「ようやく会えたな、クロ、シロ」
目の前に待ち望んだ彼がいる。
会いたかった!この日をどんなに・・・あれ、どうしたんだろう。
変だな、声が出ない?
「二人とも大きくなったな」
そうなんですよ、ビックリしましたか?
でも、あなたを想う気持ちはこれっぽっちも変わってません。
むしろ、どんどん強くなってます。
「そうか・・大きくなってしまったか・・・はぁ」
え?なんで・・そんなに残念そうに、ため息までついて。
「ごめんな二人とも、やっぱり俺は、小さい子しか愛せないんだ!」
そんな大声で高らかに宣言しなくても、存じてますよ!
「だから・・お前たちとはお別れだ」
うそっ!やだ!そんなこと言わないで。
「ここにいましたか、マサキ」
「シュウ!その顔はまさか・・見つけたんだな!」
「ええ、ついに発見しましたよ。幻の王国ロリコニアをね」
「女性の外見年齢が10歳でストップする、ロリだらけのパラダイス・・実在したか!」
してたまるか!
見た目ロリでも実年齢90歳とかだったらどうするんですか!
いや、それはそれで需要はあるのか・・・
「今、王国は新たな王を求めています。マサキ、あなたが次の王となり夢の千年王国を築き上げるのです!」
「俺が・・そうか、俺はこの楽園に君臨するために・・」
「見なさい、王の親衛隊(ロリ限定)たちが迎えに来てくれましたよ」
シュウが指差した先には、たくさんの幼女たちがマサキに手を振りラブコールを送っている。
「キャー!あの方がマサキ様よ、思った通りカッコイイーーー!」
「新国王様~早く帰りましょう~」
「お背中流してあげるね」
「もちろん、ベッドも一緒よ」
「みんな待ってるよ、朝から晩までイチャイチャしましょう」
やめろ!このメスガキどもがぁ!マサキさんに色目をつかうな!
「さあ、行きますよ!マサキ王!」
「がってんだ!シュウ大臣!ロリコニアが俺たちを呼んでいるぜ!」
「お二人とも、こっちですよ~こっち」
「「「「マサキ王バンザーイ!!バンザーイ!!」」」」
頷き合ったアホ二人は、歓喜の奇声を上げながら幼女の群れに突撃し行く。
「「イィィーーヤッホゥゥゥーーー!!」」
待って!待ってよ!ちょっと前まで私たちもロリだったのに!!
寝て起きたら成長していたの!心はまだ幼女なの!
見えない壁に阻まれて体が動かない、遠ざかるロリコンに追いつくこともできず。
ただ茫然と立ち尽くすことしか出来なかった。
ちょ、ホントに行くのかよ!行くな!行かないで!
マサキさんぁぁぁんーーー!カムバーック!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!」」
布団を跳ね除け絶叫と共に飛び起きる。
酷い悪夢を見た・・・なんて頭が悪すぎる内容。
ふと横と見れば、隣で寝ていたはずの相棒も起きていて、ぜいぜいと息を切らせている。
まさかクロちゃんも同じ夢を?
「ロ、ロリコニア」
「お前もかよ!」
「そういうシロちゃんも、見たんだね」
「見た、これが悪夢じゃなくて何だというのか。」
体が大きくなった今の私たちに、この夢は痛恨の一撃すぎた。
「現実じゃないよね。マサキさん、王様になったりしないよね」
「確かにマサキさんは自他共に認めるロリコンです。ですが、あそこまでは」
あんなアホな理由で自分たちを捨てたりしないと、信じている。信じさせて!
だが、彼の性癖は・・うん、そのね・・えっと・・マジどうしよう。
夢のマサキさん、物凄くいい顔していたなぁ。
「今まではロリコンの方が都合がよかったのですが」
「これからは自重してもらおう。マサキさんの好みを変えてもらわないと!」
「茨の道ですが仕方ありません。「好きなタイプ?ダイヤモンドって女かな」と言わせてみせましょう」
「「ブラックって女しか興味ないんで」と言ってもらうのが先だよ!」
新たな目標ができました。
操者の性的嗜好を変える・・・なんと難しいテーマか!上等だ、やってやるぜ!
「朝から元気ですね。起きたのなら健康チェック、いっときますか?」
「「出たな!ロリコニア大臣!!」
「ロコニア?大臣?」
大臣じゃなくて、シュウさんが様子を見に来た。
身支度を整えて、パパっと健診をしてもらう。今日も健康優良体です。
朝食前にストレッチと軽い運動を行う。
「見てこの柔軟性。ダバダバダバ」
「ちょw開脚前進やめてくださいよ。キモ怖いですww」
クロちゃんが某バレエダンサーみたいに迫って来た。
なんて奴だ!太腿で移動してやがる!タンクモードやめーやwww
「覇気が上手く出せないだけで調子はいいんだよね、頭も冴えてる気がするし」
「単純なステータスはチビだった頃の数倍になってます。でも肝心の覇気がなぁ・・・」
「困ったね、これじゃあ戦闘は無理だ。騎神は元より雑魚AMにも勝てないよ」
戦闘力53のフリーザ、念能力も奇術も使えないヒソカww
今の私たち、まさにそんな感じですわww
パッと見強そうなのが余計に質悪い!!
「やるよ~、軍隊式ラジオ体操の後に組手三本だ」
「一応病み上がりなんですから、お手柔らかに」
ふむふむ。昨日より馴染んだようで、体のキレはいい感じですね。
2年半のブランクが心配だったが組手も問題なく出来ました。
手足のリーチが伸びた分、攻撃に幅がでるな。体表面積が増えた分、回避や防御には注意しよう。
「ねえねえ、正直おぱーい邪魔臭くない?」
「そこは慣れるしかないでしょう。いらないならミサイルとして、発射したらどうですか?」
「その役目はB87のシロちゃんに譲るね」
「残念ですが、このミサイルはマサキさんの許可なく発射できないのです。あなたもでしょう?」
「確かに!」
たった2発の秘密兵器です。敵ではなく、好きな男性を落とすために使いましょう。
「それで・・・その・・・あれの再生は・・・した?」
「・・・・」チラッ(無言でシャツを捲り上げる)
「すげぇ!完全回復してる!これがダイヤモンドぱい!おうおう、いい形してるな!」
「フフフ、これでマサキさんを誘惑&悩殺ですよ」
「朝っぱらから義実家の庭で露出プレイwこんなのが我が宿敵かww」
「さあ、こんどはクロちゃんの番ですよ?その名の通り、黒いビーチク見せてくれや」
「黒くないわ!B85のキレイなピン・・・言わせんな!」
互いの上半身を狙った取っ組み合いは、サイさんの仲裁で事なきを得た。
「みっともないから、やめなさい」って言われちゃったよ・・・。
今朝はシラカワ家に集まっての朝食です。
アンドウ家とシラカワ家は、お隣のよしみで頻繁に食事をご一緒するのが伝統らしい。
朝からガッツリ食べますよ。
「いっぱい作ったからたーんとお食べなさい」
「「「「わーい!!」」」」
「若い子は元気ね」
ボンさんとライスさんも中々の健啖家、私たちも負けていられません。
ネオさんお手製の朝食は、なぜか台湾風のメニューだったが、美味しいので文句なし。
「台湾朝食の定番メニュー、鹹豆漿(シエンドウジャン)ですか、美味しすぎます」
「初めて食べたけど、これ好き!」
小エビやザーサイ、青ねぎ、揚げパンなどの具に、温めた豆乳を入れたボリューム満点なスープです。
具だくさんスープによって活力が漲る!
大鍋で作ったスープは4人の騎神によりきれいさっぱり平らげられた。
サイさんにネオさん、そして人間のシュウさんは小食なんですね。
え、私たちが食べすぎ・・いや普通ですよ。
今朝方見た悪夢を話題に談笑する。
「ほほう!ロリコニアですかwwマサキらしい」
「大臣役で特別出演していた癖に」
「身に覚えがありません。10歳で成長が止まる・・・興味深い異常現象です」
「超天才のシュウさんなら、アポトキシン4869を造れますか」
「そうですね・・私の手にかかればあながち不可能でも・・・あいだだだだ!」
「そのような劇薬を調合した場合、黒の組織より早くマスターを始末します」
「ダメだよお兄さま!ロリコニアなんて建国したら許さないよ!」
「折れる!ウマ娘パワーで捻じってはダメです!申し訳ない、愛バの逆鱗に触れたのでロリ薬は造れません」
「ちっ、ダメですか」
「小さい体に戻るのは潔く諦めた方がよさそうだね」
適度の満たされたお腹をさすっていると、テレビからここ最近よく見る映像が流れてくる。
『私の名はルクス、世界に光をもたらさんとする者だ』
「まーたやってるよ。もう飽きたってば」
「何なんでしょうね、この鉄仮面は・・・こいつ絶対コードギアス好きだろw」
ギアスに出てくる、ブリタニア軍人みたいな恰好しよってからに。
金の刺繍が入った白い軍服らしき服にマント・・・特注のコスプレ?
頭部には西洋甲冑の兜を思わせるヘルメットを装着し、声はボイスチェンジャーを通した、男とも女ともとれる耳障りな機械音声。今、世間を騒がせている張本人だ。
「ルクス・・・ラテン語で"光"ですか。けっ!」
「こいつ嫌い、なんかわかんないけどメッチャ嫌い」
私とクロちゃんはルクスの存在を知った瞬間に、得も言われぬ嫌悪感を覚えた。
こいつを見ていると酷くイライラする。
存在そのものが不快、許すな、こいつは敵だと本能が警告しているかのようだ。
腹の立つことに世間では今、このルクスと名乗る不審者の話題で持ちきりなのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私たちが目覚める数日前、日本中が一時的に電波ジャックされる事件が起こった。
公共放送にネットやSNS、あらゆる通信媒体に同様の映像が流れる。
『日本に住まう全てのヒトとウマ娘に告げる』
『私の名はルクス、世界に光をもたらさんとする者だ』
『平和に見える世界は今、停滞を迎え腐敗していく一方だ』
『長き平和は人々の魂を濁らせ、人類は尊厳を無くし、種としての進化は行き詰った』
「そのようなことを私は見過ごせない、人類種の劣化を何としても食い止めなければいけない」
鉄仮面が身振り手振りを交えながら熱のこもった演説をする。
お前誰だよ!合衆国ニッポンポン!でもやってろw
『人類の栄光と繁栄を取り戻す。そのために私が光となって皆を照らそう』
『方法は至極簡単だ。闘争による魂の昇化と発展こそを私は望む』
『全ての戦士たちに力を与えよう。各々が望む闘争をすればいい』
冗談半分や冷やかしで聞いていた人々だが、注意深く監視していた者たちはここで戦慄する。
情報がバラまかれている。それも、まだ世に出してはならない機密情報が!
ネットの海にランダムで大量のファイルが流出していく。
止められない、削除は間に合わない、既に手遅れだ。
『現在、政府や御三家、一部の研究機関が力の独占を行っている。その枠を取り払った』
『どうやって?などと聞くな。私にはそれが出来た、だから実行したまで』
『ここまでやっても疑う者のためにデモンストレーションを行う』
『見るがいい、力を手にした者の姿をな』
映像が切り替わる。場面はどこかの工場?
炎上している!?攻撃を受けている・・・いったい誰が・・・
『あ、もう映ってる?』
場違いな声が聞こえる。ドローンか何かで撮影していのか?カメラが声の主を映し出す。
黒い武装を纏ったウマ娘!?いや、それよりも・・浮いている?単独で空を飛んでいるだと!
小型高性能化されたテスラ・ドライブ?騎神の武装に装着できるものは未だテスト段階なのでは?
黒いバイザーで隠された顔は見えない、声は若い女の物だ。
『彼女は私の協力者でね。今日がちょうど初仕事だ』
『愛バって言ってよもー!皆さんどーもです。私のことは内緒だから、デバイスだけ紹介しちゃうね』
くるっと空中で一回転したウマ娘。
砲身の先に斧が合体したようなライフルを掲げ、黒い翼を広げる。
『カッコイイでしょ?この子はガリルナガン。ルクスが"彼"をモデルに組んでくれた私のお気に入り♪』
『そろそろいいかな?仕事にかかってくれ』
『はーい!視聴者のみんなー応援よろしくぅ!!』
元気のいい声と共に急降下!一直線に突っ込んでいく。
地上に展開した警備用のAMやPT部隊に向けライフルからの射撃も忘れない。
撃ち出された黒いエネルギー波が、邪魔する者をいとも簡単に薙ぎ払い無力化していく。
たった一騎に手も足も出ない。圧倒的な力の差を見せつける。
『お、いたいた!こんな所に・・・』
ものの数分で邪魔者を片付けた彼女はとある施設に目を止める。
頑強な壁を突き破りあっさりと内部に潜入、目的の相手を見つけたようだ。
ハンガーに固定されているのはPT?・・・凶鳥、しかも群れだ。
初代からMk-Ⅲまでが揃って姿は壮観であったが、起動していない状況では余りにも無防備。
目の前の敵に抗う術はない。
『ヒュッケバインシリーズ。手始めに、この呪われし機体たちを駆逐して見せよう』
『やっちゃっていいんだね。この時を待ってたよ、バニシングトルーパー・・アンタのせいで私は・・』
『Mk-Ⅲからはトロニウムの回収を忘れるな』
『わかってるよ!消えちゃえ!不幸を呼ぶ機体!』
機体を見た瞬間に激昂したウマ娘による処刑が開始される。
斧の一撃で真っ二つになる、発射されたウイングの刃で切り刻まれる。
砲撃による爆散、無抵抗のまま不幸を呼ぶと忌み嫌われた機体群が沈んでいく。
僅かな時間で原型を留めているヒュッケバインは皆無となった。
『あ~スッキリした。トロニウムの回収も完了、じゃあ帰るね』
『ご苦労だった。積年の恨みも果たせたようでなにより』
『ルクスのおかげだよ。視聴者のみんなも力がほしいって思ってくれたかな?』
『ああ上出来だ』
『帰ってアイスでも食べよっかな・・ん?あそこにも何かいるね、ついでにバーン!これでよし』
帰路につこうとしたウマ娘は最後に離れた位置にあった倉庫を砲撃、その爆発を見届けて飛び去っていった。
映像がルクスのアップに切り替わる。
『デバイス、新型テスラドライブ、既存のAMやPTに収まらない兵装』
『プレゼントはそれらの技術データだ。その力を使えば単騎で大規模施設の破壊すら可能となる』
力をくれてやったとルクスは言う。
だが何か忘れていないか?この世界には彼女たちが・・・
『ああ、天級騎神のことなら心配無用だ』
懸念を取り去るように告げる。
『彼女たちは不用意には動かない、動けないと行った方が正しいか』
『今の彼女たちは戦場から身を引くことで延命をしている。ただのウマ娘だ』
『最早抑止力とはなり得ない。その証拠に、ここ数年で彼女たちが殲滅した組織はゼロだ』
絶対者の否定、それは、彼女たちの威光で影を潜めていた者たちへの光となったのか。
『それでも心配な者には、クロスゲートを解析した術式や装置のデータを活用しろ』
『天級騎神の弱点はそれだ。ゲートから生み出された技術に天は無力だ』
トップシークレットである天級の弱点をあっさり暴露した。
それもプレゼントしたファイルに入っているぞとルクスは言う。
『わかったろう、邪魔する者はいない』
『闘争による人類の革新が始まる。私はそれを見物させてもらおう』
『ヒトとウマ娘の未来に光あれ』
という一連の演説、犯行声明?によって世界は騒々しくなった。
私たちがグースカ寝ている間にそんなことがあったなんて。
ルクスについての感想、演説がキモくて不快だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「で、ルクスの影響はどうなの?」
「御三家やテスラ研、シラカワ重工の関連企業は蜂の巣をつついたような騒ぎでした」
「幸い、今の所はテロ組織や要注意団体の動きはないみたい」
「情報の流失は60%以上、多数のオーバーテクノロジーや秘匿情報が漏れたようです」
「手に余る力を持った連中がこのまま大人しくしているとは思えない・・やれやれ」
「EOT(イオト)ですか・・アホに武器を与えるなんて、碌なもんじゃないですね」
EOT、エクストラオーバーテクノロジーと名付けられたそれは、安全性などを考慮して封印していたものだ。
時間をかけ少しづつ小出しにして、世に浸透させる計画だったのにルクスのせいでおじゃんになった。
数世代先のチート技術の設計図や研究データの他に、ファイン家が持ち込んだ1stの技術もそこに含まれている。
「守りに入った企業と研究者は御三家に保護を求めています」
「厄介なブツを押し付けたいだけでは?」
「ガリルナガン・・・あの子・・・いや、そんなことない」
「ライスさん?」
「ヒュッケ大量虐殺!クソッ!Mk-Ⅲの設計には私も参加したのに、腹立つなぁ!」
「シロちゃん、そんなことしてたんだ・・・ヒュッケ、絶滅したの?」
「ところがどっこい、まだ生きていますよ・・もっとも無残な程バラバラですけどね」
「データ照合、ヒュッケバイン009がMk-Ⅲ用AMパーツのフィッティング調整機として改造された記録があります」
「そう、名付けてエクスバインがまだいます」
「ガリルナガンが最後に砲撃した倉庫、そこにいたんだね」
「無人機として組直すのは時間がかかり過ぎますね。何とか補強してあげたいのですが」
「エクスバイン・・・」
009、バニシングしちゃった子の兄弟機か・・・良かった、凶鳥の血はまだ生きている。
イメージを変えるために「緑にしたら?」と私が適当ぶっこいた結果、抹茶色に塗装されて整備員から「カッパバインw」とからかわれていたっけな。
その子が今やバラバラ死体になってるとは・・・うーん、何とかしてあげたいですね。
もったいないな・・・改修プランをシュウさんと相談してみようかな。
「天級のお二方は大丈夫ですか?」
「私?私はまったく気にしてないわ!」
「私も~、だってその通りですものね~」
「楽観的と言いますか、母たちはいつもこんな感じですので」
「さて、昼と夜は何を食べましょうかね?」
「今日スーパーがポイント5倍デーよ!一緒に行きましょう」
弱点を世間一般公開されたのに・・・強い!このどっしり感パないわ!
自分たちのことよりメシが大事、主婦だ!かーちゃんは偉大だ。
ルクスのことは御三家や対テロ部隊が血眼になって探していることだろう。
力の無い私たちにできることは迷惑不審者は早く捕まってくれと祈ることだけだ。
朝食後、解散した私たちはマサキさんが使っていた部屋を探索する。
ふへへ、テンション上がるぜ!あ、サイさんの許可は得ています。
「シロちゃん!これ見てこれ」
「黒いノート?どこにあったんですかコレ」
「天井裏にあった!鎖でがんじがらめの上に錠前がかかっていたけど、腕力でロック解除完了」
「一体何が記されて・・・ブフォww」
「どうしたの?」
「痛たたたたたたたwwwあーこれはダメですwww封印指定ですwww痛すぎるww」
「見せてよー!・・・え!フフッwwマサキさん・・・かーわーいーいーwww」
操者の黒歴史を垣間見てしまった。
中二病でもいいじゃないですか、ああ、そんな所も大好きですよ。
ノートにビッシリ書き込まれた中二設定資料集を夢中で読みふける。
挿絵ww挿絵が無駄に上手くて妄想が捗るwww
「アサキムwwwかっけーwww私、シュロウガになってあげたいwww」
「も、もうwwいいでしょうwwプッwwこれは元に場所にwwwちょっと待ってもう一回だけ」
これは私たちの胸にそっとしまっておきましょう。
うん、それがいい!真の愛バは操者の黒歴史も許容します!
ひとしきり笑った後は約束していた相手との待ち合わせ場所へ向かう。
「そこまで!」
「「オッス!ありがとうございました!」
マサキさんが幼い頃から使っていた修練場に来ています。
天級騎神グランヴェール、その旦那様に体術の稽古をつけてもらってはや数時間。
もうすっかり師匠って呼んじゃってます。
「ブラックは少々前のめり過ぎだ、相手の呼吸を読め」
「はい」
「ダイヤ、奇襲奇策も結構だが基礎を疎かにするな」
「はいです」
この如何にも達人風なお方は本当に人間なのでしょうか?
師匠、口数少ないのでコミュニケーション取りづらいんだよな、名前は烈?やっぱり海王なの。
いくら弱体化しているとはいえ、私たち二人がかりでも息一つ切らせていません。
中国武術恐るべし!夫婦揃ってナチュラルに炎を出すのもヤベェ。
持参したタオルで汗を拭いてから水分補給、あーポカリうめぇッス!
「覇気が出せんようになるとはのう。困ったもんじゃ」
「誠に不可解な現象だ」
「グラさん、師匠も、何とかできない?」
「ダーリンは元よりわしも専門外じゃな、こんな時こそガッデスがおればのう」
「天級一の術士、ガッデスですか・・・是非お会いしたいですね」
修練後、グラさんと師匠に別れを告げて帰宅途中。
中身空っぽの鎧、アインストのアーマーに遭遇した。
見れば、すれ違う人々と気さくに挨拶をしており、日常に溶け込んでいらっしゃる。
この村、ラ・ギアスの異常性を改めて認識。異世界の謎生命ぐらいじゃ動じない。
「散歩中、付き合え」
「いいですよ。お供しましょう」
「どこ行くの?」
「ゲート、様子を見に行くのが日課」
クロスゲート、マサキさんに抱っこされて散歩した時に見た遺跡にあるというヤツか。
アーマーについていくと、そこは以前に見た遺跡は見当たらず、頑強そうな防護壁に周囲を囲まれた無機質な建物があった。
武装した警備員に挨拶して内部に通してもらう。アーマーは顔パスで、連れの私たちにも許可が下りた。
ザル警備ですね。
「ここにあったはずの遺跡はどうなりました?」
「全部吹っ飛んだ、悪いのはぺルゼイン、それとマサキ」
「マサキさん絡みなら仕方ない」
建物内部、5つ目の隔壁を抜けた先にそれはあった。
大きなリング状の構造物が部屋の中央に横たえてあり、データを収集でもしているのか周囲にある電子機器がカタカタと細かい音を立てている。
白衣を着た研究員らしき人物が「見学ですか?ごゆっくり」と言って部屋を出て行った。
この部屋は外部から常に監視されているので問題なしとのこと。だからザルだって。
ほう、こいつがクロスゲートか・・・冗談抜きで異世界へと通じる門が目の前に鎮座している。
「クロスゲート、アーマーはここから来たんだね」
「おうよ」
「天級騎神の攻撃に耐えるどころか、ゲートを解析して生まれた術式は天級の弱点そのもの・・・」
「せやな」
「ちょいちょい受け答えが雑なの気になるなぁ」
「すまんの・・・???・・・イモ、そこから離れろ」
「イモ!?私のことですか。離れろって、え?」
「シロちゃん!ゲ、ゲートが動いてる」
「なんですと!」
アーマーの忠告後、即異変が起こる。
急にゲートが淡い輝きを放ち出したかと思えば、輪の内部が水面の様に揺らぎだす。
「う、美しい。キレイな輝きですね」
「見惚れている場合か!ちょ、シロちゃん覗き込み過ぎ!落ちても知らないよ」
「平気ですよ。なぜかわかりませんが、コレが悪いものだとは思えないんです」
「緊急事態、マニュアルに従い隔壁下ろす」
「あれ?この状況、結構ヤバイ」
アーマーが扉付近の非情レバーを引っ張り部屋を隔離する。
モニター越しにこちらを見ているであろう研究員及び警備員に連絡もしている。
なにこのアインスト優秀過ぎじゃね?
おいバカ敬礼やめろ!決死の覚悟で残り、犠牲になるみたいな空気出すな。
「来る、衝撃に備えろ」
「来るって何が!?」
「アレですよ。世界滅ぼしちゃう系のラスボスっぽい奴」
「ラヴォス、サルーイン、ゾーマ、ニュクス・アバター。この辺りなら、ちょっと会いたいんだけど」
「人修羅」
「「それはマズイ!!」」
アホなこと言っている間にゲートの輝きは強くなり、何かが飛び出してきた。
球体のそれはよりによって、退避していた私の・・・
「ブヘェッ!!」
「シロちゃんのナイス顔面セーブwww」
ええそうです。顔に直撃しましたよ。
「いっっってぇなぁ!ちくしょうーーー!!」
「何?何がぶつかったの、黒いボール?」
「キャッチ」
転がっている球体をアーマーが捕まえる。
ゲートはそれっきり動きを停止した。
一体何だったんだ?
「私の顔面を強襲するとはいい度胸だな、このくそボールがぁ」
「大きいね、触っても大丈夫なの」
「解析中・・・」
「卵かな?」
「だとしたら、生まれてくるのは碌な奴じゃないですね」
直系1mぐらいの黒い球体をアーマーがペタペタ触りながら様子を伺う。
「おk、理解した」
「「あっ!?」」
いきなりで一瞬の出来事だった。
アーマーの体を構成する鎧の胸部があんぐりと口を開けたと思ったら、黒い球体を飲み込んでしまったのだ。
「ゴチです」
「何やってるんですか!そんな得体の知れないものを食べて」
「そうだよ!何味だったか教えてよ」
「ピスタチオ」
「「流行ったけどさぁ!!」」
「気にすんな、ええから、帰るぞ」
「い、いいのかなぁ」
「本人が平気っぽいので良しとしましょう」
面倒事に関わりたくないのか、職務放棄した研究員たちは「何も見なかったZE☆」と親指立てていた。
ダメだこいつら・・・
ゲートの監視と警備を、この人たちに任せるのはやめた方がいいと進言しよう。
「揃ったな」
「何が?」
「天級」
「は?」
自宅へと歩きながらお腹?をポンポン叩くアーマーは何故かだか満足げな様子だった。
「ただいま」
「だだいま帰りました」
「お帰りなさい。あら、アーマーも一緒だったのね」
「ただいま、母上、朗報」
「何々、ついさっきゲートが一瞬だけ起動したことと関係あるのかしら?」
「母上の同胞捕まえた」
「ん?・・・( ,,`・ω・´)ンンン?」
「同胞、まさか残りの天級騎神!」
「え、ガー子にザム吉が!どこにいるの」
「ここ」
「どこよ?」
「あの顔面強襲ボール・・・」
「ねえ、ヤバくない?食べちゃったよね、ピスタチオ味だったよね」
「とりあえず、一匹出す」
「うわ!ゲロした」
ペッ!と胸部装甲の隙間から何かが吐き出された。
「な?子供?」
「ちょ、大丈夫!大変!意識が無いよ」
「この覇気・・・メチャクチャ弱ってるけど、いや、確かに面影が・・・げっ!死にかけとる!」
青い髪の幼女をすぐさま抱き上げてアタフタするサイさん。
私たちが寝ていた客間に布団を敷いて寝かせ、ネオさんたちを招集する。
この日は天級総出で、代わるがわる覇気を補給しながら看病するハメになった。
「じゃ、こっちも、作業開始」
「今度は何ですか、おい、ちょっと」
「あれ?もう寝るの」
「アーマーから・・・ミオ・サスガに」
「「???」」
慌ただしくなった安藤家。
鎧のアインスト、アーマー縁側にドカッと腰を下ろしたまま動かなくなった。
最後に呟いた言葉の意味はわからなかった。
クロ「私キターー!!しゃああああああああああああああ!!!」
アル「一周年です。おめでたいですね」
ココ「やったね!ウマ娘はこれからもガンガン盛り上がって行くよーー!」
シロ「・・・」
クロ「あれ?何かサトイモが転がってるwww」
アル「申し訳ありませんw私の方が先でしたねwwいやホントww」
ココ「あはははははははwwwひゃはははははははwww最下位イモwww」
シロ「酷くない?せめてクロちゃんとのダブルピックアップガチャでしょうが!!」
クロ「タンホイザ来ちゃったww」
アル「可愛らしい方ですよね。あ、次はメジロブライトだと思いますww」
ココ「新しい子も増えたからねwwサトイモの収穫はまた遅れるかもねww」
シロ「オマエラマジオボエテロ・・・運営様!マジで頼みますよ~」