のじゃロリがあらわれた。
「おいおい、のじゃロリだぜ。初めて見たわ」
「絶滅しそうでしないキャラだね」
「まだまだ需要があるのでしょう。マサキさんはどう思います」
「う~ん。嫌いじゃないけど、特別刺さるほどでもないかな」
「のじゃロリはイマイチと、操者の好みを把握するのは愛バとして当然」
「できる限りご希望に沿いますので、何かあれば言って下さいね」
「至れり尽くせりだな。素のお前たちも十分好きだぞ」
「はう・・・不意に好きって言われた・・・超嬉しい////]
「あなたと契約できて幸せです。もっと好きって言って下さい!」
「もう~しょうがねぇなぁ」
「おーい。わしを放置せんでくれー泣くぞ!」
おっと、幸せすぎて三人でイチャコラする所だった。
「すみません。どなた様でしょうか?何時からここに?」
「わしの名は、まあ"グラさん"とでも呼んでくれ。ここへはお主と一緒に乗り込んだよ」
「グラさん・・・最初から俺たちの醜態を見ていたのか」
「バッチリな。声をかけるタイミングを完全に失ってしもうたわ」
「そうですか、お見苦しい所を見せてしまいました。忘れて頂けると幸いです」
「ああ、他言はせんよ。した所であのような異常行動、誰も信じてくれまいよ」
「目的は何?メジロ家の刺客?」
「クロちゃん待って。この人激ヤバです」
「わかってるよ。でも、何があってもマサキさんは守る」
「クロ大丈夫だから、この人は敵じゃない」
「マサキさん、一応私達の後ろへ」
クロもシロも必死に俺を守ろうとしてくれる。こんな小さい体で・・・。
健気な二人に愛しさがこみ上げてくる。抱きしめたいな!クロ!シロ!
「血気盛んじゃのう。お主達を害するつもりは毛頭ないから、安心性せい」
「その言葉信じますよ。俺と一緒に乗ったとは?」
「ハガネ艦内を見学しておったら、半裸で走り回るお主を見つけてな、面白そうなので後をつけておった」
「ずっとですか?ほえー気配すら感じなかった。それが隠形とやらですか」
「覇気を活用すれば人の認識から外れる事も可能なのじゃ。燃費はすこぶる悪いがの」
「これほど見事な気配遮断。あなたはいったい何者ですか」
「所属と級位は?耳と尻尾、隠しているけど騎神でしょ」
謎の人物グラさんと会話していると、客席にある大型モニターが起動する。
映し出されたのはハガネのブリッジ、メジロのばば様か。
「そんな所にいたのですね。これからどうされるおつもりですか」
「おお、すまんなばば様。メジロ家ばかりに肩入れするわけにもいかんでの、サトノ家にも寄って行くつもりじゃ」
「人知を超えた力を持ちながらも自由奔放。変わりませんねあなた方は」
「メジロ家の騎神用次期主力装備開発じゃったか、まあ気が向いたら協力させてもらおう」
「ええ、よろしくお願いします」
グラさんはばば様にお呼ばれしてハガネに乗ったらしい。
どういう関係なんだこの二人。
画面越しにばば様が俺を見据える。
「あなたがアンドウマサキですね」
「は、はい。俺がマサキです。その・・・艦内をお騒がせしてすみませんでした」
「そして、そこの二人がサトノ家の子供達ですね」
「フゥーーーッ!!!」
「シャァーーー!!!」
「コラ!二人とも威嚇しない!ちゃんとご挨拶して」
「・・・キタサンブラック」
「・・・サトノダイヤモンドです」
「元気があってよろしい事。マサキ、少々お話したいのですが、かまいませんか」
「はい。何でしょうか」
ばば様を威嚇しようとするクロシロを下がらせる。
ダメよ!メンチを切るのもダメ!ガラが悪い、カワイイ顔が台無しじゃない。
「うちの孫に会ったそうですが・・・」
「マック達は俺に脅されて仕方なく協力したんです。悪いのは全て俺ですから」
「別にあの子達を咎めるつもりはありません。短い時間で随分親しくなったのですね」
「立派なお孫さん達です。俺がとても感謝していたと、お伝え下さい」
「承知しました。ところで、孫達の中で気に入った子はいますか」
「どういう事でしょうか」
「あなたが契約してもいいと思えるウマ娘はいましたか」
「え、それは・・・あだだだだ!!クロシロ!痛い!握力がぁー」
繋いだ手を握り潰すほどの力を籠めるクロシロ。
まだ何も言ってないじゃん。
「いててて、俺はこいつらの操者ですから。その質問には答えられません」
「ふふっ、とても大事にされているようで。あなたの愛バは幸せ者ですね」
「最初は戸惑いましたけど、二人に会えて俺も幸せです」
背後のクロシロが俺に額を擦り付ける。嬉しいのはわかったよ。
だけどそこは俺の尻だ。どこにマーキングしてんだ!やめろ顔を埋めるな!
やっぱりちょっとアホの子だった。
「今の境遇に不満があるようなら、是非ともうちの操者になって欲しかったのですが」
「お心遣いどうもです。ですが俺にはこの子達がいてくれるんで、すみません」
「残念ですが仕方ありません。サトノ家に愛想を尽かした時はうちに来なさい」
「はは、俺が二人に愛想を尽かされないよう頑張りますよ」
えらく過大評価されているな。もしクロシロと出会ってなければ・・・。
いやいや、俺はこいつらと一緒にいるって決めたんだ。
「俺からもいいですか」
「どうぞ、遠慮なく言ってみなさい」
「あの~後ろのスッタフさん達が、随分慌ただしいようですが・・・」
「少々トラブルがありまして、ワカメ風呂やらトイレで出血した者がいるようですね」
「・・・サバの缶詰は絶対に開けないで下さい。本気で危険です」
「わかりました。総員に伝達しておきます」
「それから・・・10年以上前、身寄りのない俺を引き取ろうとしてくれた事、ありがとうございました」
「惜しい事をしたと思っていますよ。サイバスターは良き母となったようですね」
「最高の母親ですよ。感謝してもしきれません」
嫌がらせの成功報告を受けてクロシロが「よし!」とガッツポーズ。ホンマ悪い子やで。
俺を引き取る前に母さんが話をつけた人とは、ばば様だったみたいだな。
「では私はこの辺りで失礼します。」
「はい。いろいろありがとうございました。マック達によろしく」
「うむ。ばば様も息災でな」
「・・・ばいばい」
「・・・さようなら」
通信が終わる。どういう仕組みか知らんが最後まで顔がよく見えなかった。
シャドーハウスなの?体からすすを出したりしないよな。ほのぼの不穏な世界観がくせになるぞ。
「グラさんはこのまま俺たちとサトノ家、ヒリュウに来るって事でOK?」
「OKじゃ。しばしの間よろしく頼むぞ。ドウゲンは元気にしておるかのう」
「父のお知り合いですか?元気過ぎるぐらいですよ、最近腹がプニプニになってますが」
「ママの事は?サトウシン、真名シュガーハートだけど知ってる?」
「ハート?・・・ああ!騎神見習いだったハートか、よう知っとるぞ。懐かしい」
「・・・あの失礼ですがお歳は?」
「わしはアラフォーじゃよ。すまんのオバちゃんで」
ウマ娘の基本能力に容姿端麗と10~20代頃の外見をキープする力がある。
俺の地元にはウマ娘のロリババアがごろごろいたぜ。この人も例に漏れない。
自己紹介や俺達の近況を話す、グラさんはすぐに俺たちと打ち解けた。
この人の雰囲気、とても大きな存在に自身を肯定されているような安心感。
似ている、母さんやネオさんに。
「ほうほう。マサキは操者になったばかりの初心者なんじゃな」
「はい。ここ最近、妙なイベントが立て続けに起こって、気が付いたら操者でした」
「人生の変革が訪れる時は一気に来るもんじゃよ。挫けず精進するのが吉じゃ」
「SRX計画について情報があれば教えていただけませんか?謝礼は父のヘソクリから出します」
「"超闘志"は既に実戦配備中、"Rシリーズ"も近々完成だとか言っておったのう」
「それ以外で新しい動きは?どこかの遺跡荒らしたりしてるでしょ?」
「中国で半生体兵器の残骸を回収、拠点防衛用特型装備ダブルGも開発するらしいぞ」
「そんなホイホイ話していいんですかねぇ」
「別に構わんじゃろ。ばば様も特に口止めしておらんし」
「戦力差が開くばっかり、うちもシラカワ重工に技術協力してもらった方がいいかな」
「シラカワ重工、トップが稀代の天才科学者らしいですね。革新的な超技術を各方面にばら撒く、今一番ヤバい企業ですよ」
「そのトップとやらは超がつくほどのウマ娘フリークじゃぞ。お主らが上目づかいでおねだりすればイチコロじゃて」
シラカワ重工のトップ・・・そいつ知ってるわ、超親しい奴だわ。
その頃とある研究室
「ぶえっっくしょん!!あ゛~今日は鼻がムズムズしますね」
「マスター、くしゃみがやかましいです。せめて口を手で押さえて下さい」
「鼻水出てるよお兄様。はいティッシュ」
「ありがとう・・・ん。ふぅ、くしゃみは思いっ切りするのに限ります」
「誰かに噂されているのかな」
「フフフ、ウマ娘が私に憧れて「シュウ様ってカッコ良くない?」みたいなトーク中ですかね」
「バッドステータス「自惚れ」を確認。バカな事言ってないで仕事してください」
「今日こそは定時で帰ります!二人とも手伝って下さい」
「学校の宿題しないといけないから、ごめんね」
「やる気が絶不調です。なにかご褒美が無ければ動きません」
「くっ!愛バ達がつめたい。わかりましたよ、夕食は二郎系ラーメン全マシマシでどうですか?」
「「のった!!!」」
グラさんと会話も一段落。
レーダーがヒリュウを確認。もうちょっとで到着します。
「ん?何で向こうから近づいて来ない」
「あ、このボートはハガネのだから警戒されているんじゃ」
「通信してみましょう。えーとこのスイッチを・・・ポチッとな」
「・・・応答せんのう」
何かあったのか?
近づくとモニターにヒリュウの船体が映し出される。
艦首が展開している。あそこから入って搭載されるのか。
「は?何で艦首が・・・開いて」
「なあ、嫌な予感がするんだけど」
「このまま真っ直ぐ行くのヤバくない?操縦をマニュアルに切り替えよう、コントローラーは」
「ん。これの事かの」
「「「え゛」」」
グラさんの手には粉々になったゲームコントローラー・・・この船の操縦桿。
「ええー!グラさん何やってんスか!」
「わしじゃない!お主達が暴れ回ってる最中にぶっ壊したではないか」
「「「うそーん」」」
自動操縦でヒリュウめがけてまっしぐら、進路変更はできそうにない。
ヒリュウの艦首に変化がある、黒いもやもやがだんだん大きく。
ネオさんが必殺技を撃つ前の溜め動作みたいだ。
・・・溜め?ネオさんの技・・・重力操作・・・あっ(察し)。
「ヤバいヤバいヤバい!進路変更しないと!私達全滅しちゃう」
「超重力衝撃砲!父様!・・・何やってんだぁあああああ!!!マダオォオオオ!!!」
「ちょ、溜めてる溜めてるためてるぅー!これアカンやつでしゃろ」
「かっかっか!大ピンチじゃのう」
あーもうメチャクチャだよ!
「クロ!シロ!来い!」
「何!最期にうまぴょいする?」
「もう時間がありません!マサキさん、そんなに早いんですか?」
「早くねーわ!!いいから来い!」
二人を抱きしめて身を屈める。
あれが直撃したら無意味かもしれないが0.00001%でもこいつらが生き残る可能性にかける。
覇気による全力ガード、防げたとしても空中に放り出されてどうする?知るか!
今思いつくのはこれくらい、それに最期までこいつらの存在を感じていたい。
二人も俺の行動を察して覇気を高め、俺にギュッとしがみつく。
「グラさん、すみません。こいつらを守るため協力してくれませんか」
「ほう。諦めるのか?」
「諦めて無いからお願いしてます。二人はこれからの未来に必要な存在ですから」
「マサキさんもだよ!絶体に生き残ろうね!」
「不思議です。こうしているとあんまり怖くない。マダオは呪い殺します」
「見せつけてくれるのう。わしにはちと眩しすぎるわい、これが若さか・・・」
「さあ、グラさんもスクラムを組んで・・・」
「それには及ばん。わしの炎にかけてお主らを救ってみせよう。ついて来い」
「どこに?て、うわ!」
ボートの甲板上に連れ出される。船体のスピードは緩やかなので外に出ても問題ない。
肉眼で確認できる。超重力衝撃砲とやらの発射まであと少し。
「何する気?超級騎神クラスの技じゃアレは防げないよ」
「もうどうなってもかまいません。マサキさんもっとくっついていいですか?」
「おう、好きにしろ。グラさん・・・あなたは」
「久しぶりの全力じゃあ。そこで見ておれ愛しきヒヨッコどもよ」
グラさんの覇気が膨れ上がるる!束ねた髪にまで覇気が浸透し、炎のように揺らめく。
漏れだした力が体の至る所から噴出する。まるで火山爆発、周囲一帯に火の粉が舞う。
凶悪な笑みを浮かべる口元からチロチロと炎が覗く。目の輝きが一層強まる。
そうして両肩辺りに巨大な火の玉が出現、火球は猛り狂う龍の顎へと変貌を遂げる。
「クロ!シロ!全力ガード続行!余波で吹き飛ばされるぞ!」
「超級なんてもんじゃない。まさか・・・焔ビト・・・違うか」
「アチッ、あっつい!焦げてる!私の尻尾焦げてますって!炎炎ノ消防隊すぐに来て―!」
ヒリュウから黒い衝撃が放たれる、俺たちを丸ごと押し潰す絶望的な力の奔流。
「天級騎神!炎の"グランヴェール"その程度の力など・・・全て焼き尽くす!!!」
グラさんが叫んだ瞬間、龍の顎から極大の火柱が発射された。
この人あれだ母さんの同類だ。