 

 誠意を込めて深く一礼する。

 おい、お前たちなぜジャンケンをしているのかね?ああ、順番を決めているのか。

 

「既に学園生として知っていると思うが紹介する。この四人が俺の愛バだ。はい、ご挨拶いってみよう」

 

 トップバッターはアルになったようだ。

 年長者らしくビシッと決めてやりなさい。

 

「マサキさんの愛バ、メジロアルダンと申します。これからも操者共々、仲良くしてくださいね」

 

 ニッコリ笑ってお嬢様らしく優雅に一礼するアル。

 とっても素敵。では、次の子いってみよう。

 

「同じく、愛バのファインモーションだよ。家業は一段落したし、マサキもいるから学園にいる時間も増えると思うんだ。そんなわけでよろしく」

 

 はい、いいですね。頭首のお仕事ご苦労様です。

 それからそれから~。

 

「キタサンブラック、マサキさん最高の愛バだよ」

「サトノダイヤモンド、マサキさん最愛の愛バです」

「最高とか最愛とかいらないでしょ!」

「後乗せ禁止ですよ」

「「言ったもの勝ちでーす」」♪~(´ε` )

「「コノヤロウ」」(# ゚Д゚)

「はい、ケンカしない。みんな見てるからな」

「「「「はーい」」」」

 

 「はーい」と言いつつ尻尾同士でどつきあうのやめなさいってば。

 手を伸ばして四人の尻尾をキャッチ!一撫でして大人しくさせることに成功。

 今日まで散々イメトレしてきた、ケンカの仲裁方法が役に立ったぜ。

 

 愛バのことを知らなかった連中が「マジか」て顔してる。

 フハハハ、その顔が見たかったんだ、もっと驚いてもいいのよ。

 

「長い間眠っていたのは、ブラックとダイヤの二人だ。俺が集めた覇気はこの二人に持っていかれましたとさ」

「私たちが綺麗サッパリ美味しくいただいたよ。どうもありがとう」

「先輩方がくれた良質な覇気を糧に目覚めることができました。ありがとうございます」

「本当に、ほんっっとうに!ありがとう。みんなのおかげでこいつらにまた会えた、協力してくれた全ての人に感謝する」

 

 いろんな人の善意で俺たちはここにいる。

 そのことが嬉しくて嬉しすぎて、感謝してもしきれない。

 今はただ精一杯感謝の意を伝えたいと思う。

 

「「「「「ありがとうございましたぁ!」」」」」

 

 再度、深く礼をした俺の叫びに愛バたちの声が重なる。

 示し合わせたわけでもないのに、愛バたちも頭を下げている。

 

 (なんで、お前たちまで)

 (操者だけに頭を下げさせるなんてできない)

 (まあ、私たちは自分のことですから)

 (大事な仲間を救ってもらったのです。お礼をするのは当然ですよ)

 (運命共同体はお礼をするのも一緒!なーんてね)

 

 この子たちったら!いい子すぎて、また・・・う・・。

 もう、朝からどんだけ泣かせにくるのよ?俺の涙腺は何度決壊したらいいのかしら。

 

 パチパチパチパチ・・・

 頭を上げると、みんなから拍手されてしまった。

 「お、おめでとう?」「あ、はい、どうも」みたいな感じでぎこちなかったけど。

 みんなの顔はまだ混乱しているが、生徒会長のルルにつられて、律儀に拍手だけは送ってくれた模様。

 

「一応祝福されている、でいいのかな」

「そうだと思う」

「ネタバラシも問題なく終わりましたね」

「マサキさん、そろそろ」

「場所を変えて五人でゆっくり話そうよ」

「そうだな。じゃあ、俺たちはこれで――」

 

「「「「「「ちょっと待てい!!!!!」」」」」」

 

 立ち去ろうとした俺たちをウマ娘たちが引き留める。

 きゃっ!もう何よ?

 これから積もる話があるのに邪魔しないで!

 

「嘘でしょ・・・マジで嘘でしょ」

「こんな面白いことを、よくも秘密にしていたな!」

「え?ロリじゃないんだけど意外!」

「あの四人が」

「愛バ・・・うえええ!愛バ!?」

「ズルい!ズルいぞちくしょー!あびゃびゃびゃばばばばば」

「デジタルが痙攣発作を!」

「いつものことだ放って置け」

「何か弱みでも握られているのでしょうか?」

「ああ、そういうことなら納得」

「脅迫されてるのは愛バか、それとも操者の方か?」

「メジロ、サトノ、ファイン、全制覇だと・・・どうかしてる」

 

 失礼な反応が多くてショック。

 確かに俺には勿体ない子ばかりだけどさ。

 もし愛バに「ごめん、やっぱ無理」とか言われたら・・・想像しただけで凹む。

 

「俺、お前たちの操者じゃダメ?」(´Д⊂グスン

「「「「そんなわけない!!!!」」」」

「みなさん、我々は正真正銘マサキさんの愛バです!」

「弱みなんて握られていない、むしろ握って滅茶苦茶にしてほしい」

「クレームがあるなら愛バの私たちにどうぞ」

「何をどう思われても結構ですが、マサキさんの愛バであることを、譲る気もやめる気もサラサラありませんのであしからず。クロ、アル、ココのお三方はやめてもらっても全然OKです。後は私一人で十分なので、ね~マサキさん♪」

「「「黙れサトイモォォ!!!」」」

 

 ケンカを始める愛バたちの横で、愛バに見限られた未来を想像してしまった。

 

 愛バやめる→振られた(寝取られた)→生きる意味を失う→精神を病む→そうだ樹海へ行こう。

 鬱だ・・・悲しいなぁ・・・

 

「樹海って遠いのかな」

「お、探検でもすんのかよ。いいぜ、このゴルシ様のパーティーに入りな」

「よろしくゴルシ隊長、そこでビクンビクンッしている変態(デジタル)も連れて行っていい?」

「仕方ねぇなあ、熊よけのデコイぐらいにはなるだろう。許可する」

「放っておいていいの?アンタらの操者、バカと変態を道連れに旅立とうとしてるわよ」

「「「「ダメぇぇぇ!!!」」」」 

 

 片道の樹海探検は愛バたちの懇願で阻止された。

 一旦持ち上げた熊よけのデコイは、その辺に捨てた。ずっと痙攣していてキモい。

 

 正気に戻った時、愛バたちは好奇心旺盛なウマ娘たちに囲まれ質問攻めに合っている最中だった。

 あらやだ、馴れ初めとか語られたら恥ずかしい。

 

「ふむ。彼女たち四人が君の愛バで間違いないんだね」

「生徒会長に新米教官は嘘つかない」キリッ

「相変わらず真っ直ぐな眼だ。うん、了解した。これからは学園の一員としてよろしく頼むよ、マサキ教官殿」

「こちらこそよろしく、ルドルフ生徒会長殿」

「ルルでいいよ。何かあれば生徒会を頼ってくれ、力になろう」

「それは心強いな。ありがとう、ルル会長」

 

 ルルはトレセン学園でも持ち前のリーダーシップを発揮しているようだ。

 教官にも生徒にも頼れる奴らが多くて嬉しいです。

 

 そろそろ、愛バたちと情報交換祭りしたいのだが・・・

 

 "アンドウマサキ教官、教官室へお戻りください。繰り返します、アンドウマサキ教官――"

 

 校内放送で呼ばれてしまった。連絡事項の不備でもあったのかしら。

 とにかく戻らなくてはいけない。

 愛バたちと話ができるのは放課後になりそうだ。トホホ。

 

 "迷子のお知らせをいたします。本日就任された男性教官マサキに心当たりのある方は――"

 

 マズいアナウンスが調子に乗ってきている。

 この声ミオだな、とっちめてやるぞ。

 

「クロ、シロ、アル、ココ」

「「「「はい」」」」

「そういわけで悪い、残念だが放課後にまた会おう。みんなもまたな~」

「「「「お気をつけて~」」」」

 

 名残惜しいが、教官室へ早歩きで向かう。

 ウマ娘たちを愛バに押し付ける形になったが、あいつらなら問題なく対処できるだろう。

 それにしても、みんな元気そうでよかった。

 

 ♢♢♢

 

「はぅ、颯爽と立ち去る姿も素敵です。そして突然の眼鏡男子ぃぃ!」

「メガネ!マサキさんメガネ装備してた。がはぁっ!心臓があああああ」

「本人曰く「なんか頭が良くなった気がする」だってさ。インテリマサキもいいよね~」

「眼鏡装備で試験勉強をしているマサキさん、これがまた知的でカッコいいのです////」

「アル姉、ココ、私たちがいないと思ってやってくれましたね。誉めてやろう」

「写真あるよね、今すぐ見せて、いいから見せろぉ!」

「待ってください、ええと、コレです」

「ウホッいい男!・・・これ盗撮ですか?」

「人聞きの悪いことを言わないでください、勉強の邪魔にならないよう、こっそり撮影しただけです」

「間違いなく盗撮だね」

 

 アル姉のスマホを覗き込む私たち。

 真剣な表情で参考書を読みふけっているマサキさん。うむ、カッコよし!

 集中が途切れたのか、アンニュイな表情で頬杖をつくマサキさん。こっちもいい!

 

「何だコレ、誘ってんのか?誘ってるんだよね!もう襲ってもいいよね!」

「後で操者画像の見せ合いを提案します。各々が自慢のベストショットを持ち寄り、それを共有しましょう」

「「「サトイモ!ナイスアイディア!!!」」」

「フフ、できるイモと呼んで下さい」

「イモに抵抗はなくなったんだww」

 

 クレイジーに比べたらイモなんて可愛いものだと悟ったダイヤです。

 ヤバいですね。まだ再会初日なのにマサキさんにはキュンキュンさせられっぱなしだ。

 午後からの授業が怠い、早く放課後にならないかな。

 サボってマサキさんの手伝いをする方法を真面目に考えだしたところで現実に戻される。

 ずっと堅い表情でこちらを見ているウマ娘に気付いたからだ。

 

「ご不満がおありですか、ブライアン先輩」

「本当にお前たちがあいつの愛バなのか?」

「よさないかブライアン」

「アルダンとファインはともかく、お前たち程度のウマ娘で奴が満足するとは思えん」

「ふむ、彼女の言うことはもっともだね」

「会長まで・・」

 

 おかしいですね。

 生徒会長やブライアンさんレベルの方はわかってくださっているものだとばかり・・・

 ああ、そういうことですか。

 生徒会はこういうフォローもしてくれるのですね。ご苦労様です。

 

「シロ!私たちなめられてるよ」

 

 単細胞が怒り出した。会長さんたちは私たちのために・・・ああもう、めんどくせぇ。

 察しの悪いこいつは適当に煽っておこう。

 

「なめられてるのはクロだけですよwクソ雑魚ブラックww」

「なんだとぉ!雑魚って言うなバーカ、バカサトイモ!」

「はーい、バカサトイモでーすww」超腹の立つヘン顔

「こいつ、グラウンドに埋めてやる。今日中に埋めてやる」

「キ、キタちゃんがいつも以上にアホの子だ」

「サトノさんも変ですわ。なんというか、その、頭が悪くなられて」

「「平常運転だね(です)」」

「アルダンさんにファインも、なんだかおかしいよ」

「ウマ娘のIQを下げる特殊能力でも持っているのかあいつは」

「私、マサキさんとリンクしたことあるけど、知性が下がった気はしなかったけどな~」

「マヤも!テイオーちゃんもだよね~」

「・・・うん」(頭が悪くなった心当たりがあるテイオー)

「こ、怖いこと言うのやめましょうよ。ハハハ・・」(心配になってきたスぺ)

「大丈夫だ、マサキの覇気でアホになったりしねぇよ。このゴルシ様が保証するぜ!!」

「あなたの発言で余計不安になりましたわ!」

 

 皆さんソワソワなされてどういうことでしょうか。

 へぇー、私が寝ている間にマサキさんとリンクした経験がおありですか。

 え?ドレインすると多少は覇気が循環すると・・・へぇーへぇーへぇー!

 そうですか、ああそうですか!(#^ω^)ピキピキ

 フンッ、ちょっと覇気を回されたぐらいでいい気にならないでくださいね!

 

「あいつに協力した身としては、私も思うところがないわけではない」

「大量の覇気を食い散らかした存在がお前たちだというのなら、見せてみろ」

「キタサンブラック、サトノダイヤモンド、君たちが彼の愛バだというのなら、わかるね?」

 

 マサキの愛バだと豪語するのなら、それを証明してみせろ。

 あれだけの男が必死になって救った、お前たちの価値を見せてくれ。

 

 期待と心配を込めた複数の目線を向けられている。

 マサキにドレインされたウマ娘だけではない、遠くからこちらの状況を伺っている学園生たちも私たちの注目しているのがわかる。

 戦闘を生業とする騎神なら、操者そして愛バの情報と力量は気になって当然なのだ。

 

 ここは、ありがたく会長さんたちのお芝居に乗っかりましょう。

 この場で誰かをぶっ飛ばすとかはしなくていい、ただ自然体で覇気を解放してやるだけで事足りる。

 

「みんなから、そしてマサキさんから、たくさんの覇気をもらって今ここにいるんだよ」

「そんな私たちが、弱いわけないでしょ」

 

 私とクロの体から覇気が粒子状になって放出される。

 この程度で驚いてもらっては困ります。まだ半分も出してませんよ。

 

 (クロちゃん、シロちゃん、ほどほどにね。くれぐれもほどほどにね!)

 (学園内でオルゴナイトはダメですからね)

 (ダメなの、バスカーモードで黙らそうと思ったのに)

 (退学したいのなら、お一人でご自由にどうぞ)

 (退学はごめんだよ)(´・ω・`)

 

「これは、大したものだね」

「キレイな粒子・・マサキさんと一緒の光」

「いやいや、それ以上だぞこれは」

「今まで猫を被ってやがったな」

「この覇気が、これがキタちゃんとダイヤちゃんの」

「実力の一端ですのね」

 

 ここまでにしましょう。これ以上やるとボロが出てしまいそうになるので中断します。

 

「こんなところで、どうでしょう」

「私たちは合格かな?」

「ああ、十分だ。君たち二人の覇気は操者のそれと似通っている」

 

 主食として、たらふく食べましたからね。

 マサキさんの覇気は体に馴染み切ってますよ。

 おや?アル姉とココはなんだか悔しそうですねwwプーックスクス。

 覇気が似ている、これはもう一心同体なのでは?未来永劫一緒にいるべきですね!

 

 これで愛バであることの証明と牽制にはなったかな。

 私たちの絆を疑う者や、無謀にも契約を申し込んで来る者たちにも、今日のことは伝わるだろう。

 大人しく諦めてください、マサキさんも私も既に売約済みなのです。

 

「まだ上があるな」

「なんのことでしょう?」

「お前たちも使えるんだろう、あの結晶を」

「ひゅー、ぴゅぅ~」♪~(´ε` )

「口笛ヘタクソww」

「今度トレーニングに付き合え、生徒会命令だ」

「ああ、それはいいね」

「「職権乱用だ!!」」

「ファイン、お互い苦労するな」

「ベロちゃんほどじゃないよ」

「「「「「ベロちゃんとな!!!!」」」」」

「しれっと幼名をバラすな!!」

「ベロちゃん、かわいいよね」

「女帝とのギャップがすげぇ」

「副会長はベロちゃんでしたか・・・マサキさんにお伝えせねば」

「頼むからやめろぉぉぉっ!」

 

 オルゴナイトのことも一部のウマ娘は知っているみたいです。

 生徒会メンバーとのトレーニングか、気疲れしそうだけど張り合いはありそう。

 気が向いたらお相手願いましょうかね。

 

「今日からマサキさんの惚気話解禁です!ガールズトークが捗るぞい」

「「「やったね!」」」

「ついでに本性も解禁です!少々過激になりますが、皆さんどうかよろしくお願いします」

「「「いやっほぅ!」」」

「放課後が待ち遠しい、今から医務室に突撃してくる!マサキさーん、恋の病に感染しましたぁ!」

「「「待てやコラ!」」」

 

 大勢のウマ娘たちを引き連れてカフェテリアへ向かう。

 今日は愛バチームでご飯でもと思ったのだが、皆まだ解放してくれそうにない。

 マサキさん、ちゃんとお昼食べられたかな。今度はご一緒しましょうね。

 

「風紀の乱れを感知したッス。これは手遅れの気配」

「この狂ったノリ・・・これがマサキの愛バか」

「こういうの見ちゃうと納得だね」

「イカれてやがる。だが、面白れぇ」

「四人とも、いろいろ我慢していたんだね」

「デュフフフ、羨ましい羨ましいマサキが羨ましい~」

「カピバラ君には新しいサンプルを提供してもらわねば、忙しくなるぞ」

 

 その後、昼食をとる間や休憩時間の度にいろいろなウマ娘が入れ替わり立ち代わり、私たちの下へ訪れた。

 当たり障りのない世間話をする者からダイレクトに聞いてくる者もいたが、要は契約についてどんな感じか知りたいのだろう。それとも、マサキさん個人に興味があるのだろうか。

 真剣に答える義理はないので適当に切り上げて・・・しつけぇ!みんな本当にしつこいですよ。

 

 そして待ちに待った放課後にもそれは続いた。

 もう質問攻めは勘弁してください。

 ついて来られては迷惑なので「ご遠慮してくださいね」と覇気をキツ目に飛ばして威嚇しておいた。

 同じクラスのクロは「ついて来ないでね」と笑っていたが、目が全然笑っていなかったww

 合流したアル姉とココも少しゲッソリしている。そちらも苦労したのですね。

 

 ♦♦♦

 

 わかっていたことだが、医務室のリフォームは一日では終わりそうにない。

 明日以降、ヤンロンたちも手が空いたら手伝ってくれるらしいので、ありがたい。

 一人で無理せずに今日は適度なところで切り上げておこう。

 

 控えめなノック音、四人分の気配がした。

 「どうぞ」と言って入室を許可する。

 事前に連絡した通りの時間、誰が来たかは既にわかっている。

 

「お、もう来たか。こんな場所で悪いな」

「ここが悪名高い医務室ですか、来たのは初めてです」

「悪名ww少しだけ話に聞いたが、前任者は針治療の名医だったんだろ」

「成功すればね、失敗することの方が多くて、医務室から元気になって出てくる子は三人に一人いればいい方」

「「「ひでぇwww」」」

「え、とてもいい先生だと思ったのですが・・私騙されていました?」

「成功例がここにいたか、アルは運が良かっただけだよ」

「ちょっと待ってな・・うんしょっっと、とりあえずここに座ってくれ」

 

 人数分の椅子がないので、移動させたベッドをソファー代わりに使ってもらおう。

 

「医務室のベッドに女生徒四人を誘導しましたね」

「「ベッドで先に待ってろ」ってことだね。わかったよ!」

「わかってないぞ」

「これは誘ってるね」

「さ、誘われてしまいました////」

「誘ってねーよ。思春期か!」

「「「「思春期だよ(ですよ)!!」」」」

「そうだったな」

 

 全員女子中高生でした。

 すぐそっち方面に話を持っていこうとするんだから・・・可愛い奴らめ。

 でも、学園内では節度を守ってね。

 多分クビだけじゃ済まないから、姉さんに切腹命じられるとか十分ありえるから!

 

「切腹するかもという緊張感を乗り越え、学園内で秘密の特別授業だね」

「そんなスリルいらん!」

「スリルが無ければいいのですね」

「まあな」

「両者合意の上でなら、外野がいくら騒ごうが無視ですよ無視」

「気持ちだけで世の中回らないもんよ。その辺は上手にやって行かないとな」

 

 自分たちさえよければいいなんて、傍若無人な考えは嫌いだな。

 お世話になってる人に迷惑かけるなんてことできない。

 したがって、職場でアレコレいたすことは自重します・・・たぶん。

 

「世渡りを覚えたマサキさん。大人だ~」

「俺はまだガキのままでいたかったけどな」

「お手伝いしましょうか?」

「いい、座ってろ。もうすぐ終わるからな・・・これは、こっちに入れて」

 

 話したいことはいっぱいあるが、結局当たり障りのない世間話に落ち着く。

 今日学園でどう過ごしたかとか、帯刀した女性職員に注意しろとか・・・それ姉さんです。

 

「これでよし、今日はここまでにしよう。無事に初日終了だ」

「「「「お疲れ様でした」」」」

「まだこれからだぞ、でもありがとう」

 

 ちょっとした労いの言葉すら嬉しい。

 四人の頭を順番に撫でると目を細めて気持ちよさそうな顔をしてくれる。

 サラサラの髪に柔らかな耳、手触り最高!

 

「まだ言ってなかったですよね」

「何のことだ」

「突然だったから言いそびれちゃった」

「全員一緒に、だよ」

「ええ、せーのっ!」

「「「「マサキさん」」」」

「はい!何でしょうか」

 

 ちょっとビックリした!

 四人が一斉にハモると何とも言えない迫力があるな。

 

「「「「おかえりなさい」」」」

 

 それは確かに、クロやシロから言われていなかった言葉だった。

 四人とも、もの凄く嬉しそうな、そして幸せそうに笑いながら言ってくれたのだ。

 その笑顔に思わず見惚れたのも仕方がない。

 それは遠い昔、母さんの真名を初めて聞いた時のようで・・・彼女たちの存在に心を奪われた。

 顔が赤くなるのを感じる。今の時間が夕焼けでよかった。

 「あ~」とか「う~」とか言葉にならない声を出した後にやっと返答することができた。

 

「た、ただいま////」

「「「「・・・・」」」」

「なんだよ~見るなよ~照れるんだよ!あーやめやめ」

「プッ、アハハハハハ。何それカワイイ」

「やめなさい、大人をからかうのはやめなさい」

「カワイイは誉め言葉ですよ」

「お前らの方がカワイイわ!」

「うお、反撃された」

「マサキさんはカッコカワイイ、そこがいいんです」

「アルも大分毒されてきてるな」

 

 情けないことに、恥ずかしさのあまり顔を両手で覆いしゃがみ込んでしまった。

 さっきのお返しとばかりに俺の頭を撫でる四人。

 こういうじゃれ合いを大事にしていこうと思います。

 

 同僚たちに「お疲れ、じゃあ帰るね」の挨拶は事前に済ませている。

 愛バたちが迎えに来たら本日の業務終了だと報告しているので問題ない。

 ここからはプライベートタイム。しかし、学園内ではまだ気を引き締めおこう。

 帰り支度をして医務室を施錠する。鍵の管理は俺が責任もって行うぞ。

 

「この後どうする?まだ時間があるなら、俺に付き合ってもらえるか」

「寝床に帰るだけですからね。問題ないです」

「私も~全然大丈夫」

「私もいけます」

「このままマサキの家でお泊りしてもいいよ」

「「「賛成だ!!!」」」

「俺の家、今日はちょっと無理だな」

「「「「残念!!!!」」」」

 

 俺の家か、あそこはなぁ・・・場所がなぁ・・・とりあえず、また今度ということで。

 

 五人で目的地に向かう、目指すは学園の敷地内にある旧校舎。

 俺と姉さんが修練に使ったダンジョンがある場所だ。

 

「到着だ」

「開かずの旧校舎?ここで何するの」

「こういうのは早い方がいいと思ってな、お願いしていいか?」

「あなたの頼みを断る子は、ここにはいません」

「何なりとお申し付けください」

「どうかご命令を、私の操者様♪」

「そうか、なら言うぞ。言っちゃうぞ」

「ドーンと来いだよ」

 

 それでこそお前たちだ。

 少し恥ずかしいけど必要なことだもんな。

 

「お前たちの体を見せてくれ、そしてじっくり触らせてくれ」

 

「「「「・・・・」」」」

 

 なぜ黙る。その顔は何なの?別に変なことは言ってないよな。

 何かプルプルしだした、尻尾も落ち着きなく揺れている。

 

「「「「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」」」」

 

 うおぁ、急に叫ぶなよ!

 今日だけで何度心臓が跳ねたことやら。

 

「どうした?マジでどうした!?」

「あの、それは全員でですか」

「ああ、一緒にやった方がいいと思って」

「場所は、その、ここで?」

「もちろん旧校舎の中でやるぞ、内部は防音防爆仕様だから誰にも見られないし迷惑もかけない」

「きゅ、旧校舎で初体験////」

「初めては緊張しても仕方がない、俺も経験豊富というわけではないが、出来るだけ優しくするつもりだ」

「優しく////はぅぅ////」

「やっぱり痛いのかな?」

「それは最初だけらしいですよ」

「全員一度に、それもこんな場所で・・・マサキったら変態、でも好き!」

「なんだ緊張してるのか、だったら日を改めても―――」

「「「「全然全く問題ないです!!!!」」」」

「お、おう?」

 

 愛バが興奮気味なのが気にかかるが、やる気があるのはいいことだ。

 

 理事長と姉さんに使用許可をとってある。

 特殊な錠前を覇気で解除して旧校舎の中へ、相変わらず外観と内部構造に齟齬があるな。

 

「常在戦場を心掛けていてよかったです。今日は勝負下着装備ですよ。フフフ、勝ったな!」

「ヤッベ、私今日スポーツブラだ。やっちまった」

「初日で決めにくるなんて、マサキは私が思う以上の男だったね」

「マサキさん」

「どうしたアル」

「マサキさんは準備できているのでしょうか?その・・アイテムとかの・・」

「男性専用装備ですね!わかります!」

「アイテム?装備?そんなもの必要ないだろ。直接やるから任せておけ」

「「「「さすがだ!!!!」」」」

 

 妙に盛り上がってるな、一体何があったのだろう。

 知らない内に俺の株が急上昇した。

 

 愛バたちの俺を見る目がギラギラしてなんか怖いんだけど、ハアハアするのやめてくれる。

 

 ・・・・・・ああ、そういうこと、いや~思春期なめてたわwww

 

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