俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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きょうそう

 スペシャルウィークから覇気をもらった。

 

 スぺとお母さまの家を後にして数日が経過した。

 あれから何度かウマ娘に遭遇したが、どうにもピンと来ない。

 クロにシロ、母さん達やメジロ家のマック達。

 俺が出会って来たウマ娘は皆レベルが高かったのだと思い知った。

 

「贅沢なのはわかっているけど直感を信じよう。ドレインはこれだ!と思った相手にする」

 

 焦ってはいけない、大丈夫ちゃんと巡り合えるはず。

 どこかにいませんか!

 

 ・急募 強い覇気を持ったウマ娘・報酬 俺ができる範囲でお願いします

 

 いっそのこと求人広告を載せた方がいいのでは?なんて考えも浮かんだ。

 

 知らない街を歩くのは新鮮だ。観光旅行ではないけど、旅の思い出としていつか話のネタになるだろう。

 こんな事があった、こんな場所に行ったんだぞとあいつらに聞かせてやりたい。

 ホテルに泊まらなくても今の時代、ネカフェ等に寝泊まりすればお金は節約できる。

 短期間なら野宿する覚悟だってあるし、シャワーや風呂のみを利用できる施設だってある。

 

 そういえばシュウからの軍資金を確認していなかったな。

 ATMを探して、あったあった。口座残高を確認・・・ふぁ!8桁ある!マジか・・・。

 これはシュウに大きな借りができてしまったな。

 キャッシュレス決済が主流になって来ているとはいえ、多少の現金は必要だろう。

 とりあえず数万円を下ろして財布に入れる。

 

 この時、多過ぎる残高を見て同様していたのか油断した。

 

「っ!」

「は?・・・え・・・ええー!」

 

 え、取られた?俺の財布が。誰に?走って逃走する後姿が見える。

 今時ひったくりかよ!高齢者を狙う卑劣な犯罪だと思っていたが・・・。

 

「そうかそうか。俺はそこいらの爺ちゃん婆ちゃん並みに狙いやすかったか」

 

 ははは・・・。いやーまいったまいった。もうだいぶ距離を離されたなー。

 その場で軽くストレッチをする。

 事件の目撃者であろう人達が俺に声をかけてくる。あ~お気遣いなく。

 

「なんと不運な!いいのですか追いかけなくて」

「ワタシが行きまマース!今ならまだ間にあ・・・」

 

 3、2、1、ゼロ!

 

「舐めやがってぇえええええ!!!待てごらぁああああああ!!!」

「ひぃ!」

「ワッツ!?」

 

 ちょっとだけ覇気を開放して駆け出す。

 犯人は・・・ほう・・・ウマ娘か。しかし容赦はせんぞ!

 まさか追い付いてくるとは思っていなかったのだろう、俺のプレッシャーを感じて振り返った犯人は驚愕の表情を浮かべて加速する。

 素人にしては中々の脚なのに、こんな使い方をするとはな残念だよ。

 逃走劇の最中、通行人が俺を見て唖然としている。俺を気にしたら負けですぞ!

 

「な、なんなんだお前!人間の癖に」

「ただでは済まさんぞ!その耳と尻尾、引きちぎってやろか!ああん!」

「くそ!ヤバい奴に手を出しちまった」

「さあ、お前の罪を数えろ!」

 

 こんな街中でアクセルは使えないし、必要ない。

 おいおい、犯人の奴だいぶテンパってるな。さっきから同じ所を周回しているじゃねぇか。

 終わりにしよう。

 

「逃がすかぁあああ!!!」

「ぎゃーごめんなさいごめんなさい!」

 

 取り押さえる事に成功!しかし俺の気が済まないので私刑を執行する。

 

「どうだ!反省しろや!このバカウマがぁ!」

「いだだだだ!!!反省した!しましたから!もうやめてー!」

 

 プロレス技ロメロ・スペシャルを決めて反省させる。

 この技はヒリュウにいた時、クロがシロにかましていたのを見た。

 どちらが俺の掛け布団になるかでケンカしたんだったか。シロは白目むきかけていたな。

 野次馬が集まり楽しくなってきた。俺が更なる技をかけようとした所でパトカー到着。

 なぜか俺が加害者扱いされた。違うんです!被害者は俺です!聞けよ!

 犯人が泣き叫んでいたので余計に俺の心証が悪かったみたいだ。

 公務執行妨害を恐れた俺は大人しく署に連行。

 事情を説明して調書を取られやっとの事で解放された。

 お巡りさんに無茶しないようにと注意されちゃたじゃんよ。

 犯人はひったくりの常習犯で遊ぶ金欲しさに犯行を繰り返していたらしい。

 やむにやまれぬ事情で生きるため仕方なく行ったとかなら、同情の余地はあったのにな。

 人間だろうとウマ娘だろうと悪い奴は悪い!反省してください。

 戻って来た財布の中身を確認してカバンにしまう。もう取られたりしない!

 

「あ、あの」

「ん?」

 

 警察署を出て少し歩いた所で見知らぬウマ娘に話しかけられた。

 さっき犯行にあったばかりなのでちょっと警戒、カバンをしっかり持って油断はしない。

 

「突然すみません。ひったくりにあった人ですよね」

「そうですけど何か?お金は絶対に・・・あげません!!!」

 

 スぺみたいにやってみた。

 

「べ、別にお金を取ろうだなんて思っていません」

「では何の御用でしょうかお嬢さん」

 

 長い髪に緑のイヤーカバーをつけた、スラっとした細く長い手足のウマ娘。

 おっと美人さんですね。

 内気な性格なのか勇気を出して俺に声をかけてきた模様。

 

「私、犯人に気づいて追いかけていたんです。そうしたらあなたが物凄いスピードで」

「そうなんだ、ありがとうな。お陰様で財布は無事だよ」

「それは良かったです。それで、えっと、あなたは人間ですよね?」

「実は俺ウマ娘なんだ、耳と尻尾は覇気で隠している」

「え!?あ、そ、そうなんですか・・・」

「嘘ですけど」

「な!なんで嘘つくんですか」

「今は話を聞きたくないの!長いこと拘束されて腹減っているんだよ!俺は今すぐランチが食べたいの!」

「お店に案内したら話を聞いてくれますか?」

「食べながらで良いんならな」

 

 ごはんおかわり自由な某定食チェーンで遅めのお昼。

 せっかくだから3回はおかわりしたい。

 

「それであなたは私をあっさり抜いて、犯人を取り押さえたんです」

「みそ汁、豚汁にした方が良かったかな。お、この漬物意外と美味しい」

「聞いてます?おかわりするなら私の分もお願いします」

「自分でやれよ。中盛?」

「大盛りでお願いします」

 

 やはりウマ娘、それなりに食べるんだね。

 

「私スピードには自信があったんですよ。それなのに人間のあなたに負けてしまって」

「プライドが傷付いたから俺をボコりたいと・・・なんて奴だ」

「違います!ウマ娘をなんだと思っているんですか」

「美人でカワイイけど人間以上の戦闘能力と高い闘争心を持ち好戦的かつ脳筋だろ」

「違うと言いたいですけど、だいたい合ってます」

「その持て余した力を俺にぶつけて"逆うまぴょい"ですか。最近の子はけしからんな」

「昼間から公衆の面前でなんて発言を・・・。私はただ、あなたに併走して欲しいんです」

「併走?一緒に走るだけでいいのか」

「はい。あなたと一緒に走る事で、なにか新しい景色が見えそうな気がするんです」

「ほーん。よくわからんが・・・いいよ、それぐらいならお安い御用だ」

「ほ、本当ですか!ありがとうございます。声をかけて良かったぁ・・・」

「で?見返りを要求してもいいのかね」

「ごめんなさい。体だけは許して、まだ契約前なんです。始めては操者にあげるって」

「ごめん。俺にも愛バがって・・・なにお互いに拒否しあってんだよ」

「知りませんよ。愛バ?・・・あなた操者なんですか?」

「そういう君は騎神みたいだな。どれどれ」

「やだ、その舐め回すような視線。悔しいでも・・・」

 

 ウマウタ―起動。

 お、轟級じゃんか覇気も必要最低限にしている所をみると制御も完璧。

 よしよし当たりを引いたようだな。

 

「単刀直入にお願いする。君の覇気を分けてくれないか?」

「私の覇気をですか、なにか訳ありのようですね」

「実は・・・」

 

 かくかくしかじか説明中。

 

「愛バを救う旅だなんて・・・見直しましたよ。私の覇気で良ければ使って下さい」

「ありがとう、君ならそう言ってくれると信じてた」

 

 新たな協力者を得られたぞ。

 

「俺はアンドウマサキ。これでも操者です」

「轟級騎神サイレンススズカ。よろしくお願いしますね」

 

 

 次の日の朝、公園で待ち合わせをした。

 

「時間ぴったりですね。すっぽかされたらどうしようかと思いました」

「ここで寝たからな。あ~体がバッキバキだわ」

「お金はあるんですよね。ちゃんとした宿泊施設に泊まってください」

「野宿の厳しさを体験してみたかったんだよ。シャワーは後で浴びてるから安心して」

「家に泊めてあげたいんですが、両親がいますので」

「わかってるよ。若い娘さんが男を家に連れ込むなんて良くないからな」

「でもマサキさん、許可さえあれば遠慮なく泊まりそう」

 

 見てきたような事を仰る。当たっているけどね。

 

「じゃあ、朝は軽くランニングからでいいかススズ」

「はい。行きましょう・・・ススズ?」

「ダメだった?サイレンスがいいかな」

「スズカと呼んで下さい」

「わかったよスズカ」

 

 沈黙とか言わないで良かった。

 

 二人並んで走る。俺達の他にも朝のウォーキングやランニングをしている人がチラホラ。

 川沿いに長いランニングコースが整備されている。

 

「この辺はウマ娘が多いですからね。多少本気を出しても皆気にしませんよ」

「川を挟んだ向こう側のコースに人がほとんどいないのは何でだ?」

「見ていればわかりますよ。ほら、あそこの人達がやりそうです」

「おお覇気を使って走っている!こんな街中でいいのかよ」

「あのコースでは騎神が全力を出しても良いんです。衝突事故を恐れて覇気を使えない人はまず近寄りません」

「この街は随分騎神に配慮されているんだな。地域によって騎神や操者の認知度落差が激しいな」

「騎神やそれに近い力を持つ存在はどこにだっていますよ。ただ知ろうとしない、存在を認めたく無いから気づこうともしないだけです」

「せやな。俺も最近まで知らない世界だったし」

「ちょっとペースを上げましょうか」

「了解。・・・道はこのまま真っ直ぐで良いんだよな」

「そうです・・・よ!」

「何?横に並んで走ればいいじゃん。ちょっと前に出るのは何故?いちいち抜かさないでくれる」

「私はいつだって先頭の景色が見たいんです。あなたを先導する必要もありますし」

「そう言われると邪魔したくなるな!」

「まだウォーミングアップですよ。でもお付き合いします!」

 

 その後は抜いたり抜き返したり、互いに先頭を取り合って併走と言うより競争になった。

 抜き去る時にドヤ顔をすると、スズカがムキになって抜き返すのが微笑ましい。

 走るのはウマ娘の本能。何も考えずにただひたすら前へ!

 

「ハアハア・・・軽くのつもりが結構遠くまで来てしまいましたね」

「ふぅ・・・その割には嬉しそうだな」

「誰かと走るなんて本当に久しぶりで、楽し過ぎました」

「帰りも勝負するか?」

「良いんですか!是非お願いします」

 

 折り返してまた競争しながらスタート地点の公園へ帰る。

 日中は学校があるので続きは夕方以降となった。

 

 スズカが学校に行っている間、単身修練をする。

 1人でも出来る事はたくさんある。

 仮想敵をイメージしてのエア戦闘。覇気の鞭を限界まで伸ばしたり。まあいろいろよ。

 感謝の正拳突きが音速を超えるにはまだ修業が足りない。頑張るぞー。

 公園にある遊具の天辺で深い瞑想をしていたら子供達に邪魔されて、結局一緒に遊んだ。

 

 騎神を効率よく探す方法も考える。あっちから来てもらう事は出来ないか?

 スズカは俺の走りを見て来てくれたんだよな。

 もしかして力を隠し過ぎるのも良くないのでは?

 俺の覇気を感じてなお、ビビらずに興味を持ってくれる奴の方が強いはずだよな。

 

「ばいばい、変なお兄ちゃん」

「ほっほっほ。気を付けてかえるんじゃぞー」

 

 日が暮れて来たので子供達は帰っていった。

 

「随分楽しそうでしたね」

「なんじゃいスズカ、おったのなら声ぐらいかけんかバカ者」

「邪魔しちゃ悪いかなと思いまして。そのキャラ付けなんですか?」

「子供らを見ておるとな自分が老いた事を実感したんじゃよ。気づいたら、わしは村長になっておった」

「薄々気づいていましたけど、精神に異常をきたしていますね」

「言うようになったな、こやつめ。それで、あなたは誰ですか?」

 

 スズカは1人ではなかった。

 

「スズカからユーのお話を聞いてきちゃいマシタ!」

 

 ウマ娘、覇気の感じからして騎神か。

 とても人懐っこそうな子だ、言葉の感じから海外出身なのかな。

 女の子にしては高めの身長、やや落ち着きのない耳と尻尾。

 醸し出す雰囲気からも伝わる活発な性格。

 そして・・・立派なスタイル、特にお胸がね。

 

「すみません。学校で話したらどうしても会いたいと言い出して、ご迷惑でしたか」

「私は一向にかまわん。ナイスバディですね」

「フフッ、サンキュー。あなたも素直なナイスガイですね」

「アンドウマサキだ」

「タイキシャトル言いますデス。よろしくのハグをしまショウ」

 

 おっと熱烈なハグをされてしまいましたよ。

 ああここが天国か、俺は今ドラクエでいう所のぱふぱふ状態なのでは。

 顔に素晴らしい感触が・・・しばらくこうしていたい。

 

「こらタイキ、もうその辺にしておきましょうね」

「オウ!ソーリーね。大丈夫でしたか」

「延長をお願いしたい所だ問題ない」

 

 スズカとタイキは学校のクラスメイト。

 タイキは検定試験を受けていないのでまだ騎神ではないとの事。

 実力は十分だと思う・・・ウマウタ―は『烈』以上『轟』未満といった所か。

 うん、この子にも声をかけてみよう。

 

「会ったばかりなんだけど、君の覇気が欲しいんだけど。いいかな?」

「オッケー!事情は聞いてマス。その代わり、ワタシとも遊んでクダサイ!」

「いいぜ。交渉成立だな。ありがとうスズカ」

「いえいえ。それなりの覇気を持った友人を紹介できたようで安心しました」

「まずは何をしようか?この時間だと騎神用のコースが空いてるな」

「2000m走で勝負しませんか?もう今日は楽しみでずっとウズウズしてました」

「ワォ!それいいいいです。負けませんヨ!」

「その前に、二人の覇気をチェックさせてね」

 

 スズカとタイキに許可をもらって覇気チェック。

 ウマウタ―より直接触れた方が確実なのです。頭に手を置いて・・・ほうほう。

 これで二人の覇気量に合わせられる。タイキの方が量は上、質はスズカかな。

 それにしても、二人が横に並ぶとね・・・格差がね。

 

「スズカ・・・俺はお前の脚がエロキレイで好きだぜ。もっと自信をもってね」

「ありがとうございます?・・・今、憐れみましたか・・・どこを見ての発言ですか」

「タイキ、俺もタイキって呼んでいいよね。君は自分のボディが男を殺す凶器だと気づこうね」

「ハイ!マサキさん。凶器?」

「おい!こっちを見ろ!失礼ですよ!大丈夫、私はまだ中学生なんだ・・・」

 

 ブツブツ独り言を呟き始めたスズカをなだめてコースへ向かう。

 近くにいたおじさんにちょっと協力してもらおう。

 

「今から俺達競争するんで、スタートの宣言をお願いしてもいいですか?」

「良いですよ。準備はいいですか」

 

 スズカとタイキを見る。お目がギラギラしてきたな。

 頷く二人、俺も集中しないと。

 

「では、よーい・・・スタァアアアトゥオオオオオオッハッッ!!!」

「!!」

「!!」

「!?」

 

 しまった!スタートの発音が気になって出遅れたwww。おじさんメッチャいい顔www。

 速ぇー!だけど簡単に負けてやらない!

 差が縮まらない、二人ともしっかり覇気を足に乗せて走っている。

 手強い!

 

 (追って来てる、でもこの勝負もらいました)

 (最初の出遅れ痛かったデスネ。このままスズカを捉えマス!)

 

 とか思っているんだろな。

 今の覇気でも使えるか試してみよう。

 残りちょっと・・・仕掛ける!

 

「リニアアクセル!!!」

「「え?」」

 

 二人をぶっちぎってそのままゴール。地面をズサーっと滑りながら停止。

 できた、覇気を制限しても十分使える。

 発動するタイミングが少しずれた、まだまだだな。

 

「うっし!俺の勝ちだ」

「「・・・・」」

 

 おや?二人ともどうしたんですかな。

 

「最後の加速・・・何なんですか・・・」

「グレイトォ!ナイスランでしたね。負けるとは思いませんデシタ」

「お褒め頂きありがとう。ちょっとした覇気の応用だ、二人が速いからつい出ちゃった」

「フフフ・・・ああ、やっぱり私の目に狂いはなかった。さあ、もう一回勝負です。時間の許す限り付き合ってもらいます」

「オゥ!スズカ燃えていますネ!ワタシもお願いシマス!」

 

 スズカの闘争心に火を着けてしまったようだ。

 タイキも笑顔だが目にマジだ。

 そうだこれがウマ娘、これが騎神。闘争本能の塊が美少女の形をとった存在。

 

「うん。どんどん走ろう!次も負けないぞ」

 

 その日は3人で何度も競争し合った。

 最初こそ勝てたものの油断をしなくなった二人は本当に強かった。

 途中から俺のアクセルを真似る様な動きを見せ、通算成績で1番がスズカ2番タイキ。

 俺はアクセルの発動が不発に終わってしまう事もあり3番・・・負けてんじゃん!

 疲れた体をクールダウンするためにビリの俺が全員分のドリンクを購入。

 近くのベンチに並んで座る。

 なんか人が多いな、こっちをチラチラ見ているし。

 俺達がさっきまで使っていたコースには別のウマ娘が列を作りこぞって競争している。

 

「はいドリンクサービスだ!いやー負けた負けた!」

「ありがとうございます。・・・熱々のコーンポタージュを渡してくる意味がわかりませんが」

「それは俺のだった。二人には冷えたポカリだよ」

「私アクエリアス派なんですけど。まあいいです頂きます」

「サンキュー!マサキさん。う~キンキンに冷えてマスネ」

 

 コンポタのコーンが出てこないので苦労するのはいつもの事だった。

 

「夜なのにこんなに賑わっているんだな」

「たぶん私達のせいではないかと」

「スズカは有名人ですカラネ。ギャラリーが集まるのも当然デス」

 

 スズカはこの街では有名な騎神で名が知れ渡っているんだと。

 若くして轟級の資格を得て、高校はトレセン学園の推薦をもらっているのだとか。

 そりゃこんだけの才能をほっとく奴はいないよな。

 

「タイキ、あなたも十分有名人よ。自覚していないのね」

「二人の姿を見て人が集まり、それに触発されて皆競争しているのか。うんうんいいね!青春だね」

「はぁ~皆が注目しているのはマサキさん、あなたですよ」

「ビリの俺がなんでさ」

「人間の男性が私達と競争している時点でおかしいんですよ」

「マサキさん。あなたはいったい何者デスカ」

「俺は俺ですけど・・・。それよりお前達、覇気の使い方途中で変えたろ。そこから全く勝てなくなった」

「あなたの末脚を参考にしてみただけですよ。凄いですね、まるで足の裏を爆発させたみたい」

「どこで教えてもらったんデスカ?ワタシにもっと見せてクダサイ」

「まあ二人にならいいか。あれはアクセルっつてな・・・」

 

 二人の門限ギリギリまで語り合った。

 覇気の制御方法、おすすめの自主トレ、学校生活の様子や他に有望な騎神はいないかとか。

 実に有意義な時間だった。特に覇気を使う者同士のあるあるは共感する事が多かった。

 

「実はワタシ、マサキさんが財布取られた現場にイマシタ」

「お、そうなん。あの時は頭に血が昇って周りが見えてなかった。ごめんな」

「イイエ。追いかける事が出来なくてソーリーね。それより、もう一人あの場にいたんデス。彼女にも協力してもらったらハッピーです」

「という事はそいつもウマ娘か?どんな奴だ」

「ンン~と、学校でみたような・・・ソウデス、変わったキャットを背負ってマシタ」

「猫を背負ったウマ娘ですか・・・その子、私の知り合いだと思うので、明日声をかけてみます」

「助かるよ、是非紹介してくれ」

 

 二人が紹介してくれるならそれなりの覇気の持ち主だな。

 いいぞいいぞ、そうやってどんどんご縁が繋がっていくんやね。

 

 明日も朝と夕に会う事を約束して別れた。

 さて、今日はどこで寝ようかな。

 

 

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