俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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おちゃしませんか

 別世界の愛バが世界を滅ぼしていました。

 

 

「おう、お疲れさん。こっちは無事に接触できたぞ。しっかり良好な関係を築いからな」

 

 1stと2nd、二つの世界についてアレコレ会話していたら電話がかかってきた。

「すまんな」と言って電話にでるゴルシ、聞かれても大丈夫な話なのか、特に場所を変えるでもなく電話をしている。

 

「あ?それはねぇよ、直接会ったらわかる。断言してもいい、アンドウマサキはいい奴だ」

「照れますな」

「キュー」

「青龍もそう思ってくれるのか。カワイイ奴め~うりうり」

「キュッキュッ」

「今は超機人とじゃれ合ってるよ。え?確かにそうだけど、でもよ~」

 

 話しているのは口調からして同僚か上司ってところだな。

 青龍が俺のスマホに興味を示したのでアプリを開いて写真を見せてやる。

 操作方法をすぐに理解した青龍は器用に写真をスライドさせていく。

 クロとシロの写真でスライドを止め「キュー」と一鳴きした。

 そうだ、そいつらが俺の愛バたちだよ。

 

「ああ、目の前にいるぞ。それで納得するなら・・・すまねぇマサキ、電話に出てやってくれ」

 

 スマホを俺にパスしてくるゴルシ。

 電話の向こうにいる相手が俺と話をしたいらしい。

 いいだろう、どんな人物なのか興味あるし。

 

「お電話代わりました。アンドウマサキです」

「わぁ~とっても事務的だ・・・っコホン。ご丁寧にどうも、ファインモーションと申します」

「その名前、ファイン家の方ですか?」

「若輩の身でありますが頭首をしております。以後お見知りおきを」

 

 いきなりトップが来ちゃった。

 ゴルシを見るとうんうん頷いている。

 1stの記憶でもそうだったが頭首と随分仲がいいんだな。

 

「ぷっ・・あはは、やめやめ!敬語は無し、もっと気軽に話そうよ。今から友達ってことで、いいかなマサキ」

「かまわんよ。モーさんって呼んでいいか?」

「さんはいらないよ」

「モーちゃんよりモーさんの方がしっくりくるんだよ」

「だったらそれでいいよ。さっそくだけど聞きたいことがあるんだ」

「言ってみ」

「単刀直入にいくよ。ディーン・レブって知ってる?」

「アストラナガンが言っていた謎の単語か、何を意味しているのかサッパリわからん」

「だよねー。そっかぁ・・・うん、これはまあ保留で。次の質問」

「まだあるのか」

「ズバリ!あなたは世界の破壊者ですか?とんでもない極悪非道のクズだったりする?」

「1stに存在しなかった俺がどうやって世界を破壊に導いたんだよ」

「ごもっとも!よっし!マサキは黒幕ではない。ディーン・レヴは引き続き意味不明」

「簡単に信用していいのか、俺が嘘をついているかもよ」

「それはないない。電話越しでもわかるぐらいお人好しの癖に」

「ロリコン、マザコン、シスコンを患ってるけどな」

「愛バと家族を大事にしている証拠だね、立派だよ」

「泣いてもいい?そんな風に言ってくれたのモーさんが初めて」

「どうせ泣くなら直接会ってからにしてよ、成人男性の号泣シーンとか興味ある~」

「はは、こやつめ」

 

 ゆるふわな雰囲気の声、少し会話しただけですっかり心を許してしまう。

 こういった人心掌握も上に立つ者としてのスキルなんだと思う。

 これから仲良くしましょうという事で話がまとまった。

 

「想像していたよりも親しみやすくて安心したぞ」

「私もだよ、疑ってごめんね。落ち着いたらデートしようね~いいラーメン屋に連れてってあげる」

「ラーメン好きなのね」

「主食ですから」

 

 このままだと好物の話から長電話に発展しそう、お互いに察して電話を切り上げる。

 

「話ができてよかったよ、会うの楽しみ~。ゴルシちゃんに代わってくれるかな」

「こっちもだ、じゃあなモーさん」」

 

 ゴルシに電話を返す。

 

「言った通りだろ?あーはいはい、こっちは気にすんな。ん、じゃあまたな」

「モーさん、いい子だよな」

「騙されんなよ、ああいうのが一番質が悪いんだからな」

「そういう所も嫌いじゃない。腹黒女子・・・しゅき」

 

「趣味悪りぃ」と言われた。

 失敬だなゴルシ君!女を見る目は有るつもりだぞ、そうだよね~クロシロ。

 

「というわけでコンゴトモヨロシクだ相棒」

「相棒?誰が」

「お前しかいないだろう」

「どういうことよ」

「覇気集めに協力してやるってんだよ。しばらくは愛バの代わりをしてやるよ」

「レンタル愛バ再び!ゴルシを仲間にすると一体どんな特典が」

「ゴルシちゃんレーダーの本領発揮だな。力ある騎神をカンで探してやる」

「カン!?それって意味あるのか」

「お前にはちゃんと会えたぞ。どうせ当てずっぽうなんだろ、素直に頼れよ」

「どうしてもついて来る気か?」

「お前の警護と監視も兼ねてんだ、コソコソやられるよりお互い気楽だろ」

「それもそうか。よろしく頼むぞ、ゴールドシップ」

「おうよ。どうせなら楽しくいこうぜ」

 

 翌朝。

 ちょっと準備してくると言って部屋を出ていくゴルシ。

 俺は青龍を連れて外出、合鍵は既に作られておりゴルシも自宅の鍵を所持している。

 

「堂々としていれば大丈夫だぞ、さあ行こうか」

「キュー」

 

 元のサイズに戻った青龍、やっぱり大きいな。

 昼間に龍を引き連れて散歩しています。こうしていれば本来の主人が見つけてくれるのを期待。

 人が多過ぎる大通りはさすがに避けた。過剰な騒ぎを起こす気は無い。

 犬を散歩させる老人とすれ違うが、特に何も言われない。犬の方は首を傾げていたが。

 今度は若いカップルか、リア充を妬んでいたのはもう過去の話。俺には愛バがいるんです。

 青龍を見て驚く男、女の方が話しかけてきた。

 

「ドラゴン?すみません、それって何ですか?どこで買えます」

「試作AMのテスト中なんです。こちらは商品化する予定は無いので購入はできません」

「ええー、残念だな。どこに配備される予定なんですか」

「申し訳ない企業秘密ですので」

「キュー」

 

 こんな感じで話しかけられても問題ない。写真も遠慮してもらっている。

 通行人も驚きはするが、俺が平然としているので「まあいいか」でスルーしてくれる。

 しばらく街をうろついたが成果なし。

 

 どれだけ都会でも自然を求めてしまうのは生物としての本能なのだろうか。

 整備された河川敷に到着、最近では天然の小魚も見る事ができる近隣住民の癒しスポット。

 故郷の河原でよく遊んだっけか、変な形の石を探すだけでも楽しいんだよな。

 川を見下ろせる原っぱの上に座り込む。

 

「ふぅーやれやれ。どっこいしょ」

「キュ」

「爺臭くて悪かったな。昨夜はあんまり眠れなかったんだよ、ちょっと休憩させて」

「キュー」

「なんだ、お、ありがとう」

 

 青龍が長い体を横たえて、寄りかかってもいいよと言ってくる。

 枕にしてやろう。胴体に頭を乗せると金属の硬さはなく沈み込むように受け止めてくれた。

 この枕凄い、ぐっすり眠れそう。首と尾で俺の体を包み込むようにしてくれる青龍。

 

「寝てもいいのか?」

「キュ」

「お前も寝るのかよ・・・そうだな、お昼寝タイムだ」

「・・・キュ~」

 

 1stの記憶でみた紅い結晶体の化物。

 どうしても気になってしまい昨夜はよく眠れなかった。

 ここは2ndだ、俺の愛バは大丈夫。大丈夫に決まってる、2人には俺がいる。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「何?この覇気は一体どこから」

 

 リュウちゃんの捜索は今日も続いています。

 昨日は見つけることができなかった、今日こそは必ず。

 手分けして捜索することにしたので、エルとトラちゃんは別の所を探してくれています。

 一人になった私が河川敷を歩いていると、強い覇気を感じました。

 なんて強力な覇気、でもとっても穏やかで優しい、どんな人が出しているのでしょう。

 そうだ、リュウちゃんがこの覇気を感じたらそこを目指すはずです。

 私は覇気をたどってみることにしました。

 結果、私の考えは正解だったようです。

 川を見下ろせる位置の原っぱで眠る男性と、その人に寄り添っているリュウちゃんを発見しました。

 

「良かった、リュウちゃん」

「キュ」

「え、ああ、そうですね」

 

 駆け寄る私に気づいたリュウちゃんが「お静かに」とこちらを制する。

 あら~、もっとこう感動の再開で私にじゃれついてくると思ってたのに残念。

 その人を起こしたくないのね。

 

「無事で良かったです。単独行動は危険なので「めっ!」ですよ」

「キュ~」

「反省しているならいいのです。突然いなくなったのはこの人が原因ですか」

「キュキュ」

「別にこの人を咎めようとは思いません。むしろあなたを保護してくれて感謝の極みですよ」

 

 深い眠りについている男性を見る。

 10代後半から20代前半と推定、大学生ぐらい。

 しっかり修練を積んでいる筋肉の付き方、年上ですがどこか子供っぽい顔つき。

 特筆すべきは溢れ出る覇気だ。

 近づくにつれてその異常性が際立ち、眼前のこの距離ではもう明らかにおかしいとわかる。

 ハッキリと目視出来る、優しい光を放つ覇気の粒子がキラキラと宙を漂っている。

 触れると儚く消えてしまうが、無尽蔵に放出されるそれはとても幻想的だった。

 

「ふぁ~、あら、はしたない。でもこの覇気に当てられるとこっちまで眠く」

「キュ」

「そうですね。私もちょっとお昼寝しましょうか」

 

 リュウちゃんがスペースを空けてくれたので、男性の隣に身を横たえる。

 昨夜は遅くまで探していたので少々寝不足です。

 見ず知らずの男性の横で眠るなど血迷っているのは自覚しています。

 ですが、この人には何故か絶大な安心感があるのです。

 この覇気に当てられしまったらもう仕方ないですよね。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 起きたら隣に見知らぬウマ娘が寝ていた。

 青龍の正体が美少女だったのかと思ってちょっと歓喜したが違った。

 

「キュー」

 

 青龍が「ねーよwww」って言ってる。

 わかってるよ、この子がお前の主なんだろう。

 まずは起きてもらわねば。

 

「すみません。起きて、起きなはれ~」

「あ・・・うん・・・ふぇ」

「寝起きの無防備さ大変カワイイです。起きた?ほら、しゃっきっとしてくれ」

「う~ん。ふぅ・・・おはようございます」

「はい、おはよう。いきなりだけど誰?」

「あなたこそ、どなたですか?」

 

 大きく伸びをしてウマ娘が目覚めた。

 お互い自己紹介の順番をゆずりあった結果、いつものように俺からいきます。

 

「操者をしている、アンドウマサキです」

「まあ、操者でしたか。私はグラスワンダーと申します。そこにいるリュウちゃんの主人ですよ」

「キュッ」

 

 グラスワンダー。

 綺麗に整えられた茶色い毛並みに青い瞳。おっとりとした雰囲気の優し気なウマ娘。

 強いな、こうして向かい合ってる今も全く隙がない。

 いい目をしている、確固たる信念をもっている奴の目・・・武士か!

 まあ、そんなことよりカワイイですね。どいつもこいつも俺を楽しませてくれる!

 

「リュウちゃんを保護してくれてありがとうございます」

「勝手に連れていったみたいで悪かったな」

「いえいえ、リュウちゃんがご迷惑をお掛けしたみたいで」

「そんなことない、凄く大人しかったぞ」

「まあ、そうなんですかリュウちゃん?」

「キュー」

 

 友達の家に泊った翌日の保護者会話みたいになってきた。

 

「是非お礼をさせてください。何がいいかしら」

「それなら頼みがある。話を聞いてくれるか?」

「近くに良いお店があるんです。お茶でも飲みながらじっくりとお話しませんか」

「いいね!そうしよう」

「あ、でもリュウちゃんが」

「ん?問題ないだろ、青龍サイズダウンだ」

「キュー」

「え?」

 

 俺の意図を察知して手の平サイズになった青龍が主人のもとへ飛んでいく。

 両手で受け止めたグラスはなぜかひどく驚いている。

 

「まあまあ!こんなに小さくなれたんですね」

「なんだ知らなかったのか?」

「始めて見ましたよ。どういうことですかリュウちゃん?」

「キュキュキュー」

「なるほど・・・マサキさんの覇気を食べてからできるようになったと」

「あちゃ~勝手にご飯あげたのはマズかったか。ごめん、俺の覇気はちょっとおかしいんだわ」

「ちょっと?」

「かなりおかしいのかも、マジでごめん」

「リュウちゃんが喜んでいるので問題ないです」

「ならば良よし」

「とりあえず行きましょうか。リュウちゃん、お店に入ったら置物のフリをお願いしますよ」

「キュ~」

 

 龍の置物持って入店する奴は十分怪しいと思うが、なんとかなるか。

 

 グラスに案内されたのは和風のカフェだった。

 店内では何種類もある茶葉を選んで好きなお茶を飲めるシステムみたいだ。

 甘味も充実しておりどれも美味そう。

 グラスおすすめの茶葉を選んでもらい煎茶と何本かお団子をチョイスした。

 店外テラス席には赤い布が敷かれたベンチに日よけの番傘、実に茶店っぽいです。

 天気がいいのでそこに座っていただくことにした。

 

「私の趣味全開ですが、こういうのはお好きでしたか?」

「大好き。お茶もだけど和風の甘味が好きでな、抹茶系のスイーツとかあんこは大好物だ」

「喜んでもらえて良かったです。あんこは何派ですか?」

「つぶあん派かな。上品なこしあんも好きだけど、つぶあんの「あんこ食ってるわー」感がたまらん」

「私もです!マサキさんが話のわかる方で嬉しいです」

「この店、夏季限定で抹茶氷やってるみたいだ。今度食べに来よう。」

「その時はご一緒させてください。限定メニューと言えば、隣町にある甘味処では1日5食限定の抹茶パフェがあって」

「それ知ってる!ウマスタで話題になってたヤツだ」

 

 女の子と甘味の話で盛り上がってしまった。何これ、すんごい楽しいんですけどー!

 青龍が時折かまってほしくてじゃれてくる。ほいほい忘れていませんよっと。

 お茶とお団子に舌鼓を打ちながら会話を続ける。俺とグラスはすっかり意気投合した。

 

「私の友人は辛い物ばかり食べているので、甘い物の話題をふっても反応がイマイチなんですよ」

「俺が一番つるんでいる男は甘い物好きだから、よくいろんな店に連れていってくれるぞ」

「スイーツ男子というヤツですね。羨ましいです」

「女性だらけの店内に野郎二人で入店するのも慣れたもんさ」

「操者なのでしたら愛バを誘ってあげてはどうですか?きっと喜んでくれますよ」

「それは俺が愛バとやることリストに加えておくよ・・・ほうじ茶美味い~香ばしい」

「愛バに何かあったのですか、お話聞かせてくれます?」

「ああ」

 

 グラスに事情を説明する。

 覇気を集めていることの他に、結晶体の写真を見せて心当たりがないかも聞いてみる。

 

「そんなことが、私の覇気がお役に立てるなら遠慮なさらず使ってください。リュウちゃんを保護していただいたお礼です」

「キュー」

「ありがとう。本当に助かる」

「それにしても不可思議です。いくら成長期でも結晶体になったなどと聞いたことがありません」

「原因は俺の覇気とあいつら自身だと思うんだがな」

「操者のために更なる進化を望んだとでも・・・強い絆で結ばれているのですね」

 

 普通の成長では満足しない、俺がそうさせてしまったのか。

 そこまでしてくれるのは嬉しい反面、申し訳ない。

 二人のことを考えると寂しさがこみあげてくる。いかんいかん、しっかりしろ俺。

 クロシロを思って前向きになるのはいい、でも落ち込むのは無しだ。

 

「団子美味いね、お茶も美味しいし」

「食べ終わったら覇気を提供します。今はこのひと時を楽しみましょう」

「そうだな。リラックス~」

「はい。のんびり、まったり、参りましょう。たまには立ち止まって気分転換するのは大事ですから」

 

 気を遣わせてしまったようだ。お言葉に甘えてまったりしよう。

 青龍はグラスの膝上で丸くなっている。

 俺たちの間にのほほんとした空気が流れる。老後は是非こんな感じに穏やかでありたい。

 

 しばらくして「お茶のおかわりをもらって来ますね」とグラスが二人分の湯飲みをお盆にいれて立ち上がろうとしたのだが。

 

「私の友達から離れなサーイッ!」

 

 突如、こちらに向けてダッシュしてくるウマ娘が登場した。なんだあれ覆面?を着けてる。

 俺は団子が乗った皿を持ってスッと横へ移動、青龍はグラスの右肩に移動した。

 グラスは「あら?」と首を傾げながらもお盆を持ったまま、突撃ウマ娘に足払いをかけた。

 

「ぐへっ!な、何するんですかグラスっ!」

 

 顔面から綺麗に転倒したが、即座に跳ね起きて抗議の声を上げるウマ娘。

 ノーダメージそうなので心配なし。

 

「エル、騒がしいですよ。お店や他のお客様にご迷惑です」

「知り合いか?」

「残念ですがそのようです」

「ザンネン!酷すぎますよグラス~」

「ガゥ」

「お、白虎だ」

「キュー」

「ガゥゥゥー!?」

 

 青龍が「よっ!元気?」と声をかけると白虎が「小さくなっとるやないかい!?」とツッコんだ。

 

「はじめましてだな。そうか、虎王機って言うのか、白虎って呼んでもいいかな。お近づきの印に覇気をお食べ」

「ガゥガゥ」

「よしよし、いい子だな。美味いか?焦らなくていいからな」

「こらっビャッコ!知らない人から餌をもらってはいけまセン!というより私を無視しないで!」

「アンドウマサキだ。よろしくな、えーと・・・ルチャドーラさん?」

「ほら見なさい、常時そんなの着けているから女子レスラーに間違われる」

「これは父からもらった勇気のお守りなんデス。人前で脱ぐなんてとんでもない!」

「妙なこだわりをお持ちで」

「我が名はエルコンドルパサー!いずれ世界最強の騎神になる存在デース!」

「俺の家族を倒してから言ってね」

「あなたの家族が世界最強と何の関係が?それよりグラス!青龍の誘拐犯となんで仲良くしてるのデスカ?」

「誤解です。マサキさんはリュウちゃんを保護してくれた恩人で、先程友人になった人です」

「ええ~ホントですか~。この人なんかロリコンでマザコンでシスコンっぽくないデスカ?」

「失礼ですよエル!」

「人から言われると結構傷つくな」

 

 割と当たっているので声を大にして反論しづらい。

 でも、ムカついたので自慢の覆面を引っ張っていじめようと思います。

 おおー思ったよりも伸びる、素材は何だろうか。

 

「何するんですかっ!ヤメ」

「オラッ!素顔を見せろ!どうせ、ただの美少女なんだろ?ああん!!」

「やめてっ!引っ張らないで!グラス、見てないで助け・・・どうして羽交い絞めをするんデスかー!」

「私の友人に無礼を働いた報いです」

「私は?私の方が付き合い長い友達なのに!!ダメ!今、手を離すのはダメです!ゆっくりそぉーと元に」

「あっ」

「いっっったあぁぁぁいいいい!!!目がぁぁぁーーー!!!」

「うるさい奴だな」

「まったく嘆かわしい限りです」

「キュー」

「ガゥ」

 

 ワザとではない、うっかり伸びきった覆面から手を離してしまった。

 バチンッ!!と顔からいい音がした後、叫び声を上げてうずくまるアホがいた。

 やれやれと首を振る俺たち。

 

「ううっ・・・あんまりデス・・・」

「ああもう泣くなよ。ほら、見せてみろヒーリングしてやる」

「おや、マサキさんは治療術の心得があるのですか?」

「我流だよ。でも評判は上々なんで心配するな。ここか?じっとしてろ」

 

 涙目のエルコンドルパサー。

 やや茶色がかった黒い毛並み。父から譲られたレスラーマスクがトレードマークのラテン系ウマ娘。

 強者への憧れを胸に修練の日々を送っているらしい。口だけではなく確かな実力はありそうだ。

 グラスとは腐れ縁でアメリカに住んでいた頃からの付き合いらしい。

 

 全然大したことないがはずだが、ヒーリングを施す。

 マスクを取った素顔は思った通り可愛かった。なぜ隠すのか理解不能だ。

 

「あなた・・・いい人デスネ!!!」

「手の平返し早すぎて引きます、チョロ過ぎですよエル」

「覇気から伝わってきました。マサキは信用できる人デース」

「そりゃどうも、素顔とってもカワイイでーす」

「う~////もういいですから、後ろ向いててください」

「きっと、エルにとってあの覆面は下着みたいなものなんですよ」

「マジか~それは失礼なことをしたな。許してくれ」

「適当なことを言わないでくだサイ!!」

 

 いそいそと覆面を付け直すエル。

 隠さなくていいのにと思うが、ここは本人のこだわりを尊重することにした。

 彼女にも協力を頼んでみよう。

 

「エルコンドルパンサー、お願いします!覇気をください」

「パサーですよ!間違えないで!」

「え?・・・私、ずっとパンサーだと思ってました」

「なんでグラスはいちいちワタシを傷つけるんデスカ!」

「あなたに私という消せない傷を刻み付けたいからでしょうか?」

「怖い!そして重い!」

「冗談です」

「コンド―さんというのはどうだろ」

「急に何を!?それをワタシのあだ名にするきデスカ?・・・遠慮します」

「コンドーさんwww避妊具を連想しますねwww」

「グラスッ!!!てめぇはもう黙れ!!!」

「無理に片言キャラにしなくていいよ、タイキと被ってるし、痛々しい」

「お前も黙れ!!!」

「最近の若い子、ちょっとキレやすくない?栄養が偏ってるのかな、心配だわ」

「きっとカプサイシンの過剰摂取で脳細胞が委縮しているのですよ、かわいそうに」

「こいつらマジでムカつく」

「コンド―さん!頼むよ、俺の愛バが大変なの!覇気をちょっとだけ吸わせて欲しい」

「その呼び方を採用した覚えは無い!」

「エ・・・じゃなかった。コンド―〇?マサキさんの話をちゃんと聞いてあげて」

「いつもみたいにエルって呼べよ!!!コンド―〇って伏字にしたら余計に卑猥だろうが!!!」

 

 激怒するコンド―さん。ちょっと泣いてるのでこの辺でストップだ。

 グラスがなんかツヤツヤしている、さてはこいつSだな。

 結局、コンドーさんは不採用になったので仕方なくエルと呼ぶことにしました。

 

 エルと白虎、新たに加わった二人にも俺の事情を説明した。

 

「グスッ・・・いい話ですね。愛バのために変態の汚名を被るだなんて」

「ガゥ」

「その汚名を被せた奴にはいずれ制裁を加える。待ってろよアグネスども」

「本気の目、使命に燃える殿方はいいものですね~」

「どす黒く濁った瞳してますよ。」

 

 人数が増えたので追加注文「ハンバーガーは?」と発言したエルにグラスがイラッとした。

 そういうとこやぞ!!

 ちなみに白虎は俺の覇気を食ってすぐにサイズダウン、今は青龍と一緒に俺が抱っこしてます。

 

「いいでしょう!世界最強のウマ娘たるもの、困っている人を助けるのは当然です。覇気の提供OKです!」

「少し休憩したら場所を変えましょう。覇気の提供はその時にでも」

「二人ともありがとう。その後なんだが、青龍と白虎を連れてテスラ研に言ってくれないか」

 

 テスラ研に行ってもらうことも承諾してもらった。

 超機人に出会い主人となったものの、今後どうしてよいか途方に暮れていたのが現状だったらしい。

 親御さんたちは海外にいて二人は立派な騎神になるべく日本に単身やって来たのだとか。

 テスラ研で保護してもらう話は渡りに船、二人にとってちょうどいいタイミングだったようだ。

 和風カフェで駄弁ってから外へ、移動しながらの身の上話は楽しかった。

 

「へぇー。じゃあ、二人はトレセン学園に入るんだ。上手くいけばスぺの同級生になるのか」

「編入の手続きは済ませてあるので来月には通えるそうです」

「実力さえあれば中途編入可能、騎神の育成には広く人材を募るってのはいい考えだ」

「飛び級で入学した例もあったそうです。どんなライバルたちが揃うのかワクワクしまーす」

「キュー」

「ガゥ」

「お前たちも学園に?どうだろう、やよいや姉さんが許可すれば大丈夫か」

「マサキさんのおかげで小さくなれますし、大きさでご迷惑をおかけする問題は解決ですね」

「便利な機能があったものです。それにしても・・・よく懐いていますね」

「本当にそうです。私たちが出会った時は結構警戒されて、仲良くなるのに時間がかかりましたものね」

「キュ~」

「グルルゥ」

「その節はすまんかったって言ってるぞ」

「意思疎通も私たちよりできてる気がします」

「気のせいだろ」

 

 超機人2体とすぐ仲良くなったことに少し驚かれた。

 そういえば、クロシロも俺以外の男には当たりがきつかったらしい。

 変なフェロモンが出ちゃってますかね。まあ、いいか。

 先程昼寝をした場所まで戻ってきた。

 川のせせらぎを聞きながらお待ちかねのドレイン。

 エルから先にやることにした。

 

「緊張しすぎだってばよ。リラックスしてくれないと上手くいかんのよ」

「うう、どうすれば」

「委ねろ」

「何を?」

「お前の全てをゲッター委ねるんだ」

「それ同化されちゃうパターンなのでは?」

 

 ゲッターとは何かを語るとキリがない(ネオさん英才教育の賜物)

 優しくやさし~く頭を撫でてやると緊張が解れてしっかりドレインできました。

 

「なんか手馴れているのがムカつく」

「そりゃあ慣れもするよ。経験豊富ですから!次、グラスワンダーさん」

「はい、お手柔らかにお願いします」

 

 凛とした相手にやるときはこっちも緊張する。

 凄くいけないことをしている気がして・・・ムラムラします。

 

「愛バがいるんですよね?私に欲情しては「めっ!」ですよ」

「すんません!ホント自重します・・・たぶん

「あら・・・本当に撫でるの上手ですね。これで愛バを落としたんですか」

「落とされたのは俺だと思ってる」

「あら~惚気られてしまいました」

 

 グラスのドレインも完了。

 二人と二体はテスラ研に行ってもらって、俺はゴルシと合流するか。

 

「ありがとう二人とも。じゃあこれからテスラ研に・・・」

「グラス!!」

「わかってますよエル。リュウちゃん、マサキさんを守って!」

「キュー」

「ビャッコもです。マサキの護衛を頼みます」

「ガゥ―」

「どうした、一体なにが」

 

 急に戦闘モードに入る俺以外のメンツ。穏やかじゃないですね。

 気づくのが遅れた、俺ってホント索敵能力の精度が低い。

 

「来ます!」

 

 地面からいきなり植物のようなものが生えた。

 いつから潜伏していたのか川の中から飛び出してくる奴もいる。

 空からも何体か振ってきた。どいつもこいつも異形の存在。

 変な人面がついた謎の植物、根っ子っぽい足で歩き回る・・・キモイ。

 袋状の体に足と羽がくっついた鶏っぽい奴・・・キモイ。

 空飛ぶ金魚?とりあえずキモイ。

 ヤマアラシみたいな奴・・・こいつはまだマシ。

 ぷっくりとした四足の奴、こいつ体の裏側に人面あるから・・・結局キモイ。

 といったキモイやからに囲まれてしまった。大きさは平均2m前後って所か。

 

 ここでこの世界の常識をお伝えします。

 たまにね~出るんですわ、正体不明の敵性体が。

 こいつら人を襲うから操者と騎神やAMにPTの部隊、野良強者たち等が定期的に出動してハンティングしてます。

 マジで迷惑な話なんですが、そういうデンジャラスな側面を持つのが常識の世界ですのでご理解ください。

 まあ、慣れですよ慣れ。見つけたら慌てず騒がず即通報、強者の到着を待つのが一番。

 こいつらのことはたまにニュースで見る。

 未だに詳細は報道されないが通称はある。

 

「デモンかぁ・・・数が多いな~めんどくせ」

「キューキュー」

「ガゥガゥ」

「別に怖くないよ、キモイのが勝ってる」

 

 ああそういうことね。こいつらの狙いは超機人か。

 トラブル発生!知ってたよもう!

 

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