俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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誠に勝手ながら、タイトル変更しました。

旧題【俺とブラックとダイヤモンド】➡ 新題【俺と愛バのマイソロジー】

今後ともよろしくお願いします。


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ぶっかけ

 トレセン学園が誇る食堂(カフェテリア)は本当に凄い。

 

 現理事長の学園改革に合わせて一新された施設の内、かなりの予算がここにつぎ込まれたのだと、ハッキリとわかるレベルの優遇っぷりだと思う。

 大人数を収容できる広いスペースにお洒落な内装、充実したメニューの数々はボリュームも栄養も満点でコスパもそれなりに良好と来ている。

 厨房を預かる料理人の中には一流ホテルの料理長を務めた猛者もいるらしく、肝心の味も文句なしで舌の肥えた者たちからの評判も上々だ。

 取材に訪れた記者が「素晴らしいですぅぅぅ!!!」とコメントしたのも頷ける、自慢のお食事処だ。

 

 お昼時ともなれば、腹を空かせた生徒や教職員たちで賑わう食堂。

 そのテーブル席でランチを楽しむ5人組がいた。マサキとその愛バたちだ。

 トレセン学園ヤバい奴ランキング上位勢の彼らを見た周囲の反応は人それぞれ、大半は珍獣を目撃したような顔をしている。

 

「おっ!全員いるじゃん」

「わわっ、揃ってるの初めて見た」

「あれが例の……」

「オーラまじパないんだけど!」

「存在感ヤバ」

 

 何事かをヒソヒソされているが、マサキたちは慣れたもので華麗にスルーしている。

 というか、5人の世界に入っていれば全く気にならない。

 

「美味いなコレ」

 

 <超絶!具だくさんニンジンカレー>に舌鼓打っている、どうも俺です。

 今は愛バたちとお昼ご飯の真っ最中で、美味しい楽しい幸せです。

 

 ご飯はなるべく揃ってからと決めているが、仕事や急な予定で全員揃わないことも多い。

 今日は運よくフルメンバーなので、食堂に繰り出したというわけだ。

 愛バたちと一緒にお喋りしながら美味い飯を食う、有り体に言って最高だな!!

 

 美味しい、本当に凄く美味しいんだけど・・・マジで量が多い!!

 カレーを半分食べ進めたところでスプーンが止まってしまった。サイズの選択を完全に誤ったようだ。

 お腹が減っていたからいける!と思って大盛にしたが、ウマ娘基準の大盛を甘く見ていたわ。

 完食できないこともないが、お腹タプタプでは午後からのパフォーマンスに影響が出そう。

 出された料理の"お残し"は俺の主義に反する。さて、どうしようかな?

 

 既に自分の料理を完食し、デザートのプリンをどう攻めようか思案していた、クロと目が合う。

 

 (大盛カレーに苦戦中、手伝ってくれないか?)

 (いいの!食べる食べる!)

 

 適量のご飯とルーをスプーンで掬い、口を開けて待つクロに食べさせてあげる。

 所謂(いわゆる)「はい、あーん」です。

 カレーを口にしたクロは満面の笑みで咀嚼し、飲み込んだ後に素直な感想を告げる。

 

「んまーい!マサキさんのカレー美味しい!」

「ははは、作ったのは俺じゃないぞ。感謝するなら厨房にいる料理人やスタッフの人たちにな」

「うん。みんないつもありがとー、今日もすっごく美味しいよー!」

 

 ブンブンと手を振ってお礼を述べるクロ。

 人混みの中でも良く通る声は厨房まで届いたらしく、気付いたスタッフたちが笑顔でサムズアップしてくれた。

 クロの天真爛漫さは周りの空気を良くさせるな。自慢の愛バだぜ。

 二口目を掬っていると、横から袖を引かれる。シロが目で何かを訴えていた。

 

 (カレー食べたい気分の愛バ、ここにもいますよ?)

 (わかった。クロ、ちょっと待ってな)

 (むー)

 

 クロには少し待ってもらい、シロの口にカレーを運ぶ。

 

「ほれ、あーんしろ、あーん」

「あーん」パクッ

 

 よく噛んで食べなさい。うむ、シロの顔も満足気だ。

 

「うまいか?」

「美味しいです。好きな人から食べさせてもらえて、美味さ激増です!」

「だよね!」

 

 嬉しいことを言ってくれるぜ。

 クロとシロの二人へと、交互に食べさせることにより大盛カレーはハイペースで消費されていく。

 雛鳥にせっせと餌を運ぶ親鳥の気分だ。かわいいな~。

 よしよし、この分だとフードロスは避けられそうだ。

 

「お二人とも、それではマサキさんの分が無くなってしまいますよ」

「いいんだアル、俺一人じゃ食べきれない量だったから、助かっている」

「なら、よいのですが」

「クロシロちゃん、マサキの優しさに甘えすぎるのは感心しないぞ~」

「ごめん、調子に乗って食べすぎちゃったかな?」

「食い意地張っていて面目ないです」

 

 シュンとしてしまうクロシロ、耳が連動してペタンするの可愛い。

 あらら、全然気にしなくていいのに。

 そんな二人に俺は精一杯の気持ちを伝えたい。

 

「クロ、シロ、よく聞きなさい」

「「なんでしょう?」」

いっぱい食べる君が好き!!!

「「やったー!」」(≧▽≦)

 

 美味しそうにモノを食べている女の子っていいよね。

 見てるとこっちまで幸せになるよ、それが愛バなら尚更だ。

 

「聞いたかタマ?マサキは私のことが好きみたいだぞ。照れるな////」ガタッ

「オグリお前やない、座っとれ!」

「なら私のことが!?愛バさんたちがいる前で告白なんて、もう////」ガタッ

「スぺちゃん、あなたでもないわ。いいから座りましょうね」

 

 離れた席にいる爆食モンスターどもが「いっぱい食べる君が好き」に反応していたが、それぞれの相方が即座に座らせてくれた。

 タマちゃん、スズカさん、ツッコミご苦労様です。

 聞き耳を立てている連中は放っておいて、愛バとのランチに集中しよう。

 クロとシロの整った顔を見つめながら、素直な思いを口にする。

 

「たくさん食べて、どうか健やかに育っておくれ」

「うん。ガンガン育つよ!」

「成長期ですからね。しっかり栄養を摂取して、ご期待に応えてみせます」

「二人ともまだ成長する気なの!?・・・ああ解った、横にだねww」

「フフッ、ぽっちゃりさんになりますねww」

「「誰がブタ娘だ!!」」

「そこまで言ってない!」

「ブタ娘、そういうのもあるのか」

「ないよ!?」

 

 クロシロたちがブタ娘にだった場合を想像してみる。

 ふっくら丸々としたボディ、ブヒブヒした荒い息づかいと大量の発汗。

 手に持った炭酸飲料とスナック菓子を貪る姿は鬼気迫っている。

 

『今日も暑いんだブー。修練?暑いから嫌でブヒ』

『ポテチとコーラがうめぇんだブー。今日は体が重いので安静にするですブー』

 

 これはキツイwwwふとましいにも程がある!

 

「豚だからトン……愛トンと呼べばいいのかブー?」

「マサキさん、アホなこと考えないで」

「すまん。やっぱウマ娘が一番だ」

「「「「ですよね~」」」」

 

 ブタ娘という新たな概念は即行で却下された。

 雛鳥(愛バ)への餌やりを再開していると、ココが話かけて来る。

 

「マサキ、まだ満腹じゃないよね?」

「腹六分目ぐらいかな」

「なら大丈夫だ。はい、口を開けて~」

「あむっ」

 

 言われるがままに口を開けると、ココが自分のビーフシチューを掬って食べさせてくれた。

 おお、なんとも濃厚で奥深い味わい、シチューの旨味が五臓六腑に染み渡るぜ。

 

「美味しい?」

「めっちゃうまい」

「マサキさん、こちらもどうぞ」

「あーん……むぐむぐ」

 

 今度はアルが一口大に切り分けたハンバーグを差し出して来た、有難く頂くことにする。

 溢れんばかりの肉汁がジューシー!ソースと練り込まれた具材も絶妙に合っている。

 

「こっちも美味しいな」

「愛する人に手ずから食事を与えることができる。なんて幸福なのでしょう」

「大袈裟だとは思わないよ。私も同じ気持ちだもん」

 

 アルとココがツヤツヤして来た。

 二人に食べさせてもらえて俺も幸せだ。

 

「攻守交替!次は私がマサキさんに食べさせる」

「笑ってやってください。激辛麻婆豆腐を頼んでしまったダイヤは愚か者だと……畜生ッッ!」

「あらら。マサキさん、辛すぎるものは苦手ですからね」

「カレー、私も食べたいな~」チラッ

「はいはい、みんな仲良く順番にな」

 

 5人で「はい、あーん」を繰り返し、それぞれの料理をシェアする形になった。

 結局お腹タプタプになってしまったけど、幸せ太りも悪くない。なんて思ってしまうのだった。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ナチュラルにイチャつくマサキたちの幸せオーラは、食堂内を伝播していく。

 

 テュッティとルドルフの場合

 

「マサキたち、幸せそうね」

「まさに"仲良き事は美しき哉"」

「物は試しよ。ルドルフ、私たちもやってみましょうよ」

「山盛り砂糖まみれのケーキは遠慮したいな」

「美味しいのに・・わかったわ!ハチミツを足しましょう」

「何一つわかっていないね、テュッティ」

「最近愛バが冷たいわ……私の可愛いルナちゃんは何処へ行ったの」(´Д⊂グスン

「い、いただきます・・・んぐっ」

「どう?美味しいでしょ?何かコメントをどうぞ」

「ゲロ甘ッッ」

「ゲロは失礼でしょ!」

 

 エアグルーブ、ブライアンの場合

 

「会長の血糖値スパイクを確認。やれやれだ」

「おい副会長、こっちを向け」

「なんだ急に・・・むごっ!?」

「よし、食ったな。「廃案」成功だ」

「これは、ブロッコリー?野菜はちゃんと食えと言っているだろ!」

「なぜ怒る?お前が「廃案」したそうな顔をしていた。それを私が叶えてやったというのに」

「「廃案」だと!?私がいつ何を提案して棄却された」

「ほら、まだ残ってるぞ」

「やめろ、押し付けるな。この野菜嫌いめがーー!」

 

 マルゼンスキー、ヒシアマゾン、フジキセキの場合

 

「何やってんだか、マサ公たちは」

「まあまま、ナウなヤングだから仕方ないわよ」

「みんな色めき立っちまって、この空気どうしてくれんだい」

「せっかくだからヒシアマ、僕とやってみるかい?」

「ア、アタシにもアレをやれと!?」

「ポニーちゃんたちのリクエストには応えないとね。さあ、始めようか」

「キャー(≧∇≦)寮長同士のタイマンね!ポロリもあるのかしら?」

「そういう奇跡もあるかもね」

「あってたまるか!!」

 

 オペラオー、ドトウの場合

 

「お、お、オペラオーさん!こ、こ、こここここ、これをどうぞ」

「はっはっは、大胆になったねドトウ。ちゃんと決め台詞を言えたら尚よしだ」

「はい、あ、ああ、あーんっっですぅぅ////」

「羞恥に染まるその顔、実にいい!しかし、一ついいかな?」

「ほぇ?」

「君がフォークを突っ込んでいるのは僕の口じゃなくて、そう・・・耳さッッ!!」

「ひぃぃぃ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい~」

「はーっはっはっは、耳からカルボナーラを食す僕もまた麗しいね」

 

 タイキシャトル、フクキタルの場合

 

「オウッ!みんな仲良しデスね。ワタシたちもハイアンしまショウ」

「嫌ですけど」

「そんな~フクはワタシのこと嫌いデス?」

「タイキさんのことは友人として普通に好きですよ。ただ私は、食事に集中してじっくり食べたいウマ娘なんですよね」

「ノンノン!それじゃあ、寂しいデス。ぼっちメシ反対~」

「モノを食べる時はね誰にも邪魔されず自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ 独りで静かで豊かで・・・」

「それ知ってマス!蟲毒のグルメ!デスゲームに参加した主人公がアームロックで無双する奴デス」

「違う!ですが、それはそれで面白そう」

 

 ヤンロン、グラス、エルの場合

 

「ヤンロン!エルたちもアレやりましょう!」

「ぐっ、マサキめ!余計な真似を」

「観念してくださいね。こちらの<極み!ネバネバ納豆>をどうぞ~」

「な、納豆は苦手だ」

「ならエルのハバネロタコスで中和しマース、はい、あーん!」

「待ってくれ、辛いのと粘るのが混ざ・・・ぐぉぉぉぉ」

 

 スピカメンバーの場合

 

「イチャコラしてんな~マサキの奴。なあなあ、マックちゃんよ~アタシらも、しちゃう?」

「あなたとだけは、ゴメン被りますわ」

「な、な、何が「あーん」よ!いい大人が恥ずかしい////」

「でも、なんかいいよな。通じ合ってるって感じがしてさ」

「カイチョ―がテュッティ教官と「あーん」してる。僕もやりたい~」

「テイオーちゃんには操者のミオ様が「ハイアン」してあげよう、こっちおいで~」

「わーい。はいあん!ハイアン!」

「スズカさん!私たちもやりましょう!」

「スぺちゃん、なぜ私の前に丼を置いたのかしら?」

「なぜって「はい、あーん」するからですよ?スズカさんなら一口でどんぶり一杯余裕です!ささ、一気にいっちゃてください」ぐいぐい

「嘘でしょ、待って!みんながスぺちゃんやオグリさん並みだと思わないでーーー!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 食後のまったりタイム。

 他愛もないお喋りに興じている小柄な女性が近づいて来た。

 なんだこのチビッ子は?などと思ってはいけない、彼女こそトレセン学園の実質トップ。

 理事長の秋川やよい、その人だからだ。

 

「僥倖ッ!皆揃っておるようだな」

「お疲れ様です。理事長もお昼ですか?」

「否ッ!昼食は外で済ませた。私は君たちチーム"ああああ"に用があって来た」

「・・・???」

「キョロキョロしてどうした?マサキ君たち5人のチーム名は"ああああ"と聞いていたが」

「あっ!そ、そうです。"ああああ"で合っています」

 

 "ああああ"とか何言ってんだコイツ?とか思ってはいけない。

 反応が遅れたのは不本意なチーム名に納得がいってないからだ、いつか改名してやる。

 

「それで何用ですかな?」

 

 愛用の扇子を広げた理事長は良い顔で宣言する。

 

「吉報ッ!"ああああ"の諸君!君たちチームの活動拠点を用意したぞ!」

 

 遂に俺たちのチームにも専用ルームが、やったー!トレセン最高!理事長最高!

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「などと思っていた、俺が愚かだったぜ」

 

 クラブハウスの一室を利用できると思ったのに、案内された場所は教室棟から遠く離れた場所に建つプレハブ小屋だった。ここからだと旧校舎の方が近い。

 俺が赴任して来た当初からずっとここに鎮座しているプレハブ小屋、てっきり工事関係者が撤去し忘れたものかと。

 

 理事長は「陳謝ッ!現在クラブハウスに空きが無いのだ。我慢してくれ」と言っていたが、厄介者認定した俺たちを、一般生徒から遠ざけ隔離したいという意思を感じるのは気のせいか?

 

 俺は別にいいんだ。でも、愛バたちには不自由な思いをしてほしくない。

 

「ごめん。俺が不甲斐ないばかりに、お前たちに苦労をかけて」

「まあまあ、これはこれでいいんじゃない」

「隣室を気にしなくていいし、ここなら落ち着けそう」

「小屋や周りの土地は自由にカスタムしていいそうです。劇的ビフォーアフターにしてやりましょう」

「リフォーム工事!楽しそうです。この辺りには花壇を造って、こっちには・・」

「落とし穴!落とし穴を設置しよう」

 

 たくましい愛バたちはプレハブ小屋を見ても元気いっぱいだ。

 そのポジティブさ、嫌いじゃないわ。

 よく見ると、この場所もそう悪くはない気がして来た。

 ルクス関係の話をする時にも気兼ねなく利用できそうだし、建物自体はクラブハウスより広い。

 

「よっしゃ、ここを俺たちの基地とする!」

「「「「おおー」」」」

「掃除とリフォーム工事、張り切って参りましょう!」

「「「「うぇーい!!」」」」

 

 小屋の中は倉庫として使用されていた。

 室内には家具や書籍が所狭しと並んでいる。

 

「使えるものは、自由にしていいんだよな」

 

 理事長は最初から、ここの掃除を丸投げする気だったのでは?まあいいい、やってやるよ。

 

 まずは手分けして、家具類の整理整頓と掃除をすることにした。

 使用できそうなものは綺麗して、不要なものは処分するため外に運び出す。

 ここにいる全員が力持ちなの、でその辺は手早く完了する。

 

 破損個所の確認、リフォーム計画の立案から設計、それぞれの希望や意見の取捨選択、足りない家具家電の選定と発注等々、俺が指示しなくても優秀な愛バたちが次々に事を進めていく。

 ホント出来る子たちね!

 

「チェック終わりました。盗聴器や監視カメラの類はないようです。後で、基地の内外に防犯対策を施しておきます」

 

 シロはオルゴンテイルを顕現させて、周辺を調べてくれた。

 結晶の尻尾はシロの感覚をより鋭敏にさせ、索敵や調査をする上で頼りになる。

 しかしだな、その状態で外に出るのは控えなさい。誰かに見られたらビックリされるぞ。

 

「シロに任せるよ。ええ感じにやっといてくれ」

「任されました」

「マサキさん、これはどこに置きましょう?」

「それは・・・」

 

 みんなでワイワイやりながらリフォーム中。楽しくなってきた。

 小屋の内部は思ったほど劣化もしていないようで、中々の良物件だ。

 いい基地が完成しそうだな。

 

「昔のジャンプ発見~・・・遊戯王やってる!」

「どれどれ、Mr.FULLSWINGだ!私これ好きだったな~」

「武装錬金はないのですか?」

「ちょっと待て!掃除中にその流れは非常にマズいぞ」

 

 昔の漫画見つけて、つい読みふけっちゃう。

 あるあるだよね~試験前とかにハマると危険だよね~。

 年代物のジャンプを読んで、本日は解散となった。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 数日後、リフォーム工事その他もろもろは急ピッチで進行し・・・

 

「完成だ!」

「「「「ヒュー、やったーー!!」」」」

 

 最後に基地の出入口扉に"ああああ"というネームプレートを掲げて完了。

 はい、拍手~。パチパチパチパチ~。

 今日からここが、学園における俺たちの基地だ!たまり場とも言う。

 

「ここに観葉植物を置いたらどうでしょうか?」

「おやつの備蓄をしないと」

「カップ麺用の棚を作るぞー」

「私はサターンとドリキャスを持って来ます」

 

 更なる学園生活の充実を願わずにはいられないな。

 

 ●

 

 "クエスト"

 本来は、探求や探索、冒険の旅を意味する言葉。

 この世界では、ギルド等から発注されるお仕事のことを指す言葉である。

 学園生たち基本的に、二種類のクエストを受注することが出来る。

 

 "学内クエスト"

 学園内で起こる事件や揉め事の解決、行事やイベント事のヘルプ、教官や理事長のお手伝い。

 

 "学外クエスト"

 ギルドや企業等、外部からの依頼で発生するもの。

 学内クエストと同じく事件事故の解決から、警備任務に要人警護、各種ヘルプ業務、本職と仕事をする機会も多いため、職業体験になったり卒業後の進路を決める要因にもなる。

 

 実力実践主義のトレセン学園では、生徒たちによるクエストの遂行を奨励している。

 授業より優先してクエストに取り組んでいいとされており、クエストの難易度や達成数がそのまま成績に反映される。

 更にクエストを達成した者にはご褒美として、学園からQP(クエストポイント)を与えられる。

 これは学園内でのみ有効な通貨として利用可能、自販機や売店に食堂等で使うことができる。

 生徒の中にはQPを荒稼ぎして、豪遊している者もいるとかいないとか。

 

 因みに、通常業務を疎かにしない事が条件であるが、教職員であってもクエストを受けることが可能だ。

 QPの代わりにお給金がちょっと上乗せされ、職場での評価も上がるのが嬉しい。

 

「操者と契約した者には10000QP、チームに所属したら2000QPか。テストの点数を買ったり、他者に譲渡は出来ない・・ふむふむ」

 

 クエストとQPについての説明が書かれた冊子を熟読して、席を立つ。

 今いる場所は、食堂に隣接された"出張ギルド"トレセン学園支部だ。

 都会の市役所を彷彿とさせる施設内、そのカウンターに向かうと、若い女性と目が合った。

 

「こんにちはマサキ教官。クエストをお探しですか?」

 

 ギルドから派遣された受付嬢さんのスマイルが眩しい。

 何度か挨拶している内に名前を覚えてくれたようだ。

 

「ええ。チームで受けるクエストを探していまして」

「チーム"ああああ"・・・あら?チームでのクエスト経験は無いようですね」

「はい。個人ではそれなりの達成数がありますが、チームでの受注は今回が初めてです」

「でしたら、いくつか学内クエストを達成されて、チームの連携を確かめる。その後に学内クエストに挑戦という流れがいいですよ。今、ちょうど面白い案件がありますので、ご紹介します」

「お願いします」

 

 受付嬢さんがパソコンを操作している間にも、施設内の大型ディスプレイに受注可能なクエストが表示されては消えていく。

 

 【モルモット募集中】急募!!!!

 

 人とウマ娘の可能性を検証する為に、健康で頑丈なモルモット君を募集しています。

 食事三食経口摂取、痛みを伴う実験少な目、コーヒー飲み放題、テスラ研からボーナスあり。

 七色に光っても問題なしと思える人材なら尚良し!

 

 興味のある方はアグネスタキオンまで連絡を・・・・

 

「うわぁ」ドン引き

「あ、それにご興味あります?報酬は割といいのですが、どうにも人気ないようで」

「いえ、これっぽっちも興味ありません!」

 

 受付嬢さんに、おすすめのクエストを見繕ってもらった。

 データをタブレットに転送してもらい、お礼を言ってその場を後にする。

 この中のどれを受けるかは、愛バたちと相談して決めよう。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 学園敷地内の北部、研究棟、庭園、ニンジン畑を通過した先の最奥にそれはあった。

 一見してただのプレハブ小屋だが、入口の看板に"ああああ"と書かれている。

 

 4人の覇気を確認して扉をあける。全員来ているようだ。

 

「悪い、少し遅れた」

「待ってたよ」

「お疲れ様です」

 

 愛バたちが出迎えてくれた。シロに鞄を預けると、恭しい手つきで所定の場所へ置いてくれた。

 子犬のようにまとわりついてくる、クロを撫でながらテーブル席に着く。

 小屋の内装は綺麗にリフォーム済み、ライフラインも完璧、家具家電も完備、何日か宿泊しても問題ない。下手な賃貸アパートよりも豪華だと思う。

 対面キッチンで作業していたアルが、声をかけてくる。

 

「何かお飲みになりますか?」

「あー、じゃあ紅茶にしようかな。ココの爺様が送ってくれたヤツ、まだ残っているよな」

「本場のアイリッシュティーをご所望だね。私が淹れてあげる」

「頼んだ」

 

 ソファーで雑誌"ご当地ラーメン列伝"を読んでいた、ココが立ち上がりキッチンへ向かう。

 育ちの良いお嬢様スキルを発揮して、アルとココが協力しながら、慣れた手つきでお茶とお菓子の準備をしている。

 キッチンの二人は何だか楽しそう。あらあら、絵になる光景だこと。

 

「美少女たちが、俺の為にお茶の用意してくれている。幸せ」

「その実態はアルコールとラーメンの依存症患者であったww」

「あははははww台無しだw」

 

 クロとシロがまた余計な事を口走った。

 今のはアルとココの耳にしっかり届いているぞ。

 

「二人のお菓子は無しでいいね」

「ええ、悪い子にはお仕置きが必要です」

「「ごめんなさい!お菓子抜きは勘弁してください~」」

 

 お菓子を人質にされた年少組は即行で謝る。年長組は苦笑しながら、怒りを収めたようだ。

 愛バ間のパワーバランスがイイ感じに保たれているようで、何よりだ。

 

 紅茶の準備ができた頃には、それぞれがお好みの飲料を持ち寄ってテーブルに着く。

 香り豊かな紅茶を口に含んでホッと一息。

 ふぃー、茶葉が違うんだよな茶葉が、知らんけど!全然詳しくないけど!

 

 愛バたちは一体何を飲んでいるのだろう?

 見たことのないデザインの缶飲料を口にしているようだが。

 

「クロのは何だ、炭酸か?」

「サトノ印の超強炭酸飲料"ハジケてぇメガMAX"だよ」

「なんか、聞いたことある名前だな」

「以前、回収されたモノに、改良に次ぐ改良を加えた新作なんだ」

「前のヤツも飲み物じゃなくて兵器だったろう。それを改良しただと!?」

「平気平気、慣れるとこの強炭酸が…グビグビ…くぅ~、この痛痺れる感じが癖になる」

 

 いたしびれる?何だよそれ。

 本人が平気と言っているから止めはしないが、クロの喉が少々心配になる。

 ビクンッビクンッ痙攣しないよう、飲みすぎには注意しなさいよ。

 

「アルは、今日もやっぱり酒か?」

「今日もって何ですか。それだと、いつも私が飲んでいるみたいに聞こえます」

「「「いつも飲んでるじゃん!!!」」」

「メジロ水はノーカンです。それに、今日は休肝日なのでお酒は我慢!」

「ならそれは何?」

「メジロ印の機能性飲料"ウコンの無限力(むげんりょく)"です」

「パクりな上に、イデが発動しそうw」

「ハウス食品に謝れ!」

「何を言うのです。"ウコンの無限力"はメジロ家独自の特許製法で開発した飲料ですよ?類似品はありますけど」

「あくまで白を切るつもりだ」

「ウコンの栄養が余すことなく溶け込んだコレを飲めば、死にかけた肝臓もハッスルします!」

「これ以上、肝臓さんをいじめないで!!」

 

 たっぷり500ミリ缶に入った液体を、ちびちび飲んでいるアル。

 缶のサイズ間違ってませんか?

 顔をしかめている所を見ると、味はイマイチらしい。

 

「ほんで、ココは?」

「"飲むぞ!濃厚背油ギトギト風味"これはね……」

「わかった。もういい」

「ええー、説明聞いてよ。あの有名店とコラボした企画商品だよ!これを飲めば手軽に高カロリーを摂取できるから、戦闘糧食としてもピッタリなんだから」

「ブタ娘に一番近いのはココですね」

「このトンコツインモー!油っ濃いんだよぉ!」

「ココさんも無限力いります?脂肪肝にも効果ありますよ、たぶん」

「心配ご無用。私、体質的に太らないウマ娘ですから。運動だって毎日欠かさないから大丈夫」

 

 スープマグに注いだドロドロの液体を美味しそうに飲むココ。

 あれはもう、ドリンクではなく調味料なのでは?ご飯にかけて食べたら美味そう。

 

「はぁ、仲間が妙ちくりんな物ばかり飲んでいて、嘆かわしいです」

「そういうシロは、カルピスか」

「はい、よくある市販のカルピスです。もっとも、私好みの比率に調整してありますが」

 

 グラスに入った原液多めのカルピスを、ストローでちゅーちゅー吸っているシロ。

 4人の中ではまともなドリンクチョイスだな。

 

 さて、軽く喉を潤したところで、クエスト選択と参りますか。

 出張ギルドで転送してもらったデータをタブレットに表示する。

 受付嬢さんのおススメから選んだクエスト、愛バたちが好きそうなのを選んだつもりだ。

 

「チーム"ああああ"記念すべき最初クエストを決めようと思う」

「「「「待ってました!」」」」

「面白そうなのを見繕ってもらったからな、期待していいぞ。まずはコレだ!」

 

 ワクワクしている愛バたちに向けて、一つ目のクエストを説明していく。

 

「学園で野良試合していた連中を知っているか?」

「存じております。血の気の多い生徒たちが集まって、ファイトクラブなる集団を作っていたと聞きました」

「先日、風紀委員会に摘発されたマヌケどもですね」

「野良試合とはいえ、結構なガチバトルだったらしいよ。見物した子は『金払ってもいいレベルの試合』と言ってたかな」

 

 教職員の目を盗んで結成された、ファイトクラブは「心のままに戦う」というポリシーの下で連日野良試合を行っていた。

 最初のメンバーは数人だったはずが、噂が人を呼び勢力を拡大していき、見物客による賭け試合へと発展していった。

 戦っている奴らの目的は日頃のストレス解消と強さへの渇望のみ、トーナメント形式で行われる試合の優勝者には、更なる闘争への切符が用意されている。

 優勝賞品はクラブの発起人にして、首謀者たる人物とガチンコ勝負できる権利だ。

 恐ろしく強く残虐な首謀者は、最初期から無敗を貫いているウマ娘。

 いつも珍妙なマスクを被り、素顔を見たものは皆無らしい。

 

 学園内での横行する私闘に大金が動くギャンブル、風紀委員会に目を付けられるのは、時間の問題だったろう。

 

「既に解散した組織の後始末をしろと?」

「そんなところだ。説教部屋で尋問を受けた、ゴルシとナカヤマがゲロった情報によると、まだ首謀者が捕まっていない」

「何やってるんだか、あの二人はw」

「容疑者として上がったエルコンドルパサーは、アリバイが成立して無罪だ。因みに、ルクス関係でもない」

「クロ、どうしました?汗がすっごいですけど。キモイです」

「う、うん。ちょっとメガMAXが、予想以上にキツくて……あはは、やっぱり失敗飲料だったかな~」

 

 クロがプルプルしているような気がする。武者震いかな?

 まあいいや、本題に入ろう。

 

【クエスト①】

 

 ファイトクラブの首謀者にて無敗のチャンピオンが逃走中!!

 捜索と捕縛に協力してくれる人員募集。

 戦闘が予想されるので荒事が好きな方、腕っぷしに自身のある方だと心強いです。 

 

 首謀者と思われる者の名は……  

 

「俺たちの手で、この逃走犯『シュバルツ』を捕まえてやろうぜ!!」

 

ブーーーーッッッ!!!!」`;:゙`;:゙;`ゞ(゚ε゚ヽ)フ

 

ぎゃあああああーーー!!超強炭酸が目にぃぃぃーーー!メガMAXがぁぁぁーーー!!!

 

 シュバルツの名前を出した瞬間、それは起こった。

 クロが飲んでいた"ハジケてぇメガMAX"を、隣に座るシロの顔面に吹き出したのだ!

 

「クロ!?何をやっているんだ!」

「ご、ごめんなさい。メガMAXが気管に入っちゃって……ゲホゲホ」

「いや~盛大に吹いたねえww」

「直撃でしたww」

 

 アルとココは心配するよりも、笑う方を優先した。

 あーあー、もう「めがぁ~メガぁ~」と、のたうち回るシロが可哀そうでしょ。

 

「シロ、拭いてやるから、こっちにおいで」

「ふぇぇ、マサキさ~ん」(´Д⊂グスン

「大丈夫、泣かない泣かない」

 

 泣いていても可愛い!

 携帯しているハンカチで、シロの端正な顔を拭いてやる。

 幸運にも制服は無事な様だ。あの超強炭酸全てを顔面で受けきったのか、ひでぇなww。

 素早く拭き取ったので汚れは直ぐに落ちた。眼球にも異常なし。

 

「これでよし。いつもの綺麗で可愛いシロだ」

「ありがとうございます。目が若干ショボショボしますが、私は無事です」

 

 サトノダイヤモンド復活!

 復活したシロは、バツの悪そうな顔をしているクロを睨みつける。

 

「何してくれやがっているんですか!!この私に顔射とはいい度胸だな!!ああ!?」(# ゚Д゚)

「顔射言うな」

「ごめんねシロ。悪いのは全部、メガMAXだから許してね」

「私の顔を汚していいのは、マサキさんだけなんですよ!それをよくも!!」

「へぇー、汚してるの?」

「そういうプレイがお好みですか?言って下されば対応しますよ」

「はっはっは、何を言っているのかわからんな。シロ、誤解を生むような発言は控えるように」

「申し訳ないです。取り乱しました」

 

 キレた愛バは突拍子もないことを言うから困ったもんだ。

 「クロの隣は嫌だ」と言ったシロは席替えを提案、アルの隣に座わることにした。

 

 ハプニングがあり中断したが、話を戻そう。

 

「それでこの『シュバルツ』という奴を捕まえるクエストなんだが、どうする?」

「うちの生徒なんですよね。名前の他に情報は無いのですか?」

「正体不明だがメッチャ強いらしい。強者にしか興味がなく、いつか自分を倒してくれる存在を待ち望んでいるのだとか」

「典型的な戦闘狂か、(* ̄- ̄)ふ~ん」

「そいつ、黒髪で血のように赤い目じゃありません?」

「どうだろうな。そもそも目撃情報が少なくて……」

「マサキさん!」ガタッ

 

 急にクロが立ち上がった。皆の注目がそちらに向く。

 顔は真剣だ、何か大事なことを言うつもりだろう。

 ちょっと焦っているような気がしないでもない。

 

「どうしたクロ、シュバルツに何か心当りでもあるのか?」

「それなんだけど、このクエストを受けるのは待ってほしいの」

「どういうことだ?」

「私もさ、ほら、戦うの好きじゃん。だからその、シュバルツ?さんの気持ちが解る~と思って」

「ほう」

「シュバルツさんはね、たぶんだけど、純粋に強さを求めただけなんだよ。その結果ちょ~っと暴走して、意図せずめんどくさいことになった、それだけだと思うんだ」

「つまり、どうしたい?」

「シュバルツさん、私の知っている子かも知れないの。だから、まずは私が話して説得してみるよ。逃げずに出頭しろって」

「そ、そうだったのか」

「わがまま言ってごめん!でも、この案件は私に預けてほしい、お願いマサキさん!」

 

 上目づかいで潤んだ瞳を向けて来るクロ。

 仕方ないなあ、メッチャ可愛いな。このおねだり上手め!

 

「わかった。このクエストはクロに預ける。だが、俺たちの力が必要ならいつでも言えよ」

「うん!ありがとう、マサキさん」

「みんなもそれでいいな」

「「「……はーい」」」

 

 クエスト①はクロが容疑者に心当たりがあるとのことで、任せることにした。

 俺はてっきり、無敗のチャンプと戦えることに喜び勇んだクロが張り切ると思ったのに。

 犯人の説得をするだなんてな、これも成長ってことなんかね。

 

 ホッとした表情で席に着いたクロ。

 緊急事態を回避した直後のように、汗を拭っているのはどうしてだろう?

 そのクロをジットリした目で見ている他三名の愛バたち、クエスト受注に反対したことを責めているのだろうか?

 仲良くしなさいよ~。

 

 おススメのクエストはまだある。次行ってみよう!

 

「じゃあ次だ。これはスケールが違う」

 

【クエスト②】 

 

 学内で酒類が販売されているとのタレコミがありました!

 内密に調査した結果、大規模な組織的犯行だと判明。

        

 未使用教室での無許可販売に始まり、自販機でジュースを買ったらチューハイだった。

 食堂で暗号を言うと普通に出て来る。水道の蛇口から酒が!?等々。

 どの手口も、大多数の生徒が関わっている模様です。

 秘密の場所で密造酒の工場を運用しているとの噂もあり……

 ここまでの規模だと、何か大きな後ろ盾を持つ生徒が関係者ではないかと推測します。

 

 近々、目星を付けたアジトに強制捜査を行います。

 突入と関係者の捕縛を手伝って頂ける方を大募集!事務仕事も多数あるので戦闘苦手でも全然OK!

 とにかく数がほしいので、級位無しやチーム無所属の方も歓迎します。奮ってご参加ください。

 

 追記

        

 酒類以外にも、高級スイーツ、成分ヤバいプロテイン、ギャル語辞典?、アレなシーン多めの少女漫画等。

 これらも同時期に取引が開始されたようです。誰向けの趣味なのでしょうか?

 

「これ学内クエストですよね?マフィアが絡んでいるのですが」

「トレセン学園、いろいろと終わってるwww」

「最近、二日酔いで医務室に来る奴が多いんだよな。未成年でしょ!と説教しても聞きやしねぇ」

「どうせ、たづなさんの尋問受けたアホウマがいるんでしょ。何か他に情報は?」

「ドイツビールで酒盛りしていた、フラッシュとファル子が説教部屋で首謀者らしき奴の名前をゲロったらしい」

「すみません、サトノ家を代表して謝罪します。あの二人は減俸処分だ」

「アル姉、どうしたの?汗がすごいよ、無限力そんなにマズいの?」

「い、いえ。どうやら発汗作用もあるみたいで、オホ、オホホホホホ」

「笑い方、変!!」

 

 学園で行われる大規模組織犯罪、その首謀者は名前は……

 

「酒をこよなく愛する謎のウマ娘『ギガデイン』が俺たちのターゲットだ!!」

 

ブーーーーッッッ!!!!」`;:゙`;:゙;`ゞ(゚ε゚ヽ)フ

 

ぎゃあああああーーー!!臭っせぇウコンが鼻にぃぃぃーーー!無限力がぁぁぁーーー!!!

 

 ギガデインの名前を出した瞬間、それは起こった。

 アルが飲んでいた"ウコンの無限力"を、隣に座るシロの顔面に吹き出したのだ!

 

「アル!?何をやっているんだ!」

「ご、ごめんなさい。無限力がマズ過ぎてむせちゃいました……ゲホゲホ」

「これまた盛大に吹いたねえww」

「会心の一撃だww」

 

 クロとココは心配するよりも、笑う方を優先した。

 あーあー、もう「はながぁ~イデがぁ~」と、のたうち回るシロが可哀そうでしょうが。

 

「シロ、拭いてやるから、こっちにおいで」

「ふぇぇ、マサキさ~ん」(´Д⊂グスン

「大丈夫、泣かない泣かない」

 

 うん。やっぱり、泣いていても可愛い!

 携帯しているハンカチはさっき使ったので、鞄から予備のハンカチを取り出し、シロの端正な顔を拭いてやる。

 幸運にもまた制服は無事な様だ。ウコンの全てを顔面で受けきったのか、ひでぇ臭いだなww。

 素早く拭き取ったので、今回も汚れは直ぐに落ちた。鼻腔にも異常なし。

 漢方薬みたいな臭いは、しばらくすれば落ち着くだろう。

 

「これでよし。漢方臭のする綺麗で可愛いシロだ」

「あ、ありがとうございます。鼻が若干ツーンとしますが、私は無事です」

 

 サトノダイヤモンド復活!サトノダイヤモンド復活!

 復活したシロは、バツの悪そうな顔をしているアルを睨みつける。

 

「何してくれやがっているんですか!!この私に毒霧噴射とはいい度胸ですね!!ああ!?」(# ゚Д゚)

「ウコンの毒霧か」

「申し訳ありません、シロさん。悪いのは無限力が発動したせいなのです。イデに免じて許してください」

「私に匂いを刷り込んでいいのは、マサキさんだけなんですよ!それをよくも!!」

「へぇー、マサキからマーキングしてるの?」

「ズルい、ズルいなあ。私にも擦り付けていいからね、ね!」

「はっはっは、何を言っているのかわからんな。シロ、滅多なことを言うんじゃありません」

「申し訳ないです。取り乱しました」

 

 キレた愛バは突拍子もないことを言うから困ったもんだ。

 「アル姉さんの隣は嫌だ」と言ったシロは席替えを提案、今度はココの隣に座わることにした。

 

 ハプニングがあり中断したが、話を戻そう。

 

「それでこの『ギガデイン』という奴を捕まえるクエストなんだが、どうする?」

「うちの生徒なんだよね。名前の他に情報は無いの?」

「正体不明だがメッチャ強いらしい。他の幹部連中からの人望も厚く、その覇気は雷の如きだとか」

「ここにも雷使いかぁ、(* ̄- ̄)ふ~ん」

「そいつ、青髪でドスケベじゃありません?それに、ドラクエ好きだろ」

「どうだろうな。例によってコイツも顔を隠しているらしく、そもそも目撃情報が少なくて……」

「マサキさん!」ガタッ

 

 急にがアルが立ち上がった。皆の注目がそちらに向く。

 顔は真剣だ、何か大事なことを言うつもりだろう。

 ちょっと焦っているような気がしないでもない。

 

「どうしたアル、ギガデインに何か心当りでもあるのか?」

「それですが。このクエストを受けるのは、遠慮して頂けないでしょうか」

「どういうことだ?」

「私も酒を嗜む者ですから、その、ギガデイン?さんの気持ちが少し解るのです」

「ほう」

「ギガデインさんは、恐らくですけど、純粋にお酒を愛しているのでしょう。その結果少々暴走して、気が付いたら一大勢力になり困っている。それだけだと思うのです」

「つまり、どうしたい?」

「実はギガデインさん、私の知っている方かも知れないのです。ですから、まずは私が話して説得してみます。それと同時に、他の幹部たちにも話をしてみようと思います」

「そ、そうだったのか」

「無理を言って申し訳なく思っています!でも、この案件は私に預けてほしいのです。お願いします、マサキさん!」

 

 上目づかいで潤んだ瞳を向けて来るアル。

 仕方ないなあ、メッチャ可愛いな。このおねだり上手め!

 

「わかった。このクエストはアルに預ける。だが、俺たちの力が必要ならいつでも言えよ」

「はい!ありがとうございます、マサキさん」

「みんなも、それでいいな」

「「「……はーい」」」

 

 クエスト②はアルが容疑者に心当たりがあるとのことで、任せることにした。

 俺はてっきり、正義を重んじるアルが率先してクエストを受けるかと思ったのだが、柔軟な思考が出来るようになったな。

 これも成長ってことなんかね。

 

 ホッとした表情で席に着いたアル。

 緊急事態を回避した直後のように、汗を拭っているのはどうしてだろう?

 そのアルをジットリした目で見ている他三名の愛バたち、クエスト受注に反対したことを責めているのだろうか?

 ほらまたぁ、仲良くしなさいってばよ~。

 

 おススメのクエストはまだあるぜい。お次はこいつだ!

 

「これは何だろうな。悪戯?愉快犯?」

 

【クエスト③】 

 

 学園で屋台を無許可営業しているウマ娘がいます。

 例によって顔を隠しているので、犯人の正体は不明です。

 

 不定休で営業する神出鬼没の屋台にて、ラーメンを販売しているようです。

 「運よく見つけたら必ず立ち寄れ!あの絶品ラーメンを食い逃すと一生後悔するぞ」

 と、生徒だけでなく教職員の間でも噂になっています。

 

 それだけなら注意だけで良かったのですが、店主にはラーメンに並々ならぬ、情熱があるようなのです。

 麺の切れ端、スープの一滴、ネギの一欠けらでも残そうものなら、厳しい制裁が待っています。

 ある者は座っていた椅子ごと落とし穴にボッシュート。

 また、ある者はエンドレスな替え玉を強要されたり、アツアツの湯切り汁をかけられたり、全メニュー制覇まで帰れま10だったり……と、内容は違えど散々な目にあわされます。

 

 店主が「トレセンにラーメンを残す愚者は不要だ」と、言ったら最後だそうです。

 

 食堂でパスタ、うどん、そばを頼んだはずなのにラーメンが出て来る。

 ラーメンを勝手にマシマシマシ全部のせにされた。

 屋台の店主は、これらの事件にも関与している疑いがあります。

 

 迷惑なので店主を捕まえた後、説教部屋に放り込む予定です。

 激しい抵抗が予想されるので、客を装ったおとり捜査を検討中!

 ラーメンを食べながら取り締まりをやってみたい!そんな方を募集しています!

 

「ホント、いろんな奴がいるなw」

「うちの学園ww無法地帯www」

「俺、まだ遭遇したことないんだよな。そんなに美味しいなら、一回食ってみてぇなあ」

「被害者のアホウマに知り合いはいた?」

「チャーシュー丼を頼んだライスは落とし穴に、ふざけて"うどん"を頼んだボンさんは、なぜか座席ごと上空に打ち上げられたそうだ」

「それは二人が悪いww」

「その屋台、どういう仕組みだww」

「ココさん、どうしたのですか?そんなに汗をかいてしまって、背油が喉につまったのかしら」

「ち、違うよ。代謝のいい私は背油を全身全霊でデトックスしているというか、汗=背油みたいな?」

「なにそれ怖いです」

 

 学園(無法地帯)に現れる無許可のラーメン屋台、ギルドがその店主につけたコードネームは……

 

「ラーメンを愛し過ぎた妖精『デスラー総統』に会ってみたいと思わないか!!」

 

ブーーーーッッッ!!!!」`;:゙`;:゙;`ゞ(゚ε゚ヽ)フ

 

ぎゃあああああーーー!!濃厚背油が口にぃぃぃーーー!ギトギトじゃぁぁぁーーー!!!

 

 デスラー総統の名前を出した瞬間、それは起こった。

 ココが飲んでいた"飲むぞ!濃厚背油ギトギト風味"を、隣に座るシロの顔面に吹き出したのだ!

 

「ココ!?何をやっているんだ!」

「ご、ごめん。シロちゃんにチューしたい願望が炸裂しちゃった……ゲホゲホ」

「チュー魔人は健在かww」

「なるほど、離れた位置から口移しを狙ったのですねwwおぞましいですww」

 

 クロとアルは心配するよりも、笑う方を優先した。

 あーあー、もう「おのれ~ぢゅーまじん~」と、のたうち回るシロが可哀そうでしょうが。

 

「シロ、拭いてやるから、こっちにおいで」

「ふぇぇ、マサキさ~ん」(´Д⊂グスン

「大丈夫、泣かない泣かない」

 

 こんなに可愛いのに、どうしてみんなシロの顔面にタゲ集中するのだろう?

 俺のハンカチはもう品切れなので、クロが鞄に常備していたタオルを受け取り、シロの端正な顔を拭いてやる。

 またしても制服は無事な様だ、三回も口撃されたから、もう幸運とは言えないが。

 濃厚背油の全てを顔面で受けきったのか、口に入ったww笑ってごめんww。

 素早く拭き取ったのだが、今回は油汚れなのでテカリが残った。

 口内に異常はないが、精神のダメージは大きいみたいだ。ちゅー魔人とは何ぞや?

 

「こ、これでよしにしてくれ。油でテカっていても、シロは綺麗で可愛いぞ」

「お優しいマサキさん、ありがとう……もうヤダ!今すぐ口内洗浄したい、私は無事ではないです!」

 

 サトノダイヤモンド復活!サトノダイヤモンド復活!サトノダイヤモンド復活!?

 復活した?シロは、バツの悪そうな顔をしているココを睨みつける。

 

「何してくれやがっているんですか!!この私に関節チュー砲撃とはいい度胸ですね!!あああああああああサイアクサイアクサイアク!?」(# ゚Д゚)

「意味が解らんww」

「ごめんってば、濃厚背油でシロちゃんとの濃厚キッスを思い出したんだよ、許してよ~」

「私の口内を犯していいのは、マサキさんだけなんですよ!それをよくも!!」

「マサキさん、シロの口内を蹂躙してるの?」

「口づけだけでメロメロに////羨ましいです////」

「はっはっは、何を言っているのかわからんな。シロ、恥ずかしいから、もうやめてー!」

「申し訳ないです。取り乱しました。後で上書きのチューを所望します」

 

 キレた愛バは突拍子もないことを言うから困ったもんだ。

 「こいつらの隣は嫌だ」と言ったシロは席替えを提案、俺の隣へ寄り添うように座わった。

 

 ハプニングがあり中断したが、話を戻そう。

 

「それでこの『デスラー総統』という奴を捕まえるクエストなんだが、どうだろう?」

「やる気が出ません。そもそも、こんな奴に会いたくない」

「ラーメンの妖精さんが、どうしてデスラー総統と呼ばれるのでしょうか?」

「元々"デスラーメン"だったものが、マイルドになって"デスラー総統"になったらしいぞ」

「総統閣下のどの辺がマイルドなんだかw」

「正体不明だがメッチャ強いらしい。やってることはふざけているが、自慢のラーメンは是非食べてみたい」

「ラーメン好きの変人か、何処かで聞いたような」

「そいつ、キス魔じゃありません?それに、本名が卑猥な単語を含んでます」

「どうだろうな。例によってコイツも顔を隠しているらしく、そもそも目撃情報が少なくて……」

「マサキ!」ガタッ

 

 急にがココが立ち上がった。皆の注目がそちらに向く。

 顔は真剣だ、何か大事なことを言うつもりだろう。

 ちょっと焦っているような気がしないでもない。

 

「どうしたココ、デスラー総統に何か心当りでもあるのか?」

「えーと、このクエストを受けるのは、やめてほうがいいんじゃないかな」

「どういうことだ?」

「私もラーメン好きだからね。その、デスラー?閣下の気持ちが解る気がするんだ」

「ほう」

「総統閣下は、きっと、純粋にラーメンを愛しているんだよ。その結果少々暴走して、クソ客にムカついた、それだけなんじゃないかな」

「つまり、どうしたい?」

「実はね、総統閣下は私の知っている人かもしれないの。ということで、最初に私が話して説得してみるよ。同じラーメン好きとして、心から語り合えると思うから」

「そ、そうだったのか」

「ごめんね!でも、この案件は私に任せてほしいな。お願いマサキ、このとおり!」

 

 上目づかいで潤んだ瞳を向けて来るココ。

 仕方ないなあ、メッチャ可愛いな。このおねだり上手め!

 

「わかった。このクエストはココに預ける。だが、俺たちの力が必要ならいつでも言えよ」

「そう言ってくれると思った!ありがとう、マサキ」

「みんなも、それでいいな」

「「「……はーい」」」

 

 クエスト③はココが容疑者に心当たりがあるとのことで、任せることにした。

 俺はてっきりココが、ラーメン界の評価を下げる敵としてデスラーを始末する気になるかと思ったのに。

 敵であってもまずは対話を試みるか、これも成長ってことなんかね。

 

 ホッとした表情で席に着いたココ。

 緊急事態を回避した直後のように、汗を拭っているのはどうしてだろう?

 そのココをジットリした目で見ている他三名の愛バたち、クエスト受注に反対したことを責めているのだろうか?

 ホント君たちはもう、仲良くしないといかんぜよ。

 

 おススメのクエスト、次で最後だ。

 俺的には苦手なジャンルのクエストだが仕方ない。頼む、これで決まってくれい。

 

「これがラスト。ちょっとホラーなヤツだ」

 

【クエスト④】 

 

 謎の怪人の討伐をお願いします。

 

 学園の裏掲示板等で"とある人物"について誹謗中傷をした。

 又は、特定のキーワードを打ち込んだ者の前に、怪人が現れるそうなのです。

 

 怪人は体から触手を生やした恐ろしい外見をしており、何処へ逃げ隠れても追いつかれ襲われるのだとか。

 被害者は心に深い傷を負い、一様に口をつぐむので例によって正体不明です。

 

 ネットのみ都市伝説だったはずが、被害者が実在するこで信憑性のある事件として認定しました。

 なお、ネット上の書き込みだけでなく、口づての悪評にも怪人は反応するそうなので注意です。

 

 怪人は"とある人物"にちょっかいを出さなければ無害だったのですが。

 調子に乗ったのか、今ではSEGAをバカにした者、ある食材をマズいと言った者、モース硬度の高い宝石をディスった者も襲うらしいです。

 

 噂を怖がって不登校になる生徒も出ているようです。

 事態を重くみた学園上層部は、怪人を捕縛ではなく討伐することにGOサインを出しました。

 命知らずの方、学園の伝説にその名を刻みたい方、「怪人?面白れぇじゃん」と思ったかませ犬の方、緊急大募集中!!どうか力を貸して下さい!!

 

 ※とある人物の情報はプライバシー保護の観点と、怪人の報復が怖いので言及しません。

 

「特級呪霊じゃんww」

「誰かw五条先生呼んで来てww」

「な、怖いだろ?俺一人なら絶対受けないクエストだよ」

「襲われたとありますが、被害にあわれた方は何をされたのでしょう?」

「うーん、触手がどうとか、うわ言を繰り返すだけで要領を得ないらしいぞ」

「触手か…やったねアル、出番だよ!」

「わかりました、私が襲われているうちに……って、最悪なおとり役です!?」

「シロ、どうしたの?汗がダラダラだよ、カルピスの比率ミスった?」

「違います。炭酸とウコンと背油を浴びて絶不調なだけ、放っておいてください」

「いや、もう風呂入れよ」

 

 学園を恐怖のどん底に落とした怪人、そいつはこう呼ばれている……

 

「戦慄の触手怪人『Ⅾ様』だってよ!ひぃぃ怖ぇぇぇ!!」

 

ブーーーーッッッ!!!!」`;:゙`;:゙;`ゞ(゚ε゚ヽ)フ

 

ぎゃあああああーーー!!シロのカルピスがぁぁぁーーー!ありがとうございます!!

 

 Ⅾ様の名前を出した瞬間、それは起こった。

 シロが飲んでいた"ただのカルピス"を、隣に座る俺の顔面に吹き出したのだ!

 

「シロ!?何やってるの!」

「す、すみません。突発的な逆流性食道炎になってしまい……ゲホゲホ」

「汚ないなあ。それでマサキの愛バを名乗るつもり?」

「大丈夫ですかマサキさん!シロさん、お下品にも程がありますよ!」

「ケホッ……どの口が言ってるのですか」

 

 ココとアルは俺を心配しつつ、シロを罵ることにした。

 ちゃっかり自分のことは棚に上げていらっしゃる。

 あーあー、もう。のたうち回ったりはしないけど、顔面がカルピスまみれだよ。

 「美少女の口から噴射された液体を浴びるなんて、ご褒美ですね!」と幼馴染の男は言うだろうか。

 

「マサキさん。自分のしでかした不始末は責任もって処理します、どうかこちらへ」

「ふぇぇ、シロ~」(´Д⊂グスン

「大丈夫ですよ、泣かない泣かない」

 

 シロに手招きされたので近づく、懐からハンカチを取り出した彼女は、優しく丹念に俺の顔を拭いていく。先程までと立場が逆転しているが、これはこれでいいものだ。

 

「ああ、マサキさんのお顔が、なんてことでしょう///」

「カルピスの糖分で、ちょっとベタベタするな」

「マサキさんのお顔が!私の発射した白い液体でベタベタになってますぅぅぅ!

「おい、何言ってんだ」

「うへ、うへへへ、なんという背徳的で退廃的で魅力的な光景なのでしょう」

「シロ!そっちに行ったらダメだ、戻ってこい」

「フゥー…フゥー…ゾクゾクムラムラしてきました。もうダメです!」

「ちょ、何を」

「……ぁむ……レロ」

「「「サトイモォ!お前ゴラァ!何してんだぁーー!!!」」」

 

 興奮したシロが唐突に俺の顔を舐めて、カルピスをその舌で舐めとっているだと!

 そりゃ他の三人がキレるわけでして、俺は動くに動けないわけでして。

 

「くすぐったい///やめ」

「フフ、逃げないで…全部綺麗にしてあげますから……チュッ」

「あう////」

 

 舐めるだけじゃなく、頬をついばむようなキスもしてくるシロ。

 もうなすがままですわ。

 

 (なんだコレ?シロとマサキさん、二人の世界に入っちゃった!?)

 (頬舐めプレイは私の十八番ですよ!許せません!!)

 (なるほどなるほど、そういう風にやるんだ。へぇー)

 

 クロ、アル、ココの嫌な視線を感じながらも完遂するシロは凄いと思った。

 最後に再びハンカチで水分を拭き取ってくれる。

 

「これでよしです。いつものカッコイイ、素敵なマサキさんですよ」

「あ、ありがとう///でも、今見たいなのは、みんなの前ではちょっとね、恥ずかしいからね」

「はい。次は二人きりで、もっとイイ事しましょうね♪」

「お、お願いします!!」

 

 アンドウマサキ復活!!!ここまでされて復活しないのは男じゃねぇ!

 うちの愛バはみんな攻め好きで困りますな!(/ω\)イヤン

 

 ハプニングがあり中断したが、話を戻そう。

 

「で、この『Ⅾ様』どうするよ?」

「殺るしかないね」

「殲滅あるのみです」

「とりあえず息の根を止めてみようよ」

「え、何?さっきまでと違って随分やる気じゃん。こいつ、正体不明の上に結構強そうだけど、大丈夫か?」

「問題ないよ。触手を全部引きちぎってやる」

「触手ですか、まさか尻尾だったりしませんよねww」

「そいつ、顔面セーブが得意でしょ?それに、無駄に頭いい癖に凄いバカだよ!」

「どうだろうな。目撃した奴はみんな怯えて話が聞けないから……」

「マサキさん!」ガタッ

 

 急にがシロが立ち上がった。皆の注目がそちらに向く。

 顔は真剣だ、何か大事なことを言うつもりだろう。

 ちょっと焦っているような気がしないでもない。

 このやり取り4回目ッッッ!!!

 

「どうしたシロ、D様に何か心当りでもあるのか?」

「このクエストを受けるのは、やめましょう!D様に関わってはいけません!」

「どういうことだ?」

「私には解るのです。D様の御心が」

「ほう」

「D様は、きっと、絶対、心底"とある人物を"愛しているのですよ。その結果少々暴走して不届き者たちを、成敗したのではないでしょうか?ええ、そうに決まっていますとも!!」

「つまり、どうしたい?」

「そっとしておきましょう。学園のみんながD様を恐れ敬うことで学園の、ひいては世界の平和が保たれるのです」

「そ、そうは言ってもな、D様は危険なんだろ?だったら俺たちで何とか……」

「呪われますよ?」

「え、嘘、ヤダ」

「祟られても、いいのですか?」

「ひぃぃぃ!ごめんなさい!許してD様!!」

「ご安心を、マサキさんは何があっても私が守ります。と言うことで、D様の件は私に一任してください」

「シロ一人にか!?いくら何でもそれは」

「操者の為なら特級呪霊もなんのそのですよ!いいから、任せてください」

「そこまで言うのなら」

 

 豊かな胸を張りD様から俺を守ると誓うシロ。

 頼りになるなあ、メッチャ可愛いな。最高じゃないか!

 

「わかった。このクエストはシロに預ける。だが、俺たちの力が必要ならいつでも言えよ」

「はい、その時はお願いしますね!」

「みんなも、それでいいな」

「「「……ちっ」」」

 

 クエスト④はシロに任せることにした。

 情けないが、呪霊相手じゃビビりの俺は足手まといだ。もっと強くならないとな。

 

 やり切った表情で席に着くシロ、汗を拭う姿は色っぽい。

 そのシロをジットリした目で見ている他三名の愛バたち、クエスト受注を独り占めしたことが気に入らないのか?

 な、仲良くしようよ。それでみんなが幸せになるといいな~。

 

 むむ、チームで受けるはずのクエストが全てボツになってしまった。

 日課の修練まではだいぶ時間があるのだが、今からどうしよう?

 もう一度ギルドに行って、他のクエストを紹介してもらうべきか。

 

「ねえ、マサキ」

「なんだいココ」

「シロちゃんだけだと、不公平だよね」

「何がじゃい」

「だからさぁ。私もマサキにぶっかけていいよね!」

「いいわけあるか!」

 

 何考えとんねん!今、綺麗にしてもらったばかりでしょうが。

 ぶっかけるって何を?まさか、そのギトギト背油じゃないだろうな?

 

「そうですね。不公平だと思います」

「アルまで何を」

「マサキさんにぶっかけたい衝動に駆られた!これはやるっきゃない!」

「クロ、駆られるな!」

「カルピス二週目、行っちゃいます?」

「行かないです」

 

 ヤバい!囲まれた。これはよくない、非常によくない流れだ!

 リンクで繋がっているせいなのか、愛バ一人が暴走すると他も釣られる傾向にあるんだよな。

 

 やめろ!口に妙な飲料を含むな!!

 嫌ッ!嫌よ!

 超強炭酸とウコンと背油とカルピスの一斉砲撃は嫌ぁぁーーーー!!!

 堪忍して、メガMAXで無限力なギトギト白濁液は無理なのよ!!!

 

 ちょっと距離を取って逃げる。ちっ、出入り口を塞がれた!

 ぐっ、このままではせっかくリフォームした基地を破壊しなくてはいけないかも。

 

ぶっかけ反対!ぶっかけ祭りはダメ絶対!みんな正気に戻って!」

 

 俺の願いが通じたのか、口に含んだ飲料を一旦飲み干す愛バたち。

 

「むー。こうも拒否されては、よろしくないですね」

「そうだね。マサキさんを追い詰めたい訳じゃないから」

「マサキがぶっかけに同意してくれるような条件を、こちらから提示するのはどうかな?」

「同意はしないよ!?」

「はい、私にいい考えがあります」

 

 元気に挙手するアルに、全く持って不安しか感じない。

 

「公平、平等、対等、いい言葉ですね」

「そうか」

「操者と愛バ、マサキさんと私たち、そうあるべきだと判断します」

「そうだね」

「つまり、マサキさんはこう仰るのですね『一方的にぶっかけられる関係は嫌だ!』と」

「「「なるほど~」」」

 

 変な演説始まっちゃった。

 

「私は考えました、そして思いついたのです『ならば、互いにぶっかけ合えばいいのでは?』と」

「「「おお~」」」

 

 おお~じゃない!感心するところ違う、今のは呆れるところだ。

 

「今は、私たちがマサキさんにぶっかけます

「拒否します」

「後日、いえ、今夜にでも、マサキさんが私たちにぶっかける。これで万事解決です!!」

「「「完璧なプランニングだ!!」」」

「何がだよ!?」

 

 最良の結果を導き出した顔やめろ!

 しまった!アルはエロ関係に舵を切ると、途端にアホの子になるんだった。

 ご先祖が、あのハチャメチャドラゴンだったの忘れてた!

 

「さっきから聞いていれば、ぶっかけぶっかけ、やかましいわ。何?俺はお前たちにクスハ汁を噴射すればいいのか?」

「違います!もう///わかっていらっしゃる癖に////」

「はぁ~聞こえんなぁ~?」

「マ、マサキさんの、その////せ、せ、せい……」ポッ

「「言わせねぇよ!!!」」

 

 クロとココが止めに入った。そうそう、この狂った状況はもうやめましょうね。

 

「マサキさんの体内で生成されるアレを浴びたいそうですよ。真性のドスケベですねww」

「「お前が言うんかい!」」

「固有名詞を出してないので、セーフです」

「ほぼ言ってるじゃん。マサキさん、答えをどうぞ」

「因みに血液ではないよ」

「唾液でも胃液でも涙でもありません」

胆汁かな」

「「「「そう来たかwww」」」」

 

 ※胆汁とは

 肝臓の肝細胞で生成され、十二指腸に分泌される黄褐色の消化液。 いったん胆嚢(たんのう)に集められ、必要に応じて分泌される。 主成分は胆汁酸・胆汁色素で、脂肪酸の消化・吸収を容易にする。 

 

 医療関係者なめんなよ。人間の体内にはいろんな液体が分泌されているのです。

 勉強になったね~。

 

「くっ、こうなったら強行突破です!」

「わーい!ぶっかけ祭り開催だぁーーー!」

「受け止めて、私の背油ww」

「一週目が終わったら教えてください。私、向こうで漫画でも読んでますね」

「待てシロ!お助けーーー!」

 

 D様からは守ってくれるのに、愛バたちからは守ってくれないのかい!

 きゃーーー!壁際に追い詰められた。

 何やってんの?いやホント何やられようとしてんの?わけがわからないよ。

 

「「「ぶっかけぇ!ぶっかけぇ!ぶっっっかっっっけぇぇぇ!」」」

 

 クロ、アル、ココが壊れてしまった。元々壊れているとか思った君はクスハ汁を飲もう!

 

「うるせーーーー!」

「どこの邪教徒ですかwww禍々しいwww」

 

 ヴォルクルス教団など、目じゃないぐらいの狂気を孕んで爆誕した"ぶっかけ教"

 この邪教は即刻、弾圧して滅ぼすべきだと思う。

 

 さあ、どうするマサキ。

 愛バが混乱の状態異常にかかった場合の対処方は、えーと、えーと……

 

だ、駄目っスよぉぉ―――ー!!

 

 ピンチに救いのヒーロー現る。

 基地の出入り口を外側から開けて突入して来た存在により、ぶっかけ祭りは中断を余儀なくされた。

 セーフ!!!

 

「神聖な学び舎で"ぶっかけ祭り"を開催するなんて言語道断!」

 

「風紀委員のアタシが来たからにはもう……へぶっ!」

 

 ちょwwまだ何か言いかけていたのに、クロが無言のボディブローで侵入者を黙らせた。

 

「ビックリしたぁ。誰こいつ?」

「ブーさん」

「タケチヨ」

「バンメモ先輩ですよ」

「統一感皆無かwwおーい、大丈夫か~」

 

 ヒーリングをしてやると直ぐに起き上がった。元気なのね。

 

「うう、酷いっスよキタちゃん」

「あ、バンメモさんだったの。ごめんなさい、肋骨大丈夫?」

「鍛えてますから平気っス。それより、ぶっかけ祭りは?」

「は?」

「はぁ?」

「あら?」

「頭大丈夫?」

「お前、何言ってんだ?」

「いやいやいや!!僅か数分前の出来事っスよ。何、なかったことにしてるっスか!」

 

 ぶっかけ祭り???何の事だかわからないよ。

 打ち所が悪かったのか、バンメモは記憶が混濁しているようだ。

 

「ぶっかけ祭りだなんて、いやらしい」

「風紀委員の癖に、普段からエロい妄想してるんでしょ」

「ムッツリさんでしたか」

「バンメモ改め、ムッツリーニですねwww」

「マサキさん!お宅の愛バはどうなってるんスか!操者としての監督責任を果たしてくださいっス」

「ん?愛バたちには何も問題はないぞ。いつも通り綺麗でカッコ可愛い」

「わかった!諸悪の根源は操者のアンタっス」

「失礼なことを言うなよ、ムッツリーニwww」

「バンブーメモリーっスよぉぉーーー!」

 

 バンブーメモリー

 トレセン学園の風紀委員として活躍する生真面目なウマ娘。

 額には白いハチマキを締めており、自分にも他人にも厳しい子だと思う。

 少々融通が利かない性格だが、真っ直ぐな思いや行動は善性から来るもので好感が持てる。

 

 旅の途中で出会った時は、快く覇気を提供してくれた。

 お礼に、近隣住民に迷惑をかける半グレ集団を潰す手伝いをしたんだったな。

 

「ぶっかけ祭りは確かにあったんスよ。おかしいのはアタシじゃない、マサキさんたちなのに」

「はいはい。せっかく来たんだ、お茶でも飲んで行けよ」

「かたじけないっス」

「そもそも、天下の風紀委員が盗み聞きはよくないです」

「聞きたくて聞いたわけじゃ、そうだ!チーム"ああああ"に用があったんス!」

「ほう、何でしょうか?」

「風紀委員会からのヘルプ要請っス」

「それは、クエストの依頼と受け取っていいのかな?」

「はいっス。今、どこのチームも出払っていまして、アンタらしか頼れるチームがないんスよ」

「どんなクエストか聞かせてもらおう、受けるかどうかは内容次第だ」

 

 これは渡りに船ってヤツだな。

 

【緊急クエスト】 風紀委員会と共に闇市のガサ入れをしよう。

 

 不定期に開催される闇市、通称『魍魎(もうりょう)の宴』が開催されるとの情報を掴みました。

 

 この闇市で販売されるのは、過激な内容の同人誌がメインであり、ジャンルはBLにガチレズはもちろん、多種多様な性癖に対応した商品が並んでいます。

 無許可で金銭のやり取りをしている、R—18を超える作風も問題ですが。

 作品に登場するモデルが明らかに、学園に在籍する生徒や教職員だとわかるのが、非常にマズいです。

 

 「本人の許可とってねーだろ!いい加減にしろや!」

 勝手に出演させられた被害者たちは、闇市の元締めに怒り心頭です。

 

 闇市にガサ入れし、一斉摘発を行います。

 その際、元締めである『でじターン』という人物を探し出し現行犯逮捕してください。

 現場には風紀委員会の人員が同行します。協力して事にあたってください。

 

「こんなんばっかww」

「でじターンwww」

「コレ、いいんじゃない」

「ですね。最初のクエストとしてお手頃だと思います」

 

 愛バはやる気になっている。

 クエストを受けることに異存はない、俺も"でじターン"には言いたいことあるし。

 

「このクエスト、決行日時は?」

「今日っス!後、15分後には突入する予定っス」

 

 愛バたちを見る。全員が頷いたのを確認。

 よっしゃ、決定だな。

 

「クエストを受ける。よろしく頼むぜ、バンメモ」

「おお!それでこそマサキさんっスよ!こちらこそよろしくっス」

 

 バンメモと握手する。契約成立だな。

 

「チーム"ああああ"出撃じゃあ!お前ら、気合入れて行くぞ!」

「「「「了解!!!!」」」」

「士気は高いっスね。期待してるっスよ」

 

 さあ征きますか!!

 

 でじターン、一体どこの変態(アグネス)なんだwww

 

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