俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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るる

 マルさんとフジと知り合った、後バクシンも。

 バイクが戻って来たので修理中。

 

 

 力が欲しいですか

 

 (何だ・・・誰だ・・・)

 

 力が欲しいですか

 

 (よくわからんが、もらえるものはもらっておこうかな)

 

 力が欲しいなら

 

 (ねぇ聞いてる?)

 

 あげます・・よ・・え!嘘?男の人・・・なんで!!!

 

 (知らんがな)

 

 ど、どうしようこんなことって・・・あわわ。

 

 (トラブルが発生した時こそ冷静に、今日の所は一旦帰ったらどう)

 

 そうですね、しっかりしないと・・・すみません、お言葉に甘えて一旦戻ります。

 

 (どこのどなたか存じませんが気を付けてお帰り下さい)

 

 はい、日を改めてまたお会いしましょうね。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 夢の中で誰かに声をかけられた。不思議とハッキリ覚えている、あれは何だったのだろう。

 「力が欲しいか」ってARMS思い出したぞ、もしかしてジャバウォックさんですか?

 大好きな漫画です。主人公の両親がガチで強くてカッケーのよ。

 

 変な夢を見ても朝はやって来る。

 早朝バクシンを終えた俺は委員長に覇気提供をお願する。

 快くOKしてくれました。

 

「どうですか!来てますか!」

「めっちゃ来てるぞ・・・よっし完了。ありがとう委員長」

「どういたしまして!いつの日かマサキさんの愛バもご一緒にバクシン出来たらいいですね」

「そいつは楽しそうだ」

 

 UC基地滞在三日目。

 サクラバクシンオーの覇気を手に入れた。

 ドレインは順調そのものなんだけど。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あ、ありがとうござい・・・ました・・・」満身創痍

「ふん」 

 

 リブとの手合わせ三戦目。今日もノックアウトされました。

 機嫌が悪いのか鼻を鳴らして立ち去るリブ、怖ぇーよ。

 

「めっちゃ怒ってたね、怒りのパワーでボコボコだ」

「せっかくのピーマンが・・・食べ物を粗末にしちゃダメなのに」

「そこは安心して、チケ蔵が回収して食べてたから」

「あいつ何でも食うよな。拾い食いは褒められたことではないが今回はGJだ」

 

 体が痛いので仰向けのままボーっとする。そろそろチケ蔵たちが来そうな予感。

 

「あ、あの」

 

 なんと、知らないウマ娘たちが近づいて来てた。覇気は微弱なので騎神ではない。

 どなた様?もしかしてモブっ子ですか。

 

「お、応援してます」

「全然カッコ良くはないけど、見てます」

「がんばって」

「はぁはぁ、苦痛に歪んでる顔、素敵」

「別にアンタのことなんか好きじゃないんだからね」

「え・・・ど、どうもありがとう?」

 

 もしかして応援してくれてるのだろうか。

 俺のやられっぷりが憐れで同情してしまったとか。

 

「きゃー話しちゃった」とか言いながら走り去って行くモブっ子たち。

「どうだった?」「男だった」「そうじゃなくてさぁ」「覇気ヤベェ」「なんかいい匂いした」

 

「今の何だったんだ」

「ちょっとは人気出てきたんじゃないの、この調子でいいね!とフォロワーを増やしていこう」

「冷やかされただけだと思うぞ。痛たた、リブの奴思いっきり殴りやがってこんちくしょーめ」

「何よあいつら、最初はマサキのこと毛嫌いしていた癖に」

「ピーマンさん苦くて美味かったよぉぉぉ!!!」

 

 モブにガンを飛ばすタっちゃんと拾い食いのチケ蔵がやって来た。

 

「秘密道具のピーマンはダメだった、しかし、俺はしつこいので諦めません」

「粘着マサキだ、トリモチぐらいねちゃねちゃしてそう」

「ルドルフに会いに行くぞ、ふん!・・・ダメだ、まだ立てない」

「まだ動かない方がいいわ、昨日より酷くやられてるから」

「心配ありがとう、タッちゃん。あれ?ヒデさんは」

「さあ、妹に用でもあるんじゃないの」

「マサキさん次は何を食べたらいい?」

「草でも食ってろ」

「この辺の雑草は美味しくないんだよ」

「既に試食済みだと・・・まあいい、それより膝貸して」

 

 チケ蔵の膝を無理やり枕にして休憩、なんだよこいつ結構胸あるな。

 アホだけどしっかり女の子だった。

 

「タイシン〜「なんで私に頼まないのよ、バカ」って顔してるよ」

「は?そんな顔してないし」

「コラコラ、ケンカしちゃだーめ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「今日はいつも以上に荒っぽかったな」

「姉貴か、あいつがふざけたマネをするからだ」

「フフッ、まさかあんな行動をするとは。さすがの私も見抜けなかったよ」

「笑い事か、どうせ姉貴が余計なことを言ったんだろ」

「お前の弱点を聞かれたのでな「妹は野菜嫌いだ」と答えたまでだ」

「クソっ!あのバカ」

 

 三日目も律儀に現れたマサキ。

 あれだけボコってやったのに諦めて無い様子。

 

 本日の手合わせ開始直後、こともあろうに奴は右手に隠し持っていたピーマンを私の口にねじ込もうとして来た。

 

「好き嫌いすんな!食えやオラッ!」

「な!?」

「動揺した?マサキ効いてるよ!」

「何を考えている、気でも狂ったか」

「平常運転ですけど何か?豆苗咥えてる暇あったらピーマン食えぇぇぇっ!」

「こいつ・・・」

 

 ピーマン片手に本気で襲い掛かって来るバカに思わず力が入ってしまった。

 何とかピーマンは弾き飛ばしたが、その後もしぶとかった。

 本当になんだコイツ、昨日よりも動きが良くなっているのも意味不明だ。

 まさか成長したのか?こんなに早く。

 

 大の字に倒れたバカを放置して立ち去る、不覚にも今日は少し息が上がった。

 

「少しは彼のことを認めたか」

「どうしてそう思う」

「やれやれ気付いていないのか、顔がニヤケているぞ妹よ」

「・・・は?そんな訳ないだろう」

 

 理論派の癖におかしなことを言う姉貴。

 私ただ鬱陶しい人間を排除しただけだ、他意はない。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 執務室に突撃―――!!!

 

「うわ~ん!ルドえもん~!」

「やかましいぞたわけが、ノックぐらいせんか!」

「やあ、マサキ君。どうしたんだい、またブライアンにいじめられたのかな」裏声

「そうだよ!あいつ無茶苦茶するのよ!なんとかしてよ~ルドえもん~」

「仕方ないな~マサキ君は、渡したピーマンは使ってみたかい」裏声

「なんの成果も得られませんでした!」

「当たり前だバカタレ」

「ふむ、では次の策を考えなくてはね」

 

 リブとの手合わせ前にバッタリ出くわした俺とルドルフ。

 ブライアン攻略法を相談してみた所ピーマンを渡された。

 ヒデさんから「野菜嫌い」を聞いていた俺は「これならいける!」と思ったが甘かった。

 なんでルドルフがピーマンを持っていたのかは本当に謎。

 

「とても嫌そうな顔は見れたけど、余計に怒らせちゃった。お蔭で昨日よりボコボコですわ」

「それはすまなかったね。もし彼女の口に入れることが出来れば、決定的な隙を作れると思ったが」

「こいつら正気か・・・ああ、頭痛い」

 

 こめかみを押さえて唸るアグルをよそに、ソファーに座ってぐてーとする。

 向かいにはルドルフが足を組んで座っている。おや、チラチラ見えそうですぞ。

 見えそうで見えないのがポイント高い。

 

「くつろぎ過ぎだ、たわけ」

「たわけです。アグルも何か考えてよ」

「そもそもブライアンの攻略法をなぜ私たちに聞く?」

「強い奴にアドバイスを求めて何が悪い!か弱い人間を救うのも強者である騎神の役目でしょ!」

「まったくもってその通りだね」

「皇帝はこの男に甘すぎます」

「それはお互い様だろうエアグルーヴ、君はもう覇気をあげたそうじゃないか」

「う、それは、このたわけがあまりにも・・・みっともなかったもので」

「・・・ぽっ////]

「頬を染めるな!気色悪い」

 

 そうなのです。アグルの覇気は既にドレイン済みだったりします。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 昨夜、なんだか寝付けなかった俺はコッソリ部屋を抜け出して修練しておりました。

 それをエアグルーヴことアグルに見つかった。

 

「こんな時間に何をしている」

「ふっ、見て、ふっ、わからないか、ふっ、そこっ!」

「不審者が一人でクネクネしているようにしか見えん、正直キモイぞ」

「ほっとけ!今はエア戦闘中なの!イメージが崩れるから邪魔しないで!シッシッ」

 

 仮想敵はもちろんリブ、俺が創造したイメージなのに勝てる気がしない。

 落ち着こう、冷静になれ、こんな所で終われないだろうが!

 勝つ、勝って覇気を手に入れる。大好きなあいつらが待っているんだぞ、やってみせろよ!

 

「おい」

「え、は、何」

 

 不意にタオルを頭にかけられた。

 

「アグル?まだ居たのか」

「集中しすぎだ、あれからもう2時間以上経過している。まずはその凶悪な覇気を収めろ」

 

 気付かなかった、そんなに経っていたのか。

 アグルは一旦自室に帰ったが、俺の覇気を感じてわざわざ戻って来てくれたらしい。

 

 エアグルーヴ

 キッチリ整えられた黒い毛並みに鋭い眼光のウマ娘で女帝と呼ばれる。

 皇帝ルドルフの右腕であり、強く気高いウマ娘の理想を体現する存在たらんとする。

 そのストイックさに痺れる憧れるぅ!

 自他共に厳しいが、本当は優しいの知ってるよ。高い実力を誇る本物の出来る女。

 趣味、園芸と家庭菜園。

 

「心配してくれてありがとう。でもまだ足りないんだ」

「だから貴様はたわけなのだ。これ以上は明らかなオーバーワークだ、今すぐ部屋に戻って寝ろ」

「ええー」

「ええーじゃない。これは命令だ、素直に従え。貴様が覇気をまき散らすせいでこっちが眠れないんだ」

「う、迷惑だったか・・・ごめん」

「捨てられた子犬のような目をするな。ええい、妙な罪悪感が」

「・・・俺ってダメダメだな、リブには勝てないし、こんなんじゃお前たちの覇気をもらうなんて夢のまた夢」

「根性無しが、お前がそのザマで愛バたちを救えるのか」

「クロ、シロ・・・うう」(´;ω;`)ウゥゥ

「泣くな!みっともない!ああもう、私の覇気をくれてやるから泣き止め」

「俺まだリブに勝ってない」

「特別に許可してやると言っているんだ。その代わり情けない姿を見せるんじゃない」

「ありがとうございます!その優しさに最大級の感謝を」

「勘違いするな。貴様のためではない、たわけを操者に選び茨の道を歩む同胞のためだ」

「正しいツンデレありがとうございます!では遠慮なく~」

「終わったら早く寝ろ、夜更かしは万病の元だ」

「これが出来る女・・・マジ尊敬します」

「いらん世辞はいい、さっさと済ませろ」

「うわ~、髪の毛サラッサラやんけ!いい匂いするし」(はい、すぐに終わらせます)

「たわけ!本音と建て前が逆だ!////」

「大変失礼しました!照れたあなたも素敵です」

 

 と言うことがあったわけよ。

 

「真夜中の逢瀬とはロマンティックだね」

「そういうのではないです。勘違いはやめて頂きたい」

「アグル、ここにあるお菓子食べていい?」

「それは皇帝の」

「かまわないよ、せっかくだから一緒に食べようか。エアグルーヴも付き合ってくれ」

「ハァ~・・・お茶の準備をして来ます」

 

 執務室からアグルが出ていった。残った俺とルドルフはリラックスして会話する。

 敬語はいらない、自然に仲良く話してくれと言われているのでため口だ。

 お、どら焼きがあるじゃん。

 

「皆とは仲良くやっているようで安心したよ」

「いい奴らばっかだから助かってる」

「僅かな時間で君は多くの騎神から信頼と覇気を勝ち取ったようだね」

「後はオペとリブ、そしてルドルフお前だけかな」

「まさか、あのエアグルーヴが覇気を提供するとは思わなかったよ」

「アグルの優しさに救われた、本当にありがてぇ」

「みんな君には何故か手助けをしてあげたくなる。一種の才能だね、それこそが君の真の力なのかもしれない」

「つい世話を焼いてしてしまうぐらいダメダメ人間なのか俺は、凹む」

「卑屈になることはないよ、人望があるのは素晴らしいことさ」

「そういうもんか、はい」

「いいのかい、では遠慮なく」

 

 一個しかないどら焼きを半分こして二人で食す。美味しいものは共有したいのです。

 

「「うまーい」」(゚д゚)ウマー

 

 つぶあんがメッチャ美味い、和菓子好きと言えば、グラスたちは元気にしてるだろうか。

 

「そうだ、私にはあだ名を付けてくれないのかい」

「ん?つけた方がいいのか、キングがカイザーって呼んでるからエンペラーとかにする?騎神皇帝とか超カッコ良くない」

「もっとこう親しみやすいのがいいな」

「じゃあ、ルドルフの"ル"を二つとって"ルル"」

「風邪薬みたいだね」

「俺はギアスを思い出したけど、どうかな?」

「うん、それでいいよ。フフッ、皇帝には少々可愛いが過ぎるかな」

「お前の顔は元々カワイイ系だから似合ってるぞ。威厳は行動と気合で保つようにしてね」

「本心から言っているのがわかるから質が悪い」

「ルル」

「なんだい」

「呼んでみただけ」

「そうか////」

 

 シンボリルドルフ

 全体的に茶色の毛並みに前髪はこげ茶、その一房が三日月のような曲線を描く白メッシュのウマ娘。

 皇帝の異名をもち、実力、人格、政治手腕は飛び抜けている。

 トレセン学園生徒会長にしてUCの代表も兼任するとか、どんだけ優秀なんだよ。

 全てのウマ娘たちが幸福になれる時代を目指す理想主義者。

 人間のことも軽視していない人格者。名前負けしていない圧倒的な覇気は姉さんクラスだ。

 こいつマジで超クソ強い、リブに勝てない俺では太刀打ちできないぞ。

 お笑い好きでダジャレを考えるのが趣味、話してみると気さくで凄くいい奴。

 

 あだ名はルルに決定してやったぜ。

 

「あの、お茶が入りました」

「居たのかエアグルーヴ」

「皇帝の照れ顔はしっかり激写しました。テイオーが見たら卒倒しますよ」

「それはやめて」

「テイオー?トウカイテイオーのことか。あいつからも覇気もらったんだよ」

「そうだったのか。あの子はどうだった、ワンパクだっただろう」

「危ない所を助けてもらったぜ。マヤと一緒に三人でヤンロンをボコった仲だ」

「ヤンロン教官をボコっただと!何をやらかしているんだ貴様は!」

「そっか、あの時ルルたちはここにいて不在だったんだな。えーと実は」

 

 トレセン学園に寄った時の話をする。

 姉さんとの関係は一応伏せておくか、テイオーとマヤとチームを組んだヤンロン戦。

 あのチビっ子たちは、うん、きっと今も元気に走り回ってるさ。

 

「教官を倒して、たづなさんから覇気を入手したのか。是非とも見学したかったな」

「我々の不在時に学園が無法地帯に・・・」

 

 テイオーが憧れている存在がルルだと判明。そりゃこれだけの逸材に惚れ込むのも無理はない。

 あの時、トレセン学園から留学していたと言うのは嘘。

 学園を度々抜け出すブライアンを連れ戻すためと、UC基地の構造改革をしていたらしい。

 

「学園で会えなかったときガッカリしたけど、ちゃんと会えて良かった」

「我々には縁があったというこだね」

「貴様、日本各地で散々やらかしているようだな」

「人聞き悪い~。そうだ、出会った殆どの奴がトレセン学園志望だって言ってたぞ」

「ほう。君と縁を紡いだ騎神が学園に・・・楽しくなりそうだ」

「やる気が下がった」

「「なんでさ!!」」

「たわけが選んだ騎神など問題児だらけに決まってます。今から頭痛が・・・」

「自分もその枠に入ってるの気づいてる?」

「炭酸水を飲んだソーダ」

「ルルどうした急に?」

「更にやる気が下がった、もう絶不調です」

「場を和ませようと思って」

「ギャグとはそれを発言すべき空気とタイミング、会話の流れ、相方との呼吸、聴衆の反応や好み、様々な要素を加味した上で行うべきものです。皇帝には何よりセンスが足りない」

「すっげー的確な指摘、アグルは笑いにも厳しかった」

「えっと、あの、本当に申し訳ないです」ションボリ

 

 あーあ、落ち込んじゃったよ。落ち込んだシンボリルドルフか・・・ふむ。

 

「ションボリルドルフ」

「プッッッ!アハハ何を言ってるんだ貴様はwww」

「ちょっと待ってーーー!!!」

「「何?」」

「私の時と随分対応が違うじゃないか!吹き出すエアグルーヴなんて久々に見た!」

「それはその、なあ」

「ああ、そういうこともあるよ」

「ズルいぞちくしょう!どうしてだ、なぜ、私のダジャレで笑ってくれないんだエアグルーヴ」

「すみません皇帝、私は自分の表情筋に嘘をつきたくないのです」

「そんなに嫌か!!!」

「ああもう、よしよし」

「うわーんマサキ君、エアグルーヴがいじめる~」

「うは!幼児退行ルルちゃんかわええ」

「最初と立場が逆になってますよ」

「覚えていろ、いつか私のダジャレで爆笑させてみせる」

「それはない」キッパリ

「ヒデェwww」

 

 駄々っ子のように悔しがるルルに威厳もくそもなかったが微笑ましいので良しとする。

 結局、お菓子食って駄弁っただけだった。でもちょっと元気出たぞ。

 リブ対策はまた今度相談しよう。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「どういうことなの」

「これも僕の人徳故と言いたいが、どうやらお目当てはマサキ君のようだ」

「ごめん、観客なんていても数人だと思って舐めてた」

「あわわ、私だったら緊張で気絶しちゃいます~」

「エンターテイナーの私としては羨ましい限りだね」

 

 オペと俺の演劇、ガラガラの舞台、5分ぐらいの寸劇でさっさと終わるつもりだったのに。

 なんと観客がいるんですよ・・・仕事しろ。

 

 主演、オペラオー おまけ、俺 エキストラ、そこら辺の暇人

 裏方、ドトウとフジ 

 

「なんでだよ、ボノやキングたちはまあわかるが、モブがメッチャ見に来てる」

「30人はいますね~」

「観客を待たせるのは僕のポリシーに反する。開演時間を前倒しして始めようじゃないか!」

「え、ホントにやんの?アドリブだろ、上手くいくのかこんなの」

「大丈夫、君の中に眠る魂を解き放つんだ。それで全て上手くいく」

「眠る魂・・・ハッ!まさか奴のことか」

「ドトウ、フジ先輩、裏方をよろしく頼むよ」

「お任せください~がんばりますから~」

「ドトウ君のフォローは任せてくれ」

「さあ舞台の幕開けだ!共に輝こうじゃないかマサキ君」

「ええい、こうなったらやけくそだ」

 

 場所はリブと手合わせしている広場の中央、他と違いここだけ一段高くなっている。

 舗装された石造りの地面が俺たちの舞台だ。

 

 ざわ・・・ざわ・・・。

 

「あ、出てきた」

「始まるよ~みんな静かに~」

「なんか二人とも役に入った顔してる」

「「「きゃーーー!!!オペー様ーーー!!!素敵ーーー!!!」」」

「うるさっ!」

「オペラオーの追っかけかよウゼェ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 時は中世ヨーロッパぽい異世界のよくある話。

 魔王に脅かされた世界を救わんと単身旅立った勇者オペラオー。

 彼はある日、運命の出会いをする。

 

「今日は風が騒がしいね」

「フッ、だがこの風少し泣いている。そう思わないかオペラオー」

「どうして僕の名を、君は誰だい?」

「俺の名はアサキム、お前と同じ神に選ばれた光の勇者だ」

「な、まさか、君も特異点だったのか」

「ああ、急ぐぞオペラオー、風が止む前に」

 

 こうして運命に導かれた二人の勇者は出会ったのであった。

 

 そこから数多くの激戦を繰り広げ二人は着々と強くなっていった。

 最初は二人だったが、彼らの武勇に憧れた者、希望を見出した者、腐女子たち、多くのを仲間が集い、今や一大軍勢になっていた。

 この頃になると二人の絆はもはや一心同体レベル、ホモ疑惑が噂される程であったという。

 

「くっ!敵の幹部を倒したのはいいが、罠だったか」

「諦めるなオペラオー、俺たちならやれる。今までどんな困難も二人で乗り越えたじゃないか」

「そうだな、アサキムの言う通りだ!みんな撤退だ、ケガ人には手を貸してやれ」

「「「了解しました」」」

「はっ!?オペラオー危ないっ!」

「アサキム!」

「ぐあっ!・・・大丈夫、致命傷だ」

「そんなアサキム、僕を庇って」

「報告します!敵の増援です。このままでは退路が」

「オペラオー・・・行け」

「ば、バカなことを言うな!友を置いて行けるわけが」

「甘えるなーーー!!!」全力パンチ

「がはっ!」

「オペラオー、お前には世界の命運と仲間たちの命がかかっている。判断を誤るな!」

「しかしっ!」

「舐めるなよオペラオー、俺がこの程度でくたばると思うのか」瀕死吐血中 

「あ、ああ、僕は」

「オペラオー様!もうここはもちません!すぐに撤退を!」

「行け!オペラオー!行って魔王を倒せーーー!!!」

「すまないアサキム!死なないでくれ!全軍撤退!」

「フッ・・・最後まで甘ちゃんだったな・・・」

 

 無二の親友を失ったオペラオー、崩れおちる敵幹部の城が墓標となったアサキム。

 友との誓いを胸に打倒魔王を固く誓うオペラオーであった。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「「「アサキムーーー!!!」」」

「泣くな、彼は最期まで誇り高い勇者だったんだ」

「なんだコレ、割と面白いぞ」

「オペ様はいつも通りだけど、人間の熱演がヤバい」

「うん、なんか引き込まれちゃう」

「うあぁぁぁぁぁんんん!!!アサキム死んじゃったぁぁぁあああああ!!!」

「チケットがうるさくて集中できない」

「・・・・」

「タイシンが無言で絞め落とそうしてくるよぉぉぉぉ!!!」

「マサ公に演技の才能があったとはね」

 

 なんか観客が倍ぐらいに増えてる。アドリブ100%だったがアレで良かったのか。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ついに魔王の城へ辿り着いたオペラオー。

 多くの犠牲を払い玉座の間で待っていた魔王に「よくここまで来た褒めてやらろう」してもらった。

 そして始まる最終決戦、なんやかんやでオペラオーの聖剣が魔王の急所を貫く。

 

「ぐああああ」

「終わりだ魔王!これで世界に平和が戻るんだ」

「くっくっくっ、お前は何もわかっていない」

「何が可笑しい魔王」

「私などあのお方の前では中ボス同然よ、ここで私が倒れてもあのお方が必ずや」

「世迷言を!」

 

 トドメを刺そうとしたオペラオーの剣を突如現れた仮面の人物が弾く。

 

「何者だ!なぜ邪魔をする。そいつは魔王だぞ」

「おお、あなた様は・・・ぐぇ!」

「雑魚が・・・貴様は中ボス以下だ」

「魔王を殺した!?お前は一体」

「フッ、久しぶりだなオペラオー」

「その顔!アサキム、生きていたのか!!」

「ようやくここまで来た。構えろオペラオー!お前を倒し俺は魔王を超える覇者、世紀末覇王となる!」

「世紀末覇王!?なぜだアサキム、なぜ僕らが戦わなくてはならない」

「まだわからないのか、だから甘いんだお前は」

 

 どこからか取り出した小さな王冠を頭に装着するアサキム。

 それはオペラオーが着けているものと瓜二つであった。

 

「それは!我が家に伝わる唯一無二の王冠・・・まさか、そんな・・・君は」

「理解したか、そうだ・・・俺は未来のお前だオペラオー!」

「嘘だ、嘘だぁーーーー!!!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「「「超展開キターーー!!!」」」

「いや、顔も背丈も全然違うじゃん。無理あるだろ」

「そこは雰囲気を感じて脳内補完しとけよ」

「未来の自分が殺しに来る・・・正直好きな展開だわ」

「なんかパクってね」

「細けぇことはいいんだよ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「誰かを助けたいという願いがキレイだったから憧れた。故に、自身からこぼれ落ちた気持ちなど無い。これを偽善と言わず、何と言う!」

「違う!僕は」

「なんやかんやで、そんな夢でしか生きられないのであれば、抱いたまま溺死しろ!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 剣舞は事前にちょっとだけリハーサルしたけどいい感じ、上手くいってる。

 所々でオペがアイコンタクトで褒めてくれてる。

 名台詞を言って嬉しい、言われて嬉しい。

 小道具の模造刀を使って斬り結びながらセリフを、いや、魂のままに言葉を紡ぐ。

 覇気の粒子をちょっとだけ拡散させて盛り上げるのも忘れない。

 

「fateだコレ、エミヤもろパクリじゃねーか!」

「でも、剣劇すごっ!アニメより激しいってなんなの」

「さすがに投影魔術はなしか」

「・・・なんだか人間がカッコよく見えてきた」

「「「おい、その先は地獄だぞ」」」

 

「うわーうわー見てキングちゃん!二人とも凄いよ」

「ええ、思いのほかよくできてるわ」

「ボーノだね~」

「これにはセイちゃんも思わずニッコリです」

「おお、ちょ、にょわー!お二人とも輝いてますね」

「二人ともナウいわね~」

「ナウ?え?何それ?」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「誰かに負けるのはいい。けど、自分には負けられないーーー!!!」

 

 ここでオペラオーが覚醒、アサキムを倒し、ぽっと出の金髪成金ラスボスもアッサリ倒す。

 

「答えは得た、心配するなオペラオー俺もこれから頑張ってみるさ」

「アサキム・・・さらばだ未来の僕」

「じゃあな、過去の俺」

 

 オペラオーがこれからどんな人生を歩むのか、未来に帰ったアサキムがどうなったのかは皆様のご想像にお任せします。

 

 THE END

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「「ありがとうございましたーーー!!」」

 

 オペと2人で観客に頭を下げる。

 もう後半無茶苦茶だったがなんとか終幕、エキストラが結構いい仕事してくれたな。

 なんやかんやの部分も実際にはやってるから講演時間は割と長くハードだった。

 

 ぱちぱちぱち、パチパチパチパチーーーーー!!!

 

 おお、拍手されてるぞ!嬉しいじゃないの。

 

「ブラボー!!」

「「「オペ様ーーー!!!素敵でしたーーー!!!」」

「人間もよく頑張った」

「ヒロインが出て来ねぇwww」

「BLだったのか」

「ねぇ、最後のぽっと出のラスボス・・・皇帝に似てない?」

「バッカ!皇帝は今頃、執務室で難しい書類を華麗に処理してるよ」

「終盤ガチで斬り合ってて草」

「とにかく大迫力だったね」

「パクリだけど」

「オマージュだよ、リスペクトだよ」

「あー、fateはもう一回記憶消してプレイしたいゲームの一つだわ」

「それな」

 

 概ね好評なようで安心した。ブーイングされたら泣くところだったぞ。

 

「君をパートナーに選んで正解だったよ、今日の成功は君のおかげだ」

「こちらこそ、俺のアドリブについて来てくれてサンキュ。結構楽しかったぜ」

 

 がっちり固い握手を交わすオペと俺。

 拍手喝采は言い過ぎだけど、みんなが楽しんでくれて良かった。

 ラスボス役を買って出たルルは金髪のカツラを取ってこちらに手を振ってくれてる。

 なんて親しみやすい皇帝だ、みんなもっと彼女とフレンドリーにしてあげましょう。

 

 その後、約束通りにオペから覇気をドレイン。

 劇の感想や続編の構想を語りあったり、観客のみんなを巻き込んで打ち上げしたり。

 楽しかったです。

 

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