プロローグ
学園都市"最強"の能力───一方通行。
ありとあらゆる向きベクトルを変換する能力。
決してそれだけで、"最強"の座に君臨していた訳ではなく、その力を使いこなす演算能力があってこそ、その本領を発揮する。
そこら辺の一般人が同じ能力を持った所で、演算が出来なければただの力の持ち腐れ。
そう、俺の名前は一方通行。悪党だ。ついこのあいだ、絶対能力進化(レベル6シフト)実験に失敗した。その後家に帰って不貞寝した。
「ヒーローか。ハッ、オレには程遠い存在だ。」
『そうか?』
「!誰だ?」
コイツ、全く気配がしなかった?何者だ?
『お前はヒーローになりたいか?』
「あ?ヒーローだぁ?くだらねぇ。」
『私は⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎。それで?君はヒーローになりたいか?』
「へぇ、どうやら言葉が通じねぇみたいだな。とりあえず死体決定だ!」
一方通行が触れてベクトル操作で相手をぐちゃぐちゃにする筈だったが、そいつは平然とそこに立っていた。
(なんだコイツ!方向がねぇ)
『是。我は⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎。全にして個。我に下界のものが干渉する事は不可能。』
神様の様なことを言い出す。
『回答の時は過ぎた。これから君にはヒーローになってもらう。』
次の瞬間、部屋が光に包まれて気づけば路地裏に倒れていた。
「ここは?どうなってんだぁ?」
すると、奥から破壊音が聞こえる。
「おらぁ!出すもんだせや!」
「大人しく言うこと気がねぇと、この炎で焼死体が、完成するぜ?」
「で、でもこれ以上持ってないです。」
「だったら、テメェの個性で金作れよ!」
「で、出来ないですって。出来たらやってますよ!」
どうやら、カツアゲの途中らしい。一方通行は、そこからある単語に気がつく。
「個性?アイツ、ただのパイロキネシストだろ?」
個性と呼ばれるあの能力。見た感じLevel2程度の雑魚能力だ。
「おいテメェら、なんだか楽しそうな事してんなぁ!」
「ああ?誰だテメェ!」
「一方通行です。よろしく〜。そして死ね。」
そこからは一方的だった。
三人組の能力は、パイロキネシスとサイコキネキス、最後はただの身体強化だった。
全てのベクトルを操る一方通行の敵ではなかった。周りの空気を操り音も外部には漏れない様にしていた。
一人が聞く。
「お前、何者だよ。」
「通りすがりの悪党だ。」
「あ、あの。助けてくれてありがとうございます。何かお礼を、」
パスっと男の頬が切れる。
「失せろガキ。お前は何も見なかったよなぁ?見てねぇよな?」
「は、ハイ。誰にも言いません誓います。」
そそくさと、帰路についた少年。
「とりあえず、情報収集からだな。」
そう言って街の散策に出かけるとそこには、建物は普通なのに、頭が動物型の奴や、四肢が多いやつ。皮膚の色が明らかに普通ではない奴。そしてコスプレをして人助けをするヒーローと、呼ばれる存在。一方通行は認識した。ここは異世界だと。
何やってんだろ