俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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しつげん

 二体の超機人とその主を発見。ドレインもしたのでテンション上がった。

 キモイのに囲まれてすぐに下がったけど。

 

 コードネーム、デモン。

 目的不明、正体不明の迷惑存在。特徴は見た目と動きがキモイ。

 

 こいつらが現れた瞬間にグラスとエルは戦闘モード。

 超機人たちも元のサイズに戻って敵を威嚇する。

 

「キューキュー」

「ガゥ」

「なになに、妖機人(ようきじん)百邪に寝返って変質した凶悪な超機人の総称。バラルが使役する生体兵器もそう呼ばれると、ふーん」

 

 超機人たちからテレパシーでビビッと送られてきた情報によると。

 このキモイ集団は後者、バラルの生体兵器だって。

 脳内に知らない単語と情報がいきなり飛び込んで来るからビックリするよ。

 デモンは妖機人、超機人の敵ってことでOK。百邪?バラル?ってなんだよ。

 

 俺をキモイ集団から庇うように前に出るグラスとエル。

 戦い慣れしているようで二人の背中が頼もしい、男前ですやん。

 

「リュウちゃん、金箍棒(きんこぼう)を!!」

「ビャッコ、ジャベリンです!!」

 

 主人の命に応え超機人たちが体から上空に棒状の物体を射出する。

 落下してきた物を片手でキャッチする二人。

 得物の感触を確かめるように器用な手つきで回転させた後に構えをとる。

 重心を軽く落とし長い得物を構える二人、やだカッコいい!!

 

 グラスの獲物は黄金の輝きを放つ棒、金箍棒って孫悟空の使った如意棒の事か。

 エルの獲物は中国の武将が使うような偃月刀(えんげつとう)だ。

 

「武装の供給ができるのか、お前たちは自立行動型兵器であり武器庫でもあるんだな」

「キュー」

「グルル」

「感心してる場合ですか!早く離脱を」

「リュウちゃん、トラちゃん!マサキさんを連れて行って!」

「ちょ待てよ!俺もた・・・うぉ!?」

 

 一緒に戦うつもりだったのに、青龍にひょいっと肩をつかまれて体が浮き上がる。

 白虎の背中に降ろされた。

 青龍が敵陣の手薄な箇所を突破し、穴をあける。わお!火吹いたぞ。

 そこを白虎が高速で走り抜ける。

 俺が乗っているのになんてスピードだ。人間一人ぐらいの重量なんぞ全く問題ない。

 みるみる距離が離れていく、こんな状況じゃなければ超機人に乗ったことで大はしゃぎしていた。

 振り落とされないようにしがみつきながら移動する。

 あ、ストップ!ストップだ、優秀な二体に声をかける。

 

「ここまで来れば十分だから降ろしてくれ」

「キュ?」

「ガウ?」

「ご主人様たちが心配だろ?俺はいいから戻って加勢してやりな」

「・・・・」

「・・・・」

「それはこれで解決だな。ほら、持って行け」

 

 超機人との契約システムは操者と愛バの契約を元に構築しているのだろう。

 駆動燃料は契約者の覇気、戦闘行為をすればその消費量は跳ね上がる。

 契約して日が浅いと覇気の循環効率が悪く設定以上に消耗が激しくなるのだとか。

 グラスとエルが超機人と契約して1月ほど、互いの覇気が馴染むには1年は必要。

 主人と共に戦いたいのは山々だが、必要以上に力を奪って足を引っ張る結果になることを超機人たちは恐れている。ホンマにええ子やね。

 

 そこで俺の出番。

 二体の体に手を置いてたっぷり覇気を供給してやる。 

 さっきグラスとエルにもらった分のお返しってことで。

 超機人と俺の覇気は凄く相性がいい、二体のお腹を満たしてやると凄く満足してくれた。

 二体の体から覇気の粒子が溢れる。

 しっかり覇気が馴染んだ証拠、こんなんでどうよ。

 

「どうだ、いけそうか?」

「キュキュキュー」

「グルルゥゥ」」

「ならば行くがいい!主人を助け、あのキモいのを殲滅しておいで!」

 

 先程とは比較にならない程のスピードで戦場へ戻る二体。

 あの様子なら大丈夫だろう。

 さてと・・・。

 

「そこの奴、俺に何か用か?」

 

 河川敷から離れた場所の雑木林、その陰から人型が現れる。

 鎧を身に着けた古代中国の兵隊を思わせる姿、顔に当たる部位に目、鼻、口はない。

 大きさ3m弱、手には剣を装備してこちらに殺気を向けている。

 剣の形は魚型で、中央に柄があり左手で尾の部分を掴む両手持ちすると剣というより槍の雰囲気。無駄に凝ってるな、そして使いにくそう。

 覇気の感じからしてこいつも妖機人か。

 

「なんか喋ってくれる?用がないなら早く消えろ」

 

 剣の先端から高圧の水流が打ち出される。

 ウォーターカッター?当たりたくないので避ける。水流に打ち抜かれた木々が倒壊する。

 体を大きく反らしてブリッジ状態で回避。日々のストレッチが功を奏した結果だ。

 

「攻撃したな、撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだぞ」

「・・・・」

「かかってこいや妖機人!俺に出会った不幸を呪え」

 

 手加減はいらないよな、とことんやってもいい相手は久しぶりだ。

 バイオレンスな愛バたちを見習ってみますか。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はっ!」

「だぁりゃあああ!」

 

 マサキが去った後。

 妖機人に包囲されたグラスとエルは己の技量を最大現に発揮し敵を撃破していく。

 

「伸びて!金箍棒」

 

 グラスの声に応えた武具が10mを超える長さにまで伸びる。

 伸びたことにより取り回しが悪くなったはずが、それを感じさせない動きで繰り出される棒術、複数体の敵を巻き込んだ後、しなる金箍棒によって敵を大地に叩きつける。

 

「食らいなさい!」

 

 エルが使う武具はソニックジャベリン。

 斬撃、払い、刺突を組み合わせた華麗な演武が抵抗する隙を与えず敵を屠る。

 高速の連続突きが敵を穴だらけに、弧を描く薙ぎ払いが接近するものまとめて吹き飛ばす。

 力を込めた斬撃が装甲をものともせず一刀両断。

 

 背中合わせになった二人、まだ余裕がある。

 しかし、このままではじり貧なのも事実。

 

「今日は数が多いですね。最高記録更新、嬉しくないです」

「キモい上にしつこい!いい加減にしてほしい」

 

 会話中も動きを止めない、包囲陣を狭めるキモいのを潰していく。

 

「マサキさんは無事でしょうか?巻き込んでしまいました」

「ビャッコたちが逃がしてくれたはず、信じましょう」

 

 倒した数が20を超えた頃、敵に動きがあった。

 

「ここに来て増援ですか」

「ああもう!キリがないでーす」

「キュー!」

「ガゥ!」

「「何で戻ったの!?」

 

 龍と虎の超機人が戦場へ舞い戻る。

 敵増援に向けて龍は超高温の炎を吐きかけ、虎は衝撃波を伴う雄叫びを上げる。

 それだけで半数以上の敵が滅ぼされる。

 倒しきれなかった相手にも追撃を忘れない。

 翼に仕込まれた刃で切断、鋭利な爪と牙が容赦なく引き裂いていく。

 わずかな時間で増援を片付けた二体は包囲網を突破し主人に寄り添う。

 

「今のが超機人本来の力でなんですね」

「待ってください、誰がビャッコたちを強くしたんですか?それに体から覇気の粒子が」

 

 超機人の体から溢れる覇気の輝き。

 この覇気の持ち主は一人しかいない、私たちは彼の力を見誤ったようだ。

 でも、超機人をこちらに戻したのは・・・まさか。

 

「エル!マサキさんの所にも敵がいます。ここにいる雑魚より格上の相手が」

「そんな!今まで私たちに粘着していたのに何で?」

「おそらく、私たちはついでです。今回、妖機人の狙いは最初からマサキさんだけです」

「させません!会ったばかりだけど、もう大事な友達なんですから」

「ええ。彼に何かあれば、ご家族や愛バに申し訳が立ちません」

 

 今一人で敵と相対しているであろう彼の下に行かなくては。

 焦るこちらを嘲笑うかのように迫る妖機人。

 どけよ!時間稼ぎの消耗品風情がっ!数を頼りにする雑魚に苛立ちが募る。

 

「キュー」

「リュウちゃん?え、このお札に覇気を込めろと」

 

 青龍が黄色地に朱色の文字が描かれた札を主に渡す。どこから出した?

 思考は一瞬、相棒を信じて札に覇気を込める。

 すると、札に宿った法術が発動された場合の効果、範囲、威力が頭になだれ込む。

 発動まで残り5秒。

 

「移山法・・・は!?エル!退避しますよ!」

「ちょ、え、うぇぇーー!?」

 

 慌てて空中に札を放り投げるグラス。

 超機人は主の体を引っ張り強引に包囲網を抜ける。

 即座に追いかける姿勢をとった妖機人たちだったが遅すぎた。

 

 札が効力を発現。

 空中に巨大な岩石が現れる。あまりに巨大、山と言っても過言ではない。

 現れた巨岩が重力に従い落下、数十体の妖機人が押し潰され粉砕された。

 

「危なっ!今の本当に危なかった!!何してくれてんですかグラス!!」

「リュウちゃんに言ってくださいよ。まあ、これで結果オーライですね」

「まったく、みんな急ぎますよ!ビャッコ加速してください」

「ガゥー」

「え?まだ他にもお札があるですって、それはまた今度にしましょうね」

「キュー」

 

 覇気のぶつかり合いを感じる。

 あの雑木林の奥で戦闘が行われている。

 マサキの下へ急ぐ途中、それを発見した。道標のように奥へと続いている。

 

「これが全て妖機人の死骸・・・どう見ても100体以上」

「たった一人で倒せる数じゃないです、普通なら」

 

 無数に転がる敵の骸、この数を一人でやったのか。

 やられ方も酷い、砕かれ、踏み潰され、千切られ、抉られ・・・見るも無残な光景が広がっている。

 いろいろな殺し方を試行錯誤した結果、こうなってしまったとでも。

 木々が倒壊する音が響いて来る。この先だ、いる。

 

「行きましょう。この目で見ないとハッキリしませんから」

「わかりました。マサキはきっと無事ですよね」

  

 音がする方へ近づいて行った先、人型の妖機人が視界に飛び込んで来た。

 一目で理解できてしまう、格が違いすぎると。

 勝てない、超機人を含めた全員で戦っても無理な相手だ。

 超級騎神並みの覇気を纏う存在に委縮してしまう。

 だが何故だ?

 妖機人は自分たちの存在に気づいたはずなのに襲って来ない。

 こちらを気にしている余裕がないとでも?

 よく見れば全身に殴打された跡と亀裂が入り、顔に当たる部位の半分が崩壊している。

 

 林の奥から妖機人めがけて三発の覇気弾が撃ち込まれる。

 小石程の大きさなのに一発一発が見た目以上に重い、まともに食らえばただではすまない。

 妖機人は辛くも三発の弾丸を剣で捌ききる。

 だが、殺しきれない威力と衝撃に後退を余儀なくされてしまう。

 今度は妖機人目掛けて雷が迸る。

 追尾するような軌道を描きながら進む雷、先端は四俣の爪になっている。

 標的を捉えた雷の凶爪が妖機人の肩口に深く食い込む、更にそこから放電。

 電撃を受け膝をつく妖機人。そこへ彼が現れた。

 

「追い詰めたぞ・・・逃げんなコラッ!そっちから始めた戦いだろうが!」

 

 ちょっと負傷したが全く問題なし、まだまだいける。

 逃げに入った妖機人を追いかけ回して疲れた。林や森の地形を縫って移動するのは苦手だ。

 スぺの野生的センスが羨ましい、山籠もりやってみようかな、姉さんも経験者みたいだし。

 アルダンに受け継がれた雷の残りで形成したプラズマビュート改、なかないい感じ。

 一本しか出せないが、そこは質で勝負!先端を爪にすることでガッチリ掴むことができます。

 

「マサキさん!」

「お、二人とも無事だったか。青龍と白虎が頑張ってくれたようだな」

「キューキュー」

「ガゥガゥ」

「マサキ!前!前です!気を抜いてはダメです!」

 

 よそ見をした俺に妖機人が剣を振り下ろす。雷爪を回収して回避。

 おや?少し前に顔面を陥没するほど殴ったのに、傷が回復している。

 体に入っていた亀裂も無い・・・また自己修復持ちかよ。だが、ぺルゼインよりも回復速度は遅い。

 体に攻撃をすると怯むのだが、痛がったりはしていない。こいつの核はどこだ。

 接近戦、剣撃がこちらを掠める。避けきれないものは覇気を腕に集中してガード。

 それじゃ届かねぇ・・・あ!?腕に痛みが走る。

 魚の形をしているので変わっているなーと思っていた妖機人の剣。

 ただの飾りだと思っていた魚の目がギョロっと動き口を大きく開けた後。

 ズラリと牙が並ぶその口で腕に噛みつきやがった。

 

「いだだだだ!!離せや!」

 

 痛っ!牙を突き立てただけじゃなく肉を食いちぎるために暴るとは。

 引き剥がすことに成功したが腕には結構なダメージ。

 あー痛い、傷が残るかもな。とりあえず覇気で止血とコーティング、神経は大丈夫そう。

 心配そうにこちらを見ている二人と二体に注意しておこう。

 

「大丈夫、負けたりしない。こいつは俺一人でやらせてくれ」

「聞きましたねエル、手出し無用です」

「わかってます。セイリュウとビャッコもいいですね」

「キュー」

「ガゥ」

 

 青龍からテレパシーで情報が送られてくる。敵、妖機人の名は鋳人(いじん)先に現れたキモイ集団より強いから気を付けろだとさ。

 魚がガチガチと牙をならし不快な音を立てる。

 その音に導かれるようにして、上空に新たな妖機人が出現する。

 こいつは既に何回も仲間を呼んでいる。一騎討ちする気はないのですか?

 物量で押せば勝てるとでも?舐めんな。

 

「すごい数です!流石にこれは見てられません」

「待ってエル、マサキさんが何か仕掛ける」

 

 チャージしまーす、集中集中集中、発射口よし、方位角OK、ターゲットロック。うん、いけそうだ。

 大きく息を吸い込み呼気と一緒に覇気を吐き出す!

 口から発射された極太の光線が空に撃ち上がる、しっかり踏ん張ってないと俺自身の体がもたん。

 緑色の覇気光線が空中の妖機人を消し飛ばす、念のため首を振って光線を左右に往復させておこう。

 もういいかな、ふぅ・・・スッキリしたな「グェプッ!」失礼、ゲップ出ちゃった。

 姉さん直伝のハイパーブラスター!多少、俺流にアレンジを加えたのでオメガブラスターなんてどうでしょう。

 これはストレス解消に使える、今度からたまにコレやろう。

 

「増援はもう無しか?」

 

 鋳人の焦りと動揺が伝わって来る、人語を喋らないが覇気で大体わかるんだな。 

「理解不能、理解不能、理解不能」「危険、危険、危険」

 自意識や感情表現の豊かさは超機人の勝ち。妖機人はあくまで何者かに使役される存在で個性は薄い。

 無人機と一緒か、こいつを尋問しても無駄だろうな。

 

 鋳人が覇気を練り上げる。勝負に出るか?大技の予感。

 魚型の剣を大地に突き立てる、鋳人を中心に太極図の紋様が展開された。

 

「うお!地割れが、水が出てきた!?温泉でも掘り当てたの?」

「リュウちゃん!退避です!」

「ビャッコ逃げますよ!」

 

 いきなり大量の水が地面から噴出した、明らかに量がおかしい。

 なんかこの水、俺に向かって来てね?指向性を持った水に抗う暇もなく飲み込まれた。

 いや~想定外だわ~。溺れるのは勘弁なので何とか水面に。

 

 (あだっ!こいつ)

 

 大量の水は川となって俺の動きを封じる。固有結界!?

 もたもたしていた所を鋳人が水中を自在に動き回り攻撃してくる。

 水を得た魚だ、いつの間にか下半身が人魚のように変形している。

 水中戦の方が得意だったてか、スパロボは海適応S機体を活躍させたくなる俺です。

 連続で俺を切りつけた後にイルカジャンプ、空中に飛び上がり剣をこちらに投擲する。

 剣の魚部分が大きく変形、目を血走らせ、牙を剥き出しながら俺に襲い掛かる。

 

 (ジョーズかよ!嫌ー!こっち来ないで!)

 

 サメ映画はディープブルーがおすすめ、2と3?知らんな。

 腕を噛まれたときを思い出し怖気づいてしまう。覇気で防御力を高めたから簡単にはいかんぞ。

 こちらの胴体を噛み千切れるほど大きくなった魚の顎が防御の上から食らいつく。

 覇気の防御層は破られてはいない、それに業を煮やしたサメ野郎が牙で俺を挟んだまま回転。

 

 (デスロール!?)

 

 得物に噛みついたワニが見せる必殺の動き。

 自身の体ごと得物を回転させ肉を引き千切り骨を砕く、エグい技です。

 目が回る~、それに息がヤバい・・・。こんなところで負ける訳にはいかないんだよ!

 

 形勢逆転したことで調子に乗ったのか鋳人が俺を嘲笑する。

「勝利、勝利、勝利」「死ネ、死ネ、死ネ」「次モ、次モ、次もコロス」

 

 感情希薄なんじゃなかったのか?

 トドメを刺す前に舌なめずりするようなバカは三流以下だって知らないのか。

 そんなんだから・・・。

 

「オマエの次は、オマエの大事な愛バをコロシテヤル」

 

 最低最悪の失言をほざいてしまう。

 

「なんだとごらぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 キレた。

 母さんの風、シルフィードアクセル乗せたままでバーストモード発動。

 暴風と覇気の爆発が鋳人の創り出した川の全てを一瞬で吹き飛ばす。

 

「なんてこと・・・」

「ありえない、こんなのおかしい」

「「!?!?」」

 

 川に沈んだマサキを心配していた者たちは驚愕する。

 疑似的な川をつくるほどの水量を気迫だけで消滅させただと。

 あれはダメだろ、今のマサキは超級騎神ですら霞む程の覇気を放出している。

 しかも、それが全く衰えないどころか刻一刻と強くなっていく。

 人型の妖機人は動かない、いや、動けないのだ。

 普段の優しい覇気から一変して、禍々しい殺気の籠った死の輝きが周辺を埋め尽くす。

 もはや、マサキを人間にカテゴライズする自信は無い。

 

「誰が、誰を殺すって?」

 

 俺がどれだけあいつらを思っているか、会いたいか、寂しいか。

 それを、わかった上での発言か?

 お前、生きてここから帰れると思うなよ。

 

 人型の方は動かない、代わりに魚の方が突っ込んで来る。

 水中ではないので動きは大したことない、やぶれかぶれの突撃を止める。

 びっしりと牙が生えそろった魚の口を両手で広げる。

 力任せに魚の顎を開ける、限界以上に広げられた部位が嫌な音を立て始める。

 狂った様に暴れ回る魚、頭部から全身へと縦に裂けていく人型。

 

 声に出してはいないだろうが、確かに聞いた。

 こいつはあいつらを殺すと言った。許せない!許さない!殺されるのはお前だよ!

 ブチブチと筋繊維の切れる音、バキバキと機械部品の砕ける音。

 飛び出した魚の目玉が千切れて落下する。

 覇気の制御は既に不可能、体内からよくわからないものを零しながら崩れていく。

 やっぱり魚の方が本体だったか、魚にダメージが入る度、人型の体もボロボロになる。

 お前の敗因はシンプルに一つだけ。

 

「てめぇは俺を怒らせたぁぁぁーーー!!!」

 

 シルフィードアクセル全開!暴風の意味は特にない!この方が単純にパワーが上がるから。

 そのまま魚を頭から尾まで引き裂いてやった。

 体液?がちょっと散った、汚ねぇ。キモイ魚だったものを無造作に捨てる。

 人型も連動して裂けている。アインストみたいに土に還るのかこいつら?

 

「はぁ、やっちまった」

 

 クロとシロに悪意を向けられるとどうしても抑えられない。

 もし、敵が複数だったら?こいつ以上の強敵が控えていらた?

 後先考えずに力を使って、肝心な時に戦えませんじゃ話にならない。

 クールにならなければ、いつか痛い目を見そうで不安だ。

 でも、愛バを害する宣言されて黙っているようなら操者失格だとも思う。

 一人なのがいかんのよ、あいつらが隣にいればもっと上手くやれるはず。

 結論、早く会いたいよ。

 

「お疲れ様です、やりましたね」

「キューキュー」

「凄かったでーす。特にゲロビームが」

「ガゥガゥ」

「ゲロビって言うと姉さんに怒られるぞ。終わったみたいだな」

 

 戦闘終了、残存勢力なし。

 駆け寄って来た皆の状態をチェック。ケガはしてないな、ヒーリングは必要ないみたい。

 ほっと一息、ちょっと疲れた。

 

「人の心配してる場合ですか、腕を見せてください」

「え、ああ、忘れてた」

「キュ~」

 

 グラスに腕を掴まれてから思い出した。魚に腕を噛まれたんだった。

 青龍がどこからともなく取り出した御札を、グラスが俺の腕に貼り付けていく。

 包帯代わりにいいかも、この札には回復力を高める効能があるらしい。

 

「妖機人は青龍と白虎を狙っているのか?」

「これまで何度か襲われたことがあります。ですが、人型の妖機人は始めて見ましたし、今回の狙いはマサキさんだったようです」

「妖機人に目をつけられるようなことしたかな?」

「さっきまでのマサキを見たら誰だって目をつけるのでは」

「そ、そうかな。それはやめてほしい」

 

 その昔、無謀にもラ・ギアス付近に出現した妖機人がいた。

 当時の俺は妖機人については無知だったから、新種の生物を発見したかと思って不用意に近づきすぎた。

 そのせいで奴らに追いかけ回されるハメになり、激怒した母さんがチリ一つ残らず妖機人を消滅させたとさ。

 それ以来、ラ・ギアス近辺に妖機人は出ません。

 

「母さん絡みで俺を恨んでいたとか?うーん、わからん」

「とりあえず、ここを離れましょう。そろそろ警察や軍が気づいてるはず」

「マサキのゲロビと覇気はいい目印ですよ」

「すまぬぅ」

「キュー」

「ガウ」

 

 妖機人の目的はなんなのか?青龍と白虎を狙う理由は?今はわからん。

 でも、これだけはハッキリわかる、どんな奴だろうと俺の愛バを狙うなら容赦はしない。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「青龍と白虎は主人を見つけた。彼女たちごと引き入れるのが理想だったが」

 

 マサキたちの様子を離れた場所から伺う男がいる。

 長身痩躯、白いスーツに青いシャツ、黄色のネクタイを着用した飄々とした雰囲気の男。

 戦闘が終わり移動するマサキたちを見ながら、一人呟く。

 

「まあ、今はいいだろう。主人共々、バラルの脅威足りえない」

 

 最初の狙いは超機人とその主だった。

 妖機人を送り込み力量を図った結果は捨て置いて問題なし。

 それよりも、突如として現れた人間の方が気にかかる。

 だから今回は男の力量を図るつもりだった。結果、問題は大いにあり、あの男は危険だ。

 鋳人は人間が単独で勝てるような存在ではないはず、しかも、騎神の手を借りず素手で圧倒した。

 最後に見せた覇気だけでも十分に警戒すべき対象だ。

 そうか、あれが奴の言っていた代役。

 

「だとすると、これ以上は協定違反になってしまうな、この場は引くよ」

「・・・・」

「・・・・」

「心配せずとも君たちの主人はこちらで用意しよう。さあ、帰るよ、凶暴なウマが来る前にね」

 

 白スーツの男がキザな仕草で指を鳴らす。

 地面に太極図の陣が展開、二体と共にその場から姿を消す。

 謎の男と共にいたのは、火の鳥を思わせる紅い鳥と蛇の尾をもつ頑強な亀だった。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 白スーツたちが消えた場所に別の人物が現れる。

 彼女、ゴールドシップはマサキたちに妖機人をけしかけた奴を探していた。

 

「逃げたか、バラルの飼い犬が動いてるってことは。ハァ~めんどくせ」

 

 やっぱ2ndにもいるのか、役立たずの神が。

 1stでは顕現する前にベーオウルフとルシファーが潰したからな。

 お、マサキから電話だ。

 

「おう、お疲れ。ゴルシソード(ただのネギ)は無事手に入れたぜ。それより、超機人たちはテスラ研に行くんだろ、覇気もらったなら礼は言っとけよ」

「お前見ていたな、少しは手伝えよ」

「あの程度なら余裕だろ。現に楽勝だったじゃねーか」

「噛まれた、痛い」

「最初から全力でいかないお前が悪い、お遊びが過ぎたな」

「面目ない」

「家に帰ってるからな~。じゃ、また後で」

 

 1stでベーオウルフたちを生み出した存在。

 そいつが2ndでも暗躍し既にバラルに接触している可能性は高い。

 必ず何か仕掛けてくる、マサキのことはとっくに気づいてるだろうからな。

 何者か知らないが、思い通りに行くと思うなよ。

 アンドウマサキを甘く見てると後悔するぞ。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「気を付けて行くんだぞ。タキオンたちに話は通してあるからな」

「お世話になりました。マサキさんの目的が成就することを祈っています」

「キュー」

「私もっと強くなりまーす。次に会ったとき勝負してください」

「ガゥ」

 

 すり寄ってくる青龍と白虎を撫でてやる。これからも主人と仲良くな。

 グラスが青龍に、エルが白虎の背に乗って出発準備完了。

 

「また、お茶をご一緒しましょうね。約束です」

「今度は私おすすめの激辛料理店にも行きましょう」

「お茶と甘味は是非、激辛はピリ辛ぐらいで頼む」

「また会いましょう、マサキさん」

「さらばでーす」

「キューキュー」

「ガゥ―」

「またな~」

 

 超機人とウマ娘たちが遠ざかっていく。お別れの時はいつも寂しいな。

 腕の貼り付いた御札を見る。まだまだ甘い、無傷で勝利するぐらいでないといけなかったのに。

 クロとシロが頑張って成長しているなら、俺も止まる訳にはいかない。

 あいつらに相応しい操者は俺だと、自信を持って言えるように。

 

 帰宅した俺を待っていたのはゴルシと大量のうまい棒だった。

 それ今後の旅に必要か?ああうん、一本もらうね。ココア味だと!?初めて食べたがいけるな。

 

 

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