陸自はドールズフロントライン、海自は艦これとアズールレーン、空自はアッシュアームズ三つの世界でバラバラになりながらでも生き残る 作:ゴーストライターとかした、素人小説書き
クロスオーバーなので悪しからず
それではどうぞ
翌日の夕刻、岸壁へ向かう道には、まだ日の光が残っていた。
隼人は大淀と並び、係留区画の手前で足を止めた。
あきつ丸が戻っている。
港務から届いた連絡には、着岸を終え、荷役と帰港後の引継ぎを続けているとあった。
大淀(艦娘)「こちらです。通路は、空けておきましょう」
荷車が一台、二人の前を通った。
後ろには、帆布を掛けた大きな木箱が載っている。角へ打ち付けられた札が、車輪の振動に合わせて揺れていた。
運ぶ者が声を掛け、岸側で待つ者が手を上げる。
少し先では、書類を挟んだ板を持つ女性が、そのやり取りを見ていた。
黒い軍帽。
白い顔へ、港の夕日が斜めに差している。
大淀が名を呼ぶと、彼女は振り返り、二人へ向き直った。
あきつ丸(艦娘)「あきつ丸、帰着したのであります」
大淀(艦娘)「お帰りなさい。こちらが、渡邉隼人副提督です」
隼人「初めまして。明日、お話を伺うことになっています。今日は、ご挨拶に」
隼人が名乗ると、あきつ丸の目が、顔から迷彩服へ動いた。
あきつ丸(艦娘)「お名前は伺っております。先日の演習のことも、少し」
隼人「まだ、直している記録が多いですよ」
あきつ丸(艦娘)「それでしたら、自分も同じであります」
彼女は、持っていた板へ目を落とした。
紙の端に、鉛筆で消した跡がある。
書き直された受取先の名の下は、まだ空いていた。
隼人がそちらを見た時、作業服の男が近づいてくる。
港務係「こちらの荷、明朝の便で工廠へ回します。今晩は指定の場所で保管しますので」
あきつ丸(艦娘)「承知しました。保管を引き受けた方の名を、こちらへお願いしたいのであります」
男が板を受け取り、記入する。
あきつ丸は、その字と、木箱を置いた場所を確かめた。
短く礼を言い、控えを一枚渡す。
そこまで済んでから、彼女は再び隼人へ顔を向けた。
あきつ丸(艦娘)「お待たせしたのであります」
隼人「いえ。明朝も、ご都合は変わりませんか」
あきつ丸(艦娘)「はい。引継ぎを終えれば、支障ありません。持参するものも、先に教えていただきましたので」
大淀(艦娘)「ありがとうございます。時刻はこちらに。変更がありましたら、私へ知らせてください」
大淀が、折った連絡票を渡した。
あきつ丸は内容を確かめ、胸元へ収める。
その手が戻る時、わずかに肩が下がった。
隼人は、用意してきた質問を鞄から出さなかった。
隼人「では、明日に。今夜は、ゆっくりお休みください」
あきつ丸(艦娘)「そうさせていただくのであります。聞かれたことに、眠ったまま答えてしまっては困りますから」
真面目な顔のまま言うので、隼人は少し笑った。
隼人「それは、こちらも困りますね」
あきつ丸の口元も、僅かに緩んだ。
*
翌朝、打合せに使う小部屋には、資料を広げられる大きな机が用意されていた。
先に置かれた三つの輸送案。
その横へ、あきつ丸が二冊の綴りを並べる。
一冊は航海と荷役の記録。
もう一冊には、積荷の一覧と、積んだ場所を示す略図が挟まっていた。
剣子と大淀、天城が席に着く。
隼人は、腕部のタブレットを台へ置き、あきつ丸からも見える向きにした。
剣子「帰ってきたばかりのところ、ありがとう。今日は、実際の輸送で何が起きたかを聞かせてください」
あきつ丸(艦娘)「承知したのであります」
彼女は、一冊目の表紙を開いた。
あきつ丸(艦娘)「陸軍側の派遣や、今後使う船について、自分の判断だけではお返事できません。ただ、この航海で受け持った仕事なら、お話しできます」
隼人「お願いします。こちらも、その経験を伺って案を直し、必要な担当へ照会したいと考えています」
隼人は音声の出力を切り替えた。
隼人「アイ。昨日までの三案を出してくれ。これから、作業記録を加える」
アイ『表示します。既存の輸送候補と、今回の航海記録は、別の記録として扱います』
声を聞き、あきつ丸がタブレットへ目を向ける。
あきつ丸(艦娘)「こちらから、声がするのでありますか」
隼人「はい。私の装備に組み込まれた支援用のAIです。入力した記録を比べたり、条件を変えた場合の見通しを出したりできます。私は、アイと呼んでいます」
あきつ丸(艦娘)「では、今日の話も、こちらへ?」
隼人「元の記録と合わせて、私が入力します。表示が違っていたら、その場で教えてください」
あきつ丸は、画面と自分の綴りを見比べた。
あきつ丸(艦娘)「承知しました。自分の控えにも、訂正した所は残すのであります」
隼人は頷き、入力欄を開いた。
*
あきつ丸が示したのは、今回の往航で寄った港の記録だった。
硫黄島ではない。
日本側で使用している港へ、補充の人員と資材を運んだ時のものだ。
船が着いた時刻。
荷役開始の連絡を受けた時刻。
実際に作業を始めた時刻。
荷が船を離れた時刻と、引渡しを確認した時刻も、それぞれ記されている。
隼人は順に入力し、画面へ並べた。
隼人「この区間を、詳しく伺えますか」
指で示したのは、最後の荷が岸へ上がってから、引渡しの確認を受けるまでだった。
あきつ丸(艦娘)「修理用の資材であります。岸へ降ろす所までは、手配どおり進んだのでありますが」
あきつ丸は、積荷の一覧を開く。
対象の箱へ、細い線が引かれていた。
あきつ丸(艦娘)「到着する前に、故障船が曳航されてきたそうです。港内で資材を運ぶ作業班が、そちらへ回っておりました」
天城(KAN-SEN)「荷役の担当とは、別の班ですか」
あきつ丸(艦娘)「はい。船から降ろす仕事は進められました。岸から倉庫へ運び、受取先へ回す所で、待ったのであります」
大淀(艦娘)「予定が変わったという連絡は、いつ届きましたか」
あきつ丸は、一つ前の頁へ指を戻した。
あきつ丸(艦娘)「接岸後であります。港務の側では、先に故障船へ対応する必要がありました。こちらも、岸へ降ろせる間に荷役を進めることになったのであります」
誰かが遊んでいて、止まった仕事ではなかった。
別の船を助けるために、人が動いていた。
その変更を受け取る時刻が、船と岸で違った。
隼人「その時、受取先を変える手続きも?」
あきつ丸(艦娘)「ええ。元の担当へ渡せるまで待つか、別の保管先へ引き継ぐか。そこを決める連絡が続きました」
あきつ丸は、控えの一枚を外した。
紙には、訂正された受取先と、署名が残っている。
昨日、岸壁で見たものと、よく似ていた。
あきつ丸(艦娘)「最後は、港務側で一時保管を引き受けてくださいました。自分が確認できたのは、そこまでであります」
隼人「修理を受け持つ部署へ届いた時刻は、この綴りにはないのですね」
あきつ丸(艦娘)「はい。荷役が終わったと報告することはできましたが、相手が使える所まで届いたかは、別の確認になったのであります」
隼人は、画面上の引渡し先を修正した。
倉庫の先へ、もう一本、線が伸びる。
その先の時刻は空いている。
隼人「アイ。岸側で運搬を受け持つ作業班と、保管先が変わった時刻を加えてくれ。記録のない区間へは、時間を補わなくていい」
アイ『追加します。船からの荷揚げと、岸側での運搬は、担当が異なります。今回の記録では、後者の待機が引渡しを遅らせています』
画面上で、二つの仕事が別の線になった。
荷を吊り上げる仕事は、終わっている。
受取先へ運ぶ仕事は、途中で担当が変わっている。
天城は、持ってきた用紙へ書き込んだ。
天城(KAN-SEN)「受入れを予定していた時と、実際に引き受けた時。その変更を、誰が知らせるかも必要ですね」
あきつ丸(艦娘)「そうしていただけると、ありがたいのであります。船の側で次の仕事を急いでいても、岸の事情を知らなければ、待つしかありませんから」
*
隼人は、前の打合せで残した三案へ表示を戻した。
同じ船を往復させる。
初回に持たせる補給品を増やす。
次便を別の船で組む。
それぞれの荷揚げ区間へ、今聞いた仕事の分担を加える。
隼人「今の実績時間は、この港の条件で残します。硫黄島の比較には、担当と手段の繋がりを使ってくれ」
アイ『承知しました』
隼人は、岸側の運搬を一つの作業班で受け持つ場合を、仮の条件として入力した。
次いで、別の船が着く位置へ印を置く。
隼人「岸側の作業が終わる前に、次便が着いた場合だ。船を別にすれば、どこが早くなる?」
アイ『次便は、初回の船が帰るのを待たずに出港できます。ただし、同じ受入れ場所と作業班を使う条件では、岸側の処理は順番待ちになります』
画面に、二隻目を示す印が増えた。
先の船から、荷を渡す線が伸びている。
後の船から伸ばした線は、その途中で止まった。
アイ『後続の到着を早めても、この条件では陸上への引渡しは早まりません。沖で待つ船と、護衛が受け持つ時間が増えます』
剣子が、表示へ少し身を寄せる。
剣子「別の船を用意できても、待つ所へ先に着くだけになるんだね」
隼人「はい。二便を受けられる岸側の手段があるか。なければ、次の便をいつ着かせるかまで合わせます」
天城(KAN-SEN)「先の船の荷を岸へ運ぶ小艇と、次の船から荷を降ろす小艇も、同じものを使う案なら重なりますね」
隼人は、その条件も加えた。
海と岸を結ぶ短い線が、二つの便で同じ色になる。
あきつ丸(艦娘)「自分がお話しできる港では、岸壁と起重機を使えました。島で沖から運ぶことになるなら、その間の手段も要るのであります」
隼人「ええ。小艇の能力と、実際に使える場所は、別に確かめます」
あきつ丸は頷き、次の紙を出した。
積んだ荷の位置を示す、略図だった。
あきつ丸(艦娘)「初回に多く積む案でしたら、こちらも見ていただきたいのであります」
略図には、箱ごとの記号と、行き先が書かれている。
隼人は顔を上げた。
あきつ丸(艦娘)「今回の積付けであります。重量と場所を合わせ、降ろす港ごとに分けました。ただ、岸で作業の順が変わると、使いたいものを、その順に出せるとは限りません」
隼人「荷役の途中で、先に欲しいと言われたものがあったのですか」
あきつ丸(艦娘)「修理資材の一部であります。故障船の対応へ回すことになり、先に渡せるか問い合わせが来ました」
彼女は、略図の奥を示した。
そこへ届くまでに、別の荷を動かす必要があった。
あきつ丸(艦娘)「元の予定では、それで問題なかったのであります。ですが、積んだあとに優先するものが変わると、すぐには出せませんでした」
天城が、陸軍へ返す予定の資材一覧を引き寄せた。
天城(KAN-SEN)「工兵の仕事も、機材を一つ降ろせば始められるとは限りません。人員と、必要な道具が揃う順に見直せますね」
隼人「その仕事を始めるために、何が一緒に渡っていなければならないか。向こうの担当者に、まとめてもらいましょう」
アイ『荷を、使用する作業ごとに関連づけることを提案します。現在の一覧では、別々の品目に分かれた機材と付属品の到着を比較できません』
隼人「まず、陸軍から必要な組合せを返してもらう。こちらで決めてしまわず、記入する欄を用意してくれ」
アイ『追加します』
画面へ、必要なものが揃う時点を示す欄ができた。
初回に多く積む案の横で、隼人は、積載量を増やすという一文を読み直した。
その下へ、始める仕事に合わせて荷をまとめ、先に引き渡せる積付けを確認すると加える。
量を増やすかどうかは、そのあとにも考えられる。
最初から外せない組合せを、先に確かめたかった。
剣子「初回へ足す分は、この仕事を始めるのに要るものと、次便まで持たせる分を分けよう。どちらを増やして、何が入らなくなるかも見せてください」
隼人「承知しました」
剣子は三つの案を見比べ、指で二便目の印を押さえた。
剣子「船を頼む時には、ここまで付けます。空いている船をもう一隻、という聞き方では、向こうも割り当てられないからね」
あきつ丸が、小さく息をついた。
あきつ丸(艦娘)「何を先に渡したいかが分かれば、積み方を相談できます。船が着いてから初めて聞くより、ずっと助かるのであります」
*
話を続けるうちに、机の片側は紙で埋まっていた。
あきつ丸は荷役の綴りへ印を挟み、隼人は追加した条件を確かめる。
大淀が時計へ目を向けた。
大淀(艦娘)「上級司令部へ返す回答まで、あと二日です。今日中に照会を戻せれば、こちらで合わせる時間を取れます」
隼人は、作成中の文面を開いた。
積付けの条件。
岸側での受取り。
小艇や作業班の交代。
必要な問いは増えたが、相手へ一度に投げれば、また、別々の前提で答えが戻ってくる。
隼人「今聞いた分を全部、同じ重さで送ると、回答が散りますね」
天城(KAN-SEN)「先に揃える所を決めましょう。岸側の仕事を始めるのに必要な組合せと、引き受ける担当。その二つからでは?」
隼人「はい。次便までの維持に必要な量も、そこへ付けます」
隼人は文面を短く直し、あきつ丸へ向けた。
隼人「輸送を受け持つ側から見て、これを渡されれば、何が答えられますか」
彼女は、すぐには頷かなかった。
最初の頁を読み、資材の一覧を見てから、末尾へ指を置く。
あきつ丸(艦娘)「積めるか、降ろしたい順で出せるかは、相談できます。ただ、受取側の担当が決まっていなければ、引渡しを終える時刻までは、約束しづらいのであります」
隼人「では、その担当が決まることを、輸送案の条件に入れます」
あきつ丸(艦娘)「ええ。それから、現地の状況が変わった時、順番を変える話を誰へすればよいか。そちらも、お願いしたいのであります」
昨日、岸壁で見た紙が、隼人の頭へ戻った。
受取先の名が変わり、あきつ丸は、そこへ誰かの名前が入るまで待っていた。
物を動かす相手へ、最後に渡す言葉まで決める。
その仕事は、地図へ船を置くだけでは終わらなかった。
剣子「陸上の必要に合わせて変更を求める窓口と、海上の輸送を動かす窓口を決めよう。どちらか一方へ知らせて済む形にはしない」
大淀(艦娘)「上級司令部から指定された連絡先へ、照会をまとめます。港務と衛生の回答にも、関係する所を回しますね」
隼人は、輸送案の表示をもう一度、アイへ求めた。
隼人「今の条件で、三案の比較をまとめてくれ。どの回答があれば次へ進めるかを、案ごとに」
アイ『同じ船を往復させる案では、荷揚げと引渡しに要する時間、帰港後の受入れを含めて、次便へ使える時期を確認します』
一本目の線に、帰りの仕事が繋がった。
アイ『初回に補給品を増やす案では、作業に必要な組合せと、継続補給分の配分を確認します。荷揚げの順番を変える必要がある場合は、積付けへ戻して比較します』
積載量の欄から、引渡しの順番へ表示が続く。
アイ『次便を別船にする案では、受入れ場所、運搬手段、作業班を二便の間でどう使うかを確認します。同じ資源を同時に使う部分は、待機として表示します』
重なった区間が、画面の中で明るくなった。
あきつ丸が、そのうちの一つを指した。
あきつ丸(艦娘)「この待機ですが、受取先を変えれば、短くできる場合もあるのであります。ただ、その分、あとで移す仕事が増えます」
隼人「一時保管へ回した場合ですね」
あきつ丸(艦娘)「はい。船を先に返せても、岸での仕事は残ります。それを、誰が受け持ったかまで書いておけるでしょうか」
隼人「アイ、そこを加えてくれ。一時保管に引き継ぐ場合と、そのまま使用部署へ渡す場合を分ける」
アイ『追加します。船の離脱時期と、物資を使用できる時期を、別に比較します』
止まっていた線の一つが、途中で枝分かれした。
船を早く帰すことが、次の便を組む助けになる場合はある。
そのために岸へ残した仕事も、表に出てきた。
隼人は、あきつ丸へ顔を向けた。
隼人「ありがとうございます。これで、船を返せる時期だけ先に決めずに済みます」
あきつ丸(艦娘)「自分も、こうして並べていただけると、次に何を聞けばよいか分かるのであります」
あきつ丸は自分の控えを引き寄せ、表示された条件を書き写した。
*
打合せが終わる前に、港務から係の者が訪ねてきた。
大淀が頼んでいた、帰港後の引継ぎ記録を持っている。
港務係「昨日の荷の控えです。工廠行きの分は、今朝、引渡しまで済みました」
あきつ丸が受け取り、昨日の控えへ重ねる。
隼人にも、見覚えのある箱の記号があった。
帆布を掛け、荷車で運ばれていったものだ。
昨日の保管担当の署名の下へ、工廠側の受取時刻と名が付いている。
隼人は、港務係へ尋ねた。
隼人「この先へ回した控えは、どちらで合わせていますか」
港務係「こちらの受渡し簿です。昨日は保管まででしたので、今朝の分を追記しました。あきつ丸さんへも、控えをお渡しするように言われています」
大淀(艦娘)「ありがとうございます。船側の記録と合わせられるよう、今後の照会へも、この欄を付けたいと思っています」
港務係「承知しました。必要な所を教えていただければ、こちらでも確認します」
あきつ丸は、二枚を揃え、隼人へ向けた。
あきつ丸(艦娘)「昨日、自分がお渡しできた答えは、こちらまででありました」
最初の紙へ、指を置く。
続いて、今朝の紙へ移す。
あきつ丸(艦娘)「これで、その先も繋がったのであります」
隼人は新しい画面を開き、昨日の帰港記録として、二つの時刻を入力した。
船側の控えと、港務の控えが、一続きに並ぶ。
アイが記録を保存する間に、あきつ丸は往航の頁を開いた。
往航の資材を保管した先へも、同じように控えを求める。
その照会先を、あきつ丸は自分の控えへ書き加えていった。
天城は、清書された照会文を読み直した。
天城(KAN-SEN)「陸軍側には、必要な部隊と資材を、始める仕事ごとに。輸送側には、その順で引き渡せる条件を。これなら、同じ案を見て返していただけますね」
剣子「この内容で出しましょう。二日後の回答には、今日直した比較と、まだ相手の返事が要る所を載せます」
大淀が文書を受け取り、送付する控えを揃えた。
剣子の確認を受けた綴りが、待っていた伝令へ渡される。
あきつ丸も、陸軍側へ確認する項目を自分の綴りへ挟む。
この場で、派遣する部隊が決まったわけではない。
次便へ使える船も、まだ、決まっていなかった。
それでも、どこへ、どの仕事を頼みたいかは、紙の上で具体的になっていた。
*
部屋を出ると、港には朝からの作業が続いていた。
隼人は、あきつ丸と並んで歩いた。
彼女の腕には、持参した時より、少し厚くなった綴りが抱えられている。
あきつ丸(艦娘)「副提督は、もっと、兵装のことをお聞きになるかと思っていたのであります」
隼人「そちらも、必要になれば伺いたいです。ただ、今日は、運んだあとを聞きたくて」
あきつ丸(艦娘)「荷役の話だけで、随分と時間を使ってしまいました」
隼人「私一人で考えていたら、分からなかった時間です」
あきつ丸が、少しだけ隼人を見上げた。
隼人は、岸壁の方へ目を向ける。
昨日、木箱を置いた場所は空いていた。
今は別の荷を受けるために、台車が寄せられている。
隼人「一隻が帰ってくるまでにも、たくさんの人が関わっている。どこを守れば、その仕事が続けられるかも考えなければなりませんから」
あきつ丸(艦娘)「では、自分も、次の話を聞ける方へ繋いでおくのであります。現地で受け取った側のことは、その方々から聞くのが一番です」
隼人「お願いします。こちらから返した案も、一緒に見てもらいたい」
彼女は頷いた。
港務の男が、別の係留区画へ声を掛けている。
荷車が動き、その横を、記録を持った者が歩いていく。
隼人は足を止め、左耳へ出力を戻した。
隼人「アイ。今日の比較は、最初の三案と並べて残してくれ」
アイ『保存しています。次の回答を受け取った際、変更が必要になった区間から表示できます』
隼人「ああ。頼む」
島へ向かう日付は、まだ入らない。
その前に渡すべき案を、今日は一つ、送り出せた。
隼人は鞄を持ち直し、執務室へ戻る道へ進んだ。
感想お待ちしてます。
兵器解説
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ナシ