俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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ゆめのおつげ

 皇帝→ルル

 オペと演劇した。

 

 

 力が欲しいですか

 

 (どうも)

 

 あ、やっぱりここに来ちゃいます。住所は合ってるみたいですね。

 

 (夢に住所あるんだ)

 

 あの、いくつか質問してもいいですか?

 

 (かまわんよ)

 

 実はウマ娘だったりします?

 

 (人間のオスです。証拠は"うまだっち"する部分があることです)

 

 ウマ娘ではない・・・では修羅ですか?

 

 (うまだっちスルーされた!修羅というのは知らんが操者だぞ)

 

 操者、だとしたら愛バたちの影響がこの人に・・・それとも

 

 (考え中に悪いが俺からもいいか)

 

 はい、なんでしょう

 

 (あんた誰だ)

 

 あなたたちが言う所の女神ってヤツです

 

 (あっそ、ふーん)

 

 あー!信じてませんね、三女神の一柱なのは本当なんですよ

 

 (俺はアンドウマサキ、自称女神様のお名前は?)

 

 真名は秘密です、なのでメルアとお呼びください

 

 (おっけーメルア)

 

 本当にこの人でいいのかな、やっと出会えた後継者だけど・・・あまりにも変。

 

 (変なので悪かったな、後継者ってなによ)

 

 その話はまた今度にしましょう、時間切れです

 

 (もう夢から醒めるのか)

 

 いえ、私が面倒臭くなっただけです

 

 (おい駄女神)

 

 駄女神!?やった!一度言われてみたかったんです!

 

 (喜んじゃダメだろ。今、強敵に勝てなくて困ってる、女神様らしく何かいい助言の一つでもくれ)

 

 では少しだけヒントを『鍵の使い方間違ってますよ』ではまた~。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「違うのか」

「何?何のこと」

「夢のお告げがあってだな・・・かくかくしかじか」

「女神様?女神ってあの三女神、ちょっと失礼」

 

 腕時計から伸びだ黒い触手?がペチペチ額を叩く、頭を調べているみたいだ。

 

 今朝のバクシンは委員長の都合により中止。

 朝の時間をゆっくり過ごしながら夢の内容をミオに相談してみた。

 

「うーん、脳をハッキングされた形跡はない。女神メルア・・・本物なのかな」

「三女神の名前は、えーと確か」

「一般的にはダーレーアラビアン、バイアリーターク、ゴドルフィンアラビアンって言われてるけど」

「メルアかすってもないじゃん」

「一般説のウマ娘がいた頃よりもっとずっと昔、三人のウマ娘と操者の男がおったそうな。これが真実の三女神と最初の操者じゃないかって説を私は推すね」

「最初の操者に真・三女神か。そいつらの名前は伝わってるのか?」

「不自然なほど記録が全く残っていないんだなこれが」

「古代のロマンを感じる。考古学、遺跡、オーパーツ、トレジャーハンター、ワクワクすっぞ」

「そもそも女神が三人ってのも怪しいんだよ、四人いたって言ってる学者もいるし」

「それはハブられた一人が不憫だろ」

 

 女神の話は切り上げて今日もリブと手合わせだ。

 

「グラヴィティアクセル!」

「それはもう見た」

 

 重力球を形成してぶつけるがこいつは制御が難しい。

 ネオさんだったら、広範囲を重力崩壊させたり、他にもいろいろ攻守に使えるはずなのに。

 時間にして数秒しかもたない重力球は簡単にいなされて消滅する。

 

「サラマンダーアクセル!」

「温いぞ」

 

 高温の炎を纏った回し蹴り、これも簡単に防がれる。

 グラさんの炎に比べ火力が弱すぎる、超級騎神ともなるとこの程度の炎では怯みもしない。

 ライター代わりが関の山かよ・・・。

 

「シルフィードアクセル!」

「そよ風だな」

 

 自慢の母から譲り受けたはずの風。

 母さんなら、真空波で切り刻んだり、竜巻で吹き飛ばしたり、風の力を自在に応用していた。

 俺はただ体に風を纏っているだけにすぎない、そよ風・・・扇風機代わりにはなりますか。

 

「はあ・・・はあ・・・くそ」

「見かけ倒しだな、陳腐な手品と一緒だ。派手さに比べて威力がまるで伴っていない」

「その通り過ぎて泣ける」

「属性攻撃はお前には分不相応の代物だ。私の興味はお前にそれを譲った騎神にある」

「会いたいなら止めはしない、しかし、あの人たちに会うつもりなら俺を倒してから行け」

「マサキのバカ!何度も倒されてるじゃん」

「それは言わないで!精一杯の虚勢を張ってるんだから」

「続けるぞ、お前がこれで終わるか、それとも一皮むけるのか確かめてやる」

「ちょっとは期待してくれてるの?よーし、行くぞ!」

「ダメージが酷かったらストップかけるからね!」

 

 こうして今日もまた敗北、負けが続くとネガティブ思考になってイカン。

 「鍵の使い方間違ってますよ」メルアはそう言っていた。

 リブは属性攻撃を見掛け倒しと一蹴した。

 さて、どうするか。

 

「落ち込まないでマサキ、私はマサキがブライアンに劣ってるとは思わない」

「ありがとうミオ。ピンチはチャンス、リブが言ったように一度見直しが必要だな」

「そういう前向きなとこ好きだよ」

「そうか、美少女になったらハグしてくれよな」

「はいはい、愛バが許してくれたらね」

 

 倒れたまま笑う、一人じゃないって素晴らしいよな。

 

「なんかうつ伏せで笑ってる、怖い」

「え、泣いてるんじゃないの」

「どうする?」

「助けた方がいいのかな」

「えーと、えーと」

「今日はチケ蔵さんたちいないの?」

「あの人たちは出張中だよ、デモンの群れを発見したから討伐任務だって」

 

 モブが何やら囁いている、チケ蔵たちは任務中か・・・地面がひんやりして気持ちいい、このまま寝てしまおうかな。

 

「こんなところで寝たら風邪をひいてしまうよ」

 

「こ、皇帝」

「ルドルフ様がなぜここに」

「まさか人間さんにトドメを」

「いや、よく見ろ・・・なんか二人の距離近くね」

 

 今日はルルが来てくれた。

 

「どうした、この時間は仕事中だろ」

「エアグルーブに代わってもらった。君が落ち込んでいるから行っていいと言われたよ」

「アグルの奴、自分は照れ臭いからルルを送ったな」

「そう言わないでやってくれ、彼女もそして私も君を心配している」

「わかってる、心配させてごめん。何とか心は折れずにすんでる」

「とりあえず立てるかい、いつまでもそのままでは死体と会話してるみたいだ」

「死んだフリって効果あると思う?」

「ブライアンなら用心を兼ねて先に頭を踏み潰すぐらいはやるだろうね」

「だろうな・・・よっと」

「掴まってくれ、まだフラついているから危ないよ」

「すまないねぇルルや」

「それは言わない約束だろうマサキ君」

 

 立ち上がらせてもらい、肩を貸してもらって移動。

 近くのベンチに腰を降ろして一息つく。ふぅ、どっこらせっと。

 

「少しだけ待っていてほしい、すぐ戻る」

「いってらー」

「ルドルフっていい子だよね」

「同感、偉そうじゃないのがいい」

「ただいま」

「お帰り、早かったな」

 

 ダッシュで行ってダッシュで帰って来たらしい。

 手にはコンビニコーヒーを入れるようなカップ容器が二つ。

 その一つを俺に渡してくる。

 

「どうぞ、遠慮なく飲んでくれ」

「飲み物?中身は何だろう」

「ホットはちみーだ、疲労回復にはこれがいい」

「ありがとう。はちみーか、テイオーたちが美味そうに飲んでいたっけか。いただきます」

 

 二人でベンチに腰掛けて休憩。

 もらったはちみーをチビチビ飲みながら体を休める。

 疲れた体に程よい甘さと温かさが染み渡る、う~ん美味しい。

 

「ホットドリンクってほっとするよな」

「ブフッッッ!!」

「うわ!ちょ、吹くなよ!」

「ゲホッゲホッwwwホットとほっとするかwwwやるじゃないwww」

「あ、そっかダジャレになってたか、別に狙って言ったんじゃねーよ。偶然だ」

「素晴らしい才能だ、これがダジャレの極意なんだね」

「やめて!こんなので褒められたら逆に困るし、恥ずかしいわ」

 

 せっかくのはちみーを吹き出したルル。トレセン学園生徒会長はちょっと残念だった。

 ルルはしょーもないダジャレがツボったようでしばらくクスクス笑っていた。

 

 落ち着きを取り戻したルルにリブ対策を相談してみる。

 ちょっと行き詰った現状についても話す。

 

「ルルはリブと勝負したことはあるのか?」

「ああ、楽勝とはいかなかったが何とか勝てた。あの時は少々焦ったが嬉しかったよ、切磋琢磨できる同志が増えたからね」

「やっぱりルルは凄いのね、皇帝の名は伊達じゃない」

「君のことは心から応援しているが、正直あのブライアンに数日で勝つのは、ほぼ不可能だ」

「現実が辛い」

「超級騎神を相手に何度も手合わせしてる時点で賞賛に値するよ。でも、それでは足りないんだね」

「リブに認めてもらって覇気をもらう!」

「そうだね。だから私も修練の協力をするよ」

 

 俺の手をそっと握るルル、あらやだ、おててが柔らかいじゃないの。

 手からルルの覇気が流れ込んで来る、俺は何もしてないぞ。

 

「なんだコレ!?今、俺とルルがリンクしてる」

「上手くいったようだ、やはり君は普通の人間とは違う」

 

 こちらから接続してないのに、リンク状態に入った。

 今、俺とルルの覇気が確かに循環している。どういうことだ。

 

「超級騎神は単純な身体能力だけでなく覇気の扱にも長けている。私が得意なのはコレさ」

「操者を介さずに戦術リンクをする能力」

「誰にでも有効と言うわけではないんだ、それなりの格が無ければ私の覇気に潰されてしまう」

「あ、今わかった!ボノたちをドレインした時の違和感の正体はコレか。ルルの覇気が中枢に混じってたんだ」

「正解だ。彼女たちに試したことがあってね、その時の形跡が中枢に残っていたのだろう」

「循環というよりルルの覇気を一方的にもらってる感じがする」

「君のように自由自在と言う訳にはいかない、できる事はシンプル、私の覇気をリンク相手に上乗せするだけ」

 

 ボノたちに操者がいると誤解した原因判明。

 この能力がもっと発展したら「操者いらね」ってことにならないか。

 ウマ娘同士が手軽にリンク出来るようになると人間と契約する騎神が減りそう。

 人間とウマ娘間のパワーバランス大丈夫?新たな火種になったりしませんように。

 

「もちろん覇気が多少増加した程度で簡単に勝てるブライアンじゃない、君に必要なのは肉体の強化は元より、覇気の制御と応用力を伸ばす事だと思う」

「大分マシになったと思ったけど、覇気の使い方はまだへたっぴだと自覚してる」

「良ければ時間の許す限り"皇帝式覇気の使い方"を伝授したいと思うけど、どうかな?」

「是非是非、よろしくお願いします。ありがとうルル」

「どういたしまして。さっそく午後から始めようか、ヒシアマゾンたちにも協力してもらおう」

 

 昼食後、優しい皇帝の力を借りて覇気の使用法を学ぶ。

 俺の覇気は駄々洩れや垂れ流しなんて揶揄されることがあり、無駄にしている分が多いらしい。

 もっと効率のよい制御法はないか探る、リンク状態にしたりされたりを繰り返して覇気の流れを感じる。

 ルル、アグル、姐御、フジ、マルさんたちが代わるがわる修練に付き合ってくれた。

 キングたちは出張中、明日には帰って来るらしい。

 

 集中して取り組んでると、あっという間に時間が経つな。今日の修練は終了。

 食事もそこそこに部屋へ戻る。

 

「ミオ、バイクはあれからどうなった」

「エアグルーブに頼んでエンジンの部品を取り寄せてもらってる、もう少し待ってね」

「いつの間に」

「マサキのスマホをハッキングしてエアグルーブのスマホに連絡した」

「お前、マジでその力を悪用するなよ。サイバーテロやりたい放題じゃないか」

「わかってるよ。政府機関や軍事基地に挑むにはリスクが高すぎるし、やらないよ」

「"やれない"じゃなくて"やらない"なのが怖ろしい」

 

 夜の自主錬。

 アグルに頼んで防音室ならぬ覇気遮断処理が施された地下修練施設の使用を許可してもらった。

 ここなら思う存分バーストモードを使用できる。

 みんなに感謝しつつ今日教わったことを復習、力の流れを正確につかむために己と対話する。

 目を閉じて呼吸を整え、頭を空っぽに。瞑想はいいぞ、騙されたと思ってやってみるのオススメ。

 集中している時にミオは話しかけてこない、空気の読める奴である。

 まあ、俺の体をずっとモニタリングしてるからな。

 あー、クロとシロに会いたい・・・おっと、雑念が・・・雑念ではない!愛バを思って何が悪い!

 

 (マサキ集中力が途切れてるよ)

 (こいつ、直接脳内に)

 

 ダメな時はちゃんと注意もしてくれるので大助かり。

 オーバーワークだめ絶対!ちょっくら休憩しよう。

 

「メルアまた来るのかな」

「自称女神様か、そういえばどんな姿だった?教えてよ」

「姿は見えない。今の所、声だけだ」

「どんな声?」

「若い女ぽい」

「ほう若い女か、神様だから全盛期の姿を保ってるのかも、羨ましいよね~私のニューボディもそうしようっと」

「簡単に言いよってからに、水の天級騎神探しはどうだ、どこにいるか検討はついたか?」

「さっぱりだよ、隠れてるにしても理由がわからない」

「怠け者だって聞いてるぞ、働きたくないでござる状態じゃねーの」

「そうなんだけど、あれで結構な寂しがりやだから、私たち天級が集まってるの知ったらノコノコ出てくると思ったんだけどな」

「・・・生きてるよな」

「生きてるとは思うよ。きっと何か他に事情があるんだよ」

 

 ちょっとだけ心配になって来た。

 腐っても天級、そう簡単に死んだりしないと思う。

 

 休憩終了、修練再開。

 

「よっしゃバーストモードを使うぞ」

「それなんだけどさ、マサキ、バースト中の方がリラックスしてるよね」

「あー、そうかもな。なんか全裸になったような開放感がある、さらけ出してやったぜ!みたいな」

「覇気漏れを起こしてない状態は元栓を閉めて押さえてる、これって普段の方が無理してるよね」

 

 幼い頃に母さんによって一時封印された覇気、それから何年もずっと元栓を閉めていたからか、別に無理はしているとは思わない。

 今は呼吸と同じぐらい苦も無く当たり前にできることだ。

 母さんはコレを見越して封印したのか?そこまで考えていないような気もする。

 

「寝てる時、たまーにバーストモードになってるよ」

「嘘!恥ずかしい!キラキラ放出しながら寝る男に添い寝して、あいつらは気にならなかったのか?無理してたらどうしよう。「眩しくて眠れん!」とかキレられたら泣く」

「認識を改めた方がいいかも」

「んんん?何が言いたいのよ?」

「私の推測だけど、マサキって本当の意味でバーストモードになってないんじゃ」

「なん・・・だと・・・」

「マサキがバーストモードだと思ってるのはただ自然体に戻っただけ、真のバーストでは無い!とか?」

「・・・ミオ」

「ごめん、さすがにそれはないよね~」

「お前は本当に頼りになる奴だな、なんか凄いしっくり来たぞ」

「え?」

「もう一段階上に行けってことだよな。やってやろうじゃないの」

「で、できるんだ・・・ずっと見てるけどマサキの底が私にはわからないよ」

「ミオ、修練場の耐久性はどのくらいだ」

「サイが暴れてもちょっとの間ならもつぐらい頑丈」

「なら遠慮はいらないな」

 

 覇気の粒子が解放された状態、これが第一段階であり通常形態と言うかリラックスしてるだけ。

 真のバーストモードは更に上、そこに至るにはどうすべきか。

 試行錯誤を繰り返すしかない、もう少し、後少しで何か掴めそうだ。

 

「うぃ~疲れた~」

「はーい、さっさと寝なさい、おやすみ」

「おやすみ~」

 

 部屋に戻ってシャワーを浴びて歯を磨いてバタンキュー!

 適度な疲労感がベッドにダイブした俺を即爆睡に導いた。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 頑張ってるみたいですね

 

 (どーもメルアさん)

 

 ちょっと待ってくださいね、ここをこうしてっと

 

「どうですか?これで話しやすくなったと思います」

「おお、目の前に気配を感じる。声もそこから聞こえてくる」

「この調子なら、お顔を見てお話できる日も遠くないです」

「ほほう、女神様の御尊顔を拝むためにも頑張りますか」

「過度な期待はしないでくださいね」

「ご謙遜をしおってからに。それで「鍵の使い方」についてのヒントをもっとくれないか」

「鍵は既に三つ持ってますね。後二つ欲しい所ですが、今は三つだけでも十分でしょう」

「メモとりたい」

「少しでも開けてくれたら、こちらからパスを繋げます。後は思うようにやっちゃってください」

「・・・・」

「「借り物の力」じゃないですよ。私の力はあなたが自分の意志で掴み取った、あなただけの力になります」

「考えてること筒抜けか!母さんたちの力みたいに分不相応かなと」

「女神なんて言ってますけど、あの時、あの場所でたまたま運が良かっただけの小娘です。後輩たちにお節介したくて死んだ後も意識が残ってしまった、気まぐれでフワフワした何かです」

「自己評価低いな」

「力の事はまたの機会にしましょう、鍵を五つ集めてからですね」

「後継者ってのは俺でいいのか?」

「偶然や間違いで私と三回も会話できる人はいません。後継者はあなたしかありえない」

「最初かなり戸惑っていたけど大丈夫」

「三女神はウマ娘の神です。今まで人間に力の継承がなされた例はありません、しかも、男性だったので本当にビックリしたんですよ」

「よく言われるんだけど、俺っておかしいのかな」

「規格外ではありますが、あなたはとても素敵な人ですよ。自身を持ってください」

「ありがとう!女神のお墨付きいただきました」

「まあ、トーヤさんには敵いませんけど」ボソッ

「何か言ったか?」

「いえ何も言ってません。あ、解放状態名は"バーストモード"ではなく"バスカーモード"がいいです」

「バーストはダメだったか?」

「私たちはバスカーと言ってたんで統一した方がいいかな~と」

「じゃあ今後はバスカーでいくわ」

「実はもう一つ、処刑前のキメ台詞があるんです。後日伝授しますので期待しててください」

「処刑前とは物騒な」

「今後もご活躍を期待してますね。そろそろおやつタイムなのでこれにて失礼します」

「ほい、またな~」

 

 おやつ食べるんだ・・・。

 

 修正が入ってバースト改めバスカーモードになってから数日経過した。

 その間もリブにボコられたり、修練したり、みんなと遊んだり仲良くなったり。

 バイクが直ったり、モブにも大分受け入れられたり。ウイニングライブごっこしたり。

 ここでの生活は充実していた。

 

 自主練後

 

「じゃあ帰るか、忘れ物はないよな」

「私、マサキのこと舐めてたよ」

「今は違うのか」

「天級の上に女神の加護まで付いた人間だとは恐れ入ったね」

「褒めても何も出んぞ、運が良かっただけの男だ」

「運も実力の内って言葉もあるよ」

 

 あれからメルアは夢枕に立たなくなった。残りの鍵を集めたらまた話せるかな。

 覇気の修練とメルアのヒントを得て、形になったバスカーモード。

 明日はいよいよお披露目するつもりだ。

 決戦は明日だ、早く寝よう。

 

「目にもの見せてくれるわ~」

「興奮して眠れないなんてことないようにね」

 

 翌日

 朝の地下修練場。

 マサキが夜の自主練のために使用している場所に二人の超級騎神がいた。

 

「ダメです」

「何がだい?」

「この修練場はもう使えません。覇気遮断の結界が壊されています」

「私とブライアンが本気でぶつかってもびくともしなかった結界が壊された?経年劣化ではなく」

「場に施されたコーティング、結界発生装置の心臓部が軒並み擦り減っています。数日で何をどうやったらこうなるのか・・・」

「本当に面白いねマサキ君は」

「私はあの男が愛バを化物に育てていると思っていました」

「そうだね」

「だがこうも考えてしまう、力あるウマ娘たちが一人の人間を寄ってたかって化物に、いやそれ以上の何かにしようとしていると」

「それに私も君も加担したね」

「我ながら取り返しのつかないことをしたのではないか、頭痛の種が増えた気分です」

「だが後悔しているようには見えないよ」

「そこが余計に悩ましい、あのたわけに力添えできたことに満足している自分がいる」

「彼が今後どうなるのかはそれこそ・・・」

 

「神様にだってわからないよ」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 ナリタブライアンとマサキの手合わせはUC基地のウマ娘たちにとって最早日常の一コマ、そして見逃せない一大イベントとなっていた。

 最初は遠巻きに見ていたモブたちも、今では時間になると良い観戦スポットを確保するために動く。

 仕事を放り出して駆け付ける者、出店を出して荒稼ぎする者、食料を持ち寄って観戦する者もいる。

 時間ピッタリに来ていたブライアン自身も10分前には到着し、目を閉じその時を待つ。

 

「おや、今日は全員勢揃いだね」

「仕事を残して来た私たちも大概ですよ皇帝」

「今日こそ何か起こりそうなのよね~私のハートがピクピクしちゃうわ」

「それはただの不整脈では?」

「マサ公は本当に良く頑張ってる、最後まで応援するさ」

「最高のイリュージョンを期待してるよ」

「はうう~、連日やられっぱなしのマサキさんが心配です~。私なら泣いたまま干乾びて終わります~」

「はーはっはっはっ!僕は全く心配してないよ!今日は彼にとって栄光の日となるだろう」

「オペラオーさん、王冠の向きが逆で頭に刺さってます~メッチャ心配してます~」

 

「今日は遅いですね。はっ!まさか、お一人でバクシン中?」

「それはないよ~今日はずっとお部屋に籠ってるし、ちゃんと食べてるのかな~」

「少し心配ね、やられ過ぎて自暴自棄になって無ければいいけど」

「マサキさんはそんなやわじゃないよ、昨日は一緒に釣りに行ったけど元気だったし」

「マサキさんは勝つよ」

「君はいつもそう言ってるねチケット。根拠はあるのかい」

「ハヤヒデも気付いてるはずだよ。戦闘継続時間、覇気出力、ダウンしてから回復までの時間、その他全てが数日前とは別物、マサキさんはきっと飛び越えるよ」

「アンタ・・・変なものでも食ったの?真面目なこと言うなんて」

「シリアスチケ蔵だよ」

「「キモイ」」

「あー来たよ」

 

 いつもバカをやって騒いでいるおかしな人間。

 結局、どいつもこいつも彼に魅せられてしまったようだ。

 ドレインされていないウマ娘たちも例外ではない。

 

 今日は時間ピッタリにやって来た、周囲のざわめきは自然と大きくなる。

 

「ほう、覚悟を決めた目だ」

「なんかいつもと面構えが違う」

「あれ変だな、ちょっとカッコ良く見える」

「今日はどんな醜態を見せてくれるのでしょうか、ハァハァ」

 

「ミオ」

「はいはーい。じゃあ頑張ってね」

 

 腕に巻き付いたミオがするりと離れて行く、無駄な決め顔中のチケ蔵の頭にちょこんと黒い塊が鎮座した。

 チケ蔵気づいてないし。ヒデさんとタッちゃんは教える気はないようだ。

 

 何日も付き合ってもらった好敵手を前にする。

 

「ありがとう、ナリタブライアン。お前のお蔭で俺はまた先に進める」

「礼など不要だ」

「今日こそ勝つ」

「聞き飽きたセリフだ。しかし、ここまでしつこい奴は初めてだ」

「お前の渇きを満たせるかもよ」

「期待はしていない」

 

 フッ、と互いに笑いが漏れる。何度も拳を交えた、ちょっとは仲良くなるさ。

 

「開始の宣言は僭越ながら私がやるよ」

「好きにしろ」

「ルル、頼む」

 

 少し距離をとる。目線は逸らさない、リブの眼光を受け止める。

 

「トレセン学園生徒会所属、超級騎神、ナリタブライアン」

「愛バを救うためならどこまでも、操者、アンドウマサキ」

 

「いざ尋常に・・・はじめっ!!!」

 

「ぶっちぎってやる!!!」

「かかってこいや!!!」

 

 見ているかクロシロ、なんと女神様も応援してくれるってよ、頼もしいよな。

 

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