ファイン家所有の車両が列をなし道路をひた走る。
その中の一台、黒いミニバンの車内では異様な緊張感が漂っていた。
「・・・・」ジィーー
「・・・・」イライラ
「・・・・」アワアワ
「・・・・」ニコニコ
興味と非難を含む視線を向ける者。
苛立ちを隠そうともせず尻尾を揺り動かす者。
周りからの圧で縮こまり冷汗を流す者。
その光景を楽しそうに眺める者。
「先に動いたらやられる」とでも思っているのか、牽制し無言で睨み合う状況が続く車内の空気は重い。
ここに集う彼女たちには共通点があった。
一つ、ウマ娘であり見目麗しい姿形と恐るべき力を有していること。
二つ、全員がやんごとなき身分の者で、俗に言うところのお嬢様であること。
三つ、とある男の愛バであり、操者である彼に想いを寄せていること。
以上の三点である。
運転を任されハンドルを握るエアシャカールは、ミラー越しに後部座席を確認してため息を吐く。
彼女たちの気持ちも分かる。
操者不在で不安と焦りが募る最中、自身の同類であり恋敵が初めて一堂に会したのだ。
様々な感情が入り混じった結果、動くに動けないのだろう。
ぶっちゃけ全員が「どないせーっちゅうんじゃい!」とテンパっている。
(これが修羅場ってヤツかよ、めんどくせぇ)
最悪な領域展開に巻き込まれた自分の不幸と、元凶の操者を恨みながらも一応声をかけてみる。
「いつまで睨み合ってるつもりだ?」
「ウフフ、みんなちょっと緊張してるだけだよね~」
「・・・ 」プイッ
「・・・チッ」
「・・・えっと」
「車内の空気最悪なんでやめてほしいんだが、全員今すぐ飛び降りてほしいんだが」
「今高速走ってるのにそういうこと言う!?」
「何なら俺が飛び降りてもいいぜ」
「あちゃー部下のメンタルケアを怠ってたか、帰ったら袋麺支給してあげるね」
「マジクソいらねぇ」
うちのボス、一見いつも通りで余裕振ってはいるが目が泳いでいる。
結局こいつも一杯一杯である。
時間が勿体ねぇだろうが、今のうちに何か話しておけよな。
そう思っていたのは自分だけではなかったらしい、状況を打破しようと一人が動いた。
「ねぇ」
「あ、はい。なんでしょうか」
「前に会ったことあるよね。ほら、公園でさ」
「覚えていらしたのですね。あの時、お二人はまだ小さくて操者選びに苦労されていましたね」
「そうそう、そんなこともあった。うん、顔色凄く良くなった、見違えたよ。元気になってよかった」
「ありがとうございます。これもマサキさんのおかげです。お二人こそ見違えました、大きくなられて」
「自分でもビックリな成長期。マサキさんが愛情たっぷりの覇気を送ってくれた結果だね」
「フフッ、きっと喜んでくださいます」
「そっちはどこでマサキさんに会ったの?教えてほしいな」
「私はですね・・・」
お、黒い狂獣と電気ゴリラが打ち解けてきた。その調子だ絆ゲージを上げろ!
「ねーダイヤちゃん。私たちもグットコミュニケーションからの友情トレーニングしよ」
「説明なく命を狙われたこと許しがたく誠に遺憾でキレてます」
「何その言い回しw」
「インモーへの好感度が下がった。殺意が10上がった」
「殺意ゲージの上昇は止めて」
問題はこいつらだ。
両者ともなまじ頭がキレる分、大層面倒くさい性格をしている。
頭はいいんだよ頭は・・・でもバカなんだよこいつら。
考えすぎて、回り道して、上手くいかなくて、一人で抱えて、挙句の果てに全部巻き込んで爆発する。
ホントめんどくせぇ。
「もう~根に持ちすぎだよ。何度も謝ったのに、どうしたら許してくれる?」
「・・・ジャケット」
「ほう、我の上着を所望するか」
「勘違いしないで下さい。私はただ聞きたいだけ・・・その、ど、どんな感じなのかですね」
「はぁ~聞こえんなぁ」
「マサキさんから返品されたジャケットの着こごちは!いかがでしたか!」
「最高だよ!着ている間ずっと密着気分だよ、一心同体だよ」
「そ、そんなにですか」
「マサキが帰ってきたら量産化する計画立案中」
「マジでか!その計画、一口噛ませてください」
「フフッ、元よりそのつもりだよ。お互い遺恨はあれどマサキについては協力していかないとね」
「わかりました。暗殺未遂の件は不問ということで・・それでですね・・こんな感じでどうでしょう」
「な、この短時間にユニフォームのデザインを、すごっ!全員分考えてあるし」
うちのヤベェのとサトノのヤベェのが急に談笑し始めた。もう好きにしろや。
車内の空気が和らいで運転しやすくなった。
しばらくして、一行は目的地へと到着したのであった。
「さあ、着いたよ」
「意外!ラーメン屋じゃなかった」
「何ですかここ?」
「存じません。こういった施設は私も初めてで」
「貸し切りにしてもらったからね。遠慮せずに入店するよ、GOGOGO!」
「ちょ、押さないで」
せかされて入店。
広い入り口に受付がある。宿泊施設?
インモーが受付で従業員と会話、シャカールやゴルシを含むファイン家連中とはここから別行動。
「おっし、皆の者~私に続け~」
「ホテルでしょうか?」
「宿泊も可能だけど、メインはそっちじゃないね」
「勿体ぶらず教えてくださいよ」
「すぐにわかるよ。お、ここだ。それじゃあ全員―――」
この場所、それにこの湿気は・・・
「裸になってもらおうかな」
「「「・・・・」」」
「いいから早く脱げよ!オラッ!」
(痴女か)
(え、女の子同士で!?い、いけません!そんな百合百合しい!)
(ゴリさんムッツリ?)
(違います。ただのドスケベです)
♦
「ふぃ~生き返る~」
「広い!それにいろんなお風呂があって楽しい。今度はこっちに挑戦だ」
「あらあら、走ると危ないですよ」
「気に入ってくれたみたいで何より」
はい、みんなでスーパー銭湯とやらを満喫中です。映像で見せられないのが実に惜しい!
カポーンと木桶の音が聞こえてくる気がしませんか?
会議の前にサッパリしておこうという算段らしいです。
ジャグジーに打たせ湯、乳白色や蛍光グリーンの湯が入った瓶、寝そべりながら入れる変わり種もなんかもある。
まさにお風呂のテーマパークですよ。
戦闘で疲弊した体に効きますな~、貸し切りで気兼ねなく入れるのもいい。
コラコラ、いくら広いからって泳いじゃダメ・・ちょっとぐらいならいい?よーし!潜水しちゃうぞ。
「欲を言えばマサキさんと来たかったですね」
「ホントそれな」
「もちろん二人っきりの濃厚混浴パーティーです」
「濃厚混浴////」
「おやおや~想像したな貴様~」
「し、してませんっ!お風呂でご奉仕プレイなんて知りません!」
「なるほど、ドスケベだ」
「ふーん、ドスケベなんだね」
「こういう、お清楚ぶった奴ほどエロいんですよね。脳内ピンクまみれかw」
ドスケベゴリラが耳まで真っ赤になって湯船に沈んでいった。
この人、色白かつ美肌だから朱が差すとわかりやすいんだよな。
と思ったらすぐに浮上して来た。
「み、皆さんこそ!マサキさんとあの・・そういうことを・・してみたいと・・」ゴニョゴニョ
お、反撃か。
「何を今更」
「愚問だね」
「そんなの・・・」
「「「してみたいに決まっとるわぁーーー!!!」」」
貸し切りなので叫んでも大丈夫!よく響くなぁ。
「ですよね!私一人だけがドスケベじゃないですよね。全員がってことでいいですよね」
「「「よくないわ!!!」」」
「そんな~酷いです」
「ドスケベの称号はあなたにこそ相応しい」
「うんうん、ドスケベキング・・クイーン?」
「エロいわ~アルダンと書いてドスケベって読むぐらいエロイわ~」
「本気でやめてください!怒りますよ」
「ちょw雷はいけない!」
バカどもと一緒に大浴場で感電死!
そんなことになったらマサキさんが悲しむ前に呆れるでしょうが!
「あいつら最後まで頭悪かったな」って墓前で言われたくない。
「ごめんごめんw雷はやめてね。いやマジで勘弁して」
「何故ですか?妹たちには誤解され、あなた方にも・・・マサキさん至らない私を許してください」トホホ
「誤解じゃないからじゃね」
「気にすることはないです。操者が望めば愛バは幾らでもエロくなるもんです」
「初めて聞いた。でも異論なし!」
「そうだね。マサキが肯定してくれるならどんなエロスでもぉバッチコーイってね」
全員で頷く。フッ、この一体感嫌いじゃないわ。
「それにしても・・ふーむ」
「嫌~視線が絡みつく」
「見過ぎです。これ以上は金を払うか、目を抉るかしてください」
「あのチビちゃんたちが、ここまでたわわに・・・実り過ぎじゃない?」
「お二人とも本当に美しくなられて、羨ましいです」
「どうも。ですが、あなたに言われると嫌味というかなんというか・・」
「そんなつもりはありませんよ。本当にお綺麗ですから」
これが褒め殺しか!くっ、本心で言ってくれているのが余計に・・・
「照れますのでその辺にしてください。ゴリさんも十二分にきっ・・綺麗ですよ」
「まあ、ありがとうございます。ゴリじゃなくてアルダンです」
「シロ、私は?」
「どーでもいい」
「少しは関心持って!」
「ダイヤちゃん、私はどうかな?」
「ちぢれ毛に興味ねぇんだよ」
「なんてことを言うんだこの里芋は!」
うるさいうるさいうるさーい!
言いたくない、言ってやらない。
全員が可愛くて綺麗で私にはない魅力があって・・・負けたとか思ってねーし!
マサキさん、あの子のここが好きなんだろうな~とか考えたこともないし!
焦るな、最終的に選ばれるのが私であればよいのだ。
「「「それはどうかな」」」
「心を読むな!」
「「「か~わ~いい~www」」」
「こ・い・つ・ら」
いじられるの慣れてないのでやめてほしい。
「裸の付き合いにしてよかったでしょ。何だかんだで仲良くなるね」
「いきなりでしたけど結果オーライです」
「よーし、次は洗いっこしようよ」
「「「洗いっことな!!!」」」
体ぐらい自分で洗えや。やれやれクロったら、頭の中はまだまだお子様なんですから
「えーやらないの?練習も兼ねているのに」
「練習?何のですか?」
「操者の体を献身的に洗う練習。マサキさんに上手だねって褒めてもらうんだ」
「よし!早く始めましょう、ペアになった方がいいですかね」
「やりましょう!気持ち良かったって言ってもらえるよう精進あるのみです」
「そっか、そういうのもあるのか、私もまだまだ勉強不足だ」
それからはもう泡まみれで揉みくちゃですよ。
大事な所は湯煙と泡と謎の白線でガードされていますのであしからず。
映像は脳内で存分に補完してください。
(うひょひょーーええぞ!ええぞ!も、もうらぁめぇぇーーー・・・あっ)尊死
「またデジタル殿が死んでおられるぞ!」
「どうした急に、デジタルって何?」
「わかりません。何故だか言わなくてはいけない気がして」
「それは噂の生霊だね」
「生霊!噂って何?」
「聞いたことがあります。ウマ娘が仲良くしていると、勝手に現れ勝手に消える変態の霊が出るとか」
「ドン引きです」
「一応無害らしいけど、気持ち悪いよね~」
「近々SCP財団が収容するために動く予定だとか」
この世界、まだまだ謎に満ちているようです。
「話は変わるけど、従者部隊の0番って本当?」
「はい、頭首様よりそのナンバーを授かりました」
「父様・・0番なんて架空の存在だといってはずでは」
「1番のおいたんより強いんだ。これは楽しみだな」
「それよりも、ご実家の方は本当によろしいので?」
「心配無用です。メジロ家、サトノ家双方ともに話はつけてありますから、ばば様たちは笑顔で送り出してくれました。サトノ家の皆様は笑顔で迎えてくれました。私は幸せものです」
「うちはともかくメジロ家が・・どういう風の吹き回しでしょうか」
顔に似合わず無茶をする。
メジロ家出身者でサトノ家に雇われたいと思った物好き、それも相当の身分と実力を持っている。
うん、間違いなく変人だな。変なゴリラだな、うちこんな人材ばっかやんけ。
「ファイン家は全員いつでも大歓迎だよ!」
「いたのかB79」
「79言うな!あのねぇ、私のは十分お手頃サイズだよ。あなたたちが無駄にでかすぎなの!」
「無駄じゃない、私のB85はマサキさんのためにあるんだよ」
「見てくださいw負けウマどもが見苦しい争いをしていますよ。B87の私たちは高みの見物といきましょう」
「あの、マサキさんはどの程度のサイズが好みなのでしょうか?」
「無論B87に決まっています」
「物凄く安心しました」
「くっ、この、垂れてしまえ!垂れ乳になってしまえ」
「知ってる?こうやると乳首が削れて・・・」
私の手にかかれば洗いっこ中に全員のバストサイズを測るなど造作もないです。
過去のトラウマ、風呂場限定の妖怪が復活しそうになって少々焦りました。
♦
風呂上り、サッパリした体をよく拭いてドライヤーとブラッシング。
効率よく代わりばんこにやっていきましょう。
「ゴリさん上手~」
「アルダンです。とても艶やかな毛並みですね・・はい、まだ動いちゃダメです」
「こ、こうですか」
「うん、上手上手~なんだ、文句言ってた割にできるじゃん」
「クロ意外の子にやるのは初めてなんで・・・」
「へぇー、じゃあ今後は私とアルダンさんも追加でよろ~」
「く、後で交代してくださいよ。えっと・・マサキさんは確かこうしてくれたはず」
マサキさんがしてくれた時のやり方を思い出してブラシをかける。
う、インモーの癖にサラサラしやがってこんちくしょー!
なんで私が緊張しないといけないんじゃ、こんな奴の毛がどうなろうと・・ええい、くそ。
これもこいつの作戦なのだろうか?
私とマサキさんが初めて会った時もブラッシング中に凄く絆が深まった。
これはやる方もやられる方も相手を尊重し信頼して身を預ける必要がある。
ウマ娘相手のスキンシップでこれ程の有効打は他にないだろう。
「全部マサキが教えてくれたんだよ」
「え?」
「みんなで仲良くなるにはどうしたらいいかって相談した事があったの、そうしたら」
それは教団襲撃前の空き時間での談笑中、操者の男はアッサリと回答した。
『一緒に風呂でも入って、美味い飯食ったら自然と仲良くなれるんじゃね』
『そんなのでいいの?』
『いいんだよ。本気で嫌な奴らとはそんな風になれもしない』
『お風呂って結構ハードル高くない』
『まあな、でも裸の付き合いを最初にクリアしちまえば後はどうとでもなる』
『無茶苦茶だぁ』
『そこはココの頑張り次第だ。きっと大丈夫、クロもシロもアルダンもいい子だから・・たぶん』
『他人事だと思って、たぶんって』
『あ、そうだ。風呂上りのブラッシングは絶対やれ!あれはいいものだ』
「って言ってくれたんだよ」
操者とのやり取りを思い出しているのだろう。
ニコニコと笑顔を浮かべるインモーの尻尾にブラシをかけていると、心が穏やかになった気がした。
「ホント敵いませんね・・お釈迦様ならぬマサキさんの手の平でしたか」
「弄ばれて嬉しい癖に」
「嫌だとは言ってません。もっと弄り回してほしいぐらいですよ。はい、交代してください」
「はいはーい。ぐふふ、私のターンだね」
「激しく不安ですが、よろしくお願いします」
インモーのブラシテクは思ったより心地よかった。
マサキさんのテクには遠く及びませんけどね。
クロの方も上手くやれているようですね。ゴリさんもこれにはニッコリです。
「なんで体操服?」
「何とも言えないデザインのジャージもついてます」
用意された着替えは学生が体育の授業で着るヤツでした。
どう見ても短パンですよ。
ジャージを着るかはお好みで。
「このロゴ、トレセン学園指定のものですね」
「パジャマ代わりだよ。動きやすくていいでしょ」
「別にいいけどさぁ」
「あなただけブルマなのは一体?」
「牝馬だからさ」
「「「ヒンバ???」」」
あまり突くと薮蛇になりそうなのでスルーした。
♦
着替えて移動する。
向かった先は施設内にあるお洒落なバーカウンターを通り過ぎて、併設された飲食スペース。
ここはフードコートですか。簡素なテーブルとイスが逆に新鮮です。
お嬢な私たちですが不満はあれど文句は言いません。
どんな場でも楽しむゆとりってヤツを大切にしたい。堅苦しいのは苦手ですし。
「さて、次は同じ釜の飯を食うってのをやっちゃおう」
「会議はどうなった」
「まあまあ、食べた後でもいいじゃん」
「志を同じくする方とのお食事、ワクワクしますね」
フードコートには私たち以外にもチラホラと人がいて思い思いの料理を口にしている。
全員がファイン家の部隊員だろう。
風呂はともかく、この場所では貸し切りでないほうがありがたい。
静まり返った場所より多少の喧騒があった方が落ち着く。
何故か厨房を仕切っているのはゴルシと呼ばれていたウマ娘だった。ただの戦闘員じゃなかったのか・・
「みんなは何ラーメンにする?」
「「メニューを寄こせ!」」
「おすすめはね~やっぱり豚骨が、あ、つけ麺ってのもあって」
「ラーメン一択なのでしょうか」
やっぱりこうなったか。
「わがまま言わずに選んでよ、何ラーメンがお好みかな?」
「「うどん!」」
「帰れ!」
「「帰るわ」」
「待って帰らないでって・・このやり取りマサキともうやったよ!」
「いいですね、おうどん」
「ほら、ゴリさんもこう言ってる。三対一でうどんだね」
マサキさんもインモー相手にうどんを所望したことがあるのだとか、だったら尚更うどんでよくね。
「お待たせしました。前菜のラーメンでございます」
「「「おい!?」」」
「ありがとうゴルシ大将。さあ、冷めないうちに食べようね~」
こちらには最初から選択権はなかったようだ。
用意されてしまったものは仕方がないので頂くことにする。
風呂上りのラーメンか、インモーと初めて会った時もこうだったな。
流されたようで癪だけどラーメンは非常に美味かった。
く、悔しい!でもすすっちゃう!
その後、メインディッシュとデザートもラーメンだったのは流石にムカついた。
完食してやりましたけど何か?ウマ娘の胃袋を甘く見ないでください。
「けぷ・・・食べ過ぎた」
「何度も替え玉するからですよ。腹八分目って言うでしょうに」
「大変美味しかったです。ラーメンとは奥深い食べ物でしたのね」
「お、いい反応。今度一緒にラーメン屋巡りしちゃう?お勧めの店があってね」
風呂に入った、飯を食って腹も膨れた。お次は・・・
「帰って寝るか」
「会議!今から会議するんだよ。何のために集まったと思っているの」
「今日はもうめんどいからまたの機会にしない?」
「ダメ、今日やるの」
「会議とは一体何が始まるのでしょうか」
「お互いの情報交換と今後の方針について、話しておかないといけない事があるの」
「ふぁ・・ねみぃ」
「ダイヤちゃん。お願いだから、やる気出して」
「無理、眠いもんは眠い」
クズ一行との戦闘、初めてのバスカーモードで疲れているのは事実です。
体が休息を求めているのですよ。
「マサキの話で盛り上がろうと思ったのにな」
「おお、それ最高」
「実に興味深いです」
「ふん。私の眠りを妨げる程のネタがあるなら言ってごらんなさい」
「マサキ、私のおぱーい直に触って揉んだ」
「「「ふざけるなぁァァァッッッーーーーーーーーー!!!」」」
眠気なんかぶっ飛んだわ。
こいつはホテルに連れ込んだだけでは飽き足らず、何てことをしてくださりやがっているのでしょうか。
「言ったよね、触ってもらえないおぱーいなど無駄なのだよ。時代はお手頃サイズだよ」
「ハ、ハッタリだ」
「嘘ですよね」
「どうしてそういう状況になったか言え!今後の参考にする」
「あれはルクスとの戦闘中、私たちは絶体絶命のピンチだった。それで、思い残すことがないようにと・・こうね、モミモミとね」
「まさかの戦闘中」
「死を覚悟して燃え上がる二人、なんて羨ましい////」
何やってるんですかマサキさん。
何やらせてんだ!おいコラ、ルクスのクソボケがぁ!パイ揉みぐらい阻止しろや!
「不覚にも変な声が出ちゃってね。いや~参った参ったw」
「クソが!」
「ち、ちくしょう」
「あう、マサキさんったら大胆////」
「という報告も有ったり無かったりするのが、愛バ会議だよ」
「ふむ。定例報告会と操者談義、その他諸々を兼ねているのか」
「所謂女子会だね」
「女子会!素敵な響きですね」
この面子で女子会か。
ま、まあ、いいんじゃないですかね・・別にクロ以外の親しい奴が増えても困らないですし。
どーしてもって言うなら付き合ってやらんでもないですし。
「シロが乗り気の内にやっちゃおうよ」
「待てや、誰が乗り気だと?わかった様なことを」
「そんなの仕草でわかるよ。耳の角度とか尻尾の揺れ具合、それから・・」
「やめて!改めてこの子怖い」
「マサキさんがいない間は、シロがボケもツッコミもやってくれるね」
「それはとても光栄・・・なんでしょうか?」
「はい、全員同意したことにしまーす。ではでは~」
めでたく?会議の開催が決定した。
「あの、その前にいいでしょうか?」
「はい、ゴ・・ンンッ!・・アルダンさん」
「私、マサキさんの愛バになった覚えが無いのですが、契約を申し込んでおりませんし」
「え、そうなんだ」
「珍しい、知らず知らずのうちに契約していたのですか?」
「自覚無しってのも質が悪いね。もらえるものをバッチリもらった癖にさ」
「・・・はう」
「雷がのった覇気、元々マサキのだよね?」
「「なぁにぃーーー!!」」
「ひっ!そ、そうです」
「体液を摂取したよね。無断で血をペロペロしちゃうなんてやるね~」
「「あああああん!!」」
「いえ、ちがっ、う~・・・すみません。その通りでございます~」(´;ω;`)
目を潤ませ土下座をするゴリさん。
お清楚の皮を被ったドスケベゴリラが、こいつも要注意だ。
以後、ゴリさんの弁解(言い訳)を聞いた。
神核の異常で引き籠っていたところをマサキさんに救われたのだという。
その際、何やかんやで助かったのだが、他者の神核を制御し治療するという荒業を成し遂げたマサキさんは気絶、頬に負った傷から出血していたらしい。
「自分でもよく覚えていないんです。気が付いたら彼の血を舐めていました。私ったら!本当になんて事を・・」
「切腹ものですな」
「介錯はお任せ下さい」
「この身はサトノ家とマサキさんに捧げております。お嬢様方が望むのなら自害致しましょう」
このゴリ、覚悟完了しきってやがる。
「まあまあ、切腹はやめようね」
「「ちっ」」
「アルダンさんは相性が良かった。そしてマサキの凶悪な覇気を受け止める確かな器を持っていた」
「むう」
「私もだけどさ、マサキを初めて見た時どう思った?「この男ヤベェ!」って思ったはずだよ」
確かに、普通のウマ娘なら絶対に関わりたくない。
逃げて隠れて怖気づいて嵐が過ぎ去るのを待つのだろう。普通ならば・・・
けれども、私たちは惹かれてしまった。欲しいと思ってしまった。
強すぎる覇気に身を焼かれ傷ついてしまうとしても、彼と一緒にいることを願った。
「その恐怖を突破して雷と血を手に入れたんだ。それは賞賛に値しない?」
「むむむ」
「突破というなら私たちのマーキングもですね」
「は、はいぃ」
「ここにいるのは敵じゃないよ。同じ操者を欲した仲間、心の友ってヤツさ」
同類、同志、同じ穴の狢なのはわかっている。敵じゃないかは・・・どうだろう。
「いいでしょう」
「認めるしかないよね」
「フフッ、わかってくれてよかったよ」
「あ、ありがとうございます!」
「決めたのはマサキさんですから、私は操者の決定に従います」
「私もいいと思うよ。思ったより嫌悪感ないし」
「よかったねアルダンさん。ひとまず安心だね」
「弁護ありがとうございました。い、インモーさん///」
「ハハハ、このゴリラめ」
「照れながら言われると下ネタ感が増すなw」
これでいいんですよねマサキさん。
契約には覇気の循環と操者のDNA情報が必要となるが、一番大事なのは"心"互いの気持ちだ。
覇気には精神エネルギーも含まれる。お互いに多少なりとも好意が無ければ循環など上手くいくはずがないのだ。
無意識とはいえ、契約をしてしまったマサキさんとゴリラは僅かな間に絆が生まれたのだろう。
それこそ運命とでもいうような・・・何でしょうムカムカしてきました。
「マサキが戻って来たら、正式に契約してもらった方がいいよ。今の状態はそうだな・・60%ってとこだろうから」
「私が正式に契約・・はい!必ず愛バとして認めて頂きます」
「そっか、あれで60%なんだ。へぇー」
「よかったですね。遊び相手が増えましたよ」
「うん。100%ゴリさんを早く見たい」
戸愚呂かよw100%中の100%ゴリさんなんか見たらマサキさん泣くぞww
そんなこんなで少し仲良くなった愛バたちであった。