幼女化したことを報告するべく姉さんと一緒に理事長室へ。
丁寧にノックしてから、いざ入室。
「失礼します」
「しつれいします」
「おお、たづな。校門前が騒がしかったようだが……何それ?」
理事長の秋川やよいは目をパチクリさせながら、自らの愛バが抱く見慣れぬ生命体を指差した。
小さくて大変愛らしい銀髪の幼女である。
『それ』と言われてしまった。どうも俺です。
「俺だ!」
「誰だ!?」
「私の娘よ」
「マジか!?」
「嘘だッ!!」
「間違えた、妹よ」
「初耳ッ!マサキ君の他にも姉妹がいたのか?」
「バカなこと言わないで、私の妹はマサキだけよ」
「俺がそのマサキっスよ、理事長」
「……縮小ッッ!?」
理事長は大変頭の良いお方、今のやり取りだけで大体の事情を察してくれたようだ。
女体化した時と同じく、俺は事の経緯を説明した。
「理解ッ!テコ入れとはまた、愉快な思いつきをするものだ」
「本当よね。でも、そのおかげで小さなマサキに会えたことは感謝するわ」
お二人とも、他人事だと思って楽しんでいる場合ではないですぞ。
当事者の俺は不安と期待でいっぱいなのにー。
「その状態で業務は可能なのか?」
「はい。見た目はこんな感じですが、就業意欲に満ち溢れていますよ」
姉さんの大量出血(鼻血ブー)を治療できたことからヒーリングは使用可能、知識や記憶も大人だった頃のまま正常だと思う。
よって、仕事はできると判断する。
「うむ。本人がそう言うのならば、しっかり働いてもらおう。しかし、その体では何かと不自由だろう?」
「おっしゃる通り。このロリボディ、かなり貧弱虚弱なんですよ」
登校時のエピソードを交えつつ、今の俺は体力も運動能力も著しく低下しているということを説明した。
まだこの体に慣れていないせいだとも思うが、普段通り体が使えないのは辛い。
「そうなると、問題は移動だな」
「ですよね」
トレセン学園の敷地は広大だ。
授業を行う場所によっては、かなりの距離を移動しなくてはならないことが多々ある。
従って、学園内には自転車やセグウェイの無料貸出ポイントがいくつも点在する。
申請すれば自動車やバイクでの移動も許可される。、つまり、それぐらい広いってことなんだよね。
脚力に自信があるウマ娘たちは広大な敷地面積をものともしないので、不平不満はあまり上がってこない。
しかし、今の俺には死活問題である。
理事長室、教職員室、医務室、授業を行う教室、チームの拠点、食堂、旧校舎・・・
一日に移動する場所の例を挙げてみたけど、あっちに行ったりこっちに行ったりしている。
急患が出れば場所が何処だろうと駆けつけなければならない。それが医務室を任されている者の責務だと思う。
思うんだけど・・・マズいな、移動だけで力尽きることが目に見えてる。
「将来的には転移陣を各所に設置して、学園内を瞬間移動する構想があるのだが……」
「机上の空論を述べても仕方ないわ。今はマサキをどうするかよ」
転移陣の設置は非常にお金がかかることで有名だ。理事長はとても贅沢な設備投資を考えているんだな。
そもそも陣を構築できる術者が自体が希少であり、設置後の定期メンテナンスも莫大な費用がかかる。
ガッちゃんのように大人数を一度に転移させられる術者は例外中の例外だと思っていい。
転移陣は贅沢で、転移術を使える=『マジですげぇ!』てことだ。
ないものねだりしても仕方ない。
すっと愛バや姉さんに抱っこしてもらうわけにもいかないし。
「私は構わないわよ?」
「俺が構うんだよ」
俺のせいで愛バの学業やクエスト、姉さんのお仕事が疎かになるなんてダメだろ。
そんなことになるぐらいなら、家でじっとしていた方がマシだ。
他力本願になってしまうが、ここは頼れる仲間たちの力を借りたいと思う。
「移動は多分、大丈夫だと思います」
「どうする気?」
「暇人じゃなかった…友人たちに強力してもらえないかなーと思ってさ」
持つべきものは親切な友人知人たちだ。
俺の自惚れでなければ助けてくれると思う。最悪、何か報酬を払ってもいい。
「納得ッ!マサキ君の人望が試されるな。教職員たちにもサポートをお願いしておこう」
「助かります」
「マサキは変なのに好かれる体質だもの、その中から運搬要員を見繕うぐらい楽勝よ」
その"変なの"に姉さんも含まれているのでは?と思ったが、言わぬが花。
これで移動の件には目処がついた。
「幼女化した理由の説明はどうしましょう?」
「無論ッ!
「それがベストな選択です」
悪いなタキオン、今回も利用させてもらうぜ。
恨むなら許可を出した理事長を恨め。
「不思議だな。あのマサキ君がこうも可愛らしくなるとは」
「マサキは生まれた時からずっと可愛かったのよ」
「照れるぜ////」
姉さんの褒めっぷりに照れてしまった。
小さくなった俺を観察して、しみじみと呟く理事長。
ん?何か姉さんを羨ましそうに・・・もしや?
「あの、抱っこしてみますか?」
「え!い、いいのか?ならば是非ともお願いしたい」
「冗談じゃないわ!ロリにロリが抱っこできる訳ないでしょう」
「姉さん、いいから理事長に俺をパスしてくれ」
「くっ……いいわね、やよい。絶対に落とすんじゃないわよ!」
「わ、わかった」
姉さんが職務を忘れて理事長を名前で呼んだ。緊張しながら俺を受け取る理事長。
そうそう、尻をしっかりホールドして俺もぎゅっと抱き着けば、抱っこスタイルの完成だ。
「おお、おおお。何だコレ?すごく満たされた感じだ。今、私の母性本能が覚醒している!」
理事長は感動していた。
普段は可愛がられる側だからな、自分が可愛がる側になって嬉しいのだろう。
俺を見てニヤける理事長の愛らしい顔がすぐそばに・・・照れるけど、なんか嬉しい。
「ああ~カワイイ。可愛いなぁマサキ君は」
「おまかわ」
「満足ッ!よしよしだ、よしよし」ヾ(・ω・`)
「キャ、なんか新感覚」(≧∇≦)
ロリに抱っこされるロリ(俺)です。
甘やかしたいと思った相手に、逆に甘やかされるのも、また幸せなり。
なるほど。こういう楽しみ方もあるのか、幼女化いいじゃん!すげぇじゃん!
理事長に抱っこされている間、姉さんはスマホカメラの動画撮影に必死だ。
満足するまで撮影し終わると、理事長から俺を奪い返そうとする。
「もういいでしょ。マサキを返しなさい」
「もう少し、後ちょっとだけ」
「俺のために争わないでー。だから引っ張ったらアカンて!」
幼女な俺はデリケートなのです。丁寧かつ慎重に扱って頂きたい。
〇
ぴんぽんぱんぽーん・・・校内放送を告げる音が学園に鳴り響く。
『えー緊急連絡~緊急連絡。全校生徒並びに教職員の皆さんへ、ご報告があります』
『先日、素晴らしい女体化を披露して話題沸騰中のアンドウマサキ教官ですが」
『今度は幼女になってしまいました!意味がわからない上に大事な事なのでもう一度言います』
『マサキ教官が!幼女に!なって!しまいましたぁ!』
スピーカーからの音声が俺の現状を通達した。
荒ぶる放送担当者が『私は狂っておりません大真面目です』と震える声で付け加えていた。
学園内の各所でリアクションに伴う叫びがこだました気がする。みんな元気ね~。
『つきましては、マサキ教官のお世話係を募集したいと思います。主に移動を"おんぶ"or"抱っこ"で補助してあげましょう。我こそはと思う方は本人に直接申し出て下さい。なお、愛バの4名とかち合った場合は速やかに撤退することを推奨します・・・』
よしよし、これで学園中に伝わったと思う。
ここまでやってお世話係を名乗り出てくれるの人がゼロだったらへこむ。
まあいいや。気持ちを切り替えて、お仕事お仕事~。
理事長室で話をした後、教職員室に場所を移してのお披露目会があった。
またしても驚愕することになった同僚たち、最終的には『もう好きにしれくれ』と理解することを放棄して呆れていた。すまんのぅ。
後ろ髪を引かれまくる姉さんと別れて、自分のデスクに向かう。
事務仕事の時間ですー。
「うんしょっ、と」
体が小さいので椅子に座るのではなく、よじ登る感じになる。机が随分と広く感じるぜ。
「ふぅ。てなわけで、よろしく」
席が近い同僚たちに挨拶する。彼らは俺が椅子から落ちないかハラハラしていたようだ。
危なっかしくてすんません。
あ、隣席のミオがすっごい目で見てる。何その熱い視線は、見物料取るわよ?
「何やってんの?マジで何やってんの?」
「やったというか、やられたというか」
「私にはもう、マサキが何をしたいのかわかんないよ」
それは俺ではなくシャミ子に言ってほしい。
考えるのをやめた同僚たちとは違い、ミオはまだ俺について頭を悩ます余裕がある。
「そんな体で仕事できるの?」
「甘く見るなよ。体は子供でも頭脳は大人だぜ」
「マサキの頭脳、普段から三歳児以下じゃん」
「まあ!失礼しちゃうわ。こうなったら仕事で結果を出してみせる」
「いい子だなマサキは、飴をやろう」
「わーい。ありがとうゲンさん!」(*´▽`*)
「ゲンちゃん。甘やかさないで!」
ゲンさんは優しいし、ミオも何だかんだで手伝ってくれる。両隣がこの二人でよかった。
一通りの書類を整理し終えた。
俺が問題なく事務処理をすると『えらい』『よくやった』とみんなから褒めてもらった。
その際に、頭を撫でられたりお菓子をもらったりする。
「これが幼女の役得か」
「何言ってんだか、お菓子食べ過ぎないようにね。虫歯になっても知らないよ」
ミオの忠告はありがたく受け取っておく。お菓子は後ほど愛バたちとありがたく頂戴しよう。
「うちの師匠より小さくなっちゃって、大変だったわね」
「先輩~」スリスリ
「テュッティ、抱っこしてるの、あのマサキだからね?見かけに騙されないでよ」
「別にいいわよ。ちょっとぐらい甘えても嫌な気はしないわ」
「パイセンさすがや~それでこそや~金髪巨乳は最高やな~うぇへへ」
「本音が!?マサキの邪悪な本音が漏れてる!」
「あらあら、仕方のない子ねw」
憧れのテュッティ先輩にも甘やかしてもらった。
これだけでも幼女化しか甲斐があるわ!シャミ子ーー!ありがとーー!
「マサキ、いつまでそうしているつもりだ?遊んでいないで医務室に行け」
「あ、パパーー!」
「誰がパパだ!?」
テュッティ先輩と戯れているとヤンロンが苦言を呈してきた。
名残惜しいが、次のお仕事が俺を待っている。
「ヤンパパ、医務室まで連れてって」
「断る。一人で行け」
「そ、そんな」Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
ヤンロンパパ、略してヤンパパは幼女に対してもスパルタを貫く男だった。
児童相談所に駆け込んでやろうかしら?
教職員室から医務室までは距離があるので何とかお願いしたい、もうちょっと粘ってみよう。
「この幼児虐待男!グラスとエルにチクってやる」
「フンッ、好きにするがいい。僕の愛バはお前の戯言などに惑わされたりせん」
「泣きながら、グラさんにあることない事愚痴ってやるーー!!」
「おいバカ待てそれは止めろ!」
くふふふ、さすがのヤンロンも母親には弱いらしいな。
グラさんからは『何か困った事があればワシを頼ってくれて良いぞ』とのお言葉を
俺としても心苦しいが・・・『お宅の息子さんに虐待されました!』と報告せねばならんとは。
ヤンロン、親不孝な奴め。
「止めろと言っている!」
「あーあ、どこかに俺を運んでくれる、優しい中華系パパいないかなぁ」|д゚)チラッ
「背に腹は代えられんか、仕方がない。サッサと行くぞ」
「おんぶー」
テュッティ先輩にお礼を言って、今度はヤンロンの背中に飛びつく。
ミオ『子泣きじじい』とか失礼なことを言うな。
ヤンロンは嫌そうだったが、観念しておんぶしてくれた。
「なんで僕が……おい、母上に余計な事は言うなよ」
「わかってるよ。そんじゃまあ医務室へゴー!」
「男ってマザコンばっか」
「マサキとヤンロンが重症なだけと思いたいわね」
本人たちを目の前にして失礼な話だ。
聞き捨てならないので、ちょっとだけ反論しちゃう。
「長年母さんたちと暮らして、マザコンにならない方が異常だと思うんだよね」
「同感だな」
「うわ、マザコンどもが意気投合してる」
「リカルドは大丈夫かしら、心配になってきたわ」
「行こうぜヤンロン、女子供には母さんたちの良さが伝わらんのですよ」
「嘆かわしい事だ」
「はいはい、ママが好きなのはわかったから真面目に働け」
「ウィーっス」
女性陣(人外を含む)からの辛辣の物言いに,母親スキー二名はすごすごと退散するのであった。
愛バたちだってすぐに懐いたし、天級騎神は包容力も凄いんだからね!
ミオはともかく、ガッちゃんにメロメロのテュッティ先輩には、わかってほしいんだけどなあ。
〇
医務室を訪れた生徒たちは皆一様に驚愕した。
全校放送で覚悟していたとはいえ、自分を診察する教官が男から女へ……そして今日、幼女になっていたのだ。わけがわからん!
それもただの幼女ではない、学園内外の人々を虜にした美女、通称"お姉さま"の魅力をそのままに、小さく可憐になったスーパー美幼女だったのである。一部の者には『こっちのほうがいい』評判だ。
美幼女本人も『鏡に映った自分をナンパした』と豪語していた。ロリ好きにはたまらんらしい。
その発言で『あ、こいつ中身はロリコンのままだ』と皆は納得した。
ロリコンのロリという世にも奇妙な生命体の誕生である。
小さくなっても治療師としての腕は落ちていない。これは本当に
何なら普段より調子がいいくらい。
患者たちの驚きリアクションに対処しつつ、午前の診察をスムーズに終えることができたのだ。
一息つこうと思ったところで、招かれざる客の登場。
カバーストーリーで大活躍したアグネスタキオンと、お供のマンハッタンカフェである。
カフェは大歓迎なんだけどね。
雑談もそこそこに、測定だの検査だのをすると言われた。
女体化した時もやったのに、面倒だなあ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はい、この測定器にもう一度覇気を流してくれたまえ」
「そりゃっ!」
「そのまま維持して……相変わらずイカれた数値を叩き出すな、君は」
「おい、もういいか?」
「待ちたまえよ、もう少しだけ……オッケーだ」
「ふぃー」
「お疲れ様でした」
カフェに労いの言葉をもらっていると、誰かに頭を撫でられた気がする。これは"あの子"の仕業なのかしら?幽霊っぽい何かにも可愛がられる、俺って罪な幼女だ。
丸い水晶玉と電卓が合体したような機器は覇気を測定する、タキオン自作の道具だ。どうりでギルドとかでよく見るヤツと大分形状が違うと思った。
測定中、水晶玉の色がコロコロ変わって楽しい。
「若干ブレはあるが、覇気は男だった頃と同等だね」
「ホンマかいな。適当言ってるんじゃないだろうな?」
「この私の測定に不備があるわけないだろう。続いて身体検査に移行する。さあ、脱ぎたまえよ」
「オッケー、キャストオフするぜ」
子供服を脱いで、綺麗にたたむ。すっぽんぽん全裸幼女完成のです。
「いい脱ぎっぷりです」
「君には羞恥心というものはないのかね?」
「そんなもんとっくの昔に捨てた。ほら、風邪ひく前に早くして」
「別に全裸じゃなくてもよかったのだが、まあいい。カフェ、手伝ってくれ」
「はい。マサキさんこっちですよ」
二人がかりで身体検査される。
身長、体重、その他諸々を一通りチェックして、唾液や髪の毛のサンプルも取られた。
俺の下半身を見た二人が『ないな』『ないですね』と呟いていた。
その反応いる?女体化検査時にもやってたよねぇ!
検査が終わった後は服を着て、カフェが淹れてくれたコーヒー牛乳をいただく。
今の俺にはブラックは苦すぎると判断してくれた心遣いに感謝だ。
あまくておいちー。
「ふーん。成人女性バージョンと比較したいな。もう一度大きくなったりできないかい?」
「無茶言うなよ。幼女になったのだって、俺の意思じゃないんだぜ」
言うならば女神の意思だ。
「その女神とやらにも会ってみたいねぇ。本当に君の周りは興味深い事象で溢れている」
「実験動物を見る目をするな」
「安心したまえ、常識人である私は友人をモルモット扱いしないと決めている」
「「どの口が言うのか!」」
カフェとハモりながらツッコんでしまった。
七色に発光させられた被害者団体に、俺とカフェも含まれているのを忘れたとは言わせんぞ!
俺たちのジト目も、どこ吹く風なマッドサイエンティストである。
データをまとめ終わると、自分のコーヒーに口を付けながら雑談の姿勢に入るタキオン。
「変体する変態のデータ……役に立つかは不明だが、男に戻るまで検査は毎日継続するよ」
「ええー、めんどい」
「おいおい、ミニカピバラ君は私に借りがあったろう?これぐらいは協力してもバチは当たらないと思うよ。むしろ進んで協力すべきだとも」
借り?作った覚えないんですけどー。
「ほう。私が薬を盛ったなどという、悪評を広めたのは誰だったかな?」
「日頃の行いのせいだろ」
「皆さんの反応は当然の報いだと思います。ざまぁw」
「君を女体化させたと事実無根の話が拡散されたために、私がどれだけ苦労したと思っているんだい!」
「何かあったの?」
「連日、大変多くのご意見と突撃がタキオンさんを襲っています。罵倒やクレームが5割、賞賛が3割、『薬を売ってくれ!』というのが2割です」
「やだ、楽しそうww」
「で、今回は幼女化だ。どうせまた私のせいにしたんだろ!」
「せやで」
「こ、この幼女の皮を被った悪魔が!」
こんなにカワイイ俺を悪魔呼ばわりとは、幼女戦記の主人公に比べたら天使だろ?
やれやれ、カバーストーリーとして利用させてもらった負い目はあるので、ご機嫌ぐらいとってやるか。
「まあ、落ち着けよ。特別に抱っこしていいぞ」
「そんなのが慰めになるとでも?」
とか言つつも、タキオンは俺を抱っこした。なんだろう不思議な薬品の匂い?
むう。思ったより心地よい柔らかさ、こいつも女なんやな~とか思ったりして。
「存外に軽いな。それに……こうしていると、何故かストレスが緩和しそうだ」
「それが母性ってもんですたい」
「どうだいカフェ、母性溢れる私も中々様になっているだろう?記念に写真を一枚撮っておいてくれたまえ」
「いいですけど……後で交代してください」
俺を抱っこしたままの写真撮影でタキオンの機嫌は治った。
幼女セラピーの効能すげぇ。
ついでにカフェも撮影会に参加した。ほのかなコーヒーの匂い……ほほう。
着痩せするタイプですかな。
「用心したまえ、ミニカピバラ君はカフェのおぱーいを狙っている」
「狙ってはいない。ただ、もうちょっと密着したいだけだ!」
「自分に正直か!」
「つい本音が!?ごめんカフェ、もう降ろしてくれていいよ」
「構いません。ずっと抱っこしていたい気分ですから」
「カフェ~」スリスリ
「フフ、可愛い人ですね」
「イチャつくなら余所でやってくれたまえ。せっかくだ、そのまま運んでもらうといい」
タキオンの提案は願ったり叶ったりだ。
この後、授業が一コマ入っているので教室まで運んでくれると非常に助かる。
「お願いできる?」
「はい。責任もって教室までお届けします」
「私はもう少しここでゆっくりしていくよ。ミニカピバラ君は教官業務を頑張ってきたまえ」
「タキオンさん。偶には授業に出たらどうですか?」
「サボり魔め、単位落とした後に泣きついて来ても知らねーぞ」
「アッハッハッハ、そんなヘマはしないさ。ギリギリの出席日数と定期試験の高得点で卒業までこぎつけてみせるとも」
自信満々なのがムカつくが、要領と頭がいいタキオンならやってのけるのだろう。
これだから天才って奴らは……シュウとかシロとかも普通にやってそうだ。
「医務室を出るときは」
「"マサキ不在"の看板を出しておけばいいのだろう」
「わかっているならいい。行こうカフェ」
「はい、行きましょう。タキオンさん、マグカップを片付けておいてくださいね」
「はいはい。行ってらっしゃいだ」
タキオンに後を任せて出発する。
体調不良で医務室を訪れたら、タキオンが待っていた!・・・患者が寄り付かなくなりそう。
まあ、大丈夫だろ。
少し時間に余裕があったので、目的地まで遠回りしてもらった。
カフェが俺を運んでいる姿をみんなに目撃させることで、お世話係のデモンストレーションになると思ったのが一点。もう一点は・・・
(うん。密着していると神核の状態がよくわかる)
職業病なのか、触れた相手の覇気を無意識にチェックしてしまう事があるのだが。
抱っこされ密着した状態で意識的に探りを入れると、覇気中枢、神核の奥までも調べられそうだ。
『ごめん』と心の中で謝りながらカフェの神核をちょっくら拝見・・・・・・特に問題なし。
いい事を思いついた。
学園内にルクスの仲間や愛バが紛れ込んでいるとしたら、神核に何らかの異常が見受けられるのでは?
奴は対象の神核を操作することができる厄介な力を持っている。1stのベーオウルフたちやアルダンが暴走したのも、それが原因で間違いないだろう。
ルクスだったら仲間の神核を操作してパワーアップさせるぐらい考えそうだし、愛バなら奴とリンクした痕跡が残っている可能性も。
あの赤い覇気粒子とオルゴナイトが発する気配、今なら探れるのではないだろうか?
「どうかしました?」
「何でもない、カフェに抱っこされているのが嬉しいのじゃよ」
「こんな事で喜んでくださるなら、いくらでも」
よし、決めた。
俺は幼女になっている間にいろんな奴に抱っこされまくる!
おぱーいを堪能・・・じゃない!神核を調査してルクスのスパイをあぶり出してやるのだ。
冴えてる!今日の俺は冴えているぞ、フハハハハハハハハ!
趣味と実益を兼ねた何とも素晴らしい作戦を思いついた。自分の優秀さが憎い。
え?男にも抱っこされるのかって?・・・女性というかウマ娘優先に決まっとろうがい!
まずはルクスの愛バを見つけるのだよ。
参ったなあ~学園はウマ娘だらけだよ、どうしても男は後回しになっちゃうな~( ̄▽ ̄)
〇
教室前まで送ってくれたカフェと手を振って別れた。
素敵な抱っこタイムをありがとう。また機会があればよろしく。
「皆の者!授業じゃ!」
意気揚々と教室に突入した。
殿様のような物言いになったのは、なめられないための虚勢である。
「ロリだ。本当にロリが来やがった」
「前のも良かったけど、これはこれでアリね」
「何なのアレ!どちゃくそカワイイじゃん!」
「また、タキオンの仕業らしいぞ」
「もうヤダあのマッド」
「お、お持ち帰りしたい」ハアハア
わかったわかったから、ヒソヒソざわざわしないでね~。
「はいはい、俺がアンドウマサキ教官ですよ。何か文句あるか?」
「「「「無いと思うか!!」」」」
「生徒諸君に一つだけアドバイスしよう。いいから慣れろ!」
「「「「無茶言うなや!!」」」」
「"男子三日会わざれば刮目して見よ"と言うだろう。女になったり幼女になったりしても、何もおかしいことはない。俺は至って普通だ、ふ・つ・う」
「「「「どこが!?」」」」
はいそこ『普通って言葉を辞書で引け』『マサキは異常』とか言わないで。
教壇に進み出て集まった生徒たちを見わたせ・・・ない・・・だと!?
残念なことに教卓で、俺の姿がすっぽり隠れてしまった。
これでは生徒たちを見渡すなど無理である。向こうからも見えないだろコレ。
この体、他にも弊害があるのでは・・・
(やべ、黒板に手が届かない)
チビなのがこんなに辛いとはな。
何とかジャンプして・・・これでも無理か、(;´д`)トホホ。
「ちっちぇな」
ハオ様みたいな事を言う奴は誰だ!?
「そう思うんだったら手伝ってくれ。具体的には抱っこしてほしいっス」
「では私が~」
抱っこに名乗りを上げてくれたのはメジロブライトだった。
あら、アルとマックを除くメジロシリーズの皆さんもご一緒なのね。
俺の授業に顔を出してくれてありがとう。
「大丈夫なの、ブライト?途中で眠って落っことしたりしない」
ライアン、不安になるようなことを言うなよ。
ブライトが寝落ちしたら俺も床に落とされんの?勘弁して。
「心配でしたら交代制にしましょう~」
「し、仕方ないわね。今回は特別よ」
「と言いつつ、ロリマサキに興味津々なドーベルであった」
「がっちりホールドしてみせます。このマッスルボディ2ダッシュプラスにお任せください」
マッスルボディ?たちも抱っこしてくれることになった。
うんうん、それがいいと思う。ずっと一人が抱っこしていたらノートとか取れないからね。
他の生徒たちも頼めば心よく抱っこに応じてくれそう、優しい子たちだなぁ。感激した!
眠り姫の異名を持つウマ娘、ブライトは俺を優しく抱き上げる。
この子、メジロブライトとの出会いも突拍子もなかったな。
覇気を集める旅の途中、公園で野宿していたらいつの間にか隣にいたのよ!?
あの時はビックリしたな。気配を感じなかったのもだが、それから丸一日起きなかったのもヤバかった。
揺さぶっても、ミオと漫才しても、至近距離で半裸スクワットしても、一人焼肉パーティしても起きなかった。
ミオの制止を振り切り『もう、おぱーいを揉むしかねぇ!』と、行動に移そうとしたところでやっと目覚めた。
ちくしょー!
『ふぁぁ……おはようございます……』
『お、おはよう』
『???……あの~、どちら様でしょう?』
『こっちのセリフじゃい!』
『申し訳ありません。私、変な夢を見ていると~中々起きないんです~』
『変な夢ねぇ…』
『公園で野宿する変質者におぱーいを揉みしだかれる夢です~////』ポッ
『それ俺やないかい!……あ、今の無しで、堪忍して!未遂だったんやぁ』
『プッ……なるほど、面白い方…』クスクスッ
そんな会話があって仲良くなり。こちらも事情を説明て覇気をもらったんだ。
その後、迎えに来たメジロ家の親衛隊に囲まれて『誘拐犯』呼ばわりされたのはキツかった。
『またお前か!』という声も聞こえたので、ハガネに乗っていた人もいたみたい。
ブライトとの思い出はそんな感じだ。現在に戻るよ。
「どうですか、マサキ様?至らない事があればおっしゃってくださいまし」
「ありがとう。十分過ぎるほどナイス抱っこだ」
「ほわぁ…マサキ様、大変可愛らしいです~。サラサラのプニプニでスベスベ~」
「おたくもですな」
「今、絶対エロい事考えたでしょ」
「それでは授業開始じゃ!」
「こいつ、全力でスルーしたわww」
今日の授業内容は頭に叩き込んでいる。
覚えてほしい重要ヵ所を板書したり、丁寧にかみ砕いて説明していく。
「ここテストに出まーす」
「悔しいけど、解りやすい」
「授業そのものは、すごくまともなんだよなぁ」
「教官はまともじゃないけどな」
「・・・」( ˘ω˘)スヤァ
「ヤベッ、ブライト抱っこしたまま寝てる!?」
「交代!交代して」
あらあらブライトの奴、隙あらば寝ちゃうな。
ナルコレプシーを疑って病院に行った事もあるが、健康体そのものだったらしい。
他に原因があるとすれば、覇気の不調?
こうしている今も神核に異常は無いように感じるが・・・
「ただ単に寝るのが好きなだけですわ。お恥ずかしい~」
「起きていたのか」
「たった今です~。ライアンお姉さま、後をお願いします~」
「頼むぜマッスルボディ」
「この筋肉に誓って!」
頼もしい、頼もしいぜ、マッスルボディ2ダッシュプラス。
抱っこ中の神核チェックも並行して行ったが、メジロ家のみんなは潔白だな。
「マッスルボディご自慢の筋肉は引き締まっていながらも、その胸部は柔らかであった」
「おい、心の声が漏れてんぞ」
「セクハラだ。セクハラロリがいるぞ」
「ここテストに出まーす」
「「「「出すなよ!!」」」」 ・
「まだ柔らかいですか、次こそは『固い!ガチムチ!』と言わせてみせます。よーし、もっと鍛えないと!」
「そのままの君でいて」
今日の授業も好評だったとさ。
〇
お昼になった。
学園にいる人たちは自然と食堂に集い、食事と休憩をとるのがセオリー。俺もそれに
例によって愛バたちはクエストに出かけてしまい別行動中である。寂しいけど我慢だ。
ボンさんとライスをはじめとする、中の良いネームドたちが相手をしてくれるので、安全面は心配はない。
「そんな……ライスのお姉さまが……絶望した!」ガクッ_| ̄|○lll
憧れのお姉さまを失ったショックでライス崩れ落ちてしまった。
あんなに『お姉さま!お姉さま!』と懐いてくれていたのに、絶不調になってしまっている。
なんか悪い事したなあ。
「どうしよう、ボンさん?」
「下手に構うとつけあがると予測、ここは放置を推奨します」
今の俺はボンさんに抱っこされている。
スタイルの良いボンさんの抱っこ・・・いいね!イエスだね!
「ブルボンさんは冷たいね。無慈悲な冷血サイボーグ娘だね」
「マサキさん。私は冷たいですか?」
「あったかい、柔らかい、いい匂い、好き」(≧▽≦)
「マサキさんもですよ。お揃いですね」
ボンさんと『キャッハウフフ』しちゃうのだ。
一見すると無表情が多いボンさんであるが、よーく観察すると表情は状況に合わせて結構変わっている。笑うと可愛いのよこれがな。
仲の良い相手しか見ることができない、眩しい微笑みが非常にカワイイ!
抱っこも大変お上手。万が一にも俺に負担がかからないよう、細心の注意を払ってくれているので、安心して身を任せられる。
冷血なんてとんでもない。慈愛に満ちたボンさんはあったけぇ・・・
シュウもいい愛バを見つけたもんだ。友人として鼻が高いぜ。
「ライスをハブにしてイチャイチャ、酷いよ二人とも」(ノД`)・゜・。
やべ、放置し過ぎたか・・・
ボンさんと戯れているとライスに泣きが入った。絶不調と顔に書いてある。
お姉さまロスが長引いても可哀そうだな。なんとか元気づけてあげたい。
「そんなに好きなら、いっそのことライスが"お姉さま"になったら?」
「え!?」
「その発想はありませんでした」
「ライスが……お姉さまに……そんなの無理だよぉ…」
「俺が幼女になるご時世だ。何事もやってみないとわかんねぇぞ」
『それはお前がおかしいだけ』と周囲のネームドが呟いているが無視。
「くっそ可愛いくて優秀なライスに、お姉さまは荷が重いよぉ」
「自己評価高めなのが不快です」
「まあまあ。じゃあ、少しハードル下げて"お姉ちゃん"いってみますか」
ボンさんに抱っこを解除してもらい、ライスの前に立つ。
今朝、シロとアル相手に散々甘え倒した修行の成果を見せてやる。
深呼吸して・・・よっしゃ!やったるでー。
「お、お姉ちゃん////ライスお姉ちゃん!」
「はぎゅお!?!?」
上目遣いで瞳を潤ませながら、精一杯あざとく、はにかんでの先制攻撃。
ボンさんや他のネームドたちが見守る中で放たれた『お姉ちゃん』呼びがクリティカルヒット!
ライスの口から妙な音が奏でられた。
効いてる効いてる、このまま畳み掛ける。
「ライスお姉ちゃんは、私のこと嫌い?」
「そ、そんなことない。ライスはマサキさんのこと好きだよ」
「でも、私が"お姉さま"じゃなくなったから絶不調に……」(´Д⊂グスン
「絶不調なにそれおいしいの!ライスのやる気はもう絶好調だよ!全国の"お兄さまandお姉さま予備軍"から投げ銭たらふく貢がれた時より絶好調だよ!!これもマサキさんのおかげだね!!」
「今、
「稼いだ分でルマンド買ってあげるから!お兄さまにチクるのはやめてよ!」
「贅沢ルマンドでお願いします」
ボンさんとライスの間で何やら取引が成立した。ルマンド美味しいよな。
「ライスお姉ちゃん、元気になってくれた?」
「うん、もう大丈夫。元気出たよ」
「お姉ちゃん偉い!カワイイ!あざとい!」
「そうかな。えへへ////」
「シュウお兄ちゃんもきっと、お姉ちゃんが愛バで喜んでるよ」
「当然のことをほめ過ぎだよ////」
元気になってくれたならいいんだ。妹キャラを演じた甲斐があったぜ。
あ、ボンさんが少しイラッとしてる。
「そこまでにしとけよ、産地偽装米」
「偽装なんてしてないもん!純国産米だもん」
「知らんがな。で、お姉さまロスからは立ち直ったのですね」
「姉さまは死んだ!もういない!」
「「いきなりどうした!?」」
「だけどライスの背中に、この胸に!一つになって生き続けるの!」
幼女になっただけで、別に死んでないよ。
ガイナ立ちで啖呵を切るライス。
お姉さまとの別れを乗り越えて一回り成長した模様。
「"穴掘りライス"はウザいので放置します。ところでマサキさん、私も姉気分を味わってみたいのですが?」
「マサキさんはライスとお楽しみ中なの!割り込むなんてダメなんだから」
「お姉ちゃんたち、ケンカしちゃだめだよ」
「「はーい」」
俺が演じる妹キャラに二人はすっかりハマってしまったようだ。
『ロリ妹イイ!』と悦んでくれて何よりだ。
ボンさんの呼称、ミホノお姉ちゃん?それとも、ボン姉ちゃんと呼ぶべきか悩むな。
「黙って聞いていれば、いい加減にしてよ!」
バンッ!とテーブルを叩く音が響く。
俺たちのやり取りを見守っていたネームドの一人が、勢いよく立ち上がり叫んだのだ。
何怒ってますのん?
「どうしたチャン子?ご機嫌斜めじゃん」
「チャン子じゃない!カ・レ・ン!カレンだよ、お兄ちゃん!」
「ちゃんこ鍋食いてぇな」
「知ってる?"ちゃんこ"って鍋だけを指す言葉じゃなくて、相撲力士の食事全般の事なんだよ」
「さすが、実家が相撲部屋のボーノだな」
「大きな体を維持するにはたっぷり食べないとね~。だから、必然的にお鍋が食卓に並ぶことが多いんだ」
「「「「へぇー、ためになるねー」」」」
「コラッ!少しはカレンに興味を持って!」
ヒシアケボノのおかげで豆知識が増えた。
どういうわけか、カレンチャンがプンスコ怒っている。
チャン子、可愛いと思うんだけどダメ?
「五飛、トレーズはもういない。トレーズはお前が倒したんだ!」
「
「そこは『俺は今でも奴と戦っている!』と返してほしかったですね」
「だね。チャンちゃんにはガッカリだよ。自爆スイッチ押せばいいのに」
「チャンちゃんもヤメロ!」
エンドレスワルツむっちゃ好きやねん。
ネオさんの薫陶(布教)でボンさんとライスもガンダムWに詳しい。
「何故かロリ化した、激ヤバお兄ちゃん!カレンを差し置いて妹キャラになるなんて、そんなの許さないよ!」ビシッ
指を突き付けて来るチャン子。
妹キャラって許可制なの?知らんかったわー。
「という訳で、カレンと勝負だよ」
「この前、クロとシロの尻尾が意味不明なぐらい絡まってさぁ。解くのに苦労したんだよね」
「尻尾あるあるですね。ウマ娘なら一度は経験するトラブルです」
「力の差が激しいと一方の尻尾が取れちゃうなんてことも……うう、考えたくもないよ」
「ガン無視やめて、こっち見ろ!勝負!するよ!」
「めんどいから不戦敗でいいよ。№1妹はチャン子に決定~。はいみんな拍手~」
「「「「わーすごいなぁ憧れちゃうなー」」」」
「クソみたいな棒読み!?全然っ嬉しくないんだけど!ねえ、勝負しようよ~」
「悪いな、みんなに可愛がられる作業で忙しいんだ。妹対決は別の暇人とやってくれ」
「勝負してくれたら、知り合いのウマスタグラマーを紹介してあげるからさあ」
「興味ないね」
「元々カレンのファンだった子なんだけど、自撮りを投稿したらあっという間にバズっちゃったんだよね。うわっ、改めて見てもカワイイの暴力だよ。これでまだ小学生だなんて末おそろ……」
「その勝負受けて立つ!待ってろよ小学生ウマスタグラマー!」
「「「「あーあ、ロリコン刺激しちゃったよ」」」」
別にこれっぽっちも興味なかったけど、チャン子がどうしてもと言うので仕方なく勝負することにした。生徒の挑戦を受けるのも教官の責務だからな。
ついでに、小学生ウマスタグラマーとやらにネットリテラシーを享受してやろうではないか!
直接会って、お友達になって、あんなことそんなことできたらいいな!うへへへ。
「ようやく、やる気になってくれたね。それでこそ、ロリコンお兄ちゃんだよ」
「早く始めようぜ。そして早く終わらせよう」
「この後、急ぎの仕事でもあるのですか?」
「小学生
「それ仕事じゃないよ!?犯罪者の悪巧みだよ」
「そうだな。SNSが原因で犯罪に巻き込まれる例もあるし、俺がお守りしないとな!」
「"真の異常者は自身の異常に気付かない"の典型です」
「あくまでも善意なんだね。
ボンさんとライスも生温かい目で応援してくれるらしい。その期待に応えて見せる。
「ルールの説明をするよ。勝負方法は簡単、ランダムに選んだ相手に
「質問!『まいりょく』って何やねん?」
「読んで字のごとくだよ。妹力は妹的存在が生み出すキュートでラブリーなパワー!お兄ちゃん、お姉ちゃんたちを魅了して都合のいいようにコントロー……ゲフフンッ!た、たくさん応援してもらえるようになる力のこと。理解したね?」
「洗脳してコントロールする力か、なるほどな」
「応援だよ応援!妹が大好きすぎるあまり、自主的に応援してくれるだけだってば」
妹力ね・・・自身のカリスマ性をもって他者を惹きつける力。
愛バたちのお嬢様モードと似たような効力だと思う。
『いもうとちから』とも読めそう。
「早速始めるよ。時間が無いから勝負は一回きり、次に食堂へ入って来た人物がターゲット」
「待て、
「抱きしめて『カワイイ!』と言ってもらえたらオッケーってことで、どう?」
「わかった。それでいい」
「勝敗の行方はターゲットの趣味趣向にかかっていると判断します」
「妹になびかない相手だと苦しいかな。でも、カレンちゃんの妹力はライスも目障りに思うレベルの域に達している。普段、妹に興味が無い人だって強制的に支配下に置いちゃうかも」
「的確な分析……同類だからでしょうか」
「ねえライスちゃん。カレン、目障りなの!?」
確かに、これはターゲットが重要なポイントになる。
今の俺でいけるか?百戦錬磨の妹キャラであるチャン子に勝てるのか?
負けても、小学生は紹介してくれますよね?
「あ、誰か来るよ。フッフッフ~これでまたフォロワーが増えちゃうかな♪」
食堂の入口に人影が!?
誰だ?誰が来たんだ?俺と同じ幼女趣味の奴来い!……学園で俺以外にそんな奴いたっけ?
勝負の行く末を決める、何者かが食堂に入って来る。
俺とチャン子とボンさんとライス、そして背景と化しているネームド連中が固唾を飲んで見守る中、その人物は現れた。
「あら、マサキじゃない。他にもいろいろ揃って何してるの?」
「「「「た、たづなさんかよぉぉ!!」」」」
「『将軍かよぉ!』みたいに言わないでくれる」
はい。現れたのは俺の姉さんでした・・・・・・・・・勝ったな。
「チャン子、さすがにこれはマズいって」
「何、怖気づいたの?カレンはやるよ!相手にとって不足なし」
「いや、お前のためを思ってだな」
「たづなさんかぁ……ライスなら逃げる一択だよ」
「一気にヌルゲーになりました」
俺と姉さんの関係を知っているボンさんは『あちゃ~』みたいな顔をしている。
ライスやその他の連中は、苦しい戦いになった事に難しい表情を浮かべた。
逆にチャン子には火が付いたようだ。
あの、たづなさんを魅了成功したとあれば箔が付くからな。
「なあホントにやるの?今ならまだ引き返せるぞ」
「覚悟を決めてよ、元男でしょ。お兄ちゃんが行かないなら、カレンが先行をもらうよ」
「どうぞどうぞ」
「腰抜けお兄ちゃんはそこで見てて、カレンがたづなさんを攻略する様をねぇ」
何という自信、こいつはもしかしすると意外といけるのか?
俺の姉さん攻略されちゃうの?姉をNTR悔しいです!みたいになっちゃうの?
「たづなさん。ちょっとお時間いいですか?」
「何かしら?ウマスタに何でもかんでも投稿する、SNS狂いのカレンさん」
「ウマスタは置いといてですね~。たづなさん、やっぱり素敵だなぁ」
「急にどうしたの?」
「カレン、前から思っていたんですよ。たづなさんみたいな人が姉妹だったら良かったのに……」
「悪い物でも食べたの?」
「それでぇ。たづなさんに、勇気を出してお願いがあるんですけど」
「やっと本題に入ったのね」
「たづなさんのこと……って呼んでもいいですか?」
「??よく聞こえなかったわ。もう一度言ってくれる?」
頬を朱に染めたチャン子は瞳を潤ませながらモジモジする。
あざとっ!笑えるぐらいにあざといわー。さっき似たような事やった俺でも引くわー。
そして、意を決したように口を開く。
「カレン、たづなさんのこと"お姉ちゃん"って呼びたいの……ダメかな?」
お、おう。目線の角度や息づかいまで完璧じゃい。
いじらしくことこの上ない妹力が炸裂した瞬間である。
「は?何言ってんの?ダメに決まってるでしょ」
「アッハイ、そうですよね。ホント何言ってるんでしょうね……あは、あはははは」
「「「「撃沈したぁーー!!」」」」
すげぇぜ姉さん。眉一つ動かさずチャン子をバッサリ切り捨てなさった。
チャン子、盛大にマインドクラッシュされとるがな。
だから言ったのに……ヤダもう!なんか可哀そうになってきた。
もし俺が姉さんにあんな対応されたら、真っ白に燃え尽きる自信あるわ。
「負けた…カレンの妹力まったく通用しなかった…‥そんなのアリ!?」(;´д`)トホホ
「災難だったな。とりま俺を愛でて元気出しとけ」
「フンだッ!同情なんていらないよ。それよりも次!お兄ちゃんの番だからね」
「いや、俺はいいよ。もう勝負ついてるから」
「カレンだけにダメージ負わせて逃げようだなんて、させないんだからぁ!お兄ちゃんも、だづなさんの塩対応に晒されちゃえばいいんだぁーーー!」ヽ(`Д´)ノプンプン
「わ、わかったよ。やるよ、やればいいんでしょ」
チャン子がより深いダメージを受ける未来しか見えないけど、やれと言うのならやりましょう。
「マサキさん、やるの?逃げてもいいんだよ」
「心配ありません。既に勝敗は決しています」
『マジでやるのか』『マサキさん泣いちゃうかも』と俺を心配する声が聞こえるが、全部杞憂なんだよなあ。
姉さんも頭に『?』マークを浮かべているようだし、早く終わらせよう。
少し距離をとり、助走をつけて姉さんまで一直線にダッシュ!
ただし、幼女のスピードである。歩くような速さである。
「お姉ちゃん!抱っこーー!」
「心得たわ、おいで!」
ロリダッシュからのロリジャンプ!
俺の声と動きに反応した姉さんは素早くしゃがみ素早く俺を抱き留める。
一部の隙もない流れるような動きだ。
妹勝負を観戦していた皆は、何が起きているのかわからない、ついていけない。
マサキを抱っこした状態のたづなは、心底嬉しそうにしている。
「わーい。お姉ちゃん好き~」
「よしよし。まったく、あなたは本当に甘えん坊ね」
「甘えたらダメ?」
「いいに決まってるじゃないの。あーもう、最高ッッにカワイイわ!」
ごく自然に全力で甘えるマサキ。
見たこともない穏やかな表情で、聞いたこともない優しい声色で、マサキと戯れるたづな。
誰がどう見ても、たづながマサキに魅了され虜になっている。
完全にマサキの姉と化している!?!?
「まさか、ここまでの妹力だなんて……マサキさん凄い」
「完全勝利というヤツです」
ボンさんの言葉に皆が頷く。
納得できていないのは一名のみだ。
「な、な、な、何よそれぇーーー!何がどうして?どうなってんの?」
敗者であるチャン子は、姉さんの変貌っぷりに酷く狼狽してパニックだ。
みんなは気付いてないが、姉さんはこれでも自重してます。だって、鼻血出してないもん!
「戦う前から勝負は決まっていた。つまり、そういうことだよ」
「どういうことよ!意味わかんない!わけわかんない!」
「あらヤダ、カレンさん一人で勝手に炎上してるわ。マサキはあんな風になっちゃダメよ」
「SNS依存怖いですね」
「くそっ!何でたづなさんがデレるのよ?あの鉄面皮を崩せるのは、カレンだけのはずだったのに」
「おい、誰が鉄面皮か!」
「今日のところはカレンの負けだよ。だけど、これで勝ったと思わないでよね!いつの日か必ずぎゃふんと言わせちゃうんだからぁぁーーー!うわーん悔しいよぉぉーーー!!!」
「待って!小学生インスタグラマーを紹介するの忘れてない?」
捨て台詞を吐いて逃亡を図ったチャン子。しょ、小学生は?
「はいコレ!後は自分でやって!」
律儀にもUターンして戻って来た。そして、俺の手にメモの切れ端を握らせて再び逃亡。
チャン子は粉塵を上げながら、もの凄い勢いのまま走り去ってしまった。
メモには小学生インスタグラマーのアカウント名と思われる情報と『話は通しておくので自分で連絡したら?』と書いてあった。カレンチャン・・・潔い女!・・・恩に着るぜ。
「小学生インスタグラマー?」
「何でもない。マジで何でもないっスから気にしないで!」
「そ、そう。カレンさん、一体何がしたかったのかしら?」
姉さんは知らなくていいのことです。
(姉さん。もう降ろしてくれていいよ)
(突然甘えて来るからビックリしたわ。人目がある所では程々にね)
(そろそろ実の姉弟だとバラしてもいいのでは?)
(それは、
(もったいつけるなあ)
姉さんは二人分の軽食をテイクアウトして食堂を後にした。
忙しい理事長に頼まれておつかい中だったみたい。お仕事お疲れ様です。
「たづなさんって、マサキさんには特別に甘いよね?」
「気のせいでは?」
「ううん。やっぱりおかしいよ……ハッ!ライスわかっちゃった!」
「マヤノさんの持ちネタをパクリましたね。それで、何がわかったのです?」
「たづなさんとマサキさん、できているんじゃないかなぁって////」
「できている?」
「ふ、二人はお付き合いをしてるんだよ。きっと、アルダンさんにもファインさんにもキタちゃんにもサトイモにも内緒で、秘密のお付き合いしてるの////」
「妄想たくましい脳みそブレンド米です。後、何気にダイヤさんを下に見てますか?」
「うわーうわー、どうしよう。浮気だよ不倫だよ愛憎渦巻く泥沼地獄だよ。もっとやれ!」
「楽しそうですね。この畜生米が」
こうして妹勝負は俺の圧勝で幕を閉じた。
俺と姉さんが付き合っていると噂が流れ、愛バがガチギレするのはまた別の話・・・
〇
「うぇあー!ちっせぇですわ!ドチビちゃんですわー!」
「うるせーぞ。医務室ではお静かに」
騒がしい声が医務室に響く。
患者として訪れた生徒の一人が俺を見るなりテンションMAXになったからだ。
「手当たり次第に抱っこをせがんでいるのでしょう?姫も抱っこして差し上げますわ!」
「治療が終わってからな。ほら、おでこ見せろ」
一人称を姫と抜かすこのウマ娘の名前は、カワカミプリンセス。
名前にプリンセスと入っているせいか、お姫様や魔法少女っぽいものに強い憧れを持っている子だ。
どこをどう勘違いしたのか『姫たるもの力こそ正義ですわ!』という信念があるようで、あらゆる物事を力技で解決しようとする悪癖がある。
力自慢のウマ娘にはこういう手合いは割かし多いが、彼女はその中でも顕著な例だ。
俺との出会いは覇気を集める旅路の途中、舞踏会と間違えて武闘会に出場した彼女のセコンドについたのことがきっかけだった。
惜しくも優勝は逃したものの、カワカミのファイティングスピリッツに武闘会は大盛り上がり。
武の道は果てしなく、上には上がいる事を知った彼女は一皮も二皮も剥けて成長したのであった。
この時、カワカミは家出中だったらしく、家に送り届け際はご両親に滅茶苦茶感謝されてしまったな。
何でも部屋の壁を蹴り破って脱走したとか・・・まさに、おてんば姫の冒険である。
「懐かしいですわ。あの時もこうやって治療してくれましたわね」
「お前、腕折れてんのに降参しないからな。治療する方も苦労したぜ」
「痛みを取ってくれたから勝てましたわ。その後の試合で瞬殺されましたけど…」
「最後の相手な。ありゃ、どう見てもプロだったからな。主催者側は最初から飛び入り参加に優勝させる気はなかったって話だろ」
「思い出したら、悔しさがぶり返して来ましたわ!今なら勝てますのに!」
「はいはい、じっとしてろ。で、今日は何をやらかした?」
「ひ、姫は悪くありません。ただちょっと、姫式ドリフトに失敗して、コーナーを曲がり切れなかっただけで」
真っ赤になったおでこにヒーリングをする。
話を要約すると・・・
『授業に遅刻しますわ』➡『ダッシュですわ』➡『ヤベッ曲がりきれませんわ』
➡『頭から壁に突っ込みですわ』➡『姫は無事、壁は死にました』➡『げぇ、エアグルーヴ』
女帝に説教されながら壁の修繕をした後、腫れたおでこのまま俺の所に来たというわけか。
「授業は欠席扱い、おでこはヒリヒリで踏んだり蹴ったり」
「自業自得だな。前にも言ったろ?お前は力の制御が甘いんだよ」
「うう……ぐうの音も出ませんわ」
このカワカミプリンセス、治療目的で医務室を訪れる生徒の上位勢である。
大抵は彼女のパワーで何かが壊れ、本人は損傷軽微のパターンだ。
人にケガをさせない事は肝に銘じているらしいが、本人がいつか大怪我しそうで心配になる。
「操者がいれば、おてんばも少しはマシになるのかな」
「姫の操者になる方は王子様と決まっていますわ!姫の筋肉バスターに王子様は白目を向いてメロメロでしてよ」
「王子様をバスターしちゃダメだろ」
「それほどでも~」(∀`*ゞ)
「褒めてない褒めてない」
おでこの治療を終えたカワカミは『姫復活ッ!』と叫んで俺を抱っこして、何故か俺にジャイアントスイングをかまして満足した後に『では、ごきげんよう~』と元気に去って行った。
ごきげんようじゃねぇよ。目がぐるぐる回っている・・・陳列棚や薬品にぶつからなくて良かった。
根はいい子なんだけどなあ、あいつの操者になる奴は大変だろう。
おてんば姫の操者(予定)さん。
いつバスターされてもいいように、フィジカルを鍛えておきましょうね。
〇
放課後、愛バたちは旧校舎ダンジョンの攻略に向かった。
幼女の俺は危険ということで、今回はお留守番である。
今はチーム"ああああ"の基地で愛バたちの帰りを待っている。
「おい、抱っこしろよ」
「ウッッゼェな!さっきしてやっただろうが」
「もう30分前経ったぞ。再抱っこ要求する!」
「あーもう!何なんだよお前は」
頭を乱暴に掻いたウマ娘は嫌そうな顔で俺を抱っこした。
このインテリヤンキー、名をエアシャカールと言う。
ファイン家所属の情報分析官で、ココの御意見番といったポジションだ。
「すまんの。この体になってから人肌が恋しくて堪らんのじゃい」
「ガキかよ!」
「今はガキだよ!」
「ちっ、中身はロリコンくそ野郎が」
「なんだとぅ!あーあ、ココに『シャカ頑張ってるから給料アップしてあげて!』って言う気が失せた」
「よしわかった!抱き着いてもいいから、ボスに今の言葉を伝えておけ」
目の色が変わったシャカは急に優しくなった。お給料には勝てなかったよww
椅子に座り直すシャカ、俺を膝に乗せたままパソコンを高速タイピングしていく。
仕事の邪魔しているみたいで悪いな。大人しくしていよう。
「またか……めんどくせぇ」
「何かあった?」
PCの画面にはニュースサイトの事件記事、どれも似たような内容だ。
『またしてもデバイスの故障?』『相次ぐ事故、何者かの陰謀』『製造元は責任を~』
「デバイスの事故か」
「普及するのが早すぎたな。技術革新に使い手が追いついてねぇんだよ」
「それにしても、最近多過ぎだよな。リンクデバイスで意識不明になった奴もいるんだろ?」
「海賊版や無茶な改造を施した物が裏で出回っている。そういうのに手を出した奴の末路だ」
デバイスを使えば簡単に強くなれると、安易な考えをしている奴は多い。
実際にはそんな事は無く、適性に合わないデバイスを所持していても宝の持ち腐れだ。
デバイスを使うには、しっかりと体を鍛え、操作方法を学び、自らに合ったものを選ぶのが鉄則。
その事を知らずにデバイスの力を求めるのは愚の骨頂。
普通乗用車を一度も運転したことがない者が、レーシングカーをまともに操縦できるはずがないのである。
「仮面野郎で手一杯だって言うのに、余計な仕事を増やしやがって」
「ファイン家の捜査網をかいくぐるとか、敵もあっぱれだな」
「褒めてんじゃねぇよ。一つ潰すと新しいのが三つも四つも……ああ、くそっ!ぜってぇ背後には大がかりな組織が……」
シャカがイライラし始めたので、同僚たちからもらったお菓子をそっと差し出す。
ほろ苦いダークチョコレートでも食べて気分をリフレッシュしてね。
「苦げぇ……」
「カカオポリフェノールは体にいいのよ。ワガママ言わずに美味しく食べな」
今の俺はお子様舌なのでミルクチョコレートを食べます。あまーい。
チョコレート効果のおかげか、シャカは仕事に集中した。
目まぐるしく変わる画面は早すぎて何が何だかわからない。
定期的に俺をあやすことも忘れないシャカ、保育とPC作業のダブルワークすごいですね。
一段落したらしいシャカが、俺に話題を振って来た。
「幼女形態はいつまで続く?」
「試練は今日も含めてあと四日のはず」
「ふーん、まあ、精々楽しめよ。今なら捕まる心配はねぇからな」
「どういう意味?」
「おいおい、ロリコンキングともあろうお前が今更何を……マジで気付いてねぇの?」
「キングはヘイローだけで十分だ。気付いてないとは何ぞ?」
「バッカじゃねぇの!ロリコンにとって千載一遇のチャンスだろうが!」
「ほう。詳しく」
「今のお前、見た目だけなら立派な幼女だろ?だったら、警戒されることなく近づけるんじゃねーの。幼稚園や保育園に忍び込んだり、ロリに混ざって遊んだりとか、やりたい放題」
「や、やりたい放題だってぇーーー!!」(゚∀゚)
なんということでしょう!
このロリボディにそんな無限の可能性が秘められていたとは!
す、す、す、素晴らしいですぅぅぅ!!
オトナシさんの口癖が脳内でこだまするほどの衝撃が俺を襲う。
俺としたことが、抱っこに気を取られてロリと関わるビッグチャンスを逃すところだったぜ。
近隣の幼稚園や保育園を調べ上げ、幼女が出現する公園などのスポットも要チェックや!
「ありがとう!教えてくれて感謝する」
「……なんか取り返しのつかない事をやらかしたような。箱を開けちまったパンドラの気分だ」
「俺、行かなくちゃ!」
「待て待て、ボスが帰って来るまで大人しくしてろ。俺が怒られんだろ」
「まだ見ぬ幼女たちよ、俺とお友達から始めましょう~。今、会いに行きます!!」
シャカの腕をすり抜けて自由の身になる。
今日の仕事はもう終わったし、愛バたちはまだ帰って来ない。
急用ができたので、一足先に自宅へ戻ると連絡しておけば万事解決!
さあ行け!アンドウマサキ。楽園へと羽ばたくのよ!
「残念、行かせないよ!」
「げぇ、ココ!」
楽園へ羽ばたく夢、アッサリと潰える。
帰って来たココに捕らえられた俺はそのまま抱っこされた。
逃がさないようにちょっと強めのホールドだ。
「いいタイミングだなボス。もう少しで、犯罪者を野に解き放つ寸前だったぜ」
「シャカが妙な入れ知恵するからでしょ!途中から聞いてたよ」
「あーその、なんだ、すまん」
「マサキも暴走しないで。その体で幼稚園まで行っても力尽きて終わりだよ」
「貧弱虚弱なロリボディが憎い」
「それと、幼稚園のセキュリティ甘く見ない方がいいよ。所属不明の子が自由に出入りできるわけない」
「そこはね、スニーキングと泣き落としで、どうにか……ならない?」
「ならないよ。バカ」
「アウチ」(>_<)
ココに頭をペチペチされた。
ちょっと怒った顔もカワイイ!
「子守も終わったし、俺は帰るぜ」
「うん。ありがとう」
「またなー」
インテリヤンキーはクールに去っていった。
「私たちも帰ろっか」
「そうするか。シロたちはどこよ?」
「シロちゃんが持ち込んだコーラを、クロちゃんがフリフリして、アルが飲もうとして、三人ともブシャァァー!コーラまみれになった三人はシャワーを浴びてから来るってさ」
「何やってんだよw」
学園内にはシャワールームも完備している。
プールの授業以外でも生徒たちは自由に使っていいんだと。
シャワールームからここまでは結構離れている。こちらから迎えに行った方がいいだろう。
クロ、シロ、アル、三人の荷物をココが収納空間に放り込んだ。マジで便利な能力だよなぁ。
基地を施錠して移動開始。抱っこは継続中だ。
「今日、何階まで行った?」
「地下65階層までだよ。敵も中々歯ごたえが出て来て、いい修練になってる」
「まだ先は長そうだな。きりのいいところで地下100階まであったりして」
「だとすると、半分は越えたね。私たちなら問題なく行けるよ」
頼もしいことだ。俺もこんなんじゃなければ手伝えるのに・・・
65階は無理でも浅い階層なら幼女でもいけるか?ちょっと不安かも。
「帰りに寄ってほしい所があるんだけど・・・」
「幼稚園と保育園と幼女が集まるスポット以外ならいいよ」
「ココ、俺は教育に携わる者として幼児の育成環境を見守る責任があってだな」
「はいはい。小難しい言い訳は全員揃ってからにしてね~」
「ひぃぃ!三人には黙っててくれぃ!」
「幼女に目移りする悪い操者は、どうなると思う?当ててみて」
「もしかしてわからせですかーッ!?」
「YES! YES! YES! "OH MY GOD"」
その日の夜"わからせ"と言う名の甘やかしで骨抜きにされちゃった。
お風呂も寝るのも一緒で甘々愛バたちですよ。
いつもと同じだって?いやいや、いつも以上にお世話されたんだってばよ。
〇
風呂から上がった後、マサキはすぐに寝てしまった。
普段から寝つきの良い方だが、今日は幼女化したこともあって入浴中から意識朦朧としており、湯船に沈みかけた。前にもこんなことがあった気がする。
そんな彼を放っておけない愛バたちは、四人フルメンバーでのお泊りである。
幼女の体に合わせたパジャマを着て眠るマサキは、さながら妖精のような可愛さだ。
雑魚寝でそれを観察している愛バたちは、妖精の眠りを妨げない音量で話し込んでいる。
「…すぴぃー……ふぴぃー…」( ˘ω˘)スヤァ
「よく眠られて、お疲れだったのですね」
「体力が無いって嘆いていた。きっと、思ってる以上に消耗したんだよ」
「四六時中張り付いていたいけど、そうするとマサキが気に病むし」
「ボンさんにお米先輩、それ以外のネームドにも声をかけました。学園にいる限り安全でしょう」
こんな時だっていうのに、クエストも実家の本業も図ったように忙しい。
ええい、これもそれもルクスと迷惑な試練を与えた女神のせいだ。
「マーキング見た?過去一のヤバさだった!『コレ欲しい』って書いた奴誰だよ!?」
「「「それな!!」」」
「メッセはともかく、いろんな奴の匂いが……お風呂で入念に落としましたけど、あームカつきますね」
「抱っこ中に神核調べるって言ってたけど、ホントかなぁ」
「マサキさんモテますし、今は幼女ですから皆さん遠慮がないというか、いつもよりスキンシップが過剰でもオッケー!みたいな感じになってます」
「マサキもここぞとばかりに甘えるからね。やれやれ、愛バの気も知らないで……」
心配だ、離れたくない、でも、必要以上な過保護になってはいけない。
だって、彼がそれを望まないから。
『遠慮するな』と彼は言う。しかし、思うのだ、遠慮しているのはあなたの方だと。
『俺に縛り付けることで、お前たちの可能性を狭めたくない』とも言う。
縛り付けていいのに、ワガママになって困らせてくれていいのに、もっと求めてほしいのに!
わかってる。これは彼の優しさとだと、私たちを心から思っての行動だと、わかってる。
それが凄く嬉しくて、でも・・・少し寂しいと感じるのは、いけない事だろうか?
贅沢な事をほざいているのは重々承知だ。何ともふざけた愛バであると自分でも思う。
ああ、よくも!よくぞ!こんなに狂わせてくれて、駄目にしてくれて・・・・・・ありがとう。
幸せにしてくれて、ありがとう。
でもね、たまにはあなたも駄目になってほしいかな。
私たちばっかりだと、ズルいもん。
弱いところも、変なところも、ダメダメなところも、全部許しちゃう。
何をしようと、どこへ行こうと、私たちはついて行く。
あなたの邪魔はさせないし、あなたの行く道を止めたりなんかしないから。
もっと幸せになろうね・・・
「ふへへ……幼稚園……ついに来ちゃった…」( ˘ω˘)スヤァ
「「「「そっちへは行かせねぇよ!?!?」」」」( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)( ゚Д゚)
前言撤回!やっぱりそれは許せないわー。
止めるところはしっかり止めて、キッチリ邪魔もしようと思う。
これも彼のためだ!愛しい人が犯罪者に身を落とすなどあってはならない。
正しい道に引き戻すのも私たちの役目、幼女なんて目に入らないぐらい夢中にさせてみせるから、覚悟してね。
「ここが……ロリ…コニア……楽園か……」( ˘ω˘)スヤァ
「「「「もうホントやめて!!」」」」(´Д`)(゚Д゚)ノ(゚Д゚;)( ;∀;)
でも、大好きなんだよなぁ。