俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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はがねのたま

 戦艦での生活をエンジョイした。

 

 

 今日の午後には実家のあるラ・ギアス村に到着するはず。

 母さんにどうやってクロシロを紹介しようかな。

 家にお持ち帰りしたら懐かれてしまってね、戦ったり、契約したり、大変だったんだ。

 これでいけるか?

 

「ここでしたか、見つかって良かったです」

「すぐ迷子になるんだから、はぐれたらダメだよ」

 

 現在位置はヒリュウの甲板、眺めの良い展望デッキである。

 迷子になったらとりあえず、上を目指して迎えを待つのが一番だと気づいた結果だ。

 本日もいい天気。流れる雲と青い空を見ながら、故郷に思いを馳せていると迎えが来た。

 

「まだ若いのですから、徘徊から遭難のコンボは勘弁して下さいよ」

「最悪要介護になっても、ちゃんとお世話するね」

 

 愛バって介護もしてくれるんだ。

 二人が俺の正面に来て両手を広げる。何?何期待してんの?

 はいはい。わかりましたよっと。

 二人の意図を汲んで抱っこしてやる。二人同時抱っこ慣れてきたわ。

 何処か満足気な二人、君ら本当に甘えん坊だよね。嬉しいけどさ。

 三人とも特に何も喋らずただ広がる青空を見る。

 気持ちが通じ合っているのか無言が全然嫌じゃない、むしろ心地いい。

 例えば二人をうっかりここから落としたら、どうなるか想像してみる。

 ほら、しがみついてきた。俺の考えが伝わったようだ。

 なんと尻尾が俺の胴体に巻き付いて命綱に!?そんな使い方できるんだ。

 抱っこしたまま甲板をウロウロ、多少の移動は問題なし。

 軽く走ってみる。二人とも小さいし軽いので、思いのほか安定して走れる。

 女児を抱えて走る練習、役に立つのかこれ?

 

 抱っこ状態でしばらく戯れていると、ふと何かの気配を感じた。

 ん?何だ・・・目を凝らして気配の出所を見つめる。

 クロシロも気づいたようだ。黒い点?がだんだん大きくなって・・・。

 飛行機?鳥?なんか違うぞ。

 

「あー、マサキ君、ブラック、ダイヤ、すぐにブリッジまで来てくれ」

 

 パパさんのアナウンスが入る。

 三人で頷き合いブリッジへ向かう。クロシロ、ナビよろしく。

 

「パパさん何かあったんですか?」

「ああ、来てくれたか・・・て、うおっ!娘が抱っこされている」

 

 そんなに驚く事か?ああ、二人は俺以外には当たりがキツイんだったか。

 

「本当にデレすぎだぞ二人とも、今度パパもしてあげるね」

「遠慮します」

「結構です」

「即答!パパ泣きそう」

「至福の時間を邪魔してまで呼びつけた理由を話してください」

「くだらない事だったら怒るよ」

「わりと緊急事態だよ。こちらに接近する飛翔体を確認した」

「さっきの気配と点か」

「お、気づいていたのか。あれは船だよヒリュウと同じね」

「同じ・・・向こうも戦艦・・・」

「シロガネはないか、クロガネ?まさかハガネ!」

「そのまさかだ"ハガネ"我らの宿敵"メジロ家"のお出ましだ」

 

 スペースノア級万能戦闘母艦弐番艦 "ハガネ"

 ヒリュウ同様、各種超技術を組み込んだ万能戦艦。

 DC戦争では操者と騎神たちの母艦となり多大な貢献を果たした。

 トロニウムを使用した重金属粒子砲を装備し、同型艦の中でも最大級の火力を誇る。

 DCの残党や要注意団体の牽制と捕縛、SRX計画の兵装開発と運用を主として行っている。

 現在はメジロ家が所有し、その威光は誰もが知る所である。

 

「日本に戻って早々に遭遇するとは、待ち伏せされていたか」

「どうするの。先制攻撃する?」

「相手の出方しだいですね。単純な戦闘力はヒリュウよりハガネが上ですし」

「メジロ家の戦艦・・・仲が悪いのか?」

「向こうからしてみれば、サトノ家は目の上のたんこぶだからね」

「地上にあるお家を制圧したのもメジロの連中だよ」

「うちからあれだけ力を奪っておいて、まだ仕掛けてくるなんて。相当嫌われてますね」

 

 近づいて来た巨大なシルエットがモニターに映し出される。

 上下対象のデザインに茶色の艦体色。艦首に何だろう?珠?が二つある。

 向こうから通信が入ったようだ。

 パパさんが許可を出すと別のモニターに椅子に座った人物が映し出される。

 陰になってて顔が良く見えないな。

 

「久しぶりですね。サトノ家頭首、サトノドウゲン」

「これはこれは、メジロ家頭首直々のお出迎えとは・・・ばば様」

 

 メジロ家の頭首だってよ、大物が出てきたな。

 

「これでも多忙の身ですよ。今日はあなた達に用があって出向きました。」

「へぇーサトノ家を取り潰そうとした事、謝ってくれるんですかねぇ」

「謝るつもりはありません。そうされるだけの事をあなた達がしてきた結果ですから」

「散々、無理難題を押し付けて、邪魔になったら捨てるとか汚い流石メジロ汚い!」

「あなたに汚い呼ばわりされる筋合いはありません。本題に入っても?」

「ちっ、さっさ言え。こっちは客人がいるんだ、メジロを相手にする暇はない」

「その客人をこっちに引き渡して頂きましょか」

「あ゛」

「「「!?」」」

 

 頭首同士でギスギスした会話をしていると、こちらへ飛び火した。

 客人って俺の事ですよね。(/ω\)イヤン

 クロシロがギュッと抱きついて来る。不安か?俺もだ!

 

「何を言い出すかと思えば、ついにボケたか」

「まだもうろくしてはいません。引き渡す気はあるのですか?」

「客人が誰か知っての発言か?少しは考えて喋れ」

「先日、超特大の覇気が観測されました。その発生源でしょう、存じています」

「ふん、残念だったな。彼はもう契約済み、うちの娘たちの操者だ」

「ならば、余計にそちらに置いておく訳には参りません。その力はあなた達の手に余る」

「人を利用価値のみで判断する・・・相変わらずだなババア」

「操者に危害を加えるつもりはありません。むしろ丁重に扱わせて頂きます」

「全てはメジロ家の栄光と繁栄のためにか、あー嫌だ虫唾がはしる」

「これ以上の問答は必要ないですね。それで返答は」

「嫌に決まってんだろ!ばぁ~か、あんまなめんな!」

 

 パパさんが中指を立てて心底バカにした顔をする。

 うわ、メチャクチャ腹立つ顔してる。

 クロシロがよくやった!と感心している。

 大丈夫か、この親子。

 

「やはりこうなりましたか。準備が整い次第、攻撃を開始します。よろしいですね」

「よろしくねぇーわ!最初からそのつもりだったくせに、白々しい」

「戦闘に参加したくない者やお客人には退艦をおすすめします」

「余計なお世話だ。うちの乗組員がこの程度で逃げるか、むしろ楽しむね」

「そうですか。では良き戦にしましょう」

 

 通信が終わる。 

 今から戦闘が始まるの?日本に帰って早々にコレかい!

 

「これより艦隊戦を開始する。いざとなったら本艦をぶつけてあいつらを道連れじゃー!」

 

 聞いてねぇぞコラ。

 後、パパさんのテンションがさっきからおかしい。

 

「パパはメジロ家にヘイトが溜っているからね」

「母様・・・元妻との離婚もメジロが悪いって言ってますし」

「今から本当に開戦するのか?俺どうしたらいい」

「マサキ君が戦う必要はない。これはサトノとメジロの戦いだ」

「そうそう。嫌だったら艦から退避してもいいよ」

「向こうもマサキさんを害する事はしないでしょう。安心してください」

「うーん。それでいいのかな」

「ねぇ、従者部隊の人数がかなり減っているみたいだけど、どうしたの?」

「ああ、いない者の内半分はメジロ家に引き抜かれた」

「それヤバくないですか、もう半分は?」

「有給取ってベガスに行ってる。一週間は帰って来ないね」

「は?シングルナンバーもですか?・・・まさか戦闘可能なのは・・・」

「うん。メジロの騎神とAMに正面から戦えるのはブラックとダイヤ、君たちだけだね」

 

 \(^o^)/オワタ

 戦力低下しているのになぜケンカを買った・・・。

 

「ピンチじゃん。でも分の悪い賭けはきらいじゃないよ」

「はぁ~、仕方ないですね。覚悟を決めますか」

「二人だけ行かせられるか、俺も出る」

「まあまあ。今回は私たちに任せてよ・・・アルクオン戦では情けない所見せたし」

「マサキさんの力は存分に見せて頂きました。今度は私たちの番です」

「でも俺は二人の操者だ」

「だからこそ、信じて待つのもありなんじゃないかな」

「・・・・しかし」

「うちの娘は、君の愛バは負けやしないよ」

「マダ・・・父様、"古鉄"と"白騎士"の使用許可をお願いします」

「いいよ。暴れてやりなさい」

「どっち使う?私、古鉄がいい」

「お好きなように。では、行ってきます。マサキさんを頼みますよ」

「クロ、シロ」

 

 ブリッジから出て行こうとする二人を呼び止めて、抱きしめる。

 

「どうしたの?大丈夫だよ」

「必ず帰ってきますからね。ハグはその時にたっぷりしてください」

「俺の覇気を持っていけ。それとくれぐれも気を付けてな」

「「ありがてぇ」」

 

 二人に覇気を補充してやる。

 契約後から俺たちの覇気は常に循環状態にあるが、接触した状態での受け渡しが一番確実。

 二人が出て行った。先に格納庫で装備を受け取るらしい。

 うー心配になってきた。

 パパさんが俺の肩に手を置きサムズアップする。

 そうですよね。信じましょうあいつらを。

 その数分後・・・戦闘が始まった。

 

「前方のハガネに動きあり!ミサイル多数来ます!」

「よっしゃ!迎撃準備。弾幕張っちゃって!」

 

 飛んできたミサイルをヒリュウの機関砲で撃ち落とす。

 撃ち漏らしたものは艦に届かず障壁に阻まれる。お、バリアがあるのか。

 ネオさんが見せてくれた歪曲フィールドに似てる。

 

「重力障壁だよ。あの程度は防いでみせるさ。まあ、それは向こうも同じか」

 

 こちらが撃ち返したミサイルも、ハガネにダメージを与える事はなかったようだ。

 ミサイルや副砲を使った砲撃戦が展開される。

 殲滅が目的ではないので主砲やお互いの切り札は使用しない模様。

 どの攻撃も決定打にかける・・・ハガネが何か射出した。

 AM(アーマードモジュール)リオンシリーズか。

 

「指揮官機のガ―リオンが2体、後はリオンとバレリオンの編成か」

「砲撃戦が膠着すれば、騎神やAMを投入する定石だね」

 

 AMがヒリュウの外壁に取り付こうとする。

 ちょうどその時、クロシロから通信が入る。

 

「準備できたよ。到着次第戦闘に入るね」

「相手はAMですか、アルクオンと比べれば雑魚ですね」

「よーし」

「ではでは」

「「やりますか!」」

 

 甲板にエレベータが到着し扉が開く。

 先行してヒリュウに取り付こうとしたリオンが複数隊同時に薙ぎ払われた。

 光の束がリオンを穿つ。ビーム?覇気をビーム状にして打ち込んだのか。

 

「"オクスタンランチャー"Eモードっと。カタログ上のスペックは出ているようですね」

 

 シロがその体にそぐわない長銃を担いでいる。

 白地に青いラインが入った手甲と足甲を装備している。

 

 パパさんにもらった装備のデータを確認する。

 

 ヴァイスリッター

 専用装備オクスタンランチャーによる砲撃戦を得意とする装備。

 ライフルはビームのEモードと実弾のBモードに撃ち分け可能。

 補助武装として三本のビームソードと三連ビームキャノンを手甲に装備。

 足甲の大型バーニアスラスターが生み出すスピードで戦場を縦横無尽駆ける。

 

 破壊されたリオンの爆発に怯まず、クロが飛び出す。

 バレリオンの砲撃をかいくぐり接近。

 

「打ち抜くよ、止めてみて!」

 

 右手に装着された大型の杭打ち機"リボルビングステーク"を打ち込む。

 回転式の弾倉から薬莢がこぼれ落ち、騎神の膂力に弾丸の威力が乗った破壊をもたらす。

 機体の胴体部に風穴を空けて爆散するバレリオン。

 

 赤を基調し所々白と黒に配色された手甲と足甲。肩部にも装甲が付いている。

 リボルバーを回転させ次弾装填。シロの装備より重量がありそうだ。

 

 アルトアイゼン

 武装は中近距離にまとめ、厚い装甲と突進力を頼りに敵陣中央一点突破を狙った装備。

 杭打ち機リボルビングステークを主武装に射撃用の三連マシンキャノン。

 広範囲に特殊ベアリング弾をばら撒くスクエアクレイモアを肩部装甲に内蔵。

 対ビームコーティングも施され防御面もそこそこ。

 増加した重量を補うため各所のスラスターで無理やり加速を行う。

 

「なんかどっちも長所と短所が顕著ですね」

「そうだね。だけど見てごらん、いい感じだろう」

「ええ、流石俺の愛バたちですよ」

 

 装備が凄いのか、使用者が凄いのか・・・どっちもか。

 二人もイキイキしてるな。

 

「射撃は苦手なんだけど、四の五の言ってられないか」

 

 マシンキャノンで相手を牽制して接近戦を仕掛けるクロ。

 

「あんまり飛びませんけど、威力はありますよ」

 

 実弾に切り替えて装甲の厚い敵を1体づつ確実に潰すシロ。

 

 よしよし。状況に応じて臨機応変に動けている。

 

「勝ったな」

「ああ」

 

 エヴァのゲンドウと冬月みたいなやりとりが自然にできた。

 パパさんと俺のシンクロ率が高まった。

 

 最後に残ったガ―リオン2体をシロが追い込む。

 

「その位置はマズいでしょ。クロちゃん!そっちにパスします」

 

 その先はクロの正面。

 

「逃がさない、クレイモア!」

 

 肩部装甲が開放され中から無数のベアリング弾が吐き出される。

 2体のAMは全身を穴だらけにして機能停止した。

 

「まあ、こんなもんです」

「よし、何とかなったね」

 

 二人でハイタッチするクロシロ。

 30体以上撃墜したのではないか、やりますねぇ。

 無傷で勝利した二人が誇らしい。

 やっぱり俺の愛バは最高だぜ!

 

 一度途切れた通信が再び入る。メジロ家の頭首からだ。

 

「大したものですね。その年でこれ程の戦技、うちの孫たちにも見習わせたいです」

「当たり前だ。うちの娘たちだぞ。それよりもう終わりか」

「ええ、これ以上AMを投入しても焼け石に水ですから」

「ならどうする。降参して道を開けてくれると助かるんだがな」

「降参するのはそちらです」

「何?」

「トロニウムバスターキャノン準備しなさい」

「てめぇ、このババア!反則だろうが、客人ごと吹き飛ばす気か?」

「サトノの手に落ちるなら、それもありですね」

「もうやだ!ホントにこいつ嫌い!」

「そちらにいる操者、大人しく投降しなさい。さもなくば・・・」

 

 何だかヤバそうだ。

 ハガネの艦首についている珠が光り輝き出した。

 

「なあ、ハガネの金玉が光ってるんだけどマズい状況ですかね?」

「ああ、あの金玉は危険だヒリュウを鎮めるだけの威力がある」

 

 クロシロも通信で加わる。

 

「パパ、金玉が光ってるよ何とかして」

「金玉から発射されるトロニウムバスターキャノン・・・厄介な金玉ですね」

「おい、女の子が金玉金玉と連呼するんじゃありません!はしたない」

「だって金玉が付いているのが悪い、あの金玉潰したら何とかなる?」

「金玉までの距離が遠すぎますし、艦首のバリアで守られてます。無敵の金玉ですね」

「どうしてくれんだババア!アンタのせいで娘たちが金玉金玉と」

「今確信しました。サトノ家はやはりウマ娘界の汚点、害悪です」

「「「失礼な!金玉のくせに!」」」

 

 金玉のチャージが進む。ピンチです母さん。

 しゃーないか・・・。

 

「パパさん、クロ、シロ、サトノ家の皆・・・俺投降します」

 

 

 

 

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