クロシロの操者になる覚悟完了!!!
「優しくしてね/////」
首筋を晒して無抵抗になった事をアピールする。
「やっと素直になってくれたね」
「人間素直が一番ですよ。欲望に忠実なのは美徳です」
抵抗をやめた俺を見て、二人は安心した表情を浮かべる。
クロは俺の体をペタペタ触り「痛くない?」と聞きながら戦闘ダメージをチェックしているみたいだ。
攻撃してきた相手に心配されとる。
俺も一応二人の状態を見てみるが、うん無傷だよね。
俺の攻撃なんざ全く効いてない・・・悔しいです!!!
「今から首を噛まれるのか・・・何で首噛みが本契約なんだ?」
「ウマ娘が人間から血液と覇気を摂取して、操者情報を完全登録する必要があるんです」
「首は人体の中でも血と覇気の流れが多い部位だからね。あと単純に噛みつきやすそうなのはやっぱ首!と言う意見が多いかな」
「脇の下を噛ませて!」とかじゃなくて良かった。
あんまり痛くないといいんだけどな。
二人が本気なら頸動脈ごと噛みちぎられるんじゃ・・・怖くなってきた。
「本気でと言いましたけど、もちろん手加減はしますからね」
「ただ私たちも初めてだから、上手にできるかな?」
「今まで操者になった人は、この契約方法について何か言ってないのか」
「そうですね・・・「痛すぎて気が狂うかと思った」「死んだお爺さんが川の向こうに見えた」なんて言ってたような」
「契約中に失神する人は少なくないみたいだね」
「あらやだこわい」
覚悟完了したのに、また怖気づいてしまう俺。
逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ・・・シンジ君・・・俺に勇気を分けてくれ!
「考えてもしょうがねぇ、さあ一思いにやってくれ!」
「いいんだね・・・よし」
「では・・・いきます・・・」
ゴクリ・・・。
俺だけでなくクロシロも緊張を隠し切れない。
噛みやすいように身を屈めてやる、なんだか二人の前に跪いているみたい。
ムードもへったくれもないが、今から行うのは俺たち三人にとって大事な・・・神聖な儀式のようだと思った。
肩に小さな手がかかり、二人の整った顔が近づく・・・いや、マジでカワイイなこいつら。
そうしてしばらく見つめ合う。
「・・・・」
「・・・・////」
「・・・・////」
おい、早くしろよ!
「ちょ、ちょっと待ってください!えーと、あはは~なんだかダメですね。テンパってますね私、こんなに緊張するなんて・・・ごめんなさい、いよいよだと思ったらその・・・あ~ダメだ・・・しっかりしないといけないのに」
「すぅ~ハァ~・・・落ち着け私、大丈夫私ならできる私ならできる私ならできる。ねぇ、相談なんだけどまた今度にしない?今日はもう帰って寝て、また明日考えようよ・・・ダメ?」
「なんでお前らがビビッてるんだよ!!いいからはよこいやぁー!」
「運命のターニングポイントですよ、命が人生がかかってるんですよ!そんなに簡単に決めていいんですか!?」
「かまわん!やれ!!」
「うっわ、今の即答・・・超カッコイイ!////」
今さらっと命がかかってると抜かしたな。
いいさ、もう俺は選んだんだぜ!後は選んだ答えを正解にするだけだ。
だから早くして!本当はビビッてるの!心臓が破裂しそうなの!
「すみませんでした。もう大丈夫です」
「今度こそ・・・やるよ」
「ああ、やってくれ」
そうして、やっと二人の唇が俺の首筋に触れようとした瞬間・・・・そいつは現れた。
上空から落下してきたそれは、大きな音を立て着地し立ち上がる。
人でもウマ娘でもない異形の存在に契約の儀式は中断した。
「・・・おい」
「・・・なんで今・・・」
「いい所だったのに・・・」
契約前だと言うのにこの時、俺たちの心は完全にシンクロした。
「「「空気読めやぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!」」」
AM(アーマードモジュール)
今の世の中に当たり前に存在する、多目的サポートロボット。
警備任務、災害救助、医療、介護現場等、様々な状況で活躍する機械人形。
シュウの会社でも開発してたな・・・。
悪事を働いたウマ娘を鎮圧する手段としてもよく投入される。
「AM?いや、こんなモデル見たことねぇ・・・」
でかい!通常の人型AMの大きさが1.5m~1.8mなのに対し、こいつはどう見ても3mはある。
全身を黒と赤の攻撃的な外殻に身を包んだ鎧武者。足は鋭利で凶悪な形状の爪、腕には肉弾戦を想定した手甲。
頭部に生えた角、特徴的な白いたてがみをなびかせこちらを見ている。
見ている?なぜだろう、無機質な瞳が意思を持って俺を見ているような・・・。
「まったく、このタイミングで出てくるとは・・・いや、このタイミングだからですか」
「我慢できなくなったんだねー。私たちに取られちゃうのがそんなに嫌?」
「・・・知り合いか?」
「アレですよアレ。今日、散々探し回ったでしょう」
「これで探し物は二つとも見つかったね、ミッションコンプリート!」
「アレ・・・家宝のアレ・・・あれが」
いやいやいや!簡単になくしたとか言うから、手のひらサイズの物かと思ってたわ!
動いてるじゃん、ロボじゃん、しかもあの形状・・・戦闘用じゃね?
なくしたのではなく、逃がしたのでは・・・・。
「勝手に動き出した理由は・・・やっぱり私たちと一緒なんですね」
「操者が欲しいんだよね。でも、この人はダメだよ」
「説明!説明求む!あれは、あいつは何だ?」
なんかこっちに来ようとしてない?いやっ!こないでーあっちいって!!
「何処かの遺跡から発掘したロストテクノロジーの塊を、現代の技術で弄り回して復元、完成させた化物だってママが言ってた」
「サトノ家が秘蔵する対騎神戦闘用人型自立起動兵器・・・"羅刹機"アルクオンです」
「へー、羅刹機(らせつき)アルクオンね・・・・て、うおっ!」
アルクオンと言われた巨体がいきなり突っ込んで来た。
クロシロに引っ張られてその場を離脱、こいつ大きさとスピードが合ってねぇぞ。
それより今俺を狙ったよね、真っ直ぐこっちに来たよね。
「なんで俺を狙うんですかね?知ってる人は挙手!そしてすぐ吐け!」
「はい!アルクオンは自身の駆動燃料として大量の覇気を必要とする・・・だったかな」
「そのために潤沢な覇気を持つ人間を求めます、まるでウマ娘が操者に焦がれるかのように」
「覇気ならお前らだってあるじゃん、なぜ人間限定?」
「元々ウマ娘の力を危惧した人間が作り上げた物らしくて、人間の覇気しか受け付けないんですよコレ」
「アルクオンにとってマサキさんは極上の餌、とっても美味しそうに見えてるはずだね」
「いやー!!!・・・待てよ・・・それなら俺が覇気を補給してやれば大人しくなるのでは?」
「やめた方がいいと思いますよ。初回の起動実験で高位操者数十人の覇気を吸い取り、病院送りにしています」
「お腹ペコペコのアルクオンに覇気を吸われたら・・・たぶん干物になって死んじゃうよ」
「きゃあぁあああああああああ!!!もういやぁー!!!」
こいつらに出会ってから悲鳴上げすぎじゃない?のど飴が欲しくなるわ!
こんなヤベェ奴をどうしてなくし・・・いや逃がしたか是非聞きたいね。
「私はこの子と一回やり合ってみたかったんだよ、それでシロちゃんに協力して外に運んだの」
「主犯はお前かシロ、なぜこいつを野に解き放った」
「いや~、アルクオンの後をつければ強力な操者候補に会えるかな~と思いつきまして」
「で結局見失ったと」
「だって急に動いたと思ったらクロちゃんと私、地面に叩き伏せられたんですよ!」
「凄いよね。あっという間、まさに秒殺されちゃった」
「うげ、そんなに強いのか」
「一応エネルギー切れ寸前のはずなんですけど、今は予備バッテリーで動いているようなものですし」
「騎神と戦闘するのが存在意義なら・・・まあ、あの強さは当然かな」
騎神(きしん)・・・その言葉どこかで・・・。
「起動実験は失敗続きでアルクオンはずっと眠っていたんです。それが最近になって突然動きだし、外に出ようとするから厳重に封印されました」
「人に危害を加える気は無いみたいだったよ、今と違ってね」
「私はピンときましたよ!「はは~ん、こいつ操者を見つけたな」てね」
「シロちゃんの"アルクオンを泳がせて操者を発見!横取り計画"に私は利用されたんだね」
「マサキさんに直接出会ったのは私たちです!横取りではない・・・ですよね?」
クロシロ、そしてアルクオンも俺を探しに来たのか・・・モテモテじゃん俺!喜んでいいの?
でもそうなると今回の厄介事の発端は俺になるのか?本当に知らなかったんです!無知は罪ですか?
「どうする?どうしらたいい。交渉は・・・できそうにないな」
「アルクオンを倒す、その後私たちは契約してハッピーエンドが理想なんですが」
「倒すのは無理か?」
「私たち二人じゃ勝てないですね。だとすると・・・後は向こうがエネルギー切れするまで逃げ回って、時間稼ぎするしか」
「私がやるよ。元々この子とタイマンするのが目的だったし、いいよね」
「まさかクロ一人でやるつもりか?」
「心配しないで時間稼ぎするだけだよ。でもチャンスがあれば・・・倒してしまってもかまわんのだろう?」
「クロちゃん、危なくなったらすぐに逃げてください。死ぬことは許しません、これは命令です」
「了解だよ。マサキさんの事お願いね」
アルクオンと一人対峙するクロ。
大丈夫か?[ここは俺に任せて先に行け]は有名な死亡フラグだぞ。
「離れましょうマサキさん。ここにいてはクロちゃんの邪魔になります」
「わかった、無茶すんなよクロ・・・」
「操者を守るために無茶するのは、愛バにとって誉れですよ」
覇気を感じられない俺でもわかる。
クロが先程とは比較にならないほどの力を練り上げているのが。
呼吸を整え、集中、全身に覇気を巡らせて準備完了。
「君には無意味な事かも知れないけど仕来りだからね。一応、名乗らせてもらうよ」
構え、そして雄々しく名乗り上げる。
「サトノ家従者部隊13番"ダイヤ様専属"(仮) 烈級騎神 キタサンブラック行くよ!!!」
人を超えた存在がぶつかり合う。
クロの無事を祈りながらシロと共にその場を離れる。
「(仮)てヒドっ・・・クロちゃんあの時の誓い・・・忘れてないですよね」
なんかシロがショックを受けている。
アルクオン、俺たちの会話中はじっとしてたな。クロが名乗るまで待機してたし・・・・。
あいつ空気読めるんじゃねーか!!!!