「解体するぞ!コノヤロウ」
アルクオンの片腕を勢いでぶっ壊した。
さて、ここからどうするか。
アルクオンの判断は早い、残った腕をこちらに振るう。
シロを抱えて緊急回避する。
というかシロ息してるよね?大丈夫だよね?ねえ!
「かはっ・・・けほっ、けほ・・・」
良かった、生きてた。
まだむせているシロをしっかり抱き寄せて、背中をさすってやる。
「マサキさん・・・クロちゃんとブルボンさんが」
「わかってる。無理に喋るな」
クロの所まで下がる。
「クロ!」
覇気の残量が少ない・・・ならば、俺の覇気を分け与えるのみ。
契約を結んだ者同士だ、それぐらいできるだろ。
やり方?知らん!回復魔法を使うイメージ・・・ホイミ?ケアル?どっちが良い!
シロを降ろしてから、クロをギュと抱きしめる。
頼む、目を開けろ。お前はこの程度で終わるウマ娘じゃないだろ。
自分の覇気出力をあげる、光の粒子が俺からクロへ伝わって行く。
シロが息をのむ、そしてクロが意識を取り戻した。
「あはは、幻覚かなマサキさんが見える・・・」
「俺は本物だ。また酷くやられたな」
これで二人は大丈夫、ボンさんは・・・。
ああ、そういう事かボンさんはお前の・・・そっちは任せるぜ。
「ボンさんも無事みたいだぞ、二人ともよく生きてたな、偉いぞ!」
「「・・・っ!」」
泣きそうになって抱きついて来る二人。
少し離れていただけなのに、やっと再会できたみたいだ。
頭を頬を擦りつけてくる、そうすることで自分の存在を俺に刻むかのよう。
もう歯形がバッチリ刻まれているけどね!
ウマ娘というか二人の愛情表現はいつも全力だな。だから尻尾痛いって!
二人の頭を撫でながらアルクオンを見据える。まだこっちに来ない。
そうだよな・・・お前本当は、空気が読めるんだよな・・・少し待ってろ。
「落ち着いたか?まだ終わってねえから、このくらいでな」
「うん。ぐすっ、マサキさん・・・」
「う~・・・はい。ひっく、大丈夫でず」
「あーあー、もう二人とも鼻水が・・・ほれ」
こんなこともあろうかと、ハンカチとポケットティッシュは常備しておいて損はないね。
涙と鼻水を拭いてやる。はい、キレイになった。女の子はいかなる時もキレイにね。
三人でアルクオンに向かい合う。
「でどうよ?結局こいつどうやったら倒せるんだ」
「相手の覇気を吸収する芸を使いだしました。最初に会った時とは別物です」
「それよりあの子の腕・・・誰がやったの?」
「俺だ、気づいたらぶっ壊してた」
「うそ・・・私の操者凄すぎ////」
「私たちのですよ!!その調子で残りの手足も、もぎ取れますか?」
「無理だな。もう俺は警戒されてるみたいだし、どうやったか覚えてねぇんだ」
「私を救うために、無我夢中だったんですね////」
「私たちをね!!独り占めはダメだよ」
「そっちこそ、独り占め狙ってるんじゃないですか?」
「・・・・」
「沈黙は肯定とみなしますよ、腹黒」
「うるせーよサトイモ」
「あ!」(やんのかゴラ!)
「お!」(やったらぁこいや!)
「なんでお前らが一触即発になってんの?」
ねえ?今それどころじゃないのわかってる?
アルクオンさんもいつまでも待っては・・・くれませんよねー。
咄嗟にクロシロを両脇に抱えて跳ぶ。
俺たちがいた場所に剛脚が死線を描く、竜巻旋風脚?そんな芸当もありかよ。
「マサキさん、持ち方が雑です」
「仕方ないだろ、二人いるんだから」
「じゃあこうすれば・・・よいしょ」
「よせ!首にしがみつくな。締まる」
「では、私は正面からいきます」
背中にクロ、胸元にシロが抱きついた。
何これ?こんなボディパーツ嫌だわ。
この鎧は生きてるんだぜ・・・てアホか!!!
「いいね、ずっとくっついていたい」
「もう離しませんよ。まさに一心同体」
しかも呪われていた。
もういい、このままやってやんよ!
女児二人を体に装備して戦う男・・・ひでぇ絵面だ。
「やるぞ!いいなお前ら!」
「ホントにこのまま戦うの?楽しそう!」
「やはり私たちの操者は、ひと味違いますね!ぶっ飛んでます」
こっちから攻める!アルクオンに接近して覇気を纏った拳を叩きつける。
片腕なのを感じさせない動きで反応され防御される。
こちらを捕まえようをして、アルクオンが腕を伸ばす。
右腕を掴まれた。
「ぐっ!しまった」
覇気を持って行かれる、こうやって接触した相手から吸収するのか。
やばい、このままじゃ・・・・なんてな!
掴まれた右腕はそのままに、アルクオンの片腕を俺からも掴んで動きを封じる。
これで俺もお前も動けない。だが忘れんなよ、これはタイマンじゃない。
三対一なんだぜ。
「おらぁ!」
無防備になったアルクオンの顔面に拳が突き刺さる。いいのが入ったな!
やったのは俺のボディパーツ(前)のシロだ。
俺から距離を取ろうとするアルクオン、残念!逃がしません。
その間もシロは連撃を叩き込む。
「散々舐めたマネしてくれましたね。もっと苦しめ、このポンコツがぁぁああ!!!」
「いいよ、シロちゃん!もっとやれ!」
顔面に亀裂が入る。効いてる効いてる。
押さえつけるもそろそろ限界か・・・。
耳元でクロが囁く。
「離れて!来るよ」
「シロ戻れ!」
「はい」
自身が一方的に殴られる事に、痺れを切らしたアルクオン。
奴の動きにいち早く気づいたクロに従いシロを回収、バックステップ。
アルクオンの攻撃が空振りに終わる。ざまぁ!
追撃に来るアルクオン。
やっぱり子供とはいえ、二人も貼り付けていたら動きが鈍るな。
胸元シロ、背中クロ、二人の鼓動を感じる・・・大丈夫、俺たちは今、三位一体だ!
アルクオンが肉薄する直前に、シロを空中に放り投げる。
身軽になった俺は激しい攻防を開始する。
殴打と蹴りの嵐、一撃が重たいな!ちくしょうめ!
俺とアルクオン、渾身の力を乗せた蹴りがぶつかり合い、周囲に衝撃が迸る。
いってぇぇええー!覇気が無かったら、下半身を丸ごと持って行かれる威力だわ。
その一瞬を逃さない!
「せいやっ!」
アルクオンに強烈な蹴りが直撃する。またしても顔面、弱っている所を狙うのは常道です。
俺のボディパーツ(後)のクロが放った一撃。
俺の背中に張り付いてから、ずっと溜めていた覇気を蹴りに乗せぶちかます。
「そらよっ!」
続けて俺も攻撃。
脆そうな関節部付近を狙ったつもりが、男なら絶対に攻撃されたくない所にヒットした。
なんかゴメン。
俺とクロの連撃でグラつく巨体、仰向けに倒れそうになるアルクオン。
そこへ・・・。
「くたばれぇぇええええ!!!」
上空から飛来したシロが顔面を踏みつぶし、その頭部を地面にめり込ませた。
しゃあ!決まった!今のいい感じだったな。
二人がどう動くのか、俺がどう動くのか全てわかり合っていた。
これが操者と騎神の絆というやつか。
二人がまたしがみついて来る、いや、もういいって。
「私たち、完全にマサキさんの無線誘導兵器だったね」
「ファンネル・・・ビット・・・いえ、ハイファミリアと名付けましょう」
「いつまでしがみついてんの?もう降りなさいな」
「えー、まだいいじゃん」
「ふざけて引っ付いてるだけじゃないですよ、ほら覇気を見てください」
クロシロの覇気が増加している。
あれだけ戦ってなぜ増えている?それになんか二人とも血色がいい。
「マサキさんのそばにいるとね、とっても元気になるんだ」
「あなたの膨大な覇気が騎神に癒しをもたらす・・・愛バである私たちは、特にその影響が大きいようですね」
「いてくれるだけで、パーティー全員が毎ターン回復するやつ」
「とんでもないパッシブスキルですよ。さすがマサキさん」
いつの間にか全体オートリジェネを習得していた。
俺の近くにいれば回復するのか、なら好きにさせてやろう。
よいしょっと。クロを右手でシロを左手でホールド、二人を抱っこする。
小さい、軽い・・・この体のどこにあんな力が・・・。
二人の重みと温かさを感じながら、アルクオンを見る。動くなよ、もう止まってろ。
立つなよ、立つなよ、立つな・・・。
ちょっ!耳に息を吹きかけるな!・・・二人同時はだめー!ゾクゾクしちゃうのー!
「終わったのかな?」
「顔面は完全に破壊しましたが、やつの核はまだ生きてます」
「今のうちにトドメを差すのが正解か」
露出した胸部の中心にある玉?たぶんアレが心臓部である核。
アレさえ破壊すれば・・・・。
おや?アルクオンの様子が・・・。
「なあ、なんかあいつの核が点滅してるんだが」
「残りの覇気を集中してるね、周囲からも可能な限り覇気を集めてる」
「嫌な予感がするな、点滅の感覚、覇気の脈動・・・まさか」
「カウントダウンですね。負けたロボットの最後の悪あがき、お約束です」
「自爆かよ!」
やらせるか!
クロシロをアルクオンに投げつける、酷い扱いだが許せ!
投げられた二人は核に攻撃を仕掛けようとして、横から飛んできた物体に阻まれた。
「「なっ!」」
あれは、俺がもぎ取ったアルクオンの腕?遠隔操作だと!
覇気で分離した自分の腕をコントロールして攻撃、何でもありか!
「このアルクオン凄いよ!さすがサトノ家の家宝!」
「ディアナがそんなに好きかぁーーー!!!」
「ターンXやめろ!」
シュウはギンガナムのものまねも得意だったな。
二人が腕に阻まれている間に立ち上がる本体、カウントダウンは継続中。
じゃあ俺がやるしかない!
一直線に突っ込んでくるアルクオン、迎撃準備て・・・は?
俺に殴りかかろうとしたのはフェイント、片腕で俺をハグするアルクオン。
こんなやつに抱きつかれても嬉しくない!何が目的・・・。
「離れてください!マサキさんそいつは」
「道連れ!道連れにするつもりだよ!」
え?うそ・・・俺ごと自爆する気?
砕けてウォーズマンの素顔みたいになった顔面が、笑った気がした。
いやぁぁぁあああああぁああああああああ!!!!!!!
「HA☆NA☆SE!!」
「マサキさん!くそっ、腕だけの分際で」
「あーもう邪魔すんな!」
遠隔操作の片腕一本のみでクロシロを押さえ込み、本体は俺に組ついて自爆。
なんてこった!
「離せ!離せってんだよぉ!クロシロお前たちはここから離脱しろ!!」
「そんな!置いていけません」
「嫌!」
「自爆した時の威力がわからん!もしかしたら俺だけなら耐えれるかも」
「無茶です!アルクオンの覇気残量と、今マサキさんから吸収した分があれば、この近辺は吹き飛びます!」
「やだ!やだよ!ぜったいや!」
あーやっぱり、こいつらは俺を置いて逃げる選択はしないか・・・嬉しいねぇ。
このままじゃ三人ともお陀仏だ、自爆を止める方法・・・こいつを破壊する方法。
外側の堅牢な装甲と覇気に阻まれてダメージが通りにくい。
核がむき出しなのは相手も承知、核を覇気の外殻で何重にもコーティングしてやがる。
外からの攻撃はダメ・・・だったら内部から・・・。
南斗聖拳・・・北斗神拳・・・内部破壊・・・。あー思いついたわ。
後は俺の覇気量がどれくらいあるかだな・・・よし蛇口を緩めるぞ!
「マサキさん!?覇気が・・・」
「え・・・何これ・・・どんどん上がっていく」
「ふー、やっと楽になった・・・今までずっと閉めていたからな」
「閉めていた?何を・・・まさか今までずっと、覇気を出さないようにしてたんですか?」
「あれで?いや大量に出てたじゃん!・・・」
「まだ全然出してねぇよ、おかげでさっきから暴発しそうでな、クシャミみたいに」
「「・・・・」」
そうだずっと体の奥がムズムズしてたんだよ。
早く出せ!もっと暴れさせろ!何年待ったと思っている!ああ、うるさいうるさい。
望み通り出してやるよ、だからちゃんと仕事してね。
「さあ!出てこいやぁ!俺の覇気ども!!!」
オォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!
光の奔流、あふれ出した覇気の輝きが周囲を埋め尽くす。
夜中だというのに昼間以上の眩しさ、その中心にいるのは・・・本当に人間なのか?
自分たちの操者がまともではない事を改めて理解するクロシロ。
「お前さぁ、腹が減っていたんだよな?だったら存分に味わえ!」
アルクオンに向けて覇気を送り込む。
どんどん食えや!
「おかわりもいいぞ!」
さらに覇気を送り込む、まだだ!まだまだまだまだまだまだまだ!!!!!
どうした?何遠慮しているんだ、これが欲しかったんだろ?
俺の愛バを傷つけて、無理を悟れば自爆する覚悟があるほど望んだものだぞ!
・・・ピシッ!核に亀裂が入る。
おや?なに離れようとしてるんだ自爆するんだろ?
心中までしようとした俺とお前の仲じゃないか、今更水臭いぞ!
前菜はここまで、メインディッシュは今からだぞ。
「なんだお前、全身ヒビだらけじゃん」
「・・・・」
「もう食えないってか?はぁー知らないのかよ、出された食事を残すのは失礼なんだぞ」
「・・・・」
「だんまりか・・・もしもクロシロより先にお前に会っていたら、お前の操者になれたのかな」
「・・・・」
「考えても仕方がないか、とにかく俺はあいつらと行く。お前はもう休め」
「・・・・」
「最後に食事を残そうをするお前に、この言葉を送る」
「お残しは許しまへんでっ!!!!!!!!!!!!」
思いっきり覇気を流し込む。
アルクオンの核、全身に亀裂が入り体が崩れていく。
そして点滅を繰り返していた核は砕け散り、溜め込んだ覇気は霧散し俺の覇気に吸収された。
アルクオンだった物が停止する・・・一人の人間と残骸を残して。
ふぃー何とかなった。完全勝利!初陣にしては上出来だよな。
あ、でも・・・まだ・・・。
「「マサキさん」」
クロシロが俺に駆け寄って来る、遠隔操作腕も停止したようだ。
「ステイ!ちょっと待って、まだ近づくな!」
二人を手で制してストップをかける。
まだこっちに来ちゃダメだ。
「どうしたんですか?まだアルクオンが・・・」
「体大丈夫?もしかして覇気が無くなった?」
大人しくその場で待機し、心配そうにこちらを伺う二人。
「違う違う。ちょっとクシャミが・・・あーダメだもう一回全部出すわ」
「クシャミ?」
「まさか・・・まだ覇気を出し切ってない!どんだけ!」
「よーし、一気に出すぞ。お前らちょっと離れてろ」
やっとスッキリできる。待たせたな!
そして体の奥から湧き上がる力の全てを開放する。
全力全開!!!せーのっ!!!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」
天に向かって吠える。もはや人間のそれではなく獣の咆哮!
覇気が空気が爆発する光の粒子が周辺のみならず、遠く離れた町の隅々まで拡散する。
衝撃はないが覇気の波が体を通過するたびに魂が震える。
天に昇る光、雲を貫通し夜空をの星々をも照らす。
ビッグバン・・・新たな宇宙の誕生を告げるかのような光景。
「「・・・・」」
操者を見守る幼き二人の騎神。
もう声すら出ない、想像を絶する光景にただただ立ち尽くす。
・・・ああ・・・この人はどこまで・・・。
やっとのことで口を開く、その声は抑えられない歓喜に満ちていた。
「はは・・・は・・・あははははははは!!!最高!うん!ホントに最高だよ!!!」
「見てくださいクロちゃん!!あれが、あの人が私たちの操者です!!!!!」