俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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とつにゅう

 学生時代の先輩と再会してビックリ。

 ガッデスを助けて、教団を潰しちゃおうぜってことに。

 

 

 山奥の村ラ・ギアス、マサキ実家の客間だった場所。

 この家の主であるサイバスターは緑の輝きを放つ結晶体を前にしていた。

 

「もうそろそろいいんじゃないの?」

 

 返事は無い、わかっているが気にせずに続ける。

 こうして語りかけるのは二人が結晶化する前からの日課にしている。

 中にいるのは私の娘になるかもしれない子たちだ、義理の母として気になるってもんよ。

 

「いい加減起きないと本気でヤバイわよ「愛バが増えるかも」なんてメッセージ送ってきたんだから」

 

 マサキが送ってきたメッセージ、愛バが四人になりそうという衝撃の内容だった。

 

 あの子は変な所で真面目だ、本気で嫌な相手ならキッパリ断るし、誰かに相談などしないだろう。

 ということは・・・

 

「三人目と四人目のことを少なからず気に入ってるってことよ。あなたたちはそれでいいの?」

 

 小さな体をフルに使って怒り狂う二人の姿が想像できてしまって、ちょっと笑ってしまう。

 

「文句があるなら早く出てきなさい。ほら早く~」

「またやってるのね、サイさん」

「煽っていればひょっこり出てくるかと思ったんだけど」

「今日も変化は無いみたいね」

 

 ネオが部屋に入って来た。こいつの不法侵入はいつものことなのでスルー。

 キッチンではグラとその旦那が勝手に料理をしている最中だ。

 アーマーは散歩中、あのアインストは日に一度クロスゲートを見に行っている。

 不活性状態のゲートなんか見ても面白くないだろうに。

 

 綺麗な結晶体は変わらず無言。

 マサキからの供給もかなりの量になっているはず、最後の一押しとしてやはりあの二人の覇気が必要か。

 

「聞いてる?ガ-子が見つかったこと」

「ザムさん改め、ミオさんから連絡もらったわ。カルト教団に捕まってるんですってね」

「何をどう下手こいたのか知らないけど情けない話ね、修練をサボって食っちゃ寝してるからよ」

「相手の方が一枚上手だっただけかしら。それとも、ガーさんに何か考えがあるのかも」

「マサキとファイン家が救出に向かったから心配は無いと思うけど」

「もどかしいわね。私たちが行けば速攻で終わるのに」

「それは言いっこなしよ。ここでのんびり暮らせてるだけで満足しないと」

「そうね、そうだったわね。普通に生きていけるのがどんなに素晴らしいかはよくわかってる」

「グラが来てザムとガー子が見つかったから、昔を思い出したんでしょ。自分こそが絶対でどこまでも行けるって信じてたあの頃を」

「懐かしいなんて思うのは年を取った証拠ね、やだわ~」

 

 大きすぎる力には代償が付き物なのは私たちも同じ。

 国家というか世界との約束事(長ったらしい条文だった)によって行動が制限されている。

 緊急時以外の力の行使をしない、位置情報の定期連絡が主だったような。マジめんどい。

 範馬勇次郎と同じ扱いかよ!あんなガチムチ親父の同類か・・・。

 その縛りが嫌で行方を眩ませたザムとガー子、上手く逃げたわね。

 国のお偉いさんたちが私たちを危険視することは理解できる。

 自由に動ける人型の戦略兵器(対抗手段がほぼ皆無)がフラフラしていたらそりゃ怖いよな。

 

 世界を救ったという功績、私たちを英雄視する人々、犯罪への抑止力などの使い道が認められ、なんとか居場所を確保しているってのが現状だ。

 人気者でよかった!容姿端麗でよかった!大勢の支持を得るということは生きていく力になることを知った。

 そうでなければ今頃"天級VS世界連合軍"になるところだ、あっぶねぇーー。

 

「教団とやらはこちらをじっくり調べたのでしょうね、やれやれだわ」

「ガー子を捕らえたってことは、奴らはゲートの力を利用する術かそれに酷似した何かを持っているのか、めんどうね」

 

 極秘だが最強無敵と思える私たちにも当然弱点ぐらいはある。

 信頼できる一部の者しか知らない秘密、政府関係者でも数人にしか教えていない。

 これがあるから私たちの動きは制限されていると言っていい。

 

「シュウ君は早い段階で気づいたわよ「これは推測ですが・・」なんて言ってね」

「これだから天才は」

「マサ君は気づいているの?」

「旅立つ前、ゲートについては教えたわ。他は随分前から自分で調べていたみたいだから、特に驚いては無かったわね」

 

 息子に余計な気遣いをさせたくはないが、手遅れかな。

 

「ビアン博士やシュウ君が何か考えてくれてるみたいだけど、いつになるのやら」

「毎回データを取らせてあげてるんだから結果を出してほしいわね」

 

 結晶体をペチペチ触りながら再度語りかける。

 

「私の分までマサキに寄り添ってくれるんでしょ。頼りにしてるわよ可愛い愛バたち」

「みんな待ってるわよ、起きたら頑張ったマサ君を労ってあげましょうね」

 

 それにしても綺麗な結晶だ、売ったらいくら位になるのだろうか。

 よこしまな考えを浮かべているとグラが部屋に入ってきた。

 

「おーい、うちのダーリンが激辛麻婆豆腐作ったから食べんか」

「「食べる~」」

「本気で辛いから覚悟して食べるんじゃぞ」

「脅かさないでよ、ちょっと怖くなってきた」

「サイさん、舌がお子様なんだから、泣いたり暴れたりしないでよ」

「わかってるわよ、キンキンに冷えたお水用意してからにするわ」

 

 麻婆は旨かったけど私はちょっと泣いた。だって辛いんだもん。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「神を恐れぬ不届きものめ!貴様らには必ず神罰がくだるぞ!」

「はい、おやすみ~」

「ひでぶっ!」

「気絶したおっさん一丁あがり~」

「ご苦労様です、こっちのおっさんとまとめて縛って並べておきましょう」

「ういっす」

 

 ヴォルクルス教団を絶賛襲撃中。

 教団アジト付近に展開した敵部隊を一人また一人と順調に処理していく。

 先行偵察に行ったココたちを待つ間、俺と10人程度のファイン家忍者さんたち大活躍。

 

「見事なお手並み感服致します。さすが、頭首様が選んだお人だ」

「そちらこそ、音もなく接近し一撃で相手を昏倒させる早業、マジかっけーッス」

「普段なら世辞と受け取ってしまいますが、あなたは本心からそう思ってくださるのですね」

「す、すみません。俺いろいろとわかりやすい奴らしくて、いつも注意されるんです」

「お人柄なのでしょうね、そんなあなただからこそ・・・どうかファイン様のことよろしくお願いします」

「え、は、はい?ミオどういうことなの?」

「褒められてることを理解していないマサキだったとさ」

「そうなのかー」

 

 こちらを見てクスクス笑う忍者さんたち、なんだろうアホの子を見る生暖かい眼差しを感じちゃう。

 まあいっか、みんな楽しくお仕事できてるみたいだしな。

 この忍者さんたち性別、年齢、経歴も様々だかとにかく練度か高い。

 マジで強いのよ、教団の雑魚なんかまるで相手にならんレベル。

 ラ・ギアスの非公式団体『天級ファンクラブ』(母さんたちの追っかけ)連中並みの戦力はあるな。

 

「後で足音を消す歩法教えてもらおうかな。何かの役に立つかも」

「幼女の背後に忍び寄って何をするつもりなの?」

「使い方を限定するのやめて」

「ごめんごめんwwちょっと緊張を解そうかと思ってねw」

「緊張なんてしてない、母さんたちの分まで頑張らないといけないし」

「悪いね、サイたちが来ればそれこそ一瞬で片がつくのに」

「まあ、そうなんだけどな。母さんたちが出張るまでもないさ」

「知ってるの?サイたちがラ・ギアスから出てこない理由を」

「知ってるよ。まあ弱点ぐらいはあるよね」

 

 母さんたち天級騎神はラ・ギアスから出て来ない、出ることができない。

 彼女たちはラ・ギアスのように潤沢なプラーナが豊富な土地でしか生存できない。

 俺とシュウのお願いで母さんたちには極力、村の外に出ないようにしてもらっている。

 

「陰陽道や古代道教、風水術における繁栄するとされる土地、すなわち龍穴(りゅうけつ)。今風に言うならパワースポットか、そこから離れて活動できる時間は二、三日が限界だった。今ではもう半日村の外にいただけぐったりしていることもあったかな。全盛期はそんなことはなかったらしいが、俺を引取った時は既にラ・ギアスから遠出はしていなかった。クロスゲートは各地の龍穴にあることが多いからラ・ギアスにゲートがあるのは当然。グラさんが中国から引っ越して来たのは前住所のプラーナが枯渇したからだろう、年々減少しているらしいな。ガッデスが旅に出た理由はおそらく、新たな龍穴もしくはクロスゲートの探索とそれに頼らない延命方法の発見のためだろう」

「おお、一気にまくしたてよってからに」

「間違ってたか?ビアン博士やシュウに聞いたり、自分でも調べてみたんだが」

「合ってるよ・・・ごめんね」

「謝るなよ、母さんたちのことはミオに責任はないだろう」

「ロリ以外の知識がチンパンジーより劣っていると勘違いしていたよ、思ったより頭いいんだね!」

「この腕時計もう飽きたな、リサイクルショップで買い取ってもらおう、最悪処分でいいや」

「ごめんなさい!二束三文で売らないで!処分もダメ絶対!」

 

 誰がチンパンより劣る脳みそだ!

 

 長文にもなるわい、あれはショックだったし結構勉強したからな。

 ちょっとだけ昔のことを思い出した・・・

 

 母さんたちの体質に気づいたのはまだ俺が小学校低学年の頃だ。

 ある日、俺は母さんにわがままを言った、旅行に行きたいと。

 クラスの友達に家族旅行の話を聞いて羨ましくなったからだ。母さんは二つ返事で引き受けてくれた。

 あの時は嬉しかった、後に後悔するとしても。

 二泊三日の旅行事態はとても楽しかったが、家に帰ってから母さんが体調を崩した。

 信じられない、あの母さんが・・・いつも元気過ぎる母さんが寝込んでしまっている。

 こんなことあってはならない、俺は酷く動揺してただただ泣いた。

 

「もうわがまま言わない、だから、死なないで。お願いだから」

「バカな子ね、この程度で死んだりしないわよ。ちょっと横になってればすぐよくなるわ」

「本当?絶対だよ、嘘ついたら弱っている母さんの写真をファンクラブの人に売り飛ばすよ」

「あははは、それマジで嫌・・・頼むからやめてね」

「何かしてほしいことある?クスハ汁(狂人用)ならすぐにでも用意できるよ」

「今それを飲んだら絶対吐いちゃう、普段でもゲロりそうなのに。そうね・・・ちょっと心細いから一緒に寝てくれる?」

「うん」

「風邪じゃないからうつったりしないわ、おいで」

「うつってもいいよ、おじゃましまーす」

「はーい、息子一名様どうぞ~。よーしよしよしよし」

「ちょwくすぐったいww」

「フフッw」

 

 母さんの布団に潜り込んで引っ付いたりじゃれたりする。熱があるのか体温が高い。

 幸せ、この人が母親になってくれて幸せだ。母親・・・もう二度と失ってはいけない存在。

 いつもより温かい母に抱きついて願い思う「どうか大好きな母さんが元気になりますように」

 

「サイさん!ぶっ倒れたんですって!遺書の準備した?マサ君の親権を私に譲ってから逝って!」

「失せろ闇大帝!今親子の幸せを噛みしめてるんだ!お邪魔虫は帰れっ!」

「母さん、今は安静にしましょうや」

 

 この日以降、俺は母さんに遠くへの外出を進めたことはない。

 仕事関係の出張でも二日以内に戻って来たし、それはネオさんも同様だった。

 本人の口から聞くのが怖かった、あの母さんに史上最強の母に弱みがあるなど認めたくなかった。

 だからずっと聞けなかった。

 気にはなるので俺なりにいろいろ調べた、もちろんシュウやビアン博士にも聞いてみたさ。

 

「やっと気づきましたか、あなたにしては上出来です」

「天才のお力で何とかなりませんかね」

「母たちを世に解き放つのがいいとは限りませんよ。もう引退したのだから余生をゆっくり過ごさせてあげたい気もあるのですが」

「ラ・ギアスはいい所だよ。でもさ、たまには「遠くへ行きたい」と思ってるかもだし」

「大地のプラーナはどこも減少傾向にあるらしいです。今すぐにではなくとも何か対策が・・・」

「あー、またシュウ殿が長考に入っておられるぞ!」

 

 シュウの考えは今も昔もバカな俺には理解不能なので頭脳労働は任せておくことにした。

 ビアン博士は「チンパン以下の脳みそ小僧がどうにかできる話ではない!」だと、いつか禿げろマッドじじいめ!!

 

 都心から離れたド田舎であるはずのここ、ラ・ギアスがやけに栄えている理由がわかった。

 おそらく母さんたちのために住民のみんなが頑張った結果なのだろう。

 ここは天級騎神に守られた楽園であり、世界を震撼させる強者たちに許された小さな箱庭だった。

 

 プラーナとは覇気の別名。

 生命が発する余剰覇気が大地や環境に溶け込み潮の流れのようなものを形成しているのだという。

 それを学者連中はプラーナと呼称している。

 要は、生物の体、内部から溢れる命のエネルギーが覇気。

 そして、自然環境に混ざり漂う外部エネルギーがプラーナ。

 TEエンジンの動力であるターミナスエナジーもプラーナに類似したものなのかもしれない。

 環境破壊の影響かプラーナが豊富な土地はこの世界からどんどん姿を消していってる。

 

 だからさぁ、天然記念物のように保護すべき存在なんだよ、母さんたちはっ!

 絶対に嫌がるから言わないけども、実際そうなってるし。

 

「回想終わった?もう一つ、ゲートについてもきいてるかな」

「旅立ちの前に聞いた、母さんたちでも破壊できない謎物質で出来てる。それと、天級騎神の覇気を異常に吸収したがるから触るのはNGだとも」

 

 天級騎神の弱点は二つ。

 ・プラーナの多い土地でしか生きられない

 ・クロスゲートそのもの

 

「土地の方はともかく、ゲートを用いた術式なんかをぶつけられるとかなりマズイ。きっとガッちゃんはそれをくらったと思われる」

「教団にそんなことをできる奴がいるのか、めんどくせ。ミオはアインストだったからいいとして、ガッデスが旅立てたのなんでだろう?」

「ガッちゃんは覇気制御は天級一だよ。体内の覇気消費を節約するのはもちろん、外部からプラーナをたっぷり取り込むこともできたはず。多分、省エネで活動しつつ定期的に小規模の龍穴を転々としていたんじゃない」

「龍穴ってそんな簡単に見つかるもんか?」

「師匠は龍脈を辿る術に長けていたわ、ダウジングとかもよくやってたわね」

「おかえり、テュッティ先輩」

「ただいま。周辺の教団員はあらかた片づけたみたいね」

「後は突入するだけだな、こっからが本番だ」

 

 偵察に出ていた、テュッティ先輩とゴルシが帰って来た。

 

「ココは?」

「こっちだよ」

「いたのか」

「ずっと」

 

 どうして木の上に登っているのだろう?いつからいたのだろう?なんでドヤ顔なのだろう?

 

「とうっ」

  

 木の上から飛び降りた気がするので横にズレる。

 ベシャと音がした・・・なんだ着地失敗か。

 すぐに飛び起きるココ。元気ですね。

 

「避けないでよ!今のはお姫様抱っこで受け止める所だよ!私じゃなかったら大怪我してるよ」

「無傷ならいいじゃないか、だいたい、お前なら余裕で着地できただろうに」

「愛バになったら待遇改善を求めるからね、年上玉砕マサキ!」

「お前今なんつった!?」

「年上!玉砕!マ・サ・キ!」

 

 テュッティ先輩を見るとクスクス笑ってらっしゃる。

 もう~勘弁してよ、なんでバラすかな。

 

「ごめんなさい、鬼気迫る表情で聞いてきたから、ちょっとだけ話しちゃった」

「このために班を分けたんかい、ココさんよぅ」

「好きな人のことは知っておきたい愛バ心、理解してくれると嬉しいな」

「ロリになった原因があってよかったなマサキww」

 

 よくねぇよ、肩に手を置いて慰めてるつもりかゴルシ。

 笑うなボケ!

 

「なになに?マサキがロリになった元凶がテュッティなの」

「いづれバレるなら自分からいったらぁー!そうだよ、高校生の時に先輩に告って見事玉砕した振られ男の成れの果てが俺だよこんちくしょーーーっ!!」

「本当にごめんなさいね。あなたのことはいいお友達だと思ってるから」

「あの時と同じセリフやんけ!二回も聞きたくなかったッス」

「マサキ、一応ここは敵陣だからな静かにしろ」

「年上に振られ、ロリに走ったんだね・・・哀れな」

「年下ならここにいるよ!過去の傷を忘れるぐらい愛してあげる」

「あばばば、今優しくされたら落ちちゃう」

 

 背後からギュッと抱きついてくるココに慰められる。

 先輩との再会、一人じゃなくてよかったと思う。

 二人だけなら悲鳴を上げて逃亡していただろうから。

 

 当時、高校生だった俺はテュッティ先輩が学校を卒業する日に告白したのだ。

 フッ若かったな・・・。

 

 楽しかった青春の日々を思い出すぜ。

 勉強を教えてもらったり、二人っきりじゃなかったが遊びに出かけたりと仲は良かったはず。

 先輩は美人スタイル良くて優しくて憧れの対象だった、学校中に狙ってる有象無象がゴロゴロいた。

 ある日、先輩に好きな相手がいると知って焦った。相手はクッソイケメンの生徒会長で凹んだ。

 卒業証書を持った先輩を呼び出し震える声で告った、やっぱりダメだったけどスッキリした。

 俺の後にも告白ラッシュを受けその全てを撃沈していた先輩はさすがだった。

 本命の彼氏がいるのに告らずにはいられなかった。俺も有象無象も。

 

 帰ってむせび泣いた。

 心配したシュウがどういうつもりか、うまぴょい伝説の完コピを披露してくれた。

 バカが、それで慰めてるつもりか?なにが「踊らにゃ損損」だよ・・・やったるわ。

 朝まで二人で歌って踊ったわ、この時は母さんもネオさんも見て見ぬふりしてくれた。

 

 翌日、バカ二人で筋肉痛になった。

 

 先輩は彼氏と一緒に村を出てどこかの都会で暮らしていると人づてに聞いた。

 それからは会っていない。

 

 そして、昨日ばったり再会した。

 まさか、天級騎神の弟子になっていたとは。

 

「"あの人"とはその後」

「ええ、良好な関係よ。彼も会いたがっていたわ」

「そうっスか、あの時は言えなかったけど、おめでとうござます」

「ありがとう、マサキにもいい子が現れたみたいね」

「はい・・・おいココ、キツくなってきてるから、肋骨が痛いからゆるめて」

「そのいい子には私も含まれてるよね、ね」 

「茶番はそのぐらいにしろ、そろそろ行こうぜ、愛バ(仮)」

「カッコカリ言うな!お前はボスと呼びなさいエージェント564」

「了解ボス」

 

 引っ付き癖でもあるのだろうか、ココが俺から離れないのでおんぶして移動開始。

 やたらと密着したがるな、見た目より幼い所は過去のことが原因かも。

 部下のみんなが見てるぞ、それでいいのか愛バ(仮)

 

「悪りぃな、甘えてんだよコイツは」

「かまわん、ウマ娘をおんぶできるなんて幸せなことだ」

「ラーメン以外に拠り所がなかった頭首様が・・・うぅ」

「あの、部下の忍者さんたち泣いてますよ」

「子供みたいに甘えるモーションが見れて感激してんだろ、ほっとけ」

「ふーん、で、頭首様本人は恥ずかしくないのか」

「全然、むしろ見せつけてやろうかと思ってる」

「甘えん坊さんか?」

「嫌い?」

「そんなわけない」

「攻守交代もありだからね、甘えたくなったらいつでも言って」

「それは楽しみですな」

「ううっ・・・イチャついておられる。ラーメン喪女と言われた頭首様がイチャコラと」

「コラッ写真撮るのはダメ!お給料下げるよ」

「「「「さーせん」」」」

「なんか凄いわね」

「どしたのテュッティ先輩」

「ファインさん、私にはとても事務的な応対だったから、キャラの違いに戸惑ってるわ。ウマ娘をデレさせるコツでもあるのかしら」

「さあ、どうなんでしょう。ココもクロやシロみたいに人見知りか」

「内弁慶って言ってよね」

 

 それって俺は内側にカウントされているってことか。

 身内だからこそ本性を見せる、そんな風に言われたら自惚れちゃうわよ。

 

「イチャついてる所悪いがストップだ。見えたぞ、あれが教団ご自慢の神殿入り口だ」

 

 ワイヤレスインカムからエアシャカ―ルの通信が入る。

 シャカは俺たちから離れた位置で別動隊と待機、こちらの動きをモニターしてくれる。

 

 前方、人工的に造られた洞窟の入り口。神殿(笑)邪教のアジトとしてはそれっぽくていいですね。

 門番なのか仮面をつけフード付きのローブを纏った教団員がいる。

 武装は・・・ここからじゃよくわからんが、銃器ぐらいは携帯してるかも。

 

「基本は潜入だ、バレたら二手に分かれて一方がアジト内部をかく乱、もう一方がガッデスを救出する」

「うんうん。それでいいと思う」

「ガッデス救出が最優先だ、ルオゾールのボケは見かけたらついでに殴っとけ」

「10発ぐらいは入れといて」

「まずは内通者と合流しろ、奴がガッデスの居場所を教えてくれる手筈になっている」

「なかなか腕の立つ人材でね。教団の情報を逐一報告してくれていたんだ」

「彼女によろしくな、こっちはプランBの準備をしておくぜ」

「プランBとは何ぞや」

「私たちが失敗した場合、別動隊がアジト諸共教団を殲滅するよ」

「俺たちの安否は考慮されてないな」

「因みにプランCはマサキを餌にメジロ家とサトノ家もここに呼んで全てを灰燼(かいじん)に帰す」

「BとCが発動しないように頑張れってことね」

 

 ここからは忍者さんたちとは別行動「ご武運を」と言われて送り出される。

 メンバーは俺とミオ、ココ、ゴルシ、テュッティだ。

 顔バレしないように教団員から奪った仮面を装着する。

 ん?なんか俺の仮面だけ違わない?まあいいか、これで変装完了だ。

 シャカとの通信もここまで、どうせ内部ではジャミングされるとのこと。

 

「止まれ・・・お前たちは見回りに出ていた者たちか?」

「そうです。周辺特に異常ありませんでした」

「ご苦労だったな、入っていいぞ。もう少しで我らの神が降臨なさる、儀式には遅れないようにな」

「はい、今日という日に立ち会えること誠に光栄であります」

 

 ザル警備乙です。

 そしてゴルシのアドリブが上手い、俺が喋るとボロが出るので無言を貫くぜ。

 

「おっと忘れる所だった、すまないが合言葉を言ってもらっていいか。一応決まりなんでな」

 

 えっと、定番のヤツが来たぞ。

 俺はまったく知らないが、いけんのかゴルシ。

 

「ファイン家頭首の真名は」

「陰毛」

「うむ、通ってよし!」

 

 (広まってんじゃねーかぁぁぁ!!ふざけんなよ!)

 (ココ!堪えてくれww)

 (あのクソボケワカメ絶対にゆるさん!)

 

 笑うなwwまだ笑うなwwダメですテュッティ先輩ww肩が震えてますってwww。

 

「ヴォルクルス教団員は布教活動のついでにファイン家を貶める、神官様のお考えはさすがだな」

「まったくだ、それにしても陰毛ってwwwウケるよなwwみんな我慢せず笑っていいんだぞww」

 

 (潰す、徹底的に潰してやるぞ。陰毛をバカにした者たちは全身の毛という毛を剃り尽くしてやる)

 (毛狩り隊の誕生かww)

 (どす黒い覇気漏れてんぞwwどうどうww)

 (初っ端からこれで大丈夫かしら)

 (まあなるようになるさ)

 

 一人づつ洞窟の入り口を通過して行く、ココの怒りゲージがリミットブレイクしたけどなんとかなった。

 さあ、俺も通らせてもらいましょうかね。

 

「待て、その仮面・・・お前は」

 

 ヤベッ俺だけ仮面の形状が違うのを見とがめられた。どうしよう、もしかしてこの仮面の持ち主は教団内でも地位が低くて神殿に入れないとかだったりして・・・。

 

「あ、あなたは、教団一のプレイボーイ!マコトさんじゃないっスか!」

「何だと!この人があの・・・ふむ、さすがだ不誠実な覇気を纏っておられる」

「下半身のだらしなさで女に刺されること数百回!守備範囲は三歳児から棺桶に入る寸前までだと言う、恐ろしい」

「両刀使いって噂は本当ですか?詳しくお話聞きたいです」

「みんな待つんだ、マコトさんが困っておられる」

「いやぁ・・・あはは」

「さあどうぞ、ヴォルクルス様はあなたをきっとお救いくださるでしょう」

「はい、どうも」

 

 (マコトだと!俺が気絶させたあのおっさんがマコトだっただとぉ!)

 (チビデブハゲだったね)

 (どうやったらそんなのがモテるんだよ!)

 (さあ、マサキが無駄にモテるのと一緒じゃない)

 (無駄って言うな)

 

 通過した後も門番たちは俺が変装したマコトとやらを話題に盛り上がっている。

 

「あの人はな、元々操者だったんだぞ。最初は一途だったが有り余る情動を抑えきれずに次から次へと契約、調子に乗りまくったマコトさんは愛バの数がどんどん増えて、気づけば全員湿度MAXのヤンデレウマ娘の大群に追いかけられるハメに・・・そうして、命からがら辿りついたのがヴォルクルス教団だったのさ」

「「「へぇー凄いっす、マジリスペクトっす」」」

 

 ・・・・・・ヤベェ何も言えねぇ。

 

 (アンドウマコトさんでしたっけ?)

 (やめーや!マサキだマサキ)

 (状況が今のお前と酷似してるじゃねーかwww)

 (マコトっ!私たち四人以外との行為は浮気とみなすよ!)

 (マサキつってんだろうが!お前がそもそもの元凶なのわかってるかココさんよ!)

 (三人目は知りません~アルダンちゃんに関しては私はノータッチだよ)

 (そこを言われるともう無理ッス)

 (不誠実なのは感心しないわね、女の子を泣かせたら駄目よ)

 (先輩~信じてくださいよ、俺はマコトにはなりませんから)

 (おまけに両刀だとよwww)

 (そこも合ってるね)

 

「合ってねぇよ!それだけは断固として否定させてもらうわっ!」

 

 はっ!しまった。でっかい声出してもうた。

 

「・・・若い男の声?・・・!?こいつマコトさんじゃないぞ!」

「し、侵入者!だったら周りの奴らも」

「すぐに応援を・・・」

 

「「「「おるらぁっ!!!!」」」」

 

「ぐへっちょん」

「あべしっ」

「か、神よ」

「おぼふぅ」

 

 もう、結局こうなるのね。門番を各個撃破で気絶させる俺たち。

 あーバレたバレた。全員ローブと仮面を脱ぎ捨てる。

 みんなお揃いのファイン家特性の戦闘服でコーデしてます、ゴルシとココは騎神用の身軽な軽装。

 テュッティ先輩はシュッっとした操者用のスーツ・・・スラックスか、これはこれでいいね。

 ゴルシはともかく、ココの生足がエロい。昨日の夜を思い出してしまうな。

 おっと、視線に気づかれた。今スカートはたくし上げなくていいです、後でお願いします。

 俺の装備は長らく愛用したサトノ家制のものとはお別れして、全て新しいものに交換している。

 共通規格のものも多いので違和感はない、バスカーモードの使用を考えて結晶を纏うであろう部位はあえて余分な装飾を施していない、ブーツは前にも増してしっかりとしたものを用意してもらった。

 いいね、いい感じだ。

 

「これもどうぞ、私からのプレゼント」

 

 ココが荷物から黒のダウンコートを取り出して俺に着させてくれる。

 小さく折りたたまれていたのに、解放したとたんにフワッと膨らんだ?

 繊維だけじゃなく特殊な加護や術式がかけられているとみた、知らんけど。

 

「これは?」

「本来は私用だったけどサイズが合わなくてお蔵入りしていた一品。騎神用特殊防護着衣"バリアジャケット"ってヤツだよ・・・うん、サイズぴったり昨日私の体で測定したから間違いないね」

 

 うまぴょい未遂中にそんなことしてたの?

 バリアジャケットはサトノ家でもみたな、それよりも軽くてかなり丈夫そうだ。

 

「えへへ、うん、よく似合ってる。近接戦闘の邪魔にならないのは勿論、各種属性防御、おまけにマーキングの匂いや覇気の漏れもごまかしてくれる」

「そいつはすげぇや」

「それはプロトタイプ、いつかはマサキと愛バ全員でお揃いにしてもいいかも」

「ありがとなココ、そうなるように頑張りますか」

「あ、それレンタルだから絶対返してよ。後でクンカクンカするんだから!」

「その一言で台無しだ」

 

 ここは敵のアジト入り口だぞ、それでもはしゃぐココを見て緊張も焦りも消えていく。

 ワザとか天然か?どっちでもいい、ココは俺を気遣ってくれるいい子だ。

 

「暇さえあればイチャついてるよ・・・マコトになる日も近いね」

「おーい、マコト二世。そろそろ移動しないと雑魚がわんさか来るぞ」

「じゃあ二手に分かれましょう、マサキと私で内通者に合流して師匠を探す」

「ゴルシちゃんと私で少し暴れますか、ワカメを見つけたらボコる」

 

 チーム分け決定。

 俺とミオ、テュッティ先輩がガッデス捜索チーム。

 ココとゴルシが騒ぎを起こしておとりになるかく乱チーム。

 

「決まったな、全員必ず生きてまた会おうぜ」

「フラグやめなよ~」

「そんなつもりはなかった、なんかごめん」

「ボス、号令してやれ」

「はーい、じゃあみんな頑張ろっか、危なくなったら超逃げていいからね!ガンガンいっていのちをだいじに!」

「「「「ガンガンいっていのちだいじに!」」」」

 

 矛盾する作戦を提示されたがこれでいい。とにかくやるしかないのだから。

 

「ヒャッハー!祭りじゃ祭りぃぃぃ!!!」

「ちょ、マサキは騒がなくていいんだよ」

「二人とも気を付けてな」

「そっちもね。テュッティ、ミオ、私のマサキをお願い、大切な人なの」

「ヒュー!任された」

「フフッ、ええ、師匠の名にかけて全力でサポートするわ」

「私のっておま////」

「照れ顔wきっしょっwww」

「うるせーはよいけ564」

 

 作戦開始、さてさてガッデスはどこだろう。

 

 




クロ「イチャついてんじゃねーよ」
シロ「お前マジで覚えとけよ」
アル「万死に値します」
ココ「さーせんwww」
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