俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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本編にあまり関係ないと思いつつ削り切れない場面をダラダラ書いてしまう病。


出会いと別れを繰り返し

 エンドレスフロンティアは様々な“世界”、あらゆる“人”、そして“刻”さえも混ざり合う場所だ。

 あらゆる存在を内包する混沌さ、そして無限の可能性を秘めた大地である。

 

 こうなってしまった原因はクロスゲートとそれを利用して無茶苦茶やったアインスとのせいらしい。

 複数の世界がゲートを介して繋がった状態だったはずなのだが、元凶であるアインストの親玉をハーケンとその一味が打倒したことにより、エンドレス・フロンティアを構成していた全ての世界が一つの世界に結合し、更に複数の世界を巻き込んで再編成されるという大変革を遂げる。

 

「世界情勢についてはこんなところだ。その後もいろいろあったが、新生エンドレスフロンティアはどうにかやっていけているって感じだな」

「まさにカオス!それなら、ハーケンはこの世界の英雄じゃん。凄いなぁ憧れるなぁ僕にはとてもできない」

「よしてくれ、余計なことをした大罪人だと言う奴もいるんだ。俺は英雄でも救世主でもない、ただのハーケン・ブロウニングさ」

「またまた、ご謙遜を・・カッコイイなぁ僕にはとてもできない」

「艦長、いつまでそのロリコン野郎と駄弁っているのです。サッサとブリッジにお戻りやがりください」

「ホント失礼な奴だな。このメカミドリは」

 

 陸上戦艦の甲板で駄弁っていると、口の悪い女性型アンドロイドがやって来た。

 

 アシェン・ブレイデル

 ハーケンの部下である白兵戦用アンドロイド。なんか全体的に緑色。

 一見クールに見えるが毒舌家で、相手の嫌がることをピンポイントで衝いてくる。

 言語機能に障害があるらしく度々言葉遣いがおかしくなるが、直す気がないところをみると単に性格が悪いだけのような気がする。

 強制オーバーヒート状態(DTDがなんたら)になると、見た目と性格が変わる。ムカつくところは変わらない。

 

「了解だアシェン。何だマサキはリトルガールが好みだったのか」

「べっつにぃ、普通に大きいおぱーいの女も好きだしぃ。いたって健全な男ですしぃ」

「しらばっくれても無駄だ。お前から預かった情報端末に全て記録されていたぞ」

「あ!てめぇ、俺のスマホを勝手に弄ったな」

「コードDTD発動・・・それで、変態マサきゅんは幼女の画像ばかり集めて何する気だったの?誘拐?とりあえずブタ箱に入ってた方がよくない」

「俺の愛バだって説明しただろうが!歳の差なんて愛の前では障害にすらならんのだよ」

「うわ~真性か。手遅れだね♪この犯罪者」

「二人とも、すっかり打ち解けたようで何よりだ。ブリッジに行こうぜ真性ボーイ、目的地に着くまで美味いコーヒーでもどうだい?」

 

 真性ボーイってなんやねん。

 戻って来たスマホはしっかりと修理されていた。

 ペルさんと出会った時にはもう、画面バッキバキに割れていたから諦めていたのにな。

 この艦にいる魔改造博士が直してくれたらしい、後でお礼しなくては。

 

 エンドレスフロンティアにたどり着いた直後、怪鳥型のモンスターに襲われ墜落した俺は何者かに助けられ陸上戦艦ツァイト・クロコディールに保護された。

 ここでは俺のような異邦人は珍しくもなく、非常によくあることなので、アッサリと受け入れられてしまった。

 ルクスみたいなアホもいれば、ペルさんやハーケンみたいに助けてくれる優しい人たちもいるんだ。

 人の温かさが身に染みるぜ。

 

 この世界全体を総称してエンドレスフロンティア言い、その中で更に今俺がいる世界はロストエレンシアという。世界というより国というのが正確かもな。

 バウンティ・ハンターと呼ばれる賞金稼ぎが活躍する、西部劇風の世界。

 遺跡(戦艦が大地に刺さってる?)と呼ばれる建造物から得られたロストテクノロジーにより機械文明が発展しているのが特徴だ。

 暴走したロボとエンカウントしたりするから注意。

 

「うわ、ルクスに付けられた傷が残ってしまった。この前髪どうなってる?」

 

 自分にあてがわれた部屋にて鏡を前に唸る俺。

 自身の風貌が変化していることに、少しだけビックリ。

 額を割られた時の傷跡は残り、前髪の一房が白く染まってというか、色素が抜け落ちている?

 転移の影響か?ペルさんのヒーリングか?ココにペロペロされたからか!?わからん。

 何かの予兆とかじゃなければいいけど。

 

「もう何なのよコレ!いい男が台無し・・でもないか」

「目的地周辺に到着したぞ。早く下りる準備をしろ、ナルシストロリコン」

「やかましい!呼びに来てくれてありがとう」

 

 フンだ!愛バたちは俺のこと素敵だって言ってくれるもん!

 憐れみから来る同情ではないことを信じていいよね、信じさせておくれよ。

 

 世界の境目である大門の前に到着した。陸上戦艦はここまでなので下船する。

 門の先は違う世界が広がっているのか、ちょっとワクワクしてきた。 

 

「既に超巨大な桜の木が見えているよ。アレ、空の上から見ても目立っていたぞ」

「神楽天原(カグラアマハラ)の首都、武酉城だ。あそこにいるプリンセスがマサキをお待ちかねってな」

「と言いつつ、艦長が乳牛姫に会いたいだけでやんす」

「そいつはまあ・・な。他のメンツも集まる予定だ、とにかく一度会ってみてくれ」

「かまわんよ。俺を助けてくれた人たちにお礼も言いたいし、望むところだ」

「では、安全運転フルスロットルで行く。シートベルトを忘れるな」

「え、お前が運転すんの」

 

 用意されたバギータイプの車に乗り込み桜の大木を目指す。アシェンの運転は荒っぽかったが無事たどり着けた。舗装されてない道って衝撃が凄いのな、車内がグワングワン揺れていたぞ。

 

 おお、近くで見ると圧倒される美しさだ。ずっと枯れない桜とか花見し放題じゃないか。

 瓦屋根の建物に着物っぽい服装の住人、ここは純和風の文化を持った世界のようだ。

 

「先に言っておくぜ、今から会うプリンセスは俺の女、ハニーって奴なんで手を出すのはNGだ」

「なんと!それは楽しみだな」

「心配せずとも、この男はロリにしか興味がないですたい。まあ、姫の方は惚れっぽく、男の趣味も最悪でござんすが」

「あんなこと言ってるぞ。長い付き合いのある部下だろ、叱ってやれよ」

「毒舌も慣れれば日常の良きスパイスさ」

「お役に立てれば幸いでがんす」

「甘いんだよなぁ」

 

 ロストエレンシアの街や艦内でいろんな獣人たちを見たが、神楽天原では鬼や妖怪系の種族が多い。

 馬の獣人はいないのか聞いたら、ケンタウロス?とかいうか下半身が馬の奴や、上半身が馬の奴ならいると言われたよ、コレジャナイ感ハンパなかった。

 俺のいた世界は数ある種族の中でウマ娘を選んで育んだ。

 英断だと思います!!一生命として世界を誉めてやろう!(何様)

 

 お城に到着!城主とは知り合いで顔パスだら凄いなぁ。

 おっふ、この桜の木を登れってか?姫たちもそこにいるって何でそんなところに・・・

 ほれ見たことか!化物とエンカウントするじゃないの!

 何?エンドレスフロンティア(以下EFと呼称)ではどこもこんなもんだと。うーんデンジャラス!

 

 桜の木の内部や枝葉を上へ上へと登ってようやく開けた場所に出る。

 なんだろうこの場所は、気に満ち溢れている。幻想的な光だ、パワースポットってヤツかな。

 奥では二人の女性が俺たちを待っていた。

 

「神楽天原へ、ようこそお越しくださいました。ハーケンさん、アシェンさん、それと新たな異邦人さん。楠部家を代表して歓迎いたします」

「ほう、中々よい面構えをしておるな。長旅ご苦労であるぞ、後で一曲舞ってやるゆえ寛ぐがよいぞ」

 

 でっっっかっ!なんとご立派なおぱーいなんだ。それに服装もアレコレ短くてはちきれそう!

 顔も滅茶苦茶カワイイ!これはいいお姫様だ!!

 

 それと対をなすかのようなフラットボディの子もいる。おへそ丸出しでクビレがセクシー!

 角!?額から角が生えてる。鬼なのか・・・こっちも中々の美人さんだ。

 

「どっちだ!ハーケンどっちだ!」

「もちろん、ダイナマイトボディの方さ」

「かぁー!やっぱそっちか、羨ましいねえこのこの~」

「わかってくれるか、もっと嫉妬してくれていいんだぜ」

「まあ、ハーケンさんったら///」

「少々バカにされた気もするが、なんだか楽しそうであるな。よいよい、零児や小牟たちを思い出すのう」

「下世話な友人が出来て艦長は喜んでおられまする」

 

 素敵な女性を前にすると男はウキウキしてしまうのです。

 

「私、楠部神夜(ナンブカグヤ)です。楠部家の姫で、一応「悪を断つ剣」なんですよ」

「わらわは錫華姫(スズカヒメ)、見ての通り鬼一族の姫である。神夜のお目付け役でもあるぞよ」

 

 朗らかな笑みを浮かべる爆乳の姫がカグヤ。

 神楽天原において人間を治める一族「南部家」の姫であり、ハーケンの恋人だ。

 変わった大刀を持っている。姉さんが使っていた斬艦刀とどこか・・似てないか。

 

 スレンダー体形で頭に一本の角を持った鬼の姫がスズカ。

 スズカと言う名前にはスレンダーになる呪いでも掛かっているのでしょうか?どうなんですか、異次元の逃亡者さん!

 後ろに控えているロボット何?戦術からくり?AMやPTではないのか。

 

「カグヤ様にスズカ姫様。二人とも素敵な方でムラムラします」

「そうかしこまらなくて結構ですよ。気軽にカグヤと呼んでください」

「ムラムラはともかく、アシェンに聞いていたより紳士であるな。よいよい、わらわのこともスズカと呼んでおくれ」

 

 うわぉ、得物からも感じる強者の匂い。

 ハーケンやアシェンもそうだったが、この二人も相当できるぞ。

 そうだ、俺も自己紹介しないと

 

「俺は・・・誰か来る!?二人、一人は何だ!?この覇気は」

「覇気がわかるのですか?まるで修羅みたいですね」

「どうやら遅刻組が到着したらしい」

 

 数分後、一組の男女が俺たちの前に現れた。

 

 若い男の方は・・・こ、こいつヤベェぞ!何だかわからんがヤベェぞ!全身から覇気が漲ってやがる。

 赤い髪に赤い具足、隙のない立ち振る舞い。想像を絶する鍛え方をしている。

 

 女の方は、なんか気が強そうで高飛車な感じがするな。

 顔もスタイルも文句無しにいいんだが、なんかこう・・・いじりたくなるような。

 

「遅いぞ、爆発チョンマゲにご老体」

「申し訳ありません、アシェン殿。こ、これはチョンマゲではないと何度言えば」

「誰がご老体か!妖精族の117歳はピチピチなのよド畜生!」

 

 ホントにこのポンコツは全方位にケンカを売るな。117歳・・・マジかー!おばあちゃんだったか。

 

「もしかして、俺を助けてくれた人たちですか?その節は大変お世話になりました」

「あなたはあの時の、元気になられたようで喜ばしいことです」

「おーっほっほっほ!一生恩に着てもいいわよ」

 

 キングみたいな笑い方しおったぞ。妖精族ってのはよくわからんな。

 

「私はアレディ・ナアシュ。波国出身の修羅です」

「ネージュ・ハウゼンよ。妖精族の国「エルフェテイル」の名家・ハウゼン家の姫なの。だから、ド高貴でド偉い存在な訳、理解したかしら」

「アレディにネージュ婆様だな。理解した」

「婆様は言うな!!」

「姫がいっぺんに三人も出てくると、おばあちゃんはキツイなぁ。労わってあげないと」

「同感だ。常日頃から「ババア無茶すんな」と警告はしているのだが、聞き分けがなくてな」

「お年寄りには優しくしないといけませんからね。大変よい心掛けだと思います」

「あなたたち、妖精族全員を敵に回したわよ」(# ゚Д゚)

「待つんだ、オールドフェアリー。今日はケンカをするため集まったんじゃあないぜ」

「「「「オールドフェアリーwww」」」」

「ケンカを売ってくるあなたたちが悪いのよ!ド派手に叩き潰してもよろしくて?」

「もう、やめましょうよ。みんな仲良くね、ね」

 

 オールドフェアリーが銃槍を持ち出したところで、やめておく。

 アレディは会話の中、さり気なくネージュの動きを封じる立ち位置に移動していた・・・できるな。

 修羅というのは覇気を使った武芸を得意とする戦闘集団なんだと、俺の世界で言うところの単独でウマ娘並みに戦える強者だと思っていいみたい。だったら俺も修羅ってことなのかね。

 「ほらほら、次はそちの番であろう」とスズカに則されたので、やっと俺も自己紹介できる。

 

「俺の名はアンドウマサキ。ここではない世界からクロスゲートを通ってやった来た者だ。どうしても元の世界に帰らないといけない、だから、協力をお願いしたい。このとおりだ!!」

 

 「お願いします!」と誠心誠意頭を下げる。

 別世界に帰る手伝いをしろだなんて無茶なお願いをしているのはわかっているが、ダメで元々よ!

 頭を下げて状況が改善されるなら何度でもやってやらぁ。

 何なら脱ぎましょうか?え、それはいらないか、そっか残念。

 

「いいぜ。元々そのつもりだったしな」

「大丈夫ですよ。異世界から来たお友達を送還するのは何度も経験してますから、任せてください」

 

 ハーケンやカグヤに続いて、みんなから即了承を得てしまった。

 な、なんかやけに軽いな。

 経験者ってことはゲートで来た奴らの手助けするのは初めてではないと、これは頼もしい。

 

「ありがとう。じゃあ、さっそく」

「それがですね。門に干渉するには私が不死桜の霊力を開放しなければならないのですが、今すぐにはできないんです」

「カグヤの神通力と不死桜の霊力が最高潮を迎えるには、しばし時が必要であるな」

「具体的には、どの位でしょうか?」

「最短で一ヶ月、出来れば二、三ヶ月はみてくれると万全極まりないのですが」

「そうか、うん、帰る手段がハッキリしただけでも重畳だ」

「このロリコン、スパンキングマスターのようなことを抜かしよる」

「滞在中の寝床は気にしなくていいぜ。良ければ、こっちの世界で賞金稼ぎをやってみるといい」

「EFは常に人材を求めている。ロリコンでも一芸あれば食うに困らない、たぶんな」

「いいですね!せっかくですから、楽しい思い出をいっぱい作ってください」

「しばらくは観光でもして羽を伸ばすがよいぞ。果報は寝て待てという言もあるでな」

「労働力としては使えそうね。あなた、その気があるなら直々に雇ってあげてもいいわよ」

 

 ありがてぇ!

 本音では今すぐにでも帰りたかったが、ペルさんも言っていたな「負荷に耐えれるよう体を慣らせ」と。

 まずは一ヶ月、この世界でやってみるか・・・待ってろよ愛バたち、必ず帰るからな。

 

「マサキ殿、あなたは修羅なのですか?」

「俺の世界で修羅という呼称は一般的ではないが、そういうことになるのかも。覇気は普通に出せるぞ、ほれ」

「なんと強力な覇気だ。アルクオンが反応するのも無理はない」

「そうだ!アルクオン!何であいつがおるねん、確かにぶっ壊したのに」

「そのことも含めてですが、やはり一度「覇龍の塔」へ来ていただけませんか?」

「覇龍の塔?」

「修羅の国「波国」にそびえ立つ塔です。日夜多くの修羅が研鑽を重ねている場所ですよ」

「アレディもそこで修行していたのよね。そこを私の魅力で連れ出すことに成功したって訳、美しすぎるのも罪よね」

「おばあちゃん、嘘はいけませんよ。ボケたの?ご飯は三日前に食べたでしょ」

「おばあちゃんはやめろ!ご飯は毎日頂戴よ!ド鬼畜か!」

「いえ、あの時はアルクオンを追ってですね・・・」

 

 今日は楠部家のお城にてお泊りすることになった。

 メッチャ歓迎されて嬉しい。あ、お酒は結構ですよ、うわー皆美味しそうに飲むなぁ羨ましい。

 EFの摩訶不思議アドベンチャーな話をいっぱい聞かせてもらった。俺、とんでもない所に来ちゃったと実感する。

 皆は俺の話にも興味津々だった。

 何でも異邦人から故郷の話を聞いて酒の肴にするのが通例なのだとか、へぇー。

 修理されたスマホがあったので、身振り手振りに画像も交えながら俺の世界について説明していく。

 

「ウマ娘、ナイスなホースガールたちじゃないか」

「女の子だけなのがポイントなんですね。どの子も可愛らしいこと極まりないです」

「愛バというのが、マサキの好い人かえ。画像がある?どれどれ・・・幼子ではないか!」

「だから言っただろう、この男は真性のロリコンだと」

「思った通りのド変態だったわね」

「ネージュ姫様。人の恋路に変態などと失礼では」

「何とでも言え!俺たち両想いなんで、命かけるレベルで大好き同士なんで!」

 

 興が乗ったので愛バたちとの出会いから別れまで、涙なしには語れない話をしちゃうの。

 思いのほか女性陣の食いつきがいいのでペラペラ喋ってしまう。

 

「ぐすっ・・とても苦労されたんですね」

「これこそ誠の愛よな。二人を救うために異世界にまで来るとはのう」

「なによ、あなたいい奴なんじゃないの。ルクスってのには私までドっ腹が立つわ」

「ふむ。単細胞の姫たちを手名付けたか、変なのにはウケがいいのだな」

「「「変なのって!」」」

「倒すべき敵がいる。そういう時こそ修練あるのみです」

 

 一通り話し終えた俺に、カグヤが声をかけてくる。

 

「マサキさん。少しいいですか」

「ん。どうぞ」

「これは提案なのですが、エンドレスフロンティアに骨を埋める気はありませんか?」

「嬉しいお誘いだが遠慮する。俺は元の世界に帰るよ」

「差し出がましいことを言ってごめんなさい。元の世界へ帰還する協力はします。しかし、そういう選択肢もあると気に留めておいてください」

「ありがとう。カグヤは優しいな」

 

 きっとハーケンたちは元の世界への帰還を望む多くの人を見て来たのだろう。

 その中にはEFに永住することにした者、リスクを承知で傷ついた体のまま転移を強行した者もいたはずだ。

 ゲートを潜ってしまえばもう助けることはできない。

 せっかく友人になった者を死地へと送り出すことになるかもしれない。

 だから、悔いのない選択をしてほしいと思っているんだ。

 カグヤだけじゃない、ここにいる皆はあって間もない俺を本気で心配してくれている。

 いい人たちだなぁ。

 

「それは野暮ってもんさ心配プリンセス。マサキの目は命をベットしてもいいと言っている」

「ハーケンさん」

「男が命を賭ける理由、プリンセスはよく知っているんじゃないかい」

「そうですね。よく知ってます///」

「これチャラ助よ。乳繰り合うならまたの機会にせい」

「ソーリーだ。だが、こういうのは隙あらばってな」

「マサキ殿が命を賭ける理由、仇敵を打倒し歴史に名を刻む事でしょうか?」

「え!ここまで聞いてわからないの、修練が足りないわよアレディのおバカ!ド反省なさい」

「も、申し訳ありません。くっ、まだまだ未熟だ」

 

 俺が命を賭ける理由、そんなの初めから決まってる。

 ルクスなんぞおまけだ。俺はただ、あいつらに会いたいだけ。

 

「大したことじゃない。戻って好きな女に会いたい、ずっと一緒にいたいってだけだよ」

 

 あいつらに会ってそれで、イチャイチャしたいんや!

 その為に頑張ってるんです。文句あっても知りません。

 

「・・・クッww」

 

 あれ?おーいハーケンさん。何故に帽子で目を伏せ肩を震わせて・・笑われてる!?酷い!!

 周りのみんなも何でニコニコしてんの?いじめか!泣くぞ!

 

「艦長、この男は艦長並みの大バカ者なりよ」

「うるさいぞポンコツ」

「まあまあ、男の人は少しおバカさん位でちょうどいいのですよ」

「よいよい、わらわはその愚かさを好ましく思うぞ」

「いい啖呵ねド変態!言ったからにはやり遂げてみせなさいな」

「あなたの覇気が叫んでおります。その強き思い、私の胸に響きました」

 

 褒められてる。やったぜ俺のプレゼン大成功だよ。

 

「OKだ。最高に正直な答えを聞かせてもらって満足したぜ。これからよろしくな、マサキ」

「こちらこそだ!皆もどうかよろしくお願いします」

「土下座しおった!?」

「やりすぎ極まりないです」

「あれは!波国に伝わる交渉術の奥義ドゲーザ!?」

「なんてド綺麗な平身低頭!100年以上生きてきたけど、このレベルのものは初めてよ」

 

 そこからは皆で楽しくパーティーピーポーでした。

 この日から本格的に俺のEFライフが始まった。

 

 ♢

 

 世界には多くのエネルギーが満ち溢れ、絶えず命や物に影響を与えている。

 多数の世界が混じり合って誕生したEFではそのエネルギー量が元居た世界(2nd)の比ではない。

 EFの住人たちが力強く逞しいのは、内包する力が素で大きく、それに伴い神核もより強靭なものに進化して来たのだ。

 (非戦闘員である一般人でも、それなりの覇気を無意識で纏っているから侮れない)

 ここに来た直後にオルゴナイトの顕現が不調に終わったのは、俺自身がEFの環境に適応しきれていなかったからだと考える。

 

 元々、EFに来た目的は転移負荷に耐えることが出来る体作りのため。

 要はあれだ、マラソン選手がやる高地トレーニングみたいなもんよ。

 一ヶ月以上滞在していれば問題ないだろう。

 普通に生活をしているだけで体が強くなっていくとは、なんちゅー世界だ。

 そうであるなら、ここで修練を積めばいつも以上に鍛えられるはず。

 

 というわけで、食い扶持を稼ぎつ、しっかり修練してレベルアップしていこうと思う。

 

 頑張るぞ~おー!

 

「ロリマス、応答しろロリマス」

「こちらロリマス。現在ターゲットを追跡中、いつでも確保できます。どうする?アシェン」

「隊長を付けんかバカ者が」

「わかりましたよ、アシェン隊長。何だ、ターゲットが妙な動きを・・あの野郎!女の子のを路地裏に」

「よし、現行犯で取り押さえろ。私もすぐに向かう」

「ラジャー!おいゴルァ、連続露出魔ってのはお前だな!その子に何を見せる気だ」

「何って、私はただ純粋にナニをナニしてほしいだけです。何もやましいことは無いナニ」

「ナニナニうるせぇ!」

「うぼあぁぁーーー!」

 

 成敗!また詰まらぬものをボコってしまった。

 

「すごーい、ナニナニおじさん飛んでちゃった」

「もう大丈夫だぞ。さあ、こっちにおいで」(抱っこ完了)

「お兄さん誰ー?」

「通りすがりのハンターさ。知らない人にホイホイついていったらダメだぞ」

「はーい」

「ふぅ。あとは隊長たちの到着を・・あ、来た来た。こっちよこっち!」

 

 応援をぞろぞろ引き連れてアシェン隊長がやって来た。

 近隣住民も迷惑していたからハンターだけじゃなく自警団の人たちもいる。

 

「見つけたぞ、あれだ!幼女を抱っこしてニヤけている男がいるだろう。あの変態を捕らえるでそうろう」

「「「その子を放せ!この変態野郎がっ!」」」

「え、ちょ、ちが、このポンコツ!図ったなぁーーー!」

 

 バウンティ・ハンター始めました。

 ポンコツ隊長の裏切りにあって集団リンチされそうになったけど、幼女の証言で何とか冤罪は晴れたぞ。

 やはり信じられるのは清らかな心技体を持ったロリだけだよ。

 これにて任務完了、変態を捕まえて幼女を守り切ったぜ。俺ってばやるじゃん!

 

「なあ、コードネームの"ロリマス"って何の事だ」

「ロリコンマスターの略だが何か?」

「やっぱお前嫌いだわ」 

 

 こいつとは一度ガチンコ勝負しないといけない。そう思う出来事だった。

 

 ♢

 

「こうしてまたお前と戦えるとは、行くぞアルクオン!」

「・・・・!」

 

 覇龍の塔にて俺は羅刹機アルクオンと対峙していた。

 以前にクロシロと共に戦った奴と姿形はほぼ同一だが、動きは全くンの別物だ。

 こいつの方があの時よりもずっと強い。

 それもそのはず、俺の世界のアルクオンは骨董品を修復して動かしたアンティーク品。

 今戦っているのは現役バリバリで戦い続ける羅刹機だ。

 

 異なる世界に似たような存在がいる、まさかロボにも有効な設定だとはな。

 羅刹機以外にも自立型支援兵器として、リオンっぽい妖精気やPTもゴロゴロいた。

 遺跡から回収したデータを元に組み上げたり、先祖代々伝わるものだったり出自は様々だ。

 ハーケンはカスタムされたゲシュペンストを使っていた、呼んだらちゃんと来てくれるのが忠犬っぽくてカワイイ。ナハトにアーベントにアークゲイン、何処かで見たようなデバイスがロボ化したような奴らもいたよ。

 テクノロジーには何かしらの縁や繋がりを感じるし、どれが元祖かわからないけど。

 そういうこともあるあるで納得した。

 

 修練相手として彼らは申し分ない存在だ。

 気のせいか、アルクオンも楽しんでいるように感じる。いいぞ、こっちも存分にやらせてもらう。

 

「まだまだ上げて行くぞ!おおおおおおおっ!」

「・・・・!!」

「単体でアルクオンと互角以上に渡り合える者などそういないはず。マサキ殿、あなたは一体」

「異邦人の修羅もどき、またとんでもないのを連れて来ましたね」

「お疲れ様です師匠。ええ、マサキ殿が来てから他の修羅たちも修練により一層身が入ってるようです」

「フフッ、よい傾向です。彼の存在はいい刺激になったようですね」

「この後、私とも試合っていただく予定です。何だか覇気が疼いてきました」

「あなたを熱くさせるほどの逸材ですか、どれ、私も」

 

 賞金稼ぎの合間を縫って修練修練また修練だ。

 もう二度と後れを取らない為にも、やるべきことは全部やる。

 

 ロボたちだけじゃなく、アレディやその師匠であるシンディさんに、モブ修羅の皆さんも胸を貸してくれるからホント模擬戦相手には事欠かないのがいい。

 

 ちっ!さすがだアルクオン、技のキレが半端ない。

 通常形態では押し切られる。ならば!

 

「これは、例の技を出す気です」

「バスカーモード!しゃあ、仕切り直しだ」

「・・・・!」

「あの結晶は何なのでしょうか?あのような技を使う修羅など他にいません」

「昔文献で見た、悪魔と契約した者が使う外法に酷似しているようですが、詳しいことは不明ですね」

 

 いや、契約したのは悪魔じゃなくて女神様ですよ。

 さあ、ドンドン行くぜ!オルマテ!オルマテ!オルマテじゃい!

 

 案の定ハッスルし過ぎてバテた。

 アレディとシンディ師匠が強すぎたのもあるが、ここの皆さんは手加減ってのを知らない。

 戦闘民族怖いですね。

 

 ♢

 

 忙しくも刺激的な日々はあっという間に過ぎ去った。

 今日をもって俺はエンドレスフロンティアから旅立つ。

 

 ハーケンとギャンブルで散財したり、スズカのギックリ腰をヒーリング治療したり、猫耳商人に詐欺られたので制裁を加えたり、オルケストル・アーミーという特務部隊のお手伝いをしたり、ネージュの無理難題に付き合ったり、カグヤのおぱーいが揺れまくったり・・・etc.

 

 本当にいろんなことがあったんだ。ダイジェストですまんの。

 当初の予定より長く滞在してしまったな。

 ギリギリまで修練を積めたし、体も神核の調子もいい、今の俺ならば転移負荷にも十分耐えれるはず。

 

 神楽天原にあるゲートの前に到着し気合を入れ直す。

 不死桜にいるカグヤが力の開放を行ってくれているようで、眼前のゲートは既に起動状態だ。

 お世話になった人たちには挨拶は済ませたし、お土産も持った、忘れ物はないな。

 万が一にも転移に巻き込まれないよう、少し離れた位置でハーケンたちが見送ってくれる。

 頷き、笑顔で手を振ってくれる皆を見てちょっと涙腺が緩みそうになる。

 

「ここに来てよかった、みんなありがとう!!縁があったらまた会おうぜ」

「グッドラックだマサキ。愛しのホースガールたちによろしくな!」

 

 さらばだエンドレスフロンティア!それじゃあ行くぜーーーー!

 光に包まれる視界と奇妙な浮遊感、なんかゲートに飛び込むの慣れて来たな。

 

 ♢♢♢

 

「戻って来ました終着駅って!なんじゃあこりゃーーー!」

 

 ペルさんがいたはずの赤い海と島の世界は途轍もない発展を遂げていた。

 国際線の空港にも似た巨大建造物に多種多様な施設と物が所狭しと並んでいる。

 行き交うのは人波はEF以上にカオスな生命体だらけだ。

 「当施設内では人型を推奨しております」という看板が・・・人型、本性は違うのかい。

 

 凄い凄いよペルさん!夢を見事叶えましたな。それもたった数ヶ月で・・・

 だが参ったな、こうも広いと何処に行けばいいかサッパリだ。道を尋ねようにも言葉が通じるかどうかもわからない。

 キョロキョロしながら途方に暮れていると、脳内に声が響いて来た。

 

『お困りですか?』

「うぇ!あ、はい。ちょっと困ってます。これテレパシーですか、何処から」

『こちらです。そうあなたの正面』

「冗談でしょ」

 

 のっしのっしとこちらに向かって来る黒いボディの生命体。

 きゃぁぁぁぁぁぁーーー!エイリアンだ!どう見てもゼノモーフだよ。

 嘘、待ってこいつが日本語で語りかけてきたの?ここにいる連中の中でも飛び切りヤバい見た目なのに。

 

『初対面の方にはいつも驚かれますね。私がこの姿になった経緯は果てしないスペースオペラが』

「ど、どちら様でしょうか。言っときますが俺を食べたら腹壊しますよ」

『アンドウマサキ様ですね。私、ペルフェクティオ様よりあなたをお迎えするよう仰せつかりました。ペコニャンと申します』

「名前カワイイ!」

『ようこそ"ターミナル"へ。さあ、ついて来てください。2nd行のゲートまで案内致します』

「助かった。どうか、よろしくお願いします」

 

 見た目はグロいがド親切なペコニャンについて行く。彼女はここのスタッフらしい。

 そう、彼女なんですよ・・・自称、性別♀なんだそうです。

 レベルが上がるとマザーエイリアンとかになるのだろうか。

 

 道すがらのテレパシー会話でわかったのは、俺がEFに行っている間にターミナルでは300年の月日が流れていたこと。俺の帰還に合わせて時間軸を調整しているらしいので、2ndとの時間差は気にしなくてよいことを教えてもらった。

 時間の流れが違うのか、もしかしなくても最初にここに落ちた時からペルさんが何らかの処置を施してくれていたのだろう。

 危ない危ない。もしペルさんが気を利かせてくれなかったらと思うとゾッとする。

 トップをねらえ!のモノクロ最終回みたいになるところだった。ウラシマ効果ヤベェよ。

 

「このゲート前に並んでお待ちください。転移前にはペル様も駆けつける予定ですので」

「忙しい中ありがとう。大人しく待つことにするよ」

 

 2nd行のゲート前に並んで待つことにする。

 放送で呼び出されたペコニャンは申し訳なさそうに去っていく。お仕事ご苦労様です。

 宇宙破壊大帝の称号は一体何をやらかしたら獲得できるのかを聞いてみたい。

 

 途中の売店で奢ってもらったドリンクを飲んでみますか・・・うぁお。

 タピオカでけぇ!そして、かてぇ!喉に詰まるわ!でも美味しい(黒糖ミルク)

 

 ちゅーちゅーしながら待っていると謎の男が割り込んで来た。ちょっと!順番ですよ。

 ちょっとやめてって言ってるでしょ、やめなさい、やめ「キャー!痴漢よ!この人痴漢です!」

 迷惑な人には毅然とした対応をさせていただきます。俺に触ろうとしたので痴漢の現行犯です。

 

 さすがに周囲に目が痛いのか謎の男も慌てているようだ。警備員呼ばれてやんのwざまぁww

 あ、ペルさん!お久しぶりです。俺は数ヶ月ですがそっちは300年ですか、ええ、こっちは上手くいって、それでこの失礼極まりない人が割り込みした挙句に俺の尻を触ろうとしたんです。

 さあ、観念しなさい!このアンドウマサキ、貴様に触らせる尻など持たぬ!

 む、反省していないな。犯罪者の癖になんで無駄に偉そうなんだ!そもそもあなたがねぇ・・ん・・確かに俺はマサキですけど、それが何か?

 は?今コイツ、俺が好きな女を入念にいたぶるとか言わなかったか?贄だと?

 は?は?はぁぁぁぁ?それってさあ。俺の愛バを、あいつらを害するってことだよな。

 

 ゆ゛る゛さ゛ん゛!!ほわちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

 思わず殴り飛ばしたけど後悔しない。俺を怒らせたお前が悪い!

 とりあえず全身破壊しとくわ。覚悟しろよてめぇ!その首物理的にもらったぁーー!

 

 なんか急に巨大化しおった!これがこいつの正体か、きっっしょっ!

 おや、正式にターミナルでの戦闘許可が出た。ペルさんも好きにしろってスタンスだ。更に周りの人外さんたちも俺に味方してくれるようです。

 頼もしい、メガテン風に仲魔と呼ばせてもらおう。

 皆の者~狩りの時間じゃあ~俺に続けー!

 オルゴンマテリアライゼーション!

 ペコニャン補助を頼む。何?溶解液も出せるだって、たっぷり浴びせてやりなさい。

 いいぞ、効いてる効いてる。このまま一気に決めてやる。

 

『もっちゃらへっちゃらもけもけさぁ~』

 

 今、中年男性の奇声が聞こえたような気がする。華麗な闇魔法の呪文詠唱かな?

 それにしても、なんてカッコ悪い呪文なんだ。あれ、どうしてゲートが起動するんだ。

 あ、待て!しまったぁ!変な呪文に気を取られたせいで逃げられた!

 しかも、ゲートの中に、逃亡先は俺の世界!?あんなの野放しにしたらヤバい!すぐに追わないと。

 

「ちょい待ちぃや、アンドウ君」

「ペルさん、止めないでください!」

「さっきの奴、あんなんでも邪神や」

「それが何か?愛バのためなら神様だってぶっ飛ばしますよ」

「まあ君なら倒せるやろうけど、問題はそこやない。あれだけの存在がゲートを通過した後や、同一ゲート間で立て続けに転移してもうたら、どれ程の負荷が君にかかるか想像もできへん」

 

 ペルさんのよると、インターバルを挟まずに無理な転移を行うと対象への負荷は増大し事故率も飛躍的に上昇してしまうのだとか。

 エンドレスフロンティアで慣らした体でも耐えれる保証はないという。

 

「邪神クラスの存在が転移した後やと・・・次の転移まで1時間は欲しいな」

「そんなに待てません!そうだ、ペルさんが時間をアレコレ操作して何とかなりませんか」

「すまんなぁ。ターミナルの時間軸はついさっき君に合わせて設定したばっかや。これをまたいじるとなると、関係各社への調整にアレとコレがなんやかんやで、結論!今すぐには絶対無理やわ」

「なら無茶を承知で行くしかありません!どうか成功することを祈っていてください」

「だから待ちぃや。みんなー!どうせ暇やろ?ちょっとこっち来て手ぇ貸してや」

 

 警備主任兼、ターミナルの責任者であるペルさんの呼びかけに暇人外の皆さんがワラワラと集まって来る。

 即席の魔王軍誕生!一体一体がゾーマ並みの戦闘力持ちなので恐ろしい。

 

「今からここにおる全員でエネルギーを送る。アンドウ君はそれを拒まずに黙って受け入れるだけでいい」

「それをするとどうなります?」

「増大した転移負荷に耐えれる鎧を君にプレゼントや」

「おお!属性闇の大御所方からのお力添え、恐縮です!さっそくやっちゃってください!皆さんよろしくお願いします」

「ほないくで~みんな気張りぃや、ワイがええっちゅうまで続けるんや」

「「「「オオオオオォォォォッ!!」」」」

 

 人外の叫びと共に覇気なのか何なのかよくわからんエネルギーがたくさん送られてきた。

 傍から見ると四方八方から色とりどりのビームで攻撃されてるみたいだけど、痛みはないから大丈夫。

 ウマ娘たちへのドレインで鍛えた俺にはエネルギーを吸収するなど容易い・・・待って、なんだか多くない?これは気を抜くと頭がパーンッ!ってなるよパーンッ!

 うぉ、が、ちょちょっといや、かなり難しいな。しかし、ここでやめるわけにはいかない!

 恐れるな、乗り切れ、制御するんだ。苦しい時こそ愛バのことを思い出せ。

 もうすぐだ、もうすぐ会えるんだから!

 体感時間として5分位だろうか、送られてくるエネルギーが止んだ。

 

「終わったで。ほれ、鏡見てみぃ」

「なんで鏡・・・これ・・・俺なのか」

 

 何処からともなく運ばれてきた姿見に映った自分に驚愕!

 オルゴナイトを初顕現させたときの結晶人間よりビックリしたわ。

 前髪の一房だけだった白髪(銀髪)が全毛髪に!?てか、髪切った?じゃなくて伸びてる!

 ロン毛やロン毛!目もなんかキラキラてるよ!今時ビジュアル系バンドでもこんな奴いないよ。

 この姿はそう・・・まるで、母さんみたいだ。

 

「ペルさんこれは一体?」

「本来の自分に近づいたんやろうな。番人から受け継いだアレと、オカンの覇気をたらふく食いおった結果やで」

「はい?何の事ですか」

「詳しく説明したいところやけど、今は時間がないんやろ。管制室!2ndへのゲートオープンしたってな」

「そうでした!俺、今すぐ出発します」

「その前に上手くいったかチェックやチェック。ちょい力入れてみ、そう、全身にワイらの力を纏う感じで、そうや、もうええで」

「おお!これが負荷に耐えれる鎧」

 

 全身の隅々まで黒いプロテクターで覆われた状態になる。

 前にミオがやってくれたラズムナニウムを装着したアサキムに近い形状だ。

 ちょっと禍々しい外見なのが中二心をくすぐるぜ、俺悪魔になっちゃったよ。

 ハッピーバースデー!デビルマソ!そんなに悪くないと思った映画なのに酷評されてて笑ったぜ。

 

「それ向こうに着いたらすぐに脱いでな。あんまり長いことそうしてると、元に戻れんようになるで」

「ヤッベ!副作用アリだった」

『残念ながら副作用はもう一つあります。あなたには、ウマ娘の姿を正しく認識できなくなる呪いがかかりました』

「なんでそうなる!ピンポイントで嫌な呪い来たな」

 

 なんと、ペコニャンが良かれと思って呪術行使してしまったという。

 このエイリアンの見たと違いゴリゴリのキャスタータイプだ。

 何が宇宙破壊大帝だ!大賢者とか大魔術師ペコニャンでよくね?

 彼女が言うには、あえて呪いを付与することでプロテクターの強度と俺の幸運値に補正をかけたらしい。

 本人にとってリスクが大きければ効能も比例して上がるのだとか、それでウマ娘ね・・・トホホ。

 解除方法はクロとシロに再開することだと!

 すごいね、すごいご都合主義だね。もう何が何でもあいつらに会わなくては死んでも死に切れん!

 

 ともかく、これで邪神を追いかけることができそうだ。

 ペルさんやペコニャン、力を貸してくれた仲魔たちにお礼を告げてゲート前へ。

 みんな「いいってことよ」「しっかりやりな」「はよいけ」と暖かい言葉をかけてくれた。

 EFでもらった荷物を忘れないように、え、ペコニャンお弁当作ってくれたの?

 いつの間に・・・中身が少々不安な重箱だが、せっかくなのでありがたく頂戴する。

 各種チェックOK!準備万端。

 振り返ってもう一度深々と頭を下げる。

 

「ありがとうございました!この御恩は忘れません。そんじゃあまあ、行きますか!」

「アンドウ君、全てが終わったら必ずここに戻って来るんやで~。コレ忘れたらアカンからな」

『どうかご武運を、お弁当は早めに食べてください。でないと再生して活動をさいか・・い・・』

 

 終わったら?死んだらってこと?縁起でもないし、よくわからないですよ。

 ペコニャンが言ってることもわからないですよ。

 きゃっ!今重箱がガタガタって、き、気のせいだな。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 見慣れた転移空間に突入!!

 急げ急げ、故郷まで一直線に行くんだ!

 意味があるかどうかわからないが、平泳ぎのフォームをスイスイっとな。

 

「ん?光の渦、もう着いたのか・・・うぉっ!まぶし・・・」

 

 目の眩むような閃光が走った後に俺は見知らぬ場所にいた。

 クソが!やっぱり出口じゃなかった。

 何処を見ても360°真っ白な謎空間に誘われてしまったようだ。

 あらー、大事なプロテクターも解除されちまってるよ。

 イライライライラ・・・急いでるのに!

 

「誰かいませんか!早くここから出たいんですけど!いいから出せや!」

 

 声を荒げた俺の前に悠然と歩きながらやって来る人影が、登場シーンとかいらん!はよしろや!

 現れたのはクール系の銀髪美少年だった。イケメーン!

 見た感じ俺より年下で、服装は何かのパイロットスーツ?のようなものを着ている。

 

「あのー、こちとら急いでるんですけど!邪魔しないでくれます?」

「ようやく会えたな」

「誰だよ!お前なんぞ知らん」

「そんなはずはない。俺はずっとお前を観測し続けていたぞ、アンドウマサキ。使命を果たしてもらうためにな」

「ああー、使命使命うるさいのはお前の仕業だったのか。それで、どちら様?」

「アストラナガンと言えばわかるか」

 

 ゴルシの記憶で見た。あの悪魔野郎!の中の人?

 うぇええーー!絶対めんどくさいこと言いそうだよぉ。

 何故かわかるぞ、アストラナガンって本名じゃねーだろ。ちゃんと名乗りなさいよ!

 もう一度尋ねるからね。

 

「俺、アンドウマサキ。君の名を言ってみろ?」

「友人は、クォヴレーと呼んだ。俺はクォヴレー・ゴードンだ」

「ク、クォヴ?れ?発音んんん!めんどくさいからクボでいいよね。決定なクボ」

「異論はない。今から俺はクボだ」

 

 潔い!スカした奴かと思いきや話のわかる男だ。

 上下関係を設定されたくないので最初からため口でいったが、向こうは気にした様子もない。

 

「俺の状況理解してる?」

「全てな。2ndへの帰還を急いでいるのだろう」

「わかってるなら悠長に話している暇はないんだけど」

「ふむ。顔合わせできるチャンスだと思ったのだが、タイミングが悪かったようだ。手短に済まそう」

「ホントにな。それで使命とは?俺に何をさせたい。何だか頭がモヤモヤだったり急にスッキリしたりで、イマイチよくわからんのだが」

「基本は今まで通りでいい。力を束ね愛バと共に迫りくる脅威に備えろ。奴の凶行を止めるんだ」

「その"奴"の情報を詳しく、見つけたらこっちから仕掛けてやるよ」

「無駄だ。人を欺くのが好きな奴でな、あいつは自らの存在を気分次第で思うように変化させる。正体が確定するまで余計な情報を与えて先入観を持って欲しくない」

「バーロー!俺に推理とか無理だわ、真犯人に辿り着く前に消されるわ」

「最初から、お前の推理力など期待していない。放っておいても向こうから現れるからな」

「後手後手ですね。そんで、何故俺を狙う?因縁に心当たりがないんだが」

「因縁があるのは俺だ。そして、奴は知っている、俺がお前に後を託したことをな」

「うわー最悪だー、よくも俺を巻き込んでくれたなクボさんよぅ!!

「すまないと思っている。だが、覚えていないのか?俺を喚び契約を持ちかけたのはお前からだ、マサキ」

「心当たりナッシング!!今日初めて会ったのに何言ってるんだ」

「初めてではないし、俺からの対価は既に受け取っているだろう。もう子供じゃないんだ、大人として契約の履行はキッチリしてもらうぞ」

 

 知らん言うてますがな。

 俺は子供の頃にクボと会ったことがあるのか、だとしたら・・コレあれじゃね?

 インキュベーターみたいに断れない状況で「魔法少女になってよ」みたいにやったんじゃね。

 ほぼ詐欺じゃね。クボ詐欺師じゃね。サイテー!

 

「・・・詐欺では・・・ない・・と思う」

「自身なさげ!自分でも「無理やったなー」とか思うところあるんでしょ!酷い男ね!」

「わかってくれ、あの時はこちらも緊急事態だった。だから、出来うる限りのことはしたつもりだ」

「無尽蔵に湧き出る覇気のことか、まあ、これがあったから何度も・・・はっ!」

 

 この覇気が無ければ母さんにもクロとシロにも会えなかったし、これまでの戦闘で生き残れはしなかっただろう。

 それなら確かに、もう十分過ぎる程に対価を受け取ってる!

 仕方ねぇなあ。わかったよクボ、俺やるよ。ああ、やってやりますよ。

 

「母親と愛バが対価だと?それはお前自身が・・・まあいい、やる気になってくれてなりよりだ」

「で、クボは何かサポートしてくれんの?」

「本当なら一緒に戦ってやりたいが、この様だ。漂う意識体でしかない俺ではお前を見守ることしかできない」

「クボをそこまで追い込むなんて、かなり手強い相手だな」

「ああ、だから十二分に用心しろ」

 

 そんなことだろうと思った。

 クボ自身も相当歯がゆいのか不服そうな顔で拳を握っている。

 あらら、早くしろと言いつつ話込んでしまってるぞ。このままでは時間がヤバい!

 はい?ここ時間経過しないのか、そういうことは先に言ってよ!

 ふぃー無駄に焦っちまったぜ、ともかく一安心だ。

 安心したので寝転んでみる。見渡す限り白白白、ホント何もねぇ空間だな。

 あー白白言ってたらシロに会いたくなった!

 何故かクボは俺の横で体育座りをした。それで落ち着くならいいけどさぁ。

 

「奴の仕業だと思うが、2ndでは俺が干渉できる時間は不定期かつ極僅かだ。その代わり、とある女神たちにお前のことをそれとなく告げてある。既に接触済みだろう」

「メル・・えっと、メルなんとかさんのことだな。うん、会った。なんだよーお前たちグルだったのか」

「結晶術に対抗するには、やはり結晶術が必要だ。彼女たちと一緒に世界を救ってくれ」

 

 オルゴナイトを使った戦闘技巧、覇気結晶術(オルゴンアーツ)ってのが正式名称なのね。初めて知ったわ。

 世界を救えか・・・英雄願望はないんだよなあ。

 

「一番の目的は愛バたちと幸せな日々を過ごすことだ。その為に必要ならば、どんな相手とでも戦う。世界を救うのはあくまでも、そのついでだ」

「ついでで結構。お前はお前の望むままに戦え、過程がどうなろうと最後に帳尻が合えば問題ない」

 

 お堅いのかと思ったら、面と向かって話したクボは割と柔軟な思考の持ち主だった。

 使命が使命が~ってそんなに言わないし、姿が見えないときとキャラ設定を変えてるのかな?

 一通り話し終えたクボが立ち上がると、白い空間に光の渦が発生する。面談時間終了ってか。

 

「時間だ。さあ、もう行くがいい。この渦を抜ければもう2ndだ」

「次はいつ会える?」

「わからない。これが今生の別れになるかもしれないし、そうでないかもしれない」

「そっか、まあなんだ、会えてよかったよ」

「フッ、こちらもだ」

「じゃあなクボ。俺と愛バのイチャラブ生活を応援していてくれ」

「さらばだアンドウマサキ、時空の彼方でお前たちの勝利を信じて待つとしよう」

 

 慣れてないのかぎこちない笑みを浮かべて送り出してくれるクボ。

 なんだよ、笑えるじゃねーか。

 俺の知ってる神系の奴らは皆妙に人間臭いんだよな。親しみ易くていいと思うよ。

 

 変身!!黒きプロテクター命名「闇の衣」を装着完了!

 ブラックRXマサキですよ!ブラック・・・クロ、クロにも会いたいーーー!

 素敵な四人の愛バたちに大切な家族や友人たち、今帰るからな!とう!

 渦へと飛び込む。今度こそ帰るぞ、もう寄り道は勘弁してくれ。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「もう何なんだよ!どうなってんの」

 

 出口なのにー!もうすぐそこなのに、向こう側から何かがゲートを塞いでる。

 ホント邪魔!時間が無いっていってるでしょーが!

 こうなったらぁ、ふんぬばらっ!!

 

「オルゴンマテリアライゼーション!!」

 

 ターミナルでもらった余剰エネルギー分をオルゴナイト形成にオールインだ!

 現れたのは巨大結晶で造られた剛腕!

 ゲートを塞いだものが何であろうとコイツでぶっ飛ばす!

 

「この一撃で・・・そぉぉぉりゃああああああああっっっ!!」

 

 うっし!手応えあり。

 これで帰れるはずだ。すぅーはぁー・・・よし行こうか!

 

 ♢♢♢

 

「それで無事に帰って来れたって訳よ。ヴォルクルスと戦って、就職試験受けて、教官になって今に至る」

「マサキ、マサキ」

「なんだよミオ。補足説明聞きたいか?ペコニャンの弁当はシュウが隔離施設に」

「私以外みんな寝ちゃってるよ」

「うそん!?一生懸命語ったのに・・・やだ、ヤンロンも寝てる」

 

 シュウとのリモートは大分前に向こうから切断したらしい、気づかなかった。

 

「EFで会った幼女の話が長すぎたね」

「そうかな」

「そうだよ。金髪ロリエルフについて熱く語り過ぎだよ」

 

 えー!あれでもかなり端折ったのに、愛バに会えない寂しさを、いろんな種族のロリたちが癒してくれたのさ。

 ジト目はやめなさい。やましいことは何もない、慈愛の心で接していただけです。

 ホントですってば!信じてくれよ、愛バには言わないでくれよ。

 

 寝ているみんなを起こして飲み会はお開きとなった。

 飲み過ぎた姉さんとテュッティ先輩は俺とヤンロンで職員寮まで運ぶことになった。

 もう、姉さんったらこんなになるまで飲んじゃって二日酔いにならないといいが。

 同じ位飲んでいたはずのリューネはケロっとしていた、真の酒豪って奴はひと味違う。

 

 ターミナルにエンドレスフロンティア。

 いつかまた、あの場所に行ける日は来るのだろうか?

 もしそんなときが来れば、是非、愛バたちを連れて行きたいと思う。

 クボにも俺の愛バを自慢してやりたいしな。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 サイバスターとのリモート中継も終了し、女子会はとっくの昔に解散しているはずだった。

 ファインモーションの部屋では未だにくだを巻いているウマ娘を他の三名が宥めている最中であった。

 

「アル姉さん。ヤバいです飲み過ぎです」

「まだです。まだ足りません~」

「もうやめよう。ホントもうやめよう、今のアル姉。どう見てもただアル中だから」

「どうせ私はアル中のドスケベですよ!あーあー、こんなだから私だけ仮契約止まりなんですよ!」

「それはマサキにちゃんと言わないからだよ。きっともう正式に契約を交わしたと思っているんじゃない」

「本当はお酒よりマサキさんの血が飲みたいんですよぉぉぉ」

「泣きながら怖い発言してるなぁ」

「まずは素面に戻ってからマサキさんに相談してみましょうね。そういう訳で今日の所は解散!」

「うん。解散解散~」

「うわぁぁんん!!血じゃなくてもいいんです、体液を吸わせてくださいぃぃぃ」

「待って!この状態のアルと二人きりにしないで!この、いい加減に酒瓶から手を離せ」

「いやぁぁぁぁこれが無いとダメなの。マサキさん助けてーーー!デスラーメンが私の燃料を強奪しようとするのぉぉぉ酷いーーー!」

「酔ってるからって調子にのんな。こういうのに限って翌日「記憶にないとか」抜かすんだよ」

「「帰りたい」」

 

 今日はアル姉さんをいじり過ぎたので爆発しのかな、そこは反省する。

 しかしですね。次回以降の女子会で暴れるようなら、即刻マサキさんにチクりますからそのつもりでいてください。

 

 

 お酒は飲んでも飲まれるな。気を付けましょうね。

 

 

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