オグリの腹を満たすために奮闘した。
「これが最後だ」
オグリキャップことベルゼブブの前に最後の一皿を置く。
最終決戦に挑んだ俺たち、わかっていたけど、まあ甘くなかったわ。
「もう少し」とは何だったのか。
まさか、本当に食材全て使い切るとは思わなかった。
代用品としてタマがたこ焼きを混入させても文句言わず食ってた。
焼きそばが間に合わないので、いか焼きやリンゴ飴にたい焼き、その他。
場を繋ぐために用意した全てを食い尽くした、まさに暴食の魔王。
本当に本当の最後の一品。
ちょっと焦げた破片もかき集めて入れてたけど我慢して。
「うん。いただきます」
食に対するリスペクトはあるんだよな。
ちゃんと手を合わせるし、美味そうに食べてくれる。
作った方としては嬉しいんだよ、量が異常なだけで。
あ、もう食べ終わる。
しっかり噛んでよく味わい飲み込む。
「うん」と頷いたオグリはその箸を・・・ついに置いた。
周囲が静まり返る。誰もが期待している、あの一言を。
言え!頼む言ってくれ!マジでお願いします!ホント勘弁して下さい。
固唾を飲んで皆が見守るなか決着の時は訪れた。
「ありがとう、お腹いっぱいだ」
目を閉じ手を合わせるオグリは待ち望んだその言葉を紡いだ。
「ごちそうさまでした」
・・・聞いたか皆?
「勝った・・・」
「倒した、あのオグリを」
「聞き間違いじゃないよな!」
「確かに聞いたわ、ごちそうさまって」
「ああ・・・やったぞ」
「よっしゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「やった勝った!勝ったんだ!俺達の勝ちだーーーー!!!」
勝利の雄叫びが上がる。
感極まって泣き出す者、抱き合って喜ぶ者、放心状態でへたり込む者。
疲れた体を無視できる程の圧倒的達成感。
やった、やりきったぞ!どうだ!俺たち凄い!
歓声と拍手が聞こえる。
いつの間にか見物客も増えていたようだ。
「おめでとー」「よくやったぞー」「なんか凄かった」と称賛の声をかけられて照れる。
「いやホンマに大したもんや、素直に感心したで」
「おめでとうございます~。フフッ、みんないい子いい子してあげますね」
「誰?」
「知らんのに手伝わしたんか!」
「忙し過ぎて忘れちゃったみたいですね」
「思い出した、スーパーモクロス!」
「変なフュージョンさせんなや!」
「冗談だよポチ」
「タマや!」
「息ぴったりですね~」
「やるなタマ」
「あんたもなロリ」
「マサキですけど!」
「「・・・・」」
「「なにコレすっごい気持ちいい!!」」
ボケとツッコミの応酬がバッチリ噛み合い気分爽快だった。タマとがっちり握手。
ついでに覇気プリーズとお願いしてみる。
「ええよ。楽しませてもろうた礼や」
「私もいいですよ。甘やかさせてくれたらですけど」
「ありがとうございますー」
和気あいあいとした空気が場を包む。皆の気分は晴れやかだった。
そこへ、お腹を膨らませたオグリがやってきた。
「本当に美味しいかったぞ。こんなに満たされたのはいつ以来か、みんなありがとう」
「いいってことよ、なんだかんだで楽しかったし。皆もそう思うよな」
「まあいいんじゃない」
「終わり良ければ総て良しってことで」
「あはは、二度とやりたくないけどね」
「みんなで頑張るのってとっても楽しいぞ」
「そうですね。貴重な体験でした」
「むん!」
今の俺たちは勝利の余韻に痺れております。
「そうだ。言い忘れていたことがあるんだ」
「なんや?もう腹減ったとか言うなよ、空気読め」
「さすがにそれはいけませんよ」
「違うんだ」
「勿体ぶらずはよいえ」
「財布持って来るの忘れた。つまりお金がない」
「ちょ、おま」
「ええーオグリちゃん、それは」
「は?」
「はぁ?」
「はぁぁ?」
「ただ飯だと・・・」
「それはない」
「ケンカ売ってんのか」
「もういい吊るせ」
「むん!」
さっきまで穏やかな空気が殺気だったものに変わっていく。
観客たちからブーイングと「舐めんな!」等のどせいが聞こえてくる。
俺はそっとスマホを取り出し流れるようにダイヤルした、ここにかけるのは何回目だろうか
「もしもし警察ですか?無銭飲食の現行犯です。犯人は騎神なのでフル装備で来てください」
「オグリっ―――!!!今日という今日は許さへんで!!!」
「わぁ!タマちゃん、血管ブチギレそう」
「すまんタマ」
その後、偶然お祭りを視察しに来ていた町長がオグリの健啖家っぷりに感動して支払ってくれた。
後日、ちゃんと返済することを念書に書かされたオグリであった。
怒り心頭のタマがオグリの頭を地面に擦り付けてた。反省してるから許してあげて。
暴食の魔王が降臨し、それを撃退した武勇伝は長く語り継がれることになる。
次回以降の祭りでは焼きそばが名物となり、商店街の飲食店はデカ盛りメニューで商売繫盛したのは別の話。
ドレインタイム。
「オグリの覇気ゲットだぜ!」
「ん?もういいのか」
「おう、ありがとな」よしよしヾ(・ω・`)
「くすぐったいぞ、もっと撫でてくれ」
「あら、意外と甘えん坊さん」
約束通り覇気をもらった。うん、いい感じだ。
もうお腹がへっこんどる!消化効率良すぎじゃね?
「お次はタマちゃんです」
「はいな、ちゃっちゃとすましてや」
「さあ゛!!うちとやろうや゛ぁ!!」
「このボケしばくぞ」
良かれと思って下手な関西弁を言ったら怒られた、何か気に障ったのだろうか?
うんうん。タマの覇気もいい感じだ。
関西弁キャラが一人いると賑やかでいいよね。
「マサキの覇気が少しこっち来るんは仕様なんか」
「そうなのよ。我慢してくれ」
「まあええか、今の所は問題なさそうやし」
えーと次は。
「先にこちらがいただいてもいいですか?」
「ほう。何を俺に要求するつもりかね」
「フフッ、一緒に遊んでほしいだけですよ」
「尻尾鬼か?それなら皆でやった方が」
「違います。一緒に"でちゅね遊び"しましょうね~」
「何それ凄い気になる」
でちゅね遊びだと・・・望むところだ!
「アカン、マサキが赤ちゃんにされる」
「別にいいんじゃね」
「たまには童心に帰るのもいいよね」
「放っておきましょう」
「ターボも気になるぞ」
「いけません!アレは道を踏み外した者がする禁断の遊びです」
「イクノはなんで内容しってんのかな?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅー・・・はっ!!!」
呼吸を整え覇気を全身に回す。
対人戦の型を一通り行って、エア戦闘もやってみる、想定している相手はもちろんあの人だ。
毎日欠かさずやった成果は確実に出ていると思う。
研ぎ澄まされた感覚、鍛え上げられた肉体、一歩づつ着実に前へ進んでいる感覚が嬉しい。
私、強くなってるよね。
ご近所に比較対象がいないから、月に一度は腕試しのため町に繰り出すようになりました。
野良試合では今の所無敗の戦績です。
「ここまでにしましょうか」
午前の修練を切り上げる。ちょっと遅いお昼を食べに家へ帰る。
空から落ちて来た男に出会ってから、およそ一年と半月経過。
修練は継続中、トレセン学園目指して頑張るぞー。
体もだいぶ大きくなりました、今度会ったらビックリさせてしまうかも。
ウマ娘の急成長は本人すらも驚愕するのが一般的。
ある日、鏡を見て「私こんなんだったかな?」と疑問に思った。
よく食べてよく寝る子は育つのです。
家に到着、最近熊に遭遇しません、そろそろお肉が恋しいです。
「お帰りスぺ、見てみな面白いことやってるぞ」
「ただいまお母ちゃん、何?テレビなんか見て」
リモコンを持って音量を上げてみる。
お昼過ぎのニュースでは、とある商店街主催のお祭りを中継している。
賑やかな出店の数々、大勢の人、山奥に住む私には非日常の世界。
「本日は祭りの最終日ということで、先程まで変わったイベントがあったそうです」
「何でも一人のフードファイターが屋台の食材を食い尽くしたとか」
フードファイター?そんな魅惑の職業があるのか!
「なんかアンタみたいな奴がいたってよwww」
「私はもっと自重できるよ、たぶん」
リーポーターが商店街の奥へ進んで行き、例のイベントがあった場所に到着したようだ。
既に終わった後らしく、大量の皿や容器類を多くの人が片付け清掃している。
疲れた顔をしているが、どこか満足気な様子な人々がチラホラ見える。
「では商店街の代表者にインタビューしてみましょう」
「ええー、アタシでいいのかな」
庶民っぽい家庭的なウマ娘が照れながらもインタビューに答える。
ああいうのが好きな男の子っているだろうなー。
「イベントは大盛況だったそうですが、企画をしたのはあなたですかネイチャさん」
「違いますよ~。私は手伝っただけで、考えたのは別の人です」
「絶望的な状況だったと聞きましたが、それを乗り越えた秘訣は?」
「みんなが頑張った結果としか言えないです。あの空気はホント凄かったですから」
「はい、ありがとうございました。それでは他の方にもインタビューを」
「ああ!待ってくださいそっちはやめ」
リポーターが背後にある仮設テントの中へ突撃しようとする。
イベントスタッフの休憩所らしきその場所でカメラが映したものは。
「はーい、いい子いい子」
「ばぶぅー」
母性溢れるウマ娘の膝枕で幼児退行したバカの姿だった。
おい、モザイク今すぐかけろ!映しちゃダメなヤツがいるぞ。
「あん?なんやおたくら、今あいつは真剣なんや邪魔せんといてや」
「スーパークリーク、鬼子母神と呼ばれしウマ娘は伊達じゃない」
「秒殺だったね。膝枕された瞬間にバブリだしてドン引きだよ」
「アレ止めなくていいのか?マサキ戻ってこれなくなるぞ」
「見ちゃダメよターボちゃん。頭が悪くなるわ」
「ばぶばぶぅーー!!」
「みんな~赤ちゃん(マサキ)が「外野うるせぇ!」って言ってるわ」
「あの~これは一体何をしているのでしょうか?」
リポーターが至極まともな質問をした。
「見てわからんか?あいつは今、戦っとるんや。母性という名の暴力とな」
「ばぶー」
「えー(ドン引き)ただの変態プレイ中にしか見えませんけど」
「けっ!これやから素人は困る」
「(´∀`*)ウフフ いい子、いい子~」
「えーと、そこの方にインタビューしても?」
リポーターも結構攻める奴だな、そもそもあのバカまともに喋れんのか?
「すみません。少しいいですか?」
「いい子いい子~、マサキさんインタビューしたいって言ってますよ~」
「急に押しかけて何ですか?俺は甘えるのに忙しいんです!邪魔するんなら帰って!」
普通に喋りやがったぞ、名前バッチリ言ってるが大丈夫か。
「ばぶーばぶーばぶー!(帰れ!帰れ!帰れ!)」
「まあまあ、せっかくですからお話聞いてあげましょう」
「クリークママに感謝しろよ。早くしろ、幼児退行するまで時間がないぞ」
「では、今日の大食いイベントはあなたが企画したのでしょうか」
「は?ああ、オグリの件ですか。企画というよりその場の勢いですかね、あの時はただ必死で・・・」
メッチャまともに答えるのがなんか腹立つ。
膝枕されたまま( ー`дー´)キリッ!とキメ顔するバカ・・・ぶん殴りてぇ。
「以上です。ありがとうございました」
「かまへんよ」
「それと個人的な質問なんですが、よろしいのですか?テレビにあなたの醜態が映ってますよ」
「はっ!どうせ弱小ローカルテレビ局でしょ、この時間帯のニュース見てる暇人なんていませんよ」
「失礼ですね!うちは大手の全国メディアですよ、視聴率だっていいんですから!」
「マジでか!それはちょっと困る、編集で何とかしてくれますよね?」
「残念でした生放送ですwww」
「なんだとぉ!おい!今すぐカメラ止めろ!みんな手伝ってくれこいつらを逃がすな!!」
「「「「マスゴミ死すべし!」」」」
「ちょ、よってたかって、やめてください!報道の自由がぁああああああ!!!」
しばらくお待ちください
なんなんだ今のはぁ・・・。
「放送事故だろうがぁ!!!」
「落ち着きなスぺ、相変わらずの変人っぷりだねあの男はwww」
「笑い事じゃないよ・・・こっちが恥ずかしい」
興奮しすぎてリモコンを床に叩きつけてしまった。
もう!何やってるんですか!あんな人に一時でも師事していたなんて!
映像がスタジオに切り替わった、司会者と出演者が当たり障りのないコメントで場を繋ぐ。
「えー、不適切な映像が流れましたこと誠に・・・え?」
謝罪しようとした司会者がカンペで指示されたのか一瞬固まるが、すぐに持ち直す。
「視聴者から多数「続きを見せろ」とのご意見をいただきましたので中継を再開します」
おいおいおい!見てる方もバカかよ。まあ、私も気になりますけど。
「クレームは一切受け付けません。視聴は自己責任でお願いします」
「現場のリポーターさん!そちらの状況を伝えてください」
「おぎゃー」
「ばぶぅ」
「フフフ、赤ちゃんが増えました~。いい子いい子」
アカンwwwリポーターが赤ちゃんにされたみたいだwww。
司会者が「んんん゛!?」って吹き出した音声が聞こえる。
「あ、カメラ復活した?オグリ代わってくれ」
「ああ、選手交代だ」
「は~いオグリちゃんいらっしゃ~い」
「ばぶぅー!」
バカが膝枕をオグリと呼ばれたウマ娘に譲った。
秒で赤ちゃんになるオグリ、あの膝枕に一体どんな力が?
「マサキ、こんなチャンス滅多にないよ!やっておしまい!」
「任せろ!ゴホン・・・あーあー・・ん!よし」
「カッコよく決めろよ」
「みんなー見てるー!!!俺やで!!!」|  ̄∀ ̄ |ドヤァ
「皆さん彼を中心に集まって、仲いい感じで、ああそうそういい画が撮れてます」
「カメラさんノリノリー」
ドヤ顔を決めたバカを中心にウマ娘や商店街の人たちが集まる。
バカがも揉みくちゃにされた。
みんな笑ってる・・・いいなぁ楽しそうで。
「ちょ、どさくさに紛れて尻を触った奴がいるー!嫌っー感触がゴリマッチョ男性の手だったぁ!」
「おい、誰かマサキの尻を守れ」
「その役目は任せてもらおう」
「あなたは!肉屋のせがれタカシさん!(27歳、趣味ボディビル)」
「これで一安心だ」
「ええんか?犯人どう見てもそいつやけど」
「マサキって変なのにモテるよね」
「変人ホイホイのマサキさん、コメントを」
「覇気をくれた皆ありがとう!ホモに襲われたりするけれど俺は元気です!」
「アピールしてアピール!」
「強い覇気を持っているウマ娘募集中!後もうちょっとな気がするからよろしく」
「もちろん、そっちから来てくれるのも大歓迎だよー」
「それから・・・一応釘も刺しとくか」
まだ旅の途中らしい。
バカの表情がちょっと変化する、真剣な顔・・・いつもそうならもっとモテるのに。
「俺にちょっかい出してる奴に警告する。身内の女性陣をぶつけられたくなかったら引っ込んでろ!」
「他力本願!マザコン!シスコン!」
「うるせー!これ以上の抑止力が他にある?ないでしょーが」
「カッコ悪いなー「まとめてかかって来い!」ぐらい言ってよ」
「まとめて来ないでー!お願いしますー!」
「こういう男ですわ」
「少なくとも母さんと姉さんは加勢してくれるもん!」
「もん!ってwww」
「ヘヘ、頼んますよ二人とも。お土産買って帰るからねー」
何か敵でもいるような発言、そして母親と姉に丸投げする小物っぷり。
バカの母親と姉か、ヤベェ奴なんだろうな・・・想像したくない!
更に続けて何か言ってる。
「水の天級騎神出て来いやぁ!後はお前だけだぞ!」
「ガッちゃん見てるー?みんな集まってるよ~乗り遅れるな!このビッグウェーブに!」
「は?今なんと仰いましたか、天級?」
「ばぶぅ?・・・はっ!私は一体何を、そうだバカどもに襲われて!あー何やってるんですか!」
「ちっ!リーポーターが正気に戻りやがった」
「カメラさん!もういいから撮影やめて!私がバブってる所はカットして!」
「生放送ですよwww」
「そうだった!くそがぁ!どうしてくれるんだ、全部アンタのせいだぞロリコン!」
「いだだだだ!やめなさい、マイクで目を突こうとするのやめなさい!」
「マサキ最後になんか言え!心のままに叫べ!」
「クローーー!シローーー!愛してるぞーーー!!!俺の愛バがズキューンバキューン!」
ロリコンの大絶叫、クロ?シロ?なんだそれは人の名前か?
それより今なんて言った、水の天級・・・後はお前だけ・・・集まってる?
バカの戯言と一蹴するのは簡単だが、嘘を言ってるように見えないのがホント怖い。
誰もが畏怖する伝説の騎神を集めてる?何が始まるんです?
「はい撤収撤収!もう帰りましょう、こんな奴に関わったら頭が悪くなる」
「待って!今から愛バたちのクソかわエピソードを・・・」
しばらくお待ちください
マサキは知らなかった。
午後のニュースにしては異例の視聴率を叩き出した今回の放送が、多くの友人知人に見られていたことに。
マサキを知ってる者たちは同じような感想を持った。
本当にあいつは何をやっているんだろう・・・でもまあ、元気そうで良かったよ。
クロとシロってのがおそらく愛バ・・・アレの愛バ・・・どんな子なんだろう。
「なんかドッと疲れた・・・でも、変わってなくて安心した」
「凄い醜態だったね、アレが一時期家に泊まっていたなんてwww」
「マサキさんはアレでいいんだよ、フフッ、私ももっと頑張らないと」
「その意気だ、バカな師匠に成長した自分を自慢してあげな」
「うん、見ててねお母ちゃん」
立派な騎神になれたら少しぐらいは感謝してあげますよ師匠。
【ラ・ギアス】
「やれやれですね、しかし、あのウマ娘にバブってしまうのも仕方ありません!超うらやま!」
「マスターはバブりたいのですか?それともボコられたいのですか?」
「お兄さま、赤ちゃんになりたいの?」
「人は誰でも幼子に戻りたい時があるのですよ」
「腕時計・・・同胞・・・気配」
「ネオ」
「何サイさん?」
「ちょっとコンビニ行ってくる」
「嘘つけ!マサ君の所に行く気ね、そうはさせないわ!」
「離せーー!行かなきゃ!私行かなきゃ!あの子が待ってるのーーー!!!」
「今すぐ来てなんて言ってないでしょ!落ち着きなさい」
「あんな小娘にバブるなんてぇー!マサキのママは私だぁあああああああ!!!」
「さすがマサキさんのお母様、面白愉快です」
「うん。ライスもサイさん好きだよ」
「二人とも感心してないで母を手伝ってください、暴走したバカ親を止めます」
「・・・ザムジード?」
【トレセン学園】
「かっかっかwww相変わらず無茶苦茶やっとる。ダーリンもそう思うじゃろ?」
「元気があって大変よろしい!」
「父上、母上もアレを褒めてはいけません」
「たづな?どうした、やけに大人しいな」
「やよい」
「ん?」
「ちょっとコンビニ行ってくる」
「虚偽っ!斬艦刀持ってどこへ?・・・マサキ君の所だな!行かせんぞ!」
「離してーー!行かなきゃ!私行かなきゃ!あの子が呼んでるのーー!!!」
「どこかで同じ反応してるヤベェ奴がいる気配がする!」
「膝枕は私のが!お姉ちゃんの方が絶対いいに決まってるんだからぁああああああ!!!」
「美しい姉弟愛だな」
「聞けば感動の再会だったみたいじゃのう」
「二人とも感心してないで止めましょう、ああなった駿川女史は学園を破壊しかねない」
「マサキ君、この姉なるものなんとかして」
【ファイン家秘密基地】
「あらら、全国放送ってわかってるのかな、わかってないんだろうなー」
「おい、本当にあんな奴が切り札になるのか?ロジカルの欠片もねぇぞ」
「シャカは頭固いんだから、理不尽に勝つためには更なる理不尽をぶつける必要があるのだぞ」
「ハァ~、いいさ、お前が決めたんなら俺たちは着いていくだけだ」
「ご苦労おかけします。うーん、やっぱり保険をかけておくべきかな」
「お前また何か企んでるな。それも結構面倒なヤツを」
「ええ~そんなことないよ~。私が殺されるかもってだけだからさ」
「自分の命を簡単に賭けるな」
「命を賭けるぐらいしないと女神は微笑んでくれないよ」
黒革張りのソファーにドカッと腰を下ろし、行儀悪く足をテーブルに投げ出したシャカと呼ばれたウマ娘。
ファイン家頭首はそれを咎めるでもなく、先程までマサキが映っていたテレビのチャンネルを変える。
あ、新発売のカップ麺だ。激臭!納豆くさや風味?また冒険したなぁ・・・今度チャレンジしよう。
「頭首様、お客人が来ております」
「だれー?」
部屋の出入り口付近のインターホンから通信。誰だろう?何か約束してたっけか。
「テュッティ・ノールバックと言う名の女性です」
「そんな奴知らん!」
「俺も知らね」
「水の天級騎神ガッデス様の弟子だと自称していますが」
「証拠は?」
「神格武装グングニールを所持しています。偽物だとは思えません、凄まじい覇気です」
「おっけー。通してあげて」
「じゃあ俺はゴルシとロリコンに会って来るわ」
「はーい気を付けてね。マサキと仲良くすること!これは頭首命令だからね」
「へいへい・・・さて、俺の予測を裏切ってくれる奴だといいんだが」
重要人物来たね。
だぁーーーめんどくさくなってきたーーー!ラーメン食いてぇ!
いつになったら頭首辞めれるんだろ?私に期待なんかするなっつーの!まったくもう!
「キタちゃん、ダイヤちゃん、早く起きなよ。お仕事手伝って!」
ファイン家は弱小勢力なのです。ファインモーションは働き過ぎだと思うのです。
メジロ家でもサトノ家でもいい、私を週休6日にしてくれ。
【???】
「・・・・」「おーい」
「・・・なに」「どうしました?」
「そろそろいこっかなと」「またさきにいくんですね」
「ついてこないとおいてく」「それはこまりますね」
「じゃあ・・・はやくこいよ」「かんたんにいいますね」
「かんたんじゃない」「わたしはいつもひっしですよ」
「それはこちらもおなじ」「どうだか」
「いいの?かっちゃうよ」「よくないです、まけません」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
日の光が射さない部屋。
沢山のお菓子、積み上げられたマンガ、可愛げの欠片も無い謎の置物が所狭しと鎮座する。
暗い部屋の隅には簡易モニターが設置され、昼過ぎのニュースを映していた。
生放送、普段なら全く興味ないが今日はなぜか気にかかった。
「水の天級騎神出て来いやぁ!後はお前だけだぞ!」
「ガッちゃん見てるー?みんな集まってるよ~乗り遅れるな!このビッグウェーブに!」
頭から毛布を被った小柄な体がぴくっと反応する。
画面に映る男と、男が着けたスマートウォッチを凝視・・・零れるようにクスクスと笑った。
「そうだね。私も早く会いたいよ」
毛布を被った人物は己の手を握ったり開いたりして確認する。
自分の体に違和感がある、それを確かめるように動作を繰り返してみた。
「だいぶ縮んだね、今何歳ぐらいに見えてるのかな」
これ以上縮むのはさすがにアウトだ。
唯一の救いは弟子に力を託せたことだけ、あれは本当に良いタイミングだった。
残りはあの子たちのためにキープしておかなきゃ。
「まあそれが役に立つかは、ここから出れたらの話」
その部屋はリング状にみえる構造物の中心に位置していた。
彼女を閉じ込め力を奪うための部屋・・・牢獄だった。
欲しいものは用意してくれるので今の所快適だ。死の危険が無ければずっとここでも良いんだが。
「早くおいでマサキ、無事に連れ出してくれたら・・・私を養う権利をあげちゃう」
ニート生活がすっかり板についてしまった彼女はあくびをして横になるのだった。