たづなさんは俺の姉さんでした。
「長い間黙っていてごめんなさい。信じてくれなくてもいい、ただあなたには聞いてほしかった」
「信じますよ、話してくれてありがとうございます。赤ちゃんだったとはいえご迷惑をおかけしました。それと、子供のとき会っていたのにすぐ思い出せなくてすみません」
「いいのよ・・・あなたはたった1人のかけがえのない家族。なんでも言って、姉としてあなたの願いは叶えてあげたい」
「じゃあとりあえす鼻血拭いてもらえます?」
「おっと私としたことが」
「俺の顔にポタポタ落ちてたから、起きたら鼻血ブースケに膝枕されててビックリした」
「鼻血ブースケ?お姉ちゃんでお願いします」
「たづなさんティッシュあるんで使ってください」
「他人行儀で傷付いた、しばらく凹むので放っておいて」
「今までたづなさんでやってきたのに、急にはちょっと・・・照れる」
「照れた顔もカワイイ」
「やだ重度のブラコン」
「末期よ」
「余計悪い、今までのクールなたづなさんはどこへ行ったんですか?」
「クール?あなたと会った瞬間から私の脳内は花畑どころか樹海」
「斬艦刀投げた上に腹パンした癖に!」
「そのことはマジでごめん!もうあれよ頭の中が大混乱しちゃって、つい」
「つい、であれはない!失望しましたよハヤカワさん」
「やめて!どんどん呼び方が遠くなっていく」
たづなさん、こんな面白い人(ブラコン)だったのか。
「真面目な話です、実の両親のお墓はあるのでしょうか?」
「クレイドルはあの事件の後放棄されたの。犠牲者はメジロ家によって手厚く葬儀が行われてお墓もちゃんとある」
「ありがたいことです。ばば様やマックにはお礼を言わないと」
「墓参りか・・・親不孝だけど、もう当分行ってないな。余計に寂しくなるからかな、どうにも足が向かなくて」
「クロシロの件が片付いたら一緒に行くよ・・・ね、姉さん」
「くっ!こんないい子に育って・・・お父さんお母さん見てる」
「鼻血を出す娘の姿を披露するのはやめてあげて」
顔も知らない実の両親様、姉が鼻血ブースケで困っています。
産んでくれてありがとう。俺は今日も元気です。
「たづなさん。お約束の覇気をいただきましょうか」
「何?聞こえんなぁ」
「お姉ちゃん覇気ちょーだい」
「好きなだけもっていって!あなたのためなら死ねる(ガチ)」
「今後、姉呼びは控えましょうか」
「やる気が下がった」
「それたぶん別の人の持ち芸。いつも呼んでいたら、ずるずる甘えてしまいそうなので我慢します」
「たまには呼んでよ、絶対よ!」
姉さんの頭に手を乗せる。
過去や自分の思いを吐き出してスッキリしたのかずっとニコニコやんけ。
正直、俺はまだ混乱している。
実の両親ことは覚えていないし、壮絶な過去になんと言えばいいかわからない。
ただ・・・。
「あなたが姉で嬉しいです」
「私もあなたが弟で良かった」
姉さんの頭を撫でる。
これまでの苦労を労うように、ありったけの感謝を込めて。
この人は1人でずっと頑張ってくれた尊敬すべき最高の姉だ。
覇気が流れ込む・・・すっげ!母さんたち以来の超高品質!
パワー☆☆☆因子は確実にある。
アルフィミィは俺の覇気を白米に例えていたな。
今クロシロの食卓には巨大な骨付き肉(マンガ肉)が登場したことだろう。
「お腹が空いたんですか?」
「少し」
「帰ったら何か作ってあげますね」
飯のことを考えているのが伝わった。さすが姉弟!
勝手な妄想だが多分こんな感じ、最近白米が続いたので狂喜乱舞しているクロシロ。
奪い合うように肉にかぶりつく2人、待たせたなしっかりお食べ。
「何かおかしいことでも」
「愛バたちが姉さんの覇気を豪快に食らっている姿が目に浮かんだんで」
「おかわりもありますよ」
「じゃあ、もう少しだけ」
これならきっとあいつらも・・・?
「う、ぐぐぐ」
「マサキ?どうしたの?」
「なんだこれ痛っ!」」
「しっかりして!」
「痛ってぇ・・・あいつらに噛まれた所が」
契約時の傷跡、クロシロに噛まれた所が焼けるように熱く痛みが発生する。
焼きごてを当てられ痛みってこんな感じか?
あいつらに何かあったのか?脂汗をかきながら荒い呼吸を繰り返す。
心配そうにこちらを見る姉さん。
「どうしたらいい?人口呼吸いる?」
「いらない!いだだだだだ、なんかだんだん痛くなってきた」
「そう言う時は我慢せず、絶叫するのがオススメ」
「そうなの?よっしやってみる」
「何やってんだ!クロォ!シロォ!痛い!!!痛てぇだろうがぁ!!!!」
【サイ】同時刻ラ・ギアス
「終了」
「あら凄いじゃない。その図体で手先も器用なのね」
「恐悦至極」
マサキの実家、今夜の夕食である餃子を包むサイとこの家のペットと化したアーマー。
ごつい見た目に反してこの子は好奇心旺盛で働き者だ。
素直で頭もいいし、戦闘力もそれなり、家の番犬として非常に重宝している。
アインストか・・・ザム吉は知ってんのかな?この子のこと。
「今帰ったぞー、お客人じゃよサイ」
「おかえりグラ・・・ああ、帰って来たのねシュウ」
「お久しぶりですねサイ、母が見当たらないのですがご存じですか?」
「マサキの愛バにべったりよ。女の子も欲しかったーとか言ってしょっちゅう添い寝してる」
「困った母で申し訳ない」
「ご自慢の愛バたちはどうしたの?」
「留守番ですよ、説得するのに苦労しました」
「おお、今日は餃子か。本場の味を知るわしに対する挑戦じゃな」
「まだ皮と具があるから残りはお願いするわ」
「任された。ヤンロンが幼い時よう作ったのう」
「ほう。あなたが例のアインストですか」
「こっち見んな」
「初対面なのにこの扱い」
グランヴェールはラ・ギアスに移住することを決めた。
近々旦那もこちらへ来る予定、夫婦円満でなによりだ。
残りの天級、あいつらもさっさと来ればいいのに。
マサキは上手くやっているのかしら。
少し前ミノルちゃんが切れ気味で電話してきたwww姉弟仲良くねwww。
「「「「!?」」」」
何?今の・・・みんなも感じたようね。
「ちょ、ちょっとー!サイさん!みんなー!クロちゃんとシロちゃんがー!」
慌てたネオの声が聞こえる。全員で急いで客間に・・・て。
「なんてこと!」
「ほう」
「なんじゃこれは?結晶?」
「データ検索、該当なし」
「ヤバそうね総員退避ー!」
全員で家の外に退避。
メリメリと音を立て家が軋む。
寝ていた2人、周りの医療機器を巻き込んでどんどん大きくなる謎の鉱石?
なんだアレ?宝石みたいに綺麗、でも大きすぎ~家壊し過ぎ~。
「まだ大きくなっている。ネオ、何をしたのか言いなさい?」
「何もしてないわよ。あ、シュウ君、お帰り」
「説明を求めますマイマザー」
「え、えっとね」
マサキの愛バ、クロとシロから覇気が溢れ出したと思ったらそれが突如結晶化。
その結晶は2人の体を包むだけでは飽き足らず、融合肥大化したとのこと。
蛍光色の淡いエメラルドグリーン、マサキが出す覇気の色をした巨大な結晶体。
「止まったみたいじゃのう」
「一部屋丸ごと埋まったわ、これ知ってる!蒼穹のファフナーで見た」
「2名の生体反応確認」
「反応はあるのね。姿が全然見えないから焦ったー。でこれは何かしら出番よ天才君?」
「さっぱりわかりません。しかし、実に興味深いですね。すぐビアン博士に連絡しないと」
「あなたはそこにいますか」
「フェストゥムやめろ!!!」
家が大変なことになった、片付けるのめんどくさーい。
マサキ、これはあなたがやったの?もう家を壊すのやめてください。
シュウが結晶体を調べるている間。
ビアン博士やサトノ家のご両親にも連絡した。
マサキに連絡するのはインテリたちの調査が終わってからにしよう。
結晶体に触れてみる。
高密度の覇気が結晶化した事例はあるが、ここまで巨大なものは見たことがない。
透明感のある美しい緑色、内部に2人がいるはずだが姿が見えない・・・まさか溶けた?
「愛バが無機物になったなんて、マサキにどう説明したらいいのよ」
「知らなかったわ。最近の子は成長期に結晶化するのね」
「そんな訳あるか」
「シュウ君なにか分かった?」
「ビアン博士と私の見解は概ね一緒でした。これは繭ですよ」
「繭か、おったのう巨大蛾の癖に星の守護者をやっとる奴が」
「モスラ」
「蛾に例えるのは酷い」
「彼女たちはただの成長では満足しない、自身を進化させようとしている。おそらくマサキが協力な覇気のドレインに成功したのでしょう。これは進化に必要な工程だと考えます」
ミノルちゃんだ。彼女の覇気がこの現象のトリガー。
それにしてもこの現象は異常事態だ。ビアン博士は仕事を切り上げて飛んで来そうな勢いだし。
ここがラ・ギアスでよかった、外界で繭なんかになったら変態研究者たちの玩具コースだ。
「悩んでも仕方ないじゃろ、とりあえず飯にせんか」
「客間以外無事」
「覇気結晶に進化の繭、マサキは私を飽きさせませんね」
「心配だわ、クロちゃんシロちゃん・・・ちゃんと人型に進化してね」
「そうね、キモグロイ見た目のクリーチャーになったら攻撃してしまいそう」
【???】
「たりない」「たりません」
「おなかがすいた」「おなかがすきました」
「まだかな」「まちましょう」
「きたよ」「きましたね」
「おいしい」「うまーい」
「これなら」「いけそうです」
「もうちょっと」「あとすこし」
「もっとほしい」「がまん」
「はらへった」「たべたばかりでしょ」
「ああああああ」「うるせぇ」
「それもちょうだい」「だれがやるか」
「ころしてでも」「こいつまじさいあく」
(何やってんだ!クロォ!シロォ!)
「!?!?!?」「!?!?!?」
「きこえた」「はっきりと」
「おこられた」「だれのせいだと」
「やるか」「やりますか」
「ねててもいいよ」「ごじょうだんを」
「じゃあおさきに」「まてやこら」
【マサキ】トレセン学園
姉さんから覇気をもらってから2日経過。
新技の無茶な動きを可能にするため、体の動かし方をヤンロンと姉さんにみっちり仕込んでもらう。
意外だったのがやよいの覇気制御が俺よりも全然上手かったことだ。さすが姉の操者。
制御のコツは大変参考になった、教え方もわかりやすい。理事長じゃなくて教師やったらいいのに。
ドレイン後の痛みは何だったのか・・・実家からの連絡でそれは判明した。
「おごごごごご」
「だづな、マサキ君はどうした」
「愛バがとんでもない姿になったそうですよ」
「僕も母上から動画が送られて来ました。ご覧になりますか」
「奇妙ッ!これは・・・何だ?」
「私に聞かれましても。マサキ、気をしっかり持って、お姉ちゃんがついてるからね」
「うわーん!クロとシロが!あんなに柔らかいロリボディが、硬ったそうなキラキラの石に!」
「よしよし。大丈夫大丈夫だからね、私の覇気のせいじゃないと信じたい!」
「2人とも距離が近くないか?」
「僕もそう思ってました。ダンジョンで何があったのです」
「姉でした」
「弟なんですよ」
「「はい?」」
「俺たち姉弟なんです」
「疑うんならDNA鑑定してやりますよ」
「「マジか!」」
「「マジです」」
俺たちの事情を説明。やよいもヤンロンもいい奴なので超速理解。
姉との再会冷めやらぬ内に愛バに異常事態。
シュウ曰く、これは必要な過程なので問題ないから旅を続けろとのこと。
あの柔らかすべすべボディを絶対取り戻す!
「姉さん!やよい!ヤンロン!お世話になりました。俺、覇気集めを続けないと」
「焦る気持ちはわかるけど、宛はあるの」
「ない!でもじっとしてられない」
「無策で飛び出しても、いい結果にはならないわ」
「でも!」
「急いては事を仕損じる。マサキここは駿川女史に従ったほうがいい」
「うむ。今日の所は姉弟でゆっくり過ごすがいい。積もる話もあるだろう」
「わかりました」
「よし!今日の夕飯は豪勢にいこう。みんな手伝ってくれ」
「「「おー!!!」」」
姉弟の再会と俺の旅立ちを祝してちょっと豪華な夕食。
みんなで料理するのくっそ楽しかった。
姉さんがいて友達がいてご飯が美味くてとっても幸せ。
翌朝、実の姉に起こされるのはいいものです。
ベッドごとひっくり返されるとは思わなかったけど。
本日の業務開始。
お世話になった学園、仕事は最後まで丁寧に。
お昼、俺の業務は本日昼まで。
現理事長にご挨拶してから短期秘書は終了。
「ありがとうヤンロン。いろいろ迷惑かけてすまなかったな」
「僕もお前のことを誤解していた。頑張れよ1人の友として応援している」
「操者になったら愛バ自慢大会しようぜ」
「操者になるか、お前を見ているとそれも悪くはないと思ったよ」
「やよい、姉さんを頼む。立派な理事長になって俺を雇ってね」
「承諾ッ!たづなの操者として精進しよう。マサキ君ならいつでも歓迎だ」
「修練3日コースはやめとけ、尻がえらいことになるぞ」
「なんの話だ」
「姉さん。ゆっくりできなくてごめん」
「いいよ、生きてさえいればまた会えるから」
姉さんが俺の頭を引き寄せ互いのおでこをくっける。
「無茶をするなとは言わないけど自分を大事にすること」
「わかった」
「サイさんや愛バたち、天国の両親や私を悲しませるようなことをしてはダメよ」
「もちろん」
「あなたはヒトに・・・いいえ、どんなあなたでも私はずっと家族だからね」
「今までもこれからも、姉さんは姉さんです。自慢してやりますよ俺には最高の姉がいるって」
最後にみんなにハグします。
ヤンロン・・・照れんなよ、こっちまで恥ずかしい////
やよい、噛みつき契約禁止令の件は任せた。
姉さん、鼻血我慢してるの?もう最初から詰め物したらどうかな。
昨夜、就寝前にシュウから新たな道しるべがあった。
目指すはテスラ・ライヒ研究所。そこにいる騎神が俺を待っていると。
「みんなありがとう、行ってきます」
「激励ッ!頑張ってな」
「武運長久を」
「・・・行っちゃった」
「よいのか、ついて行かなくても」
「いいんです。弟の邪魔はしたくありませんから。それに私の操者はここにいます」
「そうか・・・いい年して泣きすぎ・・・ごめんなさい!生意気言ってごめんなさい!もげる!首がもげるー!」
「口のきき方がなっていません。そんなんじゃ早死にしますよ」
お父さんお母さん見てる。これからも私たち姉弟を見守っていてね。
マサキが去った後、トレセン学園に黒塗りの高級車がやって来た。
スムーズな動きで来客用の駐車場へ。運転席から執事服を着た男性が降りてくる。
「久しぶりだな。ようやく弟と向き合えたか」
「おかげさまでね。あなたがわざわざ来るなんて、何かありました?」
「お前の弟に用があってな。今どこにいる」
「残念でした。さっきここを出発しましたよ」
「入れ違いになったか、まあいい、お前に渡すものがある受け取れ」
後部座席から取り出したブツを私に渡してくる。
大きくて頑丈そうな黒いケースこいつは。
「リシュウから預かった、これでダメならもう知らんと嘆いていたぞ」
「師匠の新作・・・へぇ、シラカワ重工も協力したんですか」
ケースのロックを解除。中に入っていたのは一振り日本刀。
これを造るのにどれだけのテクノロジーと金がつぎ込まれたのか。
ついでに師匠の情熱も。
「参式斬艦刀、ゾル・オルハルコニウムによる刀身の形状変化ですか。すごっ!」
「ダイナミックゼネラルガーディアン通称ダブルGの武装1号機だ」
クレイドル襲撃事件を重くみた連中が拠点防衛用の特殊武装開発に着手した。
単独で戦況を覆すことを目的とした専用武装。
その名はダイナミックゼネラルガーディアン、通称ダブルGと呼称した。
装備者に求めるスペックが高すぎて開発は難航。
計画の立案者であった人物が途中で飽きたので計画は頓挫したはず。
完成品がここあるのでなんとかなったみたいだ。
「ビアン博士でしたっけ。使い手に絶望して3号機はロボにしたとか」
「あの博士はには困ったものだ、装備者を部品として見ている」
「本当にこれをいただいても?返しませんよ」
「お前以外にこれを使えるバカに心当たりが無い」
「ならば遠慮なく」
「とにかく渡したからな。弟はどこへ向かった」
「テスラ研を目指すそうですよ」
「今なら追いつけるか、では私は行くぞ・・・あの暴君がまさか秘書とはなwww」
「笑うな!さっさと行けクソ執事!マサキによろしく!」
高級車が学園を出て行った。
まったく!昔、執事服を笑ったことを根に持っていたか。
ダイナミックゼネラルガーディアンか・・・あの時この力あれば。
両親を失った日の後悔と無力さは一生忘れることはないだろ。
それでも私は生きていく、愛する人たちがいるこの世界で。
「ふむ・・・ちょっとだけならいいですよね」
受け取った参式斬艦刀を抜刀、ほう・・・綺麗な刀身ですこと。
悪を断つ剣として、新しい得物には早急に慣れておくべきだ。
師匠の新作、早く試し斬りしてぇ!
「形状変化ですか、伸びたりするんでしょうか?」
前の相棒、零式は巨大な出刃包丁だったが、この参式は普通の日本刀と変わらない大きさ。
刀を構えて何度か振ってみて、その内にちょっとした演武に。いい感じに馴染む。
覇気を通しても問題なし。投擲技、大車輪をする素振りをみせると形状が変わった。
ククリナイフというやつに似ている。曲線のある刀身がブーメランみたいで投げに適している。
後は、斬艦刀と豪語するなら大きな相手も叩き斬るほどの長さと大きさが必要だ。
ここでやめておけばよかった、調子に乗りすぎた。
「13kmや。なんて・・・どわっ!」
刀の鍔が展開したと思ったら、みるみる巨大な刀身が形づくられた。
巨大な刀身は職員寮、マサキが滞在していた部屋を貫通して破壊した。
あっぶねぇ!最愛の弟が出発した後で良かった。
「ちょ、やりすぎです!もういいから元に戻って!」
やってしまった・・・始末書で済むのかなコレ。
テスラ・ライヒ研究所を目指す。
方向音痴は自覚しているので地図アプリをなんども確認。
ちょっと距離があるな、徒歩でもいいけど素直の電車に乗ることにした。
最寄り駅に到着した所でロータリーに停車する高級者が目に留まる。
お高そうな車だこと、おや?あの人は。
「お久しぶりでございます。マサキ様」
「メジロ家の・・・確かウォルターさんでしたか」
「はい。あなた様に折り入ってお願いしたいことがあります」
「俺の状況をわかった上での頼みですか?」
「さようでございます。このお話はマサキ様にとっても有意義だと思います」
「テスラ研に行かないといけないのですが」
「お送りいたします。ご依頼したい件の関係者もそこにおられます故」
「あなたが直接動く・・・お嬢様絡みですか?もしかしてマックたちに何か」
「それは道中でお話いたします。さあ、乗ってください」
「失礼します。おお高級車は内装も綺麗だ」
ウォルターさんの運転でテスラ研に向かうことになった。
丁寧な物腰と礼儀作法、年齢を感じさせない確かな実力。
この人みたいなカッコイイ年の取り方をしたいもんだ。
「姉弟の再会はいかがでしたかな」
「そっか、あなたは姉さんの知り合いでしたね。もう大満足ですよ」
「それは喜ばしいことです。あいつもこれで肩の荷が下りたことでしょう」
「メジロ家の方々に改めてお礼を言わせてください。俺たち姉弟を助けてくれてありがとうございました」
「本当に好青年ですな。皆があなたに助力するのも頷ける」
メジロ家にいたことろの姉さんの話、いつか聞いてみたいな。
「それで、依頼の詳細は」
「はい。テスラ研でお嬢様に会っていただきたいのです」
「マックたちにですか?」
「マックイーン様、パーマー様、ライアン様、ドーベル様の他にもう1人おられるのですよ」
「なんですと」
「その方は現在、引きこも・・・入院中でございます」
「聞こえましたよ、引きこもりですって?俺に引き出し屋をやれと」
「マックイーン様たちと瞬時に打ち解けたあなたなら適任だと」
「そういうのは専門業者にお願いした方がいいですよ。デリケートな時期の女の子でしょ、俺はバカなので何をするかわかりませんよ?」
「頭首様より許可もいただいております。マサキ様のなさることに口は出しません。もちろん覇気をドレインして下さっても結構です」
「ばば様公認か・・・よろしいお受けしましょう。ドレインできるなら願ったりですし」
「あなたならばそう言ってくださると信じておりました」
「ターゲットのお名前は?」
「メジロアルダン様、騎神の力を暴走させハガネの同型艦シロガネを単独で沈めたお嬢様です」
「後半の情報、聞きたくなかった」
超パワーお姉ちゃんの次は戦艦撃沈お嬢様かよ。