マサキはトレセン学園に母親とそのママ友たちを招待した。
天級騎神大集合!!
『何が始まるんです?』と聞かれたら『第三次大戦だ!』ではなく『聖蹄祭だ!』と返答しよう。
憎たらしいほど天才イケメン、シュウの作った秘密道具"
一応、弱体化をしているらしいが、超級騎神並みの力は維持しているので戦力的には問題なし。
それよりも、お洒落をした母さんたちが美人過ぎて鼻高々でしてよ!
どんなに褒めても褒めたりないから困っちゃうわ。
今日は存分に祭りを楽しんでいってほしいと俺は思うのだった。
「何が『思うのであった』だよ。もっと簡潔にまとめられないかなぁ」
「あらすじに難癖つけるのはやめてください」
「『マザコンがママに会ってテンション上がった、マジ気持ち悪りぃ』これでいいじゃん」
「失礼なミオは修正してやる!」
「これがマザコンかッ……」
俺の修正パンチをひらりと躱したミオ。こいつ地属性の癖に回避性能高すぎない?
いつものやり取り、これは俺たちなりのじゃれ合いだ。
「くっ、愛息子が人外と夫婦漫才を!?超悔しいー!!」
「同じ職場だからっていい気にならないでよ。私だってマサ君と仲良しなんだから!」
「おーい。二人とも置いてくぞい」
「ねむい…」
嫉妬に狂った母さんとネオさん、俺とミオは目を合わせることなくスルーした。
グラさんは呆れていてガッちゃんは眠そうだ。
はい、移動しましょうね~。
そんなこんなで、ようやく噴水広場に到着した。
噴水の中央に鎮座する三女神像は相変わらず似ていないと思う。
本物のメルア、カティア、テニアたちはもっと可愛らしい感じの女神様だと俺は知っている。
そしてシャミ子はハブられている。
ここまでの道中と違い広場の喧騒は少し落ち着いている。
それでも人は多いのでこの広場から目的の人物を探すのは骨が折れそうだ。
ベンチに座って購入した軽食をつまんでいたり、芝生に寝転がりくつろいでいる人、待ち合わせ場所にもピッタリなので、家族や友人と合流して喜び合い、はしゃいでいる人も数多く見受けられる。
「で、どこにいるの?」
「うーんと……お?あそこじゃな」
グラさんが指差す方向に一際目立つ集団がいた。
見知った美男美女が集まってますな。
「ヤンロンも来てますね。ちょうどこっちに気付いたみたいだ」
「げぇっ…甘党がいる」
「ガッちゃん。テュッティ先輩と仲良くしてあげて」
「すごく素敵な男性がいる…ってシュウ君じゃない!?やだっ、うちの子カッコよすぎ」
「ウザッ!アンタねぇ、いい加減子離れしなさいよ。みっともない」
「サイさん、説得力皆無だってわかってる?」
俺を挟んで睨み合う母さんたとネオさん。
こういうのは愛バで慣れっこだ。
『はいはい、行きますよ~』と、二人の背中を押しながらみんなの下へ。
「すみません遅れました。少々道が混んでいまして」
遅刻してしまった事を謝罪する。
皆、特に気にした様子もなく許してくれた。
身内との話を一旦切り上げて愛バたちは俺のところへ集まって来る。
「遅いので心配しましたよ」
「もしかして、キリュウイン家に嫌がらせでもされた?」
「違う違う。ちょっと人が多くて難儀しただけでさ」
「なるほど、サイさんたちの美貌に吸い寄せられた有象無象に進路妨害されたと」
「あの顔ぶれじゃ仕方ないよ。大変だったね、マサキ?」
「うん。まあ、そんな感じ」
とりあえず、適当な理由で誤魔化した。
これも愛バの報復から職質した人たちを守るためだ。
ガッちゃん誘拐容疑をかけられたのが恥ずかしい訳じゃないぞ。
〇
噴水広場に集まったのは俺と四人の愛バたち、母さんたち天級騎神が五人。
ドウゲンさんとハートさんのサトノ家頭首夫妻、アルの保護者役としてメジロ家執事のウォルターさん、ファイン家からはハゲ男のルオゾール来てくれた。
他にもシュウとヤンロンにテュッティ先輩がいるぞ。
母さんたが『おいっす!』と軽く挨拶して歓談タイムが始まった。
砕けた様子の母さんたちによって場には和やかな雰囲気が満ちている。
ペコペコと頭を下げて交流している保護者たちに、何やら小っ恥ずかしい気持ちになる愛バたち。
ネオさんとグラさんは我が子の下へ、ガッちゃんは嫌々ながらテュッティ先輩に回収されていった。
久しぶりに会う人もいるし、俺も挨拶回りをするとしよう。
「母さんはどうする?」
「マサキについていくわ。飽きたらその辺で寝る」
「自由だなあ」
フリーダムな母を伴って行動開始だ。
・・・・・・・・
まず最初にアルのところへ。
笑顔で俺たちを出迎えるアルは文句なしに可愛い。
「やっほーアルちゃん。今日もエロ可愛いわね」
「フフ、サイさんもお綺麗です」
綺麗で可愛いアルの隣には、ひとりの男性が恭しく控えていた。
片眼鏡をかけた執事(おそらくアラフィフ)は身なりも姿勢もバッチリ整っている。
この人、いつ見ても隙が無いな。
「ご無沙汰しております、マサキ様。そして、サイバスター様」
「お、殺戮の鋼糸使い"死神"ウォルターのご登場ね」
「二つ名かっけぇ」
「昔の話でございます。今の私はメジロ家に仕えるただの老人」
「何言ってんだか、ロートルの出していい
「それはお互い様ということで」
母さんとウォルターさん面識があったみたいだ。
DC戦争時代の戦友だったとか?
「このジジイ、私の髪の毛バッサリ斬ったことあるのよ」
「はて?前髪を数センチ程度だったと記憶しておりますが」」
敵だったんかーい!
前髪ぱっつんの母さんはちょっと見てみたい。
「模擬戦の話よ。別に敵対はしてないわ、よくある訓練中のお茶目なエピソード」
「そのお茶目な模擬戦で、私は何度も死にかけました」
「し、仕方ないでしょ。首切りワイヤー飛ばして来る相手に手加減する暇なんかあるか!」
まだ手加減を覚える前の母さんと戦って無事だったとは、ウォルターさん本当に凄い人なんだ。
母と執事が昔語りをしている最中、俺はアルと軽くイチャつきながら会話していた。
保護者の目もあるので程々にしておく、尻尾のお触りはセーフですよね?
「マサキさん。こちら今朝方国際便で届いた手紙です」
アルから二通の封筒を受け取る。
差出人はアルの両親、父親のアスワンさんと母親のヒリウさんだ。
「やっぱり二人は来られなかったのか、残念だな」
「はい。新規に立ち上げたプロジェクトが難航しているみたいで、お父様もお母様もひどく残念がっていました」
「仕事ならしゃーなしだわな」
「両親には散々迷惑をかけましたので、これからは二人のやりたい事に励んでほしいです」
「アルの気持ちを二人もわかってくれているさ」
現在、アルの両親は仕事のため海外で暮らしている。
娘が正式にサトノ家入りをした時を同じくして、メジロ家の海外事業部門の一つを任されることになったからだ。
父母共にやり手の実業家であり、一族の中でも大きな発言権を有している夫婦らしい。
アルは先天的な神核異常を抱えていた。
暴走による破壊行為に周囲を巻き込む事を恐れた彼女は、テスラ研で自身を隔離してもらう事に。
爆弾首輪を装着し、ひとり死を待つだけだったアル。
そんな娘の姿に両親はどれほど心を痛めだろうか、
いつ別れの時が来るとも知れない愛しい娘、ずっとその身を案じ涙し祈るだけの日々。
そこへ、ひょっこり現れた救い主こそがマサキと言う男だった。
出会ったその日の内に娘を完治させ、更には操者として契約までした事に両親は大喜びした。
以来、アルの両親はマサキのことを諸手を挙げての大歓迎するようになりましたとさ。
アルの両親とはビデオ通話で話をした事がある。
『結婚はまだ?』『早く会いたいな』とか言われたので、俺の印象は悪くないはずだ。
『騙されたな、あれは嘘だ』『娘はやらんぞ!』なんて言われたら泣く自信がある。
聖蹄祭でようやくご対面できると思ったのに、直接会うのはまたの機会になりそうだ。
俺以上にアルとその親たちの方が何倍もガッカリしている。
お仕事は大事だからね。今回はみんなで我慢しよう。
「それでこの手紙か」
「電子メールでは味気ないと思ったのでしょう。二人とも変なところで古風なんですから」
「この場で読んでいい?」
「是非に。声に出してくださって結構です」
まずは父親であるアスワンさんの分から読んでみよう。
アスワンさん、本名"
漫画家を目指していた頃のペンネーム"アスワン"が大層お気に入りで、親しい人には『アスワンと呼んでくれ』と頼むらしい。
妙なこだわりだけど本人が望むので、俺もそう呼ばせてもらっている。
メジロ家にいるのなら、メジロ姓なのでは?というツッコミはなしの方向でお願いします。
封蝋をはがして中の便せんを取り出す。
手書きだ、そしてかなりの達筆だぞ。
「何て書いてあるの?」
興味を引かれたのか、母さんが俺の隣へ来て一緒に手紙を見る。
ウォルターさんはニコニコ顔のアルの隣だ。
目が合うと頷いてくれたので、俺は手紙を朗読する。
『親愛なるマサキ君へ』
『元気にしているかな?私は妻と毎日ラブラブチュッチュで元気すぎるぐらいだ』
ラブラブチュッチュとな!?
『まずは謝らせてほしい。せっかくの聖蹄祭だというのに帰国は無理になった』
『やっと君に会えると意気込んでいたのに、仕事が思うようにいかずこの様だ。妻共々非常に残念でならない』
『あのクソ社長、日本人だと思ってなめやがって!商談が終わったら鼻にワサビをねじ込んでやる』
『次の機会では今日の分の穴埋めもさせてもらうつもりだ、楽しみにしていてくれ』
『その時は息子と呼ばせてもらおうかな。なーんて♪』
手紙なのにテンションの落差が激しい。
『しつこいようだが言わせてくれ。娘の命の恩人である君には返し切れない借りがある』
『私にできることがあれば何でも相談してほしい。まあ、海外からだと応援ぐらいしかできないけどね!』
『君は私にとって最高のヒーローだ。いや、神と言ってもいいな。神ィィィーーー!!』
『よっ!さすがサイバスター様自慢の息子!かっこよすぎ、抱いて!』
『ふぅ……とち狂ってすまない。君に抱かれたら娘に叱られてしまうな。はっはっは』
『君に生涯尽くすと決めた娘を、適切にこき使ってやってほしい。これが我が一族の総意だ』
情緒不安定かな?
仕事のストレスがかなり溜まっていそうだ。
それからも感謝の言葉と娘を頼むというお願いが書かれており、二枚目の便せんへと続く。
『話は変わるが娘との夫婦生活はうまくいっているだろうか?』
『おっと、孫を催促しているのではないよ。純粋に君の身が心配なんだ』
『
『かく言う私も随分と苦労してね。腰は痛めるわ、睡眠時間は無くなるわで、もうホント腹上死が━━』
長々と夫婦生活の苦労話が続く。
今、アルはどんな顔でこれを聞いているのだろうか?
読んでいる俺も何なんだろうか?
『せめてもの救援物資として、私一押しの"マムシドリンク"を送ろう』
『これさえ飲めばあっちの方はずっと元気100倍さ。おかげで私と妻もラブラブチュッチュ』
『具体的にどんな感じかと言うと━━』
また出たよ、ラブラブチュッチュ。
えっと、まだ続きがあるんだけど?
「恥ずかしいっ!!」
「あっ」
「え、まだ途中なのに」
続きを読もうとしたらアルに便せんを奪われた。
そのままクシャクシャに丸められて、彼女の手から発せられた雷の火花で燃やされチリとなる手紙。
マムシドリンクの具体例が気になった俺と母さんはちょっとガッカリした。
「もう!お父様ったら、失礼にも程があります」
「た、楽しいお父さんね」
「だな。なんかイメージ変わったわ」
「マサキさんはマムシよりスッポンが好みですのに、何もわかって無いんだから!」
「お嬢様、問題はそこではありません」
怒るところ、そこでいいのか?
実の父親に『性欲が強い』と言われたのは気にしないのか?
マムシもスッポンも常にアルが箱単位で買って来るので必要ないんですけど!
味がイマイチなので俺は好きじゃないと言っているのに……冷蔵庫内にギッシリ詰まって在庫過多になっている始末。
それを消費しているのが、風呂上りのシロだと知っているのだろうか?
知らないんだろうな。
次は母親のヒリュウさんの手紙だ。
サトノ家の戦艦ヒリュウ改とは何の関係も無いのであしからず。
『やっほー♪アルちゃんの母"メジロヒリュウ"でーす!もう知ってるかww』
『この手紙を読んでいるということは、私は帰国できていないのね』
『無理難題をふっかけやがった現地のクソ社長!仕事が遅延したのは全部てめぇのせいだ』
『今度あったら尻にワサビチューブをインしてやる!』
名も知らぬ海外のクソ社長さんに警告したい。
あなたの鼻と尻が狙われているっ!!
『あーあ、息子君に会いたかったのにー。会いたかったよー!』
『アルちゃんのハートを撃ち抜いた王子様。頬ずりしてペロペロしたかったよー!』
『サイバスター様に他の天級様、サトノとファインの子もいるんでしょ?でしょ??』
『うわーん!みんなまとめてペロペロしたかったよぉぉぉーーー!!ペロロロロロ』
なんだこの人w旦那以上にヤベェww
アルは顔真っ赤で俯き、ウォルターさんは頭痛がするのかこめかみに手を当て天を仰いでいる。
母さんは『ペロリスト怖いですね』と笑いつつも引いていた。
『主人も私も息子君には本当に感謝しています。感謝のペロペロしたい』
『アルちゃんの王子様があなたで本当に嬉しくてペロペロ』
『次に会う時はペロペロ』
『アルちゃんのことを末永くよろしくペロ』
若干ペロペロしているが、アスワンさんと似たような文章が続く。
今日学園に来れなかったことへの謝罪と俺への感謝と、アルをよろしくと書かれていた。
そして、二枚目の便せん。
『話は変わるけどアルちゃんとの夫婦生活はうまくいってる?』
『やりたい盛りのあなたたちがレスってことは無いでしょうけど、そこのところどうなのかしら?』
『あっちの方が不調に終わると円満な関係も脆いっていうじゃない。心配!ママ心配よ!』
似た物夫婦か!
どんだけ俺とアルの性事情に興味津々なんだよ。
『本題はここから!アルちゃんも大人になったし、我が家の奥義を解禁しようと思うの』
おお!アルの実家に伝わる奥義か。
一子相伝の必殺技を修得して今後の戦いで大活躍するんですね!
なんて燃える展開……
『その名も!『ドジっ子エロナース 淫らな夜勤病棟』』
思ってたのと違ったわ。
エロの奥義かよ!
『これでマンネリ化脱却間違いなし。私と主人が試行錯誤の末たどり着いた鉄板シチュだから期待してて♪』
もうヤダこの夫婦。
娘に何を教えようとしてくれてんの?
解禁という事はもう既にアルはレクチャー受けた後なの?手遅れなの?
血か……これがシャミ子の血を受け継いだ者の
『それでも駄目なら、私が一肌脱ぐ覚悟完了しているわ』
『
『なーんて♪冗談よ冗談ww』
『私には最愛の主人がいるんだから、本気にしちゃだ・め・よ』
『アルちゃんには素敵な恋愛を経て幸せな結婚をしてほしいと思っているわ。本当よ?』
マジでやめてくださいよ!洒落にならない冗談だ。
アルの顔が般若になりか……もう、なってますね。
ひぃぃ!
『でもでも、どうしってもて言うなら一度ぐらいは……フフ』
『念のため私の連絡先(プライベート)を記入しておくわね。もちろん、アルちゃんにはナイショ♪』
『誤解しないでほしいのだけどこれはあくまでも娘夫婦を応援するための手助けであって浮気とかそういうのじゃないから主人も理解してくれているし私も偶には若い子をつまみ食いしたいって言う欲望の解放が必要に迫られてアルちゃんごめんねお母さん自分に正直に生きていた━━』
「コラァァッーー!!」
うわっビックリしたぁ。
絶叫したアルが俺から手紙を奪い取りビリビリに破り捨てたのだ。
正に一瞬の出来事だった。早すぎて見逃しちゃうね☆
「お母様のバカァーーー!!」
散らばる紙片を雷で焼却したアルはその灰を念入りに何度も踏み潰していた。
アルのストンピングを受けた灰というか地面が陥没しかけている。
今の彼女に『踏んでください!』と頼むのであれば死を覚悟するべきであろう。
「私の幸せな結婚"一番の敵はドスケベ実母!"」
忌まわしい手紙を処分したアルは肩で息をしながら何事かを叫ぶ。
かわいそうに、急激なストレスが脳にダメージを与えたようだ。
「名作がサブタイで台無しww」
「一気にピンク映画っぽくなったww」
「ふむ。ジャンルはエロティックコメディでしょうか」
アルには悪いが、ちょっと面白くなった俺と母さんは笑ってしまった。
真面目に考察しているウォルターさんは強い。
「すみませんすみません恥ずかしい親でごめんなさい恥ずかしい私でごめんなさいエロくてごめんなさいごめんなさい許して許して」
「おーよしよし。アルちゃんは何も悪くないわよ~」
「そうだよ、アル。ヒリュウさんの誘いに乗るつもりなんてないから安心して、な?」
「やれやれ、ヒリュウ様にも困ったものです」
虚ろな瞳で壊れてしまったアルを慰めること数分、彼女は意外と早く回復した。
母さんのハグが効いたのだと思う。
「うぅ…親の手紙で醜態を……すみません、忘れて下さい」
「もういいって。アスワンさんもヒリュウさんも、いい人なのは違いないし」
「マサキさんは優しいですね。それで、決行日はいつにしますか?」
「ん?何の事だ」
「エロナースを披露する日取りを決めて頂ければと」
「あ、それマジでやる気なんだ」
ドジっ子エロナースのアルダンかぁ……ちょっと妄想してみよう。
ぐはっ!似合いすぎる!ナースコール連打不可避。
「衣装も小道具もバッチリ準備していますから、お好きな時にお申し付けください」(`・ω・´)フンスッ!
「用意周到なのね」
両手を握り気合十分なアル。
この子ってば、一体いつから準備していたのだろうか?
嬉しいような、恐ろしいような……可愛いからいいか。
「望んで下さるのなら、おはようからおやすみまで24時間付きっ切りで看護します」
「入院生活延長待ったなしやぞコレ!」
「食事も睡眠もお風呂も性欲も全部お任せください」
「この駄目人間製造機がぁ。愛してるぞ」
「私も愛しています。上手に看護できたら……」
アルは後方にいる母さんとウォルターさん気にしながらも、俺に向かって一歩踏み出す。
吐息の聞こえる距離、アルは俺の耳元で蠱惑的に囁いた。
「ご褒美に、いっぱい可愛がってくださいね////」
「ひゃっ、ひゃい!」
可愛がるとは、つまり、その、頭を撫でるとかじゃなくて、そっち系の、ほら、ね、アレですよ。
ははははは、このおねだり上手さんめ。
両親の遺伝子強くね?
なんなんだぁこのエロい女は?
そうか、俺の愛バだったか。最高だな!
ニャメロン!勝てるわけが無い!
あいつはエロい先祖を持つエロい夫婦から生まれたエロ愛バだぞ!
自分で言ったセリフが恥ずかしかったのか、アルはちょっと赤くなりながら微笑んでいる。
あーヤバい。俺の愛バが可愛いすぎてヤバい。
このままアルと二人でエロナースついて詳細を詰めたいところだ。
アルの手を取り見つめ合おうとしたところで・・・
「終わった?」
「うぉ!?」
「きゃっ!?」
背後で見守っていたはずの母さんが眼前にょきっと生えて来て驚いた。
ちょうど俺とアルの間に、今のは100%わざとだ。
「終わったわね。次行くわよ」
「全然終わってないよ。俺は完璧な患者(Ⅿ気質)を演じる必要があるからして盲腸になったと仮定した場合」
「何バカなこと言ってるの。こっち来なさい」
「お待ちになって
「はいはい。全ては決闘が終わってからにしなさい」
「そんな殺生な」
母さんによっとアルから引き離される。
そのまま俺の腕を取り引っ張って行く母さん。
ズルズルと引きずられる俺、力強い母に抗えぬ。
「マサキさん、夜の決闘も忘れないでくださいね」
「うわー『夜の~』と付くだけでなんとなくエロさアップ」
「アルダンお嬢様、幸せそうですなあ」
手を振るアルとウォルターさんに見送られ、その場を後にするのだった。