即席チーム結成。
「今から覇気を循環させるぞ。覚悟はいいな」
「大丈夫、僕達ならやれる」
「やっちゃっていいよー」
ドレインを使用可能になってからわかった事がある。
契約をしていない相手にも覇気を回せる事、それは相手に触れていなくても可能。
範囲や距離は今後検証するとして、俺が見える範囲にいてくれるなら問題ない。
覇気の無線通信、5Gの時代が俺にも来ました。
接続開始、同調、統合、分配、循環、制御、限界値設定。
1度でもドレインをした相手は俺の覇気中枢に情報が記録されスムーズに覇気を受け渡せる。
クロとシロ程ではないが、テイオーとマヤも十分相性がいい。
さっそく循環が・・・おや2人の見た目に変化が。
髪と尻尾から覇気の粒子が溢れ出す。
煌めき揺らめく光がまだ幼さの残る彼女たちを美しい戦闘生命へと変貌させる。
「テイオーちゃん、体からGN粒子が漏れてるよ!いつからソレスタルビーイングに入ったの」
「マヤノの方こそどえらい事になってるからね。僕が僕達がガンダムだ!」
「落ち着け!それ多分俺の覇気のせいだ。キラキラしてるだけで害はない・・・はず」
ほほう。今の俺が覇気を回すと騎神は太陽炉搭載型になりますと。
俺の覇気もいろいろ変化してきているんだな。
「準備はいいか、行くぞ」
待ってもらってすんません。
ヤンロンが炎の剣を構えてこちらを見据える。いやー怖いっスわー。
「来るぞ、相手は1人だがメッチャ強いから気を抜くな」
「僕はエクシアみたいに攻めようかな。接近してボコボコにする」
「それじゃあマヤはキュリオスだね。スピードで翻弄、隙あらば噛み千切る」
「よしそれでいけ!俺は・・・狙い撃つぜ////」
「「ここまで来て照れちゃダメ!!」」
テーマカラーがぴったり合ってるテイオーとマヤ。
俺は遠距離苦手なんで狙い撃てませんけどね。
「っ!」
「うわっ!あっつい!」
振り下ろされた炎剣を慌てて避ける。かすっただけなのに熱い!
「いくよ!はぁあああ!」
「こっちも!」
「万死に値する!」
右からテイオーが、左からマヤが攻め立てる!
そして正面担当はこの俺だ!
「渇ッ!」
「「「んなアホな!!!」」」
おいおいおいおい!3対1だぞ!?
覇気循環で能力を強化した俺達を相手に全く怯まない。
三方向からの攻撃を受けきったのみならず、気合の一喝で吹っ飛ばされただと。
( ´ー`)フゥー...これはアカンで・・・あっちのペースなのが気に入らん。
「ヤバい!逃げるよ!テイオー、マヤついておいで」
「予想以上に強かった。退却~」
「あははは!逃げろ逃げろ~」
「待て!あっさり敵前逃亡するな!さっきまでの覚醒シーンはなんだった!」
「きゃー!タスケテー!変な男が熱々の棒(フレイムカッター)を突っ込もうとしてくるの!いやー!」
「「やばwww言い方www」」
「おいバカやめろ!名誉棄損で訴えるぞ!」
ただ逃げるのは癪なので、ヤンロンのメンタルを削る悲鳴を上げながら走る。
精神攻撃は基本。
人をかき分けて走る珍妙な集団を人々は見た。
先頭を走るのはバカな発言を繰り返し悲鳴を上げる変な男。
その後を追いかける2人の子供、不思議な光を纏ったウマ娘、あれは一体。
それを追いかける炎の棒?を持った男、先頭のバカ相手に律儀にツッコミを入れている。
学内の生徒や、オーキャンに来た人々は何が起きているのかわからない。
ただわかるのは、彼らがとんでもないスピードで走り抜けたという事だけ。
人間、いやウマ娘ですら唖然とするスピードと迫力。
これだけの人混みで誰かにぶつかる素振りすらない。
それどころか「すみません!」「ちょっと通りますよ」と謝りながらどんどん進んでいく。
ここで学園全体にアナウンスが入る。
今からグラウンドにて模擬戦闘風の演劇が開催されます。
演出にはトレセン学園が誇る最先端技術を使った特殊効果満載でお送りします。
まるで人間が騎神を圧倒するかのような動きを見せますが全てトリックです。
ご興味のある方は係員の誘導に従い適度な距離をとってご観覧ください。
なおこの演劇の余波でケガ、死亡にいたった場合は全て自己責任とさせて頂きます。
さっきのアレらは演劇の登場人物なのか?
どうしよう、気になるけど最後の自己責任って・・・。
珍集団が気になったり、怖いもの見たさの好奇心を持った人々はグラウンドへ移動した。
「今の放送、グラウンドでやれってか?どっちだ」
「こっちだ僕について来い!・・・まさか今まで適当に逃げていたとは!ふざけすぎだ!」
「とあるウマ娘は俺の事を末期の方向音痴だと診断した」
「「どうして先頭を走った!!」」
「怒らないで!俺の愛バになったなら俺を全肯定してよ!」
「「甘えるな!!」」
「ふぇぇ・・・クロ、シロ!レンタル愛バが怖いよー」
クロとシロなら絶対俺を甘やかしてくれるのにー。
「いいから行くよ。僕の優しさに感謝してよね」
「マサキちゃんの愛バも楽じゃないよ。ほら、行こう」
なんだかんだで手を引いてくれる2人・・・自分もっと甘えていいっスか。
年下にバブみを感じて幸せな俺です。
グラウンドへ到着。
「着いたぞ。さあ覚悟をきめ・・・」
「「「うぉらぁ!!!」」」
「くっ!お前達はどこまで」
不意打ち失敗!卑怯ではない!俺達は必死なのだ。
そうそうこの感覚だ。次に誰がどう動くかなんとなくわかる。
3人同時に殴りかかったので流石のヤンロンも防御態勢に。
「そのレーバテインしまえよ!正々堂々素手でかかってこんかい」
「フレイムカッターだ!正々堂々!?お前が一番言ってはならん言葉だ」
「押さえるよ!マヤノ」
「うん!任せて」
ちっこい二人がヤンロンの胴体にしがみついた。移動を封じる。
攻撃しようとする俺に向けてヤンロンが炎剣を振り下ろす。
「このっ!」
「真剣白刃取り成功した!ぎゃあああああつぃいいいいい!!!」
「「おバカ!!」」
「グラヴィティアクセル!!!」
「何っ!」
手の平が焼けたじゃないか!
痛む両掌に重力場を発生させ燃える刀身を折り砕く。
覇気で出来た刀身すらも破壊するネオさんの力。制御が難しい分、頼もしい!
折れた部分を中心に炎剣の全てが黒い力場に吸い込まれ消滅する。
「「よっしゃー!!」」
「これでも・・・くらいなさい!!」
「な゛」
額に覇気集中させて頭突きをかましてやる。俺も痛いったい!
ヤンロンが多々羅を踏む。テイオー!マヤ!離れろ!
2人が俺の意図を察知して離れた所で覇気鞭、強度を限界まで上げた覇気の縄で縛り上げる。
「俺の愛バが世話になったな!バインド状態の貴様をなぶり殺しにしてやる」
「なんの話だ!僕はお前の愛バの顔すら知らない」
「夢で見たんだよゴラァ!」
「「理不尽過ぎる!!」」
接近して殴りかかる俺の攻撃を躱し続けるヤンロン。上半身縛られてその動きか!
くそ、全身をぐるぐる巻きにすれば良かった。
「夢での僕は相当お前を怒らせたんだな」
「そろぴょいしろって言いやがってぇええええええ!!!!」
「「そろwwwぴょいwww」」
「笑ってないで手伝え!レンタル期間は終わってねぇぞ!チビ助ども!」
「「ぺっ!!」」
「あ、こいつらやる気を無くしやがった!クロシロ!やっぱり俺にはお前達が必要!!」
「やかましいぞ!こんな拘束など・・・おおおおお」
「ひぃ!その強度を引きちぎるとか!お願いします、手伝って!」
「「追加料金になります」」
「足元見やがってぇええええ!!えーと学園の近くにあったアレでどう?はちみつが入ったドリンクが・・・」
「「ご命令を!マイマスター!!」」
「くっそチョロい!でもカワイイ!」
「手足をもいで首をねじ切ればいいんだね!」
「内臓引きずり出しちゃうよー!」
「きゃー!グロい殺し方提案して来た!それでいいかなヤンロン?」
「いいわけないだろぉ!お前といると頭がおかしくなりそうだ!」
「良く言われる////」
「「「照れるとこじゃねーよ」」」
やるぞジェットストリームアタック(三人でリンチします)
「よし!まずはズボンを脱がせるぞ!」
「「了解!!」」
「何が了解だ!くそ離せ!」
「学園の正門前に吊るしてやるよ!下半身丸出しでなぁ!げひゃひゃひゃひゃ!!!」
「「主の命令だから仕方ないね」」
「狂っている!お前達全員賢さをどこへ置いて来た!バカタレどもめ」
「言われてるぞ、テイオー、マヤ」
「「お前もな!!」」
「いい加減に・・・しろぉおおお!!!」
「戻っておいで!ズボンはもういいから!」
テイオーとマヤを回収して離れる。
おおっとついにブチギレましたか。
「ふぅふぅ・・・疲れた。追い込まれた?この僕がか、なんたる失態」
(テイオー、マヤ、次がラストアタックだ)
(早かったね。もっといけると思ったんだけど)
(体、限界だろ。すまないな無理させて)
(わかっちゃうよね。繋がっているんだから)
(次で決める。最後まで頼らせてくれ)
((なんでもするよ、言ってみて))
(今なんでもって言ったな・・・じゃあさ)
「認めるしかないのか、お前はバカだ」
「ストレートな物言いに傷付きました」
「バカだが強い。ふざけた行動の全てが敵を追い込む布石になっている」
「偶然じゃね」
「長年連れ添った操者と愛バの様な動き、騎神の力を引き出す事にかけては一流だ」
「俺じゃなくてこの2人を褒めてあげて」
「お前を挑発した事の非礼は詫びよう。これで最後だ、いくぞマサキ!」
「やっと名前を呼んだな。受けて立つぞヤンロン!俺達が勝つ」
ヤンロンが覇気を練り上げる出現するのは巨大な火球が2つ。
あの技は、間違いない!
「テイオー、マヤ、俺の後ろに下がれ。何があっても作戦通りだ」
「「うん」」
火球が龍の顎へと変貌を遂げる、更に高まる覇気。
全てを焼き尽くし極大の破壊をもたらすその技の名は・・・。
「受けよ!カロリックスマッシュ!!!!」
「やっぱりかぁー!」
「「ヤッベ!!」」
学園内で出していい技じゃないだろ!?
バカか!俺達の背後には・・・あるぇー誰もいませんね。避難しっかり完了しとる。
気が付くのが遅れたが、ドーム状の覇気結界が復活している?
いや、グラウンドにいる俺達の戦闘領域のみをカバーしている。
やよいの愛バが近くにいるな。そいつがいるからこその必殺技か。
人と建物の被害は気にしなくて良い、お膳立ては整った。
覇気フィールド最大展開!リニアアクセルの力を全身に回す。
発射された灼熱の火柱が俺達を襲う。
「あっち!あっついって!あ゛ああああああああああああああああああ!!!」
「「っ!?」」
「おい!出て・・・来るな・・・よぉ・・・ぐ」
全身を熱波が焦がす。覇気が無かったらとっくの昔に蒸発しているぞ。
あつい!きつい!つらい!流石グラさんの息子。
俺を盾にしているテイオーとマヤを庇いながら、1歩ずつ進む。
1人じゃなくて良かった。1人ならこんな事絶対やらない。
進む、進む、進め。わかっているな、後ろにいるんだぞ、俺のバカに付き合ったバカな子達が。
愛バは操者を守る?そんな事誰が決めた。操者が愛バを守ってもいいだろ。
支えてくれてる。今もずっと繋がっている。俺1人じゃ無理でも信じてくれる奴らがいる。
「耐えている!?ありえない!もう降参しろ!そのままでは焼け死んでしまうぞ」
お優しい事で、この攻撃に怯んで降参すると思っていたのか。
もしくは意識を失った時点で勝負は終了、救助が入る手はずになっているんだろう。
やよいの愛バ、トレセン学園の虎の子がいればフォローもバッチリてか。
最悪死にはしない。
近づく、あとちょっと、痛覚が麻痺してきたな。
もう少し待て!お前らの・・・俺の切り札の出番はまだ先だ。
自分でも不思議だ、なんでこの炎に耐えれる?俺の覇気・・・だけじゃないな。
知ってる。この覇気はクロ、シロ、母さん達、スぺ、スズカ、皆、アインストの力。
これまで出会った皆の力が少しづつ少しづつ俺を変えている。
クロ、シロだけじゃない。俺も先へ進む!進化する。
「ゴールだ・・な・・・」
「・・・マサキ・・・お前は何者だ」
ヤンロンの目の前、その距離あと1歩。体はボロボロ煙が出ている。
大技の反動か、それとも目の前の化物に対する畏怖か、ヤンロンは動けない。
さあフィナーレだ。
「シルフィードアクセル!!!」
「ぐぁああ!!!」
焦げた腕に力をこめて渾身のボディブロウ!
インパクトの瞬間に相手を押し出すように、天高くそのまま拳を突き上げる。
上空に吹っ飛ばしてやった。まだだ、ここで終われば猫のように着地されてしまう。
だから、空の上で決める!
よく我慢したな。俺が焼かれている時、何度も前に出ようとしてくれたな。
もういいよ・・・さあ出番だ。
「飛べ!テイオー!マヤ!」
「「うん!!」」
俺の背後から躍り出た2人が溜めに溜めた覇気を脚に集中させて上空をに跳びあがる。
空中に放り出され姿勢制御もままならないヤンロンに追撃を加えるために。
「「たぁああああああああああ!!!!」」
逃げ場のない完璧な追撃、しかし相手も人の領域を超えた超越者。
2人の攻撃が当たる直前、即座に意識を取り戻し攻撃を防いで見せた。
これでお終い。後は自由落下に身を任せて着地すればよい。
俺達は全員よく頑張った、最善を尽くした。
ヤンロンは胸中で賛辞を贈る「見事だ」よくぞここまで。
誰もが思ったこれでこの戦いは終わりだと・・・俺たち以外はな!!!
「マヤノ!!!遅れるな!!!」
「そっちこそ!!!ついて来い!!!テイオーちゃん!!!」
「なんだと!?」
信じられない光景。
空を飛んでいる?いや、空を駆けている!まさかの空中戦!
自由落下など許さないその前にお前を潰す!!!
縦横無尽に空を駆け怒涛の連撃を繰り出す2人。
翼を得た獣達は止まらない。
毛先から光の粒子をまき散らし空を舞う騎神達。
空に描かれるその軌跡は見るものをすべからく驚嘆させた。
本能の赴くまま無茶苦茶な起動を描き攻撃を繰り返すテイオー。
その間を縫うように正確無比な一撃を叩き込むマヤ。
あれはいつだったか。
もっと幼い頃、2人が決めた掛け声、こんな感じで言えば「いち、にの、さん」だってカッコイイよねー。
マサキの覇気循環がもたらした影響か、過去の記憶と今がリンクする。
いけるよね、私たちならやれる!
それは、大空を翔る鳥のようだった。
完璧なコンビネーションを繰り出す二羽の番。
ぶっつけだけど、必殺技だ!!!
「アインス!!!」
「ツヴァイ!!!」
「ドライ!!!」
決める!これが僕の私の全力全開!!!
「「ツインバード!!!ストラァアアアイク!!!」
これ以上ないタイミングで放たれる2人の絶技がヤンロンの体に深々と突き刺さる。
ぐうの音も出ないとはこの事か・・・。
空中でリンチされるとは考えてもみなかった、僕の想像力の斜め上を行った彼女達の勝ちだ。
それを可能としたのは、地上からこちらを見上げるあの男か。
目が合う、バカがボロボロの癖に腹の立つ笑顔を浮かべて何かを叫んでいる。
「どうだ!その子達は!ウマ娘は最高だろ!」
ああ、それについては全く同感だ。
「わ、わ、ちょっとタンマ!」
「もう!世話が焼けるんだから!」
力を使い果たしたのか、突如失速するテイオーをキャッチしてゆくっりと下降しているマヤ
「どこを掴んでいるのさ!そこは足だよ!逆さま!逆さまだから!」
「うるさいなぁ~。マヤも限界なんだから静かにしてよ」
「うっし!キャッチした!セーフ!」
落下してきたヤンロンを何とかキャッチ成功!
あの2人を人殺しにしてはいけませんからね。
「余計な事を、放っておいても僕は着地ぐらいできた」
「せっかく助けてやったのになによ!お礼ぐらいいいなさいよ!」
「助かった感謝するぞバカ」
「マサキですけど!バカだけど言われるとムカつくからやめてね」
助けるんじゃなかった。
俺にはこんな奴よりキャッチしたい奴らがいるのに。
降りて来たな。
「よくやった!最高にカッコよかったぞ!ほらこっち来い!」
「マサキ!見た、見たよね!この帝王様の力を!」
「マヤこんなに気持ちいい戦い初めて!もっともーっと飛びたい」
「本当に頑張ったな!撫でさせろ!頬ずりさせろ!ハグしてやる!」
「「ぎゃー!変態だー!!」」
「もう好きに呼べや!ほーらよしよしよしよし!!!」
「「「あはははははははははははは!!!」」」
嫌がる素振りは全くない。
俺もテイオーもマヤも全身で喜びを表現して互いを労う。
これだコレ、一仕事終えた後のスキンシップが堪らんのですよ!!
見てるかクロ、シロ。またお前達ともこうなりたいぜ。
マサキ達の戦いの一部始終を見届けた者達は皆騒然としていた。
演劇だと聞いていた。今のがトリック?本当にそうか?
覇気を感じられる者もそうでない者も、興奮冷めやらない。
魂が震えた。彼らの必死さが熱が、思いが、強者への憧れが全身を満たしている。
凄い物を見た、良い物を見せてもらった。それでいい。
笑いながらじゃれ合う人間とウマ娘・・・ああ、いいなぁ。
トレセン学園の理念の1つ、人とウマ娘の共存繁栄の形が今ここにあった。
その後、この戦いに触発されたのかトレセン学園は騎神育成に力を入れる方向にシフトする事になる。
「ああ~今頃ダメージが・・・痛いよ~」
「マサキちゃん所々焦げてる。大丈夫?」
「人に無茶するなって言ってた癖に、自分はするんだから」
俺の回復力ならすぐ治るだろ。それよりこのスーツがすげぇよ。
俺の普段着だったら燃え尽きて全裸になる所だったぜ。
サトノ家の服は最高だな、今度いろいろ頼んでみよう。
「俺よりお前らだよ。もう覇気の循環は切ったぞ、問題ないか?」
「うん。ちょっと怠いけど大丈夫そう」
「疲れたけど、眠たくはないよ。心配ないない」
「そうか良かった。でも今日は安静にしておけよ、よしヒーリングしてやるからな」
酷使したであろう体に治療を施してやる。
結構覇気を使った俺だけど、もう復活してきている。
ほぼ無尽蔵ともいえる俺の覇気、出所は一体どうなってんのかね。
「また飛びたいな~。飛べるかな」
「すっごい気持ち良かったよね。今度はゆっくり空を散歩したい」
シルフィードアクセル、母さんの力、覇気を風に変えて従える加速技。
母さんはこの力で苦も無く空を飛ぶが、いつかは俺も出来るかなぐらいには考えていた。
ヤンロンに空中でトドメを差すのは作戦通り。
でも追撃が防がれた後の2人の行動は完全にアドリブ、あんなに自由に空を飛ぶとは予想外すぎた。
多分俺が万全の状態でもあんなに空を飛べないだろう、精々2段ジャンプ止まり。
「マサキの力は凄いね。空を飛ばしてくれるなんて思いもしなかった」
「本当だよ。もしかしてマサキちゃんも空を飛べるの?」
「それなんだがな・・・お前らどうやって飛んだ」
「「え?」」
「確かに俺は飛べと言った。だがそれは最初の追撃までの話だ、その後空中戦を繰り広げろとは言ってない」
「だったらどういう・・・」
「マヤわかんない」
「きっかけは俺の覇気だったかもしれない。でも飛んだのはお前達の実力・・・才能なのかな」
「だったらマヤ達」
「確証はないが、これからもっと修練を積めば、俺がいなくても自由に空を飛べる日が来るのかも」
「・・・・」
「・・・・」
「あくまでその可能性があるってだけだから、期待しない方が良いと思う」
「それでもいいよ!」
「強くなれば空を飛べる可能性がある!」
「お、おい限りなく低い可能性だぞ」
「今日の事は一生忘れない。またやりたい事が増えた」
「絶対にもう一度。あはは、今わかっちゃった。この日のために来てくれたんだね」
「なんだか知らんが頑張れよ。夢が広がるのはいい事だ」
「愛バに悪いかな、でもちょっとぐらいはいいよね」
「マサキちゃん、えへへ~」
「お、どうしたどうした甘えんぼさんめ」
2人がこちらにじゃれついてくる。
クロ、シロに遠慮してかちょっとだけ軽めのマーキング。
いつか出会う操者には本気のマーキングをしてやれ。
この子達を大事にしてくれる、いい操者が見つかりますように。本気でそう思った。
「もういいか。話がしたい」
ヤンロンが近づいて来たのでじゃれ合い終了。堪能した。
「改めて自己紹介だ。僕の名はホワン・ヤンロン。トレセン学園の指導教官にして、天級騎神グランヴェールの息子だ」
「アンドウマサキだ。ブラックとダイヤの操者で、天級騎神サイバスターの息子っス」
「「「!???」」」
「ちょ、ちょっとまってグランヴェールとサイバスター・・・息子?」
「・・・マヤもうわかんない・・・からかってる?」
「サイバスター?母上と同じ天級の・・・いやまさかそんな」
「母さん達の名前出すといつもこれだよ。お互い苦労するな」
「この落ち着き様、本当なのか?何か証明できるものは」
証明できるもの・・・あるじゃない母さん達からもらった呪いの腕輪が。
「これでどうかな、母さん達、天級3人が作った腕輪だ」
「な、な、なんて物を身に着けているんだよ。本物だったら国宝、いや人類の宝だよ」
「3色の腕輪?手作りなのそれ、う~ん特に力は感じないけど」
「この繊維・・・まさか」
「お気づきになりました?そうです尻尾の毛です。3人分の」
「「「・・・・・・キモ」」」
「そうだけど!泣いちゃうから!母さん達あれで結構泣き虫だから!しかも外れないのよコレ!」
「「「・・・・・・怖っ」」」
「ええい。俺が泣きたくなってきた!見てろよこいつに意識して覇気を通すとだな」
腕輪に覇気を集中させる。暴発を防ぐために結構集中してやらないとダメなんだこれがな。
戦闘中に急にボン!てなったら困るからね。
はいキター!腕輪から強大すぎる覇気が漏れ出す。
「あわわわあわあわ!もうわけわかんないよー!」
「すっごい!なんてキレイな覇気・・・これが騎神の頂点」
「はぁ・・・本物だ。どうやら母上と会ったみたいだな・・・息災だったか?」
「メッチャ元気だった。カロリックスマッシュだったか、グラさんのはもっと凄かったぞ」
「そうか・・ならいい」
「直接会えばいいのに、まだ俺の故郷にいるかもよ」
「考えておく・・・っ!?危ない下がれ!!!」
「うわっ!」
「きゃ!」
「なんで!」
突如天空から飛来して大地に突き刺さる物体。
なんだコレ?刀か?でかすぎる!極太の刀身にスラスターの様な機器が取り付けられた凶悪な得物。
どこから、誰がこんなものを投げた。
突き刺さったのは俺がさっきまでいた場所。尻餅をついた俺の股間近くに刀身が・・・。
「あ、危なねぇだろうが!もうちょっとで一生うまぴょいできなくなる所だったぞ!」
「あら、残念です。去勢されれば、少しはまともになるかと思ったのですが」
「おっそろしい事を抜かしよる!」
その人物はただゆっくりとこちらに近づいて来た。
「は、駿川女史・・・」
「ヤンロンの知り合いか?おい、どうした」
「これは・・・その・・・事情がありまして」
「お任せした職務を放棄していいほどの事情ですか?私の操者を1人にしましたね」
「いえ!そのようなつもりはぁああああああああああ!!!」
「ヤ、ヤンローン!!!」
ヤンロン本日2回目の打ち上げ。
現れた女の蹴りで宙を舞う、いつ移動した?全然見えねぇ。蹴った瞬間もわからない。
きりもみ上に吹き飛んだヤンロンはべちゃっと地面に墜落して動かなくなった。
生きてんの?ねぇ首から落ちたけど生きてんの?
あ、救護班らしき生徒が回収していった。
「マサキ・・・」
「マサキちゃん・・・」
「大丈夫・・・お前達に手は出させない」
テイオーとマヤが震えている。
消耗していたとはいえ、あのヤンロンを一撃ノックアウトしただと。
2人を背中に庇い相手を見る。
緑色の帽子に上着、タイトスカートと黄色いネクタイを身に着けた美しい女性。
仕事の出来る秘書さんって所か・・・普段は優しく微笑んでいるんだろう。
今は全然笑ってないけどね!目線だけで殺されそうだけどね!
「面倒な事をしてくれましたね。私の仕事を増やすなんていい度胸です」
「あの~何か気に障りましたでしょうか」
「今一番頭に来てるのはあなたの存在です」
おう!ご立腹だ。ヤバい超怖い!
「たづな!早まるな!マサキ君は私の友人だぞ!」
「・・・マサキ?マサキ・・・これがあのマサキ」
「そ、そうです。アンドウマサキです」
やよいが血相を変えてこちらにやって来る。
もう確定だ、この人がやよいの愛バ、トレセン学園の最大戦力。
「だとしたらさっきのアレは天級の覇気、この子がなぜここにいる、先輩達は何を考えて、大量流失した覇気はこの子の、だとしたら私のやるべき事は、また手の平で転がされるの、ああまた仕事が増えるじゃない、しかし今更、まだ取り戻せる、ばば様はこの事を」
(急にブツブツ言い始めたよ。今の内に逃げようマサキこの人ヤンロンの数倍危険だ)
(物音を立てずに速やかに移動するよ。刺激しちゃダメ)
(待って!この人に用があるんだ)
逃げようとする2人を制して話かけてみる。
さっきから俺の頭にある警報がガンガン鳴ってるけど我慢。
「ちょっといいですか?俺はあなたを探していたんです」
「探していた?私を」
「そうです。あなたの覇気を頂きたいのです、実は俺の愛バ」
「覚えてはいないか・・・そうねあなたは小さかったものね」
「えっと聞いてます?俺の愛バが今大ピンチでしてね」
「興味ないです。それより全力、見せてくださいます?」
「急に何を」
「覇気が欲しいんですよね?全力で私を殴ってみてください」
「ドMですか?」
「いいからお願いします。私を納得させる攻撃を見せてくれたら覇気をあげます」
「・・・あなた相手では手加減できませんよ」
「いらない心配ですね。ほら避けませんからどうぞ」
なにを怖がっている相手はスタイルのいい美人のお姉さんだぞ。
全力で、全力を見せないと!この人がガッカリしてしまう。なぜかそれは嫌だった。
覇気の全力開放!粒子散布もいい感じ。
リニアアクセルで突っ込み思いっきり殴りつける。
どうだ!俺はあの時とは違うんだ!・・・・・・あの時ってなんだ?
「ハァ~・・・・」
深いため息。
確かに今出せる全力で殴りに行った。手加減などしてはいない。
だと言うのに、目の前の女性が片手で俺の拳を止めていた。
やよいはやれやれと首を振り、テイオーとマヤは目を見開いている。
「ガッカリです。つまらない男に成長しましたね」
動かねぇ。この人の華奢な細腕からは信じられない程の力で握られている俺の拳。
「当たるまで待つつもりでしたが、あまりに見苦しいので止めてしまいました」
「ぐっ・・・クソなんで!」
「覇気をただ垂れ流しにしているだけ、まるでなってはいません。それでよく私の前に立てましたね」
「・・・・ぐぬぬぬぬ」
「情けない・・・でもこれは私の責任でもありますね」
「何を言って」
「天級にあなたを任せるべきではなかった。私にあなたを育てる覚悟があれば」
「だから何を!・・・か・・・は・・・」
「マサキ!」
「マサキちゃん!」
腹パンされた・・・それだけで・・・全身が揺れた・・・意識が・・・くそ。
あーあー、またガッカリさせちゃった・・・約束したのに。
テイオー、マヤ、すまん・・・なんとか・・・にげ・・・。
「また人の心配?その気質は変わってないんだね。本当にバカな子」
優しく受け止められた?・・・なんで?・・・腹パンされたのに。
アンタ誰だよ・・・知ってる・・・懐かしい匂い・・・この人は・・・ミ・・ノ・・ル?
マサキ 愛バの写真を眺めるのが日課
ヤンロン 瞑想が日課
やよい 権力闘争が日課
テイオー はちみーが日課
マヤ 人間観察が日課
たづな サンドバッグ(不審者)を痛めつけるのが日課