陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらでも生き残る   作:ゴーストライターとかした、素人小説書き

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艦これはCアズレンはAと表記させていただきますのでお願いします。

クロスオーバーなので悪しからず

それではどうぞ


6-4 海の上に立つ陸人を待つもの

6-4 島へ渡る前に

 

 昼休みが終わり、執務室へ戻ると、机の上の封筒が三つに分けられていた。

 

 大淀が表紙へ挟んだ紙には、それぞれ、艦艇、陸軍、輸送・補給と書かれている。

 

 その脇に、午前中、隼人が持ち帰った演習記録が置かれていた。

 

 剣子はそちらを一度見てから、上級司令部の封筒を手前へ寄せる。

 

剣子「では、午後の分を始めましょうか」

 

隼人「はい」

 

 窓の外では、岸壁へ荷物を運ぶ車が動いていた。

 

 この部屋に届いた紙も、ああした仕事を頼むためのものになる。

 

 隼人は椅子へ座り、腕部のタブレットを開いた。

 

隼人「アイ。昨日まとめた照会項目を出してくれ。今日の回答を、これから入力する」

 

アイ『表示します。回答の受信日と、担当部署の見込みを記した日付は、別に登録します』

 

隼人「ああ。その順で頼む」

 

 大淀が、最初の綴りを開いた。

 

大淀(艦娘)「他の鎮守府からの回答です。こちらは、昨日までの状況を取りまとめたものになります。照会を続けている項目には、その旨が添えてあります」

 

 剣子が指で日付を確かめる。

 

剣子「三日で全部決まるとは思っていなかったけれど、返事は来たね」

 

隼人「こちらから、次に何を返すかも決められます」

 

 扉が叩かれた。

 

 三笠と天城が、呉側でまとめていた資料を持って入ってくる。

 

三笠(KAN-SEN)「待たせたかな」

 

剣子「ちょうど始めるところです。こちらへ」

 

 大淀が椅子を足した。

 

 隼人はタブレットを机の中央へ向け、音声の出力先を切り替える。

 

隼人「アイの比較も、皆さんに聞いていただけるようにします。元の回答は、こちらです」

 

天城(KAN-SEN)「私たちの方からも、いくつか補足できます。先ほど届いた確認もありますので」

 

 天城は持参した紙を開いた。

 

 紙面の見出しは、修復完了見込み。

 

 その下へ、別の字で、復帰に必要な確認と書き足されていた。

 

     *

 

 最初に並べたのは、各地で修復を受けている艦の報告だった。

 

 工廠を出られる見込みが立ったもの。

 

 部材の到着を待っているもの。

 

 修復の日程は出ていても、その後の確認に必要な日数が付いていないもの。

 

 同じ欄に収められた回答でも、意味は揃っていない。

 

隼人「この艦は、修復が終わる見込みですね。任務へ復帰できる日については、まだ回答がありません」

 

大淀(艦娘)「はい。問い合わせの表題に合わせて、まず修復の日付が返ってきています。運用側の確認は、追って送るそうです」

 

剣子「だったら、この日から使える予定には入れないでおこう」

 

 大淀が控えへ記す。

 

 隼人も、画面上の日付を移した。

 

 出せる艦を並べる欄から、その前に確かめる欄へ。

 

アイ『修復見込み日のみで重ねていた期間を外しました。現在の回答からは、同時に任務へ就ける隻数を確定できません』

 

隼人「各艦ごとに、試運転と任務復帰の判定までを続けて表示してくれ。途中が空いているものは、そのままでいい」

 

 短い線の先に、まだ日付のない区間が現れた。

 

 三笠が、別の一枚を示す。

 

三笠(KAN-SEN)「こちらは、艦そのものは動かせる。だが、今の哨戒を引き継ぐ相手が要るそうだ」

 

剣子「代わりの部隊は?」

 

三笠(KAN-SEN)「そちらも照会中だ。先に硫黄島へ回す艦だけを決めれば、出発する時に困るだろう」

 

 天城は、呉側の記録を隣へ置いた。

 

天城(KAN-SEN)「こちらでも、航路の護衛と港周辺の警戒を残して計算しています。昨日までの一覧より、攻勢へ回せる範囲は狭くなりました」

 

隼人「照会への返答が、具体的になった分ですね」

 

天城(KAN-SEN)「ええ。全く動かせないという回答とは、分けてあります。必要な引継ぎが済めば、候補に残せる方もいますから」

 

 隼人は、候補艦の名の横へ、引継ぎ先と期限の欄を加えた。

 

 修復を早める話と、任務を交代する話。

 

 必要な相手が違うものを、一つの催促にまとめるわけにはいかなかった。

 

剣子「上へ返す時には、この条件も付けます。艦だけ引き抜く命令が来ても、航路が空いたままでは困るからね」

 

三笠(KAN-SEN)「残る側の任務も、作戦の外へ押し出さずに済む」

 

 隼人が頷いたところで、天城は航空隊の綴りへ手を移した。

 

天城(KAN-SEN)「三つの群に分ける案も、こちらの引継ぎと合わせなければなりません」

 

 KAN-SENの大鳳、翔鶴、瑞鶴。

 

 軸に置こうとしている三人の名の下には、航空隊と整備、護衛についての確認が続く。

 

隼人「三つとも、同じ規模に揃えることを優先するつもりはありません。まず、任務ごとに必要な航空隊と、交代できる時間を確かめます」

 

天城(KAN-SEN)「その形で、各隊から返してもらっています。機体だけでしたら見込みの立つ所もありますが、整備を受け持つ人数は、別に調整が要ります」

 

剣子「艦娘の大鳳さんの修復も、この案へ混ぜないように」

 

隼人「はい。そちらは別にしています」

 

 隼人は二つの資料を見比べた。

 

 参加を望む名が増えることと、続けて任務を受け持てる時間が増えることは、同じではない。

 

 ただ、どの確認を誰へ戻すかは、朝より明らかになっていた。

 

     *

 

 陸軍側の回答には、まだ、派遣部隊の名がなかった。

 

 代わりに、海軍側へ確かめたい事項が並んでいる。

 

 上陸後、どの範囲を、いつまで保持するのか。

 

 港と飛行場の使用を、どの時点から見込むのか。

 

 輸送と、その後の補給を、どこが受け持つのか。

 

 既存の配置との調整は、それらを揃えてから続けると記されていた。

 

三笠(KAN-SEN)「向こうも、出せるかどうかを考える材料が要る」

 

隼人「こちらへ部隊の人数だけ送ってもらっても、運ぶものまで決まりませんね」

 

大淀(艦娘)「工兵と衛生についても、必要な任務を示してほしいとのことです。近藤元帥から、調整を続けるという添え書きが来ています」

 

 剣子が、その部分へ目を通した。

 

 人を出すという約束までは、書かれていなかった。

 

剣子「連絡の担当は、こちらですね」

 

大淀(艦娘)「はい。今後の照会先が指定されています。別々に出していたものも、こちらでまとめて受けるそうです」

 

剣子「それは助かるね。今日の質問は、その窓口へ返しましょう」

 

 天城が、硫黄島の図を広げた。

 

 既存の施設を示す印はある。

 

 その印だけでは、現在の状態までは読み取れなかった。

 

隼人「港と飛行場を使う案は、使えるまでの間も持たせなければなりません。修復部隊に何を求めるか、海上の輸送と揃えて返します」

 

天城(KAN-SEN)「港へ着けば降ろせるものと、岸まで運ぶ手段が別に要るものもあります」

 

 その言葉に合わせ、隼人は輸送の綴りを開いた。

 

 船腹の照会には、候補となる船と、今受けている任務が載っている。

 

 初回に使う場合。

 

 その後、定期的に補給を行う場合。

 

 担当が別に見積もった用紙が、一緒に綴じられていた。

 

隼人「先に、こちらを合わせましょう。アイ、船ごとの候補と、使用する期間を入力する」

 

 隼人は、二つの用紙にある管理番号と任務、期間を順に入力した。

 

アイ『輸送区間と、使用可能になる条件も登録してください。同じ船の候補が、複数の回答に含まれています』

 

 隼人は紙を近づけ、管理番号を確かめた。

 

 大淀が、もう一方の綴りを開く。

 

大淀(艦娘)「こちらにも、同じ番号がありますね」

 

 初回の輸送候補に、一隻。

 

 次の補給便にも、その一隻が載っていた。

 

 初回の担当は、島で荷を降ろし終える所までを見積もり、その後は別の任務へ返すとしている。

 

 次便の担当は、初回を終えて帰港した船を使えるものとしている。

 

 どちらも、その間に必要な時間については、同じ回答を待っていた。

 

隼人「それぞれの案では、候補として挙げられる。続ける時に、どこで受け渡すかが空いていますね」

 

アイ『初回側の見積もりは、島での荷揚げ終了までです。次便側では、その終了後に帰港済みの船を使う前提になっています。帰る航程と、点検・積込みの時間が接続されていません』

 

剣子「二つの紙で、一往復が短くなってしまっているのか」

 

隼人「はい。ここを繋げずに足せば、使える回数が増えて見えます」

 

 隼人は、船の名を消さなかった。

 

 代わりに、初回と次便の間を長く取り、帰る航程と、港での仕事を書き込んだ。

 

 荷揚げが終わる日には、まだ印を付けない。

 

 島の港が使える前提で作られた見込みと、その港を直すための輸送が、同じ所に重なっていた。

 

     *

 

隼人「アイ。まず、初回の荷揚げが予定より延びる場合を比較してくれ。次便の積込みを始められる位置まで」

 

 隼人は、荷揚げの終わりを示す印を、指で少し先へ動かした。

 

アイ『表示します』

 

 画面に並んだ二つの線のうち、下の線が右へ動いた。

 

 船が島を離れるところだけではない。

 

 帰港。

 

 点検。

 

 荷を積み替える仕事。

 

 それらが続けて後ろへずれ、次の出港も遅くなる。

 

アイ『同じ船を使う場合、荷揚げの遅れが、次便の到着へ引き継がれます。次便側だけ出港日を固定すると、その船がまだ帰っていない期間に積込みを始める計画になります』

 

三笠(KAN-SEN)「陸へ着いている部隊だけは、その間も食う」

 

天城(KAN-SEN)「燃料と弾薬も要ります。船の予定が空白でも、消費は続きますね」

 

 隼人は、昨日の机上演習で使った記録を呼び出した。

 

 船団が速力を落とし、護衛の交代まで延びた区間を拡大する。

 

 今度はその隣へ、荷揚げを待つ時間が並んだ。

 

隼人「昨日は、帰る船団を扱いました。今度は、この船を守った艦が、次の便にも間に合うかを見なければ」

 

アイ『輸送の候補が変わらなくても、護衛の交代時刻は変わります。現行の照会へ、荷揚げの所要と待機を加えることを提案します』

 

天城(KAN-SEN)「航空隊の見込みにも、この待機時間を加えて戻します。各隊には、遅れた場合の交代まで回答してもらいましょう」

 

 天城は、航空隊の用紙へ一本、横線を引いた。

 

 部屋で同じ時刻を使っているうちに、別々だった綴りの間へ書き込みが増えていく。

 

剣子「では、初回に持たせる補給品を増やす案と、次便を別の船で組む案。その二つを比べられる?」

 

隼人「比較はできます。ただ、初回へ積む量を増やせば、降ろす仕事も増えます」

 

アイ『二案を追加します。初回へ継続補給分を寄せる案では、荷揚げと待機が長くなる条件を併記します。次便を別船とする案では、船体と乗員に加え、追加の護衛が必要です』

 

 画面が、三つに分かれた。

 

 同じ船を往復させる案。

 

 初回に持たせる量を増やす案。

 

 次便へ別の船を用意する案。

 

 まだ、どれにも日付の入らない区間がある。

 

 それでも、何を確かめれば、どの案を残せるかは違っていた。

 

三笠(KAN-SEN)「初回へ積めば済む、と考えると、今度はその船を早く帰せなくなるわけだ」

 

隼人「はい。それから、島に置く場所と、運び分ける人手も要ります。沖にある荷を、守備隊の手元にある分としては数えられません」

 

天城(KAN-SEN)「先に必要な工兵機材が、最後まで船に残る積み方でも困ります」

 

 天城は陸軍への照会用紙を引き寄せた。

 

 機材の名を増やす前に、どの仕事を、何より先に始めるかと書く。

 

 その下へ、荷揚げを受け持つ者との打合せと続けた。

 

大淀(艦娘)「海軍側の船に積めるかだけでは、回答が終わりませんね」

 

隼人「陸軍には、必要なものを挙げてもらいます。輸送側には、その順番で渡せるかを聞く。同じ用紙を見て話してもらいたい」

 

剣子「今日の返答には、その形を付けましょう」

 

 剣子は、三つの案を順に見た。

 

剣子「全部の船が手に入るとして話を進めるのは、まだ早いね。まず、同じ船を使う案で、どこまで続けられるか。別船を求めるなら、必要になる時期と任務も、一緒に出します」

 

隼人「承知しました」

 

アイ『輸送量の比較へ、次便まで補給を維持できるかの条件を追加しますか』

 

 隼人は画面を見た。

 

 用紙にあった積載量だけなら、初回の便で運べる範囲は広い。

 

 次の便が来るまでを合わせれば、必要な荷の配分から考え直すことになる。

 

隼人「ああ。ただし、少人数なら何でもいいわけではない。保持する範囲に必要な部隊を運べることも残してくれ。そこは、陸軍の回答を受けて更新する」

 

アイ『変更します。必要な部隊を運べる条件と、継続補給の条件を並べて評価します』

 

 三笠が、島の図を指で押さえた。

 

三笠(KAN-SEN)「運ぶ人数を減らしても、守る範囲を同じにしてしまえば、陸に負担を押しつけるだけだな」

 

隼人「ええ。ですから、こちらだけで人数を先に削る回答にはしません」

 

 剣子が短く頷いた。

 

 画面上で、積載量の順に並んでいた候補の表示が変わった。

 

 隼人は、その順番を紙へ写した。

 

 空いていた所へ、次に相手へ尋ねる言葉が入っていく。

 

     *

 

 一度、窓が開けられた。

 

 紙を押さえるため、大淀が重しを置く。

 

 港の音が、部屋の中へ少し大きく入ってきた。

 

 三笠は立ったまま、机に広がった図を眺めている。

 

三笠(KAN-SEN)「もう一つ。行きに積んだ荷を降ろせたとして、帰りの船は、何を乗せる?」

 

隼人「負傷者と、後送が必要な人員です。船での手当が必要な場合も含めて、衛生側と合わせます」

 

大淀(艦娘)「この見積もりでは、戻る時は空船として、次の荷を積む方だけ計算されています」

 

隼人「そこも修正が要りますね」

 

 隼人は、帰路の区間を開いた。

 

 荷物が少ない船と、人を運べる船の条件は違う。

 

 処置をする場所。

 

 受け持つ人。

 

 帰港してから引き継ぐ先。

 

 隼人は一つずつ、大淀が読み上げる回答へ照らしていった。

 

アイ『後送を同じ船へ割り当てる場合、帰港後の引継ぎも次便の出港条件へ入ります。別の受入先を使う案は、その港への航程と護衛が変わります』

 

剣子「早く着く港なら、どこでもいいというわけにもいかないね」

 

隼人「受け入れられる所まで繋げます。帰り着いたという報告だけでは、引渡しが済んだことになりませんから」

 

 紙の上では、船が帰れば一本の線が終わる。

 

 そのあとにいる者を、隼人は知っていた。

 

 岸壁で待つ車。

 

 名前を確認する声。

 

 自分の足で降りられなかった者を、受け取る手。

 

 そこまでを、この世界で誰が受け持つのか。

 

 知っている時代の名前を、そのまま書くことはできなかった。

 

隼人「衛生担当への照会は、港務側の受入れと一緒にお願いします。輸送側へだけ返して、終わらせないように」

 

大淀(艦娘)「承知しました。上級司令部から指定された窓口を通して、相互に回答を回してもらいます」

 

 三笠は椅子へ戻った。

 

三笠(KAN-SEN)「島で予定が変わった時には、何を守って順番を変える?」

 

 隼人はすぐには答えず、荷の一覧へ目を戻した。

 

 航空隊の運用を早めたい。

 

 港も早く直したい。

 

 そのための荷は、どれも必要だった。

 

隼人「上陸した部隊の維持と、後送の手段です。飛行場の使用開始を早めるために、それらを後回しにする案は採りません」

 

天城(KAN-SEN)「飛行場の修復を遅らせれば、海上から支える時間も延びます。それも、航空隊の側へ返しておきます」

 

隼人「お願いします。優先した結果を、そちらだけに持たせるわけにはいきません」

 

剣子「その判断ができるように、いつまでに、どの報告が要るかも決めておこう」

 

 剣子が、陸軍と輸送の用紙を並べた。

 

剣子「物がなくなってから、次の船が来ませんと言われても動けない。出発前に見込みが立たなければ、計画を戻す。出てから変わった場合は、誰が、その時点で知らせるか」

 

隼人「海上と陸上で、物資の残量を同じ基準で見られるようにします。島へ届いた量と、船に残っている量は分ける。そこへ、次便が遅れた時の見通しを重ねます」

 

アイ『補給便の遅れに対して、追加の派遣を待つ場合と、輸送の順番を変更する場合を比較できます。必要消費量が届けば、判断に必要な報告時点も計算できます』

 

隼人「それを、今日の照会へ付けてくれ。島を取れたという知らせだけで、次の部隊を送り続ける予定にはしない」

 

 表示された案の脇に、確認を要する時点が加わった。

 

 敵に対して、何を撃つか。

 

 その判断の前にも、決めることはある。

 

 送る者が増えるほど、帰りの線も長くなる。

 

 三笠は画面へ目を落とし、小さく頷いた。

 

三笠(KAN-SEN)「一度に全て揃わぬなら、途中で戻って考え直せる所を、先に作る。今日、そこまで話せたのはよかった」

 

剣子「ええ。間に合わせるために、報告の方だけ短くしないようにね」

 

     *

 

 大淀が、新しい紙を一枚置いた。

 

 その上に隼人は、今日の回答から残せる案をまとめていった。

 

 修復中の艦には、運用復帰の確認を付ける。

 

 任務から離れる艦には、交代の相手と引継ぎを付ける。

 

 輸送は、初回から次便までを一続きにする。

 

 上陸部隊、工兵、衛生へは、同じ輸送条件を渡す。

 

 天城が、隼人の書いた文を読み、脇へ追記した。

 

天城(KAN-SEN)「初回の荷揚げ方法を、どの条件で比較したかも残しましょう。港が使用できる案と、それを待てない案とでは、必要な手段が変わります」

 

隼人「そうですね。回答の表題だけが同じでも、前提まで揃っているとは限りませんでした」

 

大淀(艦娘)「別々の担当へ、同じ条件のまま返せる形にします。こちらで変更した場合は、差分も付けますね」

 

 アイが、入力された比較をまとめ直した。

 

 画面の一部へ、照会の順番が表示される。

 

アイ『先に確認する対象を、荷揚げの手段と、その所要の見込みに置きます。その回答によって、輸送船の折返し、護衛の交代、航空支援の継続が同時に変わります』

 

隼人「その次は?」

 

アイ『陸上部隊の保持任務と、必要な継続補給量です。二つが揃えば、同じ船を使う案で満たせる範囲と、追加輸送を求める根拠を比較できます』

 

天城(KAN-SEN)「工兵の返答が来る前に、輸送だけを確定させない方がよさそうですね」

 

隼人「ああ。アイ、陸軍側へ渡す照会にも、その繋がりを出してくれ」

 

アイ『反映します』

 

 剣子は、書き上がった最初の頁を読んだ。

 

 日付が決まっていない欄は、残っている。

 

 それでも、午前に届いた紙を、そのまま上へ返す内容ではなくなった。

 

剣子「一週間の回答まで、あと四日。今日中に、この照会を返します」

 

大淀(艦娘)「はい」

 

剣子「間に合った回答は、順に合わせましょう。届かなかった所は、こちらが都合のいい数字で埋めずに、そのまま残す」

 

隼人「現在の条件で進められる所と、次の判断を待つ所を、添えます」

 

三笠(KAN-SEN)「候補に置かれた一か月も、この結果を受けて、改めて考えることになるな」

 

剣子「そうです。今日、返信を受け取ったことで、出撃の日が決まったわけではありません」

 

 剣子は、まとめの末尾へ自分で一文を加えた。

 

 未確認の項目は、参加を判断するために必要な条件として、回答へ残す。

 

 隼人は、そこを読んでから頷いた。

 

 自分の装備についても、使える弾薬と運用の継続に必要なものを、別紙で出している。

 

 その表紙には、三十日間の任用と、その後の扱いを協議する必要も記してある。

 

 演習で使用した装備の成績を、輸送や保持の欄へ移すことはしなかった。

 

 代わりに、今日合わせた護衛と交代の条件を、自分の別紙にも戻す。

 

 そこへ立つことを希望するなら、同じ時刻の中へ、自分も入れなければならなかった。

 

     *

 

 扉が叩かれたのは、照会文の清書を始めた頃だった。

 

 大淀が受け取りに立ち、一枚の連絡票を持って戻る。

 

大淀(艦娘)「港務からです。あきつ丸さんの帰着予定について、返信がありました」

 

 三笠が顔を上げた。

 

三笠(KAN-SEN)「こちらも、ようやく来たか」

 

大淀(艦娘)「現時点では、明日の夕刻を見込んでいるそうです。航海中のため、変更があれば改めて連絡するとのことです」

 

 隼人は手帳を開いた。

 

 あきつ丸。

 

 艦娘。

 

 その横で、空いていた所へ日付を書き足す。

 

隼人「お話を伺うのは、到着後の引継ぎが済んでからですね」

 

剣子「ええ。帰ってすぐ、こちらの会議に座ってもらう予定にはしないでおこう。翌朝を候補に、都合を聞いてください」

 

大淀(艦娘)「承知しました。話題も、先に届けておきます」

 

天城(KAN-SEN)「今日の比較も、見てもらえますね」

 

隼人「はい。ただ、こちらで作った線を説明するだけで終わらせたくありません」

 

 隼人は、荷揚げの区間へ目を落とした。

 

 日付が入っていない所は、画面の中では、ただの空白に見える。

 

 海の上では、そこで船が止まる。

 

 待つ者も、運ぶ者もいる。

 

隼人「実際の輸送で、何に時間を使ったのか。予定どおり降ろせなかった時、誰と連絡を取ったのか。その話を聞きたいです」

 

三笠(KAN-SEN)「あきつ丸なら、こちらの用紙にはない話も持っているだろう」

 

剣子「分かった。派遣を決めてもらう協議とは分けて、まず、本人の経験を聞く場にしましょう。必要な連絡先へ繋ぐ話は、そのあとで」

 

 隼人は照会事項へ、もう一行加えた。

 

隼人「荷揚げや積込みを受け持った方にも、話を伺えるか聞いてください。乗せた側と、降ろした側の記録も合わせたい」

 

大淀(艦娘)「そのように伝えます」

 

アイ『現在の比較に、実際の作業記録を重ねる欄を用意します。候補にした三案は、そのまま残しますか』

 

隼人「ああ。話を聞いて、残せるものを選び直す」

 

アイ『承知しました』

 

 画面に、三つの線が並んでいた。

 

 今は、どれも島まで続いている。

 

 島へ着いたあとにも、線は終わらない。

 

 大淀が照会文を揃え、剣子へ渡した。

 

 天城は自分の控えへ修正を写し、三笠も各隊へ戻す紙を選び始める。

 

 隼人は、手帳へ書いた明日の予定を一度確かめた。

 

 あきつ丸が帰る。

 

 その帰り道で何があったのかを、まずは聞く。

 

 硫黄島へ向かう者の予定を決める前に、こちらへ戻ってくる者の話が待っていた。




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兵器解説

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