俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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ちんちんちん

 幼女生活二日目の朝をが来た。

 

 幼女の体で早起きは中々に辛い。

 愛バたちがいなければ、目覚ましが鳴っても爆睡していたことだろう。

 ウダウダしながらも頑張って起きた。

 そのおかげで朝食の後にまったり過ごすことができている。

 早起きは三文の徳とはよく言ったものだ。

 

 俺はアルの膝に座ってのんびりしていた。

 鼻歌混じりにブラッシングをしてくれるアルはとてもご機嫌な様子。

 

「なんだが素敵な夢を見た気がする。なんだったかな……コニアがどうたら……うーん思い出せない」

「思い出せないのは思い出す必要がないからです。忘れたままでいいと思います」

「そうかなあ。胸躍るような出会いがあったはず……」

「それはお化けです」

「え?」

「マサキさんの大嫌いな、とっても恐ろしいお化けですよ」

 

 アルが俺を抱きしめながら脅かすようなことを言う。

 またまたぁ。俺を怖がらせようとして適当な嘘をついているんだよな、な?

 嘘だと言ってよ!

 

「お化けの姿形をハッキリ思い出したら最後、毎晩夢に出て来るようになりその度に"はんぺん"を投げつけられます」

「なんだそいつ!?あんまり怖くねー。食べ物粗末にするのは感心せんな」

「"はんぺん"に当たると即死します。リアルでも二度と目覚めることはありません」

「超怖ぇぇーー!!」

 

 ここはアルの言う通りにして夢のことは忘れよう。

 べ、別にはんぺんお化けが怖いんじゃないんだからね!

 

「マサキさん。そのままでいいので聞いてください」

 

 "至福のアルダンチェア"を楽しんでいると、シロが対面に腰を下ろした。

 正座であるところを見るに、真面目な話をするつもりだ。

 

「何かな?」

「昨夜はマサキさんが寝落ちしてしまったので、お説教の続きです」

「離脱!」

 

 コマンド【にげる】を選択。

 クロとココのところまで一時避難するんじゃい。

 

「逃がしません」ガシッ

「あう」

 

 俺を包み込むアルチェアに絶妙な力加減で拘束され逃亡を阻止されてしまった。

 まさか、このために俺を膝に座らせたの?図ったなぁー!

 

 昨日、幼女出現スポットへ突撃しようとしたところをココに見つかり捕縛された。

 その事はすぐに愛バたち全員に共有され、帰宅と同時にハイパーお説教タイムに突入!

 昨夜は寝落ちするまで謝り倒したのだった。

 まだ許されていなかったか・・・(;´д`)トホホ

 

 前門の虎(シロ)後門の狼(アル)状態なので逃げられませぬ。

 クロとココはキッチンスペースで朝食の後片付けと夕飯の仕込みをしてくれている。

 役割分担のできる偉い子たちである。出来た愛バたちで操者の俺も大満足よ。

 

「何度も口を酸っぱくして言っていますが、もう一度言います」

「……はい」

「大の大人が年端も行かない幼女に性的興奮を覚えるのは立派な病気です。欲望のままに行動すれば犯罪成立即刻逮捕!」

「おぉぉ」

「つまり、ロリコンとは常識的に考えて悪しき存在なのですよ。ここまでは解りますね?」

「社会常識に囚われないアウトローな俺を目指しております」

「アウトローを目指すのは構いません。その手段がロリコンなのが問題なのです」

 

 俺の目をしっかり見たシロは幼い子に言い聞かせるように、ロリコンの何が悪いのか説いてくる。

 実際に今の俺は幼子ですけどね。

 

「後ろ指をさされ、罵倒され、石を投げられても仕方のない存在。それがロリコン!」

「ロリコンの地位低ッくいなあ……底辺どころか奈落の底やん。いや、でもさ、クロとシロも前はロリコンの俺を肯定してくれていたじゃないか?」

「体が大きくなった今では状況が変わりました。いつまでも幼児体形に『ハアハア』してもらっては困ります」

「ナイスバディなお前たちにも『ハアハア(*´Д`)ムラムラ』してるじゃないか!それじゃアカンのか?」

「「私だけにしてください」」

 

 シロとアルの声がハモった。両者は顔を見合わせて『チッ!』と舌打ちする。

 個人アピールの末にギスギスするのやめてー。

 

「「私()()だけにしてくださいね」」

「善処します」

 

 『たち』の部分を強調して言い直す二人の圧が怖い。

 こういう時は素数を数えながら嵐が過ぎ去るのを待つのだ……素数?知らねーわww

 咳払いしたシロが話を続ける。

 

「いいですか、大事な操者が『ロリコンくそ野郎』などと罵倒されている様を見るのは、愛バの私たちとしても耐え難く辛いのです」

「苦あれば楽あり。苦しみに耐えたその先には幸せ(ロリ)が待っている」(*´▽`*)

「目を覚まして!苦行の果てに待ってるのはロリじゃなくて、獄中生活ですよ!」

 

 シロと問答をしているとアルが耳元で囁いてくる。

 

「マサキさん、今すぐにその苦行から解放される方法がありますよ」

「マジで!?教えて教えて」

「いい機会です。今ここでキッパリと幼女への愛を断ってください。ロリコンやめましょう」

俺に……死ねと言うのか

「「そこまで重症!?!?」」

 

 俺からロリコンというアイデンティティを取ったら何が残る?

 マザコン、シスコン、愛バ大好き男だぞ。あれれー?一個減っただけであんまり変わってない気がする。

 

「ロリたちの存在は俺の心の支えなのに……」

「そんなんで心を支えないでください。支えにされた方も迷惑です」

「じゃあこうしよう。フィジカルはお前たちに支えてもらって、メンタルはこれまで通りロリたちに支えてもらう」( ̄▽ ̄)

「何も解決してませんよ!これが決定打みたいなイイ顔しないで」

 

 『手強いです』とアルが『アプローチを変えてみますか』とシロが言った。

 お説教長いな・・・だが、何を言われても退かぬ!媚びぬ!省みぬ!の精神で対応するのみ。

 

「愛する子供たちの事も考えてください」

「子供???」

「私は未来の子供たちに『あなたのパパはロリコンなのよ!』と宣言したくありません」

「あらやだ////シロってば俺の子供産む気満々じゃん」

「産みますよ。産みまくりますよ。産ませてくださいよ!」

 

 三段活用で迫って来るシロの迫力に押される。

 こやつめ、本気の目をしておるわ!

 

「私も産めますよ」ぎゅ~

「なになに?何の話してるの」

「幸せ家族計画の話です」

「それは是非とも参加しないとね」

 

 シロとアルが出産宣言していると、家事を終えたクロとココも参戦して賑やかになる。

 聞きました奥さん?こんなにも可愛い愛バたちが俺の子供を産んでくれるらしいザマスよ。

 幸せが溢れて泣きそうザマス。

 子供とか生まれたら感動で絶対泣くわ。我が子に負けじと泣き叫んでやるわ。

 子供かあ・・・愛バに似てカワイイんだろうなあ。

 

「女の子だったら、可愛すぎて『ハアハア』不可避だな」

「娘に欲情するのは勘弁してください」

「男の子だったら、俺の紳士的振る舞いを伝授する」

「息子の将来が心配だよ!」

「精一杯の祝福を君に♪」

「マサキさんのデータストームには何が詰まっているのですか」

「人生のパーメットスコア勝手に上げられる子供が不憫です」

 

 逃げたら一つ、進めば二つ。

 俺も何かイイ感じの名言を子供に伝えたい。今から考えておこうかな。

 

 まあ心配するな。子供への愛とロリへの愛は別物つーか、別腹?みたいな感じだからよ。

 

「頑固なマサキさん、どうすれば聞き入れてくれるのです?」

「思ったんだけどさあ、俺にだけ我慢を強いるのは酷いんじゃないか?俺がロリコンを辞めるのなら、等価交換でお前たちも何かやめなさい」

「そう来ましたか……わかりました。私はセガサターンとドリームキャストを卒業します」

 

 バカな!シロが愛してやまないセガハードを卒業する・・・だと・・!?

 そこまでの覚悟があるのか!

 

「不本意ながら、これからはスイッチがメインハードになりますね。この私がブレワイやティアキン漬けの毎日を送ることになろうとは…‥‥いや~困ったなぁ~」

「こいつゼルダやりたいだけじゃん!」

「そういうクロはブラックサンダーの摂取を今後一切やめるそうです」

「勝手に決めないでよ!マイフェイバリットお菓子の禁止はキッツイわ!!」

「あの、対価が軽すぎでは?」

「ゲームにお菓子、そんなんでマサキは納得しないでしょ」

「何、他人事みたいな顔をしているのです。アル姉さんとココにも例のアレやめてもらいますよ」

 

 シロの顔が邪悪に歪む。

 アルとココはそれで何を察し小刻みに震え出した。

 

「アル姉さん。お酒、やめてくれますよね?」ニッコリ

私に……死ねと言うのですか

「酒を飲むなと言っているんです」

「禁酒されたら、私は何から水分補給すればいいのです?干からびますよ」

「お茶とか水でいいんじゃない」

「百薬の長が飲めないと不健康になってしまいます」

「いや、むしろ健康になるだろ」

 

 アルがブンブンと首を振り拒否の意思表示をする。

 俺を抱きしめる腕にも力がこもって・・・いだだだ、アルさん力が、力が強いっス。

 

「でしたら、ココさんもラーメン禁止ですね!」

貴様ぁ、余に死ねと申すか!

「ラーメンを食べるなと言っているんです」

「主食を禁止なんてされたら、栄養失調で死ぬよ?」 

「他のご飯食べればいいじゃん」

「残酷なこと言うんだね。ラーメンを奪うのは私から酸素を奪うのと同義なのに」

「ラーメンにどんな価値を求めてるんだよ」

 

 それぞれの『好きな物禁止令』でグダグダして来た。

 ああ言えばこう言う。結局話はまとまらず、俺のロリコン卒業は見送られた。

 ふぅぃー、なんとか乗り切ったぜ!

 

「やれやれ、今回も説得は失敗しましたか」

「すまぬぅ」

「もういいですよ。ロリコンであったとしても、あなたは私たちの大好きなマサキさんですから」

「嬉しい事を言ってくれるじゃないの」

「これだけは約束してください。どれだけ幼女に(うつつ)を抜かしても、最後には私の元へ帰って来ると……指切りげんまんです」

「うん。約束する」

「嘘ついたら、獲れたてピチピチのハリセンボンを飲んでもらいます……クロが」

「なんで私!?しかも金属じゃなくて魚類のほうかよ!」

 

 シロが差し出す小指に自らの小指を絡めて約束する。

 何故か鬼畜ペナルティ科せられたクロがかわいそう・・・約束は守らねば!

 

「まあ、この辺が妥協点かな」

「シロだけズルいぞちくしょう。私とも指切りしてよ~」

「私たちのことも、どうかお忘れ無きようお願いしますね」

 

 幼女の俺に愛バたちが抱き着いてくる。

 むぎゅむぎゅと素敵な弾力と匂いに包まれて幸せ・・・あの、頼むから潰さないでね?

 おほっ!朝から恍惚の表情で圧死しちゃうわよ!

 

「お前たち……愛してるぞ」

「おぱーいではなく、顔を見て言ってほしかったですね」

 

 ・・・・・・・・・・

 

 お説教を含むなんやかんやで時間経過、いざ学園に出発進行~。

 殴り合いに発展しかけた厳正なるジャンケンの結果、今朝の抱っこ担当はクロに決定した。

 

「よろしく頼むな」

「うん、よろしくされちゃう」

 

 やる気十分のクロに移動は任せてオッケーだな。

 遅刻しない程度の速度を維持し愛バたちは順調に登校して行く。

 適度な揺れとクロの柔らかさに身を委ねていると眠気がぶり返して来た。

 

「寝てていいよ。着いたら起こしてあげる」

「すまん」

 

 幼女の体は大人の時より睡眠を欲しているらしい。お言葉に甘えて目を瞑ろう。

 愛バたちのトークをBGMにウトウトしていると、話題はどのキャラが好きだとか最強だとかの論争になっていた。

 ・・・ああ、スライムに転生しちゃうヤツね・・・

 

「やっぱディアブロだよ。主に忠誠を誓う黒はカッコイイ!執事ってのもポイント高し」

「ギィ様を忘れてもらっては困りますね。原初の赤にして最強最古の魔王ですよ?有象無象とは格が違いすぎて痺れます」

「ベニマルさんはどうですか?強くて頼れる炎使いのイケメン兄さん、甘党なところが可愛かったり」

「私はソウエイかな。みんな大好き仕事のできる寡黙な忍者。リアルにいたらうちで雇入れたいよ」

 

 愛バが他の男を褒めるのはジェラシーなのだけど、ラノベキャラなら、まあ良しとする。

 俺もラファエルさんみたいな超便利スキルが欲しかったぜ。

 

 ここで推しキャラは『クロエ』だと発言したら『またロリかよ』と白い目で見られそう。

 『リムル先生、好き!』のセリフを『マサキ先生、好き!』に脳内変換するの余裕でした。

 お説教されたばかりだし、少しはロリロリから離れてみよう。

 ミリムも好きなんだけど?ダメか・・・だとすると、頼れる屈強な男キャラ・・・ウホッ・・・

 

「……ガゼル王……イイ男……しゅきぃ////」

「マサキさんがホモホモしい寝言を!?」

「「「ホモォ」」」┌(┌^o^)┐

 

 ロリロリホモホモしていたら、愛バたち目当てな見物客やファンの出待ちゾーンに差し掛かった。

 ザワザワ、ヒソヒソ、ワーワー、キャーキャー、今日も大人気ですな。

 

「(ん?なんだこの感じ…‥‥変なのがいる)」

 

 妙な気配を感じて目が覚めてしまった。

 辺りを見回すと、黄色い歓声を上げるファンたちとは雰囲気の違う一団がいるのに気付く。

 怪しくむさ苦しい男だらけの集団がいる。地味な恰好をしているのにやたらと目を引く奴らだ。

 その先頭にいるリーダー格らしき男がブツブツ何事かを呟いている。

 不気味なオーラを放つ男の呟きは、どういうわけか不思議と俺の耳まで届いた。

 

「今日もご不在か……あの幼女?……なるほど、そういう事なのですね……くはっ、くははははは、我々をの信仰を試すおつもりか?お戯れがすぎますぞ……ですが承知しました。その試練乗り越えて見せましょう……クハハハハハッ…ゲホッゴホッ……」

 

 うわぁ、ガンギマリトリップしちゃってる。絵に描いたような不審者だ。

 無精ひげで病的なまでに瘦せこけた体、黒っぽい服装の30代と思しき男。

 意味不明な事を口走っていて、お近づきになるのは遠慮したい相手だ。

 濁り切った危ない眼で俺を見るのやめてくんないかな?鳥肌が立つわ!アンタ怖い、怖いのよ。

 あいつもロリコンなのかしら?だとしたら同類・・・うげぇ・・・(´Д`)

 俺、あんなのと同列に見られてんのか?そりゃ愛バたちも嫌がるわ。

 

 愛バたちも不審者の存在に気付いたようでアイコンタクト、どこかに指示を出していた。

 すると、不審者たちは突如現れた黒服たちに囲まれ全員まとめてしょぴかれて行った。

 それはあっという間の出来事で、周りのファンたちは気付いていない。

 今のは学園側が雇った警備か?それとも北島組の人たちかな?どなたかは存じませんが、お仕事ご苦労様です。

 

「もう大丈夫だよ。変なのはポイッしちゃったから」

「あ、ああ。助かったよ」

 

 俺の背中をポンポンしながらクロが笑いかけてくれる。その顔を見てホッとした。

 自分が思う以上にあの不審者たちにビビっていたらしい。

 愛バたちは怯えてプルプルしていた俺を敏感に察知して対処してくれた。そのことが素直に嬉しい。

 

「あの一団、マサキさんが女になる前からいましたよ。キモいだけでしたので今まで放置していましたけど」

「マサキを怖がらせた以上はギルティ!厳重注意して接近禁止令だね」

「ああいうのは早めに摘み取らないと後々面倒になります。学園にも報告してパトロールの強化を━━」

 

 愛バたちの有能っぷりに感心する一幕だった。

 

 〇

 

 今日も今日とて教官業務を頑張りますよ。

 と、思ったのに・・・

 

「なんで俺は空を飛んでいるのかな?」

「飛んでいるのはマヤであって、マサキちゃんはしがみついているだけじゃない」

 

 学園上空、快晴の青空をマヤノトップガンと共に飛行している。俺でございます。

 

 30分前・・・

 

『マサキちゃん!飛行試験に付き合ってよ』

 

 そう言って元気よく医務室に突撃してきたマヤは俺の返事も聞かず幼女誘拐を達成したのだ。

 屋上に連行された俺は、マヤが持参した抱っこ紐で有無を言わさず彼女の体に括り付けられた。

 何しとんねん??

 理事長のときにも味わった、ロリに抱っこされるロリ状態。

 紐で固定されているせいか密着感が凄い。俺とマヤは一心同体だ。

 ネームドの中でも小柄な部類のマヤにそういうことされると・・・興奮しちゃうじゃないかぁ!

 

『そんじゃテイクオフいっちゃおー、ユー・コピー?』

『ノオォォォ!こぴいいいいいいいいいい!?」』

 

 こいつ、俺を道ずれに投身自殺したぁ!?

 なに?何?なぁにィィィーー?マヤちゃん人知れず病んでたの?どうしてこうなるまで放っておいたんだ!!

 パニックになった俺をよそにマヤは慌てずに自らのデバイスを顕現させる。

 デバイスの装着は一瞬で完了、金属の装甲がマヤの身体各所へ取り付けられた。

 背部及び腰部の翼が展開されメイン推進機構から覇気を噴出させる。

 重力制御装置テスラドライブを搭載した飛行型デバイスは装着者を大空へと羽ばたかせた。

 

 地面との接触が回避されたことで俺は平静を取り戻す。あっぶ!

 地上では空を飛ぶ俺たちを指差したり手を振る人たちが確認できた。

 飛行に慣れたマヤは地上の人に手を振り返したり、サービスとばかりに曲芸飛行を行う余裕すらある。

 マヤは飛行型デバイスを扱う第一人者だ。名の知れ渡った今ではそれなりの貫禄が出て来たように思う。

 

「焦ったぁ・・・もう!いきなり飛ぶなよ」

「アハハハ!『こぴいいいいい』だって、プークスクスッww」

「このガキ、脇腹くすぐりの刑にしてやる!」

「ちょちょちょーー!やめてやめて、集中が途切れると高度が維持できな…キャハハハハハwww」

「ほれほれ、ここか?ここがええのんか?」

「やん!マサキちゃんのスケベェwww」

 

 くすぐり攻撃で集中を乱したマヤは不規則な飛行経路を描き出す。

 ある程度ならデバイスがオートで姿勢制御してくれるが限度というものがある。

 これ以上やるとマジで墜落するな。今日はこの辺にしといてやるか。

 くすぐる手を止めると飛行はすぐに安定を取り戻した。

 

「あっぶないなぁ。今のマヤじゃなったら『もう助からないゾ!』になるところだったよ」

「そうなっても最悪、俺一人だけなら生還できる」

「もー、マヤのことも守ってくれなきゃ困るよ。それでもマヤノ号の乗組員さんなの?」

「無理やり乗せられたんですけど!?」

 

 マヤノ号???安全性が乏しいなら乗りたくねー!

 

「んで?何故俺を巻き込んだ」

「テスラドライブの駆動系を調整したから、そのテスト。航続距離のデータも取りたいからリンクしてほしいなぁ~」

「俺は予備燃料かよ。ま、いいけどさ」

 

 マヤは俺の覇気を燃料として使う気なのだ。

 いちいち地上に戻らなくても俺とリンクしていれば補給の必要は無い。

 おっす!燃料タンクのマサキです。

 マヤの親御さん、マーベリック大佐にもできるだけ協力すると言った手前、邪険にもできないのが辛いところだ。

 こうして飛行試験に付き合うのは嫌いではないし、いいんだけど。

 

「マヤはこれより遊覧飛行に入るよ~。どこか行きたいところはある?」

「市街地をのんびり周回コースで頼む。くれぐれも安全運転で」

「アイ・コピー♪」

 

 リンク開始、バスカーモード発動・・・俺とマヤ、そしてデバイスから粒子光が放出される。

 同時、マヤが加速して上昇をかけた。

 うぉっと・・・テスラドライブの力で相殺されているとはいえ多少のGは感じるな。

 大気を切るように進む俺とマヤ、適度な風圧が心地よいなり~。

 

「マサキちゃん。最初から飛ぶのに抵抗ないし慣れてる感じするよね、なんで?」

「俺の母さんサイバスターだぞ。移動=飛行なんてざらだった」 

「そうだったね。デバイス無しで飛ぶなんてどういう理屈なんだろう?マヤ気になる~」

「母さんが言うには『風と仲良くなれば余裕♪』だっけか……」

「うわ~抽象的かつ意味不明、さすがのマヤもわかんない~」」

 

 村で生活していた頃『ちょっとそこまで』みたいな感覚で母さんは俺を抱えたまま飛んでいた。

 成長するに連れて"抱っこスタイル"は恥ずかしいと言ったら、俺の持ち方についていろいろと悩んでくれたものだ。

 息子をタワーブリッジしたまま飛ぶとは思わなかったけど・・・。

 空を行く母さんの姿は村ではちょっとした名物で『目撃したら幸運になる』とまで言われていたな。

 

「何それw流れ星みたい」

「確かにな。村では母さんたちを縁起物扱いする風潮なんよ」

「流れ星……流星……きれいな銀色‥‥‥うん!ビビッと来ちゃった」

「お、妙な電波受信したか」

「フッフッフ、ちょっと新型の異名をね……マサキちゃんママにあやかってもいいかな?」

「いいんんじゃね?母さん、細かい事気にしないし。気に入らなければ"アカシックバスター"されるだけだし」

「一歩間違えば必殺技撃たれるの!?ね、ねえねぇ、マサキちゃんからお伺い立てといてほしいな~」

「ええ……めんど」

「引き受けてくれたら、マヤのおぱーい好きにしていいんだゾ?」

「ハハッww」

「失笑すんな!!」

 

 おいおい、愛バたちの豊満おぱーいを熟知した俺相手にそれはないでしょうww

 しかも今は『幼女な俺!抱っこキャンペーン』開催中ですよ?

 昨日今日で、俺がどれだけのおぱーいとふれあい体験していると思ってるんだ。

 えー、トップガンさんのおぱーい測定結果は……サイズS……貧しい乳ですこと。

 

「大きさで全ての勝敗が決するとは限らないんだよ」

「一理あるな。だが、大は小を兼ねるという言葉も忘れないで」

「マヤはまだまだ成長期、そのうち『おぱーいバインバイーンッ!』になっちゃうからね!」

「ああ、そうだな……きっと……グスッ……なれる……さ」

「何泣いてんの!?少しはマヤの可能性を信じてよ」

 

 ウマ娘の成長には個人差があるけど、大体が10代前半で本格化という急成長を終えてしまうのが通説だ。

 俺の覇気で超進化したクロシロは例外中の例外、ウォッカとスカーレットは本格化の大成功例なので目安にしてはいけない。

 高等部に進級するまでに成長が見込めなければ『バインバイン』になるのは厳しいのが現実だ。

 失礼だけどマヤの成長率はなぁ・・・可能性が無いとは断言できないが、ちょっと厳しいか。

 

「ぶーぶー、絶対大きくなるもん!マヤの美乳は今だけの期間限定モノだと思ってね」

「なんかプレミア感出して来た」

 

 俺の涙をなかったことにしたマヤはポジティブである。

 漢字間違ってない?表記するなら微乳でしょ。

 しかし、この俺も健全な日本男児として期間限定という言葉には弱い。

 お菓子とかアイスとか、期間限定の方を優先的に買っしまったりするし。

 

 そういえば、クロシロの"ちっぱい"も期間限定だったな……まだ全然味わってなかったのに!

 ちょーっと目を離した隙にたわわに実りおってからに!もう!

 

「成長するといことは"ちっぱい"を捨てるということだぞ、それでいいのか?」

「マヤ的には一刻も早く捨てたいんだけど」

「そんなこと言うなよ、悲しむだろ?俺が!!」

「なんでマサキちゃんの性癖に合わせないといけないの!そういうのはテイオーちゃんにでも頼んでよ」

「あいつはダメだ」

「なんでよ?」

 

 こちとら養護教官として生徒たちの健康と発育具合を常日頃から気にかけている身だ。

 テイオーは俺とも愛バたちとも仲が良いので、観察する機会はいくらでもある。

 俺にはわかる。奴は今、バリバリの成長期真っ只中だと!

 

「変態!そうやってマヤたちをいやらしい目で見てるんだー」

「失敬だな君は!慈愛の目で見ていると言え!」

「そんで、テイオーちゃんの発育具合は如何ほど?」

「俺の見立てだとテイオーは、あと数年もしない内に憧れの会長と同等か、それ以上の成長を遂げるであろう。楽しみだな~」

「おぱーいは?数年後、奴のおぱーいはどうなっているのでありますか?」

「そりゃもうバイバインのボインボインよ。カットインするとメッチャ揺れる!」

「ヘェーソウナンダ……マヤワカッチャッタ……ケズル!ケズルンダ!ケズラナイト!」

「あ、あくまで俺の個人的予想だから、気にしない方が……マズったか」

「ウラギリモノウラギリモノ……ユルサン!ユルサンゾォォォ」

「こりゃもうダメだな」

 

 マヤの目からハイライトが消えた!?スズカ(絶壁)さんを彷彿させる黒いオーラを醸し出しておられる。

 テイオーごめん。俺、余計な事を言ってしまったかもしれない。

 おぱーいの自己防衛を頑張っておくれ。陰ながら応援してる。

 暗黒面に落ちそうなマヤをなだめるのには苦労した。

 

「そうだ。パパがマサキちゃんにお礼言ってたよ。あの"きれいな石ころ"がとっても役に立ったって」

「ふぉっふぉっふぉっ、石ころの名前はオルゴナイトと言うのじゃよ」

 

 マヤのパパが責任者を務めるマーベリック航空技研にシラカワ重工から技術提供があったのは、つい最近のことである。

 その中に俺が生成したオルゴナイトが含まれていたのだ。

 今、メイドインマサキのオルゴナイトを使った様々な実験をいろんな所で試している最中だ。

 研究協力してくれる組織の選定はシュウとかシロの天才組にお任せ、マーベリック航空技研は信頼できる組織として認められたのだ。

 

「パパ喜んでたなぁ~『これでマヤのクラッシュ回数が格段に減る』だってさ……あはは……泣いていい?」

「今度、俺から大佐にガツンと抗議してやるよ」

「マサキちゃん」(´▽`)

「『娘さんはずっと貧乳のままでいてくれますよね!いるべきなんですよ!』こんな感じでな」

「そっちかよ!Fuck you!」

「こらこら、ファッキュー言うんじゃありません」

 

 通常のオルゴナイトは短時間で砕け散り粒子状に霧散していく。

 戦闘終了と共にきれいさっぱりなので掃除の手間が省けるね。

 その中で極々稀に物質化を維持したままの残留結晶が見つかる事がある。

 超高密度かつ高品質の覇気で生成された"レアオルゴナイト"と言うべきエネルギー物質。

 

 ファイン家がこれを弾丸に加工した事があるらしい。威力も中々のものだったとのこと。

 この話を聞いたシュウは俺にレアオルゴナイトを作れないかと依頼してきた。試しにやってみると、苦労しながらも生成できたから快く差し上げた。

 シュウはそのオルゴナイトから強力なエネルギーを引き出す方法を即座に確立させ、他にも様々な利用用途を思いついてくれた・・・さすがやお兄さまですぅぅ!さすおに!

 その研究にはシロも協力していたらしいが、複雑な数式や理論が飛び交う説明は聞いてもよくわからなかった。

 

「オルゴナイトかぁ。いいなぁ~マヤにもプレゼントしてくれない?」

「うーん、考えておく」

 

 テニスボールサイズの物を一個作るのにも大体一週間ほどかかる。

 これが中々骨の折れる作業で、長時間の集中というか"踏ん張っている状態"を必要とするから大変なんだ。

 めっちゃ腹減るし疲れるし眠たくなる。

 力み過ぎてお尻から気体が出たり固体が出そうになったりもする。

 おいそれと用意できる物ではない事をわかっていただきたい。

 

「あー、これダメなやつ?……いいんだもん、それでもマヤは…マヤはマサキちゃんを信じてる!」

「プレッシャーかけるのやめーや」

「えへへ、冗談だよ冗談。全然期待してないからね~」

 

 こんな感じで俺とマヤは飛行試験を楽しんだのである。

 後日、航空技研から『いいデータが採れたもっと飛べ!』と、お褒めの言葉をもらった。

 ふむ。プレゼントか・・・

 

 〇

 

 今日は医務室を訪れる生徒が多い。

 俺の仕事は暇であることが一番なのだけど、お役に立てるなら頑張りますよっと。

 

「じゃ、お大事に」

「はい。ありがとうございました」ナデナデ

「……もう、行っていいぞ」

「そうですね~ウフフフ」ナデナデ 

「マック!」

「はいはい。お帰りはあちらですわよ」

「ああもうちょっとマサキ教官を撫で回し……ロリィィィーー!」

 

 診察の終わった生徒が医務室から排除された。

 実行してくれたのは、持ち回りで俺をお世話をしてくれているネームド娘の一人。

 今はメジロマックイーンのターンである。

 

「やれやれですわね」

「今日あんな患者ばっかなんだけど?強制排除しないと、ずっと居座ろうとするんだけど」

「幼女マサキさんは注目の的ですから」

「俺の知らぬ所で一体何が進行している?」

「『撫でるとご利益がある』『抱っこすると運気が上がる』等、様々な噂が飛び交っておりますわ」

「フクたちが適当な事を言って面白がってるな」

「みんなマサキさんを構いたくて仕方ないのですよ。人気者の証拠です」

 

 冷やかし半分ならご遠慮いただきたいのが本音だけど、わざわざ俺に会いに来てくれたのはちょっと嬉しかったりする。

 怒るに怒れないんだよな。こんなんだからなめられるのか・・・

 

「今の子で最後みたいだな」

「ええ、これで一息つけそう━━━」

マァサァキィィィーーッッ!!

「でもなかったみたいだな」

「何事ですの!?」

 

 おっそろしい声で名前を呼ばないでくれる?

 憤怒の声を発する恨みがましい目をした生徒が扉を開け放ち飛び込んで来る。

 ここ医務室ですよ?静かにしなさい。

 

「ようテイオー。どうした?ついに、はちみーの過剰摂取で膀胱(ぼうこう)がイカれたか?」

「まあ!はしたないww」

「ちがーう!マヤノに何を吹き込んだんだよ。あいつボクの胸を『削る』とか『もぎとる』とか言ってるんだけど!目が本気で怖いんだよぉ!」

「テイオーは生徒会長みたいになると、教えただけだ」

「ボクがカイチョ―みたいに////さっすがマサキだね!ボクのことよくわかってるー」

「一瞬で機嫌が治りましたわ。現金すぎましてよ」

 

 マヤの奴、さっそくテイオーのおぱーいを削りに行ったのか・・・アグレッシブかわいいですねー!

 テイオーは学園の修練場で自主トレに励んでいたところを襲撃されたらしい。

  

 以下、テイオーの回想・・・

 

『ひゃーっはっはっは!テイオー?どうして裏切った?テイオーちゃあぁぁんッッ!』

『マヤノ!?一体何があったの、強化手術やりすぎた人みたいになってるよ』

『おまえはマヤと同じ"貧乳メスガキ枠"だぞ?』

『なんだよそれ!初耳だよ!』

『だめじゃないか!貧乳の奴がふくらんでちゃ!しぼんでなきゃぁ!削らなきゃあああ!!』

『わけわかんないよー!』

 

 おぱーいを庇いつつ、命からがら医務室まで逃げて来たのだとさ。

 マヤが"感情を制御できないゴミ"と化してしまった。どんなクロスボーンだよww

 テイオーが襲われたのは俺にも責任の一端があるので、飛行試験中にマヤとどんな会話をしたかを説明して謝っておいた。

 

「やっぱりマサキが原因じゃないか、何してくれてんだよ」

「悪気は無かったんや、ただお前の成長が嬉しくて口が滑った…ごめん」

「はぁ…‥‥もういいよ。寛大なボクだから許すけどさあ。それより、カイチョ―みたいになれるって本当?」

「それは今後のお前次第だな。いろんな事を経験して大きく強くたくましく、そしていい女になるんだぞ」

「そこまで期待されちゃ仕方ないなぁ////よーし、カイチョ―よりキタちゃんよりおっきくなるぞ~」

「今後も身体測定はこの俺に任せな!」

「エロマサキ////」

「マサキさん、テイオー……今の話本当ですの?……許せませんわ……けずるケズル削らなきゃあああ!!」(# ゚Д゚)

「「ここにも感情を処理できないゴミが!?!?」」

 

 マヤと同じ暴走状態に入ったマックが両手をワキワキさせながらテイオーににじり寄る。

 あのー、医務室では暴れないでくれますか?やーめーてー。

 

 ・・・・・・・・・・・・

 

「落ち着いた?」

「もう大丈夫です。急に取り乱してすみません」

「ボクがいなかったらヤバかったね」

「お前がいたからマックがキレたんやで」

「何か言った?元凶マサキ」

「さーせん」

 

 テイオーの協力でマックを抑え込むことに成功した。

 途中でテイオーはロリな俺を抱えて盾にしやがったので、ちょっと当ててんのよ状態に・・・・ほう、順調に育っておりますな~。

 

「おぱーいに貴賎なし!小さかろうが大きかろうが、俺は好きだぜ」

「イイ顔で何をおっしゃっているのかしら」

「マサキはこういう男だよ。気にしたら負け」

「あー人肌恋しくなってきた。マック、抱っこ~」

「了解ですわ。慎ましくて貧相な胸でよろしければですけどね!!」

「ごめんって、卑屈になるなよ~」

「(ボク的には朗報だったけど、今後は"貧乳勢"に注意しなきゃ)」 

 

 マックと戯れているとテイオーが人数分のお茶を淹れてくれた。

 わんぱく少年のような奴だが、何気にお嬢属性持ちでもあるらしいテイオーはお茶の味にうるさかったりする。

 ティーパックであろうとも美味く淹れるコツがあるんだとさ。確かに、マックやテイオーが淹れてくれた茶は美味い。

 医務室はネームドたちのたまり場でもあるので、皆勝手知ったるなんとやらだ。

 

「戸棚の中に大量のクッキーがあるんだけど?」

「調理実習で作ったヤツをみんなに分けてもらったんだ。ありがたく食べようぜ」

「パクパクですわ~」

「(この尋常じゃない量……みんなここに遊びに来てるんだ。ま、ボクもだけどさ)」 

 

 お茶とクッキーに舌鼓を打っていると更なる来客。だからノックしてよ。

 

「チーッス!邪魔するぜ~」

「邪魔するんなら帰って!帰れ!」

「そういうお約束はいいんだよ。テイオー私にも茶ぁくれ…おお、マックちゃんもいるじゃん」

「うげぇですわ。ちょ、勝手に」

「なんだクッキーか、ポテチねぇの?」

「うっざっ!」

 

 ウザいことこの上ない図々しいの権化、ゴールドシップがあらわれた。

 楽しい三人のお茶会に乱入してくるとは、マジで空気の読めない奴だな。

 マックの隣に座ったゴルシはお皿に山積みされたクッキーを鷲掴みにして貪る。

 せっかくみんながくれたのに・・・もうちょっと味わって食えや!

 

「何用ですの?お世話係の交代時間はまだ先のはず」

「ゴルシちゃんにはな、ロリマサキを監視するという重大任務が課せられているのである」

「お前もう帰れや」

「帰れないわよ!チヤホヤされて鼻の下伸ばしている、そんなみっともない奴を置いて帰れっかよ!」

「みっともない俺といてもつまんないだろ?それ食ったら帰れよ」

「自分を卑下するんじゃねー!お前がどれだけ浮気性なクズロリコンでも、私のダチなんだからよ」 

 

 嬉しいのとムカつく感情が同時に来たんだけど、マジで反応しづらいな。

 テイオーとマックもゴルシの相手をしたくないようで、大人しくお茶をすすっている。

 

「そんなことはどうでもいい!こいつを見てくれぃ!」

「何ですの?……私にはゴミにしか見えませんけど」

「シールっぽいぞコレ」

「なんだか嗅いだことのある臭い、スースーするような?」

 

 ゴルシがテーブルの上に叩きつけるように出したのは、数枚の薄板状の物体だった。

 表面にデフォルメされたゴルシのイラストが描いてあり、それぞれ絵柄が違う。

 どれも絶妙に腹立つ顔してんなぁ。

 舌を出して首を傾げているイラストを見ていると本人をどつき回したい衝動に駆られる。

 テイオーが言うように、メントール臭もするな。

 

「かねてよりファイン家で開発していた万能湿布薬…その完成品だ」

「サロンパスだ」

「サロンパスですわね」

「まーたパクリやがったよ。そろそろマジで訴えられろ」

 

 出たよ、御三家のパクリ商品シリーズ。

 なんてものを作ってんだ、よっぽど暇なのか???

 

「これでうちの財政も潤うこと間違いなし。これは試供品だからお前らにやるよ」

「万能湿布薬ねぇ……どんな名前でで売る気なんだ?ケロンパスとか言ったらぶっ飛ばすぞ」

「企画段階から私が携わったんだ。そりゃあ『ゴールド湿布(シップ)』に決まってんだろ!」

「商品名がクソだな。売れるかこんなもん!」

「頭が悪くなりそうですわ」

「これ使うぐらいなら素直にサロンパス貼るよね」

「まあまあまあ。そんなこと言わずに試してみろって、マジで効くからさあ」

「おい、勝手に貼るな」

 

 ゴルシは了承を待たずに俺のシャツを捲り上げ、腰部へと湿布薬を貼った。

 その途端、ひんやりとした感触が俺を襲う。

 

「うひょ冷たッ!スースー通り越してピリピリする!」

「超クール仕様だからな。使い心地はどうよ?」

「刺激が強いな。子供は使用を控えるべきだって注意書きしとけ……なんか段々痛くなって」

「ふんふん、腐り切っても医療関係者だな。真っ当なご意見感謝するぜ。ほれほれ、お前たちもチャレンジしてみ」

「じゃあ一枚だけ……おわっ、こ、これ強すぎだよ。マサキよく耐えてるな」

 

 何のこれしきと言いたいが、やせ我慢もそろそろ限界だ。腰が冷えすぎて辛い。

 ふくらはぎに貼ったテイオーは無事か?・・・ダメみたいですね。足がつりそうになってるじゃん。

 強力な冷感刺激に俺とテイオーは『あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛』と奇声を上げながら悶えることになった。

 何の罰ゲームだよこれ。

 

「プルプル震えちゃってまあ、二人とも相当気に入ってくれたみたいだな。さあ、マックイーンも」

「あの惨状を見て試すと思いますか?断固拒否します」

「腹に貼って寝るとダイエット効果があるぜ」

「また適当なことを」

「こんなの貼ったらお腹壊すよ」

「友人の頼みとあらば仕方ありませんわね!在庫が余っているなら個人的に引き取ってあげてもよろしくてよ」

「「「うわチョロww」」」

 

 後日発売された湿布薬は予想に反して驚異的な売り上げを記録することになる。

 超クール感に耐え切った後には強烈な爽快感と抜群の疲労回復効果があると、メディアに取り上げられて話題になったのが大きい。

 ゴルシの目論見通りファイン家の財政とゴルシの財布は少しだけ潤ったのであった。

 どれだけ儲かったの?なんか奢れよな。

 

 〇

 

 中庭で幼女が生徒に絡む事案発生。

 

 幼女のほうは当然の如くマサキであり、生徒は可愛い妹属性のカレンチャンだ。

 昨日も騒いでいた二人なので、遠巻きにしている者たちも『またか』で絶賛スルー中である。

 

「やってくれはりましたなあ、カレンはん?」

「ど、どうしたのかな、お兄ちゃん?言葉使い変だよ」

「どうもこうもあらしまへん。例の小学生ウマスタグラマーの件ですわ」

「あ、どうだった?"カオル"ちゃんすっごく可愛かったでしょ」

 

 確かに可愛かった。今の俺と真っ向勝負できるぐらいの逸材だったと思う。

 だが、問題はそこじゃない!カオルちゃんはな、カオルちゃんは・・・

 

男じゃねーかよぉ!!

「うんそうだよ。男の娘ってヤツw」

「確信犯か貴様ぁぁ!」

「あれー?カレンはお兄ちゃん好みの可愛い子を紹介しただけなのになぁ。性別女とは一言も言ってないしーww」

オ・ノーレェェェェェッ!!!!

 

 マサキは怒りのままに幼女パンチを繰り出すが、全てを片手であしらうカレンにはまるで効いてない。ダメージゼロです!

 くそぉ!一矢報いてやりたいのに非力すぎる。太ももを撫で回してやろうかしら?

 カオルちゃん♀はな・・・なんとカオル君♂だったのだよ!!

 ある程度仲良くなったところで『僕、男だよw』と暴露され『また釣れちゃったw』なんて可愛くあざ笑われた俺の純情を返せよ!!

 愛バの目を盗んでスマホをポチポチした時間も返してよ。

 

「なんでもう個人的なやり取りしてるの!?お兄ちゃんのコミュ力お化け!」

 

 カオル君の本名は"熊田薫(くまだかおる)"と言う。

 俺が『ブタゴリラやないかい!』とコメントでツッコんだら『ブタとかゴリラとかなんなの?死ぬの?』と本人からキレ気味の返信が来た。

 そこから、なんやかんやのやり取りがあってメッチャ仲良くなった、てな訳よ。

 最近の子はキテレツ大百科知らないのね・・・吾輩(わがはい)ジェネレーションギャップなりよ!

 

「アンチコメから始まる物語。ボーイ・ミーツ・ガールだね!」

「向こうがボーイで俺がガールじゃないか。しかも、実際にはボーイ・ミーツ・ボーイ」

「お兄ちゃん、ボーイなんて年じゃないでしょw」

「うるせぇ!男はいくつになっても少年の心を持ち続けるんじゃい!」

 

 カオル君のウマスタ活動は一人のファンとして適度に応援させてもらおう。

 男と判明した段階で下心は霧散したぜ・・・トホホ。

 

「お友達ができて良かったじゃん。さて、話も終わったみたいだし、カレンはそろそろ」

「どこへ行こうと言うのかね?」

「これから学外クエストだよ。お友達待たせているから、もう行くね」

「呼び止めて悪かった。気を付けて頑張って来いよ。次は女の子を紹介して」

「はーい。行って来るねー」ナデナデ

 

 カレンは俺の頭を軽く撫で校門のある方へ駆けて行った。

 クエスト頑張りなはれや!

 

 〇

 

 学園の食堂にてスマホ片手に唸るマサキの姿があった。

 

「男の娘ね……なんど見ても面妖な」

 

 頬杖をついてぼやく幼女には珍しくお供が不在だ。

 次のお世話係と待ち合わせ中なのである。

 

「あ!マサキ教官だ」

「ホントだ。小っちゃくてカワイイ」

「今フリー?お世話係立候補してみようかな」

「生半可な覚悟で近づくな。噂では飽きるまでおぱーい揉んでくるらしい」

「「「ヒェッ!?!?」」」

 

 幼女になったマサキがいろんな人に抱っこされている件は皆が知っている。

 男だった時からアホな言動やセクハラ発言の多い教官だったけど、やられている方も許しているというか、満更でもないというか・・・

 絶妙な距離間を保ちつつ仲の良い相手には結構攻めるという"高度なセクハラ使い"だと、マサキは噂されている。

 むしろマーキングなどのスキンシップは女性陣のほうからが多いような気もする。

 

「それなんだけどさあ。マサキ教官が手を出す相手って、学園でも指折りの強い子ばかりってマジ?」

「偶然だろ。わざわざ強い奴狙ってセクハラ働くとかドⅯすぎんよ」

「抱っこをやんわり断られた人は言う事が違いますなぁ」

「見向きもされなかった奴に(あお)られてもねぇ」

「アンタら…言ってて虚しくないの?」

「「虚しい!そして悔しい~」」

 

 モブウマ娘の会話からわかる通り、マサキは人を選んでセクハラを働いている節がある。

 その誰もが学園内外で目立つ存在であり強者なのは周知の事実。

 故に『マサキからセクハラされる』=『何かしらの才能があるのでは?』というが、教職員と生徒たちの間で一種のバロメーターと化している。

 愛バとロリを想い脳みそ忙しいマサキはそのことを知る由もない。

 

 『ついてるのか・・・』と何事かをぼやいている幼女に近づく者あり。

 性転換から低年齢化までした異様な存在をものともしない、物好きであり実力者"ネームド"たちの登場だ。

 

 因みにネームドとは『マサキと仲の良いセクハラ耐性持ち』が授かる称号である。

 マサキ的には『名前覚えてる奴ら』ぐらいの感覚なのだが。

 誰が言い出したか不明だが学園内外に広く普及した異名、それがネームドだ。

 

「チョリーッス!マサぴっぴ今日も元気にしてるかーい?」

「ウィース」

「うわっ、テンション低ッッ!こっちまで下がるわー」

「さては!ロリコンが過ぎてアルダンたちに見限られた?」

「ちげーよ……今、性の不条理について悩んでる最中だ」

 

 マサキの下に集ったのは、ダイタクヘリオス、メジロパーマー、トーセンジョーダンの三人だった。

 フルメンバーではないが、俗に言うギャルと呼ばれる連中である。

 

「なんかあったん?とりま説明よろ」

「この子知ってるか?」

「おー、カオルッちじゃん。何?今度は男の娘をタゲってんの」

 

 やはり有名なのか、カオル君はウマスタをしている奴なら知っていて当然の人物らしい。

 俺はカレンから紹介され、男の娘だと知らずにショックを受けた経緯を説明した。

 

「そりゃマサキが悪いよ」

「だよねー。いっつもロリロリ言ってからバチが当たったんじゃね?」

「まあ、カオルっちレベルだと直接会っても気付かん可能性ありっしょ。でも、バカすぎww」

お前らは俺があぁぁ可哀想だとは思わんのかァァァァア!!!弱い者いじめをォするなああああ!!!

「半天狗みたいなこと言い出したww」

 

 昨日より幼女の体に慣れた俺を甘くみるなよ。

 お前たちに飛びかかるぐらいの体力はあるんだぞ。

 ギャルどもに向かって椅子からジャンプ・・・アカーン!思ったより飛べない。

 

「キャッチうぇーい!」

「危ないことすんなし」

 

 あ、あぶねぇ。椅子から落ちるところだった。

 素早く反応したヘリオスが俺をキャッチして、そのまま抱っこしてくれた。

 ジョーダンはネイルが施された指先で俺の頬をツンツンしながら注意してくる。

 パー子は『半天狗www』と笑っていた。お前なぁ・・・

 二人のことは、これからはヘリオとジョーとでも呼ぼう。パー子は……パー子でいいや。

 

「助けてくれた上に抱っこ感謝っス。そのまま俺を癒してくれるともっと助かる」

「具体的にどうしろと?」

「男の娘で傷ついた俺には金髪巨乳の癒しが必要だ」

「ジョーダンも抱っこしてみ?中身はクソだけど外見はパないよ」

「どれどれ、うわっ!軽ッ!ちっちゃっ!髪サラッサラww」

「スルーされた」(´・ω・`)

「はい、こっち見て写真撮るよー」

 

 嬉しそうに俺を抱っこするヘリオとジョー、パー子はそんな俺たちを撮影している。

 コラ!俺でキャッチボールするのはやめなさい。

 

「なあ、パツキンのチャンネーはおらんのけ?」

「まだ言うか」

「しつこいぞー。うちらで我慢しな」

「そう都合よくいるわけ━━━」

「ごめん。遅れた!」 

「シチーさん。仮眠で寝坊しても素敵だべ」

「「「パツキン来ちゃった!!」」」

「よく来てくれた湿地(シッチ)ッ!抱っこはよ」

「あ、うん。いいけどさあ」

 

 新たに金髪ともう一人ネームドが登場した。

 ゴールドシチーとユキノビジンが合流する。これでギャル組フルメンバーだ。

 お嬢様なパー子は染まり切っておらず、ユキノは見習いって感じだけどな。

 今の時間、本来のお世話係はシチーとユキノだったけど。シチーがちょっくら寝坊して遅刻していたのだ。

 このまま5人で相手してくれるみたいだし、ヘリオとジョーとパー子は飛び入り参加でいいだろう。

 因みに、シチーのことはシッチと、ユキノのことはユッキーと気分で言い換えるぜ。

 

 突然の要望にもシチーは快く応えてくれた。パツキンモデルは抱っこも一流ですな。

 

「フーン。巨乳かどうか知らんけど、癒された?」

「いい乳だった...モデルの鑑だ...」

「褒め方ウザww」

「ほら、次はユキノの番」

「うむ。よきにはからえ」

「なんで無駄に偉そうなの?」」

「わー、マサキさん。めんこくなってぇ」

「おまめん」

 

 おまめんとは『お前もめんこいな』の略である。

 シッチがユッキーに俺をパスする。

 そうやって抱っこを回してくれると、こちらとしても都合がいい。

 神核のチェックが捗るぜ。

 

 かわりばんこに俺を抱っこして撮影会をした後はテーブル席に座ってダラダラ駄弁ることにする。

 撮った写真を見せてもらったが『チャリで来た』の再現みたいなってるけど、いいのか?

 髪の毛を弄られたり、軽くネイルを施されたりしながら、ギャルトークに参加させてもらう。

 愛バたちで慣れているので女子の話題にも少しはついていける自負がある。

 授業やクエストの話から、流行りの化粧品やら、誰が付き合ってるだの、誰それが操者をゲットしただの・・・

 トークテーマはドンドン移り変わっていき、一周回って最初に話していた"男の娘ショック"へと戻って来た。

 

「この子、男なんだべかぁ……たまげたなぁ」

「うちらの業界でも割と多いよ。性別不詳ってのはなんかウケんのね」

「中性的な魅力か…俺にはわからんな」

「幼女好きすぎて幼女になった奴のことはもっとわからんしww」

「それなww」

「一応弁解させてくれ。今の状態、俺が望んでなったわけじゃないからな」

「「「「へぇー……」」」」

「みんな全く信じてねぇべさ」

 

 あの、シャミ子っていう神様のわがまでね・・・絶対信じてくれない・・・ちくしょー!

 いいやもう、説明がめんどくさーい。

 カオル君のウマスタを見ながら、ああだこうだ言いたいことを言い合う。

 

「信じられるか?こんなに可愛い顔してるのに下半身には"(けが)れたバベルの塔"が建設されているんだぜ」

「"穢れたバベルの塔"って普段のアンタにも生えてるじゃん」

「そうなんだけどよ。カオル君には生えてほしくなかった……」

「真面目な顔でスゲー下ネタかましてキター!!さすがのウチも引くぜー超引くぜー!なあ、パマちん?」

「ば、バベルの塔/////」ゴクリッ

「おやおやおや~。パーマーってばバベルタワーを妄想中みたいだし、スケベェww」

「ばべるのとう??みんなが何言ってるがかわがんねぇ。シチーさん、教えてけろ?」

「そこの幼女が失った秘密道具みたいなもんよ。男なら普通持ってるんじゃない」

「宝具と言ってくれたまえ。特定の状況で使用すると新たな命が誕生するのだ!」

「間違ってないけど言い方がウザ」

「ほぇ~、男の人ってすんげぇなぁ」

 

 むっつりパー子が赤面して、よくわかってないユッキーが感心している。

 ホッホッホ、君たちにはまだ早かったかな?

 他の三人は大丈夫みたいなので会話続行する。

 

「ていうか、女子の前でタワーの話なんてするなしww」

「一応、ウチら嫁入り前の娘じゃん?そういうの教官としてマズくない?」

「なんだ?お前ら仮にもギャルだろ。この程度の下ネタぐらいついて来いよ」

「ギャルがみんな下ネタ好きとか心外だしー」

「おかしいな『女は男が思っている以上に下品でドロドロぐっちょぐちょ』『ギャルなんてその最たるもの』だって」

「偏見にも程があるっしょ!誰に聞いたん?」

「違うのか?シロが『ギャル?ああ、下ネタが生きがいのクソビッチどもですね』と言っていたはずだが」

「サトイモちゃん酷くね?」

「あの子、マサぴが赴任して来る前と後でキャラ変わり過ぎなんよww」

「どぎつい本性隠さなくなってるからね。ま、下品なのはお互い様って感じ」

「そういうところもカワイイんだよなぁ」

「「盲目かよ!?」」

 

 シロは面白可愛い俺の愛バだ。多少下品でも問題なし!

 

「話をバベルタワーに戻すけど、急所丸出しなのって生物としては致命的な欠陥だよな」

「戻すなしww」

「『蹴ってくれ!』て言わんばかりの場所にぶら下がってるのもどうかと思う」

「続けるんだww」

「女になったからよくわかるんだよ。あの塔の危うさがな……」

「も、もうやめよう////正直つらい」

「パーマーさん?どうしたんだぁ、顔真っ赤だべ」

「パマちんが限界!マサぴはそろそろ自重すべき!」

「下ネタは身内だけでやれば?ほら、アンタの愛バたちなら余裕で乗っかるしょ」

「うーん。あいつらにこういう話題振るのはなぁ……」

「お?意外とウブだったりするん?」

「話だけじゃ終わらなくなるんだよ、なんだかんだで実践に突入しちゃうから…うぇへへ」

「「「こいつヤリチンだぁぁ!!」」」

今はノーチンですけど?

「「「やかましいわwww」」」

 

 ちょっとちょっとぉー『チン』はマズいよ。下ネタレベル更に上昇したよ。

 

「女子校の生徒がヤリチンとか言ったらダメでしょ!」

「言わせたのはそっち!」

「チン?チンチン電車なら知ってるべ」

「ほらぁ、ユッキーがチンチン言っちゃったよ」

(ちん)は国家なり!」

「ルイ14世はフランスへ帰れ!」

「場がイイ感じに狂って来たぞww」

「そしたら"パマちん"呼びもなんかエロくね?どう思うパマチン?」

「やめてヤメテ、マジデヤメテ!」

「どうすんだよコレ?お前らがヤリチン言うからだぞチンチン」

「どしたん?語尾が不浄なものに汚染されてるけど?」

「いや、チンチン使いまくって飽和状態にすれば恥ずかしさが薄れるかな~と思ったチンチン」

「「「くそバカwww」」」

 

 ちょっと楽しくなってきた。いけるとこまで行ってみよう!

 ギャルたちを目を見て合図する『いけるか?』と問うと『とりまやってみる』との返答あり。

 こいつら・・・アホだな・・・俺もだけどww

 

「はい。今からチンチン開始しまーす」

「「「ウェーイ!!」」」

「えぇ……」(´Д`)

「おっかねぇ祭りが始まっただ。頑張るべー」

 

 俺の号令でチンチンタイムが始まった。もう手遅れだけど下ネタ注意!!

 

「シチーさんは今日もチンチンだべ」

「あんがと。ユキノのチンチンも決まってんじゃん」

「そのネイル新作のチンチン?めっちゃチンチンしてる」

「わかる?ここのチンチンが最高にチンチンなんだよね~」

「やべーよ。今日の天気、晴れ時々チンチンだってさ。チンチンがチンチン降って来るぜ」

「マジで!?チンチン持ってくんの忘れたチン」

「俺の折りたたみチンチン貸してやろう。小さくて持ち運びに便利なチンチンだ」

「ち、小さいんだ////折りたたみなんだ////」

「今なんかすっげぇショック受けたチンチン!」

「あれパマちん?なんか元気なくなくなーいチンチン」

「それはチンチンが足りないからだ!早くチンチンと言え!」

「だってさ。パマちんもチンチン言ってみ?慣れると案外普通だチンチン」

「え、その////あぅ・・・」

「おーい。パー子がチンチン言わないといつまで経っても終わらねーぞ」

「なんでそうなるの!?ルールがわからないよ!」

「ちょっとだけ、先っぽだけでいいからチンチン」

「パーマーさん。頑張ってチンチンを口にしてけろ」

「頼むパー子、チンチンと言ってくれ!」

「あ////チ、チ、チ////」

「言え!言うんだチンチン!」

「チンチン……////」

「「「「腹から声出せチン!」」」」」

チンチンッッ!!!

 

 パー子の大声が食堂内に響き渡った。俺たちだけでなくたくさんの注目を一身に集めてしまうパー子。

 ゆでだこのようになったパー子はプルプルしながら羞恥心に悶えている。

 俺、ヘリオ、ジョー、シッチ、ユッキーは『やった!やったりおった!』と心で叫ぶ。

 せ、成功だ!あのパー子がチンチン言いおったで!

 それがどうしたと言われたらどうもしないけど。奇妙な達成感があるな。

 一仕事終えた俺たちは互いの健闘を称え合い握手を交わす。

 狂気のチンチンタイムは静かに幕を下ろしたのだ。

 

「冷静になったら、なんか腹減ったな」

「おごりなら食べてあげるし」

「いいぜ。ただし、一人500円までな」

「ウェーイ!言ってみたもん勝ち!何にしようかな~」

「マサキさん太っ腹だべ」

「500だとかなり制限されるけど…おごりってのが嬉しいからオッケー」

「え、あれ?もう終わり……私が大恥かいただけ?一体何だったの……そうだもう一回言えばチ」

「パマちん、それ以上はいけない!」

「終わったんだよ!!俺たちの〇ン〇ンタイムはもう…終わったんだ……」

「あれだけやって今更の伏字!?何一つ理解できないけど、わ、わかったよ」

 

 お遊びに付き合ってくれた皆に、おごるぐらいの甲斐性はあるチンチン。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 マサキたちが下ネタを満喫していた頃・・・

 食堂にいた人々は全員が同じことを思っていた。

 

チンチンチンチンうるせぇーよ!!(# ゚Д゚)』と。

 

 マサキとギャルたちの声は思いのほかよく通るのが災いして、食堂にいたほぼ全員がチンチンタイムを共有してしまったのだ。

 彼らなりのじゃれ合いなのだろうが、人類には早すぎてついて行けない。行きたくない!

 やり始めたマサキもだが、それに平然と順応したネームドたちも十分狂っている。あれでまだ愛バが参戦していない・・・だと!?

 ここに四人の愛バがいたらどうなっていたのか・・・想像するだけで怖気が走る。

 パーマーの『チンチン!!』叫びで終了した災害は食堂中を埋め尽くして多数の被害者を出した。

 ある者は腹を抱えて大笑い、ある者は飲食物を吹き出し、またある者は自身の想像を振り払うべく壁やテーブルに頭を打ち付けている。

 

 これはマサキとその仲間が引き起こす災害。通称、マサキ空間の発生である。

 その余波は不幸にも近くにいた他ネームドたちに降りかかる。

 マサキの感情はウマ娘には特に伝わり安く釣られやすい、その恐ろしさと迷惑加減を身をもって知るのであった。

 

「なあ、マサキたちが言ってる『チンチン』て何だ?」

 

 純真無垢な質問は時として非常に厄介である。

 ツインターボは一切の悪気なくチームメイトたちに問いかけた。

 

「ん-?私、バカだからわかんないなぁ」

「そういうのはネイチャさんが詳しいですよ」

「ちょ!イクノ!?」

「ホントか!ネイチャ、チンチンのことよく知ってるのか?」

「ええ。ネイチャさんほどチンチンに詳しい人を私は他に知りません!」

「このドS眼鏡、なんてことを言いやがる」

「さあ、ネイチャさん。ターボさんにチンチンの解説をお願いします」

「頑張れー」

「ネイチャ、ターボはチンチンについて知りたい!教えて教えて教えてー!」

「あーもうー!保健体育の授業でも受けてろや!!」

 

 ターボの質問攻めに頭を抱えるネイチャ。

 その光景を興味深そうに見るドSイクノと他人事のマチタン。

 チーム・カノープスは今日も平和である。

 

「チンチン~チンチン~♪チンチン~だね~♪」

「ウララさん!?連呼しちゃダメよ!」

 

 ハルウララは楽しそうにオリジナルソングを歌う。歌詞の90%がチンチンの歌をだ。

 それを止めようとするのは保護者代わりのキングヘイローである。

 

「キングちゃんはチンチン好き?」

「え、いや、好きとかそういうのじゃなくて……」

「チンチン~チンチン~♪チンチン大好きキングちゃん~♪キングチンチン~♪」

「それ以上歌うと『淫乱ピンク』に改名させるわよ」(#^ω^)ピキピキ

「キャー!キングチンチンが怒ったーあはははははww」(≧∇≦)

「コォラァッ!!待てやピンク!!」

 

 激怒したキングの手を躱しウララは何処かへと逃げていった。

 あのふざけた歌を他の場所で披露されたらキツイ。

 追いかけようとしたキングだが、あまりにふざけた出来事に追いかける気力が失せて席に止まる。

 

「いや~保護者も大変ですなぁ」

「スカイさん……楽しそうね。あなたも私と同じ目にあえばいいんだわ」

「それは遠慮したい」

 

 隣のテーブル席にいたセイウンスカイがキングをからかう。

 余裕のスカイであったが、キングの願いはすぐに叶うことになった。

 

「あの、スカイさんはチンチンのことよくご存知なんですか?」

「ブッ!ふ、フラワー何を言って……」

「あら、ちょうどよかったわ。スカイさんはチンチンの全てを知り尽くした女よ。いわばチンチンスカイね」

「凄いです!さすがです!チンチンスカイさん、私にもチンチンのことを教えてください」

「待って////そんなの知らない、知らないからぁ!」

「ざまぁww」

 

 自分を慕うウマ娘、ニシノフラワーからの質問にタジタジになるスカイ。

 キングはいい気味だとばかりにほくそ笑む。

 

「さあ、教えてください!チンチンの可能性は男性器以外にもあるってことを!」

「フラワァー!?!?もう知ってんじゃん!それが全てじゃん!絶対私より詳しいじゃん!」

「ニシノフラワー恐ろしい子」

 

 マサキ空間の被害は甚大だ。

 無知っ子や確信犯からの攻めを受けた者は精神に大きなダメージを負った。

 

 その元凶となったマサキは、ギャル組と共に小腹を満たした後でやっと周りの空気がおかしいことに気付いた。

 

「なんかチンチンチンチンうるさくね?」

「発情期ですかコノヤロウww」

「エロいつーか下品だよねー。ああなったら終わりって感じ?」

「ふぇぇ、都会はやっぱ進んでるべ……乱れてるべ!ただれてるべさぁ」

「個人の自由だけどさ。少しは自重しろっての」

「女子校にあるまじき光景~、風紀委員のバンメモさん卒倒するわww」

 

 加害者のバカたちに罪の意識は無かった。

 被害者たちの心は一つになり、元凶のバカどもに怒鳴り散らす。

 

「「「「お前らのせいだろォォォ!!」」」」

 

 怒られちゃった(´・ω・`)チンチン

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