『少女世界攻略記録』 作:100110110011(2)の民
◇◆アリス・フォン・トラウィス視点◆◇
意識が戻ったと同時に周りの様子を探る。
今度は何が来る?
恐らく、この試練の性質上、過去の回想及び最善策の行動をさせる、というものだろう。
いつもの王宮、いつもの臣下……そこから導きだされる答えは一つ。
『第二幕』
『大いなる賢き者と魑魅魍魎渦巻く迷宮』
なるほど…数日前までなら苦しいかもしれない。
でも今はハナのおかげで全く辛くない。
「第二王女様、この政策は如何すれば…」
「第二王女様、我が家は借金が嵩張り…」
「第二王女様、民からの減税の要望が…」
「第二王女様、次の戦争はどの様にして…」
「第二王女様、孤児院への給付金は…」
「「「第二王女様、お助け下さい」」」
期待?押し付け?重圧?何でもかかって来い…なんてね。ハナらしい言動を脳内で再現しながら順調に対処していく。
そして、流石にこのまま終わるとは思ってない。
何処かで何か『試練らしい』事が起きる。
あるとするなら───
『大賢者の苦悩─』
『されど二度目があるならば──』
『全ての悩みを導く者となろう───』
やっぱり来た。
それぞれにそれぞれの方法で対処する。
政策に対しては長所と短所をまとめて序でに他政策との比較も掲載する。
借金については支出と収入を全て書き出して不要な物を削らせる。
後は国からの年俸で行ける。
減税については減税を要求する要因を探す。
飢饉や天災ならそれは一時的な物、逆に人為的な物や貴族の腐敗が原因ならすぐに処分。
この時の次の戦争の相手はメトメフ帝国。
準備がてらに情報収集をさせる。
そして将軍級については詳細な
最後、孤児院の給付金については取りあえずちゃんと渡っているかを調べる。
それで足りてないなら今まではどうしてたかを調べさせてそれから対策を練る。
それでもし孤児達が乞食みたいな事や犯罪紛いの事をしてたなら流石に増やす。
…ここまでの事は一見当たり前に見えるけれど何故か皆出来ない。
そしてそれは恐らく利権関係が絡んでるんだろう。
でも第二王女である私が言った。
それを盾にすればある程度利権関係を無視できる。
だからそれを望みに判りきった解決策を私に聞きにくる。
私はそれらの要望に対して特定の貴族が過剰に利益を得ないようにしつつも理想的な答えを返すだけ。
私は望まれた政策を精巧に、精密に、矛盾なく返していくだけ。
王族の政治とは『空気』が一番重要となる。
それを繰り返す事小一時間。
記憶があってるならそろそろ……
「第二王女様、御婚約は如何されますか?」
……ようやく、来た。
あの時は感情に身を任せて『間違えた』けれど今度はそうは行かせない。
折角二度目の機会が貰えたんだ、全力で対応して不満不平を出さないようにする!
私は言い訳、もとい説得材料を並べる。
私がこの時期に婚約したらどんな問題が出るか、どんな事が発生するのか。
それを多少過剰に脚色しながら伝える。
この際にポイントなのは自身に悪い影響が来るという事を強調すること。
貴族は例によって自身に危害が及ばないと解れば話を真面目に聞かなくなる。
それが例え自国の王族の人生についてだったとしても。
でもそれは逆に捉えられる。
貴族は自身に危害や影響があると判れば話を真面目に聞いて対応してくれる。
扱いやすくていい…っていうのは皮肉になるのだろうか?
全ての疑問、悩みを聞き入れて…試練の言い方をするなら導いた。
私を取り囲む有象無象はいなくなり、私はいつものように一人に戻る。
まあその『いつも』は既に無いものなんだけどね。
さて、次の試練は何?