「そいつらを殺せぇぇーーー!」
発情期のヒト(♂)が小物臭漂う命令を下す。
それにより、PTとアンドロイド群が一斉に動き出した。
完全包囲されている不利な陣形だが、ここは慌てず騒がずキッチリ防御だ。
ランチャーや機関砲から繰り出される弾丸の雨霰が飛んで来る。
慌てなーい慌てない。
「私の尻尾は変幻自在」
形状変化で扇状に広げた尾を盾にしてガード。
結晶体の尻尾は"オルゴンテイル"とでも名付けましょうか。
ビームも実弾も簡単に弾いてみせますとも。
「ちょ!自分だけなの、私も守ってよ。全然余裕あるじゃん」
「悪いなクロ!この尻尾ガード、私と操者専用なんだ(嘘)」
「スネ夫のような憎たらしさ!もう~意地悪だなぁ」
そう言いつつ、オルゴンクラウドで盾を造りガード決めているクロ。
そこへアルトのステークが迫る。
「まずは一匹ぃ!!」
クズうるさいです。
クロの土手っ腹に風穴を空けたステーク、排出される薬莢。
嬉しそうに口を歪ませるクズは見た。
バキンッ!
「なんだと!?」
仕留めたはずの得物、その体が砕け散った!?
アルトが貫いたものは人型の結晶体。
ほう、変わり身の術ですか。
「どこ見てるの!」
難なく背後をとったクロ。
"オルゴナイトミラージュ"結晶で分身を作り出す技ですか。面白い手品ですね。
奇襲に反応できないアルト、そこへ結晶に包まれた両拳で殴りつける。
「それっ!それそれそれ!」
目にも止まらぬ連打。威力は素手だった頃とは比較するのもバカらしい。
堅牢なアルトの装甲が無残にもベコベコである。
「オルゴンスラッシュ!」
トドメに右脚のトーブレードによる飛び蹴りを叩き込む。
つま先に形成された結晶刃で胸部を抉られたアルトは、蹴りの威力を殺しきれず大きく後退せざるを得ない。
「よし、いい感じ!」
「ぼ、僕のアルトアイゼンが、バカな!」
バカはお前だ。この調子で残りの玩具も片してやんよ。
「アルトは任せて、このまま追撃する!」
「頼みました。ヴァイスとアンドロイドは私がやります」
アルトを追って離れていくクロ。
それでいい、大火力で戦闘の中核を担うアルトを抑えてくれるだけで随分楽になる。
「突撃バカ同士でやり合ってくれるとありがたいです」
こちらを警戒したヴァイスは遠距離砲撃に徹するみたい、先にアンドロイドの数を減らしましょう。
取り囲んでの機関砲乱射ですが、いくら撃っても無駄無駄無駄ァ!
埒が明かないと判断した何体かが突っ込んで来る。
「近接戦闘に移行」
「目標補足」
いっぱいキターーー!
一対多数の戦闘は不利じゃないかって?そうなんですけどね。
一騎当千の強者が雑魚を蹴散らすのって素敵ですやん。無双したいお年頃なのです。
そのためのオルゴンテイルです。
「排除かい・・・!?」
「よっこらせっ!!」
4本のオルゴンテイルを力任せにブン回す。
それだけで不用意な接近した数体が薙ぎ払らわれ宙を舞う。
なるほど、思ったよりパワーがある。
斬り、突き、払い、叩きつけ、物を掴んだりといろんな使い方が出来そう。
「戦闘パターン、ルシファーに酷似」
「危険!現行戦力では対処不可と判断」
む、ルシファーというのは別世界の私ですね。
似ている?それじゃあダメだ。彼女と同じではいけない、超えていかないと。
試行錯誤を繰り返し、もっと愉快で残虐な芸を身に着け披露してやろう。
「いいから行け!消耗品どもが。一斉に自爆でも何でもしろ!」
クズがクズな発言をしている。
最低の上司に使われているアンドロイドたちに少し同情してしまった。
人型特攻兵器と化したアンドロイドが群がって来る。
触るとドカン!ですか、ならば。
「くっ!まさか触手を使ってくるとは」
「ノー触手!しっぽ!可愛いダイヤの尻尾です!」
どいつもこいつもオルゴンテイルの良さがわかっていない。
きっと冬場なんか凄く重宝しますよ。
コタツに入ったままで、遠く離れたリモコンや漫画、みかんだって取れちゃうんだからね!
6・7・・・向かってくるのは8体か。
正面6、背後から2。そうそう、もっと近づいて来い。
「自慢の触手ごと爆死しろ!」
尻尾だって言ってんだろ!
ここで本数を増やす、迂闊に近づいたことを後悔するがいい。
「ブチ抜いてやります!」
できた!モデルイメージはグレンラガンのフルドリライズ。
私を中心にオルゴンテイルが伸び突き出される。その数16本。
先端を鋭利な刃に変化させた尻尾に貫かれ動きを止めるアンドロイドたち。
接近して来た8体、全て串刺し完了。
尻尾の本数や大きさを調整すれば、ヘッジホッグなトゲトゲダイヤちゃんの完成です。
無礼者めが、私はお前ら如きが気安く触れていい女じゃないんですよ。
「コードATA―――」
「させると思うか」
「A―・・」
「エラー、外部から本機へ侵入され、エラー」
「躯体・・制御不能、範囲なおも拡大中」
「ATAによる自壊を・・・ガッ」
自爆など許さない。
串刺しにしたアンドロイドたちの体を結晶が包み込む。
内側からも外側からも流し込み、取り囲み、吸収(つまみ食い)、残りは放って置けば霧散するだろう。
もう一人の私、ルシファーの得意技"浸食攻撃"はお気に召してくれましたか。
私この技好き、これ滅茶苦茶使える。
「へぇー。量産型Wシリーズ、1stで運用された戦闘人形。そのカスタム機ですか」
取り込んだアンドロイドの情報が頭に流れてくる。それで、こいつらの素性がわかった。
浸食した対象を文字通り"食らう"ことで自身の一部とする。
動力炉からは疑似覇気を拝借し、ちょこっとだけEN残量が回復した。
機械相手ならそのAIに刻まれた情報を、生物なら蓄えられた知識を奪える。
我ながらなんとエグい!
捕食せずに解析・構築・改造を優先することも可能っぽいな、この辺はまあ、おいおいね。
自爆することもできず結晶化し、砕け散っていくWシリーズ。
それをみたクズはいよいよパニックを起こす。
「い、今のは何だ!?何をしたぁーーー!!」
「ホントうるさいな、ちょっと食べただけですよ」
「食べた?アンドロイドを食っただと」
「お腹は膨れませんけどね。自爆させないための苦肉の策です」
「化物が、話が違うぞ。高く見積もっても轟級クラスではなかったのか」
「違いますー。ルクスの目も節穴ですね」
「ではやはり、超級騎神か」
「無級です」
「ムキュー?そんな級位聞いたことがないぞ」
実は私、級位持ってないんですよね。級位無し、だから無級です。
クロと一緒に烈級騎神の試験を受けには行ったのですがいろいろあってサボっちゃった。
あの時はクロが試験官を半殺しにするハプニングが面白過ぎてヤジを飛ばすのに必死でしたから。
こう見えても一応ね、サトノ家の次期頭首ですから日々忙しくって面倒くさくって今に至る。
今後級位を取るかは操者と相談して決めたいと思います。
マサキさん、そういうの無頓着そうです。
「どうでもいいで・・来るか」
「ヴァイスリッター!その触手生物を殺せ!」
Wシリーズをぶっ飛ばしながらクズに接近した所でヴァイスが来た。
私がテストしていた時より、オクスタンランチャーが強化されている。
EモードとBモードを同時に撃っても銃身が安定しているし、燃費も中々。
おー撃って来る来る。
「上等です。そのガンファイト受けて立つ」
両手に覇気を集中、二丁拳銃をイメージしてオルゴナイトを・・・アカン。
複雑すぎる武装は結晶体で再現するの大変だ。ぶっちゃけ面倒くさい!
仮に結晶銃が完成したとして、造った労力分の威力や効能は発揮されない。
※女神マニュアルにちゃんと書いてありました。
結晶武器はシンプルな物をチョイスするか、装備中のデバイスや武器をコーティングするのが吉。
ハンドガンが二つに、後はライフルがあればいいのですが、無いものねだりですね。
仕方ないのでクロみたいに、両手をオルゴナイトで包み結晶弾を生成。
上空にいるヴァイスに向けて撃ちまくる!
「カトンボめ、落ちなさい!」
銃撃戦開始!
オラオラオラァ!連射連射連射だーー!
そっちがビームと実弾なら、こっちは覇気弾と結晶弾で応戦してやる。
アルト程の装甲が無いのは知ってるぞ、対覇気装甲とビームコートがある?
結晶弾で貫いてみせますが何か?
回避運動を取りながら撃って来るヴァイスに合わせ、こっちも移動砲台と化す。
その間にも地上のWシリーズが自爆特攻を仕掛けて来るから大変。
顔と両手の砲身はヴァイスに向けたまま、群がるボム兵どもはオルゴンテイルで蹴散らす。
なんか見えているんですよ、敏感なオルゴンテイルは感覚器としての役目も果たします。
コレただの尻尾じゃねぇ!
攻撃・防御・索敵も可能で、その他便利機構を積み込んだ複合武装だ。ひゃっほう!
「クソがぁくそっくそっ!」
安全圏にいるクズが頭を掻きむしりながらこちらを見ている。
どうした?縮こまってないでお前も参加しろよ。
あ、お前は食べないから安心して、なんか頭悪くなりそうだから遠慮します。
「ただいまー」
「あれ、戻って来たのですか」
Wシリーズ最後の一体、その体が縦にスライス(四分割)された。自爆する暇もあったもんじゃない。
軽やかな足取りで戻って来たクロの仕業だ。
少し息が上がっているが余裕そう、安心した。
「ウルヴァリンやwウルヴァリンがおるww」
「どう、いいでしょうコレ」
両拳から生えた結晶爪を見せびらかすクロ。出したり引っ込めたりすんな!
「アルトは?」
「そこそこ遊べたかな、もうすぐフィニッシュ」
「こっちもです」
上空への射撃を止め、クロと共にちょっと後退。位置取りを新たに仕切りなおす。
被弾した各所から煙を上げるヴァイスはクロを追って来たアルトの横へ並ぶ。
あらら、左腕が根元から消失、ヒートホーンもポッきり折られているじゃないですか。
キタサンブラック、サトノ家の無垢なる鉄砲玉と踊ればそうなりますよねー。
怖気づいたクズを挟んで右に私たち、左にPTども。
こうしていると、そう、なんかねシンパシーがね。
短い間でしたが互いの健闘を称えあって奇妙な連帯感が・・・微塵もあってたまるか!
所詮PTとウマ娘ですから、前半でボコボコにされた恨みは忘れませんから。
「リミット解除だ!とにかく、そいつらを何とかしろぉーーー!」
「マジうるさ」
「声ガラガラになってきてないw」
のど飴常備しとけや。
クロは生姜入りの本格的なものが、私はミルク風味の優しいのど飴が好き。
使い手に恵まれませんでしたね。そこだけは同情します。
クズの命令でアルトはステークを振りかぶり突貫、ヴァイスは上空へランチャーを構え貯めに入る。
「「・・・・!!」」
さあ、ファイナルアタックです。
「バッチリ決めて来なさい」
「うん。お先に!」
あ、アレをお忘れなく。
「オルゴンマテリアライゼーション!」
言えたじゃねえか。
女神マニュアルにあったキメ台詞略して"オルマテ"ちゃんと言えましたね。
集中したクロはおもむろに巨大な結晶体を生成する。
でか!無駄にでか!それをどうする気ですか?
「ごめんね。もし、生まれ変わったら次はもっと遊ぼう」
「・・・・」
生成した結晶体を前方に撃ちだす。射撃?いやこれは・・・
間髪入れずに駆け出していくクロ、その速度は先行した結晶体に軽々追いついた。
「よっしゃぁ!」
ど、ドッキングしたー!
右手を結晶体に打ち込んで巨大なクローアームに変化させる。
そのドッキングシーケンス無駄・・・いや、ありですね。
更にウマ耳を覆う結晶角が展開、猛烈な勢いで覇気(オルゴンエナジー)が噴出する。
何それ?何してんの。まさか、消費しきれなかったENを排出してんの。
そのまま超加速!
輝く巨大な右手、オルゴンクロー。
流出した覇気により、加速した全身に緑色のオーラを纏ったように見える。
その姿は、かつてベーオウルフと呼ばれた化物を彷彿させる禍々しさと、女神が如き神聖さが両立していた。
アルトが加速しながらクレイモアを乱射する。
それをものともせず突っ込むクロ。
標的は眼前、二人の距離はゼロになり交差する。
打ち込まれるリボルビングステークとぶち込まれるオルゴンクロー。
「これで・・・フィニーーーシュッッ!!!」
緑の右手がステークを、いや、アルトの上半身を丸ごと削り取り、握り潰し、破壊する。
ズササァーー!と土煙を上げてブレーキをかけるクロ。
覇気の排出が終わり、ギュっと握り込んだオルゴンクローも役目を終える。
アルトアイゼンだった物はオルゴンクローと一緒に粒子化して霧散していく。
残された下半身だけが直前までそこにPTがいたことを証明していた。
「フゥー気分爽快!」
よくやった!
それではこっちも・・・え?まだチャージするの仕方ありません。お付き合いします。
オルゴンテイルは4本でいく。
まずは2本を使う、地面にブッ刺して姿勢制御アンカー代わりにする。
「スリット解放・・イメージは銃じゃなくて弓で」
残りの尻尾は羽のように広げ、用意した隙間から余剰分の覇気を排出する。
今の私、ルシファーと呼ばれた化物みたいですか?尻尾多めの女神ってことでどうよ。
狙いは上空のヴァイスリッター、クロが見せてくれたように大きめでやってみよう。
「オルゴンマテリアライゼーション!」
両腕で大きなクロスボウを構えているイメージ。
撃ち込むのは結晶体でできたした巨大な鏃状の塊。こいつは痛てぇぞ。
ちょうどヴァイスのチャージも終わったようだ。
「・・・・!」
見下ろしながら、、砲身が焼き切れる程の太くて高威力のビームを撃ってきた。
反動キツそう、機械の癖に無茶をする。これが最後の一撃だと理解しているのですね。
そんなのまともに食らったらクレーターの中心でヤムチャさんみたいに、なってたまるか。
勝つのは私だ!
「アブソリュート!行けぇーー!」
空へ撃ち出される鏃。
極太のビームを突き破りながら天へと駆け上がり標的に命中。
粉砕!玉砕!大喝采!
結晶の塊と共に砕け散ったヴァイスリッターは影も形も無い。
跡形もなく消えてしまった。
残ったのは何もない地面に着弾したビームの余波と、空で舞い散るオルゴナイト片と覇気の輝きだけだった。
「ざっとこんなもんです」
どうです?綺麗な花火でしたね。
バスカーモードでの初陣としては良い結果をはじき出せたと思います。
この力、使いこなすにはまだまだ修練が必要ですね。
デバイスも用意しないといけないな、オルゴナイトを邪魔せずそれでいてもっと・・・
後にしましょう。とりあえず何とかなりました。
「お疲れ様~。オルマテちょっと噛みそうになった」
「あれ言いながらだと結晶体がゴリゴリに強化されません」
「やっぱり!そうだよね」
「不思議なこともあるものです」
クロと合流、互いの無事を確認。大きなケガもなく何よりです。
「あー終わった終わった。それじゃあ」
「帰りますか」
「そうだね。なんか疲れた」
「お前ら・・・ちょっと待てぇぇーーー!」
「「誰?」」
「ぐっ、アーチボルドだ!」
「ねぇ、あの人型の生き物何?見ているだけで胃がムカムカするんだけど」
「しっ!見ちゃいけません。アレはクズ虫と言って近づくとアホがうつる特級指定害虫です」
「なんて恐ろしい!」
「しかも発情期なので手に負えません」
「駆逐!駆逐!今すぐ駆逐しないと」
「触りたくないのでクロにお任せしますね」
「嫌だよ!そういうのはじゃんけんで決めようよ」
「私パーを出します」
「心理戦やめーや」
「誰がクズ虫だ!こっちを見ろぉぉぉーーー!」
もう、クズ虫のテンションが高くてウザったいこと。
ああいう大人になってはいけない反面教師の鏡だな。
「よくも、よくも僕の手駒たちをやってくれたな」
「やりましたけど何か?」
「残りはあなた一人だけ、早く終わらせよう」
「どこまでもムカつくやつらだ!いいだろ見せてやる。僕のデバイス、グラビリオォォォン!」
グラビリオン?
昔AMのコンペで没ネタになったヤツにそんな名前があったような。
それをデバイスにしちゃったかー、やっちまいましたな。
あの時、メジロはアーマリオン、サトノはズィーガリオンを推していたからわかんね。
おやクズの様子が変だ。
体中に装甲を纏って二回りぐらいでっかくなっちゃった。
全身に着込むパワードスーツタイプのデバイス、そういうのもあるのか。
着膨れしたなぁ何だこれ、リオンが元になっているとは思えないほど不格好だ。
「はははは!どうだ驚いたか」
「「ほぇー」」
「ルクス秘蔵のデバイス。ぐふふ、全身に力が溢れるようだ。これで貴様らをズタボロにしてやる」
(はいそのまま~動かないでね)
「今なんか聞こえた」
「クロ、私の後ろへ」
遅い、やっと動くのかよ。
「そうだ最初からこうしていればよかった。役立たずのPTどもは不要だったな」
「お、守ってくれちゃう」
「まあ一応」
「照れちゃってこのこの~」
て、照れてないし!仲間を守るのは当然だし。
え?目の前の急にでっかくなった人?ほっとけばいいと思いますよ。
「このアホウマどもが!いい加減にしろ!しぃぃぃねぇぇぇッ―――おぼフッッ!?」
「「おぼふww」」
攻撃開始しようした元クズ、現8メートルぐらいの不格好ロボに何かが着弾し爆発した!
緑・・結晶の弾丸だと!?
サッカーボールぐらいの弾丸は命中と同時に砕け散り、私たちがいる場所にも余波が襲う。
登場してすぐに大破したクズは何もできずに轟沈。
危ねぇ!ガードしておいてよかった~。
「うわぁ何?誰の仕業」
「今のオルゴナイト・・・ちっ、そういうことですか」
崩れ落ちるグラビリオン(笑)の残骸からボトっと何か出て来た。
しぶといなーなんで生きているの?何でアフロになってるの?
「終わったのかな」
「ここからが本番ですよ」
「まだ増援が来るの?」
「ええ、クズの何倍も厄介な奴がね」
バスカーモード解除っと、くぅ~疲れました。
覇気は・・出せる、戦闘はまだいけそうだ。
ケガが無いかお互いにチェック、ついでに服装と毛並みを整えておく。身だしなみ大事。
ヒーリング・・・出来なくもないが苦手だ。これは操者にやってほしい。
「マサキさんのヒーリングが恋しい」
「アレめっちゃ効きますからね。戦闘終了後のお楽しみですよ」
車両が近づいてくる音がする。
しばらくして、私たちの前に複数のミニバンが到着。
中から思った通りの奴が降りて来た。
「どうもどうも~二人ともお疲れ様だね。ご機嫌はいかがかな?」
「やっぱり」
「お、お前は・・」
「「インモーかよ!!!!」」
「将軍かよ!みたいに言わないでよ!」
「今更なんなの、遅刻だよこのクソ野郎」
「お前戦闘中ずっとチラチラ見てただろ、クズ一匹仕留めたぐらいで調子のんなや」
「げ、元気だな。前半死にかけていた癖に」
「なんだコラやんのかぁ!耳と尻尾むしり取ってやる」
「今なら秒でぶっコロだぞ、オルゴナイト尻にブッ刺してやるよ!」
「この底辺チンピラウマどもがぁ。これはマサキが苦労するのも納得のDQN」
「気安いぞ、誰がその名前を呼んでいいと言った」
「DQNで結構、今から全面戦争するでおkですね。はいわかりましたーインモー一匹処理しまーす」
「はぁ頭痛い、とりあえず二人とも落ち着いて」
落ち着けだと?無理だ。
戦闘中、あわよくば殺そうとしたのはそっちだろ。
さっきの結晶弾、あの結晶はマサキさんの覇気で生成したんだろ。何故お前がそれを持っている。
そして、こちらのイライラ助長させる最大原因がある。
なんで・・・
「「何でお前からマサキさんの匂いがするんだよ!ドちくしょぉぉぉッーーーーー!」」
「あ、わかる?そりゃもう愛バだからね。操者の匂いがしても何も問題なしなし」
「ありだわ!大ありだわ!」
「わかったジャケットだ!そのサイズ違いジャケットから匂う」
インモーは一回り大きめの黒いジャケットを羽織っている。
嬉しそうに見せびらかすようにくるっと回ってみせるインモー。
「マサキにプレゼントしたらフェロモン付けて返してくれたの」
「返品されてんじゃねーか」
「いや、でも、その手があったか!一旦着てもらってそれを返してもらえば・・・」
「あげないよ!」
「そこは"あげません!"だろ。ぐうう、羨ましい」
インモーの匂いが付いてしまっているが、着てみたい。
きっとマサキさんに包まれているような着こごち夢心地だろう。
ぎゃーぎゃー言い合いをして無駄な体力を消費。そろそろ先に進もう。
「で、クズを使って私らを殺害しようとしたのはあなたですか?」
「ルクスとクズの動きを利用したのは認めるよ」
「何故そんなことをって、アレしかないか」
こいつは別世界1stの出身か事情を知っている奴なのだ。
ベーオウルフとルシファー、それになる可能性を秘めた私たちを警戒し暗殺を企てるのは当然。
「二人が暴走したら殺すつもりだったよ。乗り越えてくれて本当によかった」
「今後もずっとつけ狙う気?」
「その必要はないよね。まあ、マサキを裏切って悪さするなら・・・いつでも殺してあげるから」
「こっちのセリフだよ」
「マサキさんの敵は私たちの敵です」
「うんうん。そこは愛バとして共通認識ってことで」
ふん。精々暗殺されないよう気をつけますよ。
「本当になったんだ、マサキさんの愛バに」
「謝らないよ」
「「・・・・」」イラッ
「どんな理由があれ、2年以上も操者を放置したのはそっちだから」
「「ぐぬぬ」」
「むしろプラス2で済んでよかったと思ってほしいよ!」
「「おごご」」
「あんないい男を逃すなんて!どれだけのウマ娘が気持ちを押し殺して我慢したと思ってんの?」
わかってますよ!だから離れるのが嫌だったんです。
「二人のマーキングにビビッて遠慮して諦めた子に感謝しろ!逆に謝れ!」
そこまで言うかこいつ。
「まあ私は我慢も諦めもしなかったけどね!初見でホテルに連れ込んだからね!!」
「「何してんだてめぇぇぇーーー!!」」
「フフッ、あの時のマサキったらウブで可愛かったな~うぇへっへっ」
「こいつマジで消した方がよくない」
「汚い!流石インモー汚い!」
「汚いは褒めことばだよ」
涎垂れてんぞ拭けや。
ホテルインしただと・・・殺意で人が殺せるなら目の前のウマを100万回地獄送りにできる。
「やったんか?」
「・・・」
「最後までやったんか?」
「何のことかな~」
「「うまぴょいしたのか聞いてんだよ!!」」
「それはね~・・・えへへ////」
「なんだ未遂か」
「とりあえず安心」
「む、なんでそう言い切れるのかな」
「完遂済みならもっと偉そうに堂々としているはずですからね」
「それか嬉し恥ずかし幸せ過ぎて頭沸騰してラリっているはず」
「バレたかー。でもね、もう少しだったんだよ」
このインモー、マジで油断できない相手だ。
マサキさん、頑張って自制してくれたんですね。
私とそういう雰囲気になった場合は頑張らなくていいです。我慢ダメ絶対!
「もう一人はどうかわからないけどね」
「「なん・・・だと・・・」」
「私たちの知らない内にマサキは、マサキは、うまぴょいを」
「「う、うまぴょいを」」
「強いられたかもしれないんだッ!!」集中線!
「「いやぁぁぁぁーーー!!」」
「という事になってるかは、本人に直接聞いてみようよ」
もう一人の愛バとやら、そのご本人はどちらにいるんですかね。
ちょうどその時、ガサッと茂みから音がした。
「お、来たかな」
「ボス~、あいつヤベェよ。何とかしてくれよ~」
長身のウマ娘が現れた。なんかヘロヘロに弱っているのですが。
こいつも私たちと同じ愛バ?
「お疲れゴルシちゃん。それでお相手はどちらに?」
「手に負えねぇーよ。もう環境破壊ってレベルじゃないほど大暴れしやがった」
「それでおめおめと逃げて来たと、敵前逃亡で減給だね」
「いやマジでイカれてるんだって!こう雷がビリビリでドーンッッ!」
「雷ねえ、ここから遠い位置で撒いて来たのか・・迎えに行った方がいいのかな」
「あいつもうウマじゃないよ。ゴリラだよ電気ゴリラ、ゴリ娘パワフルダービィーだよ!」
「「何言ってんだこの人ww」」
ゴリ娘?この森にはそのような生物がいるのか、たまげたなぁ。
「うーん、どうしよっかなー」
「とりあえず場所を変えません?」
「お腹減った」
「そうだね。じゃあ・・」
「こ、こ、コケにしやがってぇぇぇーーー!!」
あ、クズ(アフロ)が復活した。
「忘れてた。どうするのコレ?殺処分?」
「ファイン家が何とかしてくれますよ」
「いや、うちはゴミ処理業務は受注してないよ」
「どうせ脱走犯だろ、メジロ家にパスすればいいんじゃね」
「シャカーー!これどうしたいい~!」
周囲の残骸撤去等、戦闘の後始末をしているファイン家部隊の一人に声をかけるインモー。
「ああ?知らねぇよ。えーとそうだな、何処かの財団がDクラス職員募集してたから提供しとけ」
「その案いただき!」
「よかったな就職先が見つかったぞ」
「いいわけあるかぁ!」
何でこんなに元気なのだろうか?デバイスがぶっ飛んでピンピンしてる、ゴキブリ並みの生命力。
はっ!もしやテラフォーマーでしたか。
「どうして僕がこんな目に、あいつだ!あの男に関わってから全てがおかしくなった」
なんか独白し始めた。
「マサキ!あのバカでアホ丸出しのマザコン・シスコン・ロリコン三重苦のクソ野郎が!」
そこまでにしとけよ、誰の文句を言っている。
ここにいる全員が殺気を出したのに気づけやボケ。
「今度会ったら殺す!絶対に殺す!アンドウマサキはこの僕が必ずコロ―――」
「誰が」
雷光一閃。
「誰を殺すって?」
この場にいる全員、反応できたのは何人だ。
辛うじて青白い雷が駆け抜けたと認識した。
次に見たのは、クズの頭を踏みつけ顔面を大地に叩きつけているウマ娘の姿。
今のは何だ誰だ?いつの間に。
バチバチッと弾ける雷光。
端正な顔立ちのウマ娘から発せられる怒気と雷は震える程に美しく、恐ろしかった。
クズはピクピクと痙攣しているので死んではないようだ。
「こいつです。こいつがゴリ娘です!」
「「「「な、なんだってー!!!!」」」」
「え、な、ゴリ?ち、違います」
「ひぃ!電気ゴリラ怖えーよ。誰か助けろくださいお願いですあいつマジでヤバイの」
「ゴルシちゃん、言語に異常をきたすほど怯えて」
「シロ!まだ戦える?」
「ええ何とか。さて、ゴリ娘相手にオルゴナイトがどこまで通用するか」ゴクリッ
「生け捕りにしろ!テスラ研に売り飛ばせば金になる」
緊急クエスト発注!謎の電気ゴリラ・ゴリ娘を討伐せよ。
「やめてください!ゴリラじゃありません、ウマですウマ娘です」
「電気出すウマ、新種発見か。やはりテスラ研に」
「せっかく出て来たのに、またあそこへ戻るのは遠慮したいです」
自分はゴリ娘ではないと、慌てて弁解しだす自称ウマ娘。
ええー、ほんとにござるかぁーー?
「ねぇ、何でクズを攻撃したの?」
それだ!このウマ娘が敵ならなぜクズをピンポイントで攻撃したのか。
「あの人の悪口を言いましたから、ついカッとなってしまって・・・申し訳ありません、お嬢様」
「あの人?マサキさんを知ってる。それにお嬢様って言った」
「そうか、ラ・ギアスからずっと護衛してくれていたのはあなたですね」
「サトノの従者部隊!そっかパパの差し金か」
「この度は馳せ参じるのが遅れてしまい、誠に申し訳ございません」
「どうせインモーが妨害していたんでしょう。しかたありません」
「お名前を聞いてもいいかな」
「はい、申し遅れました。私はサトノ家従者部隊0番メジロ―――」
「「めじろ!?」」
「そうそう、この子がアルダンちゃ・・アルダンさんかな。実際に会うのは初めてだから一瞬わかんなかったよ」
「ファイン家頭首様、この間のお話は何かの間違いでは」
「あらら、心当たりある癖に~」
「そ、それは・・うう////」
「「どういうことなの」」
え?従者部隊で私たちの護衛で0番?メジロって言った?
それでインモーがニヤニヤしながら弄って赤面してウホッ!かわええ!なんて綺麗なゴリラなんだ。
「はい、これで全員揃ったね」
インモーが手を叩いて場を収集する。
「クズは捕縛して移送、後片付けが済んだら会場に移動するよ」
「「「「御意!」」」」
「かぁ~疲れた疲れた。帰って寝るでゴルシ」
「結局、俺の結晶弾は余っちまったな。まあいい精々研究させてもらうぜ」
ファイン家部隊がいそいそと作業スピードを上げる。
ゴルシと呼ばれたウマ娘は車に乗り込んで早々いびきをかき出した。寝るのはぇーよ。
「あの、どこへ移動するのかな」
「第一回愛バ会議の会場へご招待~」
「「「愛バ会議とな!」」」
「もう!ちゃんと予告したでしょ。本番はここからだよ」
「いや、もう一人が」
「察しが悪すぎですよクロ」
「あの、その、えっと・・あわわ]
「ゴリさん、アンタまさか」
「ゴリではないです。すみませんすみませんすみません」
「コラ!イジメかっこ悪いよ。威嚇しない、睨まない、変顔しない!」
「はぁ~。もう、ちゃんと説明してもらいますからね」
愛バ4人の初顔合わせはこんな感じになりました。
憎たらしいてき・・・ゲフッ!ゲフンゲフン!頼もしい味方との語らいが楽しみです。
いやホントどうしてくれようか。