ウマ幼女二名と格闘する事になった。
いきなり襲って来るとは、とんでもねぇ奴らだ!
「ぜー、はぁー……つ、疲れた」
「ううー、負けちゃった」
「酷いです!虐待です!この犯罪者!訴えて勝ちますよ!」
かなり激しく抵抗されたが、奴らの尻尾を何とか掴むことに成功した。
それで、大人しくなるかと思いきや、ギャーギャー文句を言ってくる。
一応、動きは止まったので、負けを認めているとは思うんだけどな。
「まさか負けるなんて……パパにも負けたことないのに」
「卑怯です!ウマ娘の弱点を的確についてくるなんて、この鬼畜!」
自分たちの尻尾を握りしめる俺を、恨めしそうに見ながら二人は悪態をつく。
さっきから、ロングヘアーの方がうるさい。
「黙れ、これ以上暴れるなら引きちぎるぞ」
「ひぃ!」
「なんて事言うんですか!それだけは勘弁して下さい!お願いします!!」
やっと戦意喪失したらしいので、尻尾をリリースしてやる。
「とりあえず通報するぞ、警察に保護してもらって家に帰りな」
「警察のご厄介になるのはちょっと、都合が悪いといいますか……」
「両親に迷惑をかけたくないよ」
アホか、家出してる時点で親には十分すぎる迷惑と心配をかけてるんだよ。
こいつら何か訳ありか、めんどくせ。
「うー、まだ帰れないのに」
「そうですそうです!訳ありめんどくさい奴らなんです。だから見逃してください」
ナチュラルに心を読むな。 あー、もうしょうがねえなぁ。
ここでこいつらを見捨てたら未来の嫁ウマに申し訳ない。
何より、母の教えに背く事になる。
母さんはまだガキだった俺にウマ娘のことを教えてくれた。
それを思い出してみる。
『ウマ娘は人間に比べ、遥かに強靭な肉体を持ってるわ。でもね、心は普通の女の子とかわらない。臆病で繊細で面倒で、とっても弱いの。つまり、豆腐メンタルなのよ』
『豆腐?』
『そう豆腐みたいに脆いの。だからね、もしウマ娘が困っていたら、怖がらずに助けてあげて…優しい男はモテるわよ』
『わかった!困ってるウマ娘さんを助ける。そして、うまぴょいしてもらう!』
『最後のが余計だったけど、まあいいわ、約束よ』
『母さんも豆腐なの?』
『私?私はそうねー‥‥‥こんにゃくかしら』
回想終了。
うちの母さんメンタルぷるぷるじゃないか。
「わかった。とりあえずついて来い。お前たちの処遇は、俺の家に着いてから考えよう」
「「えぇ!?」」
家に来いと言ったのが相当以外だったらしく、声をあげる二人。
発言した俺自身もビックリしている。
見ず知らずの幼女をテイクアウトするという、犯罪まがいの事を実行しようとしているのだから。
どうした俺?なんか変だぞ、仏様ムーブかまし過ぎではありませんかね。
「え、えっと、いいんですか?」
「本当に?ホントにホント?」
「無理にとは言わない、嫌なら他をあたれ」
「そ、そんなことないよ」
「是非、お願いします」
俺について来ることを了承する二人。
表情がコロコロ変わって飽きませんな。
「やったねダイヤちゃん!私たちお持ち帰りされるよ」
「こ、これがお持ち帰り////流石は大人の男ですね・・・ゴクリッ」
「お持ち帰り言うな!これはだな、一時的な保護だよ保護」
断じて誘拐ではない、俺は善意で人助けしようとしているだけ。
この二人に運命的なものを感じているわけじゃないんだからね!!
「さっさと行くぞ」と歩き出そうとする俺。
「ちょっと待ってよ」
「お世話になる前に、これだけは言わせてください」
「何だよ、俺の気が変わらないうちに行こうぜ」
「「お兄さん」」
心底嬉しそうな顔をする二人。
「「ありがとう!!」」
笑顔が眩しいー!!!
悔しいが、ちょっと見とれてしまったぞ。
大丈夫大丈夫大丈夫!いくらウマ娘好きの俺でも、こんな子供に手は出さんよ。
やましい気持ちは無い!!‥‥‥はずだったんだけどな~。