UC基地を出発。
その後もいろんなウマ娘に出会ってウハウハ。
エアシャカールに案内されて到着したのは飲食店の連なる通りだった。
多くの人で賑わっており大変活気がある。
「あっちもこっちもラーメン屋だらけ」
「この街有数のラーメン激戦区さ。ラーメン狂いのあいつにとっては天国だろうな」
「この中からモーさんを探せと?」
「晩飯はまだだろ、気になる店で適当に食ってりゃ向こうが見つけてくれるんじゃねーの」
「うどんが食いたい」
「同じ麺類だろうが!贅沢いうな。じゃあな、後は上手くやりな」
「ちょいまち、シャカはご一緒しないのか」
「お前と違って忙しいんだよ。それに今日はスパゲティの気分だし」
「さっき俺になんて言った「同じ麺類だろうが!」てキレましたよね?」
「知るかよ。おいAI1改めミオだったか、てめぇは俺と一緒に来い」
「えー、私はマサキと一心同体なのに~」
「もらったデータだけじゃ情報量が足りねえ、実際に観測した奴の口からマサキの異常性を教えろよ」
「異常は言い過ぎでは」
「まったくもって言い過ぎじゃないよ」
「(´・ω・`)ショボーン」
「それにお前、自分がファイン家技術部の備品だってことを忘れてないよな」
「確かに私の所有権はファイン家にあるかもね・・・どうしようマサキ」
「行って来な、何かあったらすぐに連絡すること」
「わかった、じゃあ行ってくる。私がいないからってハッチャケ過ぎたらダメだよ」
俺の腕からシャカの肩に飛び移る黒いスライム。
俺にはわからない専門用語で会話しながら二人は去っていった。インテリ同士気が合うのかな。
一人になってしまったぞ。
ここ最近はずっとミオがいてくれたので、なんだか急に寂しくなってしまった。
「とりあえず腹ごしらえしますか。う~ん、どこで食べようかな」
食欲を誘う香りが四方八方から漂ってくる。
ラーメンに詳しい訳ではないので、どの店を選ぶのが正解なのかわからん。
うわ、行列ができてる店がある。さぞや人気のある店なのだろう。
「行列って苦手だ、仮に入店できた所で落ち着いて食えないだろう」
店内がギチギチで隣の客と距離が近い、早く食ってどけよ!ってせかされてる感も嫌。
「ここは応援する意味を込めて、空いてる店に入ろう」
お客さんが少ないからと言ってマズい店とは限らないよね。
少なくとも激戦区に出店してるぐらいだから、それなりの味は保証されてるだろう。
「おう、兄ちゃん!暇か?腹減ってるならうちの店に寄って行きな」
「暇じゃないです。キャッチセールスはお断りします」
「かてぇこと言うなよ。後悔はさせねえからな、な」
「しつけぇ!でも、その熱意を汲みます。いいぜ、アンタの店に決めた」
「話のわかるお客様ご案内だぜ!ついて来な!」
威勢のいいおっちゃんに捕まったので流れに身を任せることにした。
職人気質な風貌をしているし、この人が作ったラーメンなら確かに美味そうと思った。
「さあ、着いたぜ」
「急用を思い出したから帰るね」
「ここまで来てそりゃあないぜ兄ちゃん!」
近くの店に誘導されるのかと思いきや、激戦区から離れた裏通りに連れて行かれた。
目の前にあるのは年期の入った移動式屋台がポツンと佇んでいるのみ。
期待してたのと違う。
「屋台に用はないので失礼します」
「待って!華麗なバックステップで立ち去ろうとしないで!おっちゃんのバイト代がかかってるの!」
「アンタ店長ですらなかったのか!見た目ベテランの頑固職人なのに、ただのバイトかよ!」
「自慢じゃねぇが味音痴でな、ラーメンとうどんの違いがイマイチわからん」
「ラーメン屋でバイトしないでくれますか」
「調理の腕もさっぱりでな、カップ麺作るのも一苦労だぜ」
「うわぁ」ドン引き
「男子厨房に入るべからずって言うだろう」
「いまどき家事をやらない男ってホント見苦しいわ、軽蔑します」
知り合いの男連中は皆家事得意なので、このおっちゃんの言ってる意味がわからない。
俺だって一人暮らしする前からある程度はやってるし。
シュウなんてストレス溜ると家事に逃げるタイプだぞ。
「マイワイフと同じ目をしてやがる。バイト代が入らないと離婚されちまうんだ、頼む!この哀れなゴミ虫を助けると思って、あ、靴をお舐めしたほうがいいですか?」
「やめろ気色悪い!ああもう、わかったよ。行くよ、行きますよ」
「そうこなくっちゃ!ささ、こちらへ。大将~ご新規のお客さま一名入りまーす」
世知辛い客引きバイトに従って屋台の座席に座る。
ちょっとワクワクしてきた。
「は~い、いらっしゃい!」
「どうも」
「大将、ワシもうすぐ定時なんでお先に上がらせてもらいやす。お客様は引き続きどうぞごゆっくり」
「ご苦労様、タイムカードちゃんと押してってね~」
屋台にタイムカードあるんだ。
バイトおっちゃんは定時退勤したようで、残されたのは大将と俺の二人っきり。
それよりも、大将と呼ばれたのは俺より若い女の子・・・これまたウマ娘かい。
「「こんな小娘にまともなラーメン出せんのかよ」て心配したね」
「そこまでは思ってないよ」
「ならいいんだけど。何にする、うちは豚骨オンリーだけど、麺の硬さと、スープはこってりかアッサリを選べるからね」
「うどん」
「帰れ!」
「帰るわ・・・おい、離せや、やめっ!服伸びちゃうから、やだ力強い!」
「帰らないで!うどんはやめてラーメン食べようよ、ね、ね」
「別にラーメン食いたいわけじゃないし、今うどんの気分だし」
「お代はいらないから、グスッ、お願い食べていって」うるうる
「わかった、わかったから泣くなよ」
「最初からそう言ってくれればいいんだよ~、で何にする?オススメはこってりバリカタニンニクマシマシだよ」
「嘘泣きかよ、えっと、アッサリのバリやわニンニク抜きで」
「オススメ完全無視した!いじわるだね」
ぶつくさ言いながら調理に取り掛かる大将。
大将と呼ばれるだけあって、淀みない動きでラーメンを作る姿には感心する。
中高生ぐらいか、かなり若いので普通こっちがバイトだと思うよな。
目が合う度に微笑んでくれる、その顔、ドキッとします。
麺が茹で上がったようで湯切りの工程に入る大将。
「よく見ててね、そぉい!」
「あっつ!なにやってんのおバカ、こっちまで茹で汁が散ったぞ」
「湯切りの過剰演出こそラーメン作りの真骨頂だよ」
「知らんがな」
「そうこう言ってるうちに完成ってね。へいお待ち!」
ドンッ!と俺の前にどんぶりに入った完成品のラーメンが置かれる。
「親指!親指ガッツリ入ってるから!熱くないの?」
「大将(美少女ウマ娘)の出汁入りってことで一部の層から支持されないかな」
「どんな客層狙ってんだ。まあ、俺は気にしませんけどね」
「ドロリ濃厚、豚骨こってりバリカタニンニク抜きを召し上がれ」
「俺が注文したのと微妙に違うし」
「さあ、食べよう食べよう!あーお腹空いたぁ」
「え?」
エプロンとバンダナを脱ぎ捨て、厨房から出て俺の隣席に腰かける大将。
その手には俺の前にあるラーメンと瓜二つのどんぶり。
「お前も食べるんかい!」
「食べるよ、食べまくるよ。そのために、こってりバリカタ二人前用意したよ」
「自分好みの調整したのかよ」
「ニンニクは抜いたよ。もういいじゃん、伸びる前に美味しく食べようよ」
美味しい内に食べるのが食に対するリスペクトだ。
大将は変わった奴だが、目の前のラーメンに罪はない。
「「いただきます!」」
まずはスープを一口。濃厚な旨味が口いっぱいに広がって行く、いいねいいね~。
バリカタの麺はやや硬めで程よい食感、スープに絡んで美味い!美味いぞ!
しばらく、無言で麺をすする。
「どうかな、美味しい?」
「うん、とっても」
「えへへ、良かった~。替え玉も用意できるからじゃんじゃん食べて」
整った顔をにへらと崩して嬉しそうに微笑む大将。あ、激マブがおる(マルさんの死語がうつった)
くあ・・・どうしてウマ娘はこう、いちいちカワイイのだろうか、ズルくない?
「ヤバッ、くっそカワイイ」
「お褒め頂きどうもです」
「まーたやらかした、すぐ口に出でるんだから俺ってば」
「素直に人を褒められるのは美徳だよ」
雑談もそこそこにしてラーメンに集中。
俺は一回、大将は三回替え玉した。
スープの飲み干して完食いたしました。血圧?カロリー?知ったことか。
「「ご馳走様でした!」」
「ふー、満足満足。たまにはラーメンもいいな」
「私は毎日でもバッチコイだよ」
「で、どうしてこんな回りくどい真似をしたんだ大将、いや、ファインモーション」
「ん?そんなの、一緒にラーメン食べたかったからに決まってるよ」
「当たり前のことを聞かないでよ~」とけらけら笑うモーさん。
探していた人物、ファイン家頭首が目の前にいる。
偶然ではなく必然、客引きバイトおっちゃんの段階から全て仕込まれていたのかもしれない。
ファインモーション
綺麗に整えられた薄茶色の毛並みに、金色の輝きを放つ瞳。
前髪真ん中の一房が白く染まり筆のように見える、後頭部に髪を纏めて括り、尻尾は毛先でパッツンカットにしている。
御三家の一角、ファイン家の現頭首であり、本来ならば接点などあろうはずない存在。
名家生まれの地位をひけらかすでもなく、あくまでもフレンドリーに接してくれるのはありがたい。
この世界のお嬢様たちは皆いい子です。
実力のほどは未知数だが、底知れない何かを隠し持っていそう。
何事にも興味津々、多少危険でもこれだと思ったことには首を突っ込みたがるので、危なっかしい。
こういう所、シロに似てる気がする。
1stが滅んだ事情に詳しく、今後も長い付き合いになりそうな予感。
自他共に認めるラーメン好き(狂い)。
「そうです。私がファインモーションです。会えて嬉しいよアンドウマサキ」
「俺も嬉しいよモーさん」
「食後のお散歩にお誘いしたいけどいいかな」
「屋台から離れていいのか」
「問題ないない。みんな~ちょっとデートしてくるから、後よろしく」
モーさんの声かけに合わせてわらわらと多数の老若男女が湧き出て来た。
物陰から、ゴミ箱から、建物の壁から、マンホールをから、上空から!
いやーー!潜伏しすぎーー!!怖い怖い怖い!!
ちょwwwさっき帰ったはずのおっちゃんがビルの屋上からこっち狙ってる!?
サムズアップする前にスナイパーライフルを降ろせボケ!俺の頭に照準合わせてんじゃねーよ!
ずっと見られてたの?シャカは何も説明してくれなかったぞ、あんちくしょーめ!
忍者や凄い数の忍者がおる、これだけの人員配置に気付かなかっただと・・・。
こちらに一礼して彼らは屋台を速攻で撤去していった。お仕事ご苦労様です!
なんかこういうの、サトノ家でも見たぞ。
御三家の諜報員はあらゆる所に存在している、気にしたら負け。
「じゃあ、行こっか」
「自分の索敵能力が本気で心配になってきた」
「ファイン家の隠密も中々でしょ、周囲に溶け込むことに関しては皆プロだから」
「それって、1stから来た人達が2ndで暮らすために身に着けた技能だったり」
「おお、正にその通りだよ。あれ?おかしいな、マサキは知能指数が低いロリコンじゃなかったの」
「お前にそんな報告をした不届きものは誰だ!」
「ゴルシちゃん」
「やっぱりな!あいつったら」
「ゴルシちゃん、メッチャいい笑顔で褒めてたよ、千年に一度のゴッドロリコンだって」
「バカにしてるよね、ゴッドってなんやねん」
「ゴルシちゃんだけじゃない、マサキは今まで沢山のウマ娘に気に入られた。それは十分誇っていいことだよ」
「皆がたまたまいい奴らだったから助かった」
「たまたまねぇ・・・皆、マサキにだけチョロくなってるの気付いてあげて。もちろん私も含めてね」
俺にだけチョロい?特別扱いしてくれたって事か。
ありがとな、いつかまたお礼を言わせてくれ。
「ウマ娘ってさぁ、男を見る目が人間女性の数倍厳しいって知ってる」
「聞いたことがある程度には」
「小さい頃から男の人にはいろんな感情向けられるし、男性のあしらい方を幼少期から叩き込まれるのが当たり前だしね」
「恵まれた容姿、高いスペックの数々。男に放って置かれる方が珍しいってのはわかる」
「運命の相手、愛バは別として。行く先々でこれだけ大勢のウマ娘に受け入れられた男なんて、それこそ"原初の操者"トーヤの再来かもね」
「原初の操者・・・トーヤ?その名前どこかで」
「2ndではその辺りの文献や伝承が残っていないんだっけ、"三女神"カティア、フェステニア、メルア。そして"機甲龍"シャナ=ミア。"夜を統べる修羅"トーヤと共に戦った伝説のウマ娘たち」
「待て待て待てぇーーいっ!!重要な情報が多すぎる、一回整理させて。ああ、ミオがいないし!」
「ウマ娘の男を見る目は厳しいよ」って話からとんでもない情報が飛び出して来た。
メルアの名前を出されて驚く暇もなく、何でもないことのように人物名を言ってのけるモーさん。
えーと、あった。こんなこともあろうかとメモとペンは常備しております。
スマホのメモアプリ?ボイスメモ?ミオがやってくれると思ってたから用意してねーよ。
1stと2ndは数十年のズレがあるが、ほぼ同一の世界だ。
三女神関連の伝承が2ndに残っていなくても、1stには文献やよくあるおとぎ話として根付いていたらしい。
「5人の関係を模して後の人々が"操者と愛バ"と呼び始めましたとさ」
「モーさん、細かい所をもう一回お願い!大事なことなんだ」
「このお話大好きだから詳しいんだ、何でも聞いてちょうだいな」
覇気を自在に使いこなし高い戦闘能力を持つに至った人間『修羅』
覇気を物質化させる域まで登り詰め超越的な力を振るうウマ娘『三女神』
異界門の破壊及び外敵の排除を目的に生み出された殲滅型決戦兵装『機甲竜』
修羅 トーヤ
三女神 カティア フェステニア メルア
機甲竜 シャナ=ミア
「トーヤは人間の男で、後の四人がウマ娘ってことだよな」
「うん。そう伝わってる」
「ウマ娘たちの真名はわかるか?」
「全くもって存じません。これだけは1stにも残ってない情報だよ」
「機甲竜ってのがよくわからん。凄い兵器でそいつもウマ娘?どういうこと?」
「ややこしいよね~。正体の予測はついてるけど、今は深く考えないでおくこと推奨」
モーさんの言う通り、考えても仕方がないか。機甲龍の事は頭の片隅に置いておこう。
確実に知ってる奴と知り合いだし・・・そうだよなメルア。
「意外だね、神話に興味あるなんて」
「最近、女神様本人とお話しする機会があってな」
「何その冗談wwwあー可笑しいwww・・・あ、やばっ顔がマジだ!」
「信じてくれなくても事実だからな」
「茶化してごめん。何があったか話してくれる」
女神メルアがコンタクトをとってきたこと。
オルゴナイトを発現させ戦闘したこと、クロとシロも女神の力を継承者するであろうこと。
洗いざらい喋った。
モーさんは黙ったまま真剣に聞いてくれた。
「女神様が動いた・・・違う、動かされたのか」
「モーさん」
「全ての事象が収束する先にいるのは、やっぱり」
「立ったまま考えごとか?どこかに座ったほうがいいぞ、この時間に空いてる店は」
「決めた!ずっと前から決まってた!善は急げ、行こうマサキ!」
「おいどうしたモーさん、ちょ、引っ張るなって」
「ほら走るよ、早く早く~」
俺の手を引っ張って駆けだすモーさん。急にどうしたんだろう。
夜の繁華街をウマ娘に手を引かれて走る。まあいいか、なんか嬉しそうだし
さすがウマ娘、なかなかの俊足でした。
「こちらのお部屋になります。ごゆっくりお過ごし下さい」
礼儀正しいボーイさんに案内された部屋は豪華過ぎて少し落ち着かない。
まあ、夜景が綺麗ね。タワマンに住んでる人は毎晩こうやって下界を見下ろしているのか。
あの後、モーさんに連れてこられたのは某高級ホテル。
「最上階のスイートルーム、ここで一体何を?」
「若い男女がホテルでやることなんて決まってるよね」
「成人男性をからかって遊ぶなよ、こういうのは感心しないぞ」
「てい」
トンッと胸の中心を押される、俺が力を抜いたタイミングで絶妙な力加減の押し出し。
完全に虚を突かれた、そのまま後ろに倒れこんでしまう。
キングサイズのベッドが俺の体を受け止める、その隙を逃さずモーさんがマウントポジションを決めた。
抜け出せない!?両腿で俺の体をガッチリホールドしている。
え?何?何この状況?
混乱する俺の耳元に顔をよせ囁く。
「しよっか」
何をですかぁ!アレかアレですか!アレしかないか!
間違ってたら恥ずかしいので一応聞いてみよう!
「な、な、何をする気でございますでしょうか?」
「うまぴょい」
やっぱりーーー!!!
どういう事?そういう事?俺、モーさんにホテルに連れ込まれて襲われてんの?何で?
「あ、わかったドッキリだ!どうせゴルシやシャカが隠れて笑ってんだろ?」
「人払いは済んでる、正真正銘二人っきりだよ」
「待て!お前未成年だろ、ホテルの従業員は何やってんの」
「ウマ娘からのお誘いなら見逃す。暗黙の了解だよね」
「そうだったーーー!」
この世界、ウマ娘の優遇措置的なものが結構あるんだけど"うまぴょい"に関しても当然あるのよ。
男が未成年のウマ娘を連れ込んだらアウト!しかし、未成年のウマ娘が男を連れ込んでもセーフ!
ね、理不尽でしょ。つまり、ウマ娘側がノリノリなら「まあ、いいんじゃね」で皆が我関せず状態になってしまうのよ。
『ウマ娘には逆らうと面倒事になる』『男への嫉妬と羨望』
『スケベですかもっとやれ』『闘争本能(意味深)だから仕方ない』等々がもっともらしい理由。
高級ホテルだろうとそれは適用される。
一流のホテルマンならばお客様がお部屋で何をなさろうが全力スルーでございます。
衣擦れの音が聞こえる、アカン!モーさんが服を脱ぎだした!
衣服に手をかけるモーさんの手を掴んで止めさせる。
「どうしたどうした?ラーメンが当たったのか?」
「したいと思ったことを実行しているだけだよ、私はあなたが欲しい」
「理由説明!今すぐ!はよ!」
「今後のために必要だから、対価として私自身を捧げるよ」
「何を言って」
「この私、ファインモーションの操者になってよアンドウマサキ」
は?操者になれだと・・・俺に・・・え?
「バッカおめぇ!俺は既にクロとシロの操者だってばよ!」
「もう一人ぐらい追加しても問題ないよね。マサキの覇気量なら余裕余裕」
「そう言う問題じゃない、あいつらが知ったらどうなるか」
「キタちゃんサトちゃんの許可を貰えばいいの?先に既成事実を作ってからの方が説得できると思うんだけどな」
「殺されますよ?俺もお前も」
「二人がマサキを害するはずがないよ、私は・・・下手すると殺されちゃうね」
「それがわかってるなら」
「必要なことだって言ったよね。私にはマサキが必要なの、命を賭けてもいいほどに」
「冗談で言ってるわけではないんだな。奴・・・"世界の破壊者"への対抗手段か」
「賢いね。そう、これは私なりの保険だよ」
「保険」
「もしマサキたち三人が敗北した時、誰が2ndを守るの?キタサトの二人がベーオウルフとルシファーにならない保証は?マサキは二人を殺せるの?」
「・・・・」
「マサキの覇気は異常、それが愛バの二人に影響を与えたのは事実。二人で支えられないなら、それ以上の人数で支えるのが妥当じゃない」
「・・・・」
「私には強くなりたい理由がある。マサキと契約すればきっと、その願いは叶う」
まくし立てるように喋るモーさん。
いったいこの子はどこまで見えて、何を考えているんだ。
俺と契約して強くなりたい?そうなれる保証こそないだろうが。
第一覇気供給元の俺が死んでたら全く無意味だし、クロとシロを殺すための覇気を俺がスムーズに流せるとは思えない。彼女の言ってることは穴だらけ、机上の空論だ。
どうしたものか。
「保険のため・・・自分を犠牲にするなよ!嫌々うまぴょられても嬉しくねーわ!」
「ああ、そこは心配しなくていいよ。仕方なくって訳じゃないから」
「?」
「マサキとしたいってのはビジネス関係なく本心。気に入ってるんだよあなたのこと」
「??」
「好きだって言ってんの、言わせんな♪恥ずかしい////」
「な、なんだってぇーーー!!!」
クロ、シロ、とんでもないことになった。
ウマ娘に押し倒された挙句に告白された・・・これがモテ期か。とらぶっちゃうのかい!
「いきなり好きとか言われても、今日、初めて会ったばかりなのに」
「キタサトの二人とは初日でお泊り、翌日に契約してたよね」
「そうでした」
「なら、私が初日でうまぴょい決めても全く問題ないね」
「その理屈はおかしい」
くっ!なんてパワーだ、全然抜け出せないし。
こうしてる間にも体を密着させたり、頬ずりしてくるから大変なことに!
あ!ブラジャー外して放り投げやがった!見えてる、おぱーい見えてるから!
メッチャ自慢したい「俺今、ノーブラの美少女に押し倒をされてんの」って叫びたい!
「シネ」ってリプが燃え上がるだろうな~。
「マサキは私のこと嫌い?私じゃ"うまだっち"してくれないかな」
「グイグイくるなこいつ」
「攻めれる時に攻める!ライバル不在の今が千載一遇のチャンス」
「モーション恐ろしい子!」
「して欲しいがあったら言ってね。あなたはどんな変態プレイが好みなのかな~」
「変態プレイする前提なのやめてくれます」
「赤ちゃんプレイしてた癖に」
「もう、あのテレビ局め!俺で稼いだ視聴率の分け前請求してやろうかしら!」
ファインモーションを改めてみる、好きか嫌いかで言えば間違いなく好きだ。
こんなカワイイ子に迫られて正気を保っているのは、俺が既に契約済みだからだろうか。
蠱惑的な笑み、乱れた衣服、上気した頬、彼女から漂う甘い香り、その他諸々が誘惑してくる。
「魔物じゃ!女は魔物じゃ!」と俺の中の村長が絶叫している。
「クスッ、気に入ってくれたようでなにより。じゃあ続きを・・・」
「さっき食ったラーメンで豚骨臭いだろ、やめましょうや」
「私も豚骨食べたから気にしないよ。気を利かせてニンニク抜いておいて良かった」
「待て!俺にはクロとシロがいるんだ!浮気はしない!」
「浮気じゃなくて本気にすればいいじゃない」
「余計悪いわ!いやーーー!クロとシロに刺される!スクールデイズみたいな展開いやーーー!!」
「大丈夫、その時は私が守ってあげるよ。中に誰もいませんよってね」
「誠シネ!あばばばばばばばば」
「因みに私がヤンデレになるルート、全滅エンド、世界崩壊シナリオも完備してます」
「鬱ゲーだったか、もうやだ泣きそう」
「そのまま天井のシミでも数えてて、イメトレだけはしっかりやって来たから任せてね」
「いい加減にしろコラ!とにかく俺はお前とする気はない!」
「据え膳食わぬは男の恥なのに、このヘタレ!」
「ヘタレです!こんなのとうまぴょいしたくないよね、さあどけ」
「ヘタレでも好きだよ」
「クッソ!言動も仕草も顔もカワイイ!やーめーろーやー」
「私と契約して操者になってよ」
「断る」
「私が契約して愛バになってあげるよ」
「言い方変えただけじゃん!」
「ホントわがままだね。強行突破ファインモーション!!さあ、うまだっちしましょうね~」
「天元突破みたいに言うな!ダメそこ触っちゃらめーーー!!!」
「アアアッーーーーーーーーー!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうしたミオ」
「今、マサキの悲鳴が・・・気のせいか」
「うちのボスが面倒みてんだ、今頃ラーメン食い倒れでもしてんじゃね」
「そうかなぁ。ねぇシャカのボス、ファイン家頭首ってどんな子」
「頭は悪くねぇがバカだな」
「どっち!?」
「頭首なんて名乗っちゃいるが不器用な奴でよ、何でもかんでも一人で抱えて溜め込んでる」
「メンタル調整下手くそなタイプか」
「「平気、へっちゃら、大丈夫」ってよお、いっつもヘラヘラしやがって。無理してんのバレバレなんだよバーカ。それでも1stは、ファイン家はあいつに頼るしかなかったんだ」
「よくわかんないけど、苦労してるんだね。いいストレス解消方法が見つかればいいんだけど」
「そのはけ口がラーメンだったらしいが、食欲だけじゃ限界がある。いっそのこと、好きな男でもいてくれたらいいのによ」
「ストレス解消の生贄にされる彼氏が不憫」
「どこかにいねぇかな、あいつを落とせる色男って奴」
「その辺のホストクラブに連れてったら?」
「ホストには荷が重すぎるだろ。上辺だけの口説き文句なんぞ1ミリも響かねぇし届かねぇよ」
「めんどくさいなぁ。じゃあもう、マサキに丸投げしちゃえばいいよ」
「冗談抜かせ、あいつには愛バがいるだろうが」
「そんなの知ってるよ。それでも、マサキならどうにかしてくれそう」
「そんなこと言っていいのか、今頃ホテルにしけこんでたらどうすんだよ」
「・・・・」
「・・・・」
「「まっさかぁwww!!」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「痛い痛い!ギブギブギブ!」
「どうだ参ったか!このドスケベめ!まったく、最近のお嬢様はどうなってるんだ!ドスケベばっかじゃねーか!」
「か、関節がぁあああ!」
「次の技行くぞコラ!」
「もうやめてぇーー!モーションのライフはとっくの昔にゼロよ」
「ベッドで寝技がしたかったんだろ?喜べよ」
「謝る!謝るから!許して、ごめんなさい!ムラムラして先走りました!発情期もう終わったんで、解放してください!ホント自分がバカでしたーーー!」
いい声で鳴くじゃねーかこのメスウマ、ベッドの上で女をひぃひぃ言わしてるどうも俺です。
逆うまぴょいを何とか凌ぎきった俺はモーさんに反逆していた。
随分抵抗してくれたなコラ!バスカーモードまで使わせやがって!
ありがたく思え、武士の情けでオルゴナイトは出さないでいてやる。
「圧制には屈しません!反逆こそが我が人生よムハハハハッ!アッセイッ!」
「ひぃ!筋骨隆々のバーサーカーに憑りつかれている!?あ、電話鳴ってるよ、フロントからご連絡がぁぁぁ」
グロッキーになったモーさんを放置して電話に出る。
「失礼しますお客様。お客様のお部屋から悲鳴と怒号、そして謎の閃光と振動が発生しているようですが」
「あ、はい、すみません。連れの変態が"エクストリームソロぴょい"をガンぎめしておりまして・・・」
「そん・・な・・こと・・してな」
「ええ、もう見るに堪えないアへ顔っぷりでして。いえいえ、こちらの落度ですから」
「やめ・・もうこのホテルに泊まれなく・・・なる」
「はい、お騒がせしました。よく言って聞かせますので、お気遣いどうも」」
やれやれ、ホテルに迷惑かけちゃったな。
クロ、シロ、俺はやったぜ!最後の一線は守りきったぞ。
ふふ、あいつらがGJと親指を立ててる姿が目に浮かぶぜ。
それから・・・
「ヘタレ!「強くなりたくば喰らえ!!!」て勇次郎さんも言ってるのに!」
「うるせぇよ。お、ブラあったぞ、早く装備しろ装備」
「まったくもう、私の生乳見て興奮してた癖に」
「なまちち言うな」
「マサキがロリコンなのはよく理解したよ。初めては幼女じゃないと嫌なんだね」
「おいコラ」
「それともまさかホモ?男スキー?そんなのって・・・お相手は、幼馴染のシュウさん、それともヤンロンさんかな?」
「やめてね」
「ナイスカップリングだね!コネクティブマサキwwwなんちゃってwww」
「バディコンプレックスwww」
バディコンはヒゾンさんがひたすら可哀そうなロボアニメです。振られ男の妄念を楽しもう。
いったい俺のどこに何をコネクティブしようというのかね?
想像したらアカン、吐き気がします。
シュウとヤンロンのことを知ってる。俺の関係者はリサーチ済みってことね。
少々暴れたので散らかった部屋を二人で掃除する。
ブラを装備し直したモーさんは、乱れた衣服と髪に尻尾を整えて落ち着きを取り戻した。
「うまぴょいも契約もしてくれないんだね・・・よよよ」
「ごめん。気持ちはありがたいが、俺のことは諦めてくれ」
「キタサトちゃんの許可が先か・・・うーん、どうしよっかな~」
「やだこの子諦める気ないわ」
「勝率0%ならクールに去るつもりだったけど、ちゃんと反応してくれたし、希はまだあるからね」
「逞しい!」
クロシロには申し訳ないが、俺の"うまだっち"はよく頑張った方だと思います。
いや、アレは無理だろ。パンツ死守しただけでも褒めてほしい。
「じゃあコレ、はい」
俺にブラシを手渡してくるモーさん。
ベッドに腰かける俺の足、その間にドカッと座る。
「ブラッシングしてよ。これぐらいならいいでしょ」
「それぐらいならお安い御用だ」
「ふふ、上手上手~」
「尻尾、パッツンカットなんだな」
「先端が燃えたからね」
「いったい何があった!?気になるーーー!」
「あれは夏の暑い日だった、ゴルシちゃんが七輪で・・・」
尻尾のカッティングに悲しいエピソードがあった。事件の発端はやはりゴルシだった。
元々綺麗なのでブラッシングの必要は感じないが、しっかりやらせていただきます。
理由はどうあれ、俺に告白してくれた子だぞ。
一度お断りした手前、お詫びの意味をこめて丁寧にブラシをかけていく。
本人は諦めていないようだけど。クロとシロを納得させる手段があるのかね。
「うなじ色っぽいな」
「好きなだけ見ていいよ。いずれはあなたの物だからね」
「なんでそこまで」
「マサキを初めて知った時は、天級の子でキタサトちゃんの操者という重要人物。ただそれだけ」
「ふむふむ」
「電話で声を聞いた時、なんかいいなって思った」
「ふむふむ」
「生放送でバブってる姿を見てやっぱ変態だと思った」
「そこはいらないだろ!」
「今日やっと出会えてラーメン食べて話してみたら、思ってたよりいい男でさ、女神に会ったなんて言いだすし。これはもう運命だって決めちゃった」
「んん?」
「さっき密着して確信したよ、匂いも覇気も心臓の鼓動も体温も、あなたの全てが心地いい、絶対手に入れたいって思った。過ごした時間は関係ないんだよ、惚れちゃったもんは仕方ない、はい私の負け~」
「お、おう////」
「照れんな照れんなよ・・・いや、私もちょっと照れるね、あはは///」
「・・・えーと///」
「・・・やっぱりする?」
「お気持ちだけで」
「ヘタレ」
ラブコメの波動を感じる。
ストレートな好意をぶつけられ、いい雰囲気になりかけたのをぐっとこらえる。
正直、俺も出会ってすぐにモーさんのことをに気に入った。
クロシロのことはもちろん愛してる。だけど、モーさんのことも気になるのよ。
俺って気が多い男だったのね、浮気野郎ですか・・・誠ですか・・・あいつの同類は嫌っス。
うまぴょいキャンセルからの関節技をかけられるほどの距離感。それってなんやねん。
「こいつぁ脈ありだね。私、頑張るよ」
「心を読むな。この髪のなんだ団子?解いていいか」
「あ、うん。うなじは隠れちゃうけど、印象変わって二度おいしいよ」
括ってある髪を解いてブラシをかける。髪型がちょっと変化、これはこれでいいね!
「あーあ、できれば今日中に愛バ参入したかったな~」
「まだ言うか、俺はクロシロのことで手一杯だっつーの」
「四人目になりたかったな~。いやなるよ、なりますとも、これは決定事項だから」
「・・・よにんめって何?」
「愛バの数」
「誰の」
「マサキのに決まってる」
「クロ、シロ、で二人・・・今俺の愛バは二人。万が一、モーさんが参入した所で三人目では?」
「え!?気付いてないの!あちゃ~、やっちまってるねぇwww」
「あ、あれ。なんかその、取返しのつかないことをやらかしてる気が」
「三人目、キタサトちゃん以外にもう一人契約済みだから、私のことも愛バにしてくれると思ったんだけど。まさか気付いてないとは」
「なんということでしょう」
「ここまでの旅で出会ったウマ娘の一人と契約してるよ。まあ、キタサトちゃんとの繋がりに比べたら微々たるものだけど」
「どうしてモーさんにそれがわかる」
「これでも頭首様ですから、覇気中枢、神核(しんかく)の情報を読み取るのは得意なんだ。あ、神核ってのは覇気中枢の別称でエネルギーの集まるコア部分だよ」
「俺の神核をサーチした結果が、えっと」
「契約人数、三名だってバッチリわかったよ」
「いつ?誰?どこ?なんで向こうは何も言って来ない!」
「向こうも気付いてないとか?そんなことあり得るのかな」
誰だ、いままでドレインしてきた奴らの顔が浮かぶ・・・アグネスだったら笑うしかねぇ。
「思い出してみようか、マサキがドレインしたことで"大きな変化”をした子がいたはずだよ」
「変化・・・もとから変態のあいつらは除外、あいつでもない、いやあの子に限って、いや違うな」
「その子、マサキのこと絶対好きだと思うよ。うまぴょいバッチコイぐらいには」
「うまぴょいOKな子だと!そんな奴・・・いたわ」
え?まさかまさか!
「噛みつきや、覇気の循環を契約深度まで行っていないとしても、きっと何かを交換しているはず」
「何かって何」
「操者のDNA情報、体液・・・手っ取り早いのは血液かな。それを摂取したことで簡易契約が成立したんだろうね」
「血を吸われた経験なんてクロシロ意外にいないぞ」
「容疑者の前で出血したまま気絶したことあるでしょ。目覚めた時はもう手当済みだったから現場は見ていない」
ハッとして頬の傷に手を当てる。あいつ・・・
「言えないよねwww好きな男の血を見てムラムラしたから舐めちゃいましたなんてさwww」
「あ、あ、あ、あ」
「心当たりあるんだね。条件の再確認いってみようか」
・俺のことが好き(うまぴょいしてもいいほどに)
・それなりの実力者(おそらく轟級以上)
・そいつの前で気絶した経験がある(その際、血を摂取された模様)
・契約は不完全で俺もそいつも気付いてない
・契約後に大きな変化が起こっているはず
この条件から導き出される結論は。
「カミナリ」
「雷がどうかした?」
「取られたんだ、そいつに雷となった覇気をゴッソリと」
「属性覇気を発現していたの!?しかも、それを取られたぁ!?なにやってんの!その子に間違いないよ!」
「あちゃ~、クロシロ許してくれるかな~」
「誰?名前教えてよ!寝取りの先輩として詳しくお話し聞きたい!」
「俺もあいつもそんな気さらさらなかったんや、それだけは信じて」
「不可抗力など知ったことか!いいから!キタサトちゃんから略奪愛した命知らずの名前を言って!」
「メジロ・・・」
「おいおいおい!よりにもよってメジロかい!キタサトちゃんブチギレ確定でーすwww」
あの姿を思い出す。
美しさと気品と強さを兼ね備えたメジロ家の秘蔵っ子。
引きこもりから解放された彼女は、雷を纏い広い世界に羽ばたいていったはずだ。
うん、あの子もドスケベだったな。
「アルダン・・・三人目はメジロアルダンだ」
あははは・・・俺ってば知らず知らずのうちになんてことを・・・マサキ○ねって言わないで。
クロ「うわぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」
シロ「のわぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」