俺と愛バのマイソロジー   作:青紫

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イケ魂

 今日もいつもと同じ日常が送れるはずだった。

 優しい両親がいて可愛い妹たちがいて、少々退屈だが穏やかで幸せな暮らし。

 それが保証されていると根拠もなく信じていた自分は愚かだったのか?

 

 突然訪れた非日常、平和な街をデモンとDC兵が襲ったのだ。

 地下シェルターへ避難する途中で両親たちとはぐれたのは痛恨の極みだった。

 人混みに流される自分たちを助けてくれる者はいない。

 みんな自分と親しい家族の身を案じることで精一杯なのだ。

 

「お兄ちゃん、私怖いよ・・・」

「パパとママどこに行ったの?」(´Д⊂グスン

「大丈夫、お前たちのことは俺が必ず守る」

「お兄ちゃん、弱っちい癖に」

「くせにー」

「はいはい、とにかく移動するぞ。父さんたちはシェルターの方へいるはずだ」

 

 3つほど年の離れた妹たちは双子だ。

 そして二人とも人間には無い耳と尻尾が生えている。ウマ娘の双子。

 両親も俺も二人のことを溺愛していた。

 友達には兄バカなんてからかわれるけど、本当に可愛いから仕方がない。

 いずれ身体能力では抜かされてしまうとしても、妹たちを守ると言ったことに嘘偽りはない。

 俺はもう分別ある中学生で、二人のお兄ちゃんなのだ。

 こんな時こそしっかりしなくてはならない。

 

 兄としての矜持と使命感により、己を奮い立たせ避難場所へ急ぐ。

 道中で逃げる人を襲うAMを何度も見た、街の警備ロボが何故?

 理屈はわからないが街中の無人機が暴走状態にあるようだ。見つかればただでは済まない。

 市民の敵と化した街の守護者たちから隠れつつ慎重に移動することにした。

 遠回りになってしまい、自分も妹たちも疲労がピークに達した頃、見慣れない武装をした大人たちに遭遇した。

 緊急時にはメジロ家の治安部隊が出動すると聞いたことがある。

 やった助かった!と安堵した自分の期待は脆くも崩れ去ることになる。

 

「あー?何だこのガキどもは」

「放っておけ、すぐに追手が来るぞ」

「ちっ、ウイルスを散布するなんて聞いてねえぞ。俺らは最初から捨て駒だったのかよ」

「見ろよ、ガキどもの中にウマ娘がいるぞ」

「なにぃ?それは見過ごせんなぁ」

「売り飛ばせば小遣い稼ぎにはなる。連れて行くか」

 

「やめろっ!妹たちに手を出すな!」

「「お兄ちゃん!!」」

 

 妹たちを背に庇い、銃を持った大人たちを睨みつける。

 救援に来てくれた人たちじゃない、こいつらは街を襲った最低の大人だ!

 幸せな日常を奪い、皆を不幸にした悪党。

 悪には屈してはならない、守るべきものために、己の正義を示して戦わないと。

 それだというのに今の自分は余りにも無力で頼りない。

 恐怖と緊張から汗をかき、足の震えが止まらない。

 せめて、妹たちに自分の怯えが伝わらないよう必死だった。

 

「妹だと?威勢のいいことだなお兄ちゃん!」

「こいつブルッちまってるぜwダセェww」

「知ってるか、DCではウマ娘と仲良くしているだけで罪なんだぜ」

 

 下品な笑い声を上げて少年を嘲る大人たち。

 追われる身であることを忘れたDC兵は溜まった鬱憤を子供たちぶつける。

 

「取引だ。そのウマ娘たちを置いていけ、そうしたらお前だけは見逃してやる」

「俺たちは人間には優しいんだ、よかったなボウズ」

「ふざけるなっ!そんなことできるか」

「では仕方がない。お前ら三人とも死んでもらう」

「「「!?」」」

「うわwひでぇww最初から殺す気だった癖によww」

「なんだ小遣いはいらないのかよ?」

「追手を撒きながら連れていけるわけねーべ。目撃者がいると面倒だ、始末するに限る」

「そういう訳だ。運がなかったな」

 

 無慈悲に向けられた銃口に心臓が早鐘を打ったように脈打つ。

 死ぬ?こんなところで終わってしまうのか。

 誰も守れず、何者にも成れず、死んでしまう。

 嫌だ、怖い、どうしてこんなことに、俺が何をした?

 俺は・・・俺は・・・

 

「や、やだよぅ・・」

「助けて誰か・・・」

「!?」

 

 俺はこいつらのお兄ちゃんだ!絶対に守ると約束した。

 恐怖も震えも全く拭えていないけど、今動かなくてどうするよ。

 相手の指先はトリガーにかかっていない、完全にこちらをなめている。

 だったら!

 顔を上げ、銃を向けていた奴に飛びかかる。

 何の技巧もないただの体当たり、相手の腕を掴むことだけを考えろ。

 

「うわあああああああああああ!」

「な、このクソガキ!」

「おいおいwガキ相手に何やってんだ」

「そうだぞーしっかりやれー」

「二人とも逃げろ!逃げてくれーーー!!」

「「お兄ちゃん!!」」

「おうおう、泣かせる話じゃないかww」

「この離しやがれっ!」

「ぐぁっ」

 

 訓練を受けた大人の腕力で殴り飛ばされた。

 決死の覚悟で挑んだのに時間稼ぎにすらならなかった。

 

「ごめんな俺が弱いばっかりに・・二人を守れ・・なかった」

「そんなことない!そんなことない!ちゃんと守ってくれたよ」

「置いていくなんてできないよ、ずっと一緒がいいよ・・・」

 

 泣きじゃくりながら寄り添ってくれる妹たち。

 何が楽しいのか、そんな俺たちをニヤニヤした顔で見る悪党たち。

 悔しい、情けない、耐え切れず涙が溢れて来る。

 ごめん、父さん母さん俺のせいで・・・ごめんな二人とも。

 

「ウマ娘の妹などいなかったら長生きできたのにな」

「・・・・」

「何だその目は、気に入らねぇ」

 

 それは断じて違う。彼女たちがいてくれたから俺は俺でいられたのだ。

 彼女たち妹が、俺をお兄ちゃんにしてくれた。そこには感謝しかない。

 ああ、本当に悔しいな。俺より年上の癖に、目の前の大人は知らないのだ。

 人間だとかウマ娘だとかじゃない、強固な絆の前では種族の違いなど何の障害にもならないと。

 

 妹たちを抱き寄せる。この暖かさと重み、命が息づいた証を死んでも忘れない。

 最後の抵抗はただ睨みつけることだけ、怖い、悲しい、悔しい。

 それでも最後まで目を逸らさない!

 覚えておけ!俺と同じ思いをもった誰が必ず、お前ら悪党にわからせてやる。

 自分たちを襲った悲劇。こんな理不尽がまかり通っていいはずが無い。

 

「じゃあなクソガキ、仲良くくたばれw」

「「「っ!!」」」

 

 覚悟を決めた少年の目が捉えたのは、撃ち出される弾丸でも、自らの鮮血でもなく。

 

 理不尽な暴力を更なる理不尽で叩き潰す獣の姿だった。

 

「お前がくたばれ」

「げひゅっ!」

 

 「くたばれ」と冷めきっているはずなのに煮えたぎる怒気をもった声が聞こえた。

 銃を持った男の顔面に獣の膝がめり込んでいる。

 声にならない音と血を飛び散らせた男は、きりもみ状に回転しながらビルの外壁に突っ込んだ。

 少年たちも、DC兵たちも何が起きたか理解できない。

 ただそこに理解しがたい存在が現れたことだけが事実であった。

 

「ふん。汚らわしい」

 

 吐き捨てるように悪態をついた獣がこちらを向く。

 ヒリつくような威圧感を放っていた存在はこちらを視界に収めると、打って変わって柔らかな笑みを見せた。

 

「・・え?」

「うわぁ」

「きれーい」 

 

 俺はポカンと口を開けたまま固まる。妹たちも目の前の存在に心ごと奪われたようだ。

 だって仕方がないだろう。

 ピンチを救ってくれたヒーローは・・・

 

「よく頑張りましたね。私が来たからにはもう大丈夫ですよ」

 

 ビックリするほど美しくて可愛らしいウマ娘だったのだから。

 

 ♦

 

 飛び膝蹴り発動の少し前。

 

 どうも狂った金剛石こと、クレイジーダイヤモンドです(やけくそ)。

 憎いあんちくしょうたちの策略により、ゴロツキどもの界隈ではエリザベート・バートリーも裸足で逃げ出す大悪女に仕立て上げられました。

 ふんだ、悪党どもにどう思われようと平気です。

 マサキさんは「シロはいい子だな」って言ってくれますもん!

 

「いいですか、迎えが来るまでここにいてください。逃げたら・・わかってますね?」

「「「「はい、仰せのままに!」」」」

「すっかり隷属化しちゃったね」

「下手に反抗されるよりマシですよ。さあ、人助けという善行に励みましょう」

「「「「お気をつけて!!」」」」

 

 戦意喪失後、すっかり大人しくなったDC兵を残して市街地にダッシュだぁーーー!

 奪い取ったデバイスをオルゴンテイルで捕食してやったら、自分からパンいちスタイルになってくれました。

 「命だけはお助けぇ!」と泣くので口約束だが、捕虜としてまともに扱うと言ってやった。

 その後の尋問はスムーズに進み、極限状況から私を神と崇める者まで現れた。

 メンタル壊れちゃったかぁ。こうなるという事は聞かせやすい、従順になるよう導いてやろう。

 というわけで、彼らは哀れな操り人形になってしまいましたとさ。

 一応、オルゴナイトで作った手枷足枷をハメておいたので逃走は無理だろう。

 

「感染体は見つけ次第排除、見敵必殺ですよ」

「サーチアンドデストロイ!ところでLウィルスのLって何?」

「Lux(ルクス)のLです。迷惑な病原菌にはピッタリの名前でしょう」

「うげーなんかキモイ」

 

 無人機を暴走させるウィルスが事件現場で確認されてから、御三家やギルドでは注意喚起と対処方法が検討されてきた。

 ウィルスの命名は私が言った「どうせルクスの仕業でしょ」の一言でLウィルスに決定。

 感染した機体を元に戻す方法は無いので、ぶっ壊すしかない。

 それも、今だけの話ですけどね。

 

「ワクチンの開発はどんな感じ?」

「来月には実戦投入できそうです。これもシュウさんのお陰ですね」

「やるじゃんロリコニア大臣!」

 

 これで被害者でもある無人機たちを救える。コスト的な意味でも救われる。

 仕方ないとはいえ、あまり派手にやると賠償金クレクレされますからね(サトノ家あるある)

 ショックを受けた父様のグラサンが割れるシーンはもう見たくない、というか見飽きた。

 

「壊した方が早いけど」

「それは言いっこなしですよ」

 

 市街地をパルクールしつつ爆走中、ふむふむ、避難状況は・・9割方完了していますね。

 お、通信だ。

 

「こちらユニコーン1、ちょっといいかい"おチビちゃん"たち」

「おチビは卒業しましたよ、イルムさん。ご用件をどうぞ」

「俺が追っていたDC兵が市街地に逃げ込んだ。住民に紛れて潜伏していた奴らと合流する可能性がある」

「わお!"おいたん"らしくないミスだね」

「そう言ってくれるなブラック。こっちはデバイスなんて便利道具持ってないつーの」

「近日中に支給しますよ。イルムさんの希望は超闘士をベースにした奴でしたね」

「おうよ、計都羅喉剣を頼むぜ。それで市街地の方は任せていいな?」

「はい、そっちは増援の警戒と避難民への対処をよろしくです」

「ドロ船に乗った気で待っててね」

「それを言うなら大船な。心配はしてないが、一応言っとくわ・・・殺すなよ」

「善処します」

 

 通信終わり。

 まったく、軟派野郎は心配性なんですから。

 先日、久しぶりに再会した第一声が「いい女になったな!メシいくぞメシ!」で肩を抱いて来た時は何て奴だと思ったけど、いい人なんです。

 こっちを未だに子供扱しつつ、いい女だからとりあえず誘うのが礼儀だってなんやねん。

 本命がいるの知ってるんですからね、チクったろうかなぁ。

 マオ・インダストリーの社長、マオさんとは旧知の仲なんですよ。

 

「おいたん、今度ご飯奢ってくれるってさ。一緒に行く?」

 

 あの野郎、クロにも手を出していたか。

 

「いいですね。一皿800円オーバーの高級回転に行きたいです」

「よーし、お皿を天井まで積み上げちゃうぞー」

「この際です。アルさんとココも呼んで破産させてやりましょう」

「それ面白い。二人とも私たち並みに食べるから・・・おいたん泣いちゃうねw」

「美少女が増えて喜ぶのが先でしょうね」

 

 お財布をスカスカにしてやりますよ。これで懲りてくださいね。

 ・・・・今何か聞こえた・・・人?・・・それから・・・

 

「2時方向!感染体くるよっ!」

「みんな大好きゲシュペンスト。安易なリオンじゃない所に住民のこだわりを感じます」

「何言ってんの、行くよ」

「お任せしてもいいですか?私はもう少し先に行きます」

「何か見つけたな、いいよ、ここは任せて先に行けよやぁーー!」

「語尾がバグってますよ」

 

 ブレンパワード懐かしい「死ねよやぁーー!!」のオマージュ?

 お子さんがいる方へアドバイス、クリスマスプレゼントぐらいは用意してあげましょう。

 

「ふんぬばらっ、バスカーモード!」

「いきなりですかい」

 

 エネルギー切れには気を付けなはれや。

 ゲシペンストの群れに突撃するクロを横目に先を目指す。

 聞こえたのは感染体の駆動音だけじゃない、人、それも子供の声が、逃げ遅れたのかな?

 とにかく急行しまーす。

 

 よかったアッサリ見つかっ・・アレは大ピンチやんけ!?

 

 武装した大人たちはイルムさんが言っていたDC兵だろう。

 子供に銃を突き付けて何をやっているんだか、そうだ、三人の子供がいる。

 二人のウマ娘、顔がよく似ているから姉妹だろうか、それを庇うようにしている人間の男の子。

 

 ドクンッ!

 

 賢い私には否が応でもわかってしまう。

 三人は兄妹、兄である少年は大切な妹たちを守ろと抵抗したのだ。

 非力な癖に、震えている癖に、今だって泣いている癖に、勇気を振り絞り立ち向かった。

 わかりますよ、あなたの思いも妹さんたちの思いも。

 だってあなたたちはまるで・・・私とクロとマサキさんみたいだったから!

 

 ドクンッ!!

 

 似ている、あの少年の魂はマサキさんを彷彿とさせる。

 そのイケメン魂、略してイケ魂に私たちウマ娘は惹かれるのです。

 勝てるかどうかじゃない、命に代えても大切な人たちを守りたいと願う気持ち。

 兄だけじゃない、妹たちもだ、あの子たちは自分の死より兄妹の死を恐れている。

 ああ、なんて眩しいのだろう、なんて尊いのだろう。

 あの子たちをカッコ悪いと笑う者には、あの輝きが見えないのか。

 

 ドクンッ!

 

 その尊き魂を踏みにじろうとする下郎がいる。許せない、許さない!

 やったな・・やってくれたな!・・私の前でよくも・・

 いらない、お前らはいらない、私とマサキさんの住む世界にお前らは必要ない!!

 

「じゃあなクソガキ、仲良くくたばれw」

 

 ・・・ドクンッ!

 

 キレた。心臓の鼓動すら置き去りにするスピードで駆け、距離をゼロにする。

 

「お前がくたばれ」

「げひゅっ!」

 

 自分から発せられた声は異常なほど冷徹で怒りに満ちていた。

 片膝に不快な感触あり、下郎の顔面を潰したからだ。

 ビルの外壁へと回転しながらぶつかったが知らん。あんな奴の生死などどうでもいい。

 

「ふん。汚らわしい」

 

 うぇ、あいつの血とかついてたら嫌だな。

 今日のドレス(戦闘服)はスカートだから気を付けないと。

 一応、パンツだろうとスカートだろうと戦闘には何も支障がない設計をしています。

 大事なのはインナーで、ピッチリスーツや見せパンはしっかり着込んでないと困ったことになります。

 

 ふぅ、一旦心を落ち着けて平常心と営業スマイルですよ~。

 勇敢な子供たちにご挨拶せねば。

 くるりと振り返った先には私を見て不思議な表情をする三人。

 

「・・・え?」

「うわぁ」

「きれーい」 

 

 まただよ、私、年齢が近しい子には初見でポカンとされてしまいます。特に男子は酷い。

 そ、そんなにおかしいかな・・凹みます。

 キレイって言ってくれてるから大丈夫だと思いたい。

 

「よく頑張りましたね。私が来たからにはもう大丈夫ですよ」

 

 安心させるように宣言する。豊満なおぱーいを揺らすほどに胸を張ってやります。

 おや、そこの男子、なぜ目を逸らす。

 

「ア、アンタ誰だ?」

「通りすがりのウマ娘です。趣味はマサキさんの妄想」

「お姉さんのお名前は?」

「おお、私がお姉さんですか!シロじゃなくて・・ダイヤと呼んでください」

「ダイヤちゃん、つよーい」

「へへへ、それほどでも」

「ダイヤさん、助けてくれてありがとうございました!ほら、お前たちもお礼」

「「ダイヤちゃんありがとう!」」

「どういたしまして」

 

 間に合ってよかったー。未来ある若人を救えて大満足です。

 

「何だあいつは、普通じゃないぞ」

「おい、生きてるか!おい!」

「ほっとけ、そいつはもう駄目だ」

「く、くそっ、あんな奴相手にしていられるか!俺は逃げるぞ」

「待ってくれ、お、俺も」

 

 下郎が仲間を置いて去って行った。

 おー逃げてく逃げてく・・・バカが、今更無事に帰れると思っているのか?

 イルムさんに連絡しないと。

 

「ユニコーン1へ。逃げ遅れた市民を三名確保、回収をお願いします」

「了解だ。すぐそっちに向かう」

 

 これで良しっと。

 

「動かずここで待っていなさい。すぐに助けが来てくれます」

「お姉ちゃんキシン?」

「バッカこんなに強いんだ。メジロ家の騎神に間違いないぞ」

「それは心外ですね。私はメジロではなくサトノ家の騎神です」

「「サトノ?」」

「し、知らないのですか。そっか、知名度が・・・やだ泣きそう」

「サトノ家なら知ってるぞ。メジロ家のしたっぱでパシリもやってんだろ」

「はぁ?はぁ?はぁぁぁん?」(#^ω^)ピキピキ

 

 誰がしたっぱじゃい!世間ではそんな認識なの?

 ここまで酷いとは思わなかった、今後は広報部にも力を入れることを誓いましょう。

 目指せイメージアップ戦略!

 

「あなた方は、ご兄妹であってますか」

「ああ、妹たちは双子でウマ娘だ」

「そうですか、少しお話いいですか?」

「「ダイヤちゃんなあに?」」

 

 歳は10前後か、年下ですから目線を合わせて、うーん、少し前まで自分もこんなんだったのかぁ。

 

「よいお兄さんですね」

「「うん!」」

「あなたたちはウマ娘、人間より強い体をもって生まれています。ですが、その力に驕る事なきよう気を付けなさい」

「「おご?」」

「調子に乗んなということです。大事なのは体の強さでなく心の強さです。そこに人間もウマ娘も関係ありません」

「心の強さ・・・」

「何となくわかる」

「今はそれでいいです。大きくなったら誰かを守ってやりなさい、お兄さんがそうしてくれたようにね」

「わかった!私、ダイヤちゃんみたいに強くなる」

「私も私も!お兄ちゃんもパパもママも守るの~」

「よしよしです」

 

 自然に頭を撫でることができた。マサキさんこんな感じでいいですか?

 

「それとあなた」

「お、俺?」

「勇気と無謀は違います。運が悪ければ死んでいましたよ、理解していますか?」

「そんなの、言われなくてもわかってるよ!でも俺は・・ああするしか」

「責めてはいません。もっと考えろと言っているのです」

「考えろって何を」

「そうですね。例えばですが、とある操者なら一旦、土下座をして油断を誘い、相手の口に苦手な食物をねじ込むとか?」

「そんな奴いるか!」

「または、妹君を人質にとり「俺はDCの新兵だ!貢物を持って来たぞ、へっへっへ」とハッタリをかまし隙をついて逃げる」

「どんな外道プレイだ!」

 

 あれ、思ったより不評だ。マサキさんなら躊躇なくやりそうな策なのに。

 

「と、とにかくですね。如何に絶望的な状況下でもやりようはあるのです。力で及ばないなら考えを巡らし、正解を手繰り寄せなさい。破れかぶれになるのは最後の手段です」

「・・・・」

「偉そうなことを言ってすみません。ですが、今日のことを教訓にして生存確率を上げてください」

「いや、アンタの、ダイヤさんの言う通りだ。俺がもっと上手くやれていたらよかったんだ」

「お兄ちゃんは頑張ってくれたよ」

「うん、カッコよかったよ」

「そこは同意します。身を挺して妹を守る姿は素敵でした」

「そ、そうか////」

「お兄ちゃん照れてる」

「う、うるさいな」

「修練あるのみですよ。まだ若いのですから可能性は無限大です」

 

 お節介でしたかね、まさか私が説教をする立場になるとは。

 

「さて、私はそろそろ行きますね」

「本当にありがとうございました。ダイヤさんが来てくれなかったら俺たち」

「あの、さっきから気になっていたのですが、あなた何歳ですか?」

「13歳の中学生だ」

「なんだ、同級生いわゆるタメってヤツですね」

「「「は?」」」

「ちょっと違うか、昏睡状態の前は、だから、えーと・・・12歳ぐらいでお願いします」

「誰がだよ!」

「私ダイヤちゃん。12歳なの、よろしくね!」

「うそつけ!アンタみたいな小学生がいるかよ!」

「ほほう、私のどこを見てそう思ったのですかね~ん~」

「なっ////」

「お兄ちゃんエロ!」

「スケベ!」

「嘘はついてません。ちょっと前までランドセル背負ってましたから」

「ダイヤちゃん本当のこと言ってるよ。私にはわかる」

「フフフ、ウマ娘の急成長をなめないでください。妹君たちも数年後には・・楽しみですね!」

「マジ・・かよ・・」

 

 なるほど、お兄さんが敬語だったのは私を年上だと勘違いしていたのですね。

 いや~私とクロはちょっと成長し過ぎた感はありますが、普通のウマ娘でも10~15の間で人間以上の爆発的成長!いわゆる本格化を迎えますからね。

 感じるのですよ、私とクロ以外でビックリドッキリの成長を遂げている存在をね。

 "一番好きのツンデレムチムチボディ"と"ボーイッシュで料理上手なバイカー志望"だと予測。

 私の未来予測は割と当たる。

 

「ダイヤちゃんはどうして大きくなったの?」

「いっぱい食って寝たからですよ」(何一つ間違っていない)

「へぇーそうなんだぁ。すごいなぁ」

「なあ、アンタは・・その」

「すみません無理です。私もう心に決めた操者がいるんです」

「まだ何も言ってねーよ!」

「あら、てっきり愛バになってくれと告られるのかと思いました」

「そ、そんな訳あるもんか」

「お兄ちゃん振られた」

「ダメ!愛バになるのは私なんだから」

「お前らなぁ」

「そうだ、もし操者になれた暁には是非サトノ家まで!メジロ家ではなくサトノ家!サトノ家をよろしくおねがいします。妹さんたちもですよ、騎神になったらサトノ家へGO!しっかり覚えてくださいね。あ、もちろん無資格でも大歓迎です。うちの採用基準はノリの良さを重視してますから、操者とか騎神とか覇気とかは気にしなくていいですから」

「一気に喋り過ぎだ、わかったわかったから近い近い近い!」

「おっと、もう行かないと。では皆さんお達者で~兄妹仲良くするんですよ~」

 

 言いたいことは言い切ったのでクールに去るぜ。

 フフ、こういう地道な営業努力が後々効いてくるのですよ。

 未来に向けて希望の種を撒き散らす私ってばお利口さん。

 

「行っちゃった」

「ああ」

「ダイヤちゃんカッコよかった!」

「ああ」

「それにすっっっごく可愛かった!」

「ああ」

「おっぱいも大きかった」

「ああ」

「お兄ちゃんスケベ!」

「ああ」

「一目惚れして速攻で振られたんだね。ショック受けるのも無理ないよ」

「うわぁ、悲惨すぎる~。トラウマ確定だぁ、絶対性癖拗らせたよね」

「お前らどこでそんな言葉を」

 

 思春期真っ盛りの少年にいろんなインパクトを与えたダイヤモンドであった。

 未来にて、彼と彼女たちがサトノ家に来たかどうかはまた別の話・・・

 

 ♦

 

「死に晒せぇ!オルゴンマテリアライゼーション!!」

 

 オルゴンライフルA(アブソリュート)

 敵の数が無駄に多いのでぶっ放しちゃったぞ!

 今回もライフルの開発が間に合っていないので、パントマイムでそれっぽくしました。

 撃てれば何だっていいんですよ。

 

「助けて!助けて!助けてくれぇーーー!」

「ひぃぃぃ!」

「化物、化物だ!」

「お、思い出した。あいつはサトノ家のぉぉぉぉーーーー!!」

 

「クレイジーダイヤモンドですが何か?」

「「「「ぎぃぃぃやあぁぁぁっっーーーーーー!!」」」」

 

 ふぅ、外道の断末魔はいつ聞いても醜い。下郎だったかな?どうでもいいか。

 

「こちらクレイジーダイヤモンド。今終わりました、各チームリーダー応答願います」

「クレイジー認めちゃったよww。フェネクス13、感染体の撃滅を完了、総数は・・・100までは数えた!」

「バンシィ6です。市民の救護活動中、メジロ家の救援部隊が協力を申し出ていますが、いかがいたしましょう」

「ありがたく受けてください、私が言うのもなんですが、ケンカしないように」

「了解です。引き続き任務に当たります」

「ユニコーン1だ。おチビが助けた三名の回収を完了、無事親御さんに届けたぜ。増援の気配は無しだ」

「ありがとうございます。各自、事後処理に入って下さい。ややこしい復旧作業はメジロ家に任せて撤収しますよ」

「「「了解!!!」」」

 

 終わったみたいだ。あー今回も何とかなりました。

 首をグキグキッと鳴らしてしまうのは親父臭いですか?

 

「で?何か用ですか」

「なんと、気づいていたのかい?」

「姿ぐらい見せてくれてもいいでしょう」

「これは失礼、レディに対する態度じゃなかったね」

 

 妙な気配を感じたので問いただしたら何かいた。

 全身白スーツだと?返り血とか目立ってしゃーないでしょそれ。

 臭いな、あーなんかコイツ・・・デモンの臭いがするぞ。

 

「初めましてサトノダイヤモンド。僕は孫光龍(ソンガンロン)という者だ」

「デモンを手配したのはあなたですか、ルクスとはどういったご関係で?」

「直球だね。確かに妖機人を動かしたのは僕だ、ルクスとは同盟関係にあるかな」

「ふーん。今日は顔見せですか」

「挨拶に来ただけだよ。もしかしたらキミが巫女かと思ったが、違ったようだ」

「そうですか、お帰りはあちらです」

「ああ、帰らせてもらうよ。そうだ、マサキ君は元気にしてるかな?」

「殺すぞ」

「おお!荒々しい殺気だ。不快に思ったのなら謝るよ、彼の動向は僕も気にしていてね」

「全て知っている癖に余計なことを聞くなボケ。デモンはこれからもテロ活動をする気か?」

「ルクス次第だ。僕はあくまで協力者、DCにもテロにも興味ないよ」

「バラルの犬が」

「へぇ・・・思った通り優秀だね。キミの様な者にこそ、うちに来てほしいものだ」

「遠慮します。私がどう動くかは操者次第なんで」

「だろうね。では、失礼するよ」

「もう会いたくないです」

「やれやれ、つれないなぁ」

 

 消えたか・・光龍と書いてガンロンと読む、まーた光かよ!光って奴に碌なのいねぇな!

 得体の知れない男だった。そもそもアレ人間か?覇気もなんか気持ち悪かったし。

 バラル、古来より人類の戦乱に介入する謎の組織。

 存在自体が眉唾物でしたがあの反応は当たりか、日頃から陰謀論や都市伝説を漁っていた甲斐がありました。

 善か悪か不明だったのですがデモンを使役しているとなると、うーん。

 ルクスに協力している時点で交渉の余地なしですね!はい、粛清対象にリストアップしまーす。

 

「クレイジー?大丈夫クレイジー!応答してよ」

「なぜダイヤモンドを消してクレイジーを残した」

「よかった。誰と話していたの?」

「白スーツの妖怪です」

「何それ、詳しく聞きたいな」

「ちょっと待ってください、外線が・・・ええ、はい、繋いでください」

「突然の割り込み失礼します。マサキのお兄さん的存在、シラカワシュウです」

「ロリコニア大臣ちーす!」

「まだ引きずっているのですか。それより、少々急ぎの用事をお願いしたいのですが?」

「内容を伺ってから決めます」

「慎重ですね。ブラックとダイヤにはすぐこちらへ、シラカワ重工本社まで来てほしいのです」

「今からですか、急すぎません?」

「こっちも・・・よ、ゆう・・がないもので」

「音声が不安定だよ?それに背後が騒がしい」

「失礼。現在、本社にて立てこもり中の身で・・・ぶっちゃけ、感染体の大群に襲撃されて困っています」

「エライことやないかい!」

「そういうことは、はよいえ!」

「ブルボンとライスが迎撃に当たっていますが心配です。あー何か爆発したぁ!早く!早く助けに来てください!お願いしますよぉぉぉぉぉんんん。あ・・・」

「ちょww」

「「あ」って言ったぞ!これもう手遅れじゃね、今爆発に巻き込まれたっぽくね?」

 

 はぁ、追加のお仕事入りました。残業手当?あるわけなかろう。

 マサキさんの友人なら見過ごせませんね。行きます、行けばいいんでしょ!

 不思議なことにシュウさんにも感じるのですよ。何かって?イケ魂ですよ、い・け・た・ま!

 

 

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