俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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おーきゃん

 今日はトレセン学園のオープンキャンパス開催日。

 

「昨日はお楽しみでしたね」

「1人で泊ったんだけど」

「お部屋に準備させて頂いたブツはお気に召しませんでしたか?」

「あれはアンタの仕業か」

「そろぴょい用にエロ動画専門チャンネル(有料)を視聴可能な大画面TVから多種多様な性癖に合わせた書籍、薄い本。VRゴーグルも完備しておきました」

「俺が泊った部屋、凄い事になってるからね。そういう専門店みたいな品揃えだからね」

 

 サトノ家に用意してもらった宿泊施設。

 フロントにいる通称"お楽しみおやじ"が妙な気を利かせてくれた。

 なかなかのラインナップだったので怒鳴ったりはしません。

 このおやじの目利きは本物だ。どこで買えるのか教えてもらおう。

 

「チェックアウトいいですか」

「あ、すみません。お先にどうぞ」

 

 おやじとこだわりの薄い本について語り合っていると、他の宿泊客であろう男性2名がフロントに現れた。おっと邪魔だったか。

 

「昨日はお楽しみでしたね」

 

 ちょwww何を言い出してんだwwwこのおやじwww。

 

「いえ・・・////」

「ポッ・・・////」

 

 え?・・・なんてこったこの2人・・・できているのだと!!

 少し照れながら満更でもない表情を浮かべた男たちは会計をすませ、手を繋いで出て行った。

 

「ほぇ~たまげたな~」

「あのお客様達はカモフラのためなのか、わざわざ1人1部屋をご利用くださいました」

「バレてんじゃんか・・・どう見ても厳格な中年上司と若手の新入社員だったのに」

「あれは若者の方が攻めですな!」

「聞きたくない!!!朝から脳みそが腐るわ!!」

 

 やだー!腐男子になっちゃうー!

 

「本日中にBLものをご用意してお部屋にお持ち致します」

「いらん気遣いをするな!俺はノーマルだ!」

「ロリコンの癖にwwwノーマルとかwwwウケるwww」

「ぶっ殺すぞてめぇ!なんで知ってるんだよ!」

「サトノ家一同は皆存じておりますので」

「なら仕方ないね!クソが!」

 

 ロリコンと言われも動じないと言ったな・・・あれは嘘だ!

 

「じゃあ行ってくる。スーツありがとう」

「今日は保護者役をなさるとの事でしたね。お持ち帰りを期待しております」

「したことはあるけど!今日はしないよ!」

 

 気持ちの悪い笑顔で送り出された。

 用意してもらったスーツもサトノ家の特注品。いざという時の戦闘にも十分耐えれる強度と防御性能もある優れもの。ちょっと話しただけで速攻で用意してくれた。

 あのおやじなんだかんだで有能。

 

「あー来た来た!こっちこっちだよーマサキちゃん」

「悪い、遅れたか?」

「僕たちが先に来てただけで、まだ10分前だよ」

 

 学園の正門前では既にテイオーとマヤが待っていた。

 人が多いな、たくさんのウマ娘とその保護者でごった返している。

 

「服装自由だっていったのにスーツ着てる~」

「似合ってるね。大人って感じだ」

「一応保護者ですからビシッと決めないとな。今日はよろしくな」

「「こちらこそよろしくね」」

 

 入場が開始されたので3人で列に並ぶ。

 

「今日は例の結界が見当たらない、ターゲットがいないなんて事はないよな」

「警備員や生徒に混ざっているかもね。相手の特徴は?」

「唯一の目撃者のデジタル殿によると、緑色の服を着た女性だそうだ」

「いるかな~。どこかな~」

「せっかくのオープンキャンパスなんだ、お前達はしっかり学園内を見学しておけよ。俺の事は気にするな」

「えー手伝うよ。水臭いな~」

「そうだよ。マサキちゃんが警戒するその人に会ってみたい」

「学園に入れただけでも十分協力してもらったよ。ここからは俺の仕事だ」

「「ブーブー」」

「ふくれっ面してもだーめ。力を借りたいときはお願いするからな」

 

 受付をすませて、ついに憧れた場所に入場。

 先日見かけた守衛さんはいなかったので止められる事はなかった。

 

「ついに来たぞトレセン学園に!あーなんか匂いが違う」

「各種施設の見学や展示物の紹介、模擬レースや騎神の模擬戦闘もやるんだって」

「どこから回ろうかな。わくわく」

 

 肩っ苦しい挨拶は抜き、入場した者は渡されたパンフレットを見ながら学園内を巡るらしいな。

 しばらく人混みの流れに沿って歩いた所で教室棟が見えて来た。

 そろそろいいか。

 

「ここからは別行動だ。じゃあ楽しんで来いよ」

「何かあったらこの帝王様を呼ぶんだぞ」

「マサキちゃんの覇気は覚えたからね。すぐに駆け付けるよ」

「ありがてぇ。なんて良い子達なの」

 

 頼もしい仲間と別れて単独行動。

 こちらマサキ、任務を開始します。

 

「・・・いない」

 

 早速行き詰った。

 大きな覇気の持ち主を探そうと試みるが・・・こりゃ大変だわ。

 放出する覇気を絞って隠されたらマジでわかんねぇな。

 俺の探知能力では姿がはっきりと確認できる距離まで近づかないと見つけられない。

 それっぽい人物に近づいてみるが今の所ハズレばっかりだ。

 

「ここにも・・・4羽目セット」

 

 手あたり次第に近寄って覇気をチェックするのと並行して、餌をばら撒いておく。

 昨日の紙飛行機で思いついた釣りの方法だ。

 折り紙で作った鶴に覇気を込めて学園内に設置していく。

 この折り鶴に気付いて俺の所まで来てくれるといいだが。

 テイオーとマヤには事前に伝えてあるので釣れるならあの2人以外。

 デジタルは空気を読んでスルーしてくれるだろう。

 誰が釣れるかわからないが、この餌に気付いて俺を追ってくる奴はドレイン候補だな。

 

 綺麗に掃除が行き届いた広場に到着。

 噴水の中央に三女神の像があり学園をやさしい顔で見守っている。

 そういえば孤児院を出た後、母さんが三女神の下で俺を待っていた。

 女神様・・・今回も、これからも良き出会いをお願いします。

 

「にょわ!」

「お!?」

 

 考え事をして歩いていたら誰かがぶつかって来た。

 

「陳謝ッ!ケガはないか」

「そっちこそ。大丈夫か?」

「この通りピンピンしている。私の前方不注意だった、すまない」

「俺も考え事をしていたからな。お互いさまって事で」

 

 身なりのいい格好をした子供だな。クロやシロと同じぐらいか?

 白い帽子とワンピースに青い上着。

 清楚なお嬢様風の服装だが着ている本人のパワフルさを隠しきれていない。

 手に持った扇子に文字が浮かんだ様な気がしたが、最近のオモチャはすげーな。

 

「君はオープンキャンパスに来られた保護者の方か」

「親戚の子の付き添いでな。今はちょっと別行動中だ」

「歓迎ッ!ようこそトレセン学園に。私はこの学園を運営している一族の端くれだ」

「若いのにしっかりしているな・・・もしかして迷子か?」

「否定ッ!迷子ではない。今の私は逃亡者だ」

「ふーんそうなんだ。じゃあ俺はこれで・・・」

「何から逃げて来たか聞かないのか?」

「事情を聞いたら嫌なイベントが発生しそうなんで遠慮します」

「多くの厄介事に見舞われてきたのだな。あ、待って」

「やーめーろーよーしがみつくな!今はやる事があるの!遊び相手なら他を当たってくれよ」

「薄情ッ!同じ操者のよしみではないか、ちょっとそこいらでお茶でも」

「今、同じ操者って言ったか・・・まさかお前、操者なのか」

「肯定ッ!証拠ならあるぞ。これを見てくれ」

 

 首に巻いたスカーフを外して俺に首筋を見せる。

 そこにあった傷跡は。

 

「歯形だと・・・1つだけだがクロシロのより大きい。お前、その年で自分よりでかい騎神と契約したな」

「うむ。死ぬかと思ったぞ!」

 

 騎神が人間に噛みついて行う古式契約をやる事自体が時代遅れだと聞いた。

 それをやるようなバカは俺ぐらいだと思っていたのに。

 あの激痛に耐えたのか、こんなに小さいのによくぞ・・・しかも自分より年上に噛まれた模様。

 なんか泣けてきた。

 

「俺はアンドウマサキだ。さぞ痛かっただろう・・・俺も痛かった」(´;ω;`)ブワッ

「秋川やよい(アキカワヤヨイ)だ。うう・・・やっとこの痛みを理解してくれる人に会えた」

 

 人目もはばからずヒシッと抱き合う俺達。

 やましい気持ちなど一切ない。

 よくあの地獄から生還したとお互いを讃え合ってのハグだ。

 

「痛かった!痛かったよー!がっちり捕まれて一切抵抗できなかった!」

「よしよし、怖かったな。マジで食い殺されると思ったよな。年上の騎神に噛まれたのか、酷い!」

「すぐ終わるって、優しくするって言ったのに!嘘つき!たづなの嘘つき!」

「俺の騎神は年下だからまだマシだった。ほら見てみろ、ここに2つあるじゃろ」

「ふたつ・・・え、2人同時・・・ひ、酷すぎる!年下とか関係ない!2人分の覇気が体を蹂躙したのだろう!そっちの方が遥かに危険だ!もうヤダ!私が理事長になったら絶対禁止する!」

「そうして!絶体そうして!この悲劇を繰り返してはいけない!」

 

 ちょっとだけ愛バへの恨み言を吐きながら、俺達はしばらく泣いた。

 

「( ´Д`)=3 フゥ取り乱して済まなかったなマサキ君」

「かまわんよ。それにしても未来の理事長様が俺と同じ苦痛を味わったとはな」

「秋川の家は代々多くの操者を生み出した家系だが、近年では恵まれた覇気を持つ人材が減っている。なんの因果か私の覇気は周囲の期待を背負う程にはあったそうだ」

「お家の権力闘争に利用されて不満はないのか」

「トレセン学園の改革には必要な手順である。予想外に痛すぎたけど」

「現理事長から学園の運営権を奪うか。もうクーデターじゃん」

「私が彼女と契約できた段階でこちらの勝利は確定したも同然。数年後は私が理事長だ」

「トレセン学園を牛耳る秋川家を揺らがすほどの力を持った騎神。学園の結界も彼女が」

「うむ。今日は園内の仕事が山積みなのであちらこちらを奔走している。広域結界はお休みにしておいた」

「実は今日その人に会いに来たんだよ。理事長(仮)と一緒にいたら会えるのか?」

「オープンキャンパスが終わった後で良いなら紹介しよう」

「是非お願いします。なんとかなるもんだな」

「彼女の代わりとして私の監視・・・じゃなくて護衛を任された者から逃げるのに協力してくれ」

「紹介してくれるならいいけど。逃げて来たんだよな、心配されているんじゃないの」

「悪い奴ではないのだが、自分にも他人にも厳しい奴でな。一緒にいると、どうにも肩がこってしょうがない」

「やがて自分の城になる学園を自由に見て回りたいと。わかった、お供しましょう」

「感謝ッ!では行こうかマサキ」

「はーい。ところで理事長・・・やよいでいいよな。やよいは俺の折り鶴を辿って来たのか」

「折り鶴?そのような物は見ておらん。マサキと会ったのは偶然、ぶつかった時に複数の覇気を感じた気がしたのでカマをかけたらやはり操者だっただけ」

「折り鶴の撒き餌は失敗か・・・」

 

「ここにいましたか、やよい様」

 

 学園を見て回ろうとする俺たちに声がかけられる。

 

「さっそく迎えが来たみたいです・・・よ・・・!?」

「追いついて来たか、護衛はもう結構だ。今からこの男と一緒に学園を巡る」

「・・・あ・・・あ」

「わがままを仰らないで下さい。今日1日彼女からあなたの任されたのは僕です」

「融通の利かない奴だな。今日ぐらい羽を伸ばしても良いではないか!」

「あなたはいつも伸び伸びされていると思うのですが」

「マサキ君からも何か言ってくれたまえ・・・どうしたマサキ君?」

「・・・お・・・あ」

 

 ファルコンから奪った写真で見た顔。

 夢の中で俺に最大級の屈辱を味合わせたその顔。

 なんで今遭遇するんだよ・・・あ、手に持っているのは俺が作った折り鶴やんけ。

 とんでもない奴を釣ってしもうた。

 

「ホワン・ヤンロン」

「どうして僕の名前を知っている・・・お前は!?」

「意外ッ!2人は知り合いだったのか」

「やよい様!すぐそいつから離れろ、その男は危険だ」

「フッ、何を言ってるかわかりませんな。今日は親戚の付き添いで学園に来た人畜無害な男ですが何か?」

「とぼけるのはよせ。お前の事は調べがついているぞウマ娘の敵め!」

「なんだと!俺は自他共に認めるウマ娘ラブ勢だぞ」

「ヤンロン、マサキ君が危険人物だと言うのならその根拠を説明しろ」

 

 こいつと争う理由は無いので、なるべく穏便に済まそうと感情を抑える。

 一方的な悪感情だとわかっている。でも・・・殴りてぇな。

 

「その男は数か月前に発生した超特大覇気の大量流失[尻尾ピーン事件]に関わっている」

「驚愕ッ!その覇気は私も直に感じたぞ!」

「なにを企んでいるのか知らんが、再びそれを起こそうとしている。そうだろう」

「知らね」♪~(´ε` )

 

 前半は正解、後半は間違い。

 

「僕なりに事件の犯人を追っていた所、妙な噂を聞いた。なんでもウマ娘にいかがわしい行為を強要し、覇気を奪っていく変態が出没すると」

 

 おい!誰だ!話を捻じ曲げた奴は!

 失敗したなぁ、スぺと別れた後やけくそでいろんなウマ娘に声をかけたのが良くなかったか。

 あの時はちょっと焦っていたんだが、ドレイン候補に会えないばかりか変な噂を流された。

 

「強い覇気を持つ人間を追いかけると、この噂にぶつかる。なにを企んでいる?どうやって覇気を集めた?全て聞かせてもらおうか」

「本当なのかマサキ君。私には君が悪人だとは思えない」

「覇気を集めているのは本当だ。だが俺の愛バに誓って悪事を働くつもりは毛頭ない」

「信用ッ!私は君を信じる。同じ痛みを知った操者として」

「やよい!お前なら信じてくれると思ったぞ」

「僕はまだお前を信用してはいないぞ」

「本当に頑固な男だな。私が信じると言っているんだ。この場は引いてくれ」

「未来の理事長は俺の味方ですぞ。下がり給えヤンロン君」

「ぐっ!調子に乗って」

 

 やよいが味方になってくれたので穏便に済みそうだ。

 良かった面倒事にならなくて。もう帰って!俺の前から消えて!

 

「僕はお前の力を見極めなくてはならん!勝負だ!」

「コイントスでいいよね。俺表、そーれ!」

「待て!勝負の内容を勝手に決めるな」

「表だな。マサキ君の勝ち」

「はい終了!解散!」

「そのコインを見せろ・・・両面とも同じ絵柄ではないか!ふざけるな!」

「「ちっ!めんどくせぇな」」

「やよい様!その男に毒され過ぎです!」

「オーキャン中でしょうが、ここで戦って皆さんに迷惑かかったらどうすんの?」

「問題ない。指導教官のヤンロンだ、危険人物を発見した。周囲の人払いを、それと騎神用グラウンドの使用許可を」

 

 通信機のような物に指示を出すヤンロン。

 どこからともなく現れた警備員や風紀委員の腕章をつけたウマ娘が上手い事人を誘導していく。

 これでいいだろ?みたいな顔するな。こっちはちっとも良くないんじゃよ。

 

「やよいさんや。すまないがお主の愛バに今すぐ会わせてくれんか?もう用事を済ませて帰りたいんじゃ」

「え、いいのか勝負はしなくて」

「あいつメッチャ強いでしょ。俺は覇気を集めるのが目的であって、手強い相手と限界バトルする気はないんで」

「逃げるのか?それでも操者か」

「逃げますけど、愛バがいてもいなくても逃げますけど」

「助っ人を何人連れて来てもかまわないぞ。仮にも操者ならウマ娘の1人や2人使役できるだろう」

「使役って言い方好きじゃない。一緒に戦ってくれる奴らは対等なんで」

「殊勝な考えだな。だがお前が操者では愛バが不憫でならない」

 

 こいつ露骨な挑発をしてきやがる。

 お、落ち着こう。怒っちゃダメよ。クールにこの場を去るんだ。

 

「勝手に憐れんでろ、俺はあいつらと相思相愛なんで!石波ラブラブ天驚拳打てるぐらいの仲なんで!」

「お前程度の操者で満足しているようでは、愛バも大したことはないな」

「あ゛」

「愚将の下には愚兵しか集まらんとは、まさにお前の事だな」

「あ゛あ゛」

「ヤンロンそこまでにしておけ!言い過ぎだぞ!」

 

 わかっている。これは挑発なんだ。

 ヤンロンは何としてでも俺と戦いたいらしい、普段なら絶対にこんな事を言う奴じゃないはず。

 あのグラさんの息子で多くの騎神から契約を申し込まれるほどに慕われている。

 悪い奴じゃないの知ってるよ。だから・・・それ以上言うな。

 

「契約を解除してやったらどうだ。なんだったら、僕が愛バを譲り受けてもいい。その方が・・・」

「もういい」

 

 はいダメ―アウト―!悪夢の再現を彷彿とさせる発言頂きました。

 俺の万能地雷グレイモヤを思いっきり踏んだな。

 

「やよい、ちょっと離れてろ」

「気を付けろ、あいつは轟級騎神よりも強い」

「知ってる。でも関係ない」

「ようやく、やる気になったか」

「俺を挑発するために言ったのはわかっている。それがお前の本心じゃない事も。だが一度口から出た言葉は戻らない」

「後でいくらでも謝罪しよう。僕に勝てたらな」

「助っ人呼んでも良いんだよな」

「持てる全てを使ってかかってこい。そうじゃないと勝負にならない」

「言うねー・・・後悔するぞ」

「させてみろ」

 

 覇気を開放、むやみに全力開放で突っ込む訳にはいかない。

 伸ばす広げる、頼もしい仲間に伝わるように。

 流石だ、もう近くまで来てるな・・・結局頼ってしまった。後でなにか奢ろう。

 ふぅー・・・。

 

「リニアアクセル!!!」

「こい!」

 

 スピードで翻弄してやる。

 俺1人でもやれるところまで追い込む。

 

「なかなかのスピードだが・・・全部見えているぞ」

「っ!?」

 

 ヤバいこいつマジでこちらの動きに対応してくる。

 俺の拳も蹴りも全てが受け止められ受け流され、ダメじゃん鉄壁じゃん!

 

「こちらからも行くぞ!」

「いやっ!こっち来んな!」

 

 流れる様な体術、グラさんが見せてくれた動きの騎神拳と中国武術の合わせ技。

 早い上にしっかり覇気が乗っているので威力も高い、回避が間に合わん!

 防御した箇所から衝撃が伝わる。

 これは俺1人では最初から無理ゲーでしたね。

 

「どうした、威勢がいいのは最初だけか」

「待っているのです」

「何をだ、言っておくが隙を見せるつもりはない。チャンスを待ってばかりでは」

「隙は作るもんだよ、こんな風にな!」

「バカな!その炎は」

「サラマンダーアクセル!!」

 

 絶対動揺すると思った、だってお前の母さんからもらった炎だからな!

 両腕に発現した炎の刃をぶちかます。切れ味より炎の大きさと密度を優先。

 胸部と左腕に炎の斬撃によるダメージ、ヤンロンの服をちょっとだけ焦がしてやった。

 

「どこでその炎を?」

「ヒ・ミ・ツ☆」

「答えてもらおうか!事と次第では・・・」

「いいのか?隙だらけだぞ」

「何!?ぐぁ!」

 

 炎を見て動揺したヤンロンの背後から迫る2体の獣。

 最高速を維持したままその背中を蹴り飛ばす。容赦ないね~。

 こちらに吹っ飛んで来た物体(ヤンロン)をサッと避けて、出迎えてやる。

 

「お待たせ!ちょっと遅刻したかな」

「いいや、グットタイミングだ」

「あちゃ~大丈夫かなあの人、死んでないよね」

「あの程度じゃ死なないから安心しろ」

 

 容姿端麗、天真爛漫、純真無垢、小柄な体躯に美しい毛並み。

 その体に不釣り合いな戦闘能力を秘めた生物。

 今日俺と一緒に学園にやって来た2人のウマ娘が駆け付けてくれた。

 

「助かったぜ、テイオー、マヤ、でもまだ気を抜かないで。ここからよ」

「本当だ!もう立ち上がってる。モロに入ったと思ったけど」

「こんな時でもわかっちゃった。マヤ達本気でやらないと負けちゃう」

 

 ダメージはゼロではないはず。

 しかし、今ので向こうに火が付いたのを感じる。イラっとしたわね。

 ウマ娘の子供に蹴り飛ばされるなんて、シュウなら「ありがとうございます!」と叫ぶぞ。

 

「それがマサキ君の愛バか?」

「やよいさんや、危ないから離れていなさい。愛バじゃない友達だよ」

「マサキ、このまま3対1で良いんだよね」

「テイオーちゃん、向こうが格上だよ3人でもちょっと苦しいかも」

「助っ人は大歓迎だとよ。お望み通り囲んでやろうぜ」

「「おっけー!」」

 

 ああーヤダヤダ、俺達を見ても戦意が衰えるどころかやる気になっているな。

 

「四面楚歌、いいだろう。背後から奇襲をまともに受けるなど何年ぶりか・・・」

「こんどは正面から蹴られるかもよ」

「やれるものならやってみろ・・・フレイムカッター!!!」

「「「「ひゃーすっげー!」」」」

 

 手で何かの印を結んだと思ったら炎で出来た剣を顕現させた。

 カッコイイ!でもあんなんで切られたら死ぬわ!

 

「これを対人戦で使うことになるとは、お前達も全力で来い!」

「ヤバいな、俺のサラマンダーアクセルはもう鎮火しちまったし」

「アレ防御した所で焼きつくされて死ぬよね」

「マヤ達の覇気じゃ耐えるのは無理ー」

 

 やよいは流石に避難した。

 どうしよう俺はともかく2人は当たったら即終了じゃん。

 俺の覇気をこいつらに回す?

 複数人の覇気を循環させれば相乗効果により、足し算ではなく掛け算で覇気を増やせる。

 でも・・・。

 

「迷ってる?出来る事があるならやろうよ」

「きっとマヤ達を心配してるんだよね」

「方法はあるけど、俺の事情に付き合わせてお前達にリスクを負わせる訳には」

「「マサキ」」

 

 なんだよ。そんな目で見るな、まるであいつらと一緒じゃないか。

 俺を信じきった澄んだ瞳。ダメだ俺は怖いんだ、また俺のせいで誰かが・・・。

 

「「信じて!!」」

 

 私達は覚悟を決めたぞ後はお前だけだ、自分たちを舐めるな、お前の愛バではないけれど、友達を助けるぐらいはやってみせる。さあ!!さっさと寄こせ!!

 

「お前ら、目で物を言い過ぎだぞ・・・」

「「早くして!!」」

 

 ああもう!負けた負けましたよ!

 クロ、シロ!どうかバカな俺達を見守ってくれ。

 

「トウカイテイオー!マヤノトップガン!今だけでいい!俺の愛バになれ!ユー・コピー!!!」

「「アイ・コピー!!!」」

 

 即席のチーム編成だが不思議と不安はない。

 テイオーとマヤの未来の操者さん、これはノーカンですから!許してください!

 クロ、シロ!浮気じゃないから!俺はいつだって本気・・・マジでごめん。

 




マサキ  高校の卒業式で後輩(男)から告白されて吐きそうになった。
     というより吐いた。

おやじ  実は妻子持ち。
     若気の至りで№1ホストまで登り詰めた事もあるので経験豊富。

テイオー 同性からよく告られる。
     思春期を迎えた男友達が最近遊んでくれないのでショック。

マヤ   あざとい仕草と思わせぶりな言動で人心を弄ぶ。
     多くの男子を勘違いさせてきた悪魔。告白はバッサリ断る。

やよい  お家の事情で恋愛どころではない、まだ早い!
     近づく男は全て愛バが排除する。

ヤンロン リアルな鈍感難聴系モテ男。
     恋愛する暇があるなら修練したい、でもこういう奴がアッサリ結婚する。

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