陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらでも生き残る 作:ゴーストライターとかした、素人小説書き
この小説は、シリアスとギャグが少し入っています。
それが、いやな方は、上にある矢印ボタンでブラウザバックを推奨します。
この世界はアズールレーンと艦これが入っているため人物が分かりやすいようにアズールレーンはA 艦これはCと表記します。
それでも、大丈夫な方はご覧ください。
3-1 呉鎮守府――男性副提督の朝食
呉鎮守府近海海戦の翌朝。
◇
大日本帝国。
帝都・東京、大本営。
海軍元帥、近藤佐美子の執務室。
広い執務室の中央で、二人の海軍将校が執務机の前へ立っていた。
輪と舞。
二人が提出したのは、呉鎮守府近海で発生した戦闘の暫定報告書だった。
近藤「……」
近藤は黙ったまま、報告書を一頁ずつ確認している。
敵艦隊の観測結果。
呉鎮守府即応連合艦隊の損害。
生還艦艇と、いまだ捜索中の航空要員。
そして、敵艦隊が追撃を中止するまでの経緯。
最後の頁まで読み終えた近藤の手が止まった。
近藤「……マジ?」
元帥らしからぬ一言だった。
輪「一言一句、誇張を加えずに記載しています」
舞「呉鎮守府の戦闘詳報、沿岸監視所の記録、艦隊から回収された通信記録を照合しました」
近藤「本当に? 書き間違いじゃなくて?」
輪「はい」
近藤は、報告書の中央へ記された項目をもう一度見る。
呉鎮守府近海海戦 暫定戦闘報告
敵艦隊観測戦力
航空母艦級 八隻
戦艦級 一隻
巡洋艦級 四隻以上
駆逐艦級 九隻以上
航空母艦級八隻のうち、六隻以上が航空機を運用。
確認戦果
敵主要妨害中枢 三隻へ損害
敵艦隊の通信、電探および妨害能力が一時低下
敵艦隊は即応連合艦隊への追撃を中止し、戦闘海域から撤退
敵艦艇の撃沈確認なし。
妨害中枢三隻の損害程度は不明。
敵航空戦力は、依然健在と想定する。
呉鎮守府側損害
沈没艦 なし
行方不明艦 なし
損傷艦 多数
第一航空戦隊および第二航空戦隊 攻勢任務継続不能
艦娘・赤城/KAN-SEN・赤城の航空隊 出撃六十六機、帰還八機
艦娘・加賀/KAN-SEN・加賀の航空隊 飛行可能状態での帰還四機
その他航空隊にも多数の戦死者、未帰還者および負傷者
戦死者および行方不明者の捜索を継続中。
本戦闘の成果は、敵艦隊の撃滅ではなく、損傷した即応連合艦隊を呉へ帰投させる時間の確保と判断する。
近藤「敵空母八隻。撃沈確認、なし」
輪「はい」
近藤「それなのに、敵は追撃を止めた」
舞「中央の大型空母級一隻と巡洋艦級二隻。合計三隻の妨害中枢が攻撃を受けた直後、呉側の通信と電探が回復しています」
近藤「敵を全滅させたわけじゃない。味方の航空隊も、ほとんど戦えない状態……」
輪「勝利と呼ぶより、壊滅を回避した戦闘と見るべきでしょう」
全艦が呉へ戻った。
だが、全員が帰ったわけではない。
戦死者も、行方不明者もいる。
多くの航空隊が、部隊としての機能を失った。
数字だけを見て大勝利と喜べる報告ではなかった。
近藤「この状況で、よく全艦を帰したわね……」
舞「即応連合艦隊は最後まで損傷艦を見捨てず、救難信号を送り続けました」
輪「呉鎮守府側も、その信号を受け取るため、損傷した通信設備を復旧させています」
近藤「それで、この渡邉隼人という人が、通信をつなぎ直して妨害源を見つけた」
舞「小型無人偵察機を敵艦隊付近へ送り、敵の位置と編成、妨害源を確認しました」
輪「その後、《みらい》と呼ばれる装備から対艦誘導弾八発を発射。中央の大型空母級へ四発、巡洋艦級二隻へ二発ずつです」
近藤「目的は撃沈じゃなく、通信と妨害の停止……」
近藤は、報告書へ添付された作戦図を見る。
呉から遠く離れた三つの目標。
そこへ延びる八本の射線。
近藤「剣子が副提督に任命した理由は分かったわ」
舞「正確には、呉鎮守府臨時副司令です。慣用上の呼称が副提督となります」
輪「任期は三十日。十日ごとに、本人と鎮守府双方で継続を見直す条件です」
近藤「昨日の戦果だけを理由にした、名誉職じゃないのね」
輪「防衛作戦の立案補助、情報統合、部隊再建、敵技術への戦術研究を担当します」
近藤「なるほど……」
その時、執務室の扉が叩かれた。
コンコン。
近藤「入れ」
「失礼いたします!」
若い海軍将校が敬礼して入室する。
手には、海軍の封印が施された大きな封筒があった。
「元帥閣下。呉鎮守府の好美剣子少佐より、臨時副司令任用報告書ならびに身元確認資料が届いております」
近藤「ご苦労。そこへ置いて」
「はっ!」
若い将校は封筒を机へ置き、退室した。
近藤は鋏で封を切る。
近藤「さて。未来から来た海上自衛官とは、どんな人なのかしらね」
封筒から、数枚の書類と一枚の写真を取り出す。
写真が書類の間から滑り、床へ落ちた。
近藤「あっ」
近藤は写真を拾い上げる。
そこには、左肩を固定された迷彩服姿の男性と、その隣へ笑顔で座る剣子が写っていた。
男性は車椅子へ座ったまま、撮影の意図が分からないとでも言いたげな顔をしている。
近藤「……えっ」
輪「どうされました?」
近藤「男」
舞「報告書に書かれていましたが」
近藤「剣子が、男と二人で写真を撮ってる!」
輪「注目するところは、そこなのですか?」
近藤「だって、剣子が男性を副提督にしたのよ!?」
舞「臨時副司令です」
近藤「通称は副提督でしょう!」
近藤は写真と任用報告書を交互に見る。
近藤「渡邉隼人……。戦果を盛らないところも含めて、一度会ってみたいわね」
◇
呉鎮守府、地下救護所。
負傷者用の個室。
隼人「……」
窓のない部屋へ、天井の照明が淡い光を落としている。
隼人は簡易寝台の上で眠っていた。
左肩は固定されたまま。
対艦誘導弾を発射した際の負担が、胸部と腰にも残っている。
昨日は、戦闘詳報の確認、合同慰霊式への参列、祖父である渡邉竜との面会、そして臨時副司令への任用が続いた。
軍医から勤務終了を命じられたあと、隼人はこの個室へ戻されていた。
コンコン。
剣子「隼人さん。起きていますか?」
隼人「……はい」
隼人が目を開ける。
上体を起こそうとした瞬間、左肩から胸へ鈍い痛みが走った。
アイ『急激な起き上がりを推奨しません』
隼人「分かっている」
右腕だけを使い、ゆっくり身体を起こす。
隼人「どうぞ」
扉が開き、剣子と衛生員が入ってきた。
衛生員は、折り畳まれた迷彩服の上衣と車椅子を用意している。
剣子「おはようございます。よく眠れましたか?」
隼人「おはようございます。途中で何度か目を覚ましましたが、昨日よりは眠れました」
剣子「痛みは?」
隼人「問題ありません」
アイ『左肩部、胸部および腰部に疼痛反応が残存しています』
隼人「……任務に支障があるほどではない」
衛生員「本日は、戦闘任務の予定などありません」
隼人「そういう意味で言ったわけではない」
剣子「軍医さんから、食堂まで車椅子で移動することを条件に、外での朝食を許可してもらいました」
隼人「歩行は禁止ですか?」
衛生員「昨日、四分十二秒で歩行試験を中止したことをお忘れですか?」
隼人「忘れてはいない」
衛生員「では、車椅子をお使いください」
隼人は反論を諦めた。
衛生員の助けを借り、迷彩服の上衣へ右腕だけを通す。
固定された左肩には袖を通さず、上衣の左側を肩へ掛けた。
それから車椅子へ移る。
剣子「朝食のあとは、副司令用の執務室と通信指揮所だけ案内します。ほかの場所は、身体が治ってからです」
隼人「鎮守府全体の配置を把握したいのですが」
衛生員「本日は二か所だけです」
隼人「……承知しました」
衛生員が車椅子を押し、剣子と共に地下救護所を出た。
◇
食堂へ向かう廊下では、戦闘の後片づけが続いていた。
割れた窓は応急資材で塞がれ、焦げた壁の前では工作要員が配線を交換している。
包帯を巻いた艦娘。
損傷した艤装の一部を固定されたKAN-SEN。
負傷者や工具箱を運ぶ者たちが、剣子と隼人へ敬礼して通り過ぎていく。
剣子「昨日は、本当に大変でしたね。慰霊式のあとも、任用覚書、装備の保管確認、それから写真撮影まで」
隼人「その写真について、一つ質問があります」
剣子「な、何でしょう?」
隼人「身元確認用の写真へ、なぜ好美提督まで一緒に写ったのですか?」
剣子「私も一緒なら、大本営が偽造を疑いにくくなるでしょう?」
隼人「撮影記録と公印があれば十分では?」
剣子「必要なの! この世界では必要なのです!」
隼人「そうなのですか?」
剣子「そうなのです!」
隼人「……この世界の身元確認は特殊なのですね」
剣子「あはは……そうかもしれませんねぇ……」
剣子は笑ってごまかした。
剣子「元帥へ隼人さんを自慢したかったなんて、言えない……」
隼人「何か言いましたか?」
剣子「何も言っていません!」
声が僅かに裏返っていた。
隼人「ところで、昨日の秘書官だった天城さんは?」
剣子「天城さんは、重桜の天城さんです。KAN-SEN側の秘書官として、昨日の任用手続きを手伝ってもらいました」
隼人「今日は別の方が担当するのですか?」
剣子「はい。秘書官は艦娘とKAN-SENから、仕事の内容に合わせて輪番で選んでいます」
隼人「本日の担当は?」
剣子「今日は確か……」
剣子が考え込む。
剣子「あれ? 誰でしたっけ?」
隼人「ご自分の秘書官ですよね?」
剣子「昨日が忙しすぎて、当番表を見るのを忘れていました」
隼人「秘書官候補は、それほど多いのですか?」
剣子「呉に所属するKAN-SENが百三十四人ほど。艦娘が百六十人ほどです。その中から、適性と本人の希望を確認して当番を決めています」
隼人「合計で三百人近い……」
剣子「もちろん、全員が秘書官を務めるわけではありませんよ」
隼人「それでも、三百人近い所属員と戦力を管理しているのですね」
剣子「最初は大変でしたけど、慣れれば何とかなります!」
隼人「私も早く覚えられるよう、努力します」
剣子「うむ! よろしい!」
剣子が得意そうに胸を張る。
その直後、三人は大食堂へ到着した。
剣子「ここが鎮守府の大食堂です!」
剣子が両開きの扉を押す。
扉の向こうには、長机と椅子が何列も並んだ広大な食堂があった。
艦娘とKAN-SEN。
人間の整備員、航空要員、衛生員。
多くの者が、朝食を取っている。
戦闘翌日のため、空席も少なくない。
医療区画や捜索任務から戻っていない者もいる。
それでも、食堂には朝の活気が戻り始めていた。
金剛(艦娘)「いっただっきますネー!」
金剛(KAN-SEN)「いただきます。姉様、あまり慌てて食べると――」
金剛(艦娘)「ぐっ!? の、喉が詰まったネー!」
比叡(艦娘)「金剛お姉様! お水を――ひぇっ!?」
立ち上がった比叡(艦娘)が足を滑らせる。
ガッシャーン!
比叡(KAN-SEN)「比叡姉さん! 大丈夫ですか!?」
比叡(艦娘)「ひぇぇ……」
夕立(艦娘)「もぐもぐ! 間宮さんのご飯、おいしいっぽい!」
夕立(KAN-SEN)「確かにうまいな! これなら野菜を食べなくても――」
時雨(艦娘)「駄目だよ。野菜も食べないと」
時雨(KAN-SEN)「ぎくっ……。残してないよ。ただ、食べやすいように端へ移しただけだし」
時雨(艦娘)「……」
時雨(艦娘)が、時雨(KAN-SEN)の皿の端へ積まれた野菜を見る。
時雨(KAN-SEN)「……あとで食べるよ」
神通(艦娘)「川内姉さん、起きていますか?」
川内(艦娘)「うぅ……深夜まで将棋を指しすぎた……」
川内(KAN-SEN)「まだまだだな。これで二百九勝、十九分け、無敗だぞ」
川内(艦娘)「くっ……夜戦演習だと、すぐへにゃへにゃになるくせに……」
川内(KAN-SEN)「誰がへにゃへにゃだ!」
隼人「……」
隼人は、扉の前で言葉を失った。
剣子「おお。今日は大人しいですね」
隼人「これで大人しいのですか?」
剣子「普段なら、もっと大騒ぎですよ。昨日の疲れが残っているのかもしれません」
隼人「そ、そうなのですか……」
呆然とする隼人へ、古い海軍軍服を着たKAN-SENが声を掛けた。
三笠(KAN-SEN)「む? 指揮官ではないか。おはよう。今朝はしっかり目が覚めているか?」
剣子「あっ、三笠さん! おはようございます! 今日はちゃんと起きていますよ!」
三笠(KAN-SEN)「うむ。早寝早起きは軍人の基本だからな」
三笠(KAN-SEN)の視線が、車椅子へ座る隼人へ移る。
三笠(KAN-SEN)「して、指揮官の隣にいる彼が、昨日話していた例の人物か?」
剣子「はい! 昨日から呉鎮守府の臨時副司令になった、渡邉隼人さんです!」
隼人「初めまして。渡邉隼人と申します」
隼人は車椅子から立とうとした。
衛生員「立たないでください」
三笠(KAN-SEN)「ははは! そのままで構わん。ここは戦場でも、式典会場でもない」
隼人「失礼します」
三笠(KAN-SEN)「随分と肩へ力が入っているな。長く戦場へ身を置いていたようだ」
隼人「……」
穏やかに笑う三笠(KAN-SEN)には、長い年月と戦場を知る者だけが持つ静かな重みがあった。
それを感じた瞬間、隼人の身体が無意識に緊張を取り戻していた。
三笠(KAN-SEN)「おっと。その気配は、ここでは出さない方がよい」
隼人「申し訳ありません。少し、力加減を誤りました」
三笠(KAN-SEN)「戦場で染みついた癖は、平和な場所で少しずつ直せばいい」
隼人「……善処します」
三笠(KAN-SEN)「うむ。それでは、朝食が冷めてしまうので失礼する!」
三笠(KAN-SEN)は、自分の席へ戻っていった。
剣子「何か出していたんですか?」
隼人「あまり気にしない方がよろしいかと」
剣子「そうですか? まあ、いいか!」
剣子はすぐに配膳口へ向き直った。
剣子「間宮さーん! 今日の朝食は何ですかー?」
割烹着と大きな赤いリボンが特徴的な艦娘が、厨房から顔を出す。
間宮(艦娘)「今日は、塩鮭と赤味噌のお味噌汁、炊きたてのご飯、それから、だし巻き卵ですよ」
剣子「それを二つ、お願いします!」
間宮(艦娘)「はーい。ちょうど作り置きが切れたので、先に席へ座っていてくださいね」
剣子「分かりました!」
三人は、空いている席を探して食堂を進む。
車椅子へ座る男性。
しかも、見慣れない迷彩服を着ている。
隼人の存在に気づいた者たちの視線が、次々と集まった。
金剛(艦娘)「Oh……男の人がいるネー」
比叡(KAN-SEN)「本当ですね。軍人でしょうか?」
霧島(艦娘)「昨日噂になっていた、未来から来た男性では?」
榛名(艦娘)「く、クールで格好いいです……」
隼人「……随分、見られていますね」
剣子「あっ……そうだ!」
剣子が足を止める。
剣子「まだ皆へ、隼人さんを紹介していませんでした!」
隼人「この場で行うのですか?」
剣子「詳しい説明は後で行います。でも、せっかく皆が集まっていますから、先に顔と名前だけでも覚えてもらいましょう!」
剣子は食堂の中央へ移動し、パンパンと手を叩いた。
剣子「みんなー! 朝食中にごめんね! 少しだけ注目してくださーい!」
食堂が、少しずつ静かになっていく。
箸を止める艦娘。
椅子から身を乗り出すKAN-SEN。
整備員や航空要員も、隼人へ視線を向けた。
剣子「昨日付で、呉鎮守府の臨時副司令へ任命した渡邉隼人さんです! 私たちの呼び方では、副提督になります!」
食堂の一角から、小さなどよめきが起きる。
剣子「任期は、まず三十日。詳しい役目や権限については、あとで各部署へ通達します!」
剣子が隼人を見る。
剣子「それでは副提督、一言お願いします!」
隼人「事前に聞いていないのですが」
剣子「今、お願いしました!」
三笠(KAN-SEN)が、自分の席から笑う。
三笠(KAN-SEN)「副提督となった以上、大勢の前で話す機会はいくらでもある。最初の訓練だと思って諦めたまえ!」
隼人「三笠さんまで……」
隼人は一度、息を整えた。
車椅子へ座ったまま、食堂にいる者たちを見渡す。
隼人「紹介にあずかりました、渡邉隼人です。本日より、呉鎮守府臨時副司令として勤務します」
落ち着いた声が、食堂へ響く。
隼人「初めに、昨日の戦闘で失われた方々へ、哀悼の意を表します。いまも行方の分からない方々が、一人でも多く戻ることを願っています」
食堂から、先ほどまでの軽いざわめきが消えた。
隼人「敵艦艇の撃沈は、確認されていません。敵の航空戦力も健在と想定すべきです。私たちが得たのは、敵を滅ぼした勝利ではありません」
隼人は、包帯を巻いた者たちを見る。
隼人「損傷した艦と負傷者を、呉へ帰すための時間です」
赤城たちとの戦闘詳報で述べたことと、同じだった。
隼人「私は、この鎮守府について知らないことが多い。艦娘とKAN-SENの能力も、この世界の制度も、これから学ばなければなりません」
隼人は一度、言葉を切った。
隼人「まず、皆さんの名前と役割を覚えます。何ができて、どのような支援が必要なのかを確認します。その上で、航空隊と防衛体制を立て直します」
剣子が、黙って隼人の言葉を聞いている。
隼人「勝利も、誰も死なせないことも約束できません。それでも、与えられた権限の中で、帰れる者を一人でも多く帰します」
隼人は、動かせる右手を胸元へ添えた。
隼人「至らない点があれば、遠慮なく指摘してください。これから、よろしくお願いします」
隼人は車椅子へ座ったまま、深く頭を下げた。
短い沈黙。
最初に拍手を送ったのは、三笠(KAN-SEN)だった。
三笠(KAN-SEN)「うむ。よい挨拶だ!」
剣子も手を叩く。
続いて、食堂の各所から拍手が広がっていった。
金剛(艦娘)「新しい副提督、歓迎するネー!」
夕立(艦娘)「よろしくっぽい!」
榛名(艦娘)「よろしくお願いします!」
隼人「……ありがとうございます」
剣子「詳しい説明は後ほど! 今は朝食が冷めちゃうから、みんな食事に戻ってー!」
金剛(艦娘)「そうだったネー! いただきま――」
金剛(KAN-SEN)「姉様。先ほど喉を詰まらせたばかりでしょう」
金剛(艦娘)「今度は気をつけるネー!」
食堂に、朝の賑わいが戻っていく。
剣子「あっ、隼人さん。あそこが空いています!」
剣子と衛生員が、車椅子を空席へ運ぶ。
長机の向かい側には、隼人にとって見覚えのないKAN-SENが座っていた。
大鳳(KAN-SEN)「ふふ……初めまして、隼人様♡」
隼人「初めまして。渡邉隼人です。先ほどの挨拶を聞いてくださったのですね」
大鳳(KAN-SEN)「ええ。しっかり聞かせていただきましたわ。重桜所属、装甲空母・大鳳です」
隼人「大鳳さんですね。よろしくお願いします」
剣子「あれ? そういえば、艦娘の大鳳さんは今朝は一緒じゃないんですか?」
大鳳(KAN-SEN)「もう一人の大鳳さんは、避難中に怪我をしてしまいまして……。今は医療区画で安静にしていますわ」
隼人「怪我?」
隼人の表情が変わる。
隼人「敵機は迎撃したはずです。まさか、鎮守府まで到達した機体が――」
大鳳(KAN-SEN)「いいえ。避難中に足を滑らせ、階段から転んでしまったのです」
隼人「……そうでしたか」
敵機を取り逃がしたわけではない。
それを知り、隼人の肩から僅かに力が抜ける。
大鳳(KAN-SEN)「命に関わる怪我ではありません。しばらくすれば、元気になりますわ」
隼人「それなら安心しました。お大事にとお伝えください」
大鳳(KAN-SEN)「ええ。必ずお伝えします♡」
コトッ。
間宮(艦娘)「お待たせしました。朝食をどうぞ!」
間宮(艦娘)が、二人分の朝食を長机へ並べる。
焼きたての塩鮭。
湯気を立てる赤味噌の味噌汁。
炊きたての白米。
丁寧に巻かれただし巻き卵。
剣子「ありがとうございます、間宮さん!」
隼人「ありがとうございます」
間宮(艦娘)「どういたしまして。二人とも、残さず食べてくださいね」
剣子「はーい!」
間宮(艦娘)は、笑顔で厨房へ戻っていった。
剣子「それでは、いただきます!」
隼人「いただきます」
二人は手を合わせ、朝食を食べ始める。
剣子「んんっ! おいしい!」
剣子は頬を緩め、次々と箸を動かす。
隼人は、最初に味噌汁を一口飲んだ。
隼人「……温かい」
赤味噌の香りと出汁のうま味が、身体へ染み渡っていく。
昨日までの食事は、救護所か艦内で取るものばかりだった。
鎮守府の食堂で、所属する者たちと同じ朝食を食べる。
それだけで、自分が本当にここへ着任したのだと実感できた。
剣子は豪快に。
隼人は、固定された左肩を動かさないよう、右手だけでゆっくりと。
二人は、それぞれの速さで朝食を食べ終えた。
剣子「ごちそうさまでした!」
隼人「ごちそうさまでした」
二人の膳には、米粒一つ残っていない。
剣子「間宮さんの料理は、本当においしいですね。もう満腹です!」
隼人「ええ。実に美味な朝食でした」
以前の世界で食べた市ヶ谷の食堂より、明らかにうまい。
そう思ったが、口に出すのはやめた。
剣子「それでは、食器を片づけてきますね」
剣子が二人分の盆を重ねる。
隼人「私も――」
衛生員「車椅子から立たないでください」
隼人「……手伝おうと言っただけです」
剣子「これくらい私がやりますよ。隼人さんは待っていてください!」
隼人「では、お言葉に甘えます」
剣子が返却口へ向かう。
その直後、向かいへ座る大鳳(KAN-SEN)も箸を置いた。
大鳳(KAN-SEN)「ごちそうさまでした」
口元を布で拭った大鳳(KAN-SEN)が、隼人を見る。
大鳳(KAN-SEN)「隼人様」
隼人「はい。何でしょうか?」
大鳳(KAN-SEN)「このあと、何かご予定はありますか?」
隼人「軍医の許可した範囲で、副司令用の執務室と通信指揮所を案内していただく予定です」
大鳳(KAN-SEN)「それが終わったあと、少しお話しできませんか? せっかくお会いできたのですから……」
隼人「構いません。ただし、軍医から救護所へ戻るよう命じられた場合は、別の時間にしてください」
大鳳(KAN-SEN)「ええ……。素晴らしいですわ。本当に、素晴らしいですわぁ……」
隼人「……?」
一瞬だけ、大鳳(KAN-SEN)の瞳から光が消えたように見えた。
しかし、瞬きをした時には、先ほどまでの柔らかな微笑みに戻っている。
剣子「へぇ。隼人さん、大鳳さんともう仲良くなったんですね!」
隼人「うおっ!?」
盆を返し終えた剣子が、隼人の背後から会話を覗き込んでいた。
剣子「すっかり意気投合しているように見えました」
隼人「知り合ってから、まだ朝食一回分の時間も経っていませんが」
剣子「えっ? いや、そういう意味では……」
隼人「冗談です」
剣子「隼人さん、意外と意地悪ですね……」
隼人「今朝から驚かされてばかりでしたので、お返しです」
剣子「あはは……。それでは、そろそろ案内へ行きましょうか」
隼人「はい。お願いします」
衛生員が車椅子の向きを変える。
隼人「それでは、大鳳さん。また後ほど」
大鳳(KAN-SEN)「はい。お待ちしておりますわ、隼人様♡」
隼人は剣子と衛生員と共に、食堂を出ていった。
三人の姿が扉の向こうへ消える。
大鳳(KAN-SEN)は頬へ片手を添え、閉じた扉を見つめ続けていた。
大鳳(KAN-SEN)「ふふ……。とても、おいしそうなお方……♡」
赤い唇から、細い舌が僅かに覗いた。
はい。
皆様。
あけましておめでとうございます!!
えー、今年もね!頑張っていきたいと思いますはい。
2022年もよろしくお願いします!!
次回は話が進まなくなる関係で紹介はハブらせてもらいます、ので次回は大鳳に会う所になります!
それでは、また!!
新年もコメントと投票よろしくお願いします!!
※2026年8月30日リメイク完了
好きな子がいたら適当に投票どうぞ!
-
HK416
-
VSK-94
-
AK-12
-
AR-15
-
アズールレーン 赤城
-
アズールレーン 加賀
-
艦これ 赤城
-
艦これ 加賀
-
雷電
-
スカイレイダー
-
シュバァルベ
-
渡邉 蓮
-
渡邉 隼人
-
渡邉 勇翔
-
小貝 高虎