俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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やくそくだよ

 ヒリュウからの砲撃、グラさんも撃ち返す。

 

【サトノドウゲン】ヒリュウ改ブリッジ 超重力衝撃砲発射の少し前

 

「遅いな・・・あ~心配だ」

「頭首様。今から通信機器のメンテナンスとアップデートを開始します。およそ30分間通信ができなくなります」

「ああ、うん。やっちゃっていいよ」

 

 サトノ家頭首、サトノドウゲンは落ち着きなく室内をうろついていた。

 三人だけを行かしたのは間違いだったか、いや娘達はやってくれる。

 メジロのババアがわざわざハガネを持ち出した理由はわかっている。

 十中八九マサキ君だろうな。

 しかし、彼は娘達の操者だ。もう遅いつーの!ざまぁwww。

 これに関しては本当に大手柄だ、うちの娘達マジで優秀!

 

「あの陰険ババアはどう出る。もし私が逆の立場なら・・・はっ!」

 

 そうだ私ならば、乗り込んで来た操者と愛バまとめて頂く。

 マサキ君は金では動かないかもしれない、だが彼はウマ娘が大好物!

 メジロ家の令嬢を好きにしていいと言われたら、心が揺らぐのでは?

 そして娘達はマサキ君に心酔している。

 彼と離れるぐらいならメジロ家の養子になるとか言い出しかねない。

 しまったぁー!嫌がらせする事ばかりに気を取られすぎた。

 どうしよう!このドウゲン痛恨のミス!

 

「今すぐにハガネへ向かえ!マサキ君と娘が取られちゃう!」

「いきなりどうしたんですか?お嬢達を信じて待つのでは」

「とにかく行って!早く迎えに行かなきゃ」

「待ってください、マダ・・・頭首様。こちらに接近する小型艇があります」

「今、マダオって言いかけたでしょ。まあいい、その船の所属は」

「ハガネの脱出艇ではないかと。やって来た方角も合ってます」

「娘達か?いや、罠の可能性もある」

「通信を入れてみましょうか?あ、無理です。メンテ中でした」

「超重力衝撃砲スタンバイ!」

「は?遂に頭がおかしくなったんですか」

「さっきから失礼だな君。もしあれが爆弾満載の無人艇だったらどうするの?」

「考えすぎでは」

「最悪を想定しての判断だ。通信ができない今、罠かどうかカンで見極める」

「えーやめておいた方が・・・」

「もし誰か乗っていたら、重力砲のチャージに恐れをなして進路を変えるでしょ」

「まあ、そうですね」

「それでもなお、突っ込んで来るようなら無人機で罠決定!でいいじゃん」

「うーん・・・いいのかな」

「もう!君がやらないなら私がやるよ。どいて!その席変わって」

「ちょ、やっぱやめましょうよ。一発撃つのにいくらかかると思ってるんですか」

「こんな時じゃなきゃ撃てないでしょーが。いいから責任は私が取るから」

「あ、まさかただ撃ちたいだけですね。ダメですって!危ないから」

「後はこのスイッチを・・・ええい離せ!ぶっ放したいんじゃー!あっ!」ポチッ

「・・・押した?」

「・・・・/////」コクン

「いや、ダメでしよ!なに頬染めて頷いてんだ!気色わりーわ!」

「キショイは言い過ぎだろ!ほら、カウントダウンはじまるよー」

「もうしらね」

 

 カウントダウンが開始されてワクワクしてきた。

 未だに進路を変えない小型艇はやはり罠だったのだろう。

 フッ、私の目は誤魔化せなかったなババア!

 

「た、大変です!小型艇甲板上に人影が!」

「うっそ!拡大!今すぐ拡大して」

「誰だ?見慣れない少女と・・・あ、いました!お嬢とマサキさん!」

「はぁーーーーー!!!なんじゃそりゃーーーーー!!!どうしようどうしよう・・・え?」

「固まっている場合ですか!現実逃避は後にして下さい」

「・・・・総員、衝撃に備えよ」

「何言ってるんですか!それよりお嬢達を」

「いいから!総員、対ショック閃光防御!Gテリトリー最大展開!外壁近くの区画から退避して、あとは祈れ!」

「わかりましたよ!もうやけくそだ!総員聞こえたな、マダオの指示通り動け!」

「もうマダオでもなんでもいい!天級の攻撃が来るぞ!!!」

 

 カウントダウンが終了し、超重力衝撃砲が発射された。

 

【マサキ】小型艇甲板上

 

 ヒリュウから放たれた黒い重力波、それがこちらに届く直前にグラさんの絶技が発動する。

 巨大な双頭の火炎龍、その顎から吐き出される極大の火柱が一直線に突き進む。

 そして重力と炎、絶大な破壊力同士がぶつかり合う。

 

「うお!ヤッベェぞコレ。クロ!シロ!ちゃんといるか、吹き飛ばされんなよ!」

「いるよ!ねぇ、どうなってるの!熱くて眩しくてガタガタ揺れて、死ぬ時ってこんなに騒がしいの」

「うっひょー!これはえらいことですよ。グラさん!そのまま押し切ってください!」

「今ちょうど拮抗中じゃな。なあ、あの戦艦は撃ち落としてよいのか」

「ダメに決まってるでしょ!何とか重力波だけ相殺できませんか」

「出力調整が難しいのう。お主らちょっとわしの体を支えてくれんか」

「わかりました。あっつい!グラさんの体のどこを持てと?熱すぎて支えるの無理ー!」

「覇気でコーティングしても出来立てのおでんぐらい熱い!」

「おい、グラさんは俺が支える。二人は俺を支えろ」

「「喜んで!!」」

「失礼します。こんな感じでいいですか」

「うむ。では押し返すぞ!」

 

 俺がグラさんの肩に手を置いて体支える。熱いけどまあ耐えられる。

 クロシロは俺の腰辺りにしがみついて安定させる。

 覇気の循環を加速させる。

 俺、クロシロ、そしてグラさんの覇気が俺たちの身を守ると同時に、火力を上乗せさせる。

 

「ほう!主にそんな芸当ができるとは、やるもんじゃのう」

「微力ですが使ってください。代わりにあなたの覇気も利用させてもらう」

「会ったばかりの騎神の覇気をいとも簡単に制御し、全体に最適な量を分配利用するじゃと・・・」

「マサキさん気づいてますか?あなた今とんでもないことをしてますよ」

「しかも、一人は愛バではない上に天級。ぶっつけで完全制御してるのは奇跡だよ」

「できたんだからしょうがねぇだろ!グラさん、いけそうですか」

「これなら余裕じゃ。一気にいくぞい、せーの!」

「「「「ぶち抜けぇーーー!!!!」」」」

 

 威力を増した炎が重力波を飲み込む。

 そのまま黒い波は貫かれて霧散、青空へと消えていく。

 二つの火柱は勢い余ってヒリュウの外壁装甲を掠めて焦がす。

  

 この日、空には炎の軌跡が描かれ、地上はちょっとした騒ぎになった。

 

 

【サイバスター】 同時刻ラ・ギアス

 

「お?」

「ん?」

「サイさん、今のは・・・」

「間違いない、グラの"カロリックスマッシュ"あいつ日本に戻っていたの?」

「まだ距離はあるけど、たぶんここに来るんじゃないの」

「はぁ~どいつもこいつも勝手なんだから」

「この調子で全員集合するかも、同窓会みたいでワクワクするわね」

「無理よガー子とザムがどこにいるか知らないでしょ?行先も告げずに旅立ったアホどもが」

「拗ねないの。「天級は世界の敵にならない限り自由である」あなたが決めた事よ」

「何年も連絡一つ寄こさなかったくせに、今更なによ」

「マサ君が呼んだんじゃない?」

「それしかないわよね。やだなぁ息子にちょっかい出さないで欲しい」

「私達に子供がいるんだから、グラさん達も親になっていたりして」

「ええーグラはともかく、ガー子はダメでしょ。あれに子育ては無理」

「ザムさんは・・・うーん・・・難しいか」

「とりあえず畑仕事終わらして、買い物に行きますか」

「はーい。今日はお酒飲んじゃおうかなー」

 

 

【マサキ】

 

「まあ、こんなもんじゃ」

「思いっきりヒリュウに掠ってますよ。装甲焦げちゃってる」

「アレぐらいなら問題ないでしょう。乗員は肝が冷えたでしょうが」

「凄かったねー。私もいつかできるかな」

「チンパンジーに核兵器の発射ボタンの掃除を任せるぐらい危険なので却下です」

「えー私そんなに危ない奴?」

「クロには大量破壊奥義は似合わないかな、まずは白兵戦の修練をしっかりやろうな」

「わかったよ。マサキさん好みの女に育成してね」

「流石マサキさん・・・クロちゃんの扱いが上手です」

「このままヒリュウに乗り込めばいいんじゃな」

「そうです。なぜ私達を攻撃したのかを聞かないといけませんからね」

「うん。ちょっと許せないかな」

「パパさん。何があったか知りませんが、俺も擁護できそうにないです」

 

 ヒリュウに接舷することができたが、ドアのロックが解除されない。

 

「ただいま帰りました。すみませんドア開けてもらっていいですか」

「パパ~帰ったよ~。早く開けて、は~や~く~」」

「なんで立てこもっているんですか?やましい事でもあるんですか?」

「おーいドウゲン。わしじゃよ、グラじゃ。中に入れてくれんかのう」

 

 無視されているんですけど。カメラでこちらは見えてますよね。

 ヒリュウには200人以上乗員がいるはずなのにこの静けさは何?

 俺はクロシロの耳をニギニギ触っている。適度な弾力と手触りが心地よい。

 イライラが溜ってきた二人を落ち着かせる目的で始めたが、今はただ触りたいだけです。

 最初こそビクッ!と反応した二人だが、今では俺のなすがままだ。

 上手く触ると「・・・あ////」とか「・・・ん////」とか鳴くのが面白い。

 ほらほら、どうした?ここがええのか?この欲しがりさんめ。

 グラさん・・・これはただのスキンシップですよ。ジト目でこっちみんな!

 

「パパさん、早く開けないと二人を解き放ちますよ。これでも抑えているんです」

「・・・・」シーン

「クロシロ・・・やれ!」

「ねぇ!なにシカトしてるの!開けてよ。あけてあけてあけてあけてあけて!あけろっって言ってるだろがぁ!」

「逃げられると思うなよ。地獄の果てまで追い詰めてやるかなら。首洗ってまってろ!」

「埒が明かんのう・・・溶かすか」

 

 クロとシロがドアにヤクザキックをかましながら怒鳴りまくる。

 すげぇ迫力だ、闇金の取り立ても真っ青な地獄絵図。

 この二人さっきまで俺が耳を触ると、カワイイ声で鳴いていたんだぜ。

 それが今じゃ「おらぁ!」「ごらぁ!」「あ゛あ゛!」「おお!?」理性を失ったチンピラやんけ。

 グラさんはドアを高熱で溶かそうとしてるし。

 お、ロックが解除された。遂に観念したか。

 

「やっと開いたか。いけっ!ハイファミリア!!」

「待ってました!」

「私達にお任せ下さい!」

 

 俺の号令によりブリッジ目掛けて猛ダッシュするクロシロ。

 お行きなさい、私のカワイイ愛バ達。あらあら、なんだか心が浄化されていくような。

 

「よいのか。好きにさせて」

「ふふふ・・・ソワカソワカ」

「突然不可解な悟りを開くでないわ!気味が悪い」

「ヒャッハー!狩りの時間だー!サングラスをかけた、髭面の中年を探せ―!」

「娘を超重獄送りにしようとした罪は重いですよ!楽にはコロコロしません」

「娘に殺される知り合いなんぞ見とうないわ。最悪の事態になる前に止めるぞ」

「・・・そのように」(菩薩の様な笑み)

「いったいどうしたんじゃ?なにがお主をそうさせた」

「わかりません。二人が激怒すればするほど、穏やかな気分になる自分がいるのです」

「ふざけておるわけではないのか。急激な覇気制御を行った副作用、まさか人格が狂うとは」

「いかがいたしましょうか。私はこのままでもかまいませんが」

「放っておけばそのうち戻るじゃろう。とにかく二人を追うぞ」

「はい。喜んで!」

「やりづらいのう」

「・・・フフフ」

 

 ブリッジに辿り着くと、簀巻きにされたパパさんが床に転がっていた。

 クロシロが手を下す前に、部下達に取り押さえられたらしい。

 何でもドアをロックしていたのは、娘からの報復を恐れたパパさんだけらしい。

 

「パパ、何か言い残すことはある?」

「ごめんなさい!出来心だったんです!本気で撃つつもりはありませんでしたぁ!」

「せめて私達が帰還してからメンテに入ればよかったですね。後の祭りですが」

「全くもってその通りです!二度とこの様な事は致しません!どうかご慈悲を!」

「何をやっておるんじゃドウゲン・・・情けない」

「グ、グラ先輩!助けて下さい!娘にお仕置きされるー!」

「まあ楽しそう!二人からの折檻、存分に味わって下さいませ」

「マサキ君?薬物投与でもされたのかい、何か良くない者に支配されている!!」

「別側面の人格・・・マサキさんアルターエゴVer.だね」

「なんと穏やかなアルカイックスマイルでしょう。見ているだけで幸福になれます」

「そうかのう、あの微笑みに禍々しい邪悪さを感じるのわしだけか?」

「お褒め頂き光栄です。ではパパ様への罰を考えませんと、何か良い案があれば挙手を!」

「はい!パパのエロゲ用PCのデータを消すのはどうかな」

「やめてー!彼女たちとの思い出が詰まってるのー!」

「キャバクラ嬢に連絡先をしつこく聞いて出禁になった事を、ハートさんにバラす」

「ひぃいいいいい!バツ2になっちゃうー!もう離婚はイヤー!」

「おすすめはファラリスの雄牛とスカフィズムです。お好きな方を選んで下さいませ」

「マ、マサキ君何と言う事を。ブラック、ダイヤ!検索してはいけない!その処刑法はヤバすぎるからぁー!」

 

 結局、俺の人格が戻るまでパパさんのお仕置きについて議論された。

 最終的にヒリュウの乗員200名以上に緊急アンケートを行い、厳正な審査(くじ引き)で刑が確定した。

 今日から一週間パパさんの主食はネコ缶になった。

 

「やったー!ネコ缶大好き―!ひゃっほー!」

「ちっ、思ったより刑が軽くなりましたね。後で反省文と再発防止レポートは提出してくださいよ」

「パパ反省してね。私達死にかけたんだから!」

「猛省しております。本当に申し訳ございません」

「もうそのくらいでいいじゃないか。・・・ふぁぁ・・・眠い」

「ドウゲンよ。いろいろとつもる話があるんじゃがよいかの」

「はい。アレから随分経つのに変わりませんね、先輩方は」

「世辞はいい。わしにも息子がおるでの、お互い老けたもんじゃ」

「老けたって・・・あなたが言うと嫌味でしかない」

「そうかの。これからどこへ向かうつもりじゃ」

「マサキ君の実家へ、サイ先輩と・・・グランゾンがいる所です」

「そいつはいい。二人にも会いたっかたからの。・・・まだ苦手なのかネオの事」

「何回殺されかけたと思ってるんですか。写真見ただけで心臓止まるかと思いましたよ」

「サイにボコられた後、涙目で謝っておったじゃろ。もう許してやれ」

 

 パパさんとグラさんが会話しているのをボーっと聞き流す。

 そうか・・・実家に帰るんだった。

 なんだか酷く眠い、アルクオンを倒した後も睡魔に襲われたっけ・・・。

 

「シロちゃん、マサキさんがおねむだよ」

「またですか。覇気を使った無茶な行動による後遺症ですか・・・後で検査しましょう」

「今日は疲れたろう、三人ともゆっくり休むといい。夕食はどうする」

「お風呂に入ってもう寝ます。ご飯はマサキさんが起きた後でいいです」

「マサキさんお風呂行こう、こっちだよ」

「・・・パパさん、グラさん・・・すみません・・・先に休みます・・・」

「ああ、今日は本当にご苦労だった。ブラック、ダイヤ、彼を頼んだよ」

「しっかりやすむんじゃぞー」

 

 二人に手を引かれて移動する。どこへ・・・ああ風呂か。

 

「ダメですって、服着たまま入るのは。ちゃんと脱いで下さい」

「すまん・・・脱がしてくれ」

「眠すぎて私達の裸に反応すらしないね。お世話はしっかりするよ安心して」

「ああ・・・任せる」

 

 裸にされて大浴場へ、クロシロも裸だが今はどうでもいい眠い。

 椅子に座らされ、全身を丁寧に洗われる。

 

「頭かゆい所ない?して欲しい事があったら言ってね」

「うーんいい体してますね。もうちょっと筋肉がついたら自分を抑える自信がありません」

「・・・ふぁあ」

 

 お湯をかけられても全然目が覚めない。

 

「クロちゃんは背中をお願いします。私は正面を担当しますので」

「はぁああ?ズルくない。私も前側を洗いたいのに」

「マサキさんの"うまだっち"する部分を洗うのは私です。ここは譲れません!」

「このメスウマがぁ・・・いいよ、私はマサキさんが覚醒中にやらしてもらうから」

「その時は選んでもらいましょう。私とクロちゃんどちらで"うまだっち"したいかをねぇ」

「望む所だよ。私とマサキさんが仲良くしているのを見せつけてあげる」

「・・・いいからはよしろ」

 

 体を洗って湯船につかる暖かい・・・余計に眠い。

 

「ここで寝たら溺れるよ!せめて呼吸器は水面から出して」

「私達に寄りかかってください、浮き輪代わりです」

「・・・おう」

「ここで素直になれないメスは「ひゃ!アンタどこ触ってんのー!」なんて言うんでしょうね」

「だねー。本当にバカだと思う。好きな人に触られて嫌がるって何なのホントに?」

「照れが勝ってしまうんでしょうね。一昔前の暴力ヒロインなんて理不尽の塊ですよ」

「照れて好きな男ボコボコにするって、よく考えたら怖いよね。ただのサイコパスじゃん」

「そういうのがカワイイと思う人もいるんですよ。マサキさんはどうですか」

「・・・どうでもいい・・・お前達がいれば・・・」

「ぐっは!今のヤバい、意識が薄れているのに私達の事思ってくれてる~」

「も、もう上がりましょう。このままでは湯船が私の鼻血で赤く染まります」

 

 風呂から出て、体を拭かれて、着替えさせられる。

 どこにでもある浴衣(サトノ家の家紋入り)が寝巻だ。

 完全に介護されているな。お礼を言わないと・・・。

 

「ありがとう・・・」

「いえいえ。操者のお世話ができて愛バ冥利に尽きます」

「ちょっと待っててね。私達もすぐ乾かすから」

「クロちゃん、私の髪と尻尾をお願いします。ブラシはこれを使って下さい」

「ええー自分でやりなよ」

「いいじゃないですか、マサキさんが来る前は二人で代わりばんこしてたでしょ」

「もう、しょうがないな・・・」

「そうそうそんな感じで・・・痛ったい!尻尾の毛がぁー!乱暴にしないで下さいよ!」

「文句が多いな、尻毛抜けたぐらいでガタガタ言わないでよ」

「ウマ娘のトレードマークの1つですよ。もっと丁重に扱って下さい」

「尻毛・・・シリゲとケツゲ・・・どう読むのが正解なんだ・・・」

 

 風呂上がりでサッパリしたのに眠気は酷くなる。ああ、お布団が恋しい。

 二人に誘導されて俺にあてがわれた部屋に到着。

 

「もう無理・・・寝る・・・」

「はいはい。横になりましょうね。位置は・・・そう、そこでいいです」

「うんしょっと。はい、就寝フォーメーション川の字はバッチリだね」

「掛け布団は要らないですかね。タオルケットだけでいいか」

「私達の体温がマサキさんを寝冷えから守るよ」

「・・・限界い・・・おやす・・・み・・・」

「はい。お疲れ様でした、おやすみなさい」

「おやすみー。・・・もう寝ちゃった」

「私達も寝ましょう。リモコンは・・・あった、明かり消しますよ」

「今日もマサキさんに包まれて眠れる・・・マジ幸せ」

「メジロの匂いも大分薄れてきました。またマーキングのやり直しですね」

 

 操者に密着して眠りにつくこの時間、幼い愛バ達は幸せをかみしめる。

 

「ねぇ・・・シロちゃん。体、大丈夫?」

「あなたこそ・・・痛みはありますか」

「ないよ。でも力の制御が上手くいかなくなってきた、力が入り過ぎたり、入らなかったり」

「私もです。感情面も少々情緒不安定になってきてます。少しずつ壊れていってますね」

「これが契約後の反動?聞いていたのと違う」

「マサキさんの覇気は既存の概念にとらわれないほど強力です。その影響をモロに受ける私達はただでは済みません。わかっていたはずなんですが・・・」

「怖いね・・・私達、どうなるの」

「わかりません。ただ私達に何かあれば・・・マサキさんは」

「きっと悲しんでくれるよね、嬉しいな。でも、ずっと泣いてほしくはないかな」

「クロちゃ・・・キタサンブラック、あなたにお願いがあります」

「何?言ってみて、サトノダイヤモンド」

「友として姉妹として同じ男を愛する一人の女としてのお願いです。もし私がいなくなったら・・・マサキさんを頼みます。どうか、この尊い人を支えてあげてください」

「バカな事いわないでよ・・・でも、了解だよ。私がそうなったら時はよろしく・・・」

「約束ですよ・・・」

「うん。必ず・・・」

 

 どちらかは生き残りましょうね・・・。

  

 愛バ達が密かな決意を胸に秘める中、俺はただ深い眠りに落ちていた。

 

 

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