『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇
場所は戻ってアリスの部屋。
何処からか引っ張り出してきた楽器群。
あれ、群なの?
まとめて出さなくても一つずつでいいじゃん。
「ハナ、さん。もしかして……」
「ま、まだそうと決まったわけじゃないじゃん?」
「…『
アリスはそう言って8本の手と…8本?
楽器は…ピアノ、トランペット、フルート、ハープ、バイオリンの5個。
アリス自身の手を合わせて10本の手…
…え?冗談だよね?
「…神前舞礼曲『アルハラム』…」
そこから始まったのは一人オーケストラだった。
トランペットやフルートは風魔術を使って空気を送る。
これは唯弾かれているだけの音楽じゃない。
いや、勿論音も綺麗だし聞きやすい。
…でもそうじゃなくてこれはこの世界特有の魔術を使った総合芸術って感じがする。
その5つの楽器が合わさる音色は一人で全てを弾くが故に、息がぴったりと合い、ある種のハーモニーを醸し出す。
正に曲の題目通り神へ捧げるために神殿の前で厳かに踊る曲…それにふさわしいイメージだ。
私は別に音楽に拘りがあるとか、芸術性がわかるとか、そんな器用な生態系はしてないけど、そんな私でも聴くだけで厳かな雰囲気や光景がまじまじと浮かぶ。
これが一人オーケストラ………
いや、常人には不可能な領域じゃん。
そうして華麗で荘厳な舞踏会は終わり義手が一斉にまるで音がしないかのようにさらさらと崩れる。
……訂正。
義手が崩れ落ちる音すらも音楽に組み込んだ狂気の音楽が幕を閉じる。
Q.非の打ち所がない完璧な演奏な上、あんま上手くないと言われたのに神業を見せ付けられた私の気持ちを答えなさい。
A.「………すごい」
…ついに語彙力が幼稚園児レベルまで落ちたか。
私が天才演奏家なので、張り合って『次は私が!』と威勢よくアリスに告げる。
アリスは『その挑戦、受けてたとう』とも言いたげにこちらを一瞥する。
そう、ここから私達の音楽道は始まったのだ。
あの日、あの場所。それは私達にとってかけがいのない────
とは、私の演奏力&才能ではどう足掻いてもなり得ない。
生憎私は唯一弾ける楽器であるバイオリンすらそんなに上手くないので、素直に褒めることしかできない。
まあ語彙力が喪失してるからその褒める事すらままならないんですけどね。みなさん。
セリアも驚きと困惑と感動がまぜこぜになった表情を浮かべながら手放しでアリスを誉めちぎる。
「アリスさん、凄いですよ!あの第一楽章の部分のコード進行が~」
……私より余裕で語彙力あるぅ。
セリアの音楽知識の混ざった含蓄のある誉めが終わって一段落。よし、後は学校に───
「…知識…」
あっ、忘れてなかった。
聴き逃げは許してくれなかった。
観念して入場料払うかぁ。
「じゃあ私の国の話で…」
そう言って古墳時代位まで話した。
まあ私の知識ももう何処まで宛になるか判らない。
半分うろ覚えの箇所とかもあるし…まあ大雑把な流れは覚えてるからギリギリセーフ。
因みに明治~昭和は流れすら覚えてない模様。
何であそこら辺の時代あんなに人が出てくるの?
覚える私の身にもなって欲しい(理不尽な怒り)
私にとっての明治~昭和なんて大政奉還が起きてから戦争を3回やったってだけ。
日本人として太平洋戦争の扱いがアウトな気もするけどしょうがないじゃん。
知識としては覚えた(筈)だけどテスト終わった瞬間に7割位吹き飛んだし。
こうやって負の歴史は風化していくのか…(達観)
もうあの戦争の時の記憶が残ってる人なんて極僅かだ。
もう十年でも経てばいなくなってしまうだろう。
そこからどの様にしてその悲惨さや凄惨さを後世に伝えるか…その一環として義務教育にいれるっていうのは良いと思うんだけど如何せんやり方が問題だ。
今のままだと太平洋戦争なんてただの暗記(する事を増やす面倒な)事項だしね。
まあ私がここで色々考えたって仕方ない。
あれこれ言える立場もなければそもそもその意見が言える世界にすらいない。
というか帰れなければ思い出す必要も……何でもない。
……話は180°変わるけどこの世界で数学の問題集みたいの出したら売れるのでは?
よし!今度書こう。
そして夢の印税生活をしよう。
この世界に印税っていう概念があるか不明だけど。
まあ本を書けば収入は入ってくるでしょ。
前の世界の参考書の名前をパクっ…じゃなくてリスペクトしてチート式数学…何でもないです。
いつの間にか登校して、始まっていた学校の授業を受けながらそんなどうでも良いことを考える。
……別に夢遊病患者になってたわけではないのよ。
なんか、そう。突然ぽわ~ってして……
私なんかやばい薬でも使ったっけ?
暫定睡眠不足に悩ませられながら、ふらふらとアリスやセリアに着いていったら始まっただけ。
……だけとは(哲学)
もう少し気をしっかりしていこう。
そう言えば学校って代わり映えしないよなぁ。
学校生活を漫画にしてたり小説にしてる人ってすごいなぁ。
よくこんな代わり映えしない日常風景をあんなに面白く書けるなぁ。
「明日からテストですが…」
え、聞いてないよ?(自業自得)
後だけど、こんな形で代わり映えを求めてるわけじゃないんだよなぁ。
それにこれで飛び級とかが決まる。
アリスは絶対余裕だろうし…ちらっとセリアを見るがそんなに焦っていない。
あれ?もしかしてヤバイの私だけ?
元の世界の教育制度に一石を投じてないで勉強してればよかった。
よし、こっからの授業は全部真面目に聞いて完璧にならなきゃ。
◇
学校は何事もなく無事に終わったけど、学校以外……つまり、勉強がヤバい。
明日の教科は…国語、魔術、武芸。
武芸は全力でやればどうせどうにでもなるし、国語は対策のしようがないから……
問題は魔術。主に魔術理論の分野。
魔術理論です…よし、やるか。
途中でアリスが
途中でローズさんが
途中で宮廷魔術師団員が
…私の部屋ってもしかして勉強妨害要素多い?
まあ無事に終わった()からいいか。
という訳で寝っ……ない!
ここで私がする行動はただ一つ!
秘技『アリス召喚』である。
説明しよう。
召喚方法は簡単。
まずローズさんを呼びます。
そしてローズさんにアリスさんを呼んで貰います。
但しこの際に用件を『知識の確認』と伝えましょう。
そうすると上手く誤魔化せて、アリスが自動的に召喚されます。
え?質問係はローズさんでも良くないかって?
…ほら、何か嫌じゃん。
仕える主がメイドにミスする姿みせるとか。
別の言い方では私のエゴとも言う。
そしてここでハナ'sポイント。
アリスを呼んだ時に最初にする話は元の世界の話にしましょう。
そして案の定私の口がフィギュアスケート張りに滑るので、色々洩らす訳ですがそんな事はさておき少し話したら(約1時間)
いよいよ本題に話を持っていきましょう。
最初に元の世界の話題をすることでアリスは恩義を(多分)感じて
やったね。
そして最後に、最大の注意点。
多分この方法は一回しか使えないから使い時は考えよう。
雑談しに来たら私に邪魔者扱いされ、宮廷魔術師団員の相手をさせられて、現在は私の質問係に任命されている我が国の第二王女様ですが…何故か機嫌が悪い様です。
何故でしょうか(すっとぼけ)
その後滅茶苦茶謝った。
◇
という訳で無事?に明日のテスト対策も終わったし今日はもう寝よう……
「主様、今日の情報です」
盛大にキレ散らかしそう。
まあ私は寛大なので?
幾ら眠くとも重要な情報が紛れている資料が渡されたなら?
まあ当然怒るなんて器量の無いことは出来ないよね。
…重要な情報ないんだけど。
心底どうでもいい情報しかないんだけど。
…気付いたらあの教皇帰ってるし。
このやり場のない怒りは何処にぶつければ?
そうだ。睡眠欲にぶつけよう。
それでは今日も一日お疲れ様でした。
……お休みなさい。