ぺルゼと再戦が決定。
ドレイン習得後クロシロに3年間近づくなだとさ。
「ただいまー。帰ったわよ、おかえりって言ってよ」
「ただいま。何この空気」
「おかえりじゃ。良い知らせと悪い知らせがある。実はな」
ぺルゼは再戦日まで山に籠って精神統一すると言って出て行った。
すげぇな武人かよ。
博士とミィとアーマーは異文化技術交流トーク中だ。
俺は今クロとシロの寝顔をボーっとして見つめている。
「それでマサキはあの状態なのね」
「マサ君、FXで有り金全部溶かした人の顔になってるわ」
「もう見ちゃおられん。何とかしてやってくれ」
「マサキ・・・しっかりしなさい!今は他にやるべき事があるでしょ」
「そうよ。あのゴミにリベンジしないといけないのよ。3日間で何とかしないと」
「無理だ・・・」
「何諦めてんの!それでも私の息子なの!」
「弱気になっちゃだめよ!あ、サイさんマサ君いらないならもらうわね」
「誰がやるか!ねえマサキあなたはできる男よ。きっと勝てるわ」
「3年だぞ・・・それだけあったらクロシロは・・・チャラ男寝取られの悪夢が現実となってもおかしくない」
「ねぇ聞いてる?」
「今からの成長期が幼さと美しさの融合!一番の見所だぞ、それを見逃すなんてとんでもない!」
「マサ君?これはダメね、目がいっちゃってる」
「そもそもクロシロを失った禁断症状に耐えられるのか?へへ、いつの間にかすっかり中毒だぜ」
「勝負の事は全く考えておらんのう」
今日はまだクロとシロは起きてこない。
二人は成長するために省エネモードになっている。
俺が覇気を供給してやらないと成長が上手くいかず死に至る。蛹から羽化に失敗した蝶のように。
それだけは嫌だ!こいつらには生きていて欲しい。
どちらか一方しか選べないと知った時は本気で悩んだ。でも死にかけてわかったよ。
俺は欲張りなんだ、どっちかじゃない両方とももらう。俺が欲しいのは二人だ。
3年も会えないのは辛い。でも二人のためなら・・・我慢できる・・・本気でツラい。
へこんでる場合かよ!目の前の課題を片付けろ、生半可な気持ちで勝てる相手じゃない。
「そうだ3日しかないんだ・・・母さん!」
「急に復活した!何マサキ?」
「ぺルゼに勝ちたい、生き残って二人を救う旅に出るために。俺に稽古をつけてくれ」
「それでこそよ。みっちり鍛えてあげる、懐かしいな昔を思い出す」
「私も協力するわ。何でも教えちゃう」
「わしもおるぞ。天級の叡智と技、可能な限り叩き込んじゃる」
「ありがとう!本当に母さん達の子で良かった」
「こりゃまだ子離れできそうにないわ。嫁いびりはしないけど」
「あーなんだかシュウ君に会いたくなって来た。あとで連絡してみよう」
「ヤンロンは元気にしとるのかのう。父親に似て重度の修業バカに育ってしもうたが」
「アンタの旦那、今何してるの」
「中国で武術の道場を運営しとるよ。アクション映画やスタントマンの指導と監修も手掛けておる」
「あの烈海王みたいな人ね。礼儀正しくていい男よね」
「グラさん、息子がいるんだ。どんな方です?」
「お主よりちぃと年上の故事成語マニアじゃよ。少々生真面目でたまに暑苦しい」
「人間・・・操者ですか」
「まだ契約したとは聞いとらんよ。親のひいき目じゃが覇気は中々のもんじゃ、お主と戦っても負けんじゃろ」
「は?うちの子が負けるだと、ちょっとイラっとしたわ」
「いつかシュウ君も混ぜて競わせてみたいわね」
とりあえず飯だ。しっかり食べて体と気持ちを落ち着ける。
その日はミィや博士も呼んで賑やかな夕食となった。
アーマーは部屋の隅っこで動かない、ミィ曰くもう眠ったらしい。食事は要らんのに睡眠は取るのか。
クロシロは起きて来なかった。
「行ってくる。留守番を頼むぞ」
「はい~行ってらっしゃいですの」
「精々気張れよ小僧」
「・・・応援」
翌日から修練開始、博士達は留守番。
母さん達と村の中心から離れた所にある森の広場に到着する。
樹齢何年か不明な大木がそびえ立つここは修練場。幼い頃はよくここで遊びと言う名の訓練を受けた。
母さん達が周囲に結界を張ったとかで、少々無茶をしても流れ弾が村の住民を襲う事は無いんだとか。
「早速やるわよ。覇気の制御と応用を中心に教えるでいいのかな」
「それぞれ教えたい事を教えるでいいんじゃない?」
「適性を見てから決めた方がよいじゃろう。短所はある程度まで、長所はできうる限り伸ばす」
教えを乞う身でなんだが、母さん達はあんまり指導者に向いてはいないと思う。
本人達も自覚しているので俺のために頭を捻ってくれている。
あれだよ天才や優等生特有の「なぜこんな簡単な事が出来ないの?わからないの?」ってヤツ。凡人のスペックを理解できないんだ。
結局見よう見真似の模倣と、超手加減模擬戦になったりする。
「得物は準備するけど、頼り過ぎないようにね。使い捨てる気でいなさい」
「了解。戦闘の基本は素手での格闘戦だよね。でも、もう一捻りなんか欲しいな」
「相手の意表を突くのも大事か。見て、覇気を使うとこんな事もできるわよ」
「それいい!遠くの物を取るのに超便利じゃん。もっと早く知りたかった」
「うんうん。いい感じね、継続時間の延長とONとOFFの切り替えをスムーズにね」
「こんなの常時展開してたらそりゃ強いっスわ。ズルい~ウマ娘ずるいわ~」
「応用だけど轟級以上は当たり前に使ってくる娘が結構いるわよ。さあ頑張って」
「そうじゃもっとこう、バーッとやってグワーッとじゃ」
「そんなんでわかるか!あ、できた。意味不明な説明なのに不思議だ!」
「考えるな感じろ!」
「うっす。やってやりますよ」
あっと言う間の3日間、朝起きて修練場へ行きヘロヘロになって帰宅。
かなり無理な詰込み学習になってしまったが仕方がない。
明日はいよいよぺルゼとの再戦の日だ。大丈夫・・・やれるだけやった。
「明日は頑張って来るぜ。お前達も応援してくれよな」
「「・・・・」」
クロとシロは3日前から起きて来なくなった。
ミィの処置によって寝ている間は安定しているらしい。
起きて来ないという事は、活動時間に回す力が無いことの証明だ。
「じゃあ、おやすみ・・・」
二人の穏やかな寝顔を確認して部屋を後にする。
明日に備えて早く寝よう。
翌日。
再戦の場所はなんと村の中央広場だった。聞いとらん。
本来は村民の憩いの場として開放される広大な土地は本日、戦場となる。
「どういう事?ねぇこれどういう事?」
どうしてこうなった。
人だ人がいっぱいいる。村民がほぼ全員いるんじゃないか?
出店や屋台が立ち並び、空中にはカメラを付けたドローンまで飛んでいる。
ここに来るまでに多くの人から「頑張れよー!」と激励された。
お祭りじゃんか。うっわ!超大型のモニターまで設置してある。
「うちの村ってさ、イベント少ないでしょ。今日の事を村長が嗅ぎ付けてお祭り騒ぎにしちゃったみたい」
「見世物かい!観客に被害が出ても知らねぇぞ」
「そこは私達に任せて安全面には極力配慮するつもりよ。ライブ映像でシュウ君も観戦するって」
「そう言えばシュウの事放置してたわ・・・ライブ?」
「ドローンが飛んでるでしょ。後、カメラマンもベストポジションに待機済みよ」
「ギャラリーがおった方が燃えるじゃろ」
「この空気に飲まれないといいんですがね・・・緊張してきた」
「腹をくくれ小僧。お前の戦闘データはバッチリ記録してやる。逝って来い!」
「・・・勝利・・・期待」
「アーマーありがとう。博士、ビール片手に何言ってんすか、もっとちゃんと応援して!」
「マサキ君、くれぐれも気を付けて。危なくなったら無離せず降参しなさい」
「パパさん・・・すみません。契約を切ればこんな面倒な事にならなかったのに」
「いや、娘達の意思を尊重してくれて感謝する。二人を諦めなかった君に後は任せるよ」
「はい。あいつらに誓って・・・」
母さん達だけじゃない、顔見知りの村民やパパさんヒリュウのスタッフ。
シュウも自宅で観戦するらしい。こりゃ情けない姿は見せられん。
会場に集まった人々に向けて村長が注意事項等を説明していく。
要約「天級がいるから心配ないと思うが、危なくなったら超逃げて!」だった。
ルール説明。
武器の使用はOKただし広範囲に被害をもたらす武装、技の使用禁止。
殺し合いと銘打っているが、勝敗が明らかになった場合は天級がストップをかける。
戦場は村全域だがなるべく広場を中心とする事。建造物の破壊は最小限に抑える事。
後は勢いとその場の流れで臨機応変に対処せよ。
午前10時前、会場が騒めく・・・来た。ぺルゼとミィだ。
「おい、アレとやるのか?いくらサイさんの息子でも」
「騎神じゃない私にもわかる、アレはヤバい」
「マジもんの化物じゃねーか。いいのかよ本当に」
「それよりなんだあのスケスケブーメランはけしからん」
「カメラさん!もっと寄って女の子の方をアップで!」
「マサキさん!俺っス!高校卒業前にあなたに告白した。後輩の保母尾(ホモオ)っス」
「ホモ男・・・お前まだ先輩の事を・・・俺もマサキさんにならうまぴょいされてもいい」
「マサキさん!お母さんを僕に下さい!!」
「て、天級が三人も・・・あ、握手とかお願いしてもいいのかな」
「ネオさんー!結婚してくれー!」
観客のボルテージは最高潮だ。
何人か良からぬ発言をした者がいるが、聞かなかった事にしよう。
「準備はいいですの。こちらはバッチリですのよ」
「ああ、問題ない」
「ではお互いに良き殺し合いを~」
ミィが母さん達のいる所まで下がる。
応援してくれる人達を目が合う「行って来い!」と背中を押してもう。
観客の中にクロシロはいない・・・。でも俺は今もあいつらと一緒だちゃんと繋がっている。
「今日はよろしく頼む」
「・・・・」
今の・・・お辞儀か・・・ぺルゼが礼をした。俺も釣られて礼を返す。
騒ついていた観客が静かになる。いよいよだ。
村長のが開始の宣言をする。
「それでは!ガンダムファイトォオオオレディイイイゴオォオオオ!!!」
Gガンダムじゃねぇよ。
開始早々ぺルゼが刀を出現させる。お得意の剣術か・・・付き合うぜ。
俺は肩に下げた袋から二振りの剣を取り出す。袋はミィが回収すまんな。
「ふん。正に付け焼き刃だな、小僧の戦闘スタイルと合っておらん」
「うるさいわね。剣には剣で対抗したいって言うから仕方なくよ」
斬撃飛ばしが来る前に距離を詰めて切り結ぶ。
鋭い刀の一撃を二本の剣で受け流し、隙あらば攻勢に出る。
「ふっ!」
向こうは一本で対処しているのが技量差を感じさせてくれる。
空いた手でこちらを牽制するのも忘れない。利き手の概念は無いらしい。
右手左手どちらに持ち替えようとも精度が劣る事は無い。
一旦下がる。
「そらっ!」
右手の剣を投げつける。
正当な剣術なんぞ学んでません。相手にダメージが入るならどんな使い方でもやってみる。
簡単に弾かれる宙を舞う剣。その間に接近して左の剣で切りつける。
避けられた!ならば!
ジャンプして空中の剣をキャッチ。二振りを合体させて一本の大剣にする。
「こいつで・・・どうだ!」
上空から思いっきり叩きつける。覇気もたっぷり乗せてやった。
刀でガードしたぺルゼは勢いを完全に殺しきれず、衝撃が地面を割り砕く。
理想なら今ので刀をへし折っておきたかったが・・・。
「す、すっげー!何が起こった。早すぎてよくわからん」
「これが人間の動きか・・・天級の子は伊達じゃない」
「マサキさん!最高っス!抱いてください!」
"バニティリッパ―"
母さんが急遽用意してくれた二振りの剣。
サトノ家技術部の協力のもと天級の覇気を込めて造られた一品。
状況に合わせて双剣と二つを合わせた大剣に切り替えられる。
急ごしらえなので耐久性に難あり。
「なんじゃあの脆い剣は!マサキの覇気に全然耐えきれておらん」
「いつまでもつかしら・・・マサ君に下手な武器は邪魔になるだけね」
「わかってるわよ。くっそ!ディスカッターさえあれば」
リッパーは使い捨てだ。気にせずにどんどん仕掛ける。
ぺルゼと剣戟を再開させる。いかんな、このままじゃ打ち合ってる最中に剣が砕ける。
よし。剣は捨てよう!慣れない事はするもんじゃない。
「ほい!」
双剣をあらぬ方向に投げる。
「何やってんの!」ギャラリーの皆さんうるさいです。
懐に潜りこんでのインファイト。距離が近すぎて長い刀は不利じゃね。
刀を焼失させてぺルゼも肉弾戦に切り替える。そういえば浮遊する鬼面がいない。
こっちに戦い方を合わせてくれているんだな。何と言うフェアプレー精神。
俺はいろいろ試してみる派なんです。
卑怯とか言うなよ、再生能力持ちめ。
「こんなのはどうだ」
「!?」
ぺルゼの背後に放り投げてあった双剣が突如動き出しこちらに向かってくる。
避けようともおれが正面で攻撃を続けているので動けない。
二本の内一本は操作をミスったので届かず。
ぺルゼが何とか弾いた一本は上空へ。空中で回転を続ける。
「こっちだ」
ちょっとだけバックステップ位置を調整する。
追撃しようと踏み込んだぺルゼ、そこに切っ先を下に向けたリッパ―急降下。
ぺルゼの肩に深々と突き刺さる。しゃあ成功!
怯んだぺルゼの顔面に力を込めた蹴りを見舞う。こいつは痛てぇぞ!
後方に吹っ飛ぶぺルゼ、観客たちは咄嗟に回避する。
あ、大き目の民家に突っ込んだ!空き家だからセーフ!と村長が言ってるからセーフ。
「今のなんですの?念動力?」
「違うわ、伸ばした覇気で剣をコントロールしたのよ。今は細いロープ状二本が限界、操作も甘いわね」
「最後のはしっかり掴んで目標に命中させたじゃない。一本に集中したのが良かったのね」
「覇気で作られた触手か、物や相手を手繰り寄せたりいろいろ使えそうだな」
「触手はやめて鞭って言ってよ」
起き上がるのを待ってるやる余裕はない。
土煙を上げる瓦礫に飛び込んで追撃する。
どこだ・・・どこにいる。あいつ気配遮断もできるのか。
「がっ・・・!」
痛っ!いきなりぶん殴られた。攻撃が来た方向は・・・。
こっちか?あれ?スカった・・・この土煙ほんと邪魔。覇気で吹き飛ばすか!
やめ、痛い!一瞬でいいから集中させろや!
「なんも見えねえ。どうなってんだカメラもっと寄せろ」
「打撃音は聞こえるが、どっちが優勢だ」
「お、出てくるぞ」
やっと出て来れた。散々殴りやがって!
肩に刺さっていたリッパ―を回収できたので、地面に転がっているもう一本を拾って合体。
大きく振りかぶって力任せに叩きつける。
リッパ―が音を立てて砕け散った。
「ひゃ!もう壊れた。ちくしょーめ!」
残った柄の部分をぺルゼにぶん投げる。顔に当たったが衣にも介さない。
そのまま格闘戦にもつれ込む。結局こうなるのね。
俺の攻撃が1発決まる度にぺルゼから2、3発もらっている。ヤバいこいつ・・・。
「お前修錬しただろ!前はこんな動きしてなかったぞ」
「・・・・」
3日修練していたのは俺だけじゃなかった。
こいつは俺の格闘スタイルから学んで動きを自分なりに構築して来た。
大した奴だメチャクチャ様になっているじゃない。
マズい、使うか・・・でもこれは最後の切り札だし。
俺にはもちろん、クロとシロにも負担がかかる。使いどころを考えないと。
「防戦一方じゃねーか!踏ん張れ―!」
「どうするんだ後がないぞ!」
「俺の初めてをあげるっス!だから頑張ってください!」
いらん!!!
さっきからお前の発言でどんだけやる気が下がっていると思っている!
ヤバいヤバいヤバい!ぺルゼの勢いに完全に飲まれつつある。
ホモの発言と焦りで生じた隙を見逃すほど相手は甘くない。
気が付くと俺の体は地面に叩きつけられていた。
「・・・・ぐっ!?」
投げられた?こんな簡単に、すぐに立て直さないと・・・うげっ!
マウントポジションを取られた。防御するのが精一杯。
もうボッコボコですわ。立ち上がる事すら許されない。
あばばばば!!!ああ、殴られ過ぎて腕が痛い!防ぎきれないダメージが体に蓄積していく。
「おい・・・止めなくていいのか、死んじまうぞ!」
「何なのアレ、マサキの攻撃が効いてないの?え、再生?ズルい!」
「子供は見ちゃいかん!血が出過ぎだR指定だろコレ」
「マサキさん、お、俺のマサキさんが」
「やだ・・・・ねえ、あの人やられちゃうの」
観客の声も聞こえない、視界も霞んで来やがった。
立て、立たないと死ぬぞ!
無謀だったのか、力量は完全に向こうが上、3日でどうにかできる相手じゃない。
最初からわかっていた、それでも挑んだのは理由があったからだ。
あいつらと契約を切りたくないんだ。俺のために無茶する二人を助けたいんだ。
だったら立てよ!
ガードした腕を掴まれて宙吊りにされる。
ぺルゼは俺から手を離したと同時に体を回転させて強烈な回し蹴りを放った。
モロに食らって吹き飛ぶ俺。観客の中に突っ込んでしまう。
マズいぶつかる!子供の姿が見えた気がした、反射的に覇気で姿勢制御とブレーキ。
ぶつからずに済んだもののうつ伏せに倒れてしまう。
両手をついて何とか立ち上がろうとするが力が入らない。
周りの観客は俺を遠巻きにして様子を伺っている。
何人か騎神がいたはずなのに!ちょっと受け止めるぐらいしてもいいじゃない!
子供・・・子供は無事か・・・。
「ハァハァ・・・すまん。だ、大丈夫か・・・ぐぁ、痛てぇ・・・」
顔が上げられない、息が苦しい、体中が痛い。
ぺルゼとの実力差に体の前に心が挫けそうだ。
誰かが俺に近づいて来る・・・さっきの子供か・・・無事で良かった。
「ボロボロだね。もうやめた方がいいよ」
「そういう訳にはいかない!負けられない理由があるんだ」
「じゃあ頑張らないといけませんね」
「言われなくてもわかってるよ!ああくそ!」
「どうやったら元気になる?」
「そんなの決まってる。あいつらに会いたい、声が聞きたい、一緒にいたいんだ」
「そんなに大切なんですね。大丈夫、いつもあなたを見てますよ」
「なんでそんな事が言える。あいつらは今も眠ってい・・・へ?」
顔を上げるまで気が付かなかった。
そこには俺が一番会いたかった奴らがいた事に。
「本物か・・・クロ、シロ。何でここに」
「何でかって?そんなの当たり前だよ」
「頑張っている操者を応援しない愛バはいませんよ」
幻覚じゃない。ちゃんと起きて喋っている。
母さん達を見ると首を振ったので、誰かが連れて来た訳ではない。
二人とも寝巻のままだ、起きてすぐ家を飛び出して来たのだろう。
「バッカだな・・・靴ぐらい履いて来いよ」
「起きたら誰もいなかったんだよ。もうパニックでそれ所じゃなかった」
「やっと見つけたと思ったら変なのと戦ってますし。何がどうなってるんです?」
「いろいろあってな。あいつとタイマン中なのよ」
「タイマンかぁ手を貸したらだめだよね。だったらせめて覇気を使う事を躊躇わないで」
「私達の体を気遣ってますよね。でもここで負けたら意味がないでしょう」
「その通りだな。本当に情けない・・・結局、俺には覚悟が無いんだよ」
手をついたままの姿勢の俺に二人は抱きつく。
そしていつものように額を頬を俺に擦りつける。
「おいやめとけ汚れるぞ。血も付いちまう」
「汚くなんかない。それに情けなくもない」
「こんなになってまで私達を思ってくれる人を、悪く言えませんよ」
「・・・なんだよ」
ヤッベ嬉しくて泣きそうだ!
俺ってチョロかったんだな。さっきまで挫けそうだったのに今は力が溢れてくる。
気のせいじゃない。二人が自分の身を顧みず覇気を回してくれているんだ。
ここまでされてしまったらもうやるしかない!!!
「皆の所に行ってろ、俺はやるべき事をやる」
「「はい」」
ぺルゼ、ずっと待っててくれてサンキューな。
アルクオンといいこいつといい空気読んでくれて本当にありがたい。
クロとシロが皆と合流したのを確認してぺルゼと向き合う。
「母さん!アレを使う!」
「いいわ。見せつけてやりなさい」
回せ回せ回せ・・・制限をかけるな正真正銘の全力全開。
俺とクロシロの覇気を一つにして練り上げる。
隠す必要はない、もう抑えていられない。
「ネオ、グラ、障壁の強度をあげるわよ」
「はーい。皆さ~ん、もうちょっと下がりましょう危ないから」
「まだ上がるのか・・・修練中も愛バに気を遣っておったんじゃな」
「カメラ!ここからの記録は死んでも撮り逃すな」
「・・・超越者・・・」
「これがマサキ君・・・さっきまでとは別人だ」
「そうですの。もっと魅せてくださいですの。その輝きを」
爆発させる。覇気が髪の毛や四肢を伝わって漏れ出す。
周囲一帯に光の粒子がまき散らされる。
その幻想的な光景に観客たちは息を呑み、その現象を引き起こした存在を見る。
「・・・綺麗」
「優しくて暖かい光」
「これが全部覇気なの、信じられない」
「み、見える。俺にも見えるぞ!何だよこれ、う、美しい」
「うそ・・・操者でない一般人にもハッキリ見えてるの?」
「突如あらわれた幼女に寝取られてしまった!そ、それでも俺はマサキさんの事が」
「キレ~あの人何?人間・・・嘘だ~人間はこんな事できないよ」
覇気を放出した状態を維持し続ける。
この状態の俺は冗談抜きで全身凶器(リーサルウェポン)。
髪や腕、足からドバドバ覇気が出てる。まるで放熱フィンみたい。
バーストモード、マグナモード、バスターモード、トランザム、好きに読んでくれ。
後は活動限界時間まで暴れ回るのみ。
気分が乗ったので名乗ってみよう一回やってみたかった。
「俺はブラックとダイヤモンドの操者。アンドウマサキだ!お前を殺す!!!」
倒すの方が良かったかな。う~ん難しい。