『少女世界攻略記録』   作:100110110011(2)の民

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105◇正々堂々、卑怯上等の試験戦闘

 

恐怖にうちひしがれる…よりどっちかって言うと驚愕と恐怖が入り混じって動けないギルマスに声をかける。

 

「武芸の試験はまだ?」

 

暫く返事がなかったが何かの魔術を複数回使って回復したらしい。

やっぱりギルマスって人外枠の存在なんだなぁ。

アリスとかアルカトスさんとか、最近だとシガムさんと同じ人外の民。

 

「今の何だ?」

 

まあそうなるよね。

使った私も悪いけど、流石にこんなところで秘神について堂々とCO(カミングアウト)したらここにいる人全員が漏れなくSANチェックからの不定の狂気ルートに全速力で突っ込むことになるからね。

まあ、つまり……

 

「宮廷魔術師としての企業秘密です」

 

宮廷魔術師、というよりは異世界転移者、異世界転移者、というよりは秘神と会った人としての企業秘密ではあるけどね。

 

「…まあいい、次は武芸だ。特別に模擬戦形式にしてやろう…」

 

「え?さっきアリスに模擬戦じゃないって…」

 

そんな戯言(たわごと)を言いながら私は『舞踏城(タンゼンシュラウス)』を無詠唱で発動する。

まあ10分あれば十分か。

無詠唱なので消費mpは普段の三倍…まあつまり、3×10×100=3000。

3000使ってもなお残り40000位あるしいいか。

忘れてると思うけど、一応この空間は『追憶の世界(ロスト・ワールド)』発動中…つまるところ、私の制御下だ。

ここで負ける訳にはいかない。色んな意味で。

折角だし周りに集まっている生徒達にもアピールしよう。

え、何をアピールするのかって?

それは……宮廷魔術師のハードルだね。

そうすれば新しく宮廷魔術師になろうとする人が減るから私の地位が安泰になる。

帰れる時期が未定な今、この立場を強固なモノにしないといけないからね!

 

「じゃあ模擬戦兼試験を始めようぜ!」

 

「それではお集まりの皆様、今宵始めるは摩訶不思議な幻想手品です。存分にご賞味あれ」

 

私はそう言って全力でかっこつける。

その宣言と同時にいつもの夜の街並みを創り出す。

mp消費に換算すると1000位。

そして私はかっこつけを続ける。

 

「今晩の題目は摩天楼での幻想戦闘です。それではお楽しみあれ」

 

私が態々アピールしてるのにそれを無視してギルマスは突っ切ってくる。

というか作っといてなんだけど、今回のビルはただの風景用。

多分こないだの騎士団達との戦闘でギルマスには見切られてる気がするからね。

 

というわけで私が今回使うメインウェポンはこちら。

私が創り出すのは燃える氷…メタンハイドレート。

それに着火した物を周囲に100個程並べる。

 

「何だよそれ!」

 

そう言いながら近寄って来るので指を鳴らすと同時にその内の数個を高速で飛ばす。

多分音よりは速いんじゃないかな?

…さすがに冗談、そこまでは速くない。

まあでもかなり速い速度で炎を纏ったメタンハイドレートが飛んでいく。

 

そしてそれに逆向きの加速度を与えて戻す。

おおう、一応不意打ちだったのに避けるんだ。

 

という訳で私の周りにその燃える氷達を配置してぐるぐると高速で回す。

これで迂闊には近寄れまい。

序でに空からも降らす。

わぁ…流星みたいで綺麗だなぁ。

まあギルマスにとっては地獄なんだけどね。

試験ということで真面目に倒す、というよりは見せつけるのが目的。

真面目に倒すだけなら恐怖で縛ってから温度上昇と放射線でなぶり殺すのが正解だけど、それは本当に全力全開な上、周りから100%ドン引きされるから却下。

 

 

……む、嫌な予感がする。

嫌な予感っていうのは非論理的だなぁ。正確に言うなら……

 

「風切り音がする、なんてね」

 

そんな冗談(じじつ)と同時に燃え盛る氷を無視して、私の方へと何かしら魔術が掛かった剣先が向かってくる。

この世界では私こそが物理法則の支配者だ。

私に物理攻撃がそんな簡単に出来ると思うなよ?

 

剣にマイナス方向の加速度を付与し強制的に停止させギルマスをその力のまま後ろに吹き飛ばす。

mp消費が痛い……やっぱ、自分の物以外を動かすとゴリゴリ減るなぁ。

まあ、外にはそんな表情微塵も出さないけれども。

威勢を張っていけ?虚勢を張っていけ?

 

「あれ?攻撃しないんですか?」

 

そう煽り私は…………突然腹部から何かが突き出る。

 

え?これ本当に模擬戦だよね?

まさかギルマス、私が回復手段…もとい、『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』が使えることを知っていて……むう。

 

とにかく、余りの衝撃に私は咄嗟に対応出来なかった。

なら、ここから『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』を使う?

いや、なるべくあれは使いたくない。

明日まで魔術系統が使えないっていうのは大きいデメリットだからね。

 

…ならどうやって回避する?

ふふっ、あはたは私を怒らせた、ってね。

 

まず私は即興補完魔法『テレポーテーション』を使い距離を取る。そしてギルマスの周囲の重力を20倍にして時間を稼ぐ。

 

次に自身に無詠唱でヒールを使いhpを回復させ、とりあえずは『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』が発動しないように延命する。

 

それでも腹部に穴が空いてる事実は変わらないのでhpが減っていく。

なのでmpのごり押しをしてhpを回復させ続ける。

もう余裕は一切ないのでこっからは真面目(煽りなし)にやる。

 

ちらっと生徒達を見ると動揺しているのかざわついている。私が死にそうだって?

そんな訳ないじゃん。ちゃんとあの時の模擬戦見てた?

まあ見えないか見てなかったんだろうけど。

 

という訳で手に手榴弾(強)とショットガン(mp消費5000)を持つ。

まあギルマスに怪我させられたんだ、同じ位の苦しみは味わって貰うよ?

 

手榴弾を投げ、燃える氷を飛ばし逃げ道を塞ぐ。

そこにショットガンを撃ち込み序でにその弾を加速させる。

そしておまけにと進入禁止の標識を飛ばす。

 

…手榴弾の煙が晴れた場所には全身に掠り傷ができて腹部を標識が貫いているギルマスがいる。

 

え?これまだ続けるの?

お互いと割と満身創痍よ?

私はこれ以上やるなら魔法以外を使わなきゃいけないしギルマスは命を削る事になるよ?

完全に模擬戦じゃなくて殺し合いになるよ?

 

まあ、一応ショットガンと手榴弾を構えるけどさぁ。

 

「終わりだよ終わり!」

 

そう言って戦闘…じゃなかった。試験が終わる。

取りあえず夜やらビルやらは消しとこ。

 

「本日も御来演ありがとう御座いました」

 

そう言って私は舞台セットを消す。

…あ、mp切れた。

やば、hpが減ってく。

私はアリスの所に駆け寄る。

アリスは私が何か言う前に用件は判ってたらしい。

アリスのそれがバレないように裏に回ってから…

 

「…『回復之姫(エクスリカバー)』」

 

回復魔術?魔法?を使ってもらう。

するとみるみる回復していく。

ちょっと気持ち悪いかも…?

いや『死帯享楽(ファイナル・リゾート)』の回復の方が何倍も気持ち悪いわ。

兎に角回復して試験も終わったのでアリスにお礼をして帰る。

この試験の良い所は終わった人から自由に帰って良いところだと思う。

それにしても服が破けたんだよなぁ。

アリスはどうしてるんだろう。

まあ、これは運動着だし学校からの支給品だからいいけどさぁ……

 

それはそれとして、だ。

 

…次ギルマスと戦う時は絶対油断しない。

完膚なきまでに叩きのめす。

ちらっと後ろを見るとギルマスは自力で回復してた。あ、まじ?

この国人外多すぎない?

 

 

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