俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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まだお

 サイバスターとネオグランゾン。

 優しくも頼もしい母たちに育てられた俺は幸せだ。

 

 ピクニックと称して明らかに日本ではない場所に行った時。

 俺とシュウ以上に、はしゃいだ母たちが見せてくれたのは・・・。

 理不尽と言う名の暴力だった。

 

 やめてください!世界が!世界そのものがぁー!

 俺とシュウの声は二人が満足するまで届かなかった。

 

 そうして夢から醒める。

 

 

 目を開ける、目に映るのは知らない天井だった。

 

「うんぁ・・・よく寝た。ここはどこよ?」

 

 ベッドに寝かされていたようだ。見たことのない部屋。

 白い壁にいくつかのモニター、近未来的デザインでカッコイイな。

 

「うわ!服が・・・こんなの着てたか?」

 

 服装が変わっている。

 何だこれ、黒い袴?・・・わかった!あれだ死覇装(しはくしょう)。

 「BLEACH」で死神が着ていたやつに似てる。

 護廷十三隊にスカウトされた記憶はないんですが、カッコいいので許す。

 でもあれだ・・・寝ている間に誰かが着替えさせたって事だよな。

 やだ////下着も新品みたい.。誰よ!私を辱めたのは!

 

 その時、室内のモニターに電源が入った。

 陰でよく見えないが男が映し出される。

 

「起きたか」

「あの・・・ここは何処でしょうか?そしてあなたは?」

「知りたければそこを出て、真っ直ぐ進んだ先の部屋まで来い。待っているぞ」

 

 一方的に切れちゃった。仕方ない行ってみますかね。

 横にスライドするドアの開き方もSFチック。

 長い廊下を歩いて目的地であろう場所に到着する。

 ここまで誰にも会ってないのだが・・・無人という事はないよな。

 大扉の前で深呼吸、よし!。

 

「し、失礼しま~す・・・」

「来たか」

 

 薄暗くて広い部屋だった。

 奥に長い執務机があり、手を口元で組んで座るサングラスをかけた男がいた。

 「乗るなら早くしろ、でなければ帰れ!」と言いそうな威圧感のある男だ。

 

「お前か、娘と契約した人間は」

「娘?シロクロ・・・いや、ブラックさんとダイヤモンドさんの事ですか?」

「そうだ。私の名は里野道元(サトノドウゲン)サトノ家の現頭首だ」

「安藤正樹です。よろしくお願いします」

 

 サトノドウゲン・・・クロとシロの父親。

 ちょっと怖い。だって威圧感凄いんだもんこの人。

 

「どちらとだ?」

「?」

「どちらと契約したか聞いている」

「えっと、二人共です」

「何?二人同時だと!」

「ひぃ!そうです。ごめんなさい」

「証を見せろ。歯形があるだろう」

「はい。これです」

 

 首筋を見せる。

 そこには小さな歯形が2つしっかり残っていた。

 あ、なんかプルプル震え出した。怒った?

 大事な娘を二人同時に奪った事になるんだからそりゃそうか・・・。

 よくも娘を!という事ですね・・・殴られるのかな?嫌だな~。

 歯を食いしばった方がいいのかなと考えていると、パパさんが動いた、来るか。

 

「よくやった!しかも二人同時!ありがとうありがとう!」

「え、は、いや、ど、どうも」

「大丈夫だった?かなり痛かっただろ」

「いえ、大丈夫です」

 

 先程までの威圧感ある雰囲気は崩れ去り、急に親しみある"おっちゃん"になった。

 

「驚かせてすまない、こちらも君を警戒していたんだ。何せあの娘たちが自ら選んだ人間だからね」

「はあ。先程までとキャラが違いますね」

「そうそう。こっちもビビッてたからさぁ、エヴァの碇ゲンドウを参考にしてみたんだ」

 

 ゲンドウとドウゲン名前もなんか似てるだろ?と笑って答える。

 

「もういいよ。みんな~出ておいで。あ、お茶とお菓子もよろしく!」 

 

 パパさんがそう言った瞬間、部屋の照明が明るくなり、そこかしこから人が湧いて出てきた。

 みんな黒のスーツもしくは俺と同じ黒袴姿、人間にウマ娘、年齢性別様々だ。

 その内の二人に「頭は大丈夫でしたか?」と心配しているのかバカにしているのかよくわからん質問をされた。

 一応、「大丈夫です」と答えると安心したようで「トイレ掃除の続きがありますので」と言って去って行った。

 何だったの?

 

 あっという間に部屋の模様替え完了。

 部屋の中央に畳のスペースができ、ちゃぶ台と座布団にお茶とお菓子が用意された。

 

「遠慮しなくていいよ。さあ」

「いただきます」

 

 お腹が空いていたので遠慮なくいただく。

 あーお茶のいい香り。うん、煎餅も美味しい。

 

「マサキ君だったね。食べながらでいいから聞かせてくれないか。娘たちと出会いどう過ごしたのか」

「はい。俺も聞きたいことがあるんで、情報交換しましょう」

 

 クロシロとの出会いからアルクオン撃破までをかいつまんで話していく。

 名前を付けた事、ピザを食べた事、お泊りした事、何度か戦闘したことも・・・。

 話している間、パパさんは驚いたり関心したりしていた。

 

 俺からも質問をした。

 どうやらあれから二日ほど経過したらしい、あれから48時間以上寝ていたのか。

 そりゃ腹も減るわ!トイレにも行きたくなったので、中座して一旦トイレタイム。

 アルクオンの残骸は回収されたが復元するのは難しいらしい。

 家宝をぶっ壊してすみませんと謝ったが、「いいよいいよ」と言われた。

 なんでも扱いに困っていたらしく、解体する手間が省けて良かったとの事。

 

「ここは・・・サトノ家でいいんですよね」

「ああ、一応ね。後で展望デッキに出てみるといい、風が気持ちいいよ」

 

 展望?そんな高い所にあるのかこの屋敷は、流石名家だな。

 

「俺が着ていた服は何処に?それとこの袴は?」

「娘たちが喜々として着替えさせていたよ。元々着ていた服は、二人が回収したよ」

 

 あいつら・・・下着もかよ!全部見られちゃった////

 俺の服をどうするつもりだ・・・。

 

「あの、娘さんたちはどういうご関係なんですか?姉妹には見えないのですが」

「硬い硬い。さっきから言ってるだろう、もっとフランクに行こうよ」

「では、あなたの事をパパさん。娘さんたちをクロシロと呼んでもいいですか?」

「かまわんよ。で二人の事だったね」

「実の娘はダイヤの方でね、ブラックは再婚相手の連れ子なんだ」

「うお・・・なんかすみません。家庭の事情に首突っ込んで」

「私の前妻は家を出て行ってしまってね。今の妻も元旦那とは離婚したようだよ」

「そうすか・・・大変でしたね」

「いやいや、家族のおかげで楽しく過ごせているよ。写真みる?これが今の妻だよ」

 

 パパさん自慢の現妻を見せたいのだろう。

 端末に表示された女性・・・あれ・・・この人何処かで・・・。

 

「気づいたかい。そうタレントの佐藤心(サトウシン)だよ。美人だろ」

 

 佐藤心(サトウシン)

 元アイドルで現在はバラエティー、ドラマ、ニュース等様々な場面で活躍するマルチタレント

 ここ数年の好感度ランキング不動の1位を独占する超売れっ子だ。

 バラエティーでは芸人殺しと言われるほどのキレのあるボケと返しを披露し、彼女がひな壇にいるだけで視聴率が跳ね上がるのだそうだ。

 映画やドラマでは主役から脇役までどんな役もこなせる名女優。

 政治経済から国際問題、ウマ娘に関する情勢にも詳しく。解説役から司会進行までこなす。

 人当たりもよくスタッフからの評判も良い。

 なによりアイドル時代からほぼ変わらない、その美貌が絶大な人気を後押しする。

 

 俺もこの人が出演する番組ウマトークが大好きだ。

 "アイドル時代イケてないグループだった芸人"はまさに神回だった。

 先輩アイドル、ウサミンとの掛け合いは腹筋持っていかれるほど笑った。

 芸人枠で呼ばれて出てくるのも好感が持てる。仕事を選ばない姿勢がプロだな。

 

 そういえば母さんが「ハートちゃんも立派になったわね~」とか言っていたような。

 

「この人が、芸能人がクロの母親・・・」

「そうだよ。しかも彼女はウマ娘!これは内緒にしてね」

「マジっすか!耳と尻尾は・・・あ、そうか高位の騎神なら造作もないって母さんが」

 

 耳と尻尾を隠して生きているウマ娘は意外と多いのかもしれない・・・。

 

「なんで隠すんだろう?やっぱり日々の修練のため?」

「デビューした時の何だったかな・・・346プロダクションとの契約がどうとか、まあ大人の事情だよ」

「シンさんの周りの人は知っていると?」

「そうだね。少なくとも業界関係者は知っているんじゃないか」

 

 母さんたちみたいに、覇気のコントロールと抑制のためじゃないのか。

 

「今日は仕事で不在だけど、その内紹介するよ」

「是非お願いします。楽しみだな」

 

 いろいろ話をして一段落。

 

「クロシロは今どこに?」

「二人には家出の罰として外壁の掃除をさせているよ。君が起きたと知ればきっとここへ・・・」

 

 外壁?

 ちょうど部屋の出入り口が騒がしくなった。なんか揉めてる。

 

「どきなさい!次期頭首の命令ですよ。ここにいるのはわかってるんです!」

「開けて~パパ!マサキさんいるんでしょ。中に入れてよ」

「警備任務ご苦労様です。でも顔覚えましたからね。次のボーナス査定覚悟してください」

「開けるよ!ドア壊してもいいの?」

 

 来たな。

 やれやれといった感じでパパさんが指示を出す。

 

「いいよ。通してあげて、またドアを壊されたら堪らん」

 

 ドアが開いて二人が入室した。

 二人とも白いワンピースを着用して肩と足を出している。 

 シンプルな装いだが、いいね!避暑地にいる令嬢という雰囲気だ。はいカワイイ!

 その格好で掃除したの?服が汚れてないから一旦着替えたのかな。

 

「「マサキさん!」」

 

 助走なしでジャンプして俺の近くに着地する。天井が高くて良かったな。

 

「二人ともお行儀が悪い!」

「そうだぞ。パンツ見えちゃうからやめなさい」

「見せパンだからいいんです」

「そもそも他の人には見せる気ないし」

 

 座布団に座る俺の両サイドに座って体をくっつけてくる二人。

 尻尾が体に巻き付いて来るんだが・・・。ファッサファサやぞ!

 

「やっと起きてくれたね。心配したよ」

「お目覚めの瞬間に立ち会えなくて残念です。ご気分はどうですか?」

「心配かけたみたいだな。この通り体調はいいぞ」

 

 二人の頭を撫でる。

 母さんやネオさんにしてもらったように優しく出来ているだろうか?

 

「いやはや、話を聞いても半信半疑だったが・・・君凄いね」

「何の事でしょう?」

「二人がこんなに懐いているは異常事態だよ」

「初日からこんな感じだったよな?」

「そうだね~あ、撫でるのやめないで」

「マサキさんは大変なものを盗んでいきました。それは私たちの心です」

「本当にお見事だね、前世は魔物使いだったりしない?」

 

 パパさんの感心具合が凄い。

 

「何、お前たち普段は人見知りなの?」

「そんなことないよ」

「ええ、得に問題ありません」

「そうかい?興味のない人物、特に人間の男に対してはゴミを見る目してたよね」

「・・・・それは」

「・・・・ええと」

「せっかく用意した操者候補も全員追い返すし、「触んな」「失せろ」「カス」「キモっ」他にもいろいろ言ってマインドクラッシュしていたね。何人か泣いていたよ」

「だって・・・嫌だったんだもん」

「下心満載のガチクズもいましたよ。二人きりになった途端、触ろうとしてくる輩もいましたし」

「は?そんなふざけた野郎がいるのか!どいつだ!鼻フックデストロイヤーの刑に処す!」

「そんなに怒ってくれるんだね・・・えへへ、嬉しいな」

「心配しないでください。ゴミクズに関わったらマサキさんが穢れます」

「まあ人間というか男を基本的に下等生物だと思っているよ、二人とも」

「そ、そうか・・・ゴメンな・・・下等生物が操者なんて嫌だよな・・・はは」

「そんな事ない!マサキさんは特別、特別なんだよ!」

「マサキさんの前で恥かかすな!・・・違うんです!父の発言は冗談ですよ!ね!ね!!」

「過激エピソードはまだまだあるよ、この前は肩がぶつかったチャラ男の股間を・・・・」

「パパ?黙らないとそのグラサン、顔面ごと叩き壊すよ!」

「もう喋るな!まるでダメなおっさん略してマダオ!」

「ひどい!グラサンだけは助けてあげて!」

 

 マダオ呼ばわりはいいのか?

 

「なあ?二人は姉妹なんだよな」

「戸籍上はそうなるのでしょうね、ですがどっちが姉で妹かは意識した事ないですね」

「私が従者部隊入りして、しばらくしてからパパとママくっついたからね」

「部下で友達で姉妹か・・・どんな関係でも仲が良ければいいか」

「まあ、そういう事です。父とハートさんが、ややこしくした犯人です」

「名前もキタサンを貫くつもりだよ、ウマ娘の名前はわりと自由!がこの世界の常識」

「どんな形でも家族がいるっていいもんだよ、マダオと呼ばれてもね」

「そうですね。わかります・・・凄く」

 

 家族のありがたさはよく理解しているつもりだ。

 

「そうだ!マサキ君のご家族にも挨拶しないといけないな」

「うちは母子家庭なんで家族は母1人です」

「マサキさんのママ?会ってみたいな~」

「お義母様ですか、今のうちに良妻アピールしなくては!」

 

 クロシロを母さん紹介するのか・・・ごめんなさいロリコンな俺を許して。

 

「俺の母さんウマ娘なんだぜ、クロシロの事も理解があると信じたい」

「うちのママと一緒だね、もしかして知り合いだったりなんて」

「やはり身内にウマ娘がいましたか。それもなかなかの実力者ですね・・・」

「ますますご挨拶をしなければ、名前を伺ってもいいかい」

「母さんの名前は安藤佐為。真名はサイバスターです」

 

 母さんの名前を出した途端三人の動きがピタッと止まった。

 そして・・・爆笑された。

 

「「「ぷっ・・・あははっはははははははは!!!!」」」

 

 なぜ笑う?また鼻毛!?は・・・出てない。

 

「ははは・・・いや~急に冗談言うからびっくりしたよ」

「ウマ娘ジョークまで理解しているなんて流石です。でも・・・ふふっ」

「いや見事な不意打だね。まさかその名前を聞くとは思わなかった」

「いや、冗談なんかじゃないっスよ!サイバスターの・・・母のどこが面白いんですか?」

「もういいって、マサキさんがボケもできる事はわかったよ」

「ジョークも嗜む良き操者ですね。でもその名前は不用意に使わない方がいいですよ」

「私はなんと本人に会った事があるんだ、あの生きる伝説にね」

「だから、嘘でも冗談でも・・・」

「"天級騎神サイバスター"はウマ娘なら誰でも知ってるスーパーヒーローだよ!武勇伝の数々は私も大好き!」

「この世界のバランスブレイカー、そんな簡単に会えるわけないですよ。マサキさんたらお茶目」

「今でも彼女のファンや信奉者は多い、その名前を悪用すればどんな制裁があることやら・・・気を付けたまえ」

「ああもう!写真あるんでこれ見てくださいよ、ほら!」

 

 スマホは・・・あった。袴の内ポケットに入っていた。

 母さんが写っている写真を選択して三人に見せる。

 

「どれどれ・・・うわっ美人!しかもメッチャかわいい!」

「本当にお義母様?若すぎませんか?写真からでも伝わるキラキラ感。素敵です」

「・・・・・」

「これで信じてくれました?」

「・・・・他にも写真はあるかい」

「ええ、これとか、ああこれもそうです」

 

 パパさんが他の写真も見ていく。

 

「この銀髪の美しい女性が・・・君のお母さま・・・」

「そうです」

「じゃあ、隣にいる紫髪の小柄な美人は・・・」

「お隣に住んでいるネオさん。ウマ娘で真名はネオグランゾンです」

「そうか・・・そうか、そうか」

「パパどうしたの?汗すごいよ?」

「うお!こっちも凄く美人・・・中学生ですかね。え、一児の母・・・ご冗談を」

「ダイヤ、ブラック。集合!」

「なんですか急に」

「なになに」

 

 パパさんが二人を招集してスクラムを組んだ。

 三人で何か話し合っているがよく聞こえない。

 

「・・・から・・・本物・・・」

「うそ・・・じゃ・・・死・・・・」

「・・・やば・・・終・・・にげ・・・」

「あの~どうかしました?」

 

 相談が終わったのかこちらを向く三人。

 首からギギギと音がしたようなぎこちなさ。

 顔色が悪いけど大丈夫?

 

「ダイヤ、ブラック準備はいいか。今こそサトノ家の奥義を見せるとき」

「ええ、完璧にやり遂げてみせます。命の瀬戸際ですから」

「タイミング合わせてね。じゃあ行くよ!」

 

 「とう!」と言って大ジャンプする三人。

 いくら広くても室内だよ。サトノ家ではこれが普通なのか?

 

 そうして披露された奥義とやらは・・・。

 

「「「すみませんでしたぁ!!!!」」」

 

 親子三人の絆を感じる美しい土下座だった。

 マジで何やってんの?

 

 

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