陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらでも生き残る 作:ゴーストライターとかした、素人小説書き
この小説は、シリアスとギャグが少し入っています。
それがいやな方は、上にある矢印ボタンでブラウザバックを推奨します。
それでも、大丈夫な方はご覧ください。
第7話 心眼を持っているなら一人一発で十分でしょ?
民家、二階。
AR-15「……ん……」
AR-15が目を開けた。
最初に見えたのは、見慣れない天井だった。
首には僅かな圧迫感が残っている。
頭を打ったような痛みはない。
手足も動く。
AR-15が身体を起こすと、胸元から濃緑色の上着が滑り落ちた。
AR-15「……これ」
自分のものではない。
腕には日の丸。
胸元の標識には、英字で《JAPAN》と記されている。
AR-15は上着を手にしたまま、隣のベッドへ目を向けた。
SOPⅡが横たわっている。
毛布を掛けられ、静かに眠っていた。
AR-15「SOPⅡ」
ベッドを降り、すぐにSOPⅡの傍らへ移動する。
呼吸は安定している。
首や頭にも、目立った傷はない。
床には血痕が残っていた。
だが、その血はSOPⅡのベッドへ続いているのではない。
部屋の入口から、扉の近くへ置かれた椅子まで続いていた。
蓮「……起きたか」
低い声が聞こえた。
AR-15が振り返る。
椅子に座った蓮が、左脚を伸ばしている。
太腿には圧迫包帯が巻かれ、その一部へ血が滲んでいた。
P226は右腰のホルスターへ収められている。
蓮の手は、拳銃から離れていた。
AR-15「あなた……」
蓮「身体の調子はどうだ。首に痛みはないか?」
AR-15「私より先に答えて。SOPⅡに何をしたの?」
蓮「二階へ上がったら襲われた。止めた方法は、お前の時と同じだ」
AR-15「その脚は?」
蓮「彼女に刺された」
AR-15の視線が、包帯へ向く。
蓮「出血は抑えてある。今のところは動かさなければ大丈夫だ」
AR-15はSOPⅡの寝顔を見る。
自分を刺した相手でありながら、蓮はSOPⅡをベッドへ寝かせ、毛布まで掛けている。
その気になれば、意識を失っていた二人を殺すことも、置き去りにして逃げることもできたはずだった。
AR-15「私たちの武器は?」
蓮「一階の別室だ。弾倉と薬室の弾は抜いてある」
AR-15「返して」
蓮「その前に話を聞いてくれ」
AR-15「まだ自分が有利だと思っているの?」
蓮「思っていない。お前たち二人ともう一度戦えば、今度こそ俺が負ける」
AR-15「だったら――」
蓮「だから、もう殴り合う前に話をしたいんだ」
AR-15は答えず、蓮を見つめる。
蓮は両手を見える位置へ置いたまま、椅子へ座っていた。
拳銃へ手を伸ばす様子はない。
蓮「もう一度名乗る。俺は渡邉蓮。日本の陸上自衛隊に所属している」
AR-15「陸上自衛隊という組織は知らないわ」
蓮「俺も、グリフィンなんて組織は昨日まで知らなかった」
AR-15の目が細くなる。
AR-15「どうしてグリフィンを知っているの?」
蓮「416から聞いた」
AR-15「416?」
蓮「ほかにもVSK、G3、ブレン、スコーピオンという女性たちに会った。市役所に捕らえられていた者たちを救出し、今朝、二機のヘリコプターへ乗せた」
AR-15の表情から、僅かに余裕が消えた。
AR-15「G3を助けたの?」
蓮「ああ。脚を負傷し、意識を失っていた。今はブレンが付き添っている」
AR-15「416は?」
蓮「迫撃砲弾の爆発を受けて負傷したが、生きている。VSKとスコーピオンも一緒に脱出した」
AR-15「それなら、あなたはどうしてここにいるの?」
蓮「ヘリの定員が一人分足りなかった」
AR-15「それで、自分から残った?」
蓮「拘束した敵の連絡将校を置いていくわけにはいかなかったからな」
AR-15「敵のために、自分の席を譲ったの?」
蓮「武器を捨てて拘束された時点で、そいつは捕虜だ。こちらの管理下にある人間を、敵の目前へ放り出すことはできない」
AR-15「それだけ?」
蓮「ほかに何がある?」
AR-15は蓮の顔を見つめた。
嘘をついているようには見えない。
だが、話が常識から外れすぎている。
AR-15「その話を証明できるものは?」
蓮「手帳と認識票があったんだが、416に預けた」
AR-15「よりにもよって、身元を証明するものを?」
蓮「戻った時に返してもらう約束をしたんでな」
AR-15「……随分と都合のいい話ね」
蓮「俺もそう思う」
蓮が僅かに肩を竦める。
AR-15は、手にしていた上着を見る。
胸には、蓮が名乗ったものと同じ氏名が縫い付けられている。
少なくとも、名前だけは一致していた。
AR-15「一つ聞かせて」
蓮「何だ?」
AR-15「416から、私たちが戦術人形だということも聞いた?」
蓮「ああ」
AR-15「私たちは人間ではないわ」
蓮「そうか」
あまりにも短い返事に、AR-15が眉を寄せる。
AR-15「それだけ?」
蓮「ほかに何か必要か?」
AR-15「普通は、もっと驚くものよ」
蓮「昨日から、驚いてばかりなんでな。そろそろ慣れてきた」
AR-15「私たちが人形でも、何も感じないの?」
蓮は眠っているSOPⅡを見る。
蓮「お前は自分の名前を名乗った。SOPⅡは仲間を助けるために俺へ向かってきた。二人とも意識を失っていたから、床ではなくベッドへ運んだ」
蓮は再びAR-15を見る。
蓮「俺に分かるのは、それだけだ」
AR-15「……」
蓮「人形と呼ばれている理由も、身体の仕組みも、俺には分からない。だから、分からないものを勝手に決めつけるつもりもない」
AR-15「あなたは、随分と変わっているのね」
蓮「よく言われる」
蓮は椅子へ手を掛け、立ち上がろうとする。
左脚へ力が加わった瞬間、顔が僅かに歪んだ。
AR-15「どこへ行くの?」
蓮「お前の武器がある場所へ案内する」
AR-15「私に銃を返していいの?」
蓮「返さなければ、お前は納得しないだろ」
AR-15「その銃で、あなたを撃つかもしれないわよ」
蓮「その時は、俺の見る目がなかっただけだ」
蓮が壁へ手をつく。
一歩進むだけで、左脚へ痛みが走った。
AR-15「待って」
AR-15が近づく。
蓮は反射的に身構えた。
AR-15「肩を貸すだけよ」
蓮「信用したのか?」
AR-15「していないわ。でも、その速度で歩かれたら時間が掛かる」
蓮「素直じゃないな」
AR-15「一人で歩いて」
蓮「悪かった」
蓮はAR-15の肩へ腕を回した。
二人は階段を下り、一階へ向かった。
◇
一階の別室。
AR-15の小銃と拳銃は、机の上へ置かれていた。
その横には、抜かれた弾倉と薬室から取り出された弾薬が並んでいる。
SOPⅡの武器も、別の机へ置かれていた。
AR-15は自分の小銃を手に取る。
銃身。
照準器。
負い紐。
弾倉差込口。
順番に確認する。
目立った損傷はない。
分解された形跡もなかった。
AR-15「本当に弾を抜いただけなのね」
蓮「他人の銃を勝手に弄る趣味はない」
AR-15「私の首を絞める趣味はあるのに?」
蓮「それは誤解だ。できれば二度としたくない」
AR-15「どうかしら」
AR-15は弾倉の残弾を確かめ、小銃へ装着した。
薬室へ初弾を送り込む。
蓮はその動きを止めなかった。
AR-15「この家に入ったのは、本当に食料と水が目的だったのね?」
蓮「ああ。敵の拠点なら、確認してすぐ離れるつもりだった」
AR-15「ここはAR小隊が使っている臨時の隠れ家よ。市街地を偵察するために、数日前から使っている」
蓮「二人だけか?」
AR-15「今はね。M4とM16は、別の経路を調べに出ている」
蓮「M4、M16……また銃の名前か」
AR-15「私たちの仲間よ」
蓮「帰ってくる予定は?」
AR-15「本来なら、もう戻っているはず」
AR-15が窓から外を見る。
市街地の上には、薄い煙と埃が漂っている。
遠くから、散発的な銃声が聞こえた。
単発。
短い連射。
少し間を置き、再び複数の銃声。
蓮が顔を上げる。
AR-15「どうしたの?」
蓮「近いな」
蓮は壁際に置かれていた双眼鏡を手に取った。
窓の正面には立たない。
壁へ身体を寄せ、僅かな隙間から外を見る。
銃声は南東方向。
民家から三百メートルほど離れた大通りだった。
道路上には、横転した小型バスと複数の放置車両がある。
その陰に、三人の少女が身を隠していた。
周囲を、レッドカンパニーの私兵と鉄血のリーパーが取り囲んでいる。
蓮「三人いる。二人は小銃を持っている。もう一人は道路脇の障壁へ伏せている」
AR-15「見せて」
蓮が双眼鏡を渡す。
AR-15は窓の隙間から大通りを確認した。
AR-15「M4……M16!」
蓮「仲間か?」
AR-15「ええ。二人ともAR小隊よ」
蓮「もう一人は?」
AR-15「知らない子。でも、M4たちと一緒にいるなら敵ではないわ」
AR-15が窓の近くで小銃を構えようとする。
蓮は銃身へ手を添えた。
AR-15「何?」
蓮「ここから不用意に撃てば、この家の位置が割れる」
AR-15「だから見捨てろと?」
蓮「誰がそんなことを言った」
蓮は大通りと周辺の建物を確認する。
敵の配置。
三人が使っている遮蔽物。
射線。
撤退に使えそうな路地。
蓮「撃つなら、先に退路と射撃位置を決める。無計画に始めれば、仲間がここへ戻る前に家を包囲されるぞ」
AR-15は反論しなかった。
AR-15「どうするつもり?」
蓮「二階へ戻る。大通りを見下ろせる部屋は?」
AR-15「東側の部屋。窓が二つあるわ」
蓮「射撃位置は一つに固定しない。数発撃ったら場所を変える」
AR-15「この銃は狙撃銃じゃないわよ」
蓮「距離は三百前後だ。お前の腕が良ければ届く」
AR-15「簡単に言うのね」
蓮「一人一発で十分だろ」
AR-15「心眼を持っているなら、一人一発で十分でしょうね」
蓮「俺が見る。お前が撃つ。二人分の目があれば足りる」
AR-15は蓮を数秒見つめる。
やがて、小さく息を吐いた。
AR-15「分かったわ。観測はあなたに任せる」
蓮「了解した」
◇
廃町、大通り。
横転した小型バスの車体へ、弾丸が次々と命中する。
窓ガラスが砕け、薄い外板に穴が開いた。
その陰で、M16A1が小銃の引き金を短く絞る。
銃口から炎が走り、道路の向こう側にいた私兵たちが車両の陰へ身を伏せた。
M16A1「右の路地に三! 正面にリーパーが四! 左は?」
M4A1「私兵が五人! その後ろにも増援がいます!」
M4A1が道路標識の支柱から小銃を出し、単発で応射する。
二発撃つと、すぐに銃口を引いた。
直後、支柱周辺へ弾丸が集中する。
M16A1「派手に歓迎してくれるな!」
M4A1「増援の経路を、もっと早く見抜くべきでした」
M16A1「反省会は生きて帰ってからだ。それより、そっちの子は?」
M4A1が道路脇のコンクリート障壁を見る。
小柄な少女が、そこへ横たわっていた。
M9。
市街地を移動中に発見したグリフィン所属の人形だった。
負傷と疲労のため、先ほどから意識が戻っていない。
M4A1「まだ目を覚ましません」
M16A1「置いていく選択肢はなし。となると、退路を作るしかないな」
M4A1「西側の路地へ移動できれば、建物を使って追跡を切れます」
M16A1「問題は、あそこまで二十メートルあることだ」
横転したバスから西側の路地までは、遮蔽物が途切れている。
M9を運びながら走れば、その間は満足に反撃できない。
正面の私兵たちは、道路脇の車両を使って少しずつ距離を詰めていた。
その後方では、二人の私兵が軽機関銃を設置しようとしている。
M16A1「機関銃まで持ち出してきたか」
M4A1「設置されたら、ここから動けなくなります」
M16A1「私が抑える。M4はその子を――」
M4A1「駄目です。M16姉さん一人では、左右から撃たれます」
M16A1「なら、何か名案はあるか?」
M4A1は周囲を見る。
残弾。
敵の位置。
M9を運ぶために必要な時間。
迷っている間にも、包囲は狭まっていく。
M4A1「……発煙弾を使います」
M16A1「残り一個だぞ?」
M4A1「ここで使わずに全滅すれば、残しても意味がありません」
M16A1「よし。それでいこう」
M16A1が迷わず頷く。
M16A1「私が先に正面を叩く。発煙後、M4がM9を運べ。私は後ろから続く」
M4A1「分かりました」
M4A1は発煙弾を取り出し、安全装置へ指を掛ける。
その時、障壁の陰でM9が小さく動いた。
M9「……うぅ……」
M4A1「M9?」
M9「ここ……どこなの?」
M16A1「いいところで起きたな。絶賛包囲中だ」
M9「包囲中!?」
M9が慌てて身体を起こそうとする。
頭上を弾丸が通過し、バスの外板へ命中した。
M9「ひゃっ!」
M4A1「頭を上げないでください!」
M4A1がM9の身体を障壁の陰へ引き戻す。
M9「何でこんなことになってるの!?」
M16A1「説明は後だ。自分で動けるか?」
M9が足を動かす。
痛みに顔を歪めたが、立つことはできた。
M9「走れるけど、長い距離は無理かも……」
M16A1「路地まで二十メートルだ。それだけ保てばいい」
M4A1「無理はしないでください。私の肩につかまって」
軽機関銃手が射撃姿勢を整える。
隣の私兵が給弾ベルトを持ち、銃口がバスへ向けられた。
M4A1「来ます!」
次の瞬間。
大通りへ、乾いた銃声が一発だけ響いた。
◇
民家、二階。
AR-15は窓から一メートル以上離れた位置へ伏せていた。
銃口を外へ突き出さない。
丸めた毛布へ小銃の前部を預け、光学照準器越しに大通りを捉えている。
その隣で、蓮が双眼鏡を構えていた。
蓮「距離、約三百十。風は左から僅か。最優先、バス後方の軽機関銃手」
AR-15「見えている」
蓮「撃て」
AR-15が呼吸を整える。
照準を合わせ、引き金を絞った。
銃声。
軽機関銃手が後ろへ倒れる。
隣にいた私兵が給弾ベルトを放り、機関銃へ手を伸ばした。
蓮「次、隣」
二発目。
機関銃を掴もうとしていた私兵も、車両の陰へ崩れ落ちる。
「狙撃だ!」
「伏せろ!」
周囲の私兵が一斉に身を隠す。
蓮「右奥。無線機を持っている男。周囲へ指示を出している」
AR-15「確認」
無線機を持った私兵が、車両の陰から右腕を上げる。
別の部隊へ合図を送ろうとした瞬間、AR-15が引き金を絞った。
三発目。
男がその場へ倒れる。
蓮「移動するぞ」
AR-15「三発で?」
蓮「十分だ。次は敵が、この窓へ撃ち返してくる」
AR-15は小銃を抱え、窓の下を這うように隣の部屋へ移動する。
蓮も双眼鏡を持って続いた。
負傷した左脚を引きずっているため、動きは遅い。
それでも窓の前では立ち上がらず、壁際を進む。
二人が隣室へ入った直後、先ほどまで使用していた窓の周囲へ弾丸が集中した。
窓ガラスが砕け、壁材が室内へ飛び散る。
AR-15「判断は正しかったようね」
蓮「珍しくと言わないのか?」
AR-15「今は言わないでおくわ」
AR-15が別の窓から大通りを捉える。
蓮「左の路地。私兵が二人、建物沿いに回り込んでいる。後ろの男が発射器を持っている」
AR-15「どちらから?」
蓮「後ろだ。発射器を止める」
AR-15が標的を捉え、引き金を絞る。
四発目。
筒状の発射器を持っていた私兵が、路地へ倒れた。
前を進んでいた私兵が足を止める。
後方を確認しようと、遮蔽物から身体を出した。
蓮「先頭、今だ」
五発目。
先頭の私兵も崩れ落ちる。
AR-15「一人一発」
蓮「心眼は本当にあったらしいな」
AR-15「あなたの観測が、思っていたよりは正確だっただけよ」
蓮「そいつは光栄だ」
大通りでは、鉄血のリーパーが射撃方向を探していた。
複数の銃口が、周囲の建物へ向けられる。
AR-15「リーパーがこちらを探している」
蓮「右端の一体が、ほかより前へ出ている。あれの武器を止められるか?」
AR-15「人間と同じ場所を撃っても、簡単には止まらないわ」
蓮「倒す必要はない。撃てなくすればいい」
AR-15が照準を下げる。
リーパーが保持している銃器と、その周辺へ狙いを定めた。
一発。
二発。
着弾の衝撃で銃器が弾かれ、リーパーの銃口が道路へ落ちる。
すぐには射撃を再開できない。
蓮「十分だ。敵の左側が止まった」
蓮は双眼鏡をM4たちへ向ける。
横転したバスの陰で、M4A1が発煙弾を構えていた。
蓮「仲間が動くぞ」
AR-15「通信を試す」
AR-15が短距離通信を開く。
AR-15「M4。こちらAR-15。聞こえる?」
◇
M4A1「AR-15!?」
雑音混じりの声が、M4A1の通信機へ届く。
AR-15『聞こえているなら、返事は短く。あなたたちの北西、約三百メートルから援護している』
M4A1「こちらM4A1。受信しています。M16姉さんと、救助したM9が一緒です」
AR-15『西側の路地を使って離脱して。正面と左側はこちらで抑える』
M4A1「敵の右側は?」
AR-15『M16が抑えられる?』
M16A1「もちろんだ。久しぶりだな、AR-15」
AR-15『挨拶は後よ』
M16A1「相変わらず冷たいな」
AR-15『三十秒後に移動を開始。発煙弾は、バスと西側路地の間へ落として』
M4A1「了解しました」
M4A1が発煙弾の安全装置を外す。
バスと路地の中間へ投げる。
白い煙が噴き出し、道路上へ広がっていく。
M16A1「正面は頼んだぞ!」
M16A1がバスの後部から身を乗り出す。
右側の私兵へ向け、短い連射を繰り返す。
私兵たちが車両の陰へ引っ込む。
M16A1「今だ!」
M4A1「M9、私の肩につかまってください!」
M9「分かった!」
三人がバスの陰から飛び出した。
M4A1が先頭。
その肩を借りたM9が中央。
M16A1が後方。
白い煙の中を、西側の路地へ向かって走る。
「逃げるぞ!」
「煙の中を撃て!」
私兵たちが立ち上がる。
その一人が、煙の手前へ小銃を向けた。
乾いた銃声。
男が道路へ倒れる。
別の私兵が小銃を構えようとする。
続く一発が、身を乗り出した私兵の胴へ命中した。
遮蔽物から出かけていた者たちが、再び車両の陰へ身を伏せる。
誰かが狙っている。
身体を晒せば撃たれる。
それを理解させれば、三人が走り抜ける数秒を作れる。
M4A1たちが煙を抜け、西側の路地へ入った。
M4A1「三名、路地へ到達!」
AR-15『そのまま直進しないで。次の角を南へ。その後、二つ目の路地から北へ戻って』
M16A1「追手を撒いてから隠れ家へ戻れってことだな?」
AR-15『そうよ。このまま来たら、敵まで連れてくることになる』
M16A1「了解。M4、まだ走れるか?」
M4A1「問題ありません」
M9「わ、私も大丈夫!」
M16A1「よし。もう一息だ!」
三人は足を止めず、建物の間へ姿を消した。
◇
民家、二階。
蓮は双眼鏡越しに、三人の姿が路地へ消えたことを確認した。
蓮「三人とも抜けた」
AR-15「追手は?」
蓮「私兵が四人、動こうとしている。だが、指示役を失って混乱している」
AR-15が小銃を構え直す。
蓮「待て。もう撃つな」
AR-15「追跡されるわ」
蓮「敵は、まだ射撃地点をこの一軒にまで絞れていない。撃ち続ければ、ここまで案内することになる」
AR-15「でも――」
蓮「お前の仲間は市街地の道を知っているんだろ?」
AR-15「ええ」
蓮「なら、あとは信じろ。俺たちが今やるべきなのは、追跡されていないことを確認し、迎え入れる準備をすることだ」
AR-15は照準器越しに大通りを見続けた。
追跡しようとした私兵たちは、狙撃を警戒して遮蔽物から出られずにいる。
やがて、鉄血のリーパーを先頭に立て、慎重に移動を始めた。
だが、その頃にはM4たちの姿は完全に消えていた。
AR-15が小銃を下ろす。
AR-15「……分かったわ」
蓮「それと、この家も長くは使えない」
AR-15「分かっている。正確な位置までは知られていなくても、敵はこの一帯を捜索するでしょうね」
蓮「仲間が戻ったら、負傷者の状態を確認して移動を考えた方がいい」
AR-15「その負傷者には、あなたも含まれているわ」
蓮は双眼鏡を下ろした。
壁へ背中を預け、その場へ座り込む。
左腿の包帯に、新しい血が滲んでいた。
AR-15「傷が開いているじゃない」
蓮「少し動きすぎたな」
AR-15「少し?」
蓮「説教なら後にしてくれ」
AR-15「動かないで」
AR-15が蓮の前へ片膝をつく。
圧迫包帯を外さず、血の滲み方を確認する。
止血が完全に破綻している様子はない。
AR-15は救急用品から新しい包帯を取り出し、既存の圧迫を緩めないよう上から補強した。
蓮「信用していない相手の手当てをするのか?」
AR-15「していないから、勝手に動けないようにしているのよ」
蓮「随分と優しい拘束だな」
AR-15「黙って」
AR-15が包帯を固定する。
蓮の顔が僅かに歪んだ。
AR-15「痛む?」
蓮「痛くないと答えたら、信じるか?」
AR-15「いいえ」
蓮「なら聞くな」
AR-15は包帯を固定し、立ち上がる。
AR-15「M4たちが戻るまで、歩かないで」
蓮「分かった」
AR-15「本当に?」
蓮「善処する」
AR-15「それは、守らない人の返事よ」
その時。
隣の部屋から、ベッドが軋む音が聞こえた。
SOPⅡ「……うぅ……」
AR-15と蓮が同時に振り向く。
SOPⅡが毛布の中で動いていた。
AR-15が急いで隣の部屋へ入る。
AR-15「SOPⅡ」
SOPⅡ「AR-15……?」
SOPⅡがゆっくりと目を開ける。
隣にいるAR-15の顔を見て、安堵したように息を吐いた。
だが、扉の向こうにいる蓮を見つけた瞬間、勢いよく身体を起こす。
SOPⅡ「あっ! さっきの侵入者!」
AR-15「待ちなさい」
SOPⅡ「でも、そいつがAR-15を!」
AR-15「今は戦わなくていい」
SOPⅡ「どうして?」
AR-15「この人が、M4とM16を助けたからよ」
SOPⅡが蓮を見る。
続いて、包帯が巻かれた左腿へ視線を落とした。
SOPⅡ「……その怪我」
蓮「お前に刺された」
SOPⅡ「私が?」
蓮「ああ。見事に入ったぞ」
SOPⅡ「ご、ごめん……」
先ほどまでの勢いが消え、SOPⅡが気まずそうに肩を落とした。
蓮「気にするな。先にお前の仲間を絞め落としたのは俺だ。お互い様だろ」
AR-15「普通は、それをお互い様とは言わないわ」
蓮「そうか?」
SOPⅡ「じゃあ、もう敵じゃないの?」
AR-15「まだ判断中よ」
蓮「随分と長い判断だな」
AR-15「あなたが怪しすぎるのよ」
SOPⅡがベッドから降り、蓮の近くへ来る。
先ほどまで殺し合う寸前だった相手とは思えないほど、遠慮なく顔を覗き込んだ。
SOPⅡ「あなた、名前は?」
蓮「渡邉蓮だ」
SOPⅡ「レン?」
蓮「ああ」
SOPⅡ「私はM4 SOPMODⅡ。SOPⅡでいいよ」
蓮「知っている。さっき散々呼ばれていたからな」
SOPⅡ「そうだったっけ?」
AR-15「あなたが飛び出す前に、私が呼んだのよ」
SOPⅡ「全然覚えてないや」
AR-15「はぁ……」
AR-15が額へ手を当てる。
蓮はそんな二人を見て、僅かに口元を緩めた。
遠くの路地から、三人分の足音が近づいてくる。
一定の間隔で止まり、周囲を確認してから再び進む。
不用意に隠れ家へ駆け込まず、追跡されていないことを確かめながら接近していた。
AR-15「M4たちね」
AR-15が窓の隙間から外を確認する。
路地の奥に、M4A1、M16A1、M9の姿が見えた。
三人とも傷ついているが、自分の足で歩いている。
AR-15「無事に戻ってきたわ」
SOPⅡ「M4! M16!」
SOPⅡが階段へ向かう。
AR-15「待ちなさい。蓮が玄関に警報を仕掛けているわ」
SOPⅡ「あっ、そうだった」
蓮「今外す。勝手に触るなよ」
蓮が壁へ手をつき、立ち上がろうとする。
AR-15「あなたは動かないで」
蓮「仕掛けたのは俺だぞ」
AR-15「場所を教えて。私が外す」
蓮「……玄関扉の内側。下から十センチほどの高さに、細い糸を張ってある。先は空き缶だ」
AR-15「分かったわ」
SOPⅡ「レン、ちゃんと待っててね!」
蓮「お前まで言うのか」
AR-15とSOPⅡが階段を下りていく。
先ほどまで敵だった少女たちは、もう蓮へ背中を向けていた。
完全に信用されたわけではない。
事情も、立場も、まだ何一つ整理されていない。
それでも、少なくとも今は銃口を向け合う必要がなくなった。
蓮は椅子へ座り直す。
しばらくして、一階から玄関の扉が開く音が聞こえた。
M4A1「AR-15!」
M16A1「随分と派手な援護だったな!」
SOPⅡ「M4! M16! おかえり!」
再会を喜ぶ声が、一階から響く。
続いて、聞き慣れない足音が階段へ近づいてきた。
完全に安心した足取りではない。
途中で一度止まり、二階の様子を窺っている。
蓮はP226へ手を伸ばさなかった。
やがて階段の上へ、眼帯を着けた女が姿を現す。
M16A1は、椅子へ座っている蓮を見る。
その視線が、緑色の戦闘服、89式小銃、負傷した左脚へ順番に移った。
M16A1「……AR-15」
一階へ向け、M16A1が呼びかける。
M16A1「説明してもらおうか。この男は誰だ?」
蓮は小さく息を吐いた。
蓮「……次は、最初から説明し直しか」
はい。
前回言った通りM4とM16です。
スナイパーって意外に書きづらいですね....
次回は...少し、怖い物...と言うよりエグイ物を書きます!
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HK416
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VSK-94
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AK-12
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AR-15
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アズールレーン 赤城
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アズールレーン 加賀
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艦これ 赤城
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艦これ 加賀
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雷電
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スカイレイダー
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シュバァルベ
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渡邉 蓮
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渡邉 隼人
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渡邉 勇翔
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小貝 高虎