俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

40 / 150
しっぽおに

 スぺの家に滞在する事になりました。

 

「起きて、起きてください」

「あ~うるせぇぞクロまだ寝かせて。シロいるんだろ一緒に2度寝しようぜ」

「誰と間違えているんですか。私はスぺです」

「え、はっ!ここは・・・そうか夢だったか」

「起きましたね。さっさと顔を洗って下さい」

「うぃ~す」

 

 準備の良い俺はお泊りセットも用意してます。

 歯ブラシ貸して?とか流石に言いたくないよ。

 朝の身支度をさっと済ませてと。

 

「おはよう。起きたばかりで悪いが出かけるよ」

「おはようございます。何処へ?」

「ついてくればわかるさ」

 

 時間は早朝5時前だ。朝早いと空気が澄んでいるような気がするのは俺だけか。

 お母さまの車で連れて来られた場所は巨大な農場。

 既に何人か作業に取り掛かっている人達もいる。

 

「朝飯前に悪いね。まずはこの畑を耕すのを手伝ってもらおうか」

「全然かまいませんよ。実家でもよくやっていたんで」

 

 母さんは一人で広大な土地を全て管理していたからな。

 俺もたまに手伝ったが作業のスピードが全然違った。

 

「お母ちゃん。私はいつものでいい?」

「ああ、スぺはそっち側を頼むよ。後マサキの面倒を見てやってくれ」

「仕方ないなあ。ほら、行きましょう」

「うっす。よろしくお願いします」

 

 ウマ娘は・・・スぺのみか。

 広い畑を農機具を使って耕す人々。俺とスぺの前には荒れた土地が広がっていた。

 

「あら、畑手伝わなくていいの?」

「そっちはお母ちゃん達に任せましょう。私達はここを耕します」

「機械を使わずにか、骨が折れそうだ」

「ちょっとやってみますね」

 

 スぺの体には不釣り合いなほど大型のクワを持って荒れ地を耕していく。

 無意識でやっているのか?覇気をしっかりクワに通して使っている。

 一定のリズムでテンポよく均等な感覚を空けてどんどん耕していく。

 早い、耕運機なんかより全然早いわ。

 

「こんな感じでお願いします。最初は無理しないで丁寧にやっていきましょう」

「了解。よーしやりますか」

 

 今の俺なら素手でも出来そうだが、スぺに倣ってちゃんとクワを使おう。

 

「よっと、ほいっと、こんな感じか?」

「おお、いいですいいです。なんだ上手いじゃないですか」

 

 久しぶりだけどちょこっとだけ経験者だからな。

 しかし、これは意外と修練になるぞ。

 決められた量の覇気を効率よく得物に浸透させて使いこなす。

 クワを振り下ろす動作は体幹を鍛えるのにも良さそうだ。

 自分にあったルールを設定して作業すればどんな仕事も修練に早変わりだ。

 

「調子に乗ると腰にきそうだな。後でストレッチしておこう」

「さあ、どんどん行きますよ」

 

 二人でやると思ったよりも早く片付いた。

 お母さま達は俺とスぺの働きっぷりに感心していた。

 

 朝食がわりのおにぎりを頂いてから作業再開。

 スぺの分が笑えるほどでかかったので写真を撮った。

 

 お昼、一旦帰宅して昼食を食べる。

 俺は朝あんまり食べない派なので昼は少なめにした。

 そんな俺をスぺは信じられないといった顔で見ていた。

 信じられないのはお前の食欲だよ。この家のエンゲル係数ヤバいだろ。

 

 お母さまはまた農場に戻るらしい。

 俺とスぺは早速授業開始じゃ。

 滞在中はは早朝~昼まで農作業、昼~夜までスぺと修練のスケジュールになるかな。

 こんな山奥では子供の人数が少ないのでスぺは月に2、3回各集落の子供を纏めた学校もどきに参加するのみだとの事。そこにもウマ娘はいないらしい。

 

「じゃあ始めるぞ。まずは座学からだ、えーとまずは騎神とはなんぞやから」

「先生!それは体を動かしながらやった方がいいと思います」

「スぺさん。まだ開始1分ですよ、ちょっとは話聞いてよ」

「最初が肝心だと思うんです。だから今からは体育にしましょう」

「こいつ体育や図工以外は寝てるタイプだ。厄介な」

「ねぇいいでしょ。先生ったら~」

「仕方ない。今日だけだぞ、で何がしたい」

「昨日の追いかけっこ楽しかったから、マサキさんと勝負したいな」

「ほう。ならばウマ娘ならば誰もが経験する遊び、尻尾鬼をやろうか」

「しっぽおに!なにそれ私やった事ないよ」

「これは本来ウマ娘通しでやる遊びだ。ルールは簡単、鬼役と逃げる役を決める。制限時間内に相手のしっぽを掴めば鬼に得点が入る、何度か交互にやって特典が多ければ勝ちだ」

「でもマサキさん尻尾ないよ。ズボンはぎ取ったらいいの」

「やめてよね!尻尾が無い人間はこうするんだ」

 

 長めのタオルを腰に括り付けて尻尾の代わりとする。

 母さん達とよく遊んだっけか。メッチャ手加減されてたけど楽しかった。

 この遊びは地方でちょっとづつルールが違ったりするらしいが、基本は一緒。

 走る、相手を追いかける、掴まれないように避ける等々。

 楽しく遊びながらウマ娘の体を鍛えるのに絶好の遊びなのだ。

 ルールを厳しく設定すれば騎神の修練にもなります。

 ウマ娘の本能を刺激する定番の遊戯、それが尻尾鬼。

 

「最初はどっちが鬼をやる」

「私!私がやりたいです」

「OK。1ラウンド制限時間は5分だ」

「うん。いつでもいいよ」

 

 スマホのアラームをセットしてと。

 音量は最大まで上げておこうか。

 

「じゃあ、開始だ!」

「・・・ふっ!」

 

 開始の宣言と同時に突っ込んで来るスぺ。愚直なまでに真っ直ぐだな。

 ヒョイっと躱す。

 すぐさま次の攻撃に移るスぺ。

 

「尻尾以外にタッチしてもノーカンだからな」

「わかってますよ!」

「そうだ、どんどん来い」

「ちょこまかと・・・」

 

 アラームが鳴る。

 スぺの攻撃を全て躱した俺。うん動きは悪くないな。

 

「ハア・・ハア・・・次は私が逃げる番ですね」

「そうだな。フィールドを広く使って逃げ回るか、鬼の動きに注意して避けまくる(接近戦)戦法、どちらを選ぶのかは自由だ」

「森をフル活用すれば地の利は私にありますが、接近戦で行こうかな。カバディみたいで楽しいし」

「よっし。2ラウンド目行くぞ」

「はい。お願いします」

 

 俺の攻撃!スぺは体全体を上手に使って避けまくる。

 さすがは野生児、アクロバティックな動きでこちらを翻弄する。

 

「良い感じだぞ。そのまま動き続けろ」

「はい!・・・わわ」

「こっちをよく観察しろ、視線、筋肉の動き、覇気の流れ、相手の動きを予測するんだ。ほいキャッチ!」

「あ!なんで?・・・ハメましたね」

「簡単な視線誘導に引っかかったな。そういう読み合いも覚えて行かないとな」

「悔しい!もう一本お願いします」

「やる気があって大変よろしい。じゃあ今度は・・・」

 

 その後は一層やる気を出したスぺと楽しく遊んだ。

 途中で俺も本気になってしまうぐらい熱中した。楽しい、本当に楽しい。

 いつかあいつらとも尻尾鬼が出来たらいいな。

 

「誰かと本気で遊ぶのってこんなに楽しいんですね。知らなかったな」

「同年代の子供と遊んだ事は無いのか」

「人間の子供と遊ぶ機会はありましたよ。でも今日みたいに手加減抜きで遊んだのは初めてです」

「それで普段は単独で野山を駆け巡っていたと」

「今じゃこの山で最強の生物は私だと思いますよ」

「世界は広いぞ、お前より強い奴はたくさんいるからな」

「そっか、そうですよね。私以外のウマ娘・・・会いたいな」

 

 いずれは他のウマ娘と切磋琢磨した方がスぺのためになるか。

 

 尻尾鬼の後は騎神や級位の説明をした。

 頭が悪いと自称していたがもの覚えは俺よりマシだった。

 

「今からお前の覇気を開放してみる。覚悟はいいか」

「えっと、大丈夫なんでしょうね。誰かの覇気を開放した経験は?」

「今日が初めてだ。おい!逃げるなよ~危険と判断したらすぐ止めるから。お願い試させて」

「試す!?私を実験台にする気ですか、拒否します」

「覇気の開放が出来たら今よりもっと強くなるぞ」

「・・・・」

「騎神になる第一歩だよ~。お願い!ちょっとだけだから、痛くしないから」

「・・・信じますよ。やってください」

「ありがとうな。ではでは、リラックスして~」

 

 スぺの頭に手を置いて集中、覇気をゆっくり流していく。

 元々吸収より供給の方が得意なんだよな俺。

 

「・・・ん。なんか来てます」

「痛かったら右手を上げてください」

「歯医者か!私虫歯ゼロですよエッヘン!」

「そりゃ良かったな。続けるぞ」

 

 ちょっとづつ、ちょっとづつ・・・。

 これかな?覇気の中枢に到達したようだ。

 大事なのはイメージ、俺の覇気が鍵だ。覇気が渦巻いている部屋のロックを解除していく。

 ・・・カチリ。と音が聞こえた気がした。

 

「成功したか?て、うおっ!」

「な、なんです!なんなんですコレ!あわわわっ!」

 

 突然スぺの体から覇気が溢れ出す。

 長い間せき止められていた分が一気に出た感じか。

 

「落ち着いて。ゆっくり呼吸をするんだヒッ・ヒッ・フーてな具合に」

「今ラマーズ法は必要ありませんよ。待ってください、制御してみせます」

「ゆっくりでいいからな。いいぞ、とっても上手よ」

 

 スぺはすぐにコツを掴んだようだ。ありゃ?俺より全然上手いよこの子。

 そのまま覇気を出し入れしたり、体に纏ってみたり。

 その場で垂直にジャンプ。おお、高い高い。

 

「凄いです!コレ!見てくださいよ。体が軽い、うう~我慢できません!ちょっと行ってきます!」

「どこに?あ、ちょっと待って」

 

 全身に覇気をみなぎらせて走り出すスぺ。

 草原を駆け抜けそのまま森へ突っ込んで行く。

 元気だねー。追いかけた方がいいのか?森の木々が倒れる音がするし。

 あ、帰ってきた。

 

「はぁー最高ですよ。心も体も開放された気分で・・・ととと」

「いきなり無茶すんな。ケガでもしたら大変でしょうが」

「この通りピンピンしてますよ。心配性ですね・・・あれ」

 

 少しふらついたスぺを受け止める。

 

「今日はもう帰ろうぜ、暗くなるとお母ちゃんが心配するぞ。おいどうした?」

「・・・あの、体が動きません」

「どれどれ・・・心配ないよ。覇気はちゃんと全身に流れている。今は体に馴染んでいってる最中だろう」

「しばらくこのままですか、困りました。家まで運んでくれてもいいんですよ」

「はいはい」

 

 スぺを抱っこして帰宅する。

 

「そっちじゃない!本当に方向感覚が狂っていますね」

「ごめんなさい!ナビをお願いします」

 

 今更だが一人旅で方向音痴は致命的ではないだろうか?訓練して治るのもんなのかコレ?

 

「・・・微かに残るこの匂いは」

「え、臭かった?ゴメン・・・しばらく無呼吸で我慢してくれ」

「窒息しろと!?悪臭じゃなくて、なんだろうマサキさん以外の匂い?」

「それは俺の愛バ達だよ。よく抱っこしてやったんだ」

「なんか申し訳ないですね。匂いが主張してますよ、ここは私の場所だよって」

「ははは・・・あいつららしいな。後で土下座だな」

「主従関係どうなっているんですか?」

「主従なんて意識した事ないさ、あいつらとは対等でいたい」

「怒られるの私なんですからね。申し開きはしっかりお願いしますよ」

 

 いっぱいマーキングしていたもんな。もう俺の体に染みついているのかもしれない。

 

 今日の夕食は・・・出たよ、これが熊肉か・・・。

 

「処理が遅れたのでちょっと臭みがあるかも、いけそうですか?」

「全然いける。初めて食べたけど、あれだな滋養強壮に良さそう」

「どんどん食べな。なかなかの大物だったからね、スぺがいても余りあるさ」

「こっちもどうぞ。このにんじんはお母ちゃんの農場で取れたんですよ」

 

 熊鍋もにんじんも美味かった。

 今日は初めて覇気を開放して疲れたのかスぺはグッスリだった。

 

 滞在2日目

 

 今日からは覇気を使いながら修練をこなしていく。

 

「この森は私の庭です。追いつけますか?」

「くっそ!木から木へ飛び移りながら・・・猿かよ!お待ち!この野生児め・・・げ!?」

「そこ脆くなっているから注意です」

「遅いわ!落ちてから言うな」

「降参ですか?今日は10分でしたよね」

「残りまだ3分もあるわ!絶対捕まえる」

 

 覇気の使用を覚えてからスぺの動きが明らかに良くなった。

 元々の身体能力、大自然で鍛えられた身のこなし、そこに覇気が加わった。

 才能溢れる子の成長を間地かで見れるのはいい経験だ。こっちも頑張らないとって思う。

 

「マサキさん。本当はもっと覇気出せますよね、ちょっと全力出してみてください」

「疲れるから嫌ですー。それよりも集中なさいな」

「はい。せいっ!と、まさか人を殴る練習をするとは」

「熊は散々殴り飛ばして来たんだろ?今更何よ」

「あれは一種の生存競争ですよ。対人戦闘かぁ、必要な技能なんだよね。よし!いきますよー」

「その意気だ。ちょ、やめなさい!俺の"うまだっち"を狙うのやめなさい!」

「あいての急所を狙うのなんて当り前じゃないですか」

 

 躊躇なく股間を蹴り上げようとする野生児、恐ろしい子。

 

 この修練はスぺだけじゃなくて俺の分も兼ねている。

 現在、俺の覇気はスぺと同程度の出力に抑えぎみ。

 スぺのレベルに合わせつつ覇気制御の修業にもなってお得だ。

 出力を抑えた分、真剣にやらないとあっさりスぺに負けるなんて事もありえるから気は抜けない。

 

 3日目

 

 スぺが体調を崩した。少し熱っぽいらしい。

 本来であれば今日駅まで送って行ってもらう予定だったが、覇気を開放した弊害かもしれないので無理を言って滞在期間を延長させてもらった。

 翌日にはすっかり元気になっていたので一安心。

 

 5日目

 

 昨日は大事をとって休んだので今日から修練再開。

 

 組手が良い感じになってきた。飲み込みが早いし、教えられた事をしっかりものにできるセンスもある。

 

「その覇気で鞭を作るヤツ私もやってみたいです。んん~、ダメです全然出ません」

「まずは身体強化をしっかり出来るようになってからだ。焦っちゃだーめ」

「はーい。今日は何をして遊びますか」

「そうだねぇ。何がいいかねぇ・・・熊でも狩るか」

「熊もいいですけど、最近畑を荒らす猪が多いんです。猪狩り競争なんてどうですか」

 

「やった!掴めました、尻尾じゃなくてタオル!」

「やるじゃないの!俺も嬉しいぞ。・・・ちょっと休憩するか」

「お話の続きを聞かせてください。シュウさんはあの後どうなっちゃったの」

「檻から脱走したシュウは村の男連中にうまぴょいの布教を・・・」

「うまぴょい?」

「お母ちゃんに聞いてみな」

 

 6日目

 

「尻尾鬼って人間には不利だよな」

「タオルを尻尾みたいに動かせないからですか?」

「そうだよ。さっき掴もうとした直前で尻尾が俺の手を払いのけたんだ!卑怯じゃね」

「意識してやったんじゃないですよ。尻尾が勝手に動いたんです」

「ホントかよ「触んな!!」という明確な意志を感じたんだが」

「気のせいですよ気のせい」

 

「きゃー!なによアレ!ここの生態系どうなってんの?」

「ちょっと変わってますが熊ですよ。この山の主で私のライバルです」

「熊な訳ねーだろ!アレはゴリラだよ!それにしてもでかいな、突然変異か?」

「今の私ならば・・・勝負です!ゴリさん」

「ゴリって言っちゃってるじゃん!認めろよあれはゴリラだ、ゴ・リ・ラ!」

「鳴き声を聞きいてから判断して下さいよ。ちゃんと熊ですから」

「クマ―!」(心底人をバカにした顔をするゴリラ(仮))

「うっわ!めっちゃ腹立つ!スぺやっておしまい!」

 

 7日目

 

「覇気の制御は俺より上手いぐらいだ。うん、もう大丈夫だな」

「・・・はい」

「体も丈夫だしセンスもある。このまま修練を続ければきっと騎神になれるさ」

「・・・はい」

「今日はやけに大人しいな?どうした元気出して行こうぜ」

「明日、家を出ていくって・・・」

「旅の途中なんでな、いつまでも世話になる訳にはいかんよ。なんだ寂しいのか?」

「はい、寂しいです」

「おお、素直に言われると照れる」

「とっても楽しかった。こんなに付きっきりで遊んでくれた人は始めてです」

「一応、修練だったんだがな。心配しなくても、スぺならそのうち友達たくさんできるぞ」

「そうだといいですけどね」

 

「おっと、忘れる所だった。スぺお前の覇気を分けてくれないか?」

「授業料代わりにどうぞ。悪用はしないでくださいよ」

「ありがとう。では早速いただくぞ」

「なんで撫でるんですか?」

「こうすると上手くいくんだよ。嫌だったか?」

「嫌な訳ないですよ。さあやって下さい」

 

 ありがとなスぺ・・・。

 集中してと、お、来たぞ来たぞ。特に問題なく成功した。

 ん?この感じメジロのお嬢様達を撫でた時みたいだ。

 俺の奥底でパズルのピースがハマった気がした。ちゃんとクロとシロに届いたかな?

 

「もう終わりですか?成功したんですよね」

「ああ、良い感じだと思う。体は大丈夫か?気分が悪くなったりとかは無いか?」

「全然平気ですよ。・・・これで終わっちゃいましたね」

「どうする。帰る前にもう一回尻尾鬼する?して欲しい事があれば言ってみて」

「じゃあ、マサキさんの全力が見たいです」

「・・・あんま期待すんなよ。ちょっと見せるだけ、特別よ」

「はい」

 

 他ならぬ恩人の頼みだ、ちょっとぐらいいいよな。

 制限解除!漏れ出す覇気、光の粒子が周囲に拡散する。

 母さん達からもらった"天級の腕輪"(命名俺)はしっかり意識して覇気を流さないと反応しないのでセーフ。

 

「これでいいかな。そんな大したもんじゃないだろ」

「うわぁ。すごくキレイ・・・これが全部覇気なんだ」

「もういいか?」

「ちょっとそこの大岩を殴ってくれませんか?威力が見たいです」

「必要な分はみせたということだ、これ以上は見せぬ」

「そんな~」

 

 いつの日か騎神になったら見せてやるよ。

 

 夕食後、お母さまとスぺに話しておきたいことがあった。

 

「スぺ、トレセン学園を目指してみないか?」

「日本ウマ娘トレーニングセンター学園ですよね、そこに行けば強くなれますか?」

「日本中から強いウマ娘が集まってくるはずだぞ。ウマ娘の友達もたくさん出来る」

「でも私はレース選手になる気は・・・」

「トレセン学園はレースの選手を育てるだけじゃない、来年度から正式に騎神育成コースが設立されるんだと」

 

 これはサトノ家やシュウから聞いて最近知った事だ。

 ウマ娘の犯罪者や違法なAM、野良騎神と操者が起こす事件に対処するため遂に解禁されたのだ。

 俺も[ウマ娘=レース]だと思っていたから、知らない人は騎神なにそれ美味しいの?状態だろうな。

 でもこれからの時代、騎神と操者はどんどん表舞台に進出するだろう。

 

「どうでしょうお母さま、スぺにその気があれば進路として考えてみてください」

「ありがとよ。この子の将来を考えてくれて、よく話し合って決めるよ」

「そうしてください。スぺ、全てはお前次第だからな」

「はい・・・トレセン学園かぁ」

 

 その日の夜は遅くまでスぺと話をした。

 山での生活、どんな食べものが収穫できるか、あのゴリラは何だったのか。

 俺の村の話とかいろいろ。母さん達とクロシロの詳細は伏せておいたけど。

 

 翌日、車で最寄り駅まで送ってもらった。

 

「なんだかんだで1週間ありがとうございました。この御恩は忘れません」

「こちらこそ。賑やかで楽しかったよ」

「あの!私、きっと立派な騎神になってみせますから。約束します」

「ああ、スぺならなれるさ。もし騎神になったら操者を探してみるのもいいかもな」

「操者ですか、操者・・・」

「契約するしないは本人の自由だ。いい奴に巡り合えるといいな、応援してる」

 

 電車がやって来る。一両しかないのね。

 

「ありがとう元気でな!」

「はい。絶対、ぜーったいにまた会いましょうね」

「気を付けて行くんだよ。方向音痴!」

 

 スペシャルウィークいい子だったな。

  

 さあ、この調子で行きますか。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。