俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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じゅうしゃたち

 テイオーを抱えて移動する。

 

「どこか座れる所がないかな~と」

「もう少し行けば大きな運動場があるんだ、そこならベンチぐらいあるよ」

 

 オフィス街から離れた所にある立派な運動場。

 一般開放されており、トレセン学園のイベント広場になったりもするそうだ。

 

「そこに座って靴を脱げ、生足を見せろ」

「足フェチだったの。足はウマ娘の命だよ、丁重にあつかってね」

 

 素直に靴と靴下を脱いで素足になるテイオー。

 

「触るぞ・・・ほう、ちゃんと鍛えてますね」

「触り方やらしくない?も、もういいだろ」

「待て、ここは痛いか、じゃあここは・・・ふむふむ」

「何を調べているのさ、もしかして君トレーナーだったりする?」

「そうなるつもりが気づけば操者さ」

 

 トレーナー教本で学んだ知識を頼りに足を調べていく。

 さらに覇気を使えるようになったのでその流れも見ておく。

 

「お前、最後の一撃放つ時に随分無茶したな。足に負担がかかり過ぎだ」

「気づかれてたか。こんなのよくあることさ直ぐに回復するし」

「普段からオーバーワーク気味じゃないのか?しっかり休まないと、良い修練はできんぞ」

「う、うるさいな。僕には目指す目標が、どうしても追いつきたい人がいるんだ」

「そのためだったら無茶すると」

「そうだよ。僕は弱い、無茶でも何でもしなきゃ強くなれないんだ!」

「まあ落ち着けよ。才能はあるし覇気も強い、ちゃんと手順を踏めば自然と強くなる」

「でも・・・僕は早く一人前に、あの人に認めて欲しいんだ」

「強さを求める事を否定はしない。でも焦って体を壊したら元も子もない、それであの人とやらは喜んでくれるのか?」

「・・・・」

「俺の愛バな、ずっと寝てるんだ」

「え?」

「俺と契約してあいつらの体はおかしくなった。でも契約解除は死んでも嫌なんだと」

「・・・・」

「今よりもっと強くなって俺と一緒にいるために眠ってしまった」

「・・・・」

「そこまでされて嬉しいけど、あいつらが今の状態になった事は凄く嫌で悲しいんだ」

「・・・・」

「つまりだな、えーと。お前が頑張り過ぎて悲しむ奴がいるって事をわかって欲しいんだ。ごめんな個人的な話をして」

「いいよ僕こそごめん。心配してくれたのに」

 

 無茶するテイオーを見ていたらクロとシロを思い出してしまった。

 あいつら多分最初からわかってたんだろうな、黙って無茶すんなよバカ。

 

「高いポテンシャルにフィジカルがついていけてない。今は休息も大事にしてしっかり土台となる体作りに専念するのが良いと思う。理解したか?」

「あの人と同じ事を言うんだね。わかったよ、もう無茶はしない約束する」

「よしよし良い子だな。これはサービスだ」

「え、うわ、なにこれ」

 

 手の平に覇気を集めて痛めた箇所に優しく当てる。

 覇気によるヒーリング、本来は契約した愛バにやるものらしいが俺の覇気は相手を選ばない。これまで出会ったウマ娘に試した結果、愛バでなくても効果は十分ある。

 

「少しは楽になっただろ。ここもやっとくか」

「すごい、契約してもない相手に覇気をあげたり治療したりするのは難しいんだよ。これなら一流の治療師にだってなれるはず」

「俺の覇気は特殊なんだと、そのせいで愛バには苦労をかけているがな」

 

 テイオーに治療を施した、これで大丈夫だろう。

 

「治療してやった事の見返りじゃないが、俺の頼みを聞いてくれないか」

「もしかして、君の愛バの事」

「そうだ実はな・・・かくかくしかじかで、覇気が欲しい」

「しょうがないこの帝王様が力を貸そうじゃないか」

「ありがとう帝王様!恩に着る」

「えへへ、特別だからね」

 

 テイオーの覇気なら間違いなくドレインしていいだろう、拳で語って理解しました。

 優しく頭を撫でながら覇気を吸収する。

 この瞬間はいつもちょっと緊張そしてちょっと嬉しい、俺に心を許してくれた証拠だからな。皆の信頼が力となってきっとクロとシロに届くはず。

 

「終わったぞ。よーしこれで目的達成だ」

「君の目的って僕の覇気だっけ?何か忘れているような」

「あー!こんな所にいた!もう、帰って来ないから心配したんだよ」

「マヤノ」

「どちら様?」

 

 ぷんすか怒りながら近づいて来るウマ娘。

 テイオーも小柄だがこの子は更にちっこいな。

 明るい性格を感じさせるオレンジ色の美しい毛並み。

 わかるぞ、この子は好奇心旺盛かつ甘えんぼ、小悪魔的な魅力がある。

 見た目に反して頭は切れる様だな、俺の存在を認識した瞬間に覇気の精度を上げたのが証拠。

 

「警戒しないでいいよ。俺はテイオーの友達だ」

「何のこと?マヤ別に警戒なんてしてないよ」

 

 しらばっくれるちっこいの。一応警戒は解いてくれたみたい。

 

「そうだ!マヤノの飛行機をかけて戦ったんだった」

「そうそう。忘れていたわ」

「テイオーちゃん、この人にケガさせちゃったの?警察・・・行こっか」

「確かに勝負はしたけどケガなんてさせて無いよ!負けたのは僕だし」

「は?テイオーちゃんが負けた。なんの勝負で?尻尾鬼!うそ・・・」

 

 当初の目的である紙飛行機は白熱する尻尾鬼の最中に紛失してしまった。

 俺をまじまじと見つめていたちっこいのが近づく。

 

「お兄さん、ちょっと屈んで」

「なんだよ。紙飛行機はどっかいっちまったぞ」

 

 敵意は感じないので素直に屈む。

 俺の体をペタペタ触り匂いを嗅いだり、目をじっと見つめてくる。

 母さんと初めて会った時もこんな事されたな。

 

「あの、そろそろいいかな。あんまり見つめられると興奮する」

「マヤわかっちゃった!お兄さん[尻尾ピーン事件]の犯人だね」

「なにその事件?知らね」

「それ本当なの。確かにマサキは強いけど、流石にあの覇気大爆発の原因だとは思えないよ」

「わかってないなーテイオーちゃんは、お兄さんの中には覇気がばびゅーんて駆け巡っているの。マヤ達なんて簡単に吹き飛ばせるぐらいの覇気がね」

 

 見抜かれた!いいセンスだなこの子。

 開放前の俺を見て実力を察知したか、やりおるわ。

 

「紙飛行機を折って覇気を乗せたのはお前だな」

「そうだよー。ほらテイオーちゃんマヤの言った通りになったでしょ」

「そうだね。君が正しかったよ」

「なんの話?」

「飛行機にはマヤがいる場所の地図を描いていたの。私の覇気に気付いた人に遊んでもらおうと思って」

「そんな暇人いる訳ないって、僕は飛行機を追いかけたんだ」

「俺が飛行機を取ったらダメだったわけ?」

「あの時はマサキがこんなに強いとは思わなかったんだよ。ごめんね」

「マヤの遊びに付き合わせて一般人に迷惑かけちゃダメだってテイオーちゃんが」

「テイオーお前、一般人だと思った俺のケンカを買った癖に・・・」

 

 まんまと釣られたわけだ。でも釣られて良かったテイオーとこの子にも会えた。

 

「俺はアンドウマサキだ。いきなりだがお前の覇気が欲しい」

「マヤノトップガンだよ。テイオーちゃんと遊んだんだよね、だったらマヤとも遊んでくれるよねマサキちゃん」

「覇気をくれるなら付き合うぞ」

「アイ・コピー。何して遊ぼっか!ワクワクするな~」

「アイ?なんだって」

「了解っていう意味らしいよ。マヤノの口癖」

 

 マヤノトップガンに付き合って遊んだ。

 いろいろやりましたよいろいろ。ショットガンタッチ、瓦割、タイヤ引き・・・?

 

「なあなあ、これって遊び?ただのトレーニングじゃんか」

「遊びながら鍛えられるのって効率いいよね」

「ボールはまあわかる。でも瓦とタイヤはどこから持って来た、タイヤでかすぎじゃね」

「これはトレセン学園でも採用されている由緒正しいトレーニング方なんだよ」

 

 本当かよ?タイヤの保管場所どこだよ。

 

「もうじき日が暮れるぞ、もう帰った方がいい」

「今日はありがとう。はい、マヤの覇気をあげちゃうよー」

 

 ぐぐっと頭を突き出してくるマヤからドレインする。

 良い覇気を頂きました。これで終了だが、頭から手を離そうとした俺の手をマヤが掴んで離さない。

 どうしたのかな?

 

「ねぇマサキちゃんの覇気をもらっていい?」

「俺のは自動で少しだけ移ったはずだが」

「わかってるよ。でももう少しだけお願い」

「さっき話したろ、俺の覇気は愛バをあんな目にあわせた。過剰摂取は禁物だ」

「それは愛バだったからだと思うよ。ちょっとだけ、無理はしないから」

「だーめ!」

「マサキちゃんのケチ~」

「わかってくれよ。俺のせいでお前まで眠ってしまったら・・・」

「あう。ごめんマヤわがままだったね。もう覇気はいらないから、泣かないで」

「別に、泣いてないし」

「あははは、マサキちゃん泣き虫だ」

「ねぇなんか長くない?僕の目の前でなにイチャついているのさ」

 

 テイオーがこちらをジト目で見ている。やましい事はありませんぞ!

 マヤさんや上目遣いでお願いするのは反則ですよ。大抵の事ならOKしそうになるからね。

 

「じゃあそろそろ帰ろうかな。大丈夫マサキ?」

「マヤ達もう少し一緒にいようか?」

「ありがとうな、でも問題ないよ。ほら親が心配するぞ、帰りなさいな」

「気を付けてね」

「またね、マサキちゃん」

 

 気を遣わせてしまったな。最近のチビ達はどうしてこう良い子なんや、嬉し泣きするわ!

 

「いるんだろ出て来いよ。そこにいるのはわかっている」

 

 俺を監視していた人物がいるであろう方向に向かって声をかける。

 

「あの・・・こっちです」

「そっちじゃないよ、こっち!こっちだってば」

 

 全然違った!恥ずかしい!!!

 俺が声をかけた反対側の物影から2人が姿を現す。

 

「すみません、カッコよく決められない質なんです。本当にお恥ずかしいです」

「お気になさらず。気配に気づいていただけでも大したものですから」

「そうだよ気にしちゃダメ。次は頑張ろう」

 

 慰められちゃった。索敵能力の低さが恨めしい!鍛えて何とかなるもんかね。

 

 黒を基調とした服装の2人組。

 所々、蛍光色の模様やロゴが入ったとっても厨二心をくすぐる格好だ。

 カッコカワイイくて大変よろしい。もとは同一の規格だった服を各々でカスタムしたのかな。

 どこかで見たような・・・黒服、俺やあいつらも着たことがある特注品。

 ローマ字?でカッコよく描かれた文字は、SA・TO・NO

 

「サトノ家の関係者か?」

「お初にお目にかかります。サトノ家従者部隊6番エイシンフラッシュと申します」

「同じく、サトノ家従者部隊7番スマートファルコンだよ~」

「敵?味方?どっち」

「サトノ家は概ねあなたの味方ですよ」

「そうそう。そんなに身構えないで欲しいな」

 

 覇気を巡らすのを止めたりしない。だってこいつらやる気だからな。

 

「ふーん・・・でもアンタらは俺の敵か」

「シングルナンバーは各個人の自由行動と命令拒否権が認められています」

「サトノ家の敵にはならない限りは、だけどね」

「頭首様、奥方様、お嬢様はあなたを大層気にいっておられます。しかし、私共従者部隊は迷っております」

「ブラック様とダイヤ様を昏睡状態にした元凶だって反感をもっている子もいる訳ですよ」

「俺にどうしろと」

「今からでも遅くはありません。身を引いていただ・・・」

「断る!!!」

「悪いようにはしないよ、あなたばっかりつらい目にあわなくったて」

「断るっつってんだろうが!!!」

「交渉決裂ですね。これ以上は時間の無駄です。ファルコン覚悟を決めなさい」

「やだなぁ、お嬢様達絶対恨むだろうな~」

「パパさんやハートさんはこの事知ってるのか?」

「もちろんです頭首様は「好きにすれば、君達程度じゃマサキ君は止められない」と」

「ハート様は「あはははは!冗談きついよ?あなた達マジで殺されるぞ☆」って言ってたね」

「パパさんもハートさんも煽り過ぎ!」

「部隊を代表して私達2人が来ました。どうか納得させてください」

「負けたら強制的に契約解除してもらうよ。弱い人にはお嬢様を任せられないから」

「うわーい!やる気満々だー。お腹空いたのに・・・夕食までに終わるのかコレ」

 

 二対一かやるしかない!

 都合よく人払いも出来ているし、場所の広さも十分。

 なにが来るかわからん、ちょっと距離をとる

 

「じゃあいくね。そーれ!」

「!?」

 

 離れた位置からの正拳?何の真似・・・がっ!胸に衝撃が突き刺さる。

 殴られた?数メートル先から?

 

「お嬢様はブーストナックルなんて呼んでたかな。ちょっとだけ遠くを殴れるの」

 

 不可視の覇気で殴られたのか、なんでだ全然見えねぇし感じられなかった。

 

「あ、私にも見えないからね。さあ!どんどん行くよ」

 

 技を出した本人にも知覚出来ないとは。

 カンで回避し続ける俺のすぐそばを衝撃が連続で走り抜ける。見えないのつらい!

 

「これも差し上げます!」

 

 フラッシュが何かを投擲した。

 これは不可視ではないちゃんと見える。細いワイヤーがついた円盤上の物体。

 ちっ!なんちゅー複雑な軌道、覇気で動きを操作しているのかよ。

 円盤には細かい刃がついており接触した対象を切り刻むってか、冗談じゃない!

 

「見事な回避行動ですが、私のチャクラムシューターからは逃げられません」

「これ対人じゃなくて対AM用の武装だろ!あー削られる!回転が止まらねぇ」

 

 俺を捉えたチャクラムの回転がガードした上から覇気コーティングをガリガリ削る。

 円盤を破壊する事も考えたがある程度こちらを攻めると、すぐにフラッシュの下へ戻っていく。

 ちょっとづつこちらを消耗させる気か。

 

「はいこっち!」

「普通に殴っても強いのね!」

「ふっ!」

「ああ!また円盤が来ちゃう!」

 

 この2人の強さは本物だ。

 テイオーとマヤを帰した事を少しだけ後悔する。せめて1対1ならば・・・。

 こんな時あいつらがいれば、クロ、シロお前達に会いたいよ。

 戦いは数だというのはマジです。次に強敵と対峙する事があれば素直に誰かを頼ろう。

 中距離は相手の間合いだ、接近戦を仕掛けてるしかない。

 だけど向こうもそれを理解してコンビネーションで間合いを詰めさせてくれない。

 

「このまま続けても結果は見えています」

「あなたのためでもあるんだよ。お嬢様は目覚める、あなたは責任から解放される、サトノ家はこれまで通り安泰。これでいいじゃん!」」

「クロシロとの繋がりは俺の生存に必要不可欠だ。俺の生きがいを、あいつらを奪うな」

「カッコイイね。でもさ言うだけなら誰でも出来るよ」

「報告書は読ませて頂きましたが、過大評価だったようですね」

 

 フラッシュがどこからともなく取り出した書類を確認しながら告げる。

 

「脱走したアルクオンの討伐。これはお嬢様達と謎の騎神が協力して対処、あなたはその場に居合わせただけ」

「メジロ家のハガネに対峙した際の戦闘はお嬢様達がAMを破壊。潜入した時も破壊工作をしたのはお嬢様、あなたは逃げ回っていただけ」

 

 あれー?俺の活躍が全然記録されてないよ。

 

「ラ・ギアスへはお嬢様達を危険に晒すとわかっていながらパラシュート無しのスカイダイビング」

 

 合ってるけど緊急事態やったんやで。

 

「謎の敵とあなたが死闘を繰り広げたとありますが、天級騎神が3名もいたのですよね。彼女達の手柄を横取りしたのでは?」

 

 おい!それは俺にもぺルゼにも失礼だろうが、誓って母さん達は手を出していない。

 

「あなたは確かに強い、でもあなたより優れた操者はたくさんいるんですよ」

 

 そりゃそうだろうな。

 別に俺が世界最強の操者だなんて思ってねぇよ。

 

「契約解除に同意して頂けませんか。あなたを必要とする騎神は必ずいますから」

「それはクロとシロだ」

「従者部隊から選んでくれても・・・そうだな私が契約してあげてもいいかな」

「遠慮する」

「私でも構いませんよ?あなたなら是非お願いしたいです」

「俺が欲しいのはあいつらだ」

「振られちゃったかー。お嬢様達、愛されてるなー」

「妬けますね。少しだけ羨ましいです。こんな事なら早くお嬢様達を彼に会わすべきでした」

「彼?」

「従者部隊が推薦する操者候補だよ。これがまた凄いの、文句なしの優良物件」

「彼ならばお嬢様達もきっとお気に召した事でしょう。アルクオンの脱走さえなければ」

 

 俺以外の操者・・・本来クロとシロの操者になるべき奴がいた・・・だと。

 

「契約解除後はあなたの記憶をお嬢様達は失うでしょう。その後、彼に契約してもらえば万事解決です」

「そいつの情報は」

「教えていいのかな・・・いいか、あなたじゃどうやっても彼には勝てないし」

「ホワン・ヤンロン。天級騎神グランヴェールの一人息子で中国武術ならびに騎神拳の達人。トレセン学園にて騎神育成の指導教官を務める若き秀才。轟級騎神を遥かに超える覇気を持ち、契約を望む騎神が後を絶たないとか」

「ホワン・ヤンロン・・・グラさんの息子・・・」

「イケメンだよねー。ああ、ファル子のファンになってもらいたい」

「見せろ」

「あ!」

 

 ファルコンが持っていた写真を取り上げて確認する。

 精悍な顔つきの男だな・・・こいつはむっつりスケベだ、そうに違いない。

 そうでなければ何らかの特殊性癖を抱えているはず。

 だってあのシュウでさえウマ娘狂いなんだぞ。

 放置プレイが好きとか女装癖があるとかお婆ちゃんのシワに興奮するとかしてるはずだ。

 トレセン学園の教官だとぉー!契約してくれってモテモテだとぉ!

 ああああああ!!!妬ましい妬ましいネタマシイ!!嫉妬マスクに変身しそう。

 こいつがこんな奴が、クロとシロを、俺の大事なあいつらを・・・。写真を握りつぶす。

 グラさんごめん。

 敵だ敵だ敵だ敵敵敵敵!見敵必殺!見敵必殺!サーチアンドデストロイ!!!

 

「・・・させるか」

「ん?」

「離れなさい!ファルコン!様子がおかしい!」

「させるかぁああああああああああくぁwせdrftgyhyふじこ!!!!!」

「ひぇえええ!」

「あ、ありえない」

 

 どうしても我慢できん!一気にバーストモードに突入。

 おかしいな、今日は周囲に覇気が拡散しない。

 体の各部位からは放出されているが、光の粒子散布に勢いがない。

 おそらくこの運動場全体になんらかの仕掛けがしてある。

 覇気を周囲に漏らさないような結界発生装置とかな、流石トレセン学園のお膝元。

 

 ヤンロンその名前覚えたぞ、クロとシロには絶対に会わせない!

 もし俺を差し置いて契約なんぞしようとしてみろ、どんな手を使ってでも必ず殺す。

 今までの人生でこんなに敵意と殺意を抱いたことがあったろうか?アルクオンの時より酷い。

 取られる、あいつらを取られる、それだけは絶対に阻止しなければ。

 

 仇敵について考えていると、不可視の拳と刃付きの円盤が俺を襲う。 

 開放状態になった俺は避けもしない、そんな事よりヤンロンをどう処理するか考えるのが先。

 

「なんで!さっきまではダメージ入っていたのに!に、逃げた方がいいかも」

「この状態でこの人を野放しにはできません!なんとか取り押さえ・・・」

「おい、こいつの居場所を知っているのか?」

 

 円盤がくそウザいので握りつぶしてやった。なんだ、こんなオモチャに手こずっていたのかバカみてぇ。

 豹変した俺を前に2人は立ち尽くしている。

 

「こいつはどこにいる?」

「ファルコン!」

「うん!」

「答える気がないなら・・・マジで潰すぞ」

「「!?」」

 

 なにかしようとした2人の顔面を掴んで地面に叩きつける。クレーターが出来たが知った事か。

 一旦意識を狩り取るか、その後で尋問すればいい。

 顔を掴んだのはマズかったか?なるべく傷つけずに無力化するにはどうしたら。

 もう2、3回叩きつけるか・・・それともこのまま・・・。

 

「ひっく、えぐ、やめて・・・殺さないで」

「ファルコン・・・先に仕掛けたのはこちらです。敗者の末路は決まっています」

「止めようって言ったのに・・・フラッシュの口車に乗った自分がバカだった」

「な!人のせいにしないでください!あなたもこの計画にはノリノリだった癖に」

「まだトップウマドルになっていないのに、ごめんねファンの皆、ファル子はここで終わりみたい」

「予想外の結末、相手の力量を読み間違えた私のミスです。でもお嬢様達の目に狂いはなかった。私達が敗れたと知れば他の従者達も文句は言わないでしょう」

 

 あーなんか勝手に終わりを悟った奴ら見てたら冷めた。

 頭に血が昇り過ぎた反省しよ。敵とはいえ女の子の顔面つかんでなにやってんだ・・・。

 こんなんじゃクロとシロに顔向けできない。落ち着け、ヤンロンの事は今は考えない。

 

「やり過ぎた・・・悪かったな2人とも」

「「え?」」

「もうやめよう。腹も減ったしな・・・手離すぞ暴れるなよ」

 

 顔から手を離す、ヤバいどっちも涙目・・・いや泣いてる!俺が泣かした!

 ハンカチは・・・あった。近くに放り投げていたカバンからタオルも取り出す。

 呆けたような顔する2人の涙を拭って、ほら立ちなさいな、手を引いて立たせる。

 えっと傷は、後頭部思いっきりぶつけたよな、骨は折れてない。擦り傷等は後にしよう。

 

「じっとしてろよ。大丈夫、怖くないからな」

 

 自分たちに死の覚悟をさせた男から治療など嫌だろうが我慢してね。

 頭を撫でながら後頭部を中心にヒーリングしてやる。

 良く鍛えているみたいなので思ったよりも軽傷だ、日頃の修練は大事よ。

 

「あ、あの」

「えっと」

「まだだ。動かないで、ごめんな・・・お前達が悪い訳じゃないのに。許してくれ」

「「は、はい////」」

 

 頭は大丈夫だな。後は目立った大きな損傷は無し、残り手足の擦過傷をヒーリング。

 やけに大人しくなったな。もっと抵抗されると思ったが・・・まあいいか。

 

「はい終了。もしまだ痛い所があったらすぐに医者にかかれよ。おれは治療の専門家じゃないからな」

 

 なんかさっきから動かない2人の服装を直して、埃を払ってやる。

 顔をもう一度拭いて、よし綺麗になったぞ。

 

「どうした?なんで金縛り状態?もう動いても大丈夫よ」

「「はい」」

「・・・これからどうしようかな。なあ、お前達は・・・うお!」

 

 一瞬目を離したすきに2人が土下座しとる!土下座マイスターの俺も唸る完璧な姿勢。

 

「なにやってんの!俺もだけど、サトノ家は皆土下座のプロなのか」

「アンドウマサキ様、あなたのお力とその寛大な御心、誠に感服いたしました」

「私達の完敗です。数々のご無礼をお許しください」

「ああコレはクロとシロもやってましたね。うん懐かしい」

「今この時を持ちまして、あなたを我らの主として認めます」

「サトノ家一同、あなた様に二度と逆らう事はないと誓います」

「ほら来たよ・・・本当に俺の言う事聞くの?」

「「はい」」

「パパさんやハートさん、クロシロの命令はどうするんだ」

「シングルナンバーの権限によって私はマサキ様の命を優先いたします」

「私も同じくあなたの命令を最優先で実行します」

「だったらまずは顔を上げて立とうか、そして仰々しい敬語はやめろ」

「「はい」」

「よし立ったな!簡単に忠誠を誓うな自分を大事にしろ。誰の命令でも嫌だったら拒否しろ」

「「はい」」

「本当にわかってんのか?ああメンドくせーなー。とりあえずメシ行くぞメシ!お腹空いた」

「「はい」」

「シンクロ返事やめてくんない」

「お疲れではないですか?私が運んで差し上げましょうか」

「お前におんぶ又は抱っこされて飲食店に入れと、恥ずかし過ぎるわ」

「あなただけのウマドルになってあげてもいいよ。ずっと見ててね」

「ウマドルってそもそも何?」

 

 妙に懐かれたな。まあ敵対するよりマシか。

 

「運動場のクレーターどうしよう」

「ご心配なく、サトノ家の事後処理係が一切の痕跡を残さず処理します」

「便利ね、助かるわ」

「マサキ様、私のことはファル子って呼んでね」

「様付はやめろ、ファルコン」

「ファル子だよ。もう意地悪なんだから」

「そっちはフラッシュでいいか」

「はい、ご自由にお呼びください。マサキ・・・さん」

「なに食べようかなー。2人は何が食べたい?俺に任せるは無しでな」

「私はジャンキーなものが食べたいよ!から揚げとか」

「私はそうですね、黒ビー・・・ゲフンゲフン!サラダとかあっさりしたものを所望します。アルコールなんて飲んだ事ありませんとも!」

 

 戦闘をした直後とは思えない雰囲気。

 仲の良い友人達にしか見えない俺達三人は夜の街へ消えていった。

 




マサキ   スパロボ1週目は女主人公でプレイ

テイオー  マジンガーとゲッターを見ると震えが止まらない

マヤ    飛行形体になれない奴は2軍

フラッシュ 敵の命中率は0%じゃないと安心できない

ファルコン 勇者シリーズの参戦は遅すぎたと思う
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