俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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きぼうとぜつぼう

 赤鬼・・・終わったな。

 

「じゃあ、あなた・・・殺すわね」

 

 いつも柔和な笑みを浮かべた優しさの権化であるネオさん。

 母さんと一緒に俺を見守り育ててくれた第二の母。

 

 その母さん2号が放つ殺気で全身が震える。

 殺気を向けられている訳ではなく、俺は助けてもらったというのに。

 この人が怖くて仕方がない。

 突如現れた絶体強者を警戒して赤鬼は動かない。

 

「ふーん。刀を使うのね・・・」

 

 そうつぶやくと同時。

 空中に黒い穴が空く、そこに手を突っ込んで中から巨大な大剣を取り出す。

 "グランワームソード"

 ネオさんが謎空間から取り出す謎の実体剣、布団叩きや、テニスのラケット代わりに使っているのを見たことがある。

 

「お互い剣で勝負しましょうか、いいわよ、そちらからどうぞ」

 

 先に攻撃して来いと相手を挑発する。

 即座に動き出す赤鬼、間合いを詰めることなく刀を振るう。

 俺を袈裟斬りにしたあの剣圧による斬撃か。

 肩に大剣を担いだままのネオさん。

 

「1回目」

 

 いつ動いたか全くわからない。攻撃された本人も理解していないだろう。

 赤鬼が頭から真っ二つにされた。分かたれ右半身と左半身が地面に倒れる。

 

「まだ始まったばかりよ。立ちなさい」

 

 驚異的来な再生能力で体を接合修復し立ち上がる。

 目の前の脅威を振り払らわんと攻撃を仕掛ける。

 

「2回目」

 

 今度は上半身と下半身が分断された。

 すぐさま再生し動き出す。

 

「3回目」

 

 首と四肢が宙を舞った。

 

「4回目」

 

 十文字に切断された。

 

「5回目」

 

 頭部以外の体を細切れにされた。

 

 勝負にすらなっていない、一方的な蹂躙。

 殺す者と殺される者がいるだけの処刑場。事務的に繰り返される惨劇。

 

「どうしたの?再生、遅くなってきてるわ」

「・・・・」

「まだ死なないわよね?この程度で死ねないよね」

「・・・・」

「全力を見せてよ。さあ早くはやくはくはやくはやくはくはくハヤク。さっさとしろゴミクズ」

「・・・ォオォォォォ」

「?」

 

 今まで無言だった赤鬼が声?を発する。

 それに呼応するかのようにクロスゲートが輝き出す。

 また何か来る。

 

「ネオさん!ゲートから何か来ます注意して」

「もうそんなに回復したのね。心配したわよマサ君」

 

 もう別に驚かない。

 俺と倒れていた謎の少女を抱え一瞬で赤鬼とゲートから距離をとる。

 大剣はどこにいったんや。

 

「クロスゲート・・・あそこから出てきたのね」

「はい。ここからかなりの数が村中に拡散しました」

「そっちはサイさんが何とかしてくれるわ」

「そうですか。今度は何が来るってんだよ」

「あのゴミが呼んだのかしら」

「ネオさん、この少女に見覚えは?」

「見ない顔ね、村の住民じゃない事は確かね」

 

 ネオさんも知らない謎の少女。誰だよホントに!

 再びクロスゲートから眩しい光が放たれた。

 

「おいおい冗談じゃねぇぞ・・・」

 

 またしても増援、骨と触手の大群その数は先程の比ではない。

 

「えーと500体ぐらいかしら・・・」

「それと・・・あのデカ物は何ですかね」

 

 骨と触手とアーマーを全部足したような巨体がいる。

 およそ10メートル、右腕が爪、左腕が触手。紫の装甲に角、牙、羽、足はもうなんだよ爪と触手の塊だ。

 全部盛りという奴か、こいつも厄介そうだ。

 

「やっとゲートが閉じたみたいね。体が少し軽くなった気がするわ」

「どうします。こんな大群・・・村存亡の危機では?」

「大丈夫よ、狙いは私みたいだしね」

「俺もやります。ネオさんに頼りきるのは情けない」

「だーめ。マサ君はそこの謎少女Aをお願い。まだ本調子じゃないでしょ」

「・・・わかりました。やっちゃってください!」

「任せて。お掃除は得意なの」

 

 謎少女Aを抱えて退避する。ネオさんの邪魔しちゃいかん。

 

「お待たせ~。ビビッてないでいつでもどうぞ」

 

 赤鬼と全部盛りを含む大群が一斉にネオさんへ襲い掛かる。

 一見すると悪魔の軍勢に襲われる、か弱き少女の絵図だが。

 俺には、魔王を前に恐慌をきたし特攻するしかないあわれな有象無象にしか見えない。

 ネオさんは特に構えるでもなく、鼻歌でも歌うような余裕をもっている。

 右手の人差し指を突き出し、子供がふざけてピストルごっこするような手の形を作る。 

 何それ霊丸?伊達にあの世は見てねぇぞ。

 

「ばん♪」

 

 突如として敵の周囲に出現した穴穴穴!その数は数えるのもバカらしい。

 虚空に現れた穴より高密度の覇気で練り上げられたエネルギー弾の雨が降り注ぐ。

 数、距離、図体の大小関係なくネオさんに敵認定された標的は全てハチの巣された。

 あれだけいた大群が瞬く間に滅ぼされる。

 運良く・・・運悪く生き残ってしまった何体かもズタボロで立っていることさえ不可能。

 赤鬼と全部盛りも体の各所を抉り取られ地に伏している。

 

「ワームスマッシャー・・・エグい技やで」

 

 その昔、村の山に不法投棄を繰り返す悪徳業者のトラック数台を穴だらけにする所を見せてもらった。

 最大65535の目標を同時に攻撃可能と冗談交じりに言っていたが。

 これを見る限りあながち嘘ではないらしい。

 

「ん?もうお終いなの。再生は?・・・まあいいか、そこの大きいの邪魔だから片付けるね」

 

 大剣を使うまでもない。まだ動けない全部盛りに近づいて素手て解体してゆく。

 10メートルの巨体を、身長160cmに満たない小さな体でなぶり殺す。

 角と牙をへし折り、翼をと触手を引きちぎる。首をもぎ取って胴体から核である物体を引きずり出す。

 嫌ー!スプラッター!

 

「これね・・・よいしょっと」

 

 小さな手が力を込めただけで核が砕けちる。

 完全に機能停止した残骸を放り投げて思案する。

 

「残こりカスはどうしよう。一ヶ所に集めてまとめて消し飛ばした方がいいかな。グラさんに焼却処分してもらうのもありか・・・」

「ネオさん!まだ残っている奴がいるから」

「おっと、そうだった。えい」(ワームスマッシャー(小))

 

 軽く指先を振る。虫の息だった連中は正確に核を貫かれ動かなくなった。

 

「残ったのは1つだけ・・・どうするマサ君?」

「いや、もうそいつ瀕死ですよ。放置してもいいのでは」

「それはダメ。このゴミはマサ君を殺そうとした。サイさんの、私の子供をそんな目に合わせた奴を許すわけにはいかない」

 

 ああ、この人は俺のために怒ってくれている。それに私の子供と言ってくれた。

 やっぱりあなたも俺の母親ですよ。シュウ、お互いたまには親孝行しような。

 

「もう十分です。強くて頼れるあなたはカッコいいですけど。いつもの優しいネオさんに戻ってください」

「でも・・・」

「お願いしますよ。ネオ・・・母さん」

「・・・もう1回言ってみて」

「いつもの優しいネオさんに戻ってください?」

「少し先!お願いしますよの後!」

「ネオ母さん?」

「や・・・やった・・・遂に言ってくれた!よっしゃー!サイさんゴメンね!!」

「えっと何が・・・」

 

 抵抗する暇もなく優しく抱きしめられる。

 

「昔ね、マサ君が私の事間違えて母さんて呼んだことがあったのよ。その事をサイさんに報告したらね」

「・・・ネオさんちょっと苦しいです」

「「マサキが私以外を母さん呼びする訳ないじゃない、ボケたの」と言われたの。もうすっごい悔しくて!」

「そういえばそんな事あったような」

「フフッ、後で教えてあげなきゃ。マサ君も証人になってね」

「えー、さっきのは勢いで言ってしまったと言うか・・・恥ずかしいです」

「もう!本当にカワイイんだから。そうだ!今からでも遅くない、サイさんを見限って私の次男に・・・」

「そこまでにしとけよ!ネオグランゾン!!!」

「おわっ!」

「なんだもう来たの」

 

 上空から飛来した覇気弾によって俺たちがいた場所が爆撃された。

 ネオさんはそれを苦も無く回避し、俺は良く知る人物に体を引っ張られた。

 

「母さん。来てくれたんだ」

「全く本当に油断も隙もありゃしない。何度も言ってるけど人の息子を取るな!!」

「私の息子でもあるけどね」

「あぁ!?」(やんのかごらぁ!)

「おぉ!?」(やったらぁこいや!)

「やめてー!二人が戦争したら世界が終わっちゃう!」

 

 この状況、最近クロシロがやったばかりだ。

 なんかクロとシロと、母さんとネオさんがたまにダブって見える。

 

「骨と触手の群れは片付いたの?」

「何とかね。地味に再生能力持ちだから面倒くさかったわ。住民に損害はゼロよ、流石私ね!」

「ビアン博士とクロシロは無事かな?」

「グラが保護しているから大丈夫よ。博士が変な鎧を連れて来たんだけど何だったの?」

「実は・・・かくかくしかじか」

「へぇーそんな事がね。やっぱりあの門、破壊した方がいいんじゃない」

「コスモノヴァと縮退砲の直撃に耐えきったのよ。現状では無理ね」

「ザムなら何か知っているかも、だってあいつも・・・」

「それより赤鬼はどうする?もう戦意喪失してるけど」

「こいつか、カワイイ息子の殺人未遂犯は?」

「そうよ。いっぱい血が出て大変だったんだから!処す!どうやって処分する?」

「そうだった、覇気で治療したとはいえかなり血を失ったわ。あーなんかクラクラしてきた」

「無理せず横になってなさい。その間にこいつを処遇を決める」

「シュウ君の知り合いに人をモルモット呼ばわりする。天才にして変態のウマ娘がいるんだけど。その子に売り飛ばすとかどう?」

「実験に失敗して後処理がもっと面倒になりそうだから却下!」

「ねぇ、なんか赤鬼が小刻みに震えているんだけど。もしかして泣いてる?」

「どちらにせよ生かしておく必要は皆無ね」

「それでこそサイさん!やっておしまい!」

「"カロリックミサイル"(指弾)で少しずつ体を削ってあげる。動くなよじっとしてろ!」

「なんか可哀そうになってきた」

「もう勘弁してあげて欲しいですの」

「「「???」」」

 

 いつの間にか目を覚ました謎少女Aが赤鬼を庇うように立ちふさがる。

 てかあの子浮いてない?ふわふわ浮いてるんだけど。

 赤鬼を庇う所を見るとこいつも門から来た同類だったのか。

 

「気配を全く感じなかったわ。アンタ何者?」

「こことは違う世界から来ましたの」

「やっぱりな」

「はい~。この世界に来る予定はなかったのですが、ちょっと寄り道ですの」

「あなた達の事情はよくわからないけど、さっさと帰ってくれない」

「こちらへ来た目的を果たしてから帰りますの」

「目的?何か悪事でも働くつもり。返答次第ではここで消えてもらうわ」

「おっかないですの」

「ちょ、何?俺を盾にしないで!」

「おい、息子から離れろ消し飛ばすぞ!!!」

 

 謎少女Aが俺に纏わりつく、母さんがガチギレしてる。

 俺の額あたりに指を当ててくる。

 

「ちょっと失礼・・・ふむふむ・・・ウマ娘・・・なるほど、そういう世界ですのね」

「どうした急に?」

「あなたの記憶からこの世界の情報を読み取りましたの。呼んだのは、あなたですのね」

「はい?呼んだ、俺がか?心当たりないし」

「適当な事いってんじゃないわよ。今すぐ帰るか、ここで消えるか決めなさい!」

「何か困ってませんの?私なら救えるかも、どうしますマサキ」

「俺の名前を・・・母さん待って!この子から話を聞きたい」

「ちっ、命拾いしたな」

「ではまず自己紹介を我々はアインスト、種の行く末を見守る存在でした。いろいろあって現在は活動休止中ですの」

「個別の名称は無いのか?不便だろ」

「私はアルフィミィと申しますの。そこで死んだフリするか悩んでる子はぺルゼインですの」

 

 フワフワ浮いてる青い髪の女の子はアルフィミィ。

 下半身の装備忘れてない?ブーメランパンツにスケスケの上着?異世界のセンスか。

 赤鬼、正確に言えばぺルゼイン・リヒカイトと言うらしい。

 ネオさんにビビッて死んだフリする気だったとか、思ったより感情豊かなのか。

 まあ、アレだけやられたらそうなっても仕方がない。

 骨はクノッヘン、触手はグリート、アーマーこと鎧はゲミュート、全部盛りはレジセイア。

 覚える気がないので適当に「へぇー」と流しておく。

 

「俺が呼んだというのはどういう事?」

「私がいた世界にも門がありましたの。ある日、強い思念に呼応して門が起動、同胞の1体が先走って飛び込みましたの」

「アーマーの事か」

「そうですの。「ちょっとコンビニ行ってくる」ぐらいの感覚で転移した、あの子を迎えに来ましたの」

「どいつもこいつもいきなり襲い掛かって来たんだが」

「未知との遭遇とは、まず闘争からですの?」

「知らねえよ。襲われた方は堪ったもんじゃない」

「突然の事で皆混乱してましたの。許してやって欲しいですの」

「こっちも母さん達の手で大分やってしまったが、それでも停戦する気あんの?」

「ご心配なさらず~。私達は個より全を重んじる郡体、同胞たちの死は残念ですが「まあ、そういう事もあるよね。次行ってみよう」ぐらいの感覚ですの」

「生死感の違いが酷い。でもアーマーやミィ、ぺルゼインには個性があるように見えるが」

「ミィ?ああ私の事ですのね。まれに個性を獲得する者、群れを統率するため最初から独自の人格を持っている者がいますの。ぺルゼインや私は後者ですのよ」

「アーマーは突然変異の個性持ちか・・・それで、えーと」

「ねえねぇ、うちの子凄くない?あんな怪しい存在と談笑してるわよ」

「親バカね・・・でもマサ君は昔からコミュ力高かったわ。特に女の子には」

 

 アルフィミィことミィと情報を交換する。

 言動までフワフワしているが頭は良いようだ、思いのほかスムーズに話が進む。

 

「とっても強い力を持ってますのね。どうしても叶えたい願いがあるのでは?強いストレスに晒されたあなたは無意識に門を起動、私達を呼んでしまったですの」

「原因俺!最近多いな・・・願い・・・あいつらを助けてくれるのか?」

「残念ながら万能の神ではありませんの。できる事には限界があり、それに応じた対価も払って頂きますの」

「なんでもいい!二人が助かるなら。異世界の力でもスケスケブーメランでも」

「「スケスケブーメランwww」」

「母さん達!笑っちゃダメよ。スカート履いてないこの子がバカみたいでしょ!」

「むう。いつかこのファッションを宇宙中に流行させてやりますの」

「とりあえず家に来てくれ。見て欲しい奴らがいる、いいよな母さん」

「ええー家に来るのー・・・ご飯どうしよう、この世界のもの食べれる?」

「ええ。嗜好品は大好きですの」

「村の見回りと後片付けをしなくちゃ。マサ君先に帰ってて」

「ぺルゼイン、行きますの」

 

 修復を終えたぺルゼインがミィに従いこちらへ来る。

 俺の目の前で立ち止まる。ジッとこちらを観察するような視線を感じる。

 

「何ガン飛ばしてんの?やる気か!今は勘弁して!お前の方が絶対強いから」

「あらあらあら、マサキに興味があるみたいですの」

「ヒェッ!人外からモテるフェロモン出すぎじゃないの・・・こいつも家に来るのね」

 

 3メートルぐらいあったぺルゼインの身長が2メートル弱ぐらいまで縮む。

 こいつ俺に合わせて体格を調整した・・・それでも190cmはあるんじゃね。

 

「じゃあ行こうか。母さん後よろしく」

「はいはい。すぐ帰るからね。このアインスト?の残骸はどうしたら」

「放っておけばそのうち大地に帰りますの。有害物資無しのクリーンな体組織構成ですの」

「あ、本当だ。もう風化していってる。死体が残らないのね」

 

 奇妙な二人を連れて帰宅する。

 村の景色はいつもと変わらない、ここの住民は異世界から化物が来た程度では慌てないんだな。

 母さんの仕業だろう、所々穿たれた大地と風化してゆくアインストが見えた。

 

「ぺルゼインはそれなりの増援を呼んだみたいですのに、まるで被害が出ていませんの」

「母さん達は正真正銘のチートキャラだ。仕方ないよ」

「良かったですの。ここ以外の場所に出ていたら現地人を殺戮、その後全面戦争の流れでしたの」

「怖いわ!でもそうか・・・この世界的にはかなりの大事だったんだな」

「私がいた世界では戦争になりましたのよ。キョウスケたちのお蔭で私は今も生きてますの」

「・・・ミィの世界は平和じゃないのか」

「次から次へと問題が発生する混沌とした世界ですの。主戦力は巨大ロボですの」

「嘘ッ!マジでか!ネオさんが狂喜乱舞するぞ」

「一種のパラレルワールドですのよ。この世界と存在が近しい人や物もたくさんありますの」

「へぇー、じゃあ別世界の俺もいるのかな」

「あなたは・・・どこかで・・・う~ん。鋼龍戦隊全員の顔を覚えているわけではありませんの」

「ハッキリしないな。向こうの俺も方向音痴なのかね」

 

 ミィがいた世界と俺の世界は似ている所が多いらしい。

 俺の世界には巨大ロボはいない、ミィの世界にはウマ娘がいない。

 ミィの世界ではぺルゼ達は20~40メートルクラスの巨体、レジセイアは100超えだとか。

 この世界に来た時に縮んだとの事、世界の理が働いたとかよくわからん説明をされた。

 帰宅するまでお互いに興味深い会話ができた。ミィは少々変わってるが良い奴だな。

 俺たちの後ろからぺルゼインががついて来る。ずっと見られている感じがして落ち着かない。

 

「おお、帰ったか。何じゃまた妙な連中を連れてからに」

「ただいまです、グラさん。二人は?」

「まだ目覚めぬわ。ビアンもヘンテコな鎧と帰って来ておるぞ」

「お邪魔しますの」

「早速だがクロとシロを診て欲しい。頼めるか」

「お任せくださいですの。ぺルゼインをよろしくお願いしますの」

「えーと、どうしよう。とりあえずこっちに」

「わしは茶でも入れてくるかの」

 

 ミィが二人を診察している最中、おれはぺルゼインと縁側で茶を飲んでいた。

 お茶いる?と聞いたら首を振ったので俺だけ飲んでいる。

 

「ぺルゼって呼んでいい?俺もマサキでいいぜ。見せてもらおうかお前のコミュ力を」

「・・・・」

「なあ、さっきのアレ斬撃飛ばすヤツどうやったの?俺でもできる?」

「・・・・」

「そっか、乗せる覇気を調整すればいけるかもな・・・でも俺、刀剣使うの苦手なんだ」

「・・・・」

「は?嘘!ミィ彼氏いんの?どんな奴よそれ。語尾「これがな」の赤ワカメ?なんだそりゃ」

「・・・・」

「ぎゃはははははは!いやそれはウケる!あー腹いてー!」

「・・・・」

「でさウマ娘は最高なわけよ!聞いてる?今、寝て無かった?」

 

 メッチャ会話弾んだわ!殺し合いした仲なのに。

 会話方法はぺルゼの言いたい事が直接脳内にイメージとして伝わる感じ、テレパシーかな。

 

「随分と楽しそうだな。そいつは敵だったろうに」

「あ、ビアン博士。アーマーも」

「・・・・」

「反省・・・だが・・・後悔」

 

 なんかぺルゼがアーマーを叱っている。

 たぶん「勝手にどこ行ってたの?心配したでしょーが!」「反省してまーす!でも後悔してないっス!」

 

「終わりましたの。あら、ゲミュートここにいましたのね」

「・・・すまんの」

「なんだこの怪しい小娘は!」

 

 なんかアーマーの言語がどんどんおかしくなってきている。

 博士に事情を説明。

 ミィが博士のデコに触れて情報を読み取る。

 

「アインスト、異世界からの来訪者か興味深い。ぜひサンプルを取らせてくれ」

「後にして欲しいですの。それより博士の知識を得た事で原因と解決策が見つかりましたの」

「そいつは重畳!聞かせてくれ!」

「お腹ペコペコ、栄養失調、ご飯が足りませんのよ」

「わかるように説明して!」

「三人の覇気は混ざり合い、次の段階へ上がろうとしてますの。その前準備として愛バは活動時間を極力抑えるようになってますの。あなたがもっと二人に覇気を与えなければ死んでしまいますの」

「何?マサキの覇気過剰供給で体がもたないのでは無かったのか」

「逆ですの覇気が足りないですの」

「そんなはず無い。俺は今この瞬間にもクロシロに覇気を吸い取られている」

 

 そうだ。実家に空中から帰省をした頃から二人が要求する覇気の量が増えた。

 過剰供給はいけないと思って元栓を閉めても無駄だった。貯蔵庫から直に食われている。

 

「お茶碗にご飯は山盛りですの。でもおかずが全然足りませんの」

「何の例えだ?」

「わかったぞ!小僧以外の覇気を必要としておるのだな!それも大量に」

「正解ですの。山盛りご飯を片手に、フルコース、満漢全席、食べ放題をご所望ですの」

「何よそのフードファイターも引く例えは」

「まだわからんのか。お前は雛鳥に餌を運ぶ親鳥役だ。なるべく多くの騎神から覇気を吸収して供給しろ、それで二人は助かる」

「ホントか!それで二人は助かるのか!よっしゃー希望が見えてきた」

「普通は他の騎神から覇気を吸収するなど、そう簡単にできませんのよ」

「俺はできたんだが。マックやグラさんに触れた時の感覚がたぶんそうだろう」

「その後何か異常はありませんでしたの」

「・・・すっごく眠たくなった」

「取り込んだ他者の覇気があなたの覇気に混ざる度、死にかけてる事に気づいてますの?」

「・・・あの眠気・・・下手したら永眠するヤツだったの!」

「次に他の騎神から覇気吸収をしたら命の保証は無いですの」

「/(^o^)\ナンテコッタイ」

「供給元である小僧が死ねば二人も死ぬな」

「なんだよ。方法はあるのに、俺が弱いせいで結局二人は助からないのかよ」

「そこで私の出番ですのよ。あなたの覇気と体を弄って覇気吸収(エネルギードレイン)を完全習得させてあげますの。体に耐性もできて永眠も回避できますの」

「ミィ様ー!あんたならやってくれると信じてた!」

「ふん。私の知識あっての結果だな」

 

 やった!やったぞ!二人は助かる!

 

「ただでは働きませんの。等価交換ですのよ」

「足元見やがって!金ならねーぞ。俺ができる範囲でお願いします!!!」

「この世界にとってアインストの力は奇跡そのもの、奇跡を起こすだけの価値。命の輝きを見せて欲しいですの」

「俺の体が目的か?しょうがねぇ、俺の初うまぴょいはミィにくれてやろう。優しくしてね」

「超いらないですの」

「ならどうしろと」

 

 横に座っていたぺルゼが立ち上がり、俺を見据える。

 

「この子の願いを叶えて欲しいですの。そうすればあなたの願いをかなえますの」

「ぺルゼの願い・・・」

「あなたとの再戦を希望してますの。誰にも邪魔されず、一対一で心ゆくまで殺し合いたいと」

「やっぱりお前脳筋バーサーカーだったか」

 

 こいつは強い、ネオさんがいなければ殺されていた。

 そいつと再戦しろだって?

 もちろんOKだ!それでクロシロが助かる。それにやられっぱなしはムカつく。

 

「いいぜ。そのタイマン買った」

「契約成立ですの。うーんと、3日後ぐらいでいいですの?」

「ああ、正直今すぐじゃなくて助かる」

「ついでに、私達の宿を用意して欲しいですの」

「ちゃっかりしてるな。母さん達に聞いてみる」

「3日後か、それまで小僧の愛馬はもつのか?」

「サービスで二人が寝ている限り、命の別状がないように調整しておきますの」

「ありがとう。本当に助かる」

「再戦であなたが死ねば、全てが無かった事になりますの。奇跡の代償は安くありませんの」

「それでもありがとう。希望は見えた」

「・・・あ、そうですの。重要事項の説明を忘れる所でしたの」

「ちゃんとご飯は用意するから安心しろ」

「そうじゃありませんの。あなたがドレインを習得してからの話ですの」

「おう。騎神に協力を頼めばいいんだよな」

「なるべく級位の高い騎神や今後の成長が期待できる騎神未満のウマ娘からドレインして欲しいですの」

「高い食材と鮮度のいい食材・・・うちの愛バってグルメね」

「その期間は二人から距離をとってくださいですの。あなたが傍に居ては覇気調整の邪魔になりますの」

「そんな・・・あいつらの傍にいられないなんて・・・ちなみにどのくらい?」

「う~んと・・・3年ぐらいですの」

「は?」

「3年間愛バに近づかないで欲しいですの」

「うっそだろぉおおおおおおお!!!!!」

 

 ははは・・・知ってるか?俺は寂し過ぎると死ぬんだぜ・・・orz

 

 

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