トリプルジャンピング土下座した親子三人。
「何?何やってるの!頭を上げて!」
「この度は誠に申し訳ございません」
「サトノ家一同、伏してお詫び申し上げます」
「どうか・・・どうか命だけはご容赦ください」
頭を上げようとしない三人。
途中で黒服さん達も加わりとんでもない光景が広がる。
数十人が一斉に土下座してる・・・大迫力!・・・やめてったら!
「本当にやめて!よくわかんないけど、いいから、もういいから!」
「そういう訳には・・・腹を切れと言うなら頭首の私が・・・」
「いい加減にして!それなら・・・こうしてやる!」
土下座を止めない連中に対して俺が繰り出したのは・・・。
土下寝である。
うつ伏せの姿勢をとり、上半身も地べたに付けることにより"土下座以上に頭を下げている"ことを示す技法。
正式な謝罪方法ではないのでリアルに実践するのはやめましょう。
「土下座やめてください!お願いします!おねがいしますぅううううう!!!」
「・・・なん・・・だと・・・」
「どげね!・・・これが・・・どげね」
「くっ・・・何という圧・・・」
勝った! 俺とブラックとダイヤモンド 完 うそです!
土下寝が効いたのか皆頭を上げてくれた。
良かった。全裸Ver.は使わなくて済んだぜ。
黒服さんが一礼して解散していった。
母さんが強いのは知っていたけど、ここまで恐れられる存在だとは・・・。
とにかく母さんがサトノ家に危害を加えない事、もしそうなっても全力で止める事を約束した。
とっても素敵な自慢の母親なのよ?
いかに良い人なのか力説しまくった。
まだビビッていたけど一応納得してもらった。
「憧れの天級騎神が、マサキさんママ・・・ゴクリ」
「あわわ・・・お義母様のご機嫌は絶対に損ねてはいけませんね」
「はわわ・・・サイ先輩のご子息がうちの娘と・・・はわわ」
パパさんの"はわわ"がなんかカワイイので和んだ。
「母さん・・・やっぱり凄い人だったんだな・・・天級か・・・薄々気づいてたわ」
「DC戦争を終結させた英雄だからね。当時、下っ端だった私もお世話になったよ」
「命が保証されたら安心した。会うの楽しみだな~」
「ウマ娘の頂点である天級の筆頭ですからね、まさしく神ですよ神!」
「あーその、俺は母さんと血が繋がってないんで、血統を気にしていたら・・・ゴメン」
「何を言っているんだい?そこは重要じゃないだろう」
「神が人間をわざわざ育てたんですよ!それは神に選ばれる何かがあった証拠」
「やっぱりマサキさんは凄い!愛バの私たちも鼻が高い」
「そうか・・・それならいいのかな」
血筋よりも強い絆で繋がっていると自負してます。
「サイ先輩だけでも驚いたが・・・ネオグランゾン・・・彼女もいるなんて」
「二人の天級騎神の戦いは戦場の地形を悉く崩壊させたとか」
「最終的に協力してDCを倒す展開が最高なんだよ!ライバル二人の共闘マジ燃える!」
「戦後は引退して育児に専念すると聞いていたが・・・家が隣だとは」
「ネオさんもすげー優しくて、いいママさんなんだけどなー」
「ふむ。これはサトノ家にとってはピンチではなく、チャンスか・・・」
「パパ何か企んでる?マサキさんを傷つけたら、許さないよ」
「あれですよ、天級騎神とのコネクションができてウハウハ!とか考えてますね」
「母さんたちは権力闘争に興味ないからなー、期待しないほうがいいと思う」
「はっはっは!今、君がここにいる時点で私の目的は達成されてるよ」
「?」
「くくっ・・・あの妖怪ババアの悔しそうな顔が目に浮かぶ」
「悪い顔してる」
「汚い大人の姿を見せないでください、私たちの教育に悪いです」
「恨みじゃー!家を追い詰めた報いじゃー!げははははは!」
「おい、パパさんが誰かを呪いはじめたぞ。ほっといていいのか?」
「いいよ。いつもの発作でしょ」
「マサキさん、家を案内しますよ。父は放置して行きましょう」
「わかった。パパさん、ちょっとお家見学ツアーに行ってきます」
「ああ、行っておいで。二人とも案内よろしく」
二人に案内されて室内を回る。
広い、広すぎる!いったい何階建てなんだ。
「実は俺、方向音痴なんだ。ここで迷子になったら元の部屋に帰れる自信ない」
「そうなんだ。じゃあ手を繋ごう」
「しっかりエスコートしますからね。安心してください」
頼もしい二人に手を引かれて歩く。
歩いている途中で沢山の黒服さんとすれ違う、作業着を着た人たちもいる。
何だかこの家・・・普通じゃない!
何処かしこも近未来的な造りで使用人の人数と部屋数が多すぎる。
格納庫、食堂、大浴場、機関室、訓練場、売店、武器庫、医務室、資料室、研究室・・・その他もろもろ。
ブリッジもあった・・・ブリッジ?それ必要か?
窓から見える景色もおかしい、青空に白い雲・・・だから何階建てやねん!
最後に屋上に行くらしい。展望デッキだったか。
「今日は天気もいいし、景色も最高だよ」
「お気に入りの場所ですよ、マサキさんも喜んでいただけるかと」
「なあ、この家変じゃない?こんだけ広いのに庭が無いのはなんで?」
「ネタばらしはもうすぐだよ」
「到着しましたよ。さあ、行きましょう」
エレベーターの扉が開く。
風が気持ちいい、太陽が眩しい、360°広がる青空、白い雲海。
「おお!すっげー!本当にすげーよ、なんかすごすぎて、すごくすごいわ!」
「くすくす・・・はしゃぐマサキさんカワイイ」
「語彙力が低下するほど喜んでくださって、案内したかいがありますね」
テンションの上がった俺は両手を広げて走り出す。⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーン
ひゃつはー気持ちいい!やっと開放感のある場所に出れた喜び。
ドッグランの犬状態。後ろから二人も追いかけてくる。
「あははは。まてまてー」
「意味もなく走り出す。ウマ娘的にはとても好感が持てますよ」
「ひゅー!この空は俺のもんじゃあー!」
しばらく走ってこの空間を堪能した。
もうわかる、ここはだたの家じゃない。船だそれも空飛ぶ船。
「改めて、マサキさん、ようこそわが家へ」
「この船は、サトノ家そのもの・・・ヒリュウ級汎用戦闘母艦"ヒリュウ改"です」
「戦艦キター!」
何と戦う気なの?外宇宙探査や地球脱出でもするつもりか?
カッコいいから何でもいいか。
「いいな~ずっとここにで暮らしていたのか?」
「前はちゃんとしたお家があったよ。引っ越したのは最近かな」
「元々家はよく思われてなかったですからね。アルクオン紛失の責任追及をきっかけに、制圧されてしまいました」
「え、俺たちのせい・・・。制圧?誰に?家を取られたのか?」
「アルクオンの件がなくても、いずれはこうなってたよ、気にしたら負け」
「立て続けに不祥事を起こすサトノ家が、目障りで仕方がなかったんですよ"あの家"は」
敵体勢力でもいるのかな。
組織が大きくなればいろいろあるんだろう。
それより、こんなヤバいものが堂々と飛行して問題なかろうか。
「政府のお偉方との話はついてますから、ギリギリ大丈夫ですよ」
「えっとね、ミラージュコロイドとハイパージャマ―があるから簡単には見つからないって技術部が話してた」
「実用化しちゃったかー。そんなオーバーテクノロジー使っていいのかね」
「うちなんてカワイイもんですよ。向こうはトロニウムを独占しちゃってますから」
「トロニウム?」
「とんでもない力を生み出す米粒サイズの物質だよ。うちにもあればもっと戦力増強できたはず」
「なにがSRX計画ですか!T-LINKシステムも元々うちの研究データパクったくせに!」
「ATX計画もうちに押し付けた感じだし。貧乏くじだよ本当に」
「何?なんたら計画・・・話についていけない」
・騎神の戦力強化計画について
元来素手での戦闘を行う騎神に武具を装備させる事で、自身の級位以上の戦闘を可能にさせる案。
装備は騎神の覇気と膂力に耐えうる物質で生成される事が最低条件で、莫大な労力と予算が必要。
操者用の装備や各種サポートアイテム、無人機、AMや羅刹機も同時並行で開発。
・SRX計画
国家予算並みの潤沢な資金と、各研究機関からのデータを元に最新技術を導入して主導される。
トロニウムの兵器転用も実現。
T-LINKシステムによる騎神と操者および各装備の連携機構、戦術リンクを開発。
装備の量産化を目的とし、誰が使用しても安定した力を発揮できる事が方針。
次世代の騎神に装備の試験運用をさせる等、人材の発掘と育成にも積極的。
天級騎神にも本計画への協力要請中。
政府からの期待も大きい一大プロジェクト。
・ATX計画
当初の予定にはなかったプランB的扱いの計画。
SRX計画でお蔵入りとなった副産物や欠陥品を「これまだ使えるんじゃね?」と言う勿体ない精神で改修して運用。
既存の概念にとらわれない馬鹿げた発想による"魔改造"で使い手を選ぶ装備が爆誕中。
予算、人材、プランの賛同者、その他もろもろが圧倒的に不足している。
出所不明の謎テクノロジーが多数集まるが実用化は難航中。
量産化は最初から考えておらず、ピーキーな性能をあえて追及。
それ故に使用者と装備の相性が良い場合は多大な戦果を上げる・・・といいな。
政府関係者のコメント「ま、頑張ってねww期待してないけどwww」
今に見てろよコノヤロウ。
「で、ダメな方の計画をサトノ家でやっていると」
「ダメな方って言わないでくださいよ。実用化しようと皆頑張っているんですから」
「どうかな?どれも不安要素ありすぎて、誰もテスターやってくれなし」
「結局は私とクロちゃんがやるしかないんですよね・・・はぁ~頑丈すぎるこの体がたまに嫌になる」
「あんまり危ない事しないでくれよ。操者用の装備なら俺も協力するぞ」
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いしますね」
「ターミナス・エナジー、シュンパティア、サイトロンシステム、次はどの実験に駆り出されることやら」
「くそっ!ブラックホールエンジンの事故さえなければ、こんな扱いされなかったのに」
「"凶鳥"のロールアウト寸前で起こったあの事故、なんか腑に落ちないんだよね」
強化計画かぁ・・・。
騎神の戦闘が装備の良し悪しで左右される時代が来たのかね。
俺も何か得物を使ったほうがいいのかな?
三人で気持ちの良い風を感じながら駄弁っていると。
艦内放送でパパさんの声が聞こえてきた。
「乗組員の皆ご苦労様。交代しながら順次休憩に入ってね。・・・三人とも戻っておいでお昼にしよう」
元の部屋に戻ってランチタイム。
クロシロが先導してくれなければ迷子になってたわ。
俺、クロ、シロ、パパさんでお昼ご飯を食べる。
出てきたのはカツカレーだった。ルーが黒っぽくてドロっとしてる、金沢カレーと言うやつか。
美味い!ココイチもいいけどゴーゴーカレーも好き。
「この艦、今どの辺りを飛んでます?」
「地図で見ると・・・北米かな」
気が付いたら出国していた。
「ヒリュウを動かしたのは久しぶりだったから、皆の訓練も兼ねて空のクルージングさ」
「日本にはいつ帰るんですかね」
「節約のんびり運航モードでも、明後日には到着予定だよ。家まで送って行こう」
「家までって・・・戦艦で帰宅したら近隣住民パニックですよ」
「そこは私たちが学校に遅刻しそうになった時の要領でクリアできます」
「嫌な予感がするが、一応聞いておこう」
「あのね、学校の上空まで行ったら、そこから投下してもらうんだよ」
「スカイダイビング?」
「パラシュートは無しです。ウマ娘の身体能力と覇気で着地の衝撃を緩和します」
「学校の屋上クレーターだらけで、七不思議の1つにカウントされちゃった」
こいつら俺をマンションの屋上に投下する気か?
いくら覇気が使えるようになったとはいえ無茶させるな。
「あの別の場所に送ってもらう事ってできますか」
「ああ、希望があれば言ってみたまえ」
「報告も兼ねて実家に帰りたいんです。〇県のラ・ギアスまでお願いします」
「何ですかそこ、本当に日本ですか?地底世界の間違いじゃ」
「変な名前なのは村民全員が承知してる。慣れたら気にならん」
「村名なんだ・・・なんでそんな名前に?」
「ずっと昔に村を開拓した初代村長が重度の中二病でな。ダンバインのバイストンウェルに対抗して考えたらしい、早すぎた異世界への憧れだな」
「わかった。それまでは艦内でゆっくり過ごしてくれ、部屋も用意させよう」
「すみません。お世話になります」
「ねぇ、マサキさんのママに会える?」
「もちろん。クロシロの事を紹介するつもりだぞ」
「お義母様ですか・・・緊張しますが、ご挨拶はバッチリ決めなくては」
「私もサトノ家を代表して挨拶させてもらうよ、サイ先輩とは久しぶりの再会だ」
今後の方針が決まった。
明後日には実家に帰って母さんに愛バを紹介!
どう見ても小学生・・・若すぎるか?
いや大丈夫、クロもシロのいい子だから!そこは見逃して!
それからは充実した艦内生活が始まった。
開発中の装備を見学したり、迷子になったり、大浴場にクロシロが乱入したり
布団に潜り込んで来たので動じずにそのまま三人で寝たり、パパさんのサングラスが割れたり
甲板ではしゃぎ過ぎて空中に放り出されたり、クロの部屋でゲームしたり、迷子になったり
シロの部屋で俺の下着を回収したり、訓練場で模擬戦したり、酔ったパパさんを介抱したり
グラサンが本体だったり、うっかり主砲を発射しそうになったり、土下寝したり
黒服さんが謀反を企てたり、クロシロの写真をシュウに送ったり、迷子になったり
シュウからボンさんと"知らないウマ娘"の写真をもらったり、誰よこの子カワイイじゃない!
そんなこんなで無事に実家へ到着したら良かったですね。
「これより艦隊戦を開始する。いざとなったら本艦をぶつけてあいつらを道連れじゃー!」
聞いてねぇぞコラ。