俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

19 / 150
とどろき、はかいせしもの

「解体するぞ!コノヤロウ」

 

 アルクオンの片腕を勢いでぶっ壊した。

 さて、ここからどうするか。

 アルクオンの判断は早い、残った腕をこちらに振るう。

 シロを抱えて緊急回避する。

 というかシロ息してるよね?大丈夫だよね?ねえ!

 

「かはっ・・・けほっ、けほ・・・」

 

 良かった、生きてた。

 まだむせているシロをしっかり抱き寄せて、背中をさすってやる。

 

「マサキさん・・・クロちゃんとブルボンさんが」

「わかってる。無理に喋るな」

 

 クロの所まで下がる。

 

「クロ!」

 

 覇気の残量が少ない・・・ならば、俺の覇気を分け与えるのみ。

 契約を結んだ者同士だ、それぐらいできるだろ。

 やり方?知らん!回復魔法を使うイメージ・・・ホイミ?ケアル?どっちが良い!

 シロを降ろしてから、クロをギュと抱きしめる。

 頼む、目を開けろ。お前はこの程度で終わるウマ娘じゃないだろ。

 自分の覇気出力をあげる、光の粒子が俺からクロへ伝わって行く。

 シロが息をのむ、そしてクロが意識を取り戻した。

 

「あはは、幻覚かなマサキさんが見える・・・」

「俺は本物だ。また酷くやられたな」

 

 これで二人は大丈夫、ボンさんは・・・。

 ああ、そういう事かボンさんはお前の・・・そっちは任せるぜ。

 

「ボンさんも無事みたいだぞ、二人ともよく生きてたな、偉いぞ!」

「「・・・っ!」」

 

 泣きそうになって抱きついて来る二人。

 少し離れていただけなのに、やっと再会できたみたいだ。

 頭を頬を擦りつけてくる、そうすることで自分の存在を俺に刻むかのよう。

 もう歯形がバッチリ刻まれているけどね!

 ウマ娘というか二人の愛情表現はいつも全力だな。だから尻尾痛いって!

 二人の頭を撫でながらアルクオンを見据える。まだこっちに来ない。

 そうだよな・・・お前本当は、空気が読めるんだよな・・・少し待ってろ。

 

「落ち着いたか?まだ終わってねえから、このくらいでな」

「うん。ぐすっ、マサキさん・・・」

「う~・・・はい。ひっく、大丈夫でず」

「あーあー、もう二人とも鼻水が・・・ほれ」

 

 こんなこともあろうかと、ハンカチとポケットティッシュは常備しておいて損はないね。

 涙と鼻水を拭いてやる。はい、キレイになった。女の子はいかなる時もキレイにね。

 三人でアルクオンに向かい合う。

 

「でどうよ?結局こいつどうやったら倒せるんだ」

「相手の覇気を吸収する芸を使いだしました。最初に会った時とは別物です」

「それよりあの子の腕・・・誰がやったの?」

「俺だ、気づいたらぶっ壊してた」

「うそ・・・私の操者凄すぎ////」

「私たちのですよ!!その調子で残りの手足も、もぎ取れますか?」

「無理だな。もう俺は警戒されてるみたいだし、どうやったか覚えてねぇんだ」

「私を救うために、無我夢中だったんですね////」

「私たちをね!!独り占めはダメだよ」

「そっちこそ、独り占め狙ってるんじゃないですか?」

「・・・・」

「沈黙は肯定とみなしますよ、腹黒」

「うるせーよサトイモ」

「あ!」(やんのかゴラ!)

「お!」(やったらぁこいや!)

「なんでお前らが一触即発になってんの?」

 

 ねえ?今それどころじゃないのわかってる?

 アルクオンさんもいつまでも待っては・・・くれませんよねー。

 咄嗟にクロシロを両脇に抱えて跳ぶ。

 俺たちがいた場所に剛脚が死線を描く、竜巻旋風脚?そんな芸当もありかよ。

 

「マサキさん、持ち方が雑です」

「仕方ないだろ、二人いるんだから」

「じゃあこうすれば・・・よいしょ」

「よせ!首にしがみつくな。締まる」

「では、私は正面からいきます」

 

 背中にクロ、胸元にシロが抱きついた。

 何これ?こんなボディパーツ嫌だわ。

 この鎧は生きてるんだぜ・・・てアホか!!!

 

「いいね、ずっとくっついていたい」

「もう離しませんよ。まさに一心同体」

 

 しかも呪われていた。

 もういい、このままやってやんよ!

 女児二人を体に装備して戦う男・・・ひでぇ絵面だ。

 

「やるぞ!いいなお前ら!」

「ホントにこのまま戦うの?楽しそう!」

「やはり私たちの操者は、ひと味違いますね!ぶっ飛んでます」

 

 こっちから攻める!アルクオンに接近して覇気を纏った拳を叩きつける。

 片腕なのを感じさせない動きで反応され防御される。

 こちらを捕まえようをして、アルクオンが腕を伸ばす。

 右腕を掴まれた。

 

「ぐっ!しまった」

 

 覇気を持って行かれる、こうやって接触した相手から吸収するのか。

 やばい、このままじゃ・・・・なんてな!

 掴まれた右腕はそのままに、アルクオンの片腕を俺からも掴んで動きを封じる。

 これで俺もお前も動けない。だが忘れんなよ、これはタイマンじゃない。

 三対一なんだぜ。

 

「おらぁ!」

 

 無防備になったアルクオンの顔面に拳が突き刺さる。いいのが入ったな!

 やったのは俺のボディパーツ(前)のシロだ。

 俺から距離を取ろうとするアルクオン、残念!逃がしません。

 その間もシロは連撃を叩き込む。

 

「散々舐めたマネしてくれましたね。もっと苦しめ、このポンコツがぁぁああ!!!」

「いいよ、シロちゃん!もっとやれ!」

 

 顔面に亀裂が入る。効いてる効いてる。

 押さえつけるもそろそろ限界か・・・。

 耳元でクロが囁く。

 

「離れて!来るよ」

「シロ戻れ!」

「はい」

 

 自身が一方的に殴られる事に、痺れを切らしたアルクオン。

 奴の動きにいち早く気づいたクロに従いシロを回収、バックステップ。

 アルクオンの攻撃が空振りに終わる。ざまぁ!

 

 追撃に来るアルクオン。

 やっぱり子供とはいえ、二人も貼り付けていたら動きが鈍るな。

 胸元シロ、背中クロ、二人の鼓動を感じる・・・大丈夫、俺たちは今、三位一体だ!

 

 アルクオンが肉薄する直前に、シロを空中に放り投げる。

 身軽になった俺は激しい攻防を開始する。

 殴打と蹴りの嵐、一撃が重たいな!ちくしょうめ!

 俺とアルクオン、渾身の力を乗せた蹴りがぶつかり合い、周囲に衝撃が迸る。

 いってぇぇええー!覇気が無かったら、下半身を丸ごと持って行かれる威力だわ。

 その一瞬を逃さない!

 

「せいやっ!」

 

 アルクオンに強烈な蹴りが直撃する。またしても顔面、弱っている所を狙うのは常道です。

 俺のボディパーツ(後)のクロが放った一撃。

 俺の背中に張り付いてから、ずっと溜めていた覇気を蹴りに乗せぶちかます。

 

「そらよっ!」

 

 続けて俺も攻撃。

 脆そうな関節部付近を狙ったつもりが、男なら絶対に攻撃されたくない所にヒットした。

 なんかゴメン。

 

 俺とクロの連撃でグラつく巨体、仰向けに倒れそうになるアルクオン。

 そこへ・・・。

 

「くたばれぇぇええええ!!!」

 

 上空から飛来したシロが顔面を踏みつぶし、その頭部を地面にめり込ませた。

 しゃあ!決まった!今のいい感じだったな。

 二人がどう動くのか、俺がどう動くのか全てわかり合っていた。

 これが操者と騎神の絆というやつか。

 二人がまたしがみついて来る、いや、もういいって。

 

「私たち、完全にマサキさんの無線誘導兵器だったね」

「ファンネル・・・ビット・・・いえ、ハイファミリアと名付けましょう」

「いつまでしがみついてんの?もう降りなさいな」

「えー、まだいいじゃん」

「ふざけて引っ付いてるだけじゃないですよ、ほら覇気を見てください」

 

 クロシロの覇気が増加している。

 あれだけ戦ってなぜ増えている?それになんか二人とも血色がいい。

 

「マサキさんのそばにいるとね、とっても元気になるんだ」

「あなたの膨大な覇気が騎神に癒しをもたらす・・・愛バである私たちは、特にその影響が大きいようですね」

「いてくれるだけで、パーティー全員が毎ターン回復するやつ」

「とんでもないパッシブスキルですよ。さすがマサキさん」

 

 いつの間にか全体オートリジェネを習得していた。

 俺の近くにいれば回復するのか、なら好きにさせてやろう。

 よいしょっと。クロを右手でシロを左手でホールド、二人を抱っこする。

 小さい、軽い・・・この体のどこにあんな力が・・・。

 二人の重みと温かさを感じながら、アルクオンを見る。動くなよ、もう止まってろ。

 立つなよ、立つなよ、立つな・・・。

 ちょっ!耳に息を吹きかけるな!・・・二人同時はだめー!ゾクゾクしちゃうのー!

 

「終わったのかな?」

「顔面は完全に破壊しましたが、やつの核はまだ生きてます」

「今のうちにトドメを差すのが正解か」

 

 露出した胸部の中心にある玉?たぶんアレが心臓部である核。

 アレさえ破壊すれば・・・・。

 おや?アルクオンの様子が・・・。

 

「なあ、なんかあいつの核が点滅してるんだが」

「残りの覇気を集中してるね、周囲からも可能な限り覇気を集めてる」

「嫌な予感がするな、点滅の感覚、覇気の脈動・・・まさか」

「カウントダウンですね。負けたロボットの最後の悪あがき、お約束です」

「自爆かよ!」

 

 やらせるか!

 クロシロをアルクオンに投げつける、酷い扱いだが許せ!

 投げられた二人は核に攻撃を仕掛けようとして、横から飛んできた物体に阻まれた。

 

「「なっ!」」

 

 あれは、俺がもぎ取ったアルクオンの腕?遠隔操作だと!

 覇気で分離した自分の腕をコントロールして攻撃、何でもありか!

 

「このアルクオン凄いよ!さすがサトノ家の家宝!」

「ディアナがそんなに好きかぁーーー!!!」

「ターンXやめろ!」

 

 シュウはギンガナムのものまねも得意だったな。

 二人が腕に阻まれている間に立ち上がる本体、カウントダウンは継続中。

 じゃあ俺がやるしかない!

 一直線に突っ込んでくるアルクオン、迎撃準備て・・・は?

 俺に殴りかかろうとしたのはフェイント、片腕で俺をハグするアルクオン。

 こんなやつに抱きつかれても嬉しくない!何が目的・・・。

 

「離れてください!マサキさんそいつは」

「道連れ!道連れにするつもりだよ!」

 

 え?うそ・・・俺ごと自爆する気?

 砕けてウォーズマンの素顔みたいになった顔面が、笑った気がした。

 いやぁぁぁあああああぁああああああああ!!!!!!!

 

「HA☆NA☆SE!!」

「マサキさん!くそっ、腕だけの分際で」

「あーもう邪魔すんな!」

 

 遠隔操作の片腕一本のみでクロシロを押さえ込み、本体は俺に組ついて自爆。

 なんてこった!

 

「離せ!離せってんだよぉ!クロシロお前たちはここから離脱しろ!!」

「そんな!置いていけません」

「嫌!」

「自爆した時の威力がわからん!もしかしたら俺だけなら耐えれるかも」

「無茶です!アルクオンの覇気残量と、今マサキさんから吸収した分があれば、この近辺は吹き飛びます!」

「やだ!やだよ!ぜったいや!」

 

 あーやっぱり、こいつらは俺を置いて逃げる選択はしないか・・・嬉しいねぇ。

 このままじゃ三人ともお陀仏だ、自爆を止める方法・・・こいつを破壊する方法。

 外側の堅牢な装甲と覇気に阻まれてダメージが通りにくい。

 核がむき出しなのは相手も承知、核を覇気の外殻で何重にもコーティングしてやがる。

 外からの攻撃はダメ・・・だったら内部から・・・。

 南斗聖拳・・・北斗神拳・・・内部破壊・・・。あー思いついたわ。

 後は俺の覇気量がどれくらいあるかだな・・・よし蛇口を緩めるぞ!

 

「マサキさん!?覇気が・・・」

「え・・・何これ・・・どんどん上がっていく」

「ふー、やっと楽になった・・・今までずっと閉めていたからな」

「閉めていた?何を・・・まさか今までずっと、覇気を出さないようにしてたんですか?」

「あれで?いや大量に出てたじゃん!・・・」

「まだ全然出してねぇよ、おかげでさっきから暴発しそうでな、クシャミみたいに」

「「・・・・」」

 

 そうだずっと体の奥がムズムズしてたんだよ。

 早く出せ!もっと暴れさせろ!何年待ったと思っている!ああ、うるさいうるさい。

 望み通り出してやるよ、だからちゃんと仕事してね。

 

「さあ!出てこいやぁ!俺の覇気ども!!!」

 

 オォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!

 

 光の奔流、あふれ出した覇気の輝きが周囲を埋め尽くす。

 夜中だというのに昼間以上の眩しさ、その中心にいるのは・・・本当に人間なのか?

 自分たちの操者がまともではない事を改めて理解するクロシロ。

 

「お前さぁ、腹が減っていたんだよな?だったら存分に味わえ!」

 

 アルクオンに向けて覇気を送り込む。

 どんどん食えや!

 

「おかわりもいいぞ!」

 

 さらに覇気を送り込む、まだだ!まだまだまだまだまだまだまだ!!!!!

 どうした?何遠慮しているんだ、これが欲しかったんだろ?

 俺の愛バを傷つけて、無理を悟れば自爆する覚悟があるほど望んだものだぞ!

 ・・・ピシッ!核に亀裂が入る。

 おや?なに離れようとしてるんだ自爆するんだろ?

 心中までしようとした俺とお前の仲じゃないか、今更水臭いぞ!

 前菜はここまで、メインディッシュは今からだぞ。

 

「なんだお前、全身ヒビだらけじゃん」

「・・・・」

「もう食えないってか?はぁー知らないのかよ、出された食事を残すのは失礼なんだぞ」

「・・・・」

「だんまりか・・・もしもクロシロより先にお前に会っていたら、お前の操者になれたのかな」

「・・・・」

「考えても仕方がないか、とにかく俺はあいつらと行く。お前はもう休め」

「・・・・」

「最後に食事を残そうをするお前に、この言葉を送る」

 

「お残しは許しまへんでっ!!!!!!!!!!!!」

 

 思いっきり覇気を流し込む。

 アルクオンの核、全身に亀裂が入り体が崩れていく。

 そして点滅を繰り返していた核は砕け散り、溜め込んだ覇気は霧散し俺の覇気に吸収された。

 アルクオンだった物が停止する・・・一人の人間と残骸を残して。

 

 ふぃー何とかなった。完全勝利!初陣にしては上出来だよな。

 あ、でも・・・まだ・・・。

 

「「マサキさん」」

 

 クロシロが俺に駆け寄って来る、遠隔操作腕も停止したようだ。

 

「ステイ!ちょっと待って、まだ近づくな!」

 

 二人を手で制してストップをかける。

 まだこっちに来ちゃダメだ。

 

「どうしたんですか?まだアルクオンが・・・」

「体大丈夫?もしかして覇気が無くなった?」

 

 大人しくその場で待機し、心配そうにこちらを伺う二人。

 

「違う違う。ちょっとクシャミが・・・あーダメだもう一回全部出すわ」

「クシャミ?」

「まさか・・・まだ覇気を出し切ってない!どんだけ!」

「よーし、一気に出すぞ。お前らちょっと離れてろ」

 

 やっとスッキリできる。待たせたな!

 そして体の奥から湧き上がる力の全てを開放する。

 全力全開!!!せーのっ!!!

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 天に向かって吠える。もはや人間のそれではなく獣の咆哮!

 覇気が空気が爆発する光の粒子が周辺のみならず、遠く離れた町の隅々まで拡散する。

 衝撃はないが覇気の波が体を通過するたびに魂が震える。

 天に昇る光、雲を貫通し夜空をの星々をも照らす。

 ビッグバン・・・新たな宇宙の誕生を告げるかのような光景。

 

「「・・・・」」

 

 操者を見守る幼き二人の騎神。

 もう声すら出ない、想像を絶する光景にただただ立ち尽くす。

 ・・・ああ・・・この人はどこまで・・・。

 やっとのことで口を開く、その声は抑えられない歓喜に満ちていた。

 

「はは・・・は・・・あははははははは!!!最高!うん!ホントに最高だよ!!!」

「見てくださいクロちゃん!!あれが、あの人が私たちの操者です!!!!!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。