俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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うちの母にかぎって

「シャナミア様ね…やっぱ可愛いの?どんな感じの人?いや、神か?」

「アルにシロを足して、エロさとバカさ加減を限界まで追求した残念な女神だ」

「大体解ったwwwおもしれー女なのねw。結構タイプだったりするのかしら?」

「うん。それなりに好き。シャウエッセンと同じぐらい好き」

「メジロの始祖様をソーセージと同列に扱うとは、我が子は大物ね」

 

 シャミ子について母さんと話しながら歩き、次のグループのところへ到着。

 シュウとネオさん、ヤンロンとグラさん、テュッティ先輩とガッちゃん、それとミオだ。

 

「あなたがヤンロンですね。マサキから聞いていますよ」

「シラカワシュウか、僕もマサキから話を聞いている」

 

 二人の男が対峙している。

 何してんの?何にらみ合ってんの?ホモなの?ハッテン中なの?

 

「見て見て!うちの子たちがマサ君を取り合ってにらみ合い。頑張れシュウ君!」

「落ち着くんじゃネオ。わしらは母として静かに見守るべきじゃ」

「師匠~喉乾いてないですか?甘ーいお菓子もありますよ」

「私…辛党……嘘だけど」

「ガッちゃん、そろそろ自分の足で立ってくれる?私はマサキみたいに甘やかさないからね」

 

 火花を散らすイケメン二人を誰も止めない。

 母親にいたっては煽っている始末。

 

「何してんの。みんな挨拶回り終わったのか?」

「あ、マサ君。お帰りなさい」

「なんでマサキの帰るべき場所が自分です!みたいな顔したの?それって私の役目じゃないの?」

「もう、サイさん毒親すぎて疲れる~。ねぇマサ君?」

「誰が毒親か!」

「はいはい。母さんもネオさんもケンカ厳禁ですよ」

 

 母さんとネオさんを一緒にするとクロとシロみたいになっちゃう現象。

 単体だと尊敬できる人格者のはず、なんだけどなぁ。

 

「終わったようじゃぞ」

 

 グラさんの声に振り向くとシュウとヤンロンが固い握手を交わしていた。

 短い間に心を通じ合わせた男たち。そのまま体も重ねたらどうしよう……ゴクリッ!

 とりあえず俺も行こう。

 

「ようイケメンども。マサキ来ましたよ?俺とも握手していいのよ(´∀`*)ウフフ」

「ええい、暑苦しい」

「マサキ。今日も平常運転ですね」

 

 二人にぬるりと擦り寄って相手をしてもらう。

 シュウとは頻繁に電話するので久しぶりという感覚はない。

 

「何の話してたの?」

「安定器の礼を述べただけだ。母上とこうして外で会えるとは……シラカワシュウ、本当に感謝する」

「だろ?俺の幼馴染すごくない?」(`・∀・´)エッヘン!!

「なぜお前が偉そうにする」

「スタビライザーの完成はマサキがいてこそ可能だったもの。偉ぶる権利は十分ありますよ」

「そうか。マサキ、お前にも感謝するぞ」

「ヤダ、真面目ちゃん////」

 

 深々とおじきするヤンロン。クソ真面目イケメーン。

 なるほど、にらみ合っていたのではなく天級の息子同士のシンパシーを感じていたのね。

 知らんけど。

 

「でも、本当にすごいわよね。この装置は師匠ですら作れなかったのに」

「うん…材料そろっても……あと10年以上かかった、かも」

「技術的特異点を引き起こす天才か、アインストが一番警戒する人種だねぇ」

 

 みんなが口々にシュウを褒める。

 称賛の言葉には慣れているのかシュウはいつもの『フフフ』笑顔だ。

 自分は大したことをしてない、とでも思っているんだろうな。

 

「シュウ、みんながお前に感謝してるぞ。本当にお前が幼馴染でよかったよ」

「なんですか改まって、あなたからのお礼なら聞き飽きましたが?」

「まあそう言うな。一時でも母さんを自由にしてくれたことが、俺はすごく嬉しいんだから」

「まだまだこれからです。いずれオルゴナイトに頼らない完全な物を作ってみせます。いや、プラーナの減少した大地そのものを回復する手段も……」ブツブツ

 

 会話中でもひらめきがあれば一人の世界に入る癖、治ってねーな。

 はーん。礼は聞き飽きたか。ならば、感謝の意は物品で伝えよう。

 俺は懐に忍ばせて置いた小冊子を手渡す。

 そぉーれぃ俺からのプレゼントだよ。

 

「受け取りやがりください」

「おやおや、こうみえて私は長者番付に名を連ねる男ですよ。並大抵の贈り物では……フオオオオオオオオッ!!

 

 冊子の表紙をめくった瞬間、のけ反った態勢で冷静な天才らしからぬ雄叫びを上げる、シュウ。

 この場にボンさんとライスがいなくて良かったな。

 

「聞いた?あんたの息子、変態仮面みたいな声出したわよ?」

「うんうん。マサ君がいると嬉しくてテンションが上がっちゃったのよね」

「ヤンロン。お主もマサキがいるとあんな風になるのかのう?ちょっとやってみせてくれ」

「やりませんよ!僕はあそこまで侵されておりません」

「時間の問題だと思うわ」

「手遅れな奴ほど自分だけは大丈夫って思ってるんだよね~」

「マサキ…ウィルス…おそろしい」

 

 叫び終わったシュウは血走った目で小冊子のページをめくる。

 お気に召したようだな。

 

「マ、マサキ……このようなお宝をどこに隠し持っていたのですか……そもそも彼女は一体誰?」

「あの時、お前はちょうど海外出張で忙しかったんだよなあ。だから俺とも連絡着かなかったし、ボンさんとライスも『ややこしくなるから』と言って事の詳細を報告しなかったんだよな」

「そんな、まさか、彼女の正体は!」

「気付いたかバカめ!そう・・・・・・俺だよ!!」

「ウアアアアアアアアアアアッ!なんで教えてくれなかったんですか!直接会ってみたかったーーー!!!」

 

 また叫ぶ幼馴染のイケメン。

 絶望ポーズで地面を殴りつける様は普段の余裕は見受けられない。

 シュウのただならぬ様子にミオが質問してくる。

 

「あの小冊子何なの?そんなに凄いもの?」

「以前、俺が女になったじゃん」

「あーそんな異常事態もあったね」

「その時の写真を記念にいっぱい撮っておいたんだよね。あれはそのひとつよ」

「スぺちゃんたちがキャーキャー言いながら見てたヤツか」

 

 シュウにあげた小冊子は【女マサキ写真集vol.4~なりきりウマ娘編~】である。

 撮影と監修は愛バと姉さんが行った自慢の一品。製本されたものが学園の図書館と理事長室の本棚に寄贈されている。

 vol.4はデジタル曰く『三途の川を個人メドレーするレベル』らしい。

 デジタル、あいつほど臨死体験を繰り返すウマ娘を俺は知らない。

 

「なんだ、付け耳と付け尻尾でしたか……やれやれですね」( ´Д`)=3 フゥ

「お前、ウマ娘じゃないとわかった途端に賢者モードか。要らないなら返せよ」

 

 女マサキがウマ娘ではないと理解して平静を取り戻すシュウ。

 見抜けなかった癖に偉そうだなこいつ。

 この男のウマ娘好きは筋金入りである。どんな美女が言い寄ってもウマ耳と尻尾が無い時点で切り捨てる非情な男だ。

 初見のS級美少女ウマ娘(俺)に興奮したが、耳と尻尾が偽物だと知って一瞬で手のひら返しよ。

 S級美少女ウマ娘(俺)とか自分で言って恥ずかしいわ/////いや、自分で見ても女マサキは可愛いけどね。

 

 写真集を取り返そうとする俺の手をシュウはサッと躱す。

 

「せっかくのご厚意ですからこれは頂いておきましょう。フフフ、ウマ娘でないのは非常残念ですが、これは良いものです」

「シュウ君私にもみせ……キャーーー!!!マサ君可愛すぎィィィーーー!!!ゲロ吐きそうなぐらいカワィィィィ―――!!!オヴェェ!!

「吐くなバカ!それとうっさいわ!いちいち大袈裟なのよアンタは……ウェェギュャァ―――!!何回見ても娘になった息子がヤッッベェッッッ!!これマジでヤッベ!!永久保存決定!世界遺産にするわ!ていうかしろ今すぐしろ!!

「バカ親…クソうるさ…でもマサキ可愛い///」

「どれどれ……おお!これならゲロ吐いても納得じゃわい」

 

 ネオさんはシュウに負けず劣らずの叫びを上げる。親子だなあ。

 写真集は実家にも送ったので母さんはもう何度も見てるはず。それなのにこのリアクションである。

 ガッちゃんやグラさんも大絶賛である。

 天級全員のお墨付きをもらうとは、女マサキの魅力は本当にすごかったんだなぁ。

 

 お礼になったかは不明だが、とりあえず写真集は受け取ってもらえたので良しとしよう。

 

 〇

 

 一通りの挨拶回りを終えた俺はみんなと軽く駄弁りながら、まだ来ていない理事長と姉さんの到着を待っていた。

 

「マサキ、いつまでスルーするつもりですか?」

「いや、そろそろ向こうから来てくれないかと思って」

「無理そうですよ。たぶん、あなたが行かないとずっとあのままです」

「めんどくさいなぁ」

 

 シュウと俺の目線の先には不審者がいた。

 噴水広場から離れた植え込みに男が隠れ潜んでいるのだ。

 アレを隠れていると言っていいのかは甚だ疑問ではある。

 両手に木の枝をもち『私は植物です』的なオーラを醸し出す男は逆に目立つ。

 そんな奴に関わりたくないのか広場にいる人たちは見て見ぬふりを決め込んでいる。

 もちろん俺たちも最初から気付いていたが、不審者の意図がわからないので無視をしていた。

 『お前行けよ』『やだよ』『なんて残念なんだ』『警備兵呼ぶ?』

 愛バたちがヒソヒソしている。自分からは行きたくなって感じだ。

 結局、俺が行くしかないか。

 

 不審者の背後を取るのは簡単過ぎた。

 だって、この男は最初からただひとりの女しか見てないからね。後ろがガラ空きじゃい。

 蹴りを入れてもよかったけど、一応知っている奴なので肩を叩くことにする。

 

「ちょっとお話いいですか?」

「ひゃはっ!?ち、違う覗きではない!そう私はこうみえて植物なんだよ光合成日和だなぁハハハハハハ」

「意味がわからん!何をしているんだ…フェイル次長殿?」

「マサキか、ビックリさせないでくれ」

 

 いや、ビックリしたのはこっちだわ。

 "風の貴公子"という二つ名の爽やかイケメンが不審者の正体なんだからな。

 職業が治安維持局の次長という奴なのでそりゃあ警備兵も素知らぬふりするわ!

 国家権力を笠に着た不審者とかもうどうすりゃいいのよ。

 

「今日は来賓として聖蹄祭に招待された身だ。フフ、トレセンにいると学生時代を思い出すよ。そう思わないか?」

「話を逸らすな。何をしていたのか聞いているんだが」

「わ、私は治安局次長としてパトロールをしていたのだ。そう!祭りにかこつけて湧き出る不審者を成敗するために!」

「お前が不審者になっとるやろがい!人の母親ガン見して何をしていたのか聞いているんだよ!」

「フッ、マサキが何を言っているかわからないな。私が見ていたの銀髪の美女ではなく、怪しいハゲ頭の男だよ」

 

 ルオゾールを長時間ガン見していたのも十分に怖い。

 ええい、埒が明かないので被害女性に登場してもらう。

 

「母さーん!ちょっと来てー!変な奴がいるー!」

「やめろぉ!マジやめ……」

「私参上!」

「「速い!!!!」」

 

 瞬間移動したように見える速度で母さんが出現。

 速くて当然。母さんを最強たらしめる要因のひとつは、その圧倒的なスピードだ。

 更に飛行可能だし、本気を出されたら誰だろうと追いつけない。

 弱体化してなおこれである。

 

「何かあった?母さんにハグしてほしいのかしら?」

「それはあとで。母さんを見てハアハアしていた奴を見つけたら呼んだだけ」

「言い掛かりだ。ハアハアなど!ちょっとだけしかしていないぞ」

「しているじゃないかww現行犯逮捕じゃないか」

「あーよくあるのよ。私、ハアハアされ慣れてるから気にしないで」

「息子の俺はメッチャ気になる!てめぇごらぁ!母さんをエロい目で見やがって金払えや!」

「バーコード決済は可能かな」キリッ

「払う気だよwスマートなお会計をするつもりだよww」

 

 フェイルのやつ開き直りやがった。

 シュウといいこいつといい、残念ポイントが見え隠れするイケメンはどうにも扱いに困る。

 

「ご無沙汰しております……先生」

 

 俺が何だこいつと思っている間に、フェイルは服装と髪型を整え爽やかな微笑を浮かべる。

 もう既にいろいろ手遅れだと思うが、母さんとの再会をやり直す気だ。

 ウェーブのかかった緑髪が風になびいてさ・わ・や・か・~。

 俺、ここにいてもいいのだろうか?

 

(いつでもツッコミができるようにスタンバっておくのです)

(そうしようかな。とりあえず母さんの背後での寝転がっておこう…天然芝きもちー)

(私もマサ君と一緒にゴロゴロする~)

 

 野次馬根性でやって来たシラカワ親子と一緒に背景と化す。

 三人で涅槃のポーズを取る俺たちを気にせず続けたまえ。

 

「あら?フェイルロードじゃない」

「お、覚えておられましたか!」

「私を先生なんて呼ぶ男はアンタだけよ。それに高校生のときも会ってる。生徒会長から治安局次長かぁ大出世しちゃってまあ」

「フフフ、先生の教育の賜物です」

「私が家庭教師していたの半年だけじゃないwそれもずっと昔の子供のとき」

「それだけあの日々は濃蜜だったという事です」

 

 母さんもフェイルも昔を懐かしみ嬉しそう。

 ジェラシーを感じた俺をネオさんがよしよししてくれる 

 ネオさんは今日も優しいなぁ、ちょっと引っ付いちゃおう。

 

(フェイ君ね、覚えているわ。高校生のシュウ君と双璧をなした光の王子様)

(おーい。闇の王子様~何かコメントしろや)

(母親と友人にジェラシーを感じながら、私の母とイチャつくあなたは何者ですかww)

(ネオさん。血を分けた息子さんがジェラってますよ?よしよししてあげてください)

(ウフフ、もう///男の子はいくつになっても甘えん坊ね)

(ちょ、やめてください。マザコンキャラはマサキで十分でしょうに)

 

 俺は知っている。

 表に出さないがシュウも割とマザコン気質であることを、それをネオさんもよく理解していることを。

 うちみたいにベタベタではないが、シラカワさん家もよい関係を維持できているみたいで嬉しい。

 二人と初めて会ったときはこんな風じゃなかったからな。

 親子なのにどこかよそよそしい空気、二人の間に明確な溝があったこと子供心に覚えている。

 それがガキの俺には許せなくて何かと理由を付けては二人に関わるようにしまくった。

 母さんも『行け!辛気臭い隣家を滅ぼせ!』と背中を押してくれた。

 今思えばアレは子供を使った悪質なテロではなかろうか?

 数ヶ月に渡ってシラカワ家に寝泊りする俺、そのうち母さんも普通に入り浸っていたからな。

 水道光熱費を節約できたと口に出して笑い、三食キッチリ食べて菓子やデザートまで要求、当然の如く一番風呂に入り、寝るときはネオさんの布団に潜り込む・・・

 最低最悪の迷惑親子だ!!礼儀知らずの恥知らずの俺マジクソガキ!!

 なんで止めなかったの母さん!一緒になってシラカワ家に寄生してるんじゃないよ!

 

(ちょっと過去に戻って昔の俺に説教してくるわ。シュウ、タイムマシンよろ)

(そんなもんありませんよ。私はドラえもんではないと何度言ったらわかるのですか?)

(マサ君wwシュウ君のことドラえもんだと思ってたのねww初耳www) 

 

 さすがのシュウえもんでも、タイムマシンは作れないらしい。

 口惜しいがタイムトラベルは断念だ。

 あの時迷惑かけた分、二人には恩返しをしたい。

 母さんにも俺と一緒に謝ってほしい。

 

 話が大きく脱線したが、フェイルと母さんはどんな感じ?

 

「テレビ出てるの見たわ『話題のイケメン密着24時!風の貴公子の素顔に迫る!』だったかしら」

「み、見たんですか!あれは広報が勝手にねじ込んで……くっそ!先生がご覧になるとわかっていたらあんな無様を」

「パジャマ姿で寝ぐせ付けたまま、ドヤ顔で日本の未来と将来の展望ついて熱く語っていたわねwww」

「ああああぁぁぁ!ち、違うんです!寝起きドッキリのついでにインタビューとか意味不明な企画が…あのテレビ局潰してやる!!」

「あの番組で好感度急上昇したらしいじゃない。結構面白かったわよ」

「先生に楽しんで頂けたなら結果オーライです」

 

 母さん楽しそうだなあ。フェイルもずっと顔赤いけど嬉しそう。

 なんか初々しい年上美女と年下美男のカップルみたい・・・・・・・・・ん?カップル?

 母さんがフェイルと?

 あの母さんが俺の友達と?

 俺と同じぐらいの年齢の男と母さんがカップリングですとな!?

 

(珍しい…いつものサイさんなら若い男は適当に躱すのに……)

(私と話している時とも違いますね。なんだかゾワゾワします。マサキは大丈夫ですか?マサキ?)

(ダイジョウブデス。ナニモモンダイアリマセン)

(ダメみたいですね)

 

 いやいやいや、母さんは男の誘いは完全スルーだから。

 強すぎるあまり離れていく男が多すぎたのがトラウマだって言ってた。

 以下《酔ったサイバスター魂の叫び集 一部抜粋》

 

 『男なんかもう知らん!もうええわ!フニャ〇ンどもが

 『恋愛も結婚もクソくらえじゃぁ!〇ね!FXで有り金全部溶かして〇ね!

 『息子さえいればいい!生きがいはマサキだけじゃい

 『子離れ?してたまるかボケェェェ!

 

 これは酷い。

 100年の恋も冷める叫びだ・・・・・でも、そんな母さんを愛してる!

 

「まったく…マサキもアンタもいい男に育っちゃってさ。あーヤダヤダ、私はババア街道まっしぐらなのにねww」

「そんな!先生はあの頃からずっと……き、綺麗なままです」

「まあお上手。さすが女の扱いは慣れてるって感じね。このモテ男が~」

「先生だけです」

「ん?」

「私が綺麗と言った女性は先生だけです。今までも、これからも」

「お、おう」

「それと私は女慣れしていないし、お世辞は苦手です」

「おお?おおお???」

「せ……いや、風の騎神サイバスター。私はずっと…あ、あなたのことが…」

「え?え?ちょ////えええ??」

 

 イヤァァァァァァァァああああああぁぁぁ!!

 

 待って待って待ってぇ!早い早い早いよぉ!!

 さすがに急展開すぎるでしょーが!!

 おいコラァ!フェイルロードぉ!何勢いで告白しようとしてんねん!!

 母さんも!!いつもの飄々とした態度は何処へ?

 攻められて赤くなってんじゃないよ!あなた最強の天級騎神ですよ?

 そして何よりも!!

 マザコン息子の前で母親のラブロマンス領域展開するとか・・・

 

(おどれら!人の心とかないんか!?)

 

 特級呪霊マザコーンが誕生するよ?五条先生でも止められないよ?

 

(心の中で叫び背景に徹する。我慢の出来る男になりましたねマサキ)

(相当ショックなのにギリギリ理性を保つマサ君。可愛いわ~)

(昔から思っていましたが、マサキが負の感情に支配されているとき、ものすごく生き生きとしますよね?)

(私はね、怒ってるマサ君も泣いているマサ君も、心がドロドロのグッチャグチャになったマサ君も大好きなのよ!すごくすごーく愛おしくて全力で慰めて可愛がって私のものにしたいくらい……あは♪賢いシュウ君ならわかってくれるわよね?)

(このタイミングで実母の狂気を見せつけられるとは……)

 

 ネオさんとシュウの様子もおかしい。

 告られ寸前サイバスターの姿を見たら動揺するのも無理はないか。

 

 待てよ?これはもしかしてルクスの精神攻撃では?

 実は俺はまだ自宅のベッドで悪夢を見せられているんだ。なーんだ夢かぁ。

 夢ならあの、母さんに手を出そうとするフェイルっぽいゴミを殴り飛ばしても文句ないよね?

 むしろ夢から覚めるために、形を残さないよう念入りに攻撃してもいいよね?

 よし!やるか。いっちょ殺りますか!

 

「マサ君」

「止めないでください、ネオさん。俺はこの悪夢から目覚めないと」

「死体の処理と証拠隠滅は任せて。思いっ切りやっちゃいなさい!」( ´∀`)bグッ!

「ネオさん!大好きーー!」(*´▽`*)

「ま、待ちなさいマサキ!……くっ、母さん!アンタ悪女や!!悪い女やでぇ!」

「嬉しい!久しぶりにシュウ君が『母さん』と呼んでくれたわ。そしてレアな関西弁www」

 

 テンパったシュウ、ついにぶっ壊れる。

 

 どす黒い感情を好み、破滅に向かうマサキを応援する実母の顔を見て、ようやくシュウは理解した。

 天級騎神ネオグランゾンが闇属性であることを!

 歪んだ愛情からにじみ出る狂気こそが、彼女の本質であり闇であった。

 それが実子に向かわないのは僅かに残った理性なのか?ほんの気まぐれなのかは不明。

 もうヤダこの母!

 

「私はマサ君を奈落に落としたいわけじゃないのよ?」

「信じられませんね」

「奈落の底から這い上がるマサ君が見たいのよ!!」

「試練を与えて楽しむ神のような真似を、邪神的思考は今すぐ放棄してください」

「そうこうしているうちにマサ君がターゲットを補足したわ」

「マサキ――!早まってはいけません」

 

 〇

 

 母親の告られイベントを阻止すべく行動開始するマサキ。

 しかし、あと一歩という距離でピタリと動きを止めていた。

 

 本当にいいのか?

 母さんの幸せを願うなら邪魔するべきではないのでは?

 フェイルが本気だったら、俺は友人を応援すべきなのでは?

 せめて母さんの答えを聞いてからでも・・・うーん。

 

 フェイルも母さんも固まったままだ。俺がこれだけ近づいてもノーリアクション。

 俺を認識していない?眼中に無いってことね!

 もう母さんを担ぎ上げてとんずらした方がいいのか?

 

 至近距離で唸っているマサキをガン無視して領域展開を続けるフェイル。

 

「私は…あなたのことが…‥す…」

「っ!?」

 

 おう、言うのか!言っちゃうのか!

 なんか俺までドキドキしてきたよ。

 どうするの?母さんどうするの?あなたの息子はここにいますよ!

 

 悩んだ末にマサキは成り行きを見守ることに決めた。

 サイバスターの隣で『はわわわ!///』と少女漫画のハイライトシーンを見る乙女のようなキモイ反応で。

 

 フェイルが動く。

 ぶん殴ってやろうかと思う気持ちと、行け!やっちゃえ!と友を応援する気持ちがせめぎ合うマサキ。

 ここまで来てもサイバスターは動かないーー!

 呆けたような表情で固まるサイバスターの手を取ろうとした瞬間・・・

 

 パシャッ!・・・カシャッ、カシャッ、カシャッ、パシャッ!!

 

 カメラのフラッシュとシャッターを切る音が連続する。うおっ!まぶしっ。

 ギョッとして隣を見るマサキ。そこには・・・

 カジュアルなスーツを着こなし目をキラキラさせながら写真を撮っている、妙な女がいた。

 

「素晴らしいですっ!!『風の貴公子フェイルロード、天級騎神に公開告白!!』大スクープですよ~」

 

 たっぷり激写したデジカメを片手に、使い込まれたネタ帳にペンを走らせる美人さん。

 めっちゃ知ってる人だ。

 

「オトナシさん!」

「はい、神出鬼没の敏腕記者オトナシエツコ!定刻通りに只今参上です」

 

 ビシッと可愛く敬礼ポーズを決めたのは、学園に出入りしている雑誌記者のオトナシエツコさんだ。

 感動する度に『素晴らしいです!』と叫ぶ癖があるのが特徴。

 姉さんの友人で、俺もこの人の取材を受けたことがある。

 

「もう、私とマサキさんの仲じゃないですか。"えっちゃん"と呼んでもいいんですよ?勢いでプロポーズしてくれてもいいですよ!!」

「そうでしたね、エツコさん」 

「ぐぬぬ、手強い。さすがみのるんの弟手強い」

 

 このように、エツコさんはちょっと変な人である。

 姉さんのことを"みのるん"と呼んでいて仲が良い。

 因みに姉さんは"みのるん"呼びを嫌っている。

 

「お仕事ですか?」

「ですです!年に一度の聖蹄祭、ガッツリ取材しちゃいますよ」

 

 生徒たちのプライバシーを守るため学園はマスコミに対してかなり厳格に対処している。

 学園に出入りを許されているというだけでも、エツコさんが学園側から相当な信頼を勝ち取っている証拠だ。

 自称であるが敏腕記者というのは本当らしい。

 

「記者としての勘を頼りにブラついていたら、なんと!風の貴公子の一大スキャンダルに遭遇したというわけです!」

 

 フェイルを見つけてダッシュ!➡アレなんか告る寸前じゃね?➡撮らねば!!!

 

 という流れだったらしい。記者の勘とやらも侮れないな。

 突然の乱入に驚いたが、エツコさん登場でフェイルの告白は妨害されたはず。

 そうだ、母さんはどうなった?

 

「す…スイカバー、好きだったりします?」

「え……そ、そうね。あずきバーの方が好きよ」

「さすがに無理があるだろーーー!!!」

 

 俺はフェイルと母さんにツッコミのチョップを叩き込んだ。

 どんな話題転換やねん。

 『好きです』と言いかけてスイカバーはないわ~。

 

「「マサキ!!いつからそこに??」」

 

 仲良くハモんな。そういうのマザコンは嫉妬しちゃうぞ☆

 

「ずっといましたけど?二人のことゼロ距離で見守ってましたけど?俺はガリガリくんが好きですけどねぇ!!」

「はは、いや、先生とアイスの話で盛り上がってしまってな。ははは、はは」

「そうそう!ハーゲンダッツ安くならないかなぁ~とかでね」 

 

 なぜ人は嘘を重ねるのだろうか?それも下手くそな嘘を。

 ずっと見てたと言ってるでしょーが!!

 

「エツコさん。息子を放置してラブロマしちゃう母親ってどう思います?これって虐待ですかね?」

「うーん。マサキさんは既に成人してますから虐待ではないですね。私は自由恋愛を尊重しますが、マザコン息子の前で見せつけるようにラブラブチュッチュは(こく)だと思います。マサキさんかーわーいーそー」

「貴重なご意見ありがとうございます。だ、そうですけど?」

「ごめんて。ちょっと雰囲気に流されただけやってん。母さんの一番はマサキだから機嫌直して?ね?ねぇってば?」

「しまったな。私としたことが順番を間違えたようだ」

 

 母さんが謝りながら俺に抱き着いて来る。ココにもやっていた後ろからハグだ。

 そんなんで俺の機嫌が治るとでも?もうちょっとそのままでお願い。

 フェイルの方は悪びれた様子もなく一人でウンウン頷いている。

 

「先に攻略すべきはマサキの方だったな!!」クワッ!

「またホモかよぉ!」

「え?そっち系?」

「素晴らしいですっ!!マサキさんのおホモだちが増えましたね!」

 

 目を見開いて宣言するフェイル。

 俺と母さんは口をあんぐり開けてドン引き。

 エツコさんはネタ帳に『伝説のスーパーマザコン』だの『マサ×フェイ』だのを書き込んでいて楽しそう。

 フェイルロードなんて奴だ!

 母さん狙いと見せかけて俺とホモホモするのだ真の目的だったとは!

 寒気がする。なぜかお尻がキュッと縮こまった。

 

「フフ、フヒヒヒヒ。将を射んと欲すれば、なんとやら……覚悟するんだな、マサキ!!」

「ひぇっ!あいつ目がマジだよ。怖い、怖いよ、母さん」((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

「うかつ。本命はマサキだったのね!娘たちのためにも息子の尻は守ってみせる!」

 

 不気味な笑みを浮かべ、にじり寄って来るフェイル。

 目に光が無いのが怖すぎる。

 涙目で後退る俺に母さんが『どうする?アカシックにバスターする?』と聞いて来るが、

 ここで必殺技はアカーン!聖蹄祭どころじゃなくなっちゃう。

 『素晴らしいですっ!!』と、叫ぶだけの女は役に立ちそうにない。

 万事休すか・・・

 

「マサキの尻がピンチと聞いて!」

 

 もうダメだと思った瞬間、凛とした声の持ち主がフェイル前に立ち塞がった。

 広場に集った人混みをすり抜け颯爽と登場した新たな女性。 

 そうだ。俺には頼りになる愛バと母とそして・・・姉がいる!!

 

「ね…たづなさーん!!」(ノД`)・゜・。

「もう大丈夫よ、マサキ。今このくそみそ野郎を消してあげる」

 

 なんて頼もしいんだ。でも、消したらダメですね。

 

「おバカねえ、ミノルちゃん。こんな大勢の人前で殺害宣言するなんて」

「ここら一帯を吹き飛ばす気だった人が何を言う」

「みのるん!あなたの親友、えっちゃんもいるよ」

「敵は二体、先に女の方を片付けるか?」

「もう!ツンデレさん♪」

 

 目すら合わせない塩対応の姉さんに嬉しそうなエツコさん。

 それでいいのか、ワンダフルスクリーマー。

 

 姉さんの登場でくそみそフェイルの目に光が戻った。

 奴は母さんと俺と姉さんを視界に捉え、やれやれとため息をつく。

 そのまま長い髪をかき上げて『参ったな』と、独り言ちる。

 

「勘違いしないでもらいたい。私はただマサキに、お父さんと呼んでもらいたかっただけだ!」

成敗ッッ!!

「はぎょっ!?」

 

 姉のゴッドハンドスマッシュが炸裂!見事フェイルの意識を刈り取った。

 

 〇

 

 大慌てで駆けつけた理事長に姉さんはしこたま怒られた。

 なぜか俺も怒られた。

 母さんは『そうよ二人とも反省しなさい』なんて言って逃走。

 逃げ足の速さも天級な母である。

 

 白目をむいていたフェイルには俺がヒーリングをかけて治療した。

 既に回復して今はドウゲンさんたちと話し込んでいる。思ったより頑丈な奴だ。

 

 エツコさんはルンルン気分でインタビューに駆けずり回っている。

 取材対象には事欠かないメンバーが揃っている状況だ。記者魂に火が付いたのだろう。

 

「治安局次長を失神させるとは何事だ!」

「何度も言ってるけど、マサキにパパと呼ばせて興奮するクソホモ野郎だったのよ?切り捨てなかっただけありがたく思ってほしいわ」

「幻覚でも見たんじゃないのか?フェイル殿のような一流の紳士がホモホモするわけないだろ?」 

「わかってないわねー。ああいう奴に限ってとんでもない業を背負っていたりするのよ」

「とにかく反省すること。聖蹄祭期間中は抜刀も禁止する」

「(  ̄っ ̄)ムゥ」

「なんだその不満顔は!」

 

 俺は解放されたが、姉さんは未だに説教中だ。

 あれは俺を守るための行動だったのでそろそろ許してあげてほしい。

 

「フェイ君ったら、マサ君の父親ポジションを狙っていたのね。気持ちはすっごく解るけど先に私のことを『ママ』って呼んでほしいし。これはどうしたものかしら?」

「サイバスターと夫婦になりたいからこそ、マサキに父と言わせたい。こんな簡単な図式をスルーする理由は何なのでしょう?」

「もう、シュウ君はいつも小難しいことを言うんだから」

「ごく当たり前のことを言っているつもりですがね」

 

 先程の一部始終を傍観していたシラカワ親子は、フェイルを気にしながら何か話している。

 

 母さんは逃走した先で愛バたちに捕まっていた。

 

「いや~まさか、あのフェイルがマサキとホモホモしたかったなんてね」

「「「「…………」」」」

「な、何この空気?全部みのるちゃん任せだったのを、怒っている?」

「どうするんですか?」

「何が?」

「あの男とサイさんがそういう関係になった場合、私たちは治安局次長を『お義父様』と呼ぶ必要があるのでしょうか?正直、あの優男ではサイさんと釣り合わないと思います」

「待って待って!なんでそうなるのよ。さっきのはほら、マサキを落とすための布石であって、私はダシに使われただけで」

「サイママ、ちょっとだけメスの顔してた」

「…………してない」

「成長した元教え子にキュンッ!女ではなく母であろうとした自分は偽りだったのか?忘れかけていた情欲の炎が今!再び燃え上がる!」

「アルちゃん、やめなさい!あなた時々すごく変よ」

「年下の男か。私は応援してもいいけど。マサキがなんて言うかな?」

「くっそ!アラフォーになってこんな女子トークをするとは。あいたたたたた!青春のやり直しをしているおばちゃんの心が痛いわよー!」

 

 発狂した振りで逃げようとした母さんは四人に取り押さえられ連れ戻される。

 あんなに詰められている母さん始めて見た。

 好きな人はいないと断言していたのに、男と一緒にいる場面を目撃され、友達に尋問されるも否定と黙秘を続けるリーダー格の女子。

 それが今の母さんである。

 

「おばはんの…恋愛事情…きょうみなし」

「そう?私はサイがどういう答えを出すか、すっごく興味あるけどね」

「人の恋路を邪魔してはならん。そうですよね、母上?」

「うむ。わしも若い頃はダーリンと…ムフフ」ポッ

「フェイルロード……要注意人物リストに名前がありますな」

「私は何も見ておりません」 

 

 女子トーク中の母さんを生温かい目で見守る他の面々。

 そんな輪からひとり外れた人物がいることに気付いた。

 あれは放置すべきか、それとも・・・うお、向こうから来た!?

 

「何?言いたい事があるなら言ったら?」

「いえ、何もないっス」

 

 気まずいよぉ……

 いつもの優しい金髪巨乳のテュッティ先輩はどこへ?

 不用意に触れたら破裂しそうなピリピリ感出さないでよぉ。

 

 高校生の時、フェイルとテュッティ先輩が付き合っていて卒業後に破局したと聞いている。

 でも先輩、後腐れなくきれいさっぱり別れたって言ってませんでしたか?

 

「別にいいのよ。私は全然気にしていないし。元カレが知り合いの母親に恋慕していたなんてよくある話じゃないの」

 

 よくあったら嫌だなぁ。

 

「元カノ完全スルーで場もわきまえず告白イベント引き起こそうだなんて、別れて正解だったわ」

 

 ウンウンソダネー( ̄д ̄)

 俺は黙して頷くだけに徹する。

 きっと先輩は相槌を打ってほしいわけではなく、胸に溜まったものを吐き出したいだけだから。

 

「私にはリカルドがいるし、何も問題ないわ。ええそう、少々腹立たしいだけで何も問題ないわよ」

 

 ソダネー( ̄д ̄)

 

「気を付けるのよ、マサキ。ああ見えてサイさん押されるとコロっと行きそうだから心配なのよ」 

 

 ダネー( ̄д ̄)

 テュッティ先輩の愚痴によって俺のメンタルはゴリゴリ削れていく。

 

「あいつ私と付き合ってる時もサイさんにデレデレしてたのよね。チッ!私は都合のいい女じゃねぇつーんだよ、なめんなコラ」

 

 ネー(´・ω・`)

 ――そのうち俺は 考えるのをやめた。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 気付いたら俺はガッちゃんを抱っこして撫で回していた。

 動物との触れ合いで人々の心を癒すアニマルセラピーというものがある。

 同じ要領で傷ついたメンタルを回復したのだ。

 なるほどなるほど、合法ロリセラピーは効果てきめんだ。

 

「ありがとう、ガッちゃん」

「気にしないで…メンヘラ甘党が…迷惑かけた」 

 

 先程までの病み具合が嘘のようにテュッティ先輩は女子トークの輪に加わってキャピキャピしていた。

 変わり身の早さが逆に怖いよぉ。

 

 さてさて、姉さんと理事長も来てくれたから、

 

「素晴らしいですっ!!」

「突然なんですか?」

「間違えました。写真を撮りましょうよ!」

 

 どうやったら『素晴らしい』と『写真を撮ろう』を間違えるのか意味不明。

 

「せっかく、これだけのメンバーが集まったのです。今日という日を記念して集合写真を撮ることを提案します」

「そいつはナイスアイディア!」

 

 エツコさんの提案で集合写真を撮影することになった。

 カメラマンは言い出しっぺのエツコさんと交代でウォルターさんがやってくれることになった。

 

 俺を中心にしてみんなが並ぶ、案の定ベストポジションを狙って愛バが揉めたりする。

 

「もうちょっと寄って、シロ邪魔」

「お前がな!操者の隣は私が予約済みです」

「マサキさん、もっとこちらへ」

「えへへ。なんかいいね、こういうの」

 

「せ、先生。隣、いいですか?」

「あ、うん。いいんじゃない……」

 

「ね~シュウ君。腕組んじゃおっか?」

「やれやれ、たまには親孝行しますか」

 

「当然、師匠は私が抱っこしますね」

「えー…メンヘラ…怖い」

 

「わしらは肩車でもするかの?」

「母上、無理に目立とうとしなくていいですから」

 

「本来、従者である私は撮影する側なのですが」

「マサキ様がよいと言っているのです。素直に撮られましょうぞ」

「スぺちゃんたちも呼んで来ればよかったかな。まあ、また今度ってことで」

 

「ムフフ☆みーんな一緒で楽しいね☆パパ?」

「そうだね。みんな仲良く平和が一番だ」

 

「記念すべき一枚となるよう気合を入れるぞ、たづな!」

「はいはい。張り切り過ぎて半目にならないようにね」

 

 全員の位置取りが決定したところでエツコさんがカメラを構える。

 

「はーい撮りますよ。3……2……1……うわらば!!

 

 不意打ちのアミバに全員が『なんで!?』と思ったが撮影自体はうまくいった。

 

 いつか、写真を見て昔を懐かしむ。そんな時が来るだろう。

 その『いつか』が来るまで、今日みたいな思い出を積み重ねて行きたいな。

 

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