スズカとタイキに協力してもらえる事になった。
「ぎゃあああああ!!!ひ、人が倒れてるー!!」
「んあ・・・うるせぇな・・・静かにしろよ。近所迷惑だろ」
朝はやかましい叫び声で起こされた。
昨日はスズカとタイキを別れた後、今日の寝床を探して彷徨い歩いた。
そうして行き着いたのが綺麗に整備された神社だった。
夜なので人はおらず少々不気味だったが一応参拝。
ちょっと休憩のつもりで神社の階段に腰かけていたら、そのまま眠っていたらしい。
その後、階段の1番下まで落ちていたようだ。
ケガが無くて良かったけど、なぜ起きない俺。
「お、お怪我はないですか。神社の階段で死ぬなんて縁起が悪すぎますよ」
「骨折はしてないし大丈夫だ。俺って頑丈なのよ」
「私はこの神社を管理している家の者ですが、どうしてこんなことに」
「お騒がせしました。実はうっかり眠ってしまったようで」
「うっかりの度合いがヒドイですね。おやおや~あなた昨日も不運に見舞われていた方では?良かったらお祓いしていかれませんか?お安くしておきますよ」
「ええー金とるのかよ」
「無理にとは言いませんよ。神様に対する感謝をお金と言うわかりやすい価値でお支払いして頂くシステム。効率的だと思いません?」
「せっかくだけど遠慮しておく、参拝は昨夜したしな。階段から寝たまま落ちても無傷なのはご利益あったみたいだ」
「おおそうでしたか。シラオキ様はいつもあなたを見守っていますよ。あ、おみくじ引きますか?」
「もう、商魂逞しいんだから!わかったよ1回引かせてもらう」
「ありがとうございます。こちらをどうぞ」
手を入れる穴がぽっかり空いた箱をどこからともなく持ち出す少女。
この子ウマ娘だよ。
目の輝きがヤバい、シラオキ様とやらについて語る時は特にヤバい。
あの・・・頭に達磨がついてますよ?
極上の笑顔でおみくじを進められたので仕方なく引いてみる。
「なにも書いてない・・・はずれ?」
「ふっふっふ。このおみくじは少し変わっていましてね。覇気を流してみてください」
「凄い!数字がが浮かび上がってくる」
「一定以上覇気がある人にはこちらのおみくじをおすすめしています」
「なんか凝ってるね。えーとなになに・・・9646」
「9646番ですね。えーと・・・ありました、こちらをお渡しします」
「これ最初から番号のくじだけ引けばいいじゃん。いちいち覇気で数字をあぶり出す意味は何?」
「1度工程を挟む事で特別な感じがするでしょ。演出ですよ演出」
受け取ったおみくじを開封。
中吉か、大吉より謙虚で俺は好きだぜ。
待ち人・・・必ず来たるだってさ・・・これだけでも満足だ。
探し物・・・困難だが見つかる。後はまあまあ・・・ん?水難だと。水に注意しろ?
「どうでした。どんな結果でもポジティブに考えて行動する事が大事ですよ」
「ありがとう前向きになった気がする。んじゃ俺はこれで」
「はい。今日もあなたに幸運が訪れますように」
神社の管理者であるウマ娘と別れて公園へ向かう。
あの子騎神だったのかな?まあ、ご縁があればまた会えるでしょ。
公園へはスズカが先に来ていた。
「昨日はどこに泊まったんですか?」
「神社」
「罰当たりですね。時間が勿体ないから早速行きましょう」
ランニングというより競争、揺れる尻尾を追いかける。
今日は昨日とは違い街中を走る。道がわからんな!1人なら確実に迷う。
スズカは最初から俺を突き放してくるので必死でついていく。
「ペースが昨日より速いよ。もっと楽に行きましょうや」
「私、小さい頃から競争ではずっと先頭だったんですよ。ついたあだ名は逃亡者」
「やだこの子スピードに取り付かれてる!待って、置いていかないで!1人にされたら迷子になっちゃう」
「ほら頑張って下さい。追跡者さん」
追跡者ってなんだよ。バイオのネメシスみたいにねちっこく追い回してやろか。
まあウマ娘を追いかけるのは嫌じゃありませんけどね。
ゴールする直前で抜いてやったら「ちっ!」と舌打ちされた。黒いよスズカさん。
スズカが学校へ行っている間は公園で修練。
ジャングルジムの天辺でグラさんから教わった騎神拳の型を反復練習。
足場が不安定なので何度か落ちそうになった。これも修練です。
「そんちょー!」
「ふぉふぉふぉ。良く来たのう」
昼過ぎ昨日遊んだ子供達がまた来襲したので一緒に遊ぶ。
今日はちょっと真面目に実際に使える受け身の取り方とか遊びながら教えてみる。
大きなケガなどせずスクスク成長するんじゃぞ。
しばらくして、子供達の輪から離れた場所でニコニコ笑っている子を見つける。
なんか気になるな、ウマ娘みたいだしこの子は皆の中でも特に利発そうだ。
ちょっと声をかけてみようかな。
「相談なんじゃが、ウマ娘を集めるにはどうしたら良いかのう」
「どうしたんです村長?ウマ娘ハーレムでも目指しているの?」
「それいいな!じゃなくて、いろいろあってウマ娘の協力が必要なのよ」
「ふ~ん。だったら村長が遊んであげたらいいと思う」
「そんなんでいいの?いや、スぺやスズカ達にもそんな感じだな」
「村長の覇気、とっても優しくて暖かいの。だから一緒に遊んでみたいんだよ」
「なんと君は俺の覇気に惹かれて来たと?」
「他の皆は覇気なんて感じられなくても村長が良い人だって知ってるよ。私は覇気を辿って村長を見つけただけ」
これは・・・いってもいいかな?
「俺の名前はアンドウマサキだ。お名前を聞かせてくれる?」
「フラワー・・・ニシノフラワー」
フラワーと名乗ったウマ娘に許可をもらって覇気をチェック。
この子クロやシロよりも年下に見えるが覇気の隠蔽が上手すぎる。なんちゅー才能か。
ウマウタ―は低いステータスを表示しているが、直接頭に触れるとそれが間違いだとわかる。
ビアン博士、ウマウタ―がもう当てにならないッスよ。
どうしよう、あいつらより若い子の覇気・・・俺の直感は「行け!」と言っている。
覇気提供の交渉・・・あっさりOKをもらう。
見返りは「今日もいっぱい遊んでください」だった。喜んで―!
夕方、フラワーの親御さんが迎えに来たので覇気提供の事情説明。
どう見ても不審者な俺だが、娘の信じた人なら良いでしょうという返事をもらってドレイン。
よしよしちゃんと出来た。
「またどこかで会いましょう」と言うフラワーに別れを告げる。
思わぬ収穫だったな。
俺の覇気を餌にして向こうから来てもらう案は使えるっと、覚えておこう。
「と言う事があった。やったぜ」
「一歩間違えば犯罪ですよ。このロリコン!」
「今更その程度の罵倒で怯むとでも。ああそうさ!俺はロリコンだよ!正確にはアリコンだよ!」
「開き直りマシタ。堂々とし過ぎてマス」
「叫ばないで下さいよ。こっちまで恥ずかしい」
「それよりも、また会ったな・・・おみくじウマ娘。今朝はどうもアンドウマサキです」
「マチカネフクキタルです。ご縁があったようですねマサキさん」
学校が終わった騎神達と合流した。
スズカの知り合いはフクキタルだったのでビックリした。
ついてる!ついてるぞ!この調子で騎神連鎖していって。
「それで、覇気の方は頂いても?」
「スズカさんから聞いておりますよ。私ので良ければ遠慮なくどうぞ」
「ありがとう!・・・これで4人分ゲットだ」
なんとなくだがそろそろ別の場所に移動した方がいいかもな。
「この街から出ようとしてますね。なら今日はいっぱい走りましょう」
騎神用コースにて俺とスズカ、タイキにフクキタルを混ぜた4人で何度も走った。
「いや無理ですって!」とか言ってたフクキタルが何度か1位をかっさらっていくので油断できん。
昨日より更に増えたギャラリーに見守られながらレースを繰り返す。
ちょっと飽きてきた頃に尻尾鬼を提案したら、ハイレベルな模擬戦闘に突入した。
やば・・・こいつら強い。いいね!そうこなくっちゃ!
最終的にはスズカ達と見物していたウマ娘および人間を含む30人オーバーの鬼ごっこになった。
なんでだよ!なんで俺が1人でこの人数を追いかけ回すんだよ。やけくそで頑張った!
昨日スタートの合図出してくれたおじさんが最後まで逃げ切った。お前何者だよ!
もう尻尾関係ない集団鬼ごっこがメチャクチャ楽しくて夢中になって遊んだ。
酒なんて飲んで無いのに空気に酔っている感じ、集団だるまさんが転んだも大好評の内に終わった。
遊び疲れて皆解散。名前すら知らない参加者達に手を振って別れを告げる。
「メッチャ盛り上がったな。もう最後の方カオスだったけど」
「こんなに楽しいの久しぶり。マサキさんのお蔭ですよ」
「みーんなハッピーでシタ!もちろんワタシモ」
「ぜぇ・・・はぁ・・・皆元気過ぎですよ・・・今日はグッスリ眠れそうです」
「あの~皆さん、覇気を頂いてもよろしいですか?」
「約束でしたからね。どうぞ・・・どのようにして吸収するんですか?」
「頭を出してくれ。今から撫で回すからグヘへ」
「言い方がキモイです」
スズカの頭を丁寧に撫でる。サラサラの髪が手触り最高なんじゃ。
そのままリラックスしてね。はい来ましたよ~・・・もうちょっといっとくか。
「はい終了。どうだ、体に異常はないか?」
「はい大丈夫みたいです。なんだか不思議な感じ」
「これをやると俺の覇気がちょっとだけ流れ込むんだけど大丈夫みたいだな」
「愛バでもない騎神に覇気を譲渡するのは難しいと聞きますが、そんな事もやってのけるんですね」
「キモイかもしれないが我慢してね。さあ、次行くぞー!」
タイキとフクキタルにもドレインをする。
こらタイキ動かないの!じっとしてそうそのまま・・・うっし!成功。
フクキタルは吸ってる最中ずっと「あ゛あ゛あ゛あ゛」と唸っていた。知らね。
「なんか私だけゴッソリ持っていかれた気がするんですけど」
「気のせいだ、ちょっと力加減ミスったとかじゃない」
「マサキさん、すっごく撫でるの上手デス。テクニシャン!」
「そのうち遠距離からでも撫でれるようになるつもりだ」
指先を艶めかしく動かしてみる。
「才能の無駄づかいですね。その手つきヤメロ!」
「本当に助かったよ三人ともありがとうな」
「これからどうしマス?」
「旅を続けるさ・・・そうだな、占いとかできるかフクキタル」
「その言葉を待っていましたよ。お任せ下さい、超得意分野です」
どこからともなく取り出した水晶玉に手をかざしてブツブツ呟きだすフクキタル。
「むむむ・・・今すぐにここを出発した方が良い。何かがあなたに迫っています」
「それは俺のファンとかじゃ」
「ご対面した瞬間に戦闘になると出ています」
「めんどくせ!逃げるわ、次はどこに行ったらいい」
「このまま南下して次の街へ行って下さい。新しい出会いがあるでしょう」
「わかった。それじゃあ・・・」
「待って下さい・・・ラッキーアイテムはウマ娘の耳飾りです」
「そんなもの持ってない」
「仕方ないですね、コレをあげますよ」
「スズカさんのイヤーカバー・・・オークションに出品したらいくらになるんでしょうか」
「スズカはファンが多いデスカラ。本物だと証明できれば即ソールドアウトね」
「売ったりなんかしないよ・・・たぶん」
「あれ・・・私早まったかな」
「とにかくありがとう。もう返さない!もらっておくよ・・・生耳カワイイ!」
「なまみみ?ジロジロ見ないで下さい、視線がやらしい」
これシュウなら高値で買いそうだ・・・いやもっと他にいい使いみちがあるかも。
「マサキさん、そろそろストーカー(仮)がここに来ます」
「おう今度こそ行くよ」
なにやらストーキングされているらしいので急いでこの場を離れる事にする。
覇気を開放!3日に1回ぐらいはやっておかないと、いざと言う時に困るからな。
腕と脚から溢れる覇気、周囲に粒子をまき散らすのも見慣れた光景。
「それがあなたの本当の姿」
「ワォ!」
「あわわわ。シラオキ様もドン引きしてます」
とりあえず線路沿いに移動すれば迷わなくて済むか、ある程度距離を稼いだら電車に乗ろう。
「じゃあな!皆元気でやれよ」
アクセル発動、開放された覇気に身を任せて走り出す。
次はどんな奴と会えるのかな。
「とんでもない御仁でしたね。あの人、少し前の尻[尾ピーン事件]の元凶では」
「ソウデス!思い出しましたあの時の感じと一緒デス」
「そうかもね」
このまま周囲の期待に流されて騎神としてやっていく事に悩んでいた自分。
そんな時現れた騎神と対等かそれ以上の力を持つ人間。
最初は人間に負けた事で傷付いたプライドの意趣返しをしようと思った。
気づいたら本気で遊んでいた。今日なんて本当に嘘みたい。
ウマ娘も人間も関係なくあんなに大勢で笑って騒いで・・・。
常に先頭を走り1人で見る景色が最高だと思っていた。自分はずっと孤高だとそうあるべきだと。
「皆で見る景色も良いものね。・・・決めたわ」
「どうしマシタ急に?」
「私強い騎神になる。誰もが笑って最高の景色を望める世界を作って守るの」
「素晴らしい目標が出来ましたね。これからの進路はやはり」
「うん。トレセン学園・・・」
「イイデスネ!ワタシも行きたいデス!強いコが全国から集まるのデショウ」
「おやおや、二人ともやる気になって。私はどうしましょうかね~占ってみましょうか」
三人が進路について思いを巡らせているとその人物は現れた。
「覇気の反応はこの辺りからしたはず・・・君たちでは無いな」
マサキより年上の男性、顔はまあイケメンの部類だろう。
中国武術を学んで者が身に纏う様な赤い武道着を着た鋭い覇気を放つ男。
三人の騎神は理解する「これがマサキのストーカー!」だと。
「突然すまない。先程まで凶悪な覇気を出す人物がここにいなかったか?」
「・・・////」
「スズカ?」
「もうここにはいませんよ。その人がどうかしたんですか?」
「奴は異常だ、いずれ世に災いをもたらす可能性がある」
「そんなに悪い人には見えませんでしたよ」
「百聞は一見に如かずだ。僕自らの手で見極めないと気が済まない」
「スズカ!どうしたんですかスズカ!」
「どっちに行った知っているなら教えてくれないか?」
「う~ん。彼とは一緒に遊んだ仲なんですが・・・」
「あの人はここから南下して次の街に行くそうですよ」
「「スズカ!!」」
「ほう。すると駅向かったか・・・感謝する」
「あ、あの!あなたは操者ですか!ここにフリーの騎神がいるんで良かったら契約しませんか」
「「本気か!!」」
「いや僕は操者では無いよ。いずれは契約したいと思っているが・・・ふむ。君は凄い素質を秘めているな」
「そうなんです!私メッチャ有能な騎神です!えっと・・・どこを噛んだらいいですか?」
「「正気か!!」」
「ははは!面白い子だな。だがいきなり古式契約を申し込むのは良くないぞ」
「はう・・・す、すみません、焦ってしまいました////]
「だが君の気持は伝わった。まずはそうだな・・・トレセン学園に入って修練を積む事だ」
「はい!絶対に入学してみせます!だから契約を」
「操者を選ぶのは良く考えてからにした方が良い。いつの日か力をつけた君が再び僕の前に立った時、契約するかを考えよう。先を急ぐ身なんでね・・・さらばだ!」
マサキを追ってその男は姿を消した。
「・・・決めた。私、トレセン学園に入る」
「それさっきも聞きマシタ」
「そしてあの方の愛バになるの!フフフ・・・これから忙しくなるわ」
「あちゃ~一目惚れってヤツですか、随分熱い男でしたね・・・あんなのがタイプだったとは」
「あんなのって言わないでよ!しまった!お名前を聞いておけばよかった私のバカ!」
「マサキさんが風だとしたらあの男は炎ですね。燃えるストーカーwww」
「あのストーカーさん。全く隙が無かったとってもストロングデスネ、マサキさん大丈夫でショウカ」
「ああ私もストーキングされたい・・・逃げる私を情熱的に追いかけて・・・グフフ」
((こいつはもうダメだな))
新たな夢を獲得した友人がちょっと残念になった事を感じるタイキとフクキタルだった。