俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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じっかへ

 クロシロの体に異変が起きつつある事を、俺はまだ知らない。

 

「ん・・・今、何時だ・・・」

 

 昨日はパパさんの刑が確定した辺りから眠くて仕方がなかった。

 そこからの記憶は曖昧だ。

 クロシロにお世話されながら風呂に入ったんだったな。

 ちくしょう!せっかく混浴したのに記憶があああああ!

 前に突入されたときはタオル巻いていたけど、昨日は裸だったのに。

 脳内に映像が残ってないし!今度お願いしてみようかな・・・。

 

「もうすぐ昼か・・・流石に起きないと」

 

 時刻を確認して体を起こそうとするが・・・あれ。

 クロとシロがいる。いつもなら俺より早く起きて活動しているはずだが。

 昨日は大変だったからな。きっと疲れていたのだろう。

 眠る二人を起こさないように気を付けて拘束を解く。

 冷えないようにタオルケットをかけ直してやるか。相変わらず天使な寝顔。

 本当に良く寝ているな。ちょっと体が動いた程度では起きない。

 朝の身支度を済ませて部屋を出る。クロシロはもう少し寝かせて置こう。

 ブリッジを目指して歩く。方向音痴でも流石に自室とブリッジまでは覚えた。

 

「おはようございます。すみません寝過ごしました」

「おはようグッスリ眠れたかな」

「おはようさん。やっと起きたか寝坊助じゃのう」

 

 パパさんとグラさん、周りのスタッフにも挨拶する。

 

「ブラックとダイヤは、まだ起きてこないのか珍しい」

「思ったよりも疲れていたのかもしれません、俺の部屋でまだ寝ています」

「まだまだ子供じゃからの。しっかり睡眠をとるのは大事じゃて」

 

 結局、二人が起きたのは昼を過ぎてからだった。

 なんだかいつもの元気がないように見える、心配だ。

 昼食後、「ごめん・・・まだ眠い」と言うクロの傍について頭を撫でてやった。

 眠りについたクロを確認する。気が付くとシロがいなかった。

 ブリッジには来ていないとの事、すれ違う乗員に目撃していないか尋ねながら捜索する。

 シロがいたのはヒリュウ甲板展望デッキだった。

 艦首側の転落防止柵にもたれかかりボーっとしている。

 その後ろ姿が何故だか消えてしましそうで、不安になった。

 

「シロ。あんまり身を乗り出すと危ないぞ」

「ああ、マサキさん・・・すみません」

「どうした今日はやけに大人しいな、クロも寝てしまったし」

「少し体が怠いだけです。心配ありません」

「風邪ひいたんじゃないのか?体調が悪いなら無理せず言えよ」

「優しいですね。大丈夫ですって、マサキさんの顔を見てるだけで元気になります」

「そりゃよかったな。そうだ、今日中にはラ・ギアスに到着するらしいぞ」

「おお、遂にお義母様とお会いできますね。・・・私なんかが愛バでいいんでしょうか」

「今更だな、いつも通りのお前でいろよ。母さんもきっとわかってくれる」

「そうですよね、なんか弱気になってました。よし!気合を入れ直さないと」

「うんうん。元気が一番だぞ」

「安心したらお腹が減ってきました。クロちゃんの分もおやつを食べてしまいましょう」

 

 元気を取り戻したシロが走り出す。

 思ったより元気そうでよかった。さっき感じた不安は杞憂だったか。

 

「あ・・・」

「シロ!?」

 

 走り出したシロが転倒する。は?あのシロが何も無い所で理由もなく転倒・・・。

 おかしい、絶対におかしい。

 俺の知らない所で良くない事が進行しているような・・・。

 慌ててシロに駆け寄る。

 

「大丈夫か!やっぱり体調がすぐれないのか?」

「え・・・はは・・・転んじゃいました。らしくないですね」

「ほら、つかまれ」

「一人で立てますよ・・・っ・・・あれ?おかしいな・・・」

「おい!フラフラじゃないが。一体何が、おい!しっかりしろ!」

 

 シロの異常を感じてすぐさま抱っこする。マズい、意識を失った。

 パパさん達の所へ行こうとしたとき、艦内アナウンスが入る。

 

「マサキ君、すぐに戻って来てくれ。ブラックの様子がおかしい」

 

 !?シロだけじゃなくクロまで・・・。

 言い知れぬ不安をかかえたままクロ達の下へ走る。

 腕の中のシロがぐったりしている。

 ・・・大丈夫だよな。なあ?

 

「クロ!無事か」

 

 クロが寝ている部屋に飛び込む。

 パパさんとグラさんに医療スタッフが数名いる。何がどうなってるんだ。

 

「何があったんですか?シロも様子がおかしいんです!」

「何?すぐに検査しよう。皆、ダイヤの事も頼む」

  

 シロをベッドに横たえると、すぐにメディカルチェックが始まる。

 苦しそうな顔をして眠る二人の愛バを俺は見ている事しかできなかった。

 部屋にいても邪魔になるのでパパさん達と外に出る。

 シロが突然転倒し意識を失った事を説明する。

 クロは様子を見に来たグラさんがどうやっても起きないのを確認したらしい。

 

「なんだよコレ・・・二人に何が」

「落ち着け。お主がパニックになっても状況は変わらん」

「先月の身体検査では特に異常はなかった。各数値も正常、病気の兆候など微塵も感じさせない健康体だった」

「昨日の戦闘で多少は覇気を消費したじゃろうが、この様な状態になるとは思えん」

「・・・俺ですか・・・俺が」

「お主の覇気が二人に影響を与えておるのは間違いない。何が起こっておるか、わしにもわからん」

「契約を切れば、そうすれば二人は俺の影響から・・・」

「操者との契約はそう簡単に切れるものではないよ。むしろ今、無理やり解除しようとすれば、それこそ何が起こるか・・・」

「ラ・ギアスにはいつ到着しますか?母さんやネオさんなら、何か知っているかも」

「そうだな。到着を急がせよう」

「俺は知り合いに連絡とってみます」

 

 嫌な汗が出る。指が震える。落ち着け俺・・・。

 こういう時頼りになる奴は1人しかいない。パパさん達から少し離れ電話をかける。

 頼む出てくれよシュウ。

 

「どうしました。また問題発生ですか?」

「すまん緊急事態だ。時間はあるか!」

「ただ事ではなさそうですね。いいでしょう話してみなさい」

「俺の愛バが、クロとシロが急に意識を失って目覚めない。原因不明だ」

「詳しい症状と、何か原因になりそうな要因を思いつく限り言って下さい」

 

 前日は特に異常が見られなかった事、昨日の戦闘や覇気どう使ったかを思い出しながら伝える。

 話していても良くわからない。本当に昨日までは元気に・・・そう見えていた。

 

「契約後の反動が今になって来たのかもしれませんが、昏睡するとは。ふーむ」

「お前でもわからないのか。だったらどうしたら」

「ラ・ギアスに向かっているのですよね。母達に連絡しましたか」

「俺の母さんがスマホを携帯しない人だって知ってるだろ?直接乗り込んだ方が早い」

「うちの母もですよ。ダメもとで連絡をいれておきましょう」

「頼むよシュウ。あいつらに何かあったら俺・・・」

「愛バを思う気持ちは、私も理解しています。あなたまでダメになってはいけません」

「俺はどうしたらいいんだ」

「傍にいてあげなさい。契約者同士の絆はどんな良薬にも勝ります」

「わかった。このまま母さん達に合流する」

「私は各方面から症例や研究データを収集、分析してみます。同士達にも情報提供を頼みましょう」

「よろしく頼む」

「ええ、また連絡します。気をしっかり持つのですよ」

 

 通話を終える。

 メディカルチェックの結果は異状なし。原因は全くもって不明。

 ただ二人の覇気に歪みが発生していると、グラさんは指摘した。

 よく観察すれば、確かに僅かな揺らぎのようなものが見える。

 昨日は感じられなかった。二人が意図的に隠していたのではと推測される。

 俺に心配かけまいと普段通り振舞っていたのか・・・。

 何もできない、二人を心配してオロオロするだけ、なにが操者だよ・・・。

 今この時ほど自分の無力さを痛感した事はない。

 ラ・ギアスに到着するまで二人を見守る事しかできなかった。

 

「よし!準備はよいな。しっかりついて来るんじゃぞ」

「はい。頼りにしています」

「私も後で合流する。娘達を頼んだよ」

「はい。先に行って待ってます」

 

 クロシロが意識を失ってしばらく経過した。

 現在、俺の実家上空をヒリュウは飛んでいる。

 この巨大な船体を停泊させるスペースが付近に無い為、俺とグラさんはここから飛ぶ。

 時間が惜しい。少しでも早く不調の原因が知りたい。

 戦艦を許可なく停泊させるにはいろいろ手続きがいるんだが、今は緊急事態。

 未だに起きないクロシロを俺の体に括り付ける。特殊素材でできた即席の抱っこひもを使用。

 フード付きの上着、騎神用バリアジャケットに身をくるんだ体をしっかり抱きしめる。

 これから人生初のスカイダイビングだ。

 格納庫の出入り口が開く。いよいよか。

 

「目標地点へ到達した。二人とも今だ」

「行くぞ!」

「はい!」

 

 グラさんに続いて空中に身を投げる。パラシュート?んなもんねぇよ!

 一度も使用した事がないパラシュートより覇気制御の着陸かました方がマシと判断。

 おお?早!もう大地が見えてきた。えーと、アレか?あれが俺の実家。

 上空から見た事なんか無いが、たぶん合ってる。隣の豪邸がシラカワ家だよな。

 グラさんにジェスチャーで伝えてみる。どう?伝わった。

 

「あそこでいいんじゃなー!あの庭あたりー!」

「そうですー!畑はやめてくださいー!母さんに怒られますからー!」

 

 もうちょっとだぞクロシロ。二人を支える手に力がこもる。

 

「先に行くー!」

 

 グラさんが地上へ向かって加速。

 先に着地して、後から来る俺の覇気制御をフォローしてくれる手筈。

 実家の庭の中心に着地成功するグラさん、お見事!

 着地の衝撃と炎を纏う覇気で庭が荒れ放題だが仕方がない。

 両手を振って「こっちじゃ!こっち」とグラさんが合図する。

 俺も続くぜ。覇気制御開始、全身とクロシロにもコーティング。最大限衝撃を和らげる!

 行けそうだ。このままグラさんがいる辺りへ・・・は?・・・え・・・ちょ、まて・・・。

 最悪のタイミングで事故が起こる。

 考えてみれば当然の結果、操者と愛バは覇気循環により常時繋がっている。

 愛バに異常事態が起きた場合、それが操者にも起きないはずはないのである。

 

「ざっけんな!くそ!ここまで来て」

 

 あれだけ溢れていた覇気の供給がストップする。

 覇気を製造貯蔵しているタンクに穴を空けられた感じだ。誰がそんな事を・・・。

 蛇口からではなく供給元から直接覇気を食らう存在、決まっている。

 クロとシロだ。

 そんな大量の覇気を使って何をする気だ?それはお前達が望んだ事なのか?

 眠り続ける二人は答えてくれない。

 でもそうか。そんだけ食らうって事はこれからも生きていくためだよな!!

 二人は死んだりしない。それがわかっただけでも十分だ。後は・・・。

 

「こりゃダメかしれねぇな」

 

 もうただの生身じゃん。パラシュートを疎かにした罰やね。

 クロとシロに残った覇気で全力防御。俺が纏う分は無いか、姿勢制御も難しくなって来た。

 このままじゃ、庭じゃなくて家、俺が使っていた部屋あたりに突っ込むな。

 グラさん、すみません。二人を頼みます。背中から落ちれば少しはマシか。

 最後に二人を思いっきり抱きしめる。こいつらは俺の宝物だ。

 

「クロ、シロ、大好きだぞ」

 

 目をつぶり覚悟を決める。

 神様に祈る瞬間ってやつは今だろうな。どうかお願いだ二人を・・・クロシロを守ってくれ。

  

 ん?なんか滞空時間が長いような・・・まだか?ねぇまだ?実家に突っ込む準備できてますよ。

 目をゆっくり開ける。天国じゃないだろうな。

 

「まさか空から帰省してくるとは思わなかったわ」

「・・・・」

「元気にしていた?なによその顔は、おーい私が誰かわかる?」

 

 神様っているんだな。

 誰よりもよく知っている。その声と姿を確認した瞬間、不覚にも泣きそうになった。

 

「・・・ただいま。母さん」

「うん。おかえりなさい。なんで泣きそうなの?」

「嬉しいからだよ」

「そっか。なんで空から?グラがいるのは何で?いろいろ聞きたいんだけど」

「たくさん話したい事があるけど、まずは・・・」

「ん?何を持ってるの。え?子供・・・嘘・・・息子が犯罪者に・・・」

「当然のリアクションだけど!緊急事態だから!この子達を、俺の愛バを助けてくれ!」

「愛バ!?え、あーもう、とにかく家に入りなさい。今降ろすから」

 

 母さんの覇気で編まれた風によって空中に浮かんでいたらしい。

 うちの母はサラッと空を飛びます。

 

「ふぅー。肝が冷えたぞ、急にどうしたんじゃ」

「心配かけました。急に覇気が無くなった・・・いや持っていかれたんで」

「家に来るのはアンタだけかと思ったんだけどね。久しぶりグラ」

「おう。息災でなによりじゃ。サイ」

「こいつらを寝かせてやりたい。母さん、部屋と布団を用意できるか」

「客間を使っていいわよ。布団も予備があるから使って」

「ありがとう。おじゃましまーす」

「実家よ。ただいまで、いいんじゃない」

「じゃまするぞー」

「アンタも来るのね」

「当たり前じゃろうが!」

 

 久しぶりの実家を懐かしむ暇もなく客間へ。

 布団と準備して二人を寝かせる。まだ起きないか・・・。

 

「それで?何があったか説明してもらおうかしら」

「ああ、その前にパパさんとシュウに連絡したい」

「ドウゲンへはわしが連絡しよう。サイ、茶を用意してくれんか」

「図々しいわね。ま、いいけどさ」

 

 シュウとパパさんに連絡して、母さんの入れてくれたお茶を飲んで一息つく。

 最初からかいつまんで説明する。ここ数日の激動を。

 クロシロの出会いに始まり、アルクオン戦、契約した事。

 サトノ家のヒリュウ、メジロ家のハガネ。グラさんの登場、超重力砲。

 そして今日、意識を失った二人をここに連れてきた事。

 まだ一週間たってないんだぜ。イベント濃いすぎるわ!

 母さんは時折、感心したり呆れたりしながら聞いていた。

 グラさん、いつの間にか勝手に煎餅食べてる。どこから持って来た。

 

「そんな事になってたのね。大変だったわねマサ君」

「そうなんですよ・・・ってネオさん!?」

「やっほーマサ君、おかえりなさい。グラさんもお久しぶり」

「おう、久しぶりじゃな。お主、会うたびに若返ってないか」

「そう?自分じゃわからないわ。サイさん、私にもお茶頂戴」

「アンタねぇ・・・せめて玄関から来なさいよ」

「丁度いい。ネオさんにも協力してほしいんです」

「シュウ君から聞いてるわ。愛バがピンチなんですって」

 

 ここまでの経緯を説明し、クロシロの状態を確認してもらう。

 

「天級騎神が三人もいるんだ。何とかなりますよね?」

「級位バレちゃった。まあいつかはそうなると思ったけど」

「今思えば気づかない俺がバカだった」

「幼い頃からこやつらの力を間近で見ておったんじゃ、致し方あるまい」

「この子達ね。あら、とってもカワイイ!しかも若い!サイさんの予想敵中ね」

「よ、良かったわね、マサキ・・・えっと・・・うん、ロリで・・・」

「母さん、引くのは後にして!今は二人を見てあげて」

 

 母さんとネオさんがクロシロの体を調べていく。覇気もチェックしてもらう。

 

「どう?何かわかったら教えて」

「体は正常、問題は覇気の方ね。この歪みは何?ネオはどう思う」

「そうね。いくつなの?10歳ぐらいよね。契約の反動と成長期が重なった?でも・・・」

「原因はマサキの覇気じゃろう。二人が受け止めきれる器ではなかったのかのう」

「まだ若いけど、この二人凄い潜在能力よ。器はかなり高品質だ思うけどね」

「さっき着地寸前に覇気をゴッソリ持っていかれたんだ。それも関係あるのかな」

「自身の覇気が不安定なのに、操者から更に吸収する理由は何」

「こんな症例見た事ないわ。でも応急処置として歪みを緩和させるぐらいは」

 

 ああだこうだと話し合って結論は出なかった。母さん達も知らない何かが起こっているらしい。

 一応、ネオさんが二人の覇気に調整を施したようだ。

 

「力になれなくてゴメンね。シュウ君が何か見つけてくれるといいんだけど」

「こういうのはガー子が詳しいのに、肝心な時にいやしない」

「他にこういう事に詳しい奴どこかにおったかのう」

「ウマ娘に詳しい・・・ウマ娘について徹底的に調査研究した人・・・ビアン博士!」

「ビアン?DC総帥だった、ビアン・ゾルダークの事。確かにあの人なら知ってる可能性も」

「こっちの頼みを聞いてくれるかしら?私達の事今でも目の敵にしてるし」

「命を救ってやった恩を返してもらう、いい機会ではないのか」

「俺ちょっと連絡してみる」

「あれ?なんでマサキが連絡先を知ってるの」

「リューネに頼んでみる。あの人娘には激甘だから」

 

 随分前から連絡していないが大丈夫だろうか?

 うお!ワンコールで出た!

 

「マサキ!いや~久しぶりだね。元気してた?」

「お、おう。突然すまない。親父さんはいるか?」

「親父なら研究室にこもってるよ。今度こそアンタの母さんを倒すロボを造るんだってさ」

「ヴァルシオン。まだ諦めてなかったのか・・・今、電話代われるか」

「ちょっと待ってね。おやじ―!マサキが話したいって」

 

 元気娘は健在か。

 小さい頃、母さんにリベンジをするため定期的に村を訪れる親子がいた。

 父は究極ロボという人型兵器を毎回母さんに破壊されて悔しそうだった。

 その間娘は俺やシュウと一緒に遊んでいた。それがリューネである。

 俺とシュウにとってリューネはたまに遊ぶゲスト的友人だった。いとこみたいな感じか。

 

「・・・なんだ小僧。今忙しい、くだらん用なら切るぞ」

「すみません。少々お聞きしたい事が」

 

 現状を説明する。原因不明の症状で愛バがピンチであると。

 

「それを私に聞いてどうする」

「あなたはウマ娘を危険視するあまり、誰よりも敵であるウマ娘を調査研究したはずだ。何がご存じでは?」

「そうだとして、お前に協力する義理はない」

「そこをなんとか、本当に困ってるんです」

 

 ウマ娘排斥を主導したDCの元総帥は今でもウマ娘嫌いか・・・母さんとは飲みに行くくせに。

 

「マサキ、ちょっと代わって」

 

 母さんにパスする。

 

「OKだって。明日にはここに来てくれるわ」

「早っ!どうやって説得したの」

「ヴァルシオンと戦う事が条件だってさ、前回より強くなってる事を期待するわ」

「前回・・・30体の量産型を"サイフラッシュ"でまとめて消し飛ばしていたわね」

「面白そうじゃのう。わしも参加していい」

 

 再びリューネに代わる。

 

「なんか大変そうだね。それよりおめでとうかな、操者デビューだね」

「本当はトレーナー志望だったんだがな」

「そっか。でもいいな~私も愛バが欲しいよ」

「そのうちひょっこり現れるよ。運命の出会いなんてそんなもんだ」

「運命?フフッ、仲が良いんだね。今度紹介してよ」

「そのうちな。お前はこっちに来ないのか?」

「DC残党の動きがちょっとキナ臭くてさ、親父の後始末も楽じゃないよ」

「そうか。落ち着いたらまた会おうぜ」

「うん。じゃあ明日親父が行くと思うけどよろしくね」

 

 総帥が退いた後も活動を続ける連中もいる。きっと当時の熱を忘れられないのだろう。

 元総帥と娘は自分たちの理念から外れ、ただのチンピラと化した残党を狩る側に回ったがな。

 

「ビアン博士が到着するまでどうしよう」

「マサキは二人を看病していなさい。といっても傍にいるぐらしかできないわね」

「ドウゲンもそのうち来るじゃろ。わしは昼寝でもしていようかのう」

「アンタは破壊した庭を片付けなさい」

「皆のご飯作らなきゃ。今日は人数が多いから頑張るわよ」

 

 今後の動きが決定した。ビアン博士ならどうにかしてくれるか。

 その時、クロシロの体が僅かに動いた。

 

「お、おい。クロ、シロ」

「・・・ん・・・ここどこ」

「・・・ふぁ・・・あれ・・・私」

「起きてくれた。クロシロ!心配したぞ」

「わふっ、えへへ起きてすぐのハグだー」

「え、泣かないでくださいよ。何があったんです?」

「・・・良かった、本当に・・・」

 

 ずっと起きなかったらどうしようかと不安だった。

 このまま何事も無ければいいが。

 

「起きたか。じゃが油断するな。覇気を見る限りまだ完治しておらん」

「応急処置が上手くいったみたいね。やるじゃないネオ」

「あくまで一時的な対処に過ぎないわ。でも良かったわね」

 

 クロシロが母さん達を見て目を丸くする。

 

「マサキさん、グラさんはわかるよ。でこちらの二人は・・・」

「と言うよりここどこですか?え、マサキさんのご実家・・・」

「おうよ。紹介するぞ。こちら母さんとお隣のネオさん、どっちも天級だ」

「初めまして。天級騎神、風のサイバスターよ。よろしくね」

「どうも~。天級騎神、闇のネオグランゾン。仲良くしてね」

 

 あ、クロシロが固まった。尻尾ピーンだ。

 

「天級が三人・・・何この状況・・・天国?地獄?」

「ご実家で爆睡するって・・・何やってんだ私・・・」

「あんまり緊張するな。言っただろう母さん達は善人だよ」

「はうっ!すみません。みっともない姿をお見せして」

「あの、もう手遅れかも知れませんが言わせてください」

 

 焦って服装を整える二人。姿勢を正しキレイな正座をする。

 二人につられて俺たち全員も正座。母さん達が微笑ましいものを見る顔をしている。

 「一番重要な事だけ手早く言いましょう」「そうだね。まだ頭が混乱してるし」

 聞こえてるぞ。

 

「キタサンブラックです」

「サトノダイヤモンドと申します」

「「天級騎神サイバスター様」」

「はい。何でしょう」

 

 一拍おいて深々と頭を下げる。二人とも真剣だ。

 

「「息子さんを、マサキさんを私達にください!!」」

 

 言ったぁー!俺の方が緊張したわ。母さんの返答はいかに。

 

「うん。ダメ!」

 

 クロとシロはそのまま石化して動かなくなった。

 

 

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